壁点検口装置
【課題】開口枠に固着される支持部材に点検口蓋を嵌外し自在に支持させる壁点検口装置において、支持部材に対して点検口蓋を正確に位置決めして迅速に設置することが可能である全開式壁点検口装置を提供すること。
【解決手段】壁点検口装置の一実施例では、点検口蓋の蓋枠部材3aは枠主板部5を有すると共に枠主板部の奥側内面には被係合条6が形成され、点検口蓋を支持する支持部材2は開口縁Bに固着される固着片部15の奥側先端で折り返された折返し片部16を有すると共に折返し片部先端付近には蓋枠部材の被係合条に係止する係合条18が形成され、蓋枠部材の枠主板部外面が支持部材の固着片部に当接すると共に蓋枠部材の被係合条に支持部材の係合条が係止した状態で支持部材の弾力によって支持部材が蓋枠部材に仮止めされた組立体が開口枠内にそのまま挿入されて、固着螺子11で固定される。
【解決手段】壁点検口装置の一実施例では、点検口蓋の蓋枠部材3aは枠主板部5を有すると共に枠主板部の奥側内面には被係合条6が形成され、点検口蓋を支持する支持部材2は開口縁Bに固着される固着片部15の奥側先端で折り返された折返し片部16を有すると共に折返し片部先端付近には蓋枠部材の被係合条に係止する係合条18が形成され、蓋枠部材の枠主板部外面が支持部材の固着片部に当接すると共に蓋枠部材の被係合条に支持部材の係合条が係止した状態で支持部材の弾力によって支持部材が蓋枠部材に仮止めされた組立体が開口枠内にそのまま挿入されて、固着螺子11で固定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管類スペースに収容される配線、配管類を壁側から点検するための壁点検口装置、特に住宅の高機能化によって空気調和や通信等の配線、配管類が埋設された壁内スペースを室内壁側から点検するための壁点検口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室ユニット等の壁パネルを予め成形加工して点検口を形成する技術は公知である(例えば、特許文献1参照。)。しかしながらこの点検口は浴室ユニットに設けられるものであるから、点検口に対する蓋板の係合位置がずれたりすることはないが、通常の建物の壁板材を穿孔して形成する室内の壁点検口では、開口部の段部についての加工が困難であるからこの技術は適用ができない。またこの浴室ユニットの技術は点検された開口が可成り狭くなる傾向を有している。次に枠材を開口部全周に固定し、蓋板を後から支える蓋板支持片、蓋板を外周から支持する覆片、蓋板を前面から開閉自在に支える遮蔽片を備えた壁の点検口も提案されているが(例えば、特許文献2参照。)、枠材の構成が複雑であって製造コストが高く、また開閉可能な遮蔽片が必要なため、枠材が幅広く形成されることになり、屋内の美観を損ねる。さらに開口全体に枠材が固定されるので作業に必要な開口の広さが狭められる。
【0003】
【特許文献1】特開平11−70055号公報
【特許文献2】特開2001−123652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、開口枠に固着される支持部材に点検口蓋を嵌外し自在に支持させる壁点検口装置において、支持部材に対して点検口蓋を正確に位置決めして迅速に設置することが可能であり、構造が簡単で安価であり、外観が優れている全開式壁点検口装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明では、開口枠に固着される支持部材に点検口蓋を嵌外し自在に支持させる壁点検口装置において、点検口蓋の蓋枠部材に対して支持部材自体あるいは補助的な仮止めクリップの使用によって、設置後の蓋枠部材と支持部材との正確な位置関係を予め保持した状態で蓋枠部材と支持部材とを一時的に挟着して設置作業を行うことができるような具体的手段が採用されており、支持部材に対して点検口蓋を正確に位置決めして迅速に設置することが可能となるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、次のような効果を奏する。
A.開口枠は、点検口蓋の閉蓋状態で外観に現れることがなく、また特有の材料や構造を有する開口枠部材を使用する必要がなく、また開口枠部材に段部を加工する必要もないから、安価で加工も容易な材料、例えば木材等で作成することが可能であり、さらに開蓋時に開口枠部材によって開口面積が狭められることがない。
B.点検口蓋の蓋枠に対して、各支持部材自体あるいは補助的な仮止めクリップを使用して各支持部材を点検口蓋装着時の正確な係止位置に維持した状態で蓋枠に仮止めした上で、蓋枠を方形開口の正確な位置に挿入し、そのまま各支持部材を方形開口の正確な設置位置に固着することができるから、点検口蓋が方形開口からせり出したり、点検口蓋の支持部材に対する係止不良を生じたりすることがなく、また容易且つ迅速に設置作業を行うことができる。
C.横断面において開口枠に固着する固着片部の奥側先端で折り返された折返し片部を有する各支持部材を使用する態様では、弾力によって各支持部材が対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされるから、別体の仮止め具を使用する必要がなく、また各支持部材の折返し片部が蓋枠部材の内側に配置されることになるから方形開口と蓋枠部材との間隔を狭くすることが可能であって、点検口蓋装着の安定性が良好であると共に外向きフランジの幅をより細く形成できるので、美観を損なうことがない。
【0007】
D.仮止めクリップを使用する態様では、横断面において開口枠に固着する固着片部の奥側先端で折り返された折返し片部を有する各支持部材を使用することにより仮止めクリップを必要としない態様と比較して、各支持部材を折り返して内方に突出させる必要がないから、方形開口内への突出部分が少なく、点検作業用開口を広く確保できる。
E.各蓋枠部材における枠主板部に螺子挿通空所が形成されている態様では、固着螺子の締め付けの際に、固着螺子は各蓋枠部材の存在に邪魔されることなく締め付け作業を遂行することができると共に各支持部材の固着片部における固着螺子孔をより手前側に形成する設計が可能となり、固着螺子の締め付け作業をさらに容易に行うことができる。
F.各支持部材の固着片部に複数の固着螺子孔が穿設されると共に固着螺子孔の一部が各支持部材が各蓋枠部材に仮止めされた状態で、各蓋枠部材に被さらない位置に穿設されている態様では、蓋枠部材に切欠等の螺子挿通空所を形成する加工が不要であって製造が簡単になる。
G.各支持部材が方形開口の入隅部直交面に沿う直交して接続する固着片部とばね片部とを有する態様では、対向する他組の各開口縁の面に沿う何れの位置においても支持部材の位置設定と固着が可能となるから、点検口蓋の対向する一組の各蓋枠部材に対するばね片部の係止最適位置を設定することが可能であり、またその設定位置で固着片部を固着することによって最適位置を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明にかかる壁点検口装置は、方形をなす点検口蓋の4辺を囲繞する各蓋枠部材において、少なくとも対向する一組の各蓋枠部材は横断面において該点検口蓋の面と垂直に延長する枠主板部を有すると共に該枠主板部の奥側内面には被係合条が形成され、方形開口の対向する一組の各開口縁に固着されて該点検口蓋を支持するための各支持部材は、横断面において該開口枠に固着する固着片部の奥側先端で折り返された折返し片部を有すると共に該折返し片部先端付近外方には該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に係止する係合条が形成され、該対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部外面が該各支持部材の該固着片部に当接すると共に該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に該各支持部材の該係合条が係止した状態で該各支持部材の弾力によって該各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされることを特徴とする。
【0009】
また、各支持部材が対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされた状態で対向する一組の各開口縁に固着螺子によって固定する場合に、各支持部材の固着片部における固着螺子孔が対向する一組の各蓋枠部材によって被さってしまうのを防止するために、前記各支持部材の前記固着片部には、前記各開口縁に固着するための固着螺子孔が穿設されると共に、前記対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部には、前記各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に前記仮止めされた状態で、該固着螺子孔に符合する螺子挿通空所が形成されていることを特徴とする。
【0010】
さらに同様に、各支持部材が対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされた状態で対向する一組の各開口縁に固着螺子によって固定する場合に、各支持部材の固着片部における固着螺子孔が対向する一組の各蓋枠部材によって被さってしまうのを防止するために、前記各支持部材の前記固着片部には、前記各開口縁に固着するための複数の固着螺子孔が穿設されると共に、該固着螺子孔の一部は、前記各支持部材が前記対向する一組の各蓋枠部材に前記仮止めされた状態で、該対向する一組の各蓋枠部材に被さらない位置に穿設されていることを特徴とする。
【0011】
