説明

売上データ処理装置及びプログラム

【課題】顧客特定用の画像データを適切なタイミングで生成することができ、顧客を撮影した顧客画像から顧客を特定する場合に、その顧客を高い確率で特定できるようにする。
【解決手段】カメラユニット部2には、CPU21、客側カメラ25などを備え、CPU21は、一取引分の売上データを登録する一連の操作のうち、所定の操作として、例えば、一取引中において現時点まで登録した売上データの合計金額を小計として表示させる小計キー、一取引の登録を締める締めキーのうち、少なくともそのいずれかのキーが操作された場合に、客側カメラ25により撮影された撮影画像に基づいて、顧客特定用の画像データを(例えば、顔の特徴点データ)生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、売上データを取引毎に登録処理する売上データ処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、店舗においては、ECR(Electronic Cash Register)、POS(Point of sale)端末などの売上データ処理装置により登録処理された売上データを分析したり、その顧客(購入者)の属性(買物頻度、リピート率、性別、年齢層など)を分析したりするようにしている。例えば、顧客の買物頻度やリピート率、性別や年齢層などを分析する場合には、予め発行した会員カードから読み取ったカードデータに基づいてその顧客(会員ID)を特定して、購入履歴として記録して分析するようにしているが、会員カードを媒体とした顧客分析では、会員カードの発行やコスト、更には会員加入率に課題が残るほか、非会員にあっては顧客分析を行うことはできない。
そこで、従来では、顧客の顔を撮影するカメラを備え、このカメラによる撮影画像から顔の特徴を抽出して、その抽出結果と顧客データデータベースの内容(顔の特徴点データ)とを照合することにより顧客を特定し、それに対応付けられている顧客データ(氏名、住所、電話番号など)をデータベースから読み出して表示するようにした技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−325433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術にあっては、カメラにより顧客の顔を撮影したとしても、その顔画像から常に高い確率でその特徴を抽出することができるとは限らず、顔認識の信頼性の点で問題が残る。
【0005】
本発明の課題は、顧客特定用の画像データを適切なタイミングで生成することができ、顧客を撮影した顧客画像から顧客を特定する場合に、その顧客を高い確率で特定できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明の一つの態様は、
売上データを取引毎に登録処理する売上データ処理装置であって、
登録待ちの顧客を撮影する撮像手段と、
一取引分の売上データを登録する一連の操作のうち、所定の操作が行われたか否かを判別する操作判別手段と、
前記操作判別手段により所定の操作が行われたと判別された場合に、前記撮像手段により撮影された撮影画像に基づいて、顧客特定用の画像データを生成する生成手段と、
を具備したことを特徴とする売上データ処理装置である。
【0007】
上述した課題を解決するために本発明の他の態様は、
コンピュータに対して、
売上データを取引毎に登録処理する機能と、
一取引分の売上データを登録する一連の操作のうち、所定の操作が行われたか否かを判別する機能と、
前記所定の操作が行われたと判別された場合に、登録待ちの顧客を撮影する撮像手段により撮影された撮影画像に基づいて、顧客特定用の画像データを生成する機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、顧客特定用の画像データを適切なタイミングで生成することができ、顧客を撮影した顧客画像から顧客を特定する場合に、その顧客を高い確率で特定することができ、信頼性及び実用性に富んだものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】売上データ処理装置として適用したECRの基本的な構成要素を示したブロック図。
【図2】ECR(ECR本体ユニット部1)をその前方斜め(顧客側)から見た状態の外観斜視図。
【図3】ECR(ECR本体ユニット部1)の一側面から見た状態の外観図。
【図4】(1)は、客側カメラ25によって撮影された画像を例示した図、(2)は、操作側カメラ26によって撮影された画像を例示した図。
【図5】ECR本体ユニット部1側に記憶管理されている各種のファイルと、カメラユニット部2側に記憶管理されている各種のファイル、データベースを示した図。
【図6】顧客データベースY4を説明するための図。
【図7】電子ジャーナルファイルY6を説明するための図。
【図8】電源投入に応じて実行開始されるECR全体の動作のうち、本実施形態の特徴的な動作を説明するためのメインのフローチャート。
【図9】登録処理(図8のステップA2)を詳述するためのフローチャート。
【図10】顧客特定登録処理(図8のステップA6)を詳述するためのフローチャート。
【図11】第2実施形態において、登録処理(図8のステップA2)を詳述するためのフローチャート。
【図12】第2実施形態において、顧客特定登録処理(図11のステップA21)を詳述するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
先ず、図1〜図10を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、売上データ処理装置として適用したECR(Electronic Cash Register)の基本的な構成要素を示したブロック図である。
このECR(売上データ処理装置)は、ECR本体ユニット部1とカメラユニット部2とに分離された構成で、ECR本体ユニット部1とカメラユニット部2とは、ケーブル3を介して着脱自在に接続されている。ECR本体ユニット部1は、ECRとしての基本的な機能(標準機能)として、入力された一取引分の売上データを登録処理すると共に、一取引分の登録終了時に顧客から渡された金種に応じた種類の締め処理を行う売上データ登録機能などを備えている。また、本実施形態においては、更にECR本体ユニット部1には各種のキー操作やドロアオープン/クローズなどに応じてイベントコードを発生させて、そのイベントコードをジャーナルデータとしてカメラユニット部2に対して転送する機能を有している。
【0011】
