説明

変位可能ビルディング

ビルディング(1〜5)を周辺領域と相互作用をして影響し合う外部位置と避難、保護位置との間で推移する垂直推移手段を備えたビルディング(1〜6)である。垂直推移手段(4〜5)はビルディング(1〜5)を水力の底荷の避難に対応する前記外部位置と水力の底荷(4)の充填に対応する前記避難位置との間で推移する水力底荷の形成手段(4)を具備している。ビルディング(1〜6)は自然環境の中に植設されかつ垂直推移手段(4〜5)とは独立している技術的機構(6)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は垂直に変位(推移)する手段を具備したビルディングに関する。
【0002】
本発明において、ビルディングという語は、この構造物が感知される自然の環境に従って適当に“不動の構造物”あるいは“浮動する構造物”ということを意味する。
【背景技術】
【0003】
これらのビルディングは、例えばなだれ、洪水、地震、竜巻(サイクロン)、嵐あるいは他の気象に関する出来事の如き自然の大異変の危険による攻撃を受けやすい。
【0004】
これらのビルディングは、また、外敵の侵入及び個人による攻撃によって発生される危険、有毒生成物の散乱、バクテリア、ラジオ放射線の発生または爆発による危険によって攻撃を受けやすい。
【0005】
現在の且つ予知できる危険の重要性を考慮に入れる際に、ビルディングはここに収容される個人及び財産を保護するに十分な許容は何もない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、ビルディングに収容された財産、科学技術及び個人を保護する改良された手段を提供することにある。
【0007】
本発明の第2の目的は、簡単で且つ経済的な設計のビルディングによる改良された保護手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、垂直方向に推移する手段を有するビルディングを主構成要素としており、該移動手段は、周辺領域と相互作用を有する外部位置と遮蔽、保護位置との間でビルディングを移動し、逆に、その中で垂直推移手段は水力の底荷を形成する手段を含み、ビルディングを水力の底荷を退避させることに符合する前記外部位置と水力の底荷を満たすことに符合する前記保護位置との間で推移して、それによってビルディングを自然環境の中で直立させ、それによって自然環境の平面上のビルディングの少なくとも1つの階である非常の場合の対応するビルディングの前記外部位置及び自然環境の平面の下のビルディングの推移に対応する前記避難位置はビルディングの技術的機構が自然環境の中に植え付けられておりしかもそれは垂直推移手段と独立して構成される事実によって特徴付けられている。
【0009】
本発明の他の代案としての特徴は下記の通りである。
【0010】
ビルディングが地面の片隅に直立している時に、ビルディングの少なくとも1つの階である非常の場合に対応するビルディングの前記外部位置が地面の上部にあり、ビルディングの折り畳み部に対応する前記避難位置が地面の中にある。
【0011】
前記技術的機構は非常出口を妨害するようになる物体を収容するスペースを有し、それらが開口された際にそれらの物体が非常出口から落下する。
【0012】
非常出口は階段、エレベータ、梯子、起重機、あるいは他の昇降手段に結合されている。
【0013】
前記昇降手段、即ち、階段、エレベータ、梯子、あるいは他の起重機は提供された任意の物体を解放して非常出口をクリーニングする位置と居住者を避難させて非常出口に導く位置との間で水平に推移することができる。
【0014】
ビルディングが水中環境の中で直立された際には、ビルディングの少なくとも1つの階である非常の場合に対応するビルディングの前記外部位置は水平面の上部にあり、ビルディングの浸漬位置に対応する前記避難位置は水平面の下部にある。
【0015】
ビルディングは水中環境に植設されかつ垂直推移の間ビルディングを案内制御する1つあるいはそれ以上の静止されたポールあるいは柱を含んでいる。
【0016】
ビルディングはエアロック機構によって少なくともビルディングの内側に連結される非常出口を有している。
【0017】
本発明は添付図面を参照しながら限定されない実施例により与えられる以下の説明を読むことによってより良く理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1〜図3を参照するに、同一のあるいは機能的に同等の要素には同一の参照番号が付されている。
【0020】
図1において、本発明に係るビルディングは周辺領域と相互作用をする外部位置に示されている。
【0021】
本発明に係るビルディングは、屋根1を形成するのに好ましい植物を成長させるカバーを含んでいる。
【0022】
本発明に係るビルディングは、また、底荷として機能する密閉されたタンク4と構成要素をなす2階2及び1階3を含んでいる。