また、仮止めクリップによって各支持部材が対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされる壁点検口装置の態様として、方形をなす点検口蓋の4辺を囲繞する各蓋枠部材において、少なくとも対向する一組の各蓋枠部材は横断面において該点検口蓋の面と垂直に延長する枠主板部を有すると共に該枠主板部の奥側外面には被係合条が形成され、方形開口の対向する一組の各開口縁に固着されて該点検口蓋を支持するための各支持部材は、横断面において該各開口縁に固着する固着片部と該固着片部から内方に立設されたばね片部とを有すると共に該ばね片部先端付近内方には該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に係止する係合条が形成され、該対向する一組の各蓋枠部材における該被係合条に該各支持部材の該係合条が係止した状態で、該対向する一組の各蓋枠部材における該枠主板部の内面から該枠主板部の奥部を経て該ばね片部の外面に折り返して延長する弾性材料製の仮止めクリップが挿入され、該仮止めクリップの弾力によって該各支持部材の該ばね片部と該対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部とが挟着され、該各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされることを特徴とする。
【0012】
そして、この態様においても、各支持部材が対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされた状態で対向する一組の各開口縁に固着螺子によって固定する場合に、各支持部材の固着片部における固着螺子孔が対向する一組の各蓋枠部材によって被さってしまうのを防止するために、前記各支持部材の前記固着片部には、前記各開口縁に固着するための固着螺子孔が穿設されると共に、前記対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部には、前記各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に前記仮止めされた状態で、該固着螺子孔に符合する螺子挿通空所が形成されていることを特徴とする。
【0013】
さらに、仮止めクリップによって各支持部材が対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされる壁点検口装置の別の態様として、方形をなす点検口蓋の4辺を囲繞する各蓋枠部材において、各蓋枠部材は横断面において該点検口蓋の面と垂直に延長する枠主板部を有し、少なくとも対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部奥側外面には被係合条が形成され、該点検口蓋を支持するために方形開口の4隅入隅部に固着される各支持部材は、該方形開口の入隅部において該方形開口における対向する一組の各開口縁に添うと共に先端付近内方には該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に係止する係合条が形成されたばね片部と、該ばね片部と直交して部分的に接続され且つ該方形開口の入隅部において該方形開口における対向する他組の各開口縁に固着するための固着螺子孔が形成された固着片部とを有し、該対向する一組の各蓋枠部材における該被係合条に該各支持部材の該係合条が係止した状態で、該対向する一組の各蓋枠部材における該枠主板部の内面から該枠主板部の奥部を経て該ばね片部の外面に折り返して延長する弾性材料製の仮止めクリップが挿入され、該仮止めクリップの弾力によって該各支持部材の該ばね片部と該対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部とが挟着され、該各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされると共に、対向する他組の各蓋枠部材における該枠主板部に穿設された螺子挿通空所が該各支持部材の該固着片部における該固着螺子孔に符合することを特徴とする。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。
図1乃至図6には、本発明にかかる壁点検口装置の第1実施例が示されている。即ち図1には壁点検口装置の設置状態が、図2には設置された壁点検口装置における要部の縦断面図が、図3には点検口蓋の蓋枠部材と各支持金具の配置状態が、図4には支持部材の詳細が、図5には設置作業時における支持金具への蓋枠部材の仮止め状態が、また図6には背面方向から見た点検口蓋がそれぞれ示されている。図1に示されるように壁点検口装置が設置される壁Wには所定の大きさの方形開口Sが穿孔されており、方形開口Sの縁に添って開口枠Fが裏側から接合され、開口枠Fによって方形開口Sが壁点検口装置を支持可能なように補強されている。開口枠Fは、後述する点検口蓋1の閉蓋状態で外観に現れることがなく、また特定の材料や構造を有する開口枠部材を使用する必要がなく、また開口枠部材に段部を加工する必要もないから、安価で加工も容易な材料、例えば木材等で作成することが可能であり、さらに開蓋時に開口枠部材によって開口面積が狭められることがない。
【0015】
この開口枠Fが接合された方形開口Sには、対向する一組の各開口縁B、即ち図面上では上下に平行な各横縁および、対向する他組の各開口縁L、即ち図面上では左右に平行な各縦縁が形成される。対向する一組の各開口縁Bには点検口蓋1を支持するそれぞれ2個ずつ計4個の支持部材2が固着される。方形開口Sを閉塞する方形の点検口蓋1の周囲における蓋枠3は、図3に示されるように、その4辺が対向する一組の蓋枠部材3a,3aと対向する他組の蓋枠部材3b,3bを方形に配設して隅部を各L字状部材4で接合することにより形成される。対向する一組の各蓋枠部材3aは後述するように各支持部材2が係止されるための必須の横断面構成を有するが、通常対向する一組の各蓋枠部材3aと対向する他組の各蓋枠部材3bとは同一の断面構成を保有し、金属や硬質合成樹脂で製造される。また対向する一組の各蓋枠部材3aと対向する他組の各蓋枠部材3bの材長は方形開口Sの寸法に対応して決定されることは言うまでもない。
【0016】
図2に示されるように、対向する一組の各蓋枠部材3aと対向する他組の各蓋枠部材3bには、横断面において点検口蓋1の面と垂直に延長する枠主板部5を有する。また枠主板部5の奥側内面には凹溝条よりなる被係合条6が形成されており、この点は対向する一組の各蓋枠部材3aでは必須の構成である。さらに枠主板部5の手前端には方形開口Sの前縁に当接して覆う外向きフランジ7と点検口蓋1の主体である化粧板材製の蓋面板8の外周前縁を支持する内向きフランジ9とが形成されている。また図2および図5に示されるように、枠主板部5には、後述する支持部材2を対向する一組の各開口縁Bに固着する固着螺子11の挿通を確保するために4個の支持部材2が仮止めされる所要箇所に一対ずつの切欠部や透孔等の螺子挿通空所12が形成されている。なお符号10は支持部材2の装着を容易にするために枠主板部5の奥端縁内側に形成した傾斜縁であり、符号13はL字状部材4を収容するために枠主板部5外面に形成した凹溝条である。組み立てられた蓋枠3には、図6に示されるように、最終的に蓋面板8を各内向きフランジ9に当接するように嵌合し、蓋面板8裏面と対向する一組の各蓋枠部材3aおよび対向する他組の各蓋枠部材3bの枠主板部5内面とに押さえL字状板14の両翼を接着剤、両面接着テープ等により接着固定して蓋枠3に蓋面板8を装着することにより点検口蓋1を完成させる。
【0017】
次に点検口蓋1を方形開口Sに支持させるための各支持部材2は、弾力性を有する金属、硬質合成樹脂等で製造され、図4に明示されているように、横断面において開口枠Fに固着する固着片部15の奥側先端で折り返された折返し片部16を有すると共に折返し片部16の先端付近外方には対向する一組の各蓋枠部材3aにおける被係合条6に係止する外向き突条よりなる係合条18が突設されている。また折返し片部16より幅広な固着片部15には対向する一組の各開口縁Bに固着するための固着螺子孔17が折返し片部16を挟むように2個穿設されている。そして対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5外面が各支持部材2の固着片部15に当接すると共に対向する一組の各蓋枠部材3aの被係合条6に各支持部材2の係合条18が係止した状態で各支持部材2の弾力によって各支持部材2が対向する一組の各蓋枠部材3aに仮止めされた場合に、固着螺子孔17,17の位置が点検口蓋1の対向する一組の各蓋枠部材3aに形成された螺子挿通空所12の位置に符合するように設定されている。
【0018】
方形開口Sに壁点検口装置を設置する場合には、図3に示すように、先ず蓋面板8を装着していない蓋枠3の対向する一組の各蓋枠部材3aにそれぞれ2個ずつ支持部材2を仮止めする。各支持部材2の固着片部15と折返し片部16との間に弾力に抗して対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5を押し込むと、対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5外面が各支持部材2の固着片部15に当接すると共に対向する一組の各蓋枠部材3aの被係合条6に各支持部材2の係合条18が係止し、この状態で各支持部材2の弾力によって各支持部材2が対向する一組の各蓋枠部材3aに仮止めされる。また同時に各支持部材2の固着片部15における固着螺子孔17の位置が対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5の所定の螺子挿通空所12の位置に一致するように調整される。次に各支持部材2を仮止めした蓋枠3をそのまま方形開口Sに挿入すると、やがて各蓋枠部材3a、3bの各外向きフランジ7が方形開口Sの前縁に当接して挿入が停止される。挿入停止の位置が壁点検口装置の設置位置なので、蓋枠3に仮止めされた各支持部材2の固着片部15における固着螺子孔17に固着螺子11を挿通して対向する一組の各開口縁Bに締め付けることにより各支持部材2を対向する一組の各開口縁Bに固着する。締め付けの際に、対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5には螺子挿通空所12が形成されているから、固着螺子11は対向する一組の各蓋枠部材3aの存在に邪魔されることなく締め付け作業が遂行される。