カメラユニット部2は、登録待ち(精算待ち)をしている顧客を撮影したり、担当者(オペレータ)及びその操作状況を撮影したりするカメラ機能のほか、このカメラ機能により撮影された顧客画像に基づいてその顧客を特定する顧客特定機能と、この顧客特定機能により特定された顧客に基づいて顧客(購入者)分析を行う顧客分析機能とを有し、各種の機能をモジュール化した構成となっている。このカメラユニット部2は、ケーブル3を介してECR本体ユニット部1に着脱自在に接続されており、故障などにより何時でも自由に交換可能となっている。なお、ECR本体ユニット部1とカメラユニット部2とは、必要に応じて協動して各種の処理を行うようにしている。
【0012】
ECR本体ユニット部1は、CPU11を中核とするもので、各種プログラムにしたがってこのECR本体ユニット部1の全体動作を制御する中央演算処理装置である。記憶部12は、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの記憶媒体やその駆動系を有し、後述する図8〜図10に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどを記憶したり、データベース、文字フォントデータなどを記憶したりする。なお、上述の記憶媒体は固定的に設けた内蔵型の記憶媒体に限らず、着脱可能な可搬型の外部記憶媒体であってもよく、また、プログラム/データは、他の機器から有線伝送路あるいは無線伝送路を介して記憶媒体にインストールしたり、プログラム/データを記憶管理するサーバなどをアクセスして使用したりするようにしてもよい。メモリ13は、計時データ、フラグなど、このECR本体ユニット部1が動作するために必要な各種のデータを一時的に記憶するワーク領域である。
【0013】
また、CPU11には、その入出力周辺デバイスである操作部14、スキャナ15、操作者用表示部16、印字部17、ドロア駆動部18、COMポート19がバスラインを介して接続されており、入出力プログラムにしたがってCPU11はそれらの動作を制御する。操作部14は、押しボタン式の各種キーが配列されているキーボードを有し、このキーボード上にはテンキー(図示省略)などのほか、登録キーK1、小計キーK2、現金/預かり金キーなどの締めキーK3などが配設されていると共に、モードスイッチMSが配設されている。
【0014】
モードスイッチMSは、その切り換え位置に応じて「登録(REG)」、「RF(戻し)」、「Z(精算)」などの各種の動作モード(プログラム種)を切り換えるロータリー式のスイッチである。登録キーK1は、商品別登録を指示する商品キー、例えば、PLU(プライス・ルック・アップ)キー、部門キーなどである。また、小計キーK2は、一取引中において現時点まで登録した売上データの合計金額を小計として表示させるキーである。締めキーK3は、一取引の登録を終了させる締めキーで、現金/預かり金キーやクレジットキーなどである。CPU11は、「登録(REG)」モードに切り換えられている状態において、各種のキー操作に応じてその操作に応じたイベントコードを生成すると共に、入力された売上データを表示させたり、売上合計を更新したりする登録処理を実行し、一取引の登録終了時に締めキーK3が押下されると、ドロアを開放させたり、レシートを発行させたりする。
【0015】
イメージスキャナ15は、例えば、CCDやCMOSなどの画像センサ(イメージセンサ)を有し、商品の登録時のスキャニング動作時にその商品に添付されているバーコードや二次元コードを撮影することにより読み取るもので、CPU11は、イメージスキャナ15により撮影された画像データを解析することによってバーコードなどをデコードして商品を特定するようにしている。操作者用表示部16は、担当者(オペレータ)用として、金額や商品に関するデータ、メッセージなどを表示するもので、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどにより構成されている。印字部17は、例えば、熱転写やインクジェットなどのノンインパクトプリンタあるいはドットインパクトプリンタであり、レシート印字を行う。ドロア駆動部18は、キー操作に応じてドロア18Aの開閉を制御するもので、CPU11は、ドロア18Aの開閉に応じてドロアオープン/クローズイベントを生成する。COMポート19は、カメラユニット部2との接続用のシリアルポートである。
【0016】
カメラユニット部2は、CPU21を中核とするもので、各種プログラムにしたがってこのカメラユニット部2の全体動作を制御する中央演算処理装置である。記憶部22は、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの記憶媒体やその駆動系を有し、後述する図10に示した動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムや各種のアプリケーションなどを記憶する。メモリ23は、このカメラユニット部2が動作するために必要な各種のデータを一時的に記憶するワーク領域である。
【0017】
また、CPU21には、その入出力周辺デバイスである客側表示部24、客側カメラ25、操作側カメラ26、カードインターフェイス部27、COMポート29がバスラインを介して接続されており、入出力プログラムにしたがってCPU21はそれらの動作を制御する。客側表示部24は、登録待ち(精算待ち)の顧客用としてその画面を顧客側に対面させたもので、例えば、7セグメントLED(発光ダイオード)などにより構成され、商品単価、個数、小計金額、預かり金額などを数値表示する。
【0018】
客側カメラ25は、客用表示部24に接近配設されたもので、登録待ちしている顧客の顔を中心として撮影し、また、操作側カメラ26は、担当者(オペレータ)及びその操作状況を撮影するもので、担当者(オペレータ)及びその操作状況を撮影する監視カメラである。なお、客側カメラ25、操作側カメラ26の詳細は、図示省略したが、レンズ部、撮像素子、A/D(アナログ/デジタル)変換部などを有し、動画像を撮影可能な構成で、レンズ部からの被写体像が撮像素子(CCD又はCMOS)に結像されることにより被写体を高精細に撮影可能な構成となっている。
【0019】
カードインターフェイス部27は、記録媒体としてのSDカード28が挿入接続されるもので、このSDカード28には、後述する各種のファイルが格納されている。なお、カメラユニット部2には、カードインターフェイス部27に挿入接続されたSDカード28の盗難などを防ぐために錠前(図省略)が配設されており、例えば、責任者が所持する専用鍵を使用して、錠前を開いてSDカード28を取り出すようにしている。また、SDカード28に限らず、その他の外部記録媒体であってもよい。COMポート29は、ECR本体ユニット部1との接続用のシリアルポートである。
【0020】
図2は、上述のように構成されたECR(ECR本体ユニット部1)をその前方斜め(顧客側)から見た状態の外観斜視図であり、図3は、ECR(ECR本体ユニット部1)の一側面から見た状態の外観図である。
ECR本体ユニット部1の上面部には、操作者用表示部16が配設されていると共に、操作部14を構成するキーボード及びモードスイッチMSが配設されている。また、ECR本体ユニット部1の上面部には、印字部17から送出されるレシートを取り出すためのレシート発行口(図示省略)が配設されている。