【0023】
要素1〜4のすべては底荷4の底部に設けられた貯水槽5により働かされる水圧力によって外部位置に保持され、底荷4の水は後に排泄される。
【0024】
技術的機構6は垂直推移手段4、5とは独立して、地面に植え込まれる。
【0025】
図1において、1階は自動車7あるいは任意の他の交通手段により使用され、道路にアクセス可能なガレージを含んでいる。
【0026】
外部位置から避難位置に通過する垂直推移に際して、底荷4を包囲するビルディングの低部は密閉タンク即ち底荷4の縁部に3個ずつアレンジされた多数の小さい車輪8によって案内される。
【0027】
図2において、貯水槽5からの水は底荷4に浸透してビルディングの垂直下降を惹起する。ポンプ手段は底荷4の中に沈められて水の絞り出しが行われると共に、周辺領域との相互作用のための外部位置におけるビルディングの垂直推移が惹起される。
【0028】
図2に示される如き避難、保護位置において、成長力のある屋根1は地面で元気になり、そのために本発明に従ってビルディングを推移して完全に地面から離れる。
【0029】
自動車7は1階3の内部に保護され、一方2階2は本発明に係るビルディングの居住者の保護を保障する。
【0030】
図3において、本発明に係るビルディングの技術的機構6が示されている。
【0031】
地面に植設された技術的機構6は、下方位置の高い位置に設けられた非常の場合の出口11の開口部を妨げる落下した岩石、泥、粗石、瓦礫、雪あるいは水、または他の物体を収容および蓄積する空間10を備えている。
【0032】
しかして、非常出口11の開口部で、非常出口をふさいだ物体は矢印12の方向に垂直に落下して非常出口11を片付ける。
【0033】
この開口部11が片付けられた後に、階段、エレベータ、梯子、起重機あるいは同等の形式のもの13等の適宜の推移手段によって矢印14の方向に推移され、それによって居住者の避難が行われる。
【0034】
矢印14の方向への推移は、邪魔になる物体を片付けて非常出口を開放する仕方と非常出口を接続して居住者を非難させる仕方の両方を逆にしても適用することができる。
【0035】
しかして、通常の安全な状態において、階段、エレベータあるいは他の形式のドア等の推移手段は、非常出口11とは通用せずに、それ自身内方に倒れるダブルドア、スライドする幅の広い厚板等により閉塞されている。
【0036】
落下物(岩)または他の物体を収容するスペース10の上方に位置している平面15には若干の貯蔵タンクが配列されており、第1のタンク16には飲用水が貯えられ、第2のタンク17には雨水が貯えられ、第3のタンク18には燃料が貯えられており、他のタンクには任意に選択された廃水、流出水等が収容されている。
【0037】
空間部分10及び15へのアクセスは便宜上梯子あるいは歩道19によって行われる。
【0038】
階段あるいはエレベータ13に対応する空間部分15を覆っている階上に、電気的手段が室20に配列されており、これらの電気的手段は低電圧発生器あるいは電気的エネルギーまたは電力、他の源泉を含んでいる。
【0039】
コンピュータ及び情報通信室21には、次の設備がなされており、空気処理及び空気、水の洗浄手段は便宜上室22に設けられ、室22は保護用エアロックあるいは絶縁部分を備えた室23に隣接した位置にある。
【0040】
このような配列構成において、室20内に存在する制御指令を室23に伝達するのに、階段あるいは移送手段13を介して容易にアクセスすることができる。
【0041】
次に図4及び図5を参照するに、同一のあるいは機能的に同等の要素には同一の参照番号が付されている。
【0042】
図4及び図5において、本発明に係るビルディングは1つまたはそれ以上の柱30によって案内され、例えば4つの柱30はビルディングを垂直方向に移送する。
【0043】
本発明に係るビルディングは周辺領域と相互作用するように外部位置に示され、例えば、水中の環境と通信する平面31を有し、第2の床32及び第3の床33を備えている。
【0044】
本発明に係るビルディングは、下方向部分に水中の環境と通信する底荷手段34を含んでいる。
【0045】
平面31の下方向位置に水中の環境と通信するための技術的機構が設けられている。これらの技術的機構は水の洗浄及び汚染除去手段を含み、1つあるいはもっと多くの電気発生器、空気洗浄手段及び図3に関して記述されたタンクを類似の複数の貯蔵タンクを有している。
【0046】
詳しくは示されていないが、ポンプ手段36は底荷34に浸される。
【0047】
水中環境と通信する下方の平面31はボート37あるいは他の船のガレージに隣接して配列されている。
【0048】
本発明に係るビルディングは、例えば、調和する柱30のそれよりも直径がより大きくしかも適宜の制御システムを備えた開口部を含む若干の制御突起部38を具備することが好ましい。
【0049】
また本発明に係るビルディングはエアロック機構によってビルディングの内側に及び1つまたはより多くの柱30の内側に結合される非常出口を設けることが望ましい。