【0019】
各支持部材2を対向する一組の各開口縁Bに固着することにより蓋枠3は方形開口Sに支持された状態となる。そしてこの支持状態から蓋枠3を取り外し、前述のように蓋枠3に蓋面板8を装着することによって点検口蓋1を完成させる。そして対向する一組の各開口縁Bに固着された各支持部材2に対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5を挿入するように方形開口Sに点検口蓋1を押し込めば、対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5外面が各支持部材2の固着片部15に当接すると共に対向する一組の各蓋枠部材3aの被係合条6に各支持部材2の係合条18が係止し、壁点検口の閉蓋状態を得ることができる。また閉蓋状態から点検口蓋1を引き抜けば全開状態の作業用開口を得ることができる。この実施例では、各支持部材2を設置時の正確な係止位置に維持した状態で蓋枠3に仮止めした上で蓋枠3を方形開口Sの正確な設置位置に挿入し、そのまま各支持部材2を方形開口Sの設置位置に固着することができるから、点検口蓋1がせり出したり、点検口蓋1の支持部材2に対する係止不良を生じたりすることがなく、また容易且つ迅速に設置作業を行うことができる。
【0020】
特に本実施例ではさらに、対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5外面が各支持部材2の固着片部15に当接すると共に対向する一組の各蓋枠部材3aの被係合条6に各支持部材2の係合条18が係止した状態で各支持部材2の弾力によって各支持部材2が対向する一組の各蓋枠部材3aに仮止めされるから、別体の仮止め具を使用する必要がなく、そして各支持部材2の折返し片部16が蓋枠部材3a,3bの内側に配置されることになるから方形開口Sと蓋枠部材3a,3bとの間隔を狭くすることが可能であって点検口蓋1装着の安定性が良好であると共に外向きフランジ7の幅をより細く形成できるので、美観を損なうことがない。またこの実施例では、固着螺子11の締め付けの際に、対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5には螺子挿通空所12が形成されているから、固着螺子11は対向する一組の各蓋枠部材3aの存在に邪魔されることなく締め付け作業が遂行することができると共に各支持部材2の固着片部15における固着螺子孔17をより手前側に形成する設計によって固着螺子11の締め付け作業をさらに容易にすることが可能となる。
【0021】
図7および図8には、本発明にかかる壁点検口装置の第2実施例が示されている。第2実施例は第1実施例と比較して支持部材2の構成が変えられている点を特徴とする。第2実施例によれば支持部材2における固着片部15がスリットを介して支持部材2の奥端まで延び、固着片部15の奥側には奥側固着螺子孔17aが、また手前側には手前側固着螺子孔17bが穿孔されている。支持部材2の固着螺子孔17が一列の場合には、本来折返し片部16における係合条18の位置付近に穿孔されるのが力学上合理的であり、そのため前述の第1実施例では、対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5に螺子挿通空所12まで設けて固着螺子11の位置を確保しているが、第2実施例にかかる支持部材2では奥側固着螺子孔17aと手前側固着螺子孔17bとの2列の固着螺子孔を形成することによって力学的な不合理を解消している。そして対向する一組の各蓋枠部材3aに各支持部材2を仮止めした際には、図8に示されるように、奥側固着螺子孔17aが枠主板部5の奥端よりさらに奥側に位置するので、奥側固着螺子孔17aは枠主板部5によって被さらない位置に穿設されることになる。
【0022】
したがって第2実施例にかかる支持部材2を使用する場合には、前述のように設置時に各支持部材2を蓋枠3に仮止めした状態で方形開口Sに挿入し、設置位置で先ず枠主板部5が被さっていない奥側固着螺子孔17aに固着螺子11を挿通して対向する一組の各開口縁Bに締め付け、この状態から蓋枠3を取り外した段階ではじめて露出する手前側固着螺子孔17bに固着螺子11を挿通して対向する一組の各開口縁Bに締め付けることにより、奥側固着螺子孔17aおよび手前側固着螺子孔17bのすべてに固着螺子11が締め付けられ、対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5に螺子挿通空所12を形成しなくとも各支持部材2を方形開口Sの正確な設置位置に固着することができ、第2実施例にかかる支持部材2を使用することによって対向する一組の各蓋枠部材3aへの螺子挿通空所12を形成する加工を不必要とし、製造を容易とする。
【0023】
図9および図10には、本発明にかかる壁点検口装置の第3実施例が示されている。第3実施例では、第1実施例における対向する一組の各蓋枠部材3aと各支持部材2の構成および仮止めの構成が異なるが、他の構成は第1実施例と同様である。即ち第3実施例では、対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5の奥側外面に凹溝条等の被係合条6が形成され、各支持部材2は、横断面において固着片部15と固着片部15から内方に立設されたばね片部19とを有すると共にばね片部19先端付近内方には対向する一組の各蓋枠部材3aの被係合条6に係止する突条等の係合条18が形成され、対向する一組の各蓋枠部材3aにおける被係合条6に各支持部材2の係合条18が係止した状態で、対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5の内面から枠主板部5の奥部を経てばね片部19の外面に折り返して延長する弾性材料製の仮止めクリップ20が挿入され、仮止めクリップ20の弾力によって各支持部材2のばね片部19と対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5とが挟着され、各支持部材2が対向する一組の各蓋枠部材3aに仮止めされるものである。
【0024】
なお各支持部材2の固着片部15に設けられる固着螺子孔17は仮止め状態で対向する一組の各蓋枠部材3aが被さってしまい仮止め状態で固着螺子11の締め付けができないから、蓋枠3に各支持金具2が仮止めされた設置状態で対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5には各支持金具2の固着螺子孔17に対応した透孔等の螺子挿通空所12が穿設されていなければならない。第3実施例でも、蓋面板8を装着していない蓋枠3の対向する一組の各蓋枠部材3aにそれぞれ2個ずつ支持部材2を仮止めする点は第1実施例と同様である。そして対向する一組の各蓋枠部材3aにおける被係合条6に各支持部材2の係合条18を係止させた状態で、仮止めクリップ20の内側片部21が枠主板部5内面に添うように、また仮止めクリップ20の外側片部22がばね片部19の外面に添うように仮止めクリップ20を挿入させて仮止めを行う。
【0025】
仮止めクリップ20の内側片部21に摘み突条23を設けておけば仮止め操作が容易であり、また仮止めクリップ20と枠主板部5との間に軽い係止部を設けておけば仮止めクリップ20の不用意な脱落を防止することができる。さらに同時に各支持部材2の固着片部15における固着螺子孔17の位置が対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5の所定の螺子挿通空所12の位置に一致するように調整される。方形開口Sへの挿入、固着螺子11の締め付け等は第1実施例と同様である。その後蓋面板8を装着するために方形開口Sから蓋枠3を引き抜くときに、仮止めクリップ20は取り外される。取り外しの際も摘み突条23は役立つ。第3実施例によれば、各支持部材2を第1実施例のように折り返して内方に突出させる必要がないから、方形開口S内への突出部分が少なく、点検作業用開口を広く確保できる。
【0026】
図11乃至図14には、本発明にかかる壁点検口装置の第4実施例が示されている。第4実施例は、仮止めクリップ20の弾力によって各支持部材2のばね片部19と対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5とが挟着され、各支持部材2が対向する一組の各蓋枠部材3aに仮止めされるものである点で第3実施例と同様であるが、支持部材2の構成が異なり、それによって壁点検口装置が挿入される方形開口Sの寸法が多少大きくとも自体で調節して設置が可能としたものである。第4実施例で方形開口Sの4隅に固着される各支持部材2は、方形開口Sの入隅部において方形開口Sにおける対向する一組の各開口縁Bに添うと共に先端付近内方には対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5における凹溝条等の被係合条6に係止する突条等の係合条18が形成されたばね片部19と、このばね片部19と直交してばね片部19と部分的に接続され且つ方形開口Sの入隅部において方形開口Sにおける対向する他組の各開口縁Lに固着するための固着螺子孔17が形成された固着片部15とを有する。