【0021】
カメラユニット部2は、客用表示部24の筐体2Aと、その筐体2Aを支持するポール状の支持部材(支持ポール)2Bとを有している。支持ポール2Bは、客用表示部24の筐体2Aを支持するもので、その下端部はECR本体ユニット部1の背面側の垂直に固定されている。また、支持ポール2Bの上端部は客用表示部24の筐体2Aが装着され、その長さを調整可能な構造となっていると共に、客用表示部24の筐体2Aは、支持ポール2Bに対して回転可能となっている。つまり、筐体2Aの高さとその向きを調整可能となっており、それに応じて客用表示部24、客側カメラ25の高さとその向きも調整可能となっている。
【0022】
客側カメラ25は、図2及び図3に示すように筐体2Aの前面において客用表示部24の一端部(図中、左側端部)に接近配設され、その撮影方向は、登録待ちしている顧客方向で、その画角は、登録待ち行列の顧客を撮影可能な範囲となっている。図4(1)は、客側カメラ25によって撮影した登録待ち行列の顧客画像を例示したもので、先頭の顧客の後ろに次の顧客が並んでいる状態を示している。操作側カメラ26は、支持ポール2Bの上端部に配設され、その撮影方向は、オペレータ方向で、その画角は、操作部14の全体及び操作中のオペレータの顔を撮影可能な範囲となっている。図4(2)は、操作側カメラ26によって担当者(オペレータ)及びその操作状況を撮影した監視画像を例示したもので、ドロア18Aを開放した状態でオペレータが貨幣を出し入れしている場合を示している。
【0023】
図5は、ECR本体ユニット部1側に記憶管理されている各種のファイルと、カメラユニット部2側に記憶管理されている各種のファイル、データベースを示した図である。
ECR本体ユニット部1側には、商品別合計ファイルX1、部門別合計ファイルX2、取引別合計ファイルX3などが記憶管理されている。なお、商品別合計ファイルX1は、部門別合計ファイルX2、取引別合計ファイルX3は、商品別、弁当類やパン類などの部門別、現金売りや信用売りなどの取引別に売上データ(個数、金額)の累計値(合計値)などを記憶管理するファイルである。
【0024】
カメラユニット部2側には、客側動画ファイルY1、顧客特定用画像データY2、顔認識用データファイルY3、顧客データベースY4、操作側動画ファイルY5、電子ジャーナルファイルY6などが記憶管理されている。客側動画ファイルY1は、客側カメラ25により撮影された動画ファイルであり、各動画ファイルに対応してそのファイルなど共に録画日時(タイムスタンプ)が逐次記憶されている。顧客特定用画像データY2は、客側動画ファイルY1内の動画の中から取引毎に顧客特定用として抽出された画像(静止画)内に顧客の顔部分を解析することにより得られた顔の特徴点データであり、CPU21は、一日の登録終了時において、客側動画ファイルY1内の動画に基づいて取引毎に顧客特定用画像データ(顔の特徴点データ)Y2を生成するようにしている。
【0025】
すなわち、CPU21は、一日の登録終了時(精算時)に、一取引分の売上データを登録する一連の操作のうち、所定の操作、つまり、客側表示部24に金額データを表示させる小計キーK2、締めキーK3の操作タイミングを示すデータ(後述するイベント時刻)に基づいて、客側動画ファイルY1の動画の中からそのイベント時刻に相当する位置に録画されている画像(静止画像)を抽出し、この抽出画像を解析することにより顧客特定用画像データY2を生成するようにしている。なお、顧客特定用の画像データとしては、抽出画像(静止画像)を解析して顔の特徴点データを生成するようにしたが、これに限らず、抽出画像(静止画像)自体を顧客特定用の画像データとしてもよい(以下、同様)。
【0026】
顔認識用データファイルY3は、顧客特定用画像データY2に基づいて顧客を特定する際に照合される顔認識用の画像ファイルで、顧客毎にその「顔認識用データ(顔の特徴点データ)」のほか、「顧客認識出力ID」の項目を記憶管理する構成となっている。「顧客認識出力ID」は、客側カメラ25により撮影された画像に基づいてその顔を認識する処理を実行した結果、認識された顧客を識別するための識別データである。顧客データベースY4は、顧客毎にその顧客に関するデータを記憶管理するファイルである。操作側動画ファイルY5は、操作側カメラ26により撮影された動画ファイルであり、各動画ファイルに対応してそのファイルなど共に録画日時(タイムスタンプ)が逐次記憶されている。電子ジャーナルファイルY6は、取引毎の売上データ、操作状況を営業記録データ(ジャーナルデータ)として記憶管理するファイルである。
【0027】
図6は、顧客データベースY4を説明するための図である。
顧客データベースY4は、「顧客認識出力ID」、「性別」、「年齢層」、「検出スコア」、「登録日」などの項目を有する構成となっている。「顧客認識出力ID」は、顔認識用データファイルY3とリンクさせるための顧客識別データである。「性別」、「年齢層」は、顧客の画像から推定して店側で入力されたデータである。「検出スコア」は、撮影画像内から顔の部分を検出した結果、その顔が正面に向いている度合いを“1〜10”の数値で表現したデータで、“10”に近いほど、顧客の顔を正面から撮影したことを示している。
【0028】
図7は、電子ジャーナルファイルY6を説明するための図である。
電子ジャーナルファイルY6は、「動画ファイル名」、「イベントの種類」、「イベント年月日」、「イベント時刻」、「商品コード」、「金額」、「顧客認識出力ID」、…などの項目を有する構成となっている。「動画ファイル名」は、操作側動画ファイルY5にリンクさせるデータで、年月日に一連番号を組み合わせた構成となっている。「イベントの種類」は、操作の種類を示し、登録キーK1の操作、小計キーK2の操作、締めキーK3の操作、ドロアオープン/クローズなどを示すイベントコードである。「イベント年月日」は、その操作を行った年月日を示し、「イベント時刻」は、その操作を行った時刻(時分秒1/100秒)を示している。「顧客認識出力ID」は、顔認識用データファイルY3とリンクさせるための顧客識別データで、例えば、一連番号などである。
【0029】
次に、第1実施形態におけるECRの動作概念を図8〜図10に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなどの伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0030】
図8は、電源投入に応じて実行開始されるECR全体の動作のうち、本実施形態の特徴的な動作を説明するためのメインのフローチャートである。
