説明

変幻オブジェクト観賞装置

【課題】興味のある様々なオブジェクトを回転或いは転動させながら拡大、反射させた状態で目視して、オブジェクトの予想どおりの或いは予想外の変化を楽しみ、更には変化を予想することで大人はもとより子供の知育の育成や美的感覚の教育にも有効な変幻オブジェクト観賞装置を提供する。
【解決手段】オブジェクト目視鏡1は、スコープホルダー2Dを有する支持台2と、スコープホルダー2Dに着脱可能に支持される拡大反射スコープ3とから構成してある。オブジェクト変転具4は、オブジェクト回転器6と、拡大反射スコープ3の先端から適宜の間隔の位置でオブジェクト回転器6に着脱可能に支持され、砕片、細片、粒体、流体等のオブジェクト8を転動可能に保持する容器状のオブジェクト保持体7とから構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転或いは転動する様々なオブジェクト(対象物)を目視し、オブジェクトが変化する形状や過程を楽しみ、また変化を予想する等様々な使い方をすることができ、大人ばかりか子供の知育の育成や美的感覚の教育にも有効な変幻オブジェクト観賞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
目視により物の変化を楽しむ器具として、古くから万華鏡が知られている。万華鏡は一端側に曇りガラスを設けた鏡筒の中に、3枚の平面鏡を鏡面を内向きにして多くは二等辺三角形に設け、その中に色ガラス等の微小粒や微小片を入れ、鏡筒を回転させながら他端ののぞき穴から覗くことで色彩模様の無限の変化を楽しむものである。
【0003】
万華鏡は構成も簡単で、完成した器具とも言えるものであることから、技術的な改良は殆ど提案されていないのが実状で、下記の特許文献1に示すものが知られる程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7−39014公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術を含めて万華鏡は、3枚の平面鏡で囲まれた三角形のスペースの中でしか色ガラス、色ビーズ等の微小粒や微小片は転動できないことから、模様が無限に変化するといっても次第に似た模様が出現することになるし、鏡筒内に入れる微小粒や微小片の数にも限界があるために模様の変化が単調になり、逆に多過ぎると転動性が悪くなって模様の変化が乏しいものなるといった問題がある。また、肉眼で見た静止状態の対象物が凸レンズを介して回転状態ではどのように見えるか、模様はどのように変化するかといった想像力を働かせる使用の方法については、万華鏡では不可能であるし、このような使い方や楽しみ方が可能な器具は提案されていない。
【0006】
本発明は上述した従来技術の未解決の問題点に鑑みなされたもので、興味のある様々なオブジェクトを回転或いは転動させながら拡大、反射させた状態で目視することにより、オブジェクトの予想どおりの或いは予想外の変化を楽しみ、更には変化を予想することで大人はもとより子供の知育の育成や美的感覚の教育にも有効な変幻オブジェクト観賞装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決する本発明を構成する手段は、オブジェクト目視鏡は、スコープ支持部を有する支持台と、該スコープ支持部に着脱可能に支持される拡大反射スコープとから構成し、オブジェクト変転具は、オブジェクト回転器と、前記拡大反射スコープの先端から適宜の間隔の位置で該オブジェクト回転器に着脱可能に支持され、砕片、細片、粒体、流体のいずれか1種以上からなるオブジェクトを保持するオブジェクト保持体とから構成してある。
【0008】
そして、前記拡大反射スコープは、筒体と、該筒体の先端側に設けた凸レンズからなる対物レンズと、前記筒体の後端側に設けた接眼穴と、前記筒体内に鏡面を内側にして所望の角度で筒状に配置した複数の鏡板とから構成してある。
【0009】
また、前記オブジェクト回転器は、角度調整台により前記オブジェクト目視鏡に対する前記オブジェクト保持体の角度を任意に設定可能にするとよい。
【0010】
更に、前記オブジェクト回転器は、前記オブジェクト保持体を正逆方向に回転可能にするとよい。
【0011】
また、前記オブジェクト保持体は、内側面を多角面又はリブ突出面に形成した有底の容器状に形成し、内部に前記オブジェクトを収容するようにしてもよい。