【0027】
そして対向する一組の各蓋枠部材3aにおける被係合条6に各支持部材2の係合条18が係止した状態で、対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5の内面から枠主板部5の奥部を経てばね片部19の外面に折り返して延長する弾性材料製の仮止めクリップ20が挿入され、仮止めクリップ20の弾力によって各支持部材2のばね片部19と対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5とが挟着され、各支持部材2が対向する一組の各蓋枠部材3aに仮止めされる点は第3実施例と同様である。なお各支持部材2の固着片部15に設けられる固着螺子孔17は仮止め状態で対向する他組の各蓋枠部材3bが被さってしまい仮止め状態で固着螺子11の締め付けができないから、蓋枠3に各支持金具2が仮止めされた設置状態で対向する他組の各蓋枠部材3bにおける枠主板部5には各支持金具2の固着螺子孔17の一部に対応した透孔等の螺子挿通空所12が穿設されていなければならない。
【0028】
第4実施例では、蓋面板8を装着していない蓋枠3の対向する一組の各蓋枠部材3aにそれぞれ2個ずつ支持部材2を仮止めする点は第3実施例と同様であるが、支持部材2の固着片部15は対向する他組の各蓋枠部材3bに接近して配置される。そして対向する一組の各蓋枠部材3aにおける被係合条6に各支持部材2の係合条18を係止させた状態で、仮止めクリップ20の内側片部21が枠主板部5内面に添うように、また仮止めクリップ20の外側片部22がばね片部19の外面に添うように仮止めクリップ20を挿入させて仮止めを行う。仮止めクリップ20の内側片部21に摘み突条23を設けておけば仮止め操作が容易であり、また仮止めクリップ20と枠主板部5との間に軽い係止部を設けておけば仮止めクリップ20の不用意な脱落を防止するすることができる。仮止めを行うと各支持部材2の固着片部15における固着螺子孔17の位置が対向する他組の各蓋枠部材3bにおける枠主板部5の螺子挿通空所12の位置に一致する。
【0029】
方形開口Sに支持部材付きの蓋枠3を挿入した後に、対向する他組の各蓋枠部材3bにおける枠主板部5には螺子挿通空所12を通じて各支持部材2の固着片部15における固着螺子孔17に固着螺子11を挿通して対向する他組の各開口縁Lに締め付けることにより各支持部材2を対向する一組の各開口縁Bに固着する。その後蓋面板8を装着するために方形開口Sから蓋枠3を引き抜き、仮止めクリップ20を取り外し、螺子挿通空所12が対応していない箇所の固着螺子11を締め付ける。第4実施例では、各支持部材2が方形開口Sの入隅部直交面に沿う直交して接続する固着片部15とばね片部19とを有するので、対向する他組の各開口縁Lの面に沿う何れの位置においても支持部材2の位置設定と固着が可能となるから、点検口蓋1の対向する一組の各蓋枠部材3aに対するばね片部19の係止最適位置を設定することが可能であり、またその設定位置で固着片部15を固着することによって最適位置を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施例にかかる壁点検口装置の設置状態を示す斜視図である。
【図2】同じく壁点検口装置の要部の縦断面図である。
【図3】同じく点検口蓋の蓋枠部材と各支持金具の配置状態を示す分解斜視図である。
【図4】同じく支持金具の斜視図である。
【図5】同じく設置作業時における仮止め状態の要部を示す斜視図である。
【図6】同じく背面方向から見た点検口蓋の斜視図である。
【図7】第2実施例にかかる支持部材の斜視図である。
【図8】同じく蓋枠部材に仮止めされた支持部材の部分斜視図である。
【図9】第3実施例にかかる蓋枠部材、支持部材、仮止めクリップの要部を示す分解斜視図である。
【図10】同じく壁点検口装置の要部の縦断面図である。
【図11】第4実施例にかかる支持部材の斜視図である。
【図12】同じく設置前状態における方形開口と蓋枠とを示す要部縦断面図である。
【図13】同じく蓋枠の設置後における蓋枠の要部縦断面図である。
【図14】同じく蓋枠部材、支持部材、仮止めクリップの要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 点検口蓋
2 支持部材
3 蓋枠
3a 一組の各蓋枠部材
3b 他組の各蓋枠部材
5 枠主板部
6 被係合条
11 固着螺子
12 螺子挿通空所
15 固着片部
16 折返し片部
17 固着螺子孔
18 係合条
19 ばね片部
20 仮止めクリップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管類スペースに収容される配線、配管類を壁側から点検するための壁点検口装置、特に住宅の高機能化によって空気調和や通信等の配線、配管類が埋設された壁内スペースを室内壁側から点検するための壁点検口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室ユニット等の壁パネルを予め成形加工して点検口を形成する技術は公知である(例えば、特許文献1参照。)。しかしながらこの点検口は浴室ユニットに設けられるものであるから、点検口に対する蓋板の係合位置がずれたりすることはないが、通常の建物の壁板材を穿孔して形成する室内の壁点検口では、開口部の段部についての加工が困難であるからこの技術は適用ができない。またこの浴室ユニットの技術は点検された開口が可成り狭くなる傾向を有している。次に枠材を開口部全周に固定し、蓋板を後から支える蓋板支持片、蓋板を外周から支持する覆片、蓋板を前面から開閉自在に支える遮蔽片を備えた壁の点検口も提案されているが(例えば、特許文献2参照。)、枠材の構成が複雑であって製造コストが高く、また開閉可能な遮蔽片が必要なため、枠材が幅広く形成されることになり、屋内の美観を損ねる。さらに開口全体に枠材が固定されるので作業に必要な開口の広さが狭められる。
【0003】
【特許文献1】特開平11−70055号公報
【特許文献2】特開2001−123652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、開口枠に固着される支持部材に点検口蓋を嵌外し自在に支持させる壁点検口装置において、支持部材に対して点検口蓋を正確に位置決めして迅速に設置することが可能であり、構造が簡単で安価であり、外観が優れている全開式壁点検口装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明では、開口枠に固着される支持部材に点検口蓋を嵌外し自在に支持させる壁点検口装置において、点検口蓋の蓋枠部材に対して支持部材自体あるいは補助的な仮止めクリップの使用によって、設置後の蓋枠部材と支持部材との正確な位置関係を予め保持した状態で蓋枠部材と支持部材とを一時的に挟着して設置作業を行うことができるような具体的手段が採用されており、支持部材に対して点検口蓋を正確に位置決めして迅速に設置することが可能となるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、次のような効果を奏する。
A.開口枠は、点検口蓋の閉蓋状態で外観に現れることがなく、また特有の材料や構造を有する開口枠部材を使用する必要がなく、また開口枠部材に段部を加工する必要もないから、安価で加工も容易な材料、例えば木材等で作成することが可能であり、さらに開蓋時に開口枠部材によって開口面積が狭められることがない。
B.点検口蓋の蓋枠に対して、各支持部材自体あるいは補助的な仮止めクリップを使用して各支持部材を点検口蓋装着時の正確な係止位置に維持した状態で蓋枠に仮止めした上で、蓋枠を方形開口の正確な位置に挿入し、そのまま各支持部材を方形開口の正確な設置位置に固着することができるから、点検口蓋が方形開口からせり出したり、点検口蓋の支持部材に対する係止不良を生じたりすることがなく、また容易且つ迅速に設置作業を行うことができる。
C.横断面において開口枠に固着する固着片部の奥側先端で折り返された折返し片部を有する各支持部材を使用する態様では、弾力によって各支持部材が対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされるから、別体の仮止め具を使用する必要がなく、また各支持部材の折返し片部が蓋枠部材の内側に配置されることになるから方形開口と蓋枠部材との間隔を狭くすることが可能であって、点検口蓋装着の安定性が良好であると共に外向きフランジの幅をより細く形成できるので、美観を損なうことがない。
【0007】
D.仮止めクリップを使用する態様では、横断面において開口枠に固着する固着片部の奥側先端で折り返された折返し片部を有する各支持部材を使用することにより仮止めクリップを必要としない態様と比較して、各支持部材を折り返して内方に突出させる必要がないから、方形開口内への突出部分が少なく、点検作業用開口を広く確保できる。
E.各蓋枠部材における枠主板部に螺子挿通空所が形成されている態様では、固着螺子の締め付けの際に、固着螺子は各蓋枠部材の存在に邪魔されることなく締め付け作業を遂行することができると共に各支持部材の固着片部における固着螺子孔をより手前側に形成する設計が可能となり、固着螺子の締め付け作業をさらに容易に行うことができる。
F.各支持部材の固着片部に複数の固着螺子孔が穿設されると共に固着螺子孔の一部が各支持部材が各蓋枠部材に仮止めされた状態で、各蓋枠部材に被さらない位置に穿設されている態様では、蓋枠部材に切欠等の螺子挿通空所を形成する加工が不要であって製造が簡単になる。