先ず、ECR本体ユニット部1のCPU11は、モードスイッチMSが「登録(REG)」モードに切り換えられているかを調べたり(図8のステップA1)、「Z(精算)」モードに切り換えられているかを調べたり(ステップA3)、その他のモードに切り換えられているかを調べたり(ステップA7)、電源オフ操作が行われたかを調べたりする(ステップA9)。いま、登録モードに切り換えられている場合には(ステップA1でYES)、登録操作に応じて売上データを登録する登録処理の実行に移る(ステップA2)。
【0031】
図9は、登録処理(図8のステップA2)を詳述するためのフローチャートである。なお、ECR本体ユニット部1は、必要に応じてカメラユニット部2と協動して各種の処理を行うようにしている。
先ず、ECR本体ユニット部1のCPU11は、登録操作が行われたか、つまり、商品からバーコードなどを読み取るためにスキャナ15によるスキャニング動作が行われたか、金額データの値数入力後に商品キーなどの登録キーK1が操作されたかを調べたり(図9のステップB1)、小計キーK2が操作されたかを調べたり(ステップB9)、一取引分の登録終了時に現金/預かり金キーなどの締めキーK3が操作されたかを調べたり(ステップB11)、その他のキーが操作されたかを調べたりする(ステップB16)。
【0032】
いま、登録操作が行われると(ステップB1でYES)、次のステップB2に移り、ECR本体ユニット部1は、カメラユニット部2側をアクセスし、客側カメラ25の撮影動作は停止中であるかを調べる。ここで、客側カメラ25が停止中であれば(ステップB2でYES)、一取引の最初の操作か、つまり、商品からバーコードなどを読み取るためにスキャナ15によるスキャニング動作が行われたか、金額データの値数入力後に商品キーなどの登録キーK1が操作されたかを調べる(ステップB3)。いま、一取引の最初の操作が行われたときには(ステップB3でYES)、「動画ファイル名」を生成してカメラユニット部2側に転送することにより電子ジャーナルファイルY6に当該「動画ファイル名」を設定させた後(ステップB4)、客側カメラ25を起動させてその撮影画像を逐次記録する録画動作を開始させる(ステップB5)。そして、商品登録処理に移る(ステップB6)。
【0033】
一方、客側カメラ25が動作中の場合(ステップB2でNO)、客側カメラ25が停止中でも一取引の最初の操作ではない場合には(ステップB3でNO)、上述の動画ファイル名の設定処理(ステップB4)及び客側カメラ25の起動・録画処理(ステップB5)をスキップして、商品登録処理に移る(ステップB6)。この商品登録処理では、入力された商品名及び単位を操作者用表示部16及び客用表示部24に表示させたり、商品別合計ファイルX1、部門別合計ファイルX2の内容(売上データ)を更新したりする処理を行う。この場合、ECR本体ユニット部1から表示データをカメラユニット部2側に転送することにより客用表示部24に商品名及び単位を表示させる。
【0034】
このような商品登録処理が行われると、一取引分の小計金額を更新(ステップB7)すると共に、今回登録した売上データとその操作データ(イベントデータ)をジャーナルデータとしてワーク領域内に一時保持させた後(ステップB8)、上述のステップB1に戻る。以下、登録操作が行われる毎に、上述の動作を繰り返す。また、小計キーK2が操作されたときには(ステップB9でYES)、小計金額を操作者用表示部16及び客用表示部24に表示させた後(ステップB10)、上述のステップB8に移り、小計金額とその操作データ(イベントデータ)をジャーナルデータとして一時保持させる。
【0035】
また、その他のキー、例えば、訂正キーなどが操作されたときには(ステップB16でYES)、操作に応じた処理として、訂正処理などを実行した後(ステップB17)、上述のステップB8に移り、その処理結果や操作データ(イベントデータ)をジャーナルデータとして一時保持させる。また、一取引分の登録終了時に現金/預かり金キーなどの締めキーK3が操作されたときには(ステップB11でYES)、顧客から渡された金種に応じた種類の締め処理(取引別合計を更新する処理)を行うと共に、レシート印字を行ってレシートを発行させたり、ドロアを開放させたりする(ステップB12)。そして、その締め操作データ(イベントデータ)をジャーナルデータとして一時保持した後(ステップB13)、上述のようにして一時保持させた一取引分のデイベントータをジャーナルデータとして、カメラユニット部2に転送する(ステップB14)。この場合、カメラユニット部2側では、この一取引分のデイベントータを電子ジャーナルファイルY6に追加登録する処理を行う。そして、客側カメラ25を停止させた後(ステップB15)、図9のフローから抜ける。
【0036】
このような登録処理(図8のステップA2)が終ると、図8のステップA1に戻る。以下、登録モードに切り換えられている状態において(ステップA1でYES)、操作に応じて上述の登録処理を繰り返す。これによって一日の営業が終り、モードスイッチMSを「Z(精算)」モードに切り換えられると(ステップA3でYES)、顧客の特定とその登録を指示する操作が行われたかを調べ(ステップA4)、その指示操作が行われなければ(ステップA4でNO)、取引別合計ファイルX3などの内容を更新する精算処理を実行した後(ステップA5)、上述のステップA1に戻る。
【0037】
また、顧客特定とその登録を指示する操作が行われた場合に(ステップA4でYES)、ECR本体ユニット部1は、カメラユニット部2に対してその操作に応じた指示を行って顧客特定登録処理(後述する)を開始させた後(ステップA6)、上述の精算処理に移る(ステップA5)。なお、モードスイッチMSによりその他のモード、例えば、設定モードなどに切り換えられている場合には(ステップA7でYES)、その他のモードに応じた処理として、各種のデータを設定する処理などを行った後(ステップA8)、上述のステップA1に戻る。また、電源オフ操作が行われた場合には(ステップA9でYES)、所定の電源オフ処理(ステップA10)を実行した後、図8のフローの終了となる。
【0038】
図10は、顧客特定登録処理(図8のステップA6)を詳述するためのフローチャートである。
先ず、カメラユニット部2のCPU21は、電子ジャーナルファイルY6内の1レコードを指定してそのレコードを取得し(図10のステップC1)、この取得レコード内の「イベントの種類」は、小計キーK2あるいは現金/預かり金などの締めキーK3であるかを調べる(ステップC2)。ここで、「イベントの種類」が小計キーK2あるいは締めキーK3でなければ(ステップC2でNO)、この取得レコードを処理対象外とするためにステップC1に戻って次のレコードを指定しながらそのレコードを取得する動作を小計キーK2あるいは締めキーK3が検索されるまで繰り返す。
【0039】
これによって「イベントの種類」が小計キーK2あるいは締めキーK3であるレコードを取得した場合には(ステップC2でYES)、そのレコードから「動画ファイル名」及び「イベント時刻」を取得し(ステップC3)、この「動画ファイル名」をキーとして客側動画ファイルY1を検索して、該当する動画ファイルを抽出すると共に、その動画ファイルの中から「イベント時刻」に相当する位置の1フレーム分の静止画像を抽出する(ステップC4)。そして、この抽出画像をデジタルズーム処理により所定の大きさに拡大処理したり、顔部分を抽出したりした後、その顔画像の解析を行って顔の特徴点データを抽出する顔検出処理を行って顧客特定用画像データY2を生成する(ステップC5)。