【0012】
また、前記オブジェクト保持体は、透明な材料によって側面を形成し、上方が開放した有底の収容状に構成したものにするとよい。
【0013】
また、前記オブジェクト保持体は、立体に形成し、外面に前記オブジェクトを付着するようしたものでもよい。
【0014】
また、前記オブジェクト保持体は、前記オブジェクト回転器に磁着、粘着、係着等の着脱自在な手段により取着するとよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述の如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)オブジェクト回転器により回転し或いは転動する間に変化するオブジェクトを拡大反射スコープにより目視することで、オブジェクトの予想どおりの或いは予想外の変化を楽しみ、更には変化を予想することで大人はもとより子供の知育の育成や美的感覚の教育に資することができる。
(2)拡大反射スコープは、回転するオブジェクトを凸レンズからなる対物レンズで拡大して複数枚の各鏡面に映し出す構成にしたから、動いているオブジェクトを視野一杯に拡大し、かつ反射させた状態で明瞭に目視することができ、視る者に楽しさ、興味、不思議感などを与えることができる。
(3)オブジェクト回転器は、角度調整台によりオブジェクト目視鏡に対するオブジェクト保持体の角度を任意に設定可能に構成したから、オブジェクト保持体を様々な角度から楽しむことができる。
(4)オブジェクト回転器は、オブジェクト保持体を正逆方向に回転可能に構成することにより、オブジェクトの逆向きの動きとその変化を目視することができる。
(5)オブジェクト保持体は、内側面を多角面又はリブ付き面に形成した容器状に形成し、内部にオブジェクトを収容するようにしたから、オブジェクトが激しく転動して拡大反射スコープを介して変幻する様を目視することができる。
(6)オブジェクト保持体は、透明な材料によって側面を形成し、上方を開放した有底の収容状に形成したから、オブジェクトに流体を選択することができるし、収容するオブジェクトの転動状態を上方からだけでなく側方からも目視することができ、オブジェクトの変転する動態を異なる方向から楽しみ、また確認できる。
(7)オブジェクト保持体は立体に形成し、その外面に多数のオブジェクトを付着するようにしたから、容器状の保持体内で転動させるのとは異なったオブジェクトの変幻を目視することができる。
(8)オブジェクト保持体は、オブジェクト回転器に磁着、粘着、係着等の着脱自在な手段で取着する構成にしたから、種々のオブジェクト保持体を用意しておいて簡単に速やかに交換してオブジェクトを観賞することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は変幻オブジェクト観賞装置の全体構成図である。
【図2】拡大反射スコープの縦断面図である。
【図3】図2中のIII−III矢示方向拡大断面図である。
【図4】他の実施の形態に係るオブジェクト保持体の一部を破断して示す斜視図である。
【図5】更に他の実施の形態に係るオブジェクト保持体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき詳述する。図1乃至図3は第1の実施の形態を示す。図において、1は変幻オブジェクト観賞装置を構成するオブジェクト目視鏡を示す。2は該オブジェクト目視鏡1を構成する木製の支持台で、該支持台2は略四角形の台座2Aと、該台座2A上に対向して突設した一対の支柱2B、2Bと、長孔からなる軸挿通孔(図示せず)を縦方向に有し、該支柱2B、2B間に矢示イ、ロ方向の上下方向に変位可能で、かつ矢示ハ、ニ方向の回動方向に変位可能に軸支された可動アーム2Cと、該可動アーム2Cの上端に設けられ、スコープ挿入穴が軸方向に形成してある円筒状のスコープホルダー2Dと、支柱2B、2Bから可動アーム2Cに挿通した角度調整軸2Eとから構成してある。そして、可動アーム2Cは角度調整軸2Eを回動操作して緩めることで、上下方向に変位すると共に回動し、締付けることで任意の高さと傾斜角度に設定することができるようになっている。
【0018】