G.各支持部材が方形開口の入隅部直交面に沿う直交して接続する固着片部とばね片部とを有する態様では、対向する他組の各開口縁の面に沿う何れの位置においても支持部材の位置設定と固着が可能となるから、点検口蓋の対向する一組の各蓋枠部材に対するばね片部の係止最適位置を設定することが可能であり、またその設定位置で固着片部を固着することによって最適位置を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明にかかる壁点検口装置は、方形をなす点検口蓋の4辺を囲繞する各蓋枠部材において、少なくとも対向する一組の各蓋枠部材は横断面において該点検口蓋の面と垂直に延長する枠主板部を有すると共に該枠主板部の奥側内面には被係合条が形成され、方形開口の対向する一組の各開口縁に固着されて該点検口蓋を支持するための各支持部材は、横断面において該開口枠に固着する固着片部の奥側先端で折り返された折返し片部を有すると共に該折返し片部先端付近外方には該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に係止する係合条が形成され、該対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部外面が該各支持部材の該固着片部に当接すると共に該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に該各支持部材の該係合条が係止した状態で該各支持部材の弾力によって該各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされることを特徴とする。
【0009】
また、各支持部材が対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされた状態で対向する一組の各開口縁に固着螺子によって固定する場合に、各支持部材の固着片部における固着螺子孔が対向する一組の各蓋枠部材によって被さってしまうのを防止するために、前記各支持部材の前記固着片部には、前記各開口縁に固着するための固着螺子孔が穿設されると共に、前記対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部には、前記各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に前記仮止めされた状態で、該固着螺子孔に符合する螺子挿通空所が形成されていることを特徴とする。
【0010】
さらに同様に、各支持部材が対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされた状態で対向する一組の各開口縁に固着螺子によって固定する場合に、各支持部材の固着片部における固着螺子孔が対向する一組の各蓋枠部材によって被さってしまうのを防止するために、前記各支持部材の前記固着片部には、前記各開口縁に固着するための複数の固着螺子孔が穿設されると共に、該固着螺子孔の一部は、前記各支持部材が前記対向する一組の各蓋枠部材に前記仮止めされた状態で、該対向する一組の各蓋枠部材に被さらない位置に穿設されていることを特徴とする。
【0011】
また、仮止めクリップによって各支持部材が対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされる壁点検口装置の態様として、方形をなす点検口蓋の4辺を囲繞する各蓋枠部材において、少なくとも対向する一組の各蓋枠部材は横断面において該点検口蓋の面と垂直に延長する枠主板部を有すると共に該枠主板部の奥側外面には被係合条が形成され、方形開口の対向する一組の各開口縁に固着されて該点検口蓋を支持するための各支持部材は、横断面において該各開口縁に固着する固着片部と該固着片部から内方に立設されたばね片部とを有すると共に該ばね片部先端付近内方には該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に係止する係合条が形成され、該対向する一組の各蓋枠部材における該被係合条に該各支持部材の該係合条が係止した状態で、該対向する一組の各蓋枠部材における該枠主板部の内面から該枠主板部の奥部を経て該ばね片部の外面に折り返して延長する弾性材料製の仮止めクリップが挿入され、該仮止めクリップの弾力によって該各支持部材の該ばね片部と該対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部とが挟着され、該各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされることを特徴とする。
【0012】
そして、この態様においても、各支持部材が対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされた状態で対向する一組の各開口縁に固着螺子によって固定する場合に、各支持部材の固着片部における固着螺子孔が対向する一組の各蓋枠部材によって被さってしまうのを防止するために、前記各支持部材の前記固着片部には、前記各開口縁に固着するための固着螺子孔が穿設されると共に、前記対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部には、前記各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に前記仮止めされた状態で、該固着螺子孔に符合する螺子挿通空所が形成されていることを特徴とする。
【0013】
さらに、仮止めクリップによって各支持部材が対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされる壁点検口装置の別の態様として、方形をなす点検口蓋の4辺を囲繞する各蓋枠部材において、各蓋枠部材は横断面において該点検口蓋の面と垂直に延長する枠主板部を有し、少なくとも対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部奥側外面には被係合条が形成され、該点検口蓋を支持するために方形開口の4隅入隅部に固着される各支持部材は、該方形開口の入隅部において該方形開口における対向する一組の各開口縁に添うと共に先端付近内方には該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に係止する係合条が形成されたばね片部と、該ばね片部と直交して部分的に接続され且つ該方形開口の入隅部において該方形開口における対向する他組の各開口縁に固着するための固着螺子孔が形成された固着片部とを有し、該対向する一組の各蓋枠部材における該被係合条に該各支持部材の該係合条が係止した状態で、該対向する一組の各蓋枠部材における該枠主板部の内面から該枠主板部の奥部を経て該ばね片部の外面に折り返して延長する弾性材料製の仮止めクリップが挿入され、該仮止めクリップの弾力によって該各支持部材の該ばね片部と該対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部とが挟着され、該各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされると共に、対向する他組の各蓋枠部材における該枠主板部に穿設された螺子挿通空所が該各支持部材の該固着片部における該固着螺子孔に符合することを特徴とする。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。
図1乃至図6には、本発明にかかる壁点検口装置の第1実施例が示されている。即ち図1には壁点検口装置の設置状態が、図2には設置された壁点検口装置における要部の縦断面図が、図3には点検口蓋の蓋枠部材と各支持金具の配置状態が、図4には支持部材の詳細が、図5には設置作業時における支持金具への蓋枠部材の仮止め状態が、また図6には背面方向から見た点検口蓋がそれぞれ示されている。図1に示されるように壁点検口装置が設置される壁Wには所定の大きさの方形開口Sが穿孔されており、方形開口Sの縁に添って開口枠Fが裏側から接合され、開口枠Fによって方形開口Sが壁点検口装置を支持可能なように補強されている。開口枠Fは、後述する点検口蓋1の閉蓋状態で外観に現れることがなく、また特定の材料や構造を有する開口枠部材を使用する必要がなく、また開口枠部材に段部を加工する必要もないから、安価で加工も容易な材料、例えば木材等で作成することが可能であり、さらに開蓋時に開口枠部材によって開口面積が狭められることがない。
【0015】
この開口枠Fが接合された方形開口Sには、対向する一組の各開口縁B、即ち図面上では上下に平行な各横縁および、対向する他組の各開口縁L、即ち図面上では左右に平行な各縦縁が形成される。対向する一組の各開口縁Bには点検口蓋1を支持するそれぞれ2個ずつ計4個の支持部材2が固着される。方形開口Sを閉塞する方形の点検口蓋1の周囲における蓋枠3は、図3に示されるように、その4辺が対向する一組の蓋枠部材3a,3aと対向する他組の蓋枠部材3b,3bを方形に配設して隅部を各L字状部材4で接合することにより形成される。対向する一組の各蓋枠部材3aは後述するように各支持部材2が係止されるための必須の横断面構成を有するが、通常対向する一組の各蓋枠部材3aと対向する他組の各蓋枠部材3bとは同一の断面構成を保有し、金属や硬質合成樹脂で製造される。また対向する一組の各蓋枠部材3aと対向する他組の各蓋枠部材3bの材長は方形開口Sの寸法に対応して決定されることは言うまでもない。
【0016】