【0040】
すなわち、カメラユニット部2側では、抽出画像を解析しながら顧客の顔の輪郭や顔を形成するパーツ(目、口、鼻、額など)の形や位置関係などを総合的に判断して、顧客の顔の特徴点を抽出するが、その際、抽出画像内に複数の被写体(顧客)が含まれているときには、その中から顔が最も大きく写っている顔を選択してその特徴点を抽出する。なお、顔の特徴点を抽出する機能は、カメラにおいて一般的に用いられている技術であり、本実施形態ではその周知技術を利用するようにしているため、その具体的な説明については省略するものとする。
【0041】
そして、カメラユニット部2は、顔検出処理の結果、その顔が正面に向いている度合いを数値化したデータとして検出スコアを取得し(ステップC6)、この検出スコアが基準値(例えば、7)以上かを調べる(ステップC7)。いま、検出スコアが基準値以上であれば(ステップC7でYES)、顔を正確に認識できたものと判断して、後述するステップC9に移るが、検出スコアが基準値未満であれば(ステップC7でNO)、顔が横向きであったなどの理由で正確に顔を認識することができなかった場合であると判断して、ステップC8に移り、「イベント時刻」を所定時間分ずらす。
【0042】
例えば、「イベント時刻」の前後の時刻、つまり、「イベント時刻」に“0.5秒”を加算あるいは“0.5秒”を減算することにより設定イベント時刻をずらした時刻を算出する。そして、上述のステップC4に移り、新たに算出したイベント時刻に相当する位置の1フレーム分の静止画像を抽出した後、上述の顔認識処理及び検出スコア判定処理を行う(ステップC5〜C7)。なお、設定されている「イベント時刻」よりも前の時刻及び後の時刻を算出するようにしてもよく、また、所定時間(例えば、0.5秒)ずつ段階的にずらすようにしてもよい。これによって、設定されている「イベント時刻」に対して0.5秒前、1秒前、1.5秒前、2秒前あるいは0.5秒後、1秒後、1.5秒後、2秒後の時刻を算出するようにしてもよい。
【0043】
いま、検出スコアが基準値以上であれば(ステップC7でYES)、顔の特徴点データY2に基づいて顔認識用データファイルY3を検索し(ステップC9)、今回抽出した顔の特徴点データは、既に登録されている人物の顔の特徴点データに該当するか、つまり、特徴的に一致するかを調べる(ステップC10)。その結果、特徴的に一致し、登録されている人物に該当していれば(ステップC10でYES)、顧客を特定することができたものとして、顔認識用データファイルY3から該当する「顔認識出力ID」を取得して(ステップC11)、電子ジャーナルファイルY6に記録する処理を行う(ステップC16)。そして、電子ジャーナルファイルY6の内容をその最終レコードまで全て指定し終ったかを調べるが(ステップC17)、指定レコードが最終レコードまで達していなければ(ステップC17でNO)、最初のステップC1に戻り、電子ジャーナルファイルY6から次の1レコードを読み出し取得する。
【0044】
また、登録されている人物に該当していなければ(ステップC10でNO)、「顔認識出力ID」、「登録日」を新たに生成すると共に(ステップC12)、この「顔認識出力ID」、「登録日」のほか、「検出スコア」を含む新規レコードを生成し(ステップC13)、顧客データベースY4に新規登録(追加登録)する(ステップC14)。また、顔の特徴点データ顧客特定用画像データY2を「顔認識出力ID」と共に顔認識用データファイルY3に追加登録する(ステップC15)。そして、「顔認識出力ID」を電子ジャーナルファイルY6に記録した後(ステップC16)、電子ジャーナルファイルY6の内容をその最終レコードまで指定し終るまで(ステップC17)、最初のステップC1に戻り、次の1レコードを読み出し取得して上述の動作を繰り返す。
【0045】
以上のように、第1実施形態においては、一取引分の売上データを登録する一連の操作のうち、所定の操作が行われた場合に、客側カメラ25により撮影された撮影画像に基づいて、顧客特定用の画像データを生成するようにしたので、顧客特定用の画像を適切なタイミングで生成することができ、顧客を撮影した顧客画像から顧客を特定する場合に、その顧客を高い確率で特定することができ、信頼性及び実用性に富んだものとなる。
【0046】
客側カメラ25は、登録待ち顧客が視認する客側表示部24に搭載されていると共に登録待ちの顧客の顔を対面撮影することが可能な向きに設置されるようにしたので、顧客が金額を確認するタイミングで顧客の顔を正面から撮影された撮影画像に基づいて、顧客特定用の画像データを生成することができる。
【0047】
所定の操作は、一取引中において現時点まで登録した売上データの合計金額を小計として表示させる小計キーK2、一取引の登録を締める締めキーK3のうち、少なくともそのいずれかのキーを操作するキー操作であるので、客側表示部24の表示内容(金額)を顧客が目視確認するタイミングで顧客の顔を正面から撮影された撮影画像に基づいて、顧客特定用の画像データを生成することができ、顔認識にとって良好なものとなる。
【0048】
電子ジャーナルファイルY6に記憶されている操作タイミングを示すデータ「イベント時刻」を読み出し、そのタイミングで撮影された画像を客側動画ファイルY1内の動画像の中から抽出し、この抽出画像に基づいて顧客特定用画像データY2を生成するようにしたので、所定の操作時における顧客特定用の画像データを動画ファイルの中から何時でも自由に生成することができる。
【0049】
電子ジャーナルファイルY6に記憶されている操作タイミングを示すデータ「イベント時刻」を読み出し、そのタイミングの前後に撮影された画像を客側動画ファイルY1に記憶されている動画像の中から抽出し、この抽出画像に基づいて顧客特定用画像データY2を生成するようにしたので、操作時の画像が顔認識する上で不良な画像であってもその前後の画像に基づいて顧客特定用画像データY2を生成することができる。
【0050】
生成した顧客特定用画像データY2に基づいて顔認識用データファイルY3を検索することにより顧客を特定するようにしたので、顔認識により顧客を容易に特定することができる。
【0051】
なお、上述した第1実施形態においては、所定の操作として小計キーK2、締めキーK3とした場合を例示したが、それ以外に商品キー、部門キーなどの登録キーK1、入力データの訂正を指示する訂正キー、入力データをキャンセルする戻しキーなどであってもよい。
【0052】
(第2実施形態)