【0050】
以上本発明はその良好な2つの実施例について説明されたが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、逆に本発明の精神及び構造の範囲内で本発明は本実施例の種々の変形、変更、修飾が想起されるが、それらはすべて本発明の範囲内に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は周辺領域と相互作用のために外部位置における地面の一部に直立され本発明に係るビルディングの一部垂直断面を有する立面をブロック線図的に示す立面図である。
【図2】図2は避難保護位置における地面の一部に直立された本発明に係るビルディングの一部垂直断面を有する立面をブロック線図的に示す立面図である。
【図3】図3は地面の一部に直立された本発明に係るビルディングの技術的機構の一部断面を示す斜視図である。
【図4】図4は水平環境における本発明に係るビルディングの一部断面を有する垂直立面をブロック線図的に示す立面図である。
【図5】図5は水平環境における一部断面を有する本発明に係るビルディングをブロック線図的に示す部分斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビルディング(1〜5,31〜38)を周辺領域と相互作用にて影響し合う外部位置と避難、保護位置との間で推移する垂直推移手段(4〜5,34)を具備するビルディング(1〜6,31〜38)であって、換言すれば、垂直推移手段(4〜5,34)は水力の底荷の避難に対応する前記外部位置と水力の底荷(4,34)の充填に対応する前記避難、保護位置との間でビルディング(1〜5,31〜38)を推移する水力の底荷形成手段を含み、それによってビルディング(1〜6,31〜38)は自然環境に直立し、その結果、ビルディング(1〜6,31〜38)の少なくとも1つの階(2または3,32または33)の非常出口に対応するビルディングの前記外部位置が自然環境の平面上に位置し、ビルディング(1〜6,31〜38)の推移終了に対応する前記避難位置が自然環境の平面下に配置され、ビルディング(1〜6,31〜38)が自然環境の中に植設されかつ垂直推移手段とは独立した技術的機構(6)を含む事実によって特徴付けられたビルディング。
【請求項2】
ビルディングが地面の一部に直立させられ、それによってビルディング(1〜5)の少なくとも1つの階の非常口に対応するビルディング(1〜5)の前記外部位置が地面の上部に配置され、ビルディング(1〜5)の推移終了に対応する前記避難、保護位置が地面内に配置されることを特徴付けられ、ビルディングを外部位置と避難位置に推移する垂直推移手段を具備する請求項1に記載のビルディング。
【請求項3】
前記技術的機構(6)は物体を収容する空間(10)を備え、非常口(11)が障害物によって妨害を受けることになった際に、前記非常出口(11)から下に落下させる請求項1または2に記載のビルディング。
【請求項4】
前記非常出口(11)は階段、エレベータ、梯子、起重機あるいは他の推移手段(13)に連絡されている請求項3に記載のビルディング。
【請求項5】
前記推移手段(13)、即ち階段、エレベータ、梯子あるいは他の起重機は提出される任意の物体を解放する非常口(11)の解放位置と居住者(1〜6)を避難させる非常口(11)の連絡位置との間で水平方向(14)に推移する請求項4に記載のビルディング。
【請求項6】
外部位置と避難位置の間でビルディングを推移する垂直推移手段を具備し、その中でビルディングが水中環境で直立させられ、それによって、ビルディングの少なくとも1つの階(32,33)の非常口に対応するビルディングの前記外部位置は水面の上に配置され、ビルディングの浸積部に対応する避難位置は平面の下に配置されるビルディング。
【請求項7】
1つまたはそれ以上の固定されたポールまたは柱(30)を含み、それらの柱(30)は水中環境の中に植設され、垂直推移の間ビルディングを案内、制御の保障をする請求項6に記載のビルディング。
【請求項8】
非常出口はエアロック機構により少なくともビルディングの内部に連絡されている請求項6または7に記載のビルディング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−545911(P2008−545911A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515257(P2008−515257)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001313
【国際公開番号】WO2006/131661
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(507402613)ヴェーアーベー (2)
【Fターム(参考)】