図2に示されるように、対向する一組の各蓋枠部材3aと対向する他組の各蓋枠部材3bには、横断面において点検口蓋1の面と垂直に延長する枠主板部5を有する。また枠主板部5の奥側内面には凹溝条よりなる被係合条6が形成されており、この点は対向する一組の各蓋枠部材3aでは必須の構成である。さらに枠主板部5の手前端には方形開口Sの前縁に当接して覆う外向きフランジ7と点検口蓋1の主体である化粧板材製の蓋面板8の外周前縁を支持する内向きフランジ9とが形成されている。また図2および図5に示されるように、枠主板部5には、後述する支持部材2を対向する一組の各開口縁Bに固着する固着螺子11の挿通を確保するために4個の支持部材2が仮止めされる所要箇所に一対ずつの切欠部や透孔等の螺子挿通空所12が形成されている。なお符号10は支持部材2の装着を容易にするために枠主板部5の奥端縁内側に形成した傾斜縁であり、符号13はL字状部材4を収容するために枠主板部5外面に形成した凹溝条である。組み立てられた蓋枠3には、図6に示されるように、最終的に蓋面板8を各内向きフランジ9に当接するように嵌合し、蓋面板8裏面と対向する一組の各蓋枠部材3aおよび対向する他組の各蓋枠部材3bの枠主板部5内面とに押さえL字状板14の両翼を接着剤、両面接着テープ等により接着固定して蓋枠3に蓋面板8を装着することにより点検口蓋1を完成させる。
【0017】
次に点検口蓋1を方形開口Sに支持させるための各支持部材2は、弾力性を有する金属、硬質合成樹脂等で製造され、図4に明示されているように、横断面において開口枠Fに固着する固着片部15の奥側先端で折り返された折返し片部16を有すると共に折返し片部16の先端付近外方には対向する一組の各蓋枠部材3aにおける被係合条6に係止する外向き突条よりなる係合条18が突設されている。また折返し片部16より幅広な固着片部15には対向する一組の各開口縁Bに固着するための固着螺子孔17が折返し片部16を挟むように2個穿設されている。そして対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5外面が各支持部材2の固着片部15に当接すると共に対向する一組の各蓋枠部材3aの被係合条6に各支持部材2の係合条18が係止した状態で各支持部材2の弾力によって各支持部材2が対向する一組の各蓋枠部材3aに仮止めされた場合に、固着螺子孔17,17の位置が点検口蓋1の対向する一組の各蓋枠部材3aに形成された螺子挿通空所12の位置に符合するように設定されている。
【0018】
方形開口Sに壁点検口装置を設置する場合には、図3に示すように、先ず蓋面板8を装着していない蓋枠3の対向する一組の各蓋枠部材3aにそれぞれ2個ずつ支持部材2を仮止めする。各支持部材2の固着片部15と折返し片部16との間に弾力に抗して対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5を押し込むと、対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5外面が各支持部材2の固着片部15に当接すると共に対向する一組の各蓋枠部材3aの被係合条6に各支持部材2の係合条18が係止し、この状態で各支持部材2の弾力によって各支持部材2が対向する一組の各蓋枠部材3aに仮止めされる。また同時に各支持部材2の固着片部15における固着螺子孔17の位置が対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5の所定の螺子挿通空所12の位置に一致するように調整される。次に各支持部材2を仮止めした蓋枠3をそのまま方形開口Sに挿入すると、やがて各蓋枠部材3a、3bの各外向きフランジ7が方形開口Sの前縁に当接して挿入が停止される。挿入停止の位置が壁点検口装置の設置位置なので、蓋枠3に仮止めされた各支持部材2の固着片部15における固着螺子孔17に固着螺子11を挿通して対向する一組の各開口縁Bに締め付けることにより各支持部材2を対向する一組の各開口縁Bに固着する。締め付けの際に、対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5には螺子挿通空所12が形成されているから、固着螺子11は対向する一組の各蓋枠部材3aの存在に邪魔されることなく締め付け作業が遂行される。
【0019】
各支持部材2を対向する一組の各開口縁Bに固着することにより蓋枠3は方形開口Sに支持された状態となる。そしてこの支持状態から蓋枠3を取り外し、前述のように蓋枠3に蓋面板8を装着することによって点検口蓋1を完成させる。そして対向する一組の各開口縁Bに固着された各支持部材2に対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5を挿入するように方形開口Sに点検口蓋1を押し込めば、対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5外面が各支持部材2の固着片部15に当接すると共に対向する一組の各蓋枠部材3aの被係合条6に各支持部材2の係合条18が係止し、壁点検口の閉蓋状態を得ることができる。また閉蓋状態から点検口蓋1を引き抜けば全開状態の作業用開口を得ることができる。この実施例では、各支持部材2を設置時の正確な係止位置に維持した状態で蓋枠3に仮止めした上で蓋枠3を方形開口Sの正確な設置位置に挿入し、そのまま各支持部材2を方形開口Sの設置位置に固着することができるから、点検口蓋1がせり出したり、点検口蓋1の支持部材2に対する係止不良を生じたりすることがなく、また容易且つ迅速に設置作業を行うことができる。
【0020】
特に本実施例ではさらに、対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5外面が各支持部材2の固着片部15に当接すると共に対向する一組の各蓋枠部材3aの被係合条6に各支持部材2の係合条18が係止した状態で各支持部材2の弾力によって各支持部材2が対向する一組の各蓋枠部材3aに仮止めされるから、別体の仮止め具を使用する必要がなく、そして各支持部材2の折返し片部16が蓋枠部材3a,3bの内側に配置されることになるから方形開口Sと蓋枠部材3a,3bとの間隔を狭くすることが可能であって点検口蓋1装着の安定性が良好であると共に外向きフランジ7の幅をより細く形成できるので、美観を損なうことがない。またこの実施例では、固着螺子11の締め付けの際に、対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5には螺子挿通空所12が形成されているから、固着螺子11は対向する一組の各蓋枠部材3aの存在に邪魔されることなく締め付け作業が遂行することができると共に各支持部材2の固着片部15における固着螺子孔17をより手前側に形成する設計によって固着螺子11の締め付け作業をさらに容易にすることが可能となる。
【0021】
図7および図8には、本発明にかかる壁点検口装置の第2実施例が示されている。第2実施例は第1実施例と比較して支持部材2の構成が変えられている点を特徴とする。第2実施例によれば支持部材2における固着片部15がスリットを介して支持部材2の奥端まで延び、固着片部15の奥側には奥側固着螺子孔17aが、また手前側には手前側固着螺子孔17bが穿孔されている。支持部材2の固着螺子孔17が一列の場合には、本来折返し片部16における係合条18の位置付近に穿孔されるのが力学上合理的であり、そのため前述の第1実施例では、対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5に螺子挿通空所12まで設けて固着螺子11の位置を確保しているが、第2実施例にかかる支持部材2では奥側固着螺子孔17aと手前側固着螺子孔17bとの2列の固着螺子孔を形成することによって力学的な不合理を解消している。そして対向する一組の各蓋枠部材3aに各支持部材2を仮止めした際には、図8に示されるように、奥側固着螺子孔17aが枠主板部5の奥端よりさらに奥側に位置するので、奥側固着螺子孔17aは枠主板部5によって被さらない位置に穿設されることになる。
【0022】
したがって第2実施例にかかる支持部材2を使用する場合には、前述のように設置時に各支持部材2を蓋枠3に仮止めした状態で方形開口Sに挿入し、設置位置で先ず枠主板部5が被さっていない奥側固着螺子孔17aに固着螺子11を挿通して対向する一組の各開口縁Bに締め付け、この状態から蓋枠3を取り外した段階ではじめて露出する手前側固着螺子孔17bに固着螺子11を挿通して対向する一組の各開口縁Bに締め付けることにより、奥側固着螺子孔17aおよび手前側固着螺子孔17bのすべてに固着螺子11が締め付けられ、対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5に螺子挿通空所12を形成しなくとも各支持部材2を方形開口Sの正確な設置位置に固着することができ、第2実施例にかかる支持部材2を使用することによって対向する一組の各蓋枠部材3aへの螺子挿通空所12を形成する加工を不必要とし、製造を容易とする。
【0023】
図9および図10には、本発明にかかる壁点検口装置の第3実施例が示されている。第3実施例では、第1実施例における対向する一組の各蓋枠部材3aと各支持部材2の構成および仮止めの構成が異なるが、他の構成は第1実施例と同様である。即ち第3実施例では、対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5の奥側外面に凹溝条等の被係合条6が形成され、各支持部材2は、横断面において固着片部15と固着片部15から内方に立設されたばね片部19とを有すると共にばね片部19先端付近内方には対向する一組の各蓋枠部材3aの被係合条6に係止する突条等の係合条18が形成され、対向する一組の各蓋枠部材3aにおける被係合条6に各支持部材2の係合条18が係止した状態で、対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5の内面から枠主板部5の奥部を経てばね片部19の外面に折り返して延長する弾性材料製の仮止めクリップ20が挿入され、仮止めクリップ20の弾力によって各支持部材2のばね片部19と対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5とが挟着され、各支持部材2が対向する一組の各蓋枠部材3aに仮止めされるものである。