以下、この発明の第2実施形態について図11及び図12を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、精算モードにおいて顧客特定登録を指示する操作が行われた際に、顧客特定登録処理を一括して実行開始するようにしたが、この第2実施形態においては、登録モードにおいて一取引の登録中にその顧客を認識して特定する顧客特定登録処理を取引毎に個々に実行するようにしたものである。ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0053】
図11は、第2実施形態において、登録処理(図8のステップA2)を詳述するためのフローチャートである。なお、図9のフローチャートで示した場合と同様にECR本体ユニット部1は、必要に応じてカメラユニット部2と協動して各種の処理を行うようにしている。以下、図11において図9と基本的に同様の処理については、その説明を簡単に行うものとする。
先ず、ECR本体ユニット部1のCPU11は、売上データを登録する登録操作が行われたかを調べたり(図11のステップB21)、小計キーK2が操作されたかを調べたり(ステップB29)、締めキーK3が操作されたかを調べたり(ステップB32)、その他のキーが操作されたかを調べたりする(ステップB37)。
【0054】
いま、売上データを登録する登録操作が行われたときには(ステップB21でYES)、上述した図9のステップB2〜B8と同様に、客側カメラ25が停止中であって(ステップB22でYES)、かつ、一取引の最初の操作であることを条件に(ステップB23でYES)、カメラユニット部2側において「動画ファイル名」を設定するための処理を実行させた後(ステップB24)、客側カメラ25を起動させてその撮影画像を逐次記録する録画動作を開始させる(ステップB25)。そして、商品登録処理(ステップB26)を行って、一取引分の小計金額を更新する(ステップB27)。そして、今回のイベントデータをジャーナルデータとして一時保持させた後(ステップB28)、上述のステップB21に戻る。
【0055】
また、小計キーK2が操作されたときには(ステップB29でYES)、上述した図9のステップB10と同様に、小計金額を表示させるが(ステップB30)、第2実施形態では、カメラユニット部2に対して顧客特定登録処理(後述する)の開始を指示した後(ステップB31)、ステップB28に移る。なお、以下、図11のステップB32〜B38で示した処理は、上述した図9のステップB11〜B17の処理と同様である。すなわち、その他のキーが操作されたときには(ステップB37でYES)、操作に応じた処理を実行し(ステップB38)、その操作に関するイベントデータをジャーナルデータとして一時保持する(ステップB28)。また、締めキーK3が操作されたときには(ステップB32でYES)、締め処理(ステップB33)を行ったり、その操作に関するイベントデータをジャーナルデータとして一時保持したり(ステップB34)、一時保持させた一取引分のデイベントータをジャーナルデータとしてカメラユニット部2に転送したりする(ステップB35)。そして、客側カメラ25を停止させた後(ステップB36)、図11のフローから抜ける。
【0056】
図12は、顧客特定登録処理(図11のステップB31)を詳述するためのフローチャートである。なお、以下、図12において図10と基本的に同様の処理は、その説明を簡単に行うものとする。
先ず、カメラユニット部2のCPU21は、現在動画撮影中の1フレーム分の画像を抽出し(ステップC21)、この抽出画像(静止画像)を解析することにより顔の特徴点データを抽出して顧客特定用画像データY2を生成する(ステップC22)。そして、この特徴点データY2に基づいて顔認識用データファイルY3を検索する(ステップ23)。その結果、今回抽出した顔の特徴点データが、既に登録されている人物の顔の特徴点データに該当していることを検出した場合(特徴的に一致している場合)、つまり、登録されている人物に該当している場合には(ステップC24でYES)、顧客を特定することができたものとして判断して、顔認識用データファイルY3から該当する「顔認識出力ID」を取得する(ステップC25)。そして電子ジャーナルファイルY6に記録した後(ステップC30)、図12のフローから抜ける。
【0057】
また、登録されている人物に該当していなければ(ステップC24でNO)、「顔認識出力ID」、「登録日」を新たに生成すると共に(ステップC26)、この「顔認識出力ID」、「登録日」を含む新規レコードを生成し(ステップC27)、顧客データベースY4に新規登録(追加登録)する(ステップC28)。また、顔の特徴点データ、つまり、顧客特定用画像データY2を「顔認識出力ID」と共に顔認識用データファイルY3に追加登録する(ステップC29)。そして、「顔認識出力ID」を電子ジャーナルファイルY6に記録した後(ステップC30)、図12のフローから抜ける。
【0058】
以上のように、第2実施形態においては、登録モードにおいて一取引の登録中に、その顧客を認識して特定する顧客特定登録処理を実行するようにしたので、一取引の登録中にその取引の顧客を特定することができ、その結果、その場で顧客サービスを実施することが可能となる。例えば、取引の終了時に顧客の種類(例えば、購入実績や来店実績に応じた優良顧客か否か)に応じてレシートにクーポンを印字するサービスなどを実施することが可能となる。更に、顧客特定登録処理を一取引の登録中に行うことにより、後で一括して行うバッチ処理よりも時間や作業面の点で有利なものとなる。
【0059】
なお、上述した第2実施形態においては、一取引の最初の登録操作で客側カメラ25を起動させて録画動作を開始させた後、小計キーK2が操作された際に、現在動画撮影中の1フレーム分の画像を抽出し、この抽出画像(静止画像)を解析して顔の特徴点データを抽出して顧客特定用画像データY2を生成するようにしたが、小計キーK2が操作された際に、客側カメラ25を起動させてその撮影画像に基づいて顧客特定用画像データY2を生成するようにしてもよい。この場合、短時間に複数枚の連続撮影(速写)を行い、その中から正面向きの画像など認識に良好な画像を選択して、顧客特定用画像データY2を生成するようにしてもよい。これによって長時間の動画動作が不要とすることができる。
【0060】
上述した第2実施形態においては、小計キーK2が操作された際に、顧客特定用画像データY2を生成するようにしたが、現金預かり金キーなどの締めキーK3が操作された際に、顧客特定用画像データY2を生成するようにしてもよい。更に、小計キーK2、締めキーK3のいずれが操作されたときでも、顧客特定用画像データY2を生成するようにしてもよい。この場合、検出スコアの良い方を顧客特定用として採用するようにしてもよい。
【0061】
また、上述した第2実施形態においては、登録モードにおいて、一取引の登録中にその取引の顧客特定用の画像データY2を生成するようにしたが、登録待ちしている顧客がいない空き時間(ECRの非稼働時間)を利用して、顧客特定用画像データY2を生成するようにしてもよい。
【0062】