3は前記支持台2のスコープホルダー2Dに挿装することにより支持した拡大反射スコープを示す。該拡大反射スコープ3は、図2及び図3に示すように、金属製或いは合成樹脂製の円筒状の鏡筒3Aと、該鏡筒3Aの先端側に設けた略半球状の凸レンズからなる対物レンズ3Bと、鏡筒3Aの後端側に設けた接眼穴3Cと、鏡筒3Aの後端外周に鍔状に突設し、看者の目及びその周辺を保護するためのアイガード3Dと、鏡筒3A内に鏡面3Eを内側にして三角形の筒状に配設した3枚の鏡板3E、3E、3Eとから構成してある。なお、例えば4枚の鏡板3E、3E、・・を用いて四角形に形成してもよいし、6枚の鏡板3Eを用いて六角形に形成してもよい。
【0019】
かくして、オブジェクト目視鏡1は、支持台2と、該支持台2のスコープホルダー2Dに挿装した拡大反射スコープ3とから構成してあり、拡大反射スコープ3は可動アーム2Cに支持されて矢示イ、ロの上下方向に昇降変位し、かつ矢示ハ、ニの方向に回動可能になっている。なお、拡大反射スコープ3は、鏡筒スリーブ2Dに対して前後方向に進退可能に構成してもよい。
【0020】
次に、4はオブジェクト変転具を示す。5は該オブジェクト変転具4を構成する角度調整台を示し、該角度調整台5は四角形の平板からなる基盤5Aと、該基盤5A上に突設した支持部5Bと、該支持部5Bに先端側を螺合した締着軸5Cと、挿通した該締着軸5Cにより支持部5Bに支持されて矢示ホ、ヘ方向に回動し、斜め上向きの傾斜角度を任意の角度に設定可能な可動調整盤5Dと、該可動調整盤5Dの上面に設けた固定用磁石5Eとから構成してある。
【0021】
6は該角度調整台5に搭載したオブジェクト回転器で、該オブジェクト回転器6はゼンマイ式オルゴール機構を搭載し、下面に磁着用の薄い鉄板を固着した基台6A(図示せず)と、該基台6Aに回転可能に支持され、ゼンマイのバネ力により矢示ト方向に回転駆動されるケーシング6Bとから構成してあり、本実施の形態では既存のオルゴールをオブジェクト回転器6に使用している。
【0022】
7は前記オブジェクト回転器6により回転駆動されるオブジェクト保持体を示す。該オブジェクト保持体7は合成樹脂材により、上方が開放した四角形の透明容器状に形成してあり、底板7Aの下面は磁石板、粘着剤、係合面等適宜の固定手段によってオブジェクト回転器6に係脱可能になっている。8、8、・・・は該オブジェクト保持体7の4面の側板7B、7B・・により囲んで収容した多数のオブジェクトを示す。該各オブジェクト8にはオブジェクト保持体7内で転動し易い材料、例えば色ガラスや合成樹脂材料等からなる砕片、切断片や粒状体、ビーズ、油にアルミニュウム粉を混合した混合流体、その他目視するのに興味が持てる適宜の物を選択することができ、特に限定はない。
【0023】
本実施の形態は上述の構成からなるが、次にその作用について説明する。先ず、オブジェクト保持体7に種々あるオブジェクト8の中から選択したオブジェクト8を適宜の数量入れる。また、オブジェクト回転器6のケーシング6Bを回してゼンマイを巻き上げた後、オブジェクト保持体7をケーシング6Bに係着させる。これによりオブジェクト保持体7はゼンマイの復帰力によって矢示ト方向に回転し、その中のオブジェクト8はオブジェクト保持体7内でランダムに変転する。このオブジェクト8の変転をオブジェクト目視鏡1の拡大反射スコープ3で目視すると、オブジェクト8が様々な模様に変化し、また消えたり現われたりするといった変幻する様を楽しむことができるし、変化を想像するといった楽しみができる。
【0024】
支持台2は可動アーム2Cが矢示イ、ロ方向に上下動し、スコープ支持部2Dが矢示ハ、ニ方向に回動可能であるから、拡大反射スコープ3をオブジェクト保持体7に対して任意の角度で容易に対面させることができ、角度の違いによる見え方の違いを実感することができる。
【0025】
また、上記作動中オルゴール機構が作動してオルゴールが鳴ることで、大人はもとより子供は音楽に合わせてオブジェクト8の変化を一層楽しむことができる。
【0026】
また、オブジェクト保持体7は、側板7B、7B・・によって四面の容器状に形成したから、オブジェクト保持体7内のオブジェクト8は4箇所の角隅で激しく転動し、様々な態様に変化するので看者に更に強い印象を与えることができる。
【0027】
なお、本実施の形態ではゼンマイによってオブジェクト回転器6は矢示ト方向の一定方向に回転するものとして説明したが、可逆モーターを用いてオブジェクト回転器6を正逆方向に回転可能に構成してもよい。このように構成することにより、正回転から逆回転に変わる際のオブジェクト8の動きの変化を目視することができる。また、可変モーターを使用して、オブジェクト回転器6の回転速度を変化させることにより、オブジェクト8の様々な変化を観賞し、楽しむことができる。