【0024】
なお各支持部材2の固着片部15に設けられる固着螺子孔17は仮止め状態で対向する一組の各蓋枠部材3aが被さってしまい仮止め状態で固着螺子11の締め付けができないから、蓋枠3に各支持金具2が仮止めされた設置状態で対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5には各支持金具2の固着螺子孔17に対応した透孔等の螺子挿通空所12が穿設されていなければならない。第3実施例でも、蓋面板8を装着していない蓋枠3の対向する一組の各蓋枠部材3aにそれぞれ2個ずつ支持部材2を仮止めする点は第1実施例と同様である。そして対向する一組の各蓋枠部材3aにおける被係合条6に各支持部材2の係合条18を係止させた状態で、仮止めクリップ20の内側片部21が枠主板部5内面に添うように、また仮止めクリップ20の外側片部22がばね片部19の外面に添うように仮止めクリップ20を挿入させて仮止めを行う。
【0025】
仮止めクリップ20の内側片部21に摘み突条23を設けておけば仮止め操作が容易であり、また仮止めクリップ20と枠主板部5との間に軽い係止部を設けておけば仮止めクリップ20の不用意な脱落を防止することができる。さらに同時に各支持部材2の固着片部15における固着螺子孔17の位置が対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5の所定の螺子挿通空所12の位置に一致するように調整される。方形開口Sへの挿入、固着螺子11の締め付け等は第1実施例と同様である。その後蓋面板8を装着するために方形開口Sから蓋枠3を引き抜くときに、仮止めクリップ20は取り外される。取り外しの際も摘み突条23は役立つ。第3実施例によれば、各支持部材2を第1実施例のように折り返して内方に突出させる必要がないから、方形開口S内への突出部分が少なく、点検作業用開口を広く確保できる。
【0026】
図11乃至図14には、本発明にかかる壁点検口装置の第4実施例が示されている。第4実施例は、仮止めクリップ20の弾力によって各支持部材2のばね片部19と対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5とが挟着され、各支持部材2が対向する一組の各蓋枠部材3aに仮止めされるものである点で第3実施例と同様であるが、支持部材2の構成が異なり、それによって壁点検口装置が挿入される方形開口Sの寸法が多少大きくとも自体で調節して設置が可能としたものである。第4実施例で方形開口Sの4隅に固着される各支持部材2は、方形開口Sの入隅部において方形開口Sにおける対向する一組の各開口縁Bに添うと共に先端付近内方には対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5における凹溝条等の被係合条6に係止する突条等の係合条18が形成されたばね片部19と、このばね片部19と直交してばね片部19と部分的に接続され且つ方形開口Sの入隅部において方形開口Sにおける対向する他組の各開口縁Lに固着するための固着螺子孔17が形成された固着片部15とを有する。
【0027】
そして対向する一組の各蓋枠部材3aにおける被係合条6に各支持部材2の係合条18が係止した状態で、対向する一組の各蓋枠部材3aにおける枠主板部5の内面から枠主板部5の奥部を経てばね片部19の外面に折り返して延長する弾性材料製の仮止めクリップ20が挿入され、仮止めクリップ20の弾力によって各支持部材2のばね片部19と対向する一組の各蓋枠部材3aの枠主板部5とが挟着され、各支持部材2が対向する一組の各蓋枠部材3aに仮止めされる点は第3実施例と同様である。なお各支持部材2の固着片部15に設けられる固着螺子孔17は仮止め状態で対向する他組の各蓋枠部材3bが被さってしまい仮止め状態で固着螺子11の締め付けができないから、蓋枠3に各支持金具2が仮止めされた設置状態で対向する他組の各蓋枠部材3bにおける枠主板部5には各支持金具2の固着螺子孔17の一部に対応した透孔等の螺子挿通空所12が穿設されていなければならない。
【0028】
第4実施例では、蓋面板8を装着していない蓋枠3の対向する一組の各蓋枠部材3aにそれぞれ2個ずつ支持部材2を仮止めする点は第3実施例と同様であるが、支持部材2の固着片部15は対向する他組の各蓋枠部材3bに接近して配置される。そして対向する一組の各蓋枠部材3aにおける被係合条6に各支持部材2の係合条18を係止させた状態で、仮止めクリップ20の内側片部21が枠主板部5内面に添うように、また仮止めクリップ20の外側片部22がばね片部19の外面に添うように仮止めクリップ20を挿入させて仮止めを行う。仮止めクリップ20の内側片部21に摘み突条23を設けておけば仮止め操作が容易であり、また仮止めクリップ20と枠主板部5との間に軽い係止部を設けておけば仮止めクリップ20の不用意な脱落を防止するすることができる。仮止めを行うと各支持部材2の固着片部15における固着螺子孔17の位置が対向する他組の各蓋枠部材3bにおける枠主板部5の螺子挿通空所12の位置に一致する。
【0029】
方形開口Sに支持部材付きの蓋枠3を挿入した後に、対向する他組の各蓋枠部材3bにおける枠主板部5には螺子挿通空所12を通じて各支持部材2の固着片部15における固着螺子孔17に固着螺子11を挿通して対向する他組の各開口縁Lに締め付けることにより各支持部材2を対向する一組の各開口縁Bに固着する。その後蓋面板8を装着するために方形開口Sから蓋枠3を引き抜き、仮止めクリップ20を取り外し、螺子挿通空所12が対応していない箇所の固着螺子11を締め付ける。第4実施例では、各支持部材2が方形開口Sの入隅部直交面に沿う直交して接続する固着片部15とばね片部19とを有するので、対向する他組の各開口縁Lの面に沿う何れの位置においても支持部材2の位置設定と固着が可能となるから、点検口蓋1の対向する一組の各蓋枠部材3aに対するばね片部19の係止最適位置を設定することが可能であり、またその設定位置で固着片部15を固着することによって最適位置を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1実施例にかかる壁点検口装置の設置状態を示す斜視図である。
【図2】同じく壁点検口装置の要部の縦断面図である。
【図3】同じく点検口蓋の蓋枠部材と各支持金具の配置状態を示す分解斜視図である。
【図4】同じく支持金具の斜視図である。
【図5】同じく設置作業時における仮止め状態の要部を示す斜視図である。
【図6】同じく背面方向から見た点検口蓋の斜視図である。
【図7】第2実施例にかかる支持部材の斜視図である。
【図8】同じく蓋枠部材に仮止めされた支持部材の部分斜視図である。
【図9】第3実施例にかかる蓋枠部材、支持部材、仮止めクリップの要部を示す分解斜視図である。
【図10】同じく壁点検口装置の要部の縦断面図である。
【図11】第4実施例にかかる支持部材の斜視図である。
【図12】同じく設置前状態における方形開口と蓋枠とを示す要部縦断面図である。
【図13】同じく蓋枠の設置後における蓋枠の要部縦断面図である。
【図14】同じく蓋枠部材、支持部材、仮止めクリップの要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 点検口蓋
2 支持部材
3 蓋枠
3a 一組の各蓋枠部材
3b 他組の各蓋枠部材
5 枠主板部
6 被係合条
11 固着螺子
12 螺子挿通空所
15 固着片部
16 折返し片部
17 固着螺子孔
18 係合条
19 ばね片部
20 仮止めクリップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形をなす点検口蓋の4辺を囲繞する各蓋枠部材において、少なくとも対向する一組の各蓋枠部材は横断面において該点検口蓋の面と垂直に延長する枠主板部を有すると共に該枠主板部の奥側内面には被係合条が形成され、方形開口の対向する一組の各開口縁に固着されて該点検口蓋を支持するための各支持部材は、横断面において該開口枠に固着する固着片部の奥側先端で折り返された折返し片部を有すると共に該折返し片部先端付近外方には該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に係止する係合条が形成され、該対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部外面が該各支持部材の該固着片部に当接すると共に該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に該各支持部材の該係合条が係止した状態で該各支持部材の弾力によって該各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされることを特徴とする壁点検口装置。
【請求項2】
前記各支持部材の前記固着片部には、前記各開口縁に固着するための固着螺子孔が穿設されると共に、前記対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部には、前記各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に前記仮止めされた状態で、該固着螺子孔に符合する螺子挿通空所が形成されていることを特徴とする請求項1記載の壁点検口装置。