また、上述した各実施形態は、ECR側で顧客特定用画像データY2を生成する顧客特定登録処理を実行するようにしたが、カードインターフェイス部27に挿入接続されているSDカード28内に、客側動画ファイルY1、顔認識用データファイルY3、顧客データベースY4、電子ジャーナルファイルY6を格納しておき、このSDカード28を外部機器のPCに挿入接続することによりPC側で顧客特定登録処理を実行するようにしてもよい。すなわち、売上データ処理装置とは、ECR、PCを含めた売上データ処理システムであってもよい。
【0063】
また、上述した各実施形態においては、客側カメラ25による動画撮影は、一取引の開始から終了するまで行うようにしたが、モードスイッチMSにより登録モードに切り換えられてその登録モードが解除されるまでの間、客側カメラ25による動画撮影を継続するようにしてもよい。
【0064】
また、上述した各実施形態においては、ECR(売上データ処理装置)をECR本体ユニット部1とカメラユニット部2とに分離した構成としたが、それらを統合した構成であってもよい。また、売上データ処理装置としてECRに適用した場合を示したが、構内専用回線に接続したPOS端末に適用するようにしてもよい。また、インターネットを介して本部のPCに接続した売上データ処理システムに適用するようにしてもよい。
【0065】
また、上述した各実施形態において示した“装置”や“部”とは、機能別に複数の筐体に分離されていてもよく、単一の筐体に限らない。また、上述したフローチャートに記述した各ステップは、時系列的な処理に限らず、複数のステップを並列的に処理したり、別個独立して処理したりするようにしてもよい。
【0066】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下、本願出願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、
売上データを取引毎に登録処理する売上データ処理装置であって、
登録待ちの顧客を撮影する撮像手段と、
一取引分の売上データを登録する一連の操作のうち、所定の操作が行われたか否かを判別する操作判別手段と、
前記操作判別手段により所定の操作が行われたと判別された場合に、前記撮像手段により撮影された撮影画像に基づいて、顧客特定用の画像データを生成する生成手段と、
を具備したことを特徴とする売上データ処理装置である。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の売上データ処理装置において、
前記撮像手段は、登録待ち顧客が視認する客用表示部に搭載されていると共に登録待ちの顧客の顔を対面撮影することが可能な向きに設置されている、
ことを特徴とする売上データ処理装置である。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、請求項1あるいは請求項2に記載の売上データ処理装置において、
前記所定の操作は、一取引中において現時点まで登録した売上データの合計金額を小計として表示させる小計キー、一取引の登録を締める締めキーのうち、少なくともそのいずれかのキーを操作するキー操作である、
ことを特徴とする売上データ処理装置である。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の売上データ処理装置において、
前記撮像手段により登録待ちの顧客を撮影した動画像を記憶する動画記憶手段と、
一取引分の売上データを登録する一連の操作のうち少なくとも前記所定の操作が行われた場合に、その操作タイミングを示すデータを記憶する操作状況記憶手段と、
を更に備え、
前記生成手段は、前記操作状況記憶手段に記憶されている操作タイミングを示すデータに基づいて、そのタイミングで撮影された画像を前記動画記憶手段内の動画像の中から抽出し、この抽出画像に基づいて前記顧客特定用の画像データを生成する、
ようにしたことを特徴とする売上データ処理装置である。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の売上データ処理装置において、
前記操作状況記憶手段は、一取引毎にその登録操作に関するデータを営業記録データとして記憶する、
ようにしたことを特徴とする請求項4に記載の売上データ処理装置である。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の売上データ処理装置において、
前記生成手段は、前記操作状況記憶手段に記憶されている操作タイミングを示すデータに基づいて、そのタイミングの前後に撮影された画像を前記動画記憶手段内の動画像の中から抽出し、この抽出画像に基づいて前記顧客特定用の画像データを生成する、
ようにしたことを特徴とする売上データ処理装置である。
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の売上データ処理装置において、
前記生成手段は、前記動画記憶手段に記憶されている動画像の中から、前記操作状況記憶手段に記憶されている操作タイミングを示すデータに基づいて、そのタイミングで撮影された画像を抽出した場合に、その抽出画像に含まれている顔が正面に向いている度合いが基準値以下の場合に、そのタイミングの前後に撮影された画像を再抽出し、その抽出画像に基づいて前記顧客特定用の画像データを生成する、
ようにしたことを特徴とする売上データ処理装置である。
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の売上データ処理装置において、
顧客毎にその顔認識用の画像データを記憶管理する顔認識用データ記憶手段と、
前記生成手段により生成された顧客特定用の画像データに基づいて前記顔認識用データ記憶手段を検索することにより顧客を特定する顧客特定手段と、
を更に備える、
ようにしたことを特徴とする売上データ処理装置。
(請求項9)
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の売上データ処理装置において、
顧客毎にその顔認識用の画像データを記憶管理する顔認識用データ記憶手段と、
前記生成手段により生成された顧客特定用の画像データに基づいて前記顔認識用データ記憶手段を検索することにより顧客を特定する顧客特定手段と、
を更に備え、
前記生成手段は、一取引分の売上データを登録する一連の操作を行う登録中において、前記判別手段により所定の操作が行われたことが判別された際に、前記撮影手段により登録待ちの顧客を撮影した画像を取得して前記顧客特定用の画像データを生成し、
前記顧客特定手段は、一取引分の売上データを登録する一連の操作を行う登録中において、前記生成手段により生成された顧客特定用の画像データに基づいてその顧客を特定する、
ようにしたことを特徴とする売上データ処理装置。
(請求項10)
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の売上データ処理装置において、