【0028】
図4はオブジェクト保持体11の他の実施の形態を示し、該オブジェクト保持体11は、上方が開放した有底の円筒体12を透明の合成樹脂材で成形し、該円筒体12の内周面12Aに1以上のリブ13、13を突設したものからなる。このようにオブジェクト保持体11の内周面12Aにリブ13を設けることにより、各リブ13はオブジェクト保持体11の回転に伴ってオブジェクト8を撹拌し、オブジェクト8はより激しく転動して様々な態様に変化することができる。そして、オブジェクト保持体11は透明の合成樹脂材で成形することにより、オブジェクト8の全体的な変化も目視することができる。
【0029】
更に、図5はオブジェクト保持体21の他の実施の形態を示す。該オブジェクト保持体21は厚紙、合成樹脂板等で四角錐の立体に形成し、その4面の外面21A、21A、・・にオブジェクト8、8、・・・を点在させて貼着その他の適宜の付着手段で設けてある。この場合オブジェクト保持体21の外面21Aに着色し或いは絵柄を表した構成にしてもよい。こうすることにより、オブジェクト8の下地である外面21Aも回転して変化するからオブジェクト8の変化をより際立たせる効果がある。
【0030】
なお、オブジェクト保持体21は上記四角錐に限られず、六角錐でも円錐でもよいし、例えば菓子のプリンの容器や納豆の容器等身近にある立体のものを用いることにより、意外性を発見するなど子供の学習にも有効である。
【0031】
更に、本実施の形態では角度調整台5とオブジェクト回転器6は磁力により固定する構成にしたが、角度調節台5に支持ピンを突設してもよいし、角度調節台5とオブジェクト回転器6を雌雄嵌合や凹凸嵌合により固定させてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 オブジェクト目視具
2 支持台
2D スコープホルダー(スコープ支持部)
3 拡大反射スコープ
3A 鏡筒
3B 対物レンズ
3C 接眼穴
3E 鏡板
4 オブジェクト変転具
4E 固定用磁石
6 オブジェクト回転器
7 オブジェクト保持体
8 オブジェクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクト目視鏡は、スコープ支持部を有する支持台と、該スコープ支持部に着脱可能に支持される拡大反射スコープとから構成し、オブジェクト変転具は、オブジェクト回転器と、前記拡大反射スコープの先端から適宜の間隔の位置で該オブジェクト回転器に着脱可能に支持され、砕片、細片、粒体、流体のいずれか1種以上からなるオブジェクトを保持するオブジェクト保持体とから構成してなる変幻オブジェクト観賞装置。
【請求項2】
前記拡大反射スコープは、筒体と、該筒体の先端側に設けた凸レンズからなる対物レンズと、前記筒体の後端側に設けた接眼穴と、前記筒体内に鏡面を内側にして所望の角度で筒状に配置した複数の鏡板とから構成してあることを特徴とする請求項1記載の変幻オブジェクト観賞装置。
【請求項3】
前記オブジェクト回転器は、角度調整台により前記オブジェクト目視鏡に対する前記オブジェクト保持体の角度を任意に設定可能にしてある請求項1記載の変幻オブジェクト観賞装置。
【請求項4】
前記オブジェクト回転器は、前記オブジェクト保持体を正逆方向に回転可能であることを特徴とする請求項1記載の変幻オブジェクト観賞装置。
【請求項5】
前記オブジェクト保持体は、内側面を多角面又はリブ突出面に形成した有底の容器状に形成し、内部に前記オブジェクトを収容するようにしてなる請求項1記載の変幻オブジェクト観賞装置。
【請求項6】
前記オブジェクト保持体は、透明な材料によって側面を形成し、上方が開放した有底の容器状に構成したものであることを特徴とする請求項1記載の変幻オブジェクト観賞装置。
【請求項7】
前記オブジェクト保持体は、立体に形成し、外面に前記オブジェクトを付着するようにしたものである請求項1記載の変幻オブジェクト観賞装置。
【請求項8】
前記オブジェクト保持体は、前記オブジェクト回転器に磁着、粘着、係着等の着脱自在な手段により取着してあることを特徴とする請求項1記載の変幻オブジェクト観賞装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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