【請求項3】
前記各支持部材の前記固着片部には、前記各開口縁に固着するための複数の固着螺子孔が穿設されると共に、該固着螺子孔の一部は、前記各支持部材が前記対向する一組の各蓋枠部材に前記仮止めされた状態で、該対向する一組の各蓋枠部材に被さらない位置に穿設されていることを特徴とする請求項1記載の壁点検口装置。
【請求項4】
方形をなす点検口蓋の4辺を囲繞する各蓋枠部材において、少なくとも対向する一組の各蓋枠部材は横断面において該点検口蓋の面と垂直に延長する枠主板部を有すると共に該枠主板部の奥側外面には被係合条が形成され、方形開口の対向する一組の各開口縁に固着されて該点検口蓋を支持するための各支持部材は、横断面において該各開口縁に固着する固着片部と該固着片部から内方に立設されたばね片部とを有すると共に該ばね片部先端付近内方には該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に係止する係合条が形成され、該対向する一組の各蓋枠部材における該被係合条に該各支持部材の該係合条が係止した状態で、該対向する一組の各蓋枠部材における該枠主板部の内面から該枠主板部の奥部を経て該ばね片部の外面に折り返して延長する弾性材料製の仮止めクリップが挿入され、該仮止めクリップの弾力によって該各支持部材の該ばね片部と該対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部とが挟着され、該各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされることを特徴とする壁点検口装置。
【請求項5】
前記各支持部材の前記固着片部には、前記各開口縁に固着するための固着螺子孔が穿設されると共に、前記対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部には、前記各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に前記仮止めされた状態で、該固着螺子孔に符合する螺子挿通空所が形成されていることを特徴とする請求項4記載の壁点検口装置。
【請求項6】
方形をなす点検口蓋の4辺を囲繞する各蓋枠部材において、各蓋枠部材は横断面において該点検口蓋の面と垂直に延長する枠主板部を有し、少なくとも対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部奥側外面には被係合条が形成され、該点検口蓋を支持するために方形開口の4隅入隅部に固着される各支持部材は、該方形開口の入隅部において該方形開口における対向する一組の各開口縁に添うと共に先端付近内方には該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に係止する係合条が形成されたばね片部と、該ばね片部と直交して部分的に接続され且つ該方形開口の入隅部において該方形開口における対向する他組の各開口縁に固着するための固着螺子孔が形成された固着片部とを有し、該対向する一組の各蓋枠部材における該被係合条に該各支持部材の該係合条が係止した状態で、該対向する一組の各蓋枠部材における該枠主板部の内面から該枠主板部の奥部を経て該ばね片部の外面に折り返して延長する弾性材料製の仮止めクリップが挿入され、該仮止めクリップの弾力によって該各支持部材の該ばね片部と該対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部とが挟着され、該各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされると共に、対向する他組の各蓋枠部材における該枠主板部に穿設された螺子挿通空所が該各支持部材の該固着片部における該固着螺子孔に符合することを特徴とする壁点検口装置。
【請求項1】
方形をなす点検口蓋の4辺を囲繞する各蓋枠部材において、少なくとも対向する一組の各蓋枠部材は横断面において該点検口蓋の面と垂直に延長する枠主板部を有すると共に該枠主板部の奥側内面には被係合条が形成され、方形開口の対向する一組の各開口縁に固着されて該点検口蓋を支持するための各支持部材は、横断面において該開口枠に固着する固着片部の奥側先端で折り返された折返し片部を有すると共に該折返し片部先端付近外方には該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に係止する係合条が形成され、該対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部外面が該各支持部材の該固着片部に当接すると共に該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に該各支持部材の該係合条が係止した状態で該各支持部材の弾力によって該各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされることを特徴とする壁点検口装置。
【請求項2】
前記各支持部材の前記固着片部には、前記各開口縁に固着するための固着螺子孔が穿設されると共に、前記対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部には、前記各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に前記仮止めされた状態で、該固着螺子孔に符合する螺子挿通空所が形成されていることを特徴とする請求項1記載の壁点検口装置。
【請求項3】
前記各支持部材の前記固着片部には、前記各開口縁に固着するための複数の固着螺子孔が穿設されると共に、該固着螺子孔の一部は、前記各支持部材が前記対向する一組の各蓋枠部材に前記仮止めされた状態で、該対向する一組の各蓋枠部材に被さらない位置に穿設されていることを特徴とする請求項1記載の壁点検口装置。
【請求項4】
方形をなす点検口蓋の4辺を囲繞する各蓋枠部材において、少なくとも対向する一組の各蓋枠部材は横断面において該点検口蓋の面と垂直に延長する枠主板部を有すると共に該枠主板部の奥側外面には被係合条が形成され、方形開口の対向する一組の各開口縁に固着されて該点検口蓋を支持するための各支持部材は、横断面において該各開口縁に固着する固着片部と該固着片部から内方に立設されたばね片部とを有すると共に該ばね片部先端付近内方には該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に係止する係合条が形成され、該対向する一組の各蓋枠部材における該被係合条に該各支持部材の該係合条が係止した状態で、該対向する一組の各蓋枠部材における該枠主板部の内面から該枠主板部の奥部を経て該ばね片部の外面に折り返して延長する弾性材料製の仮止めクリップが挿入され、該仮止めクリップの弾力によって該各支持部材の該ばね片部と該対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部とが挟着され、該各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされることを特徴とする壁点検口装置。
【請求項5】
前記各支持部材の前記固着片部には、前記各開口縁に固着するための固着螺子孔が穿設されると共に、前記対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部には、前記各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に前記仮止めされた状態で、該固着螺子孔に符合する螺子挿通空所が形成されていることを特徴とする請求項4記載の壁点検口装置。
【請求項6】
方形をなす点検口蓋の4辺を囲繞する各蓋枠部材において、各蓋枠部材は横断面において該点検口蓋の面と垂直に延長する枠主板部を有し、少なくとも対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部奥側外面には被係合条が形成され、該点検口蓋を支持するために方形開口の4隅入隅部に固着される各支持部材は、該方形開口の入隅部において該方形開口における対向する一組の各開口縁に添うと共に先端付近内方には該対向する一組の各蓋枠部材の該被係合条に係止する係合条が形成されたばね片部と、該ばね片部と直交して部分的に接続され且つ該方形開口の入隅部において該方形開口における対向する他組の各開口縁に固着するための固着螺子孔が形成された固着片部とを有し、該対向する一組の各蓋枠部材における該被係合条に該各支持部材の該係合条が係止した状態で、該対向する一組の各蓋枠部材における該枠主板部の内面から該枠主板部の奥部を経て該ばね片部の外面に折り返して延長する弾性材料製の仮止めクリップが挿入され、該仮止めクリップの弾力によって該各支持部材の該ばね片部と該対向する一組の各蓋枠部材の該枠主板部とが挟着され、該各支持部材が該対向する一組の各蓋枠部材に仮止めされると共に、対向する他組の各蓋枠部材における該枠主板部に穿設された螺子挿通空所が該各支持部材の該固着片部における該固着螺子孔に符合することを特徴とする壁点検口装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−9368(P2006−9368A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186795(P2004−186795)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)
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