前記生成手段は、前記判別手段により所定の操作が行われたことが判別された際に、前記撮影手段を起動させることにより撮影された静止画像を取得して前記顧客特定用の画像データを生成する、
ようにしたことを特徴とする売上データ処理装置。
(請求項11)
請求項11に記載の発明は、
コンピュータに対して、
売上データを取引毎に登録処理する機能と、
一取引分の売上データを登録する一連の操作のうち、所定の操作が行われたか否かを判別する機能と、
前記所定の操作が行われたと判別された場合に、登録待ちの顧客を撮影する撮像手段により撮影された撮影画像に基づいて、顧客特定用の画像データを生成する機能と、
を実現させるためのプログラムである。
【符号の説明】
【0067】
1 ECR本体ユニット部
2 カメラユニット部
11、21 CPU
12、22 記憶部
14 操作部
15 スキャナ
16 操作者用表示部
19、29 COMポート
24 客用表示部
25 客側カメラ
26 操作側カメラ
27 カードインターフェイス部
B1 客側動画ファイル
B2 抽出顔画像
B3 顔認識用データファイル
B6 電子ジャーナルファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
売上データを取引毎に登録処理する売上データ処理装置であって、
登録待ちの顧客を撮影する撮像手段と、
一取引分の売上データを登録する一連の操作のうち、所定の操作が行われたか否かを判別する操作判別手段と、
前記操作判別手段により所定の操作が行われたと判別された場合に、前記撮像手段により撮影された撮影画像に基づいて、顧客特定用の画像データを生成する生成手段と、
を具備したことを特徴とする売上データ処理装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、登録待ち顧客が視認する客用表示部に搭載されていると共に登録待ちの顧客の顔を対面撮影することが可能な向きに設置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の売上データ処理装置。
【請求項3】
前記所定の操作は、一取引中において現時点まで登録した売上データの合計金額を小計として表示させる小計キー、一取引の登録を締める締めキーのうち、少なくともそのいずれかのキーを操作するキー操作である、
ことを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載の売上データ処理装置。
【請求項4】
前記撮像手段により登録待ちの顧客を撮影した動画像を記憶する動画記憶手段と、
一取引分の売上データを登録する一連の操作のうち少なくとも前記所定の操作が行われた場合に、その操作タイミングを示すデータを記憶する操作状況記憶手段と、
を更に備え、
前記生成手段は、前記操作状況記憶手段に記憶されている操作タイミングを示すデータに基づいて、そのタイミングで撮影された画像を前記動画記憶手段内の動画像の中から抽出し、この抽出画像に基づいて前記顧客特定用の画像データを生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の売上データ処理装置。
【請求項5】
前記操作状況記憶手段は、一取引毎にその登録操作に関するデータを営業記録データとして記憶する、
ようにしたことを特徴とする請求項4に記載の売上データ処理装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記操作状況記憶手段に記憶されている操作タイミングを示すデータに基づいて、そのタイミングの前後に撮影された画像を前記動画記憶手段内の動画像の中から抽出し、この抽出画像に基づいて前記顧客特定用の画像データを生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項4に記載の売上データ処理装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記動画記憶手段に記憶されている動画像の中から、前記操作状況記憶手段に記憶されている操作タイミングを示すデータに基づいて、そのタイミングで撮影された画像を抽出した場合に、その抽出画像に含まれている顔が正面に向いている度合いが基準値以下の場合に、そのタイミングの前後に撮影された画像を再抽出し、その抽出画像に基づいて前記顧客特定用の画像データを生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項6に記載の売上データ処理装置。
【請求項8】
顧客毎にその顔認識用の画像データを記憶管理する顔認識用データ記憶手段と、
前記生成手段により生成された顧客特定用の画像データに基づいて前記顔認識用データ記憶手段を検索することにより顧客を特定する顧客特定手段と、
を更に備える、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の売上データ処理装置。
【請求項9】
顧客毎にその顔認識用の画像データを記憶管理する顔認識用データ記憶手段と、
前記生成手段により生成された顧客特定用の画像データに基づいて前記顔認識用データ記憶手段を検索することにより顧客を特定する顧客特定手段と、
を更に備え、
前記生成手段は、一取引分の売上データを登録する一連の操作を行う登録中において、前記判別手段により所定の操作が行われたことが判別された際に、前記撮影手段により登録待ちの顧客を撮影した画像を取得して前記顧客特定用の画像データを生成し、
前記顧客特定手段は、一取引分の売上データを登録する一連の操作を行う登録中において、前記生成手段により生成された顧客特定用の画像データに基づいてその顧客を特定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載の売上データ処理装置。
【請求項10】
前記生成手段は、前記判別手段により所定の操作が行われたことが判別された際に、前記撮影手段を起動させることにより撮影された静止画像を取得して前記顧客特定用の画像データを生成する、
ようにしたことを特徴とする請求項9に記載の売上データ処理装置。
【請求項11】
コンピュータに対して、
売上データを取引毎に登録処理する機能と、
一取引分の売上データを登録する一連の操作のうち、所定の操作が行われたか否かを判別する機能と、
前記所定の操作が行われたと判別された場合に、登録待ちの顧客を撮影する撮像手段により撮影された撮影画像に基づいて、顧客特定用の画像データを生成する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−3866(P2013−3866A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134721(P2011−134721)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】