説明

変形可能な硬質ポルスチレン発泡体ボード

ボードの完全性を損なうことなく又はその構造強度を実質的に低減することなく、元の形状から複合湾曲造形への反復変形に耐えることができる、高強度であるが、容易に変形しうるポリスチレン発泡体ボードを製造する方法が提供される。また、改善された曲げ及び衝撃抵抗性を示し、同時に、他の特性、例えば熱寸法安定性及び耐火性の実質的な保持又は改善を示す、この方法により製造される硬質ポリスチレン発泡体ボードが提供される。発泡性組成物は、最終発泡製品の性能を改変する目的で1つ以上の多様なポリマー加工助剤を混和することができ、それによって、最終発泡製品の特性をある程度特別仕様に適合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野及び産業上の利用性
本発明は、絶縁用途、特に建築構造のための外部断熱用仕上げ系(EIFS)、非平面表面及び構造用発泡製品を有する高速道路防音用構造に適切な高強度で容易に変形しうる(HS−ED)硬質押出ポリスチレン(XPS)発泡体ボードを製造する組成物及び方法に関する。本発明により製造される硬質ポリスチレン発泡体ボードは、従来の組成物及び方法を使用して製造される対応する発泡体ボード製品と比べて改善された衝撃抵抗性を示すこともでき、したがって、構造用発泡体製品にも適切でありうる。本発明を、従来の気泡質発泡体(すなわち、典型的にはおよそ104〜106気泡/cm3の気泡密度を示すもの)と、微小気泡発泡体(すなわち、典型的にはおよそ107〜109気泡/cm3の気泡密度を有するもの)の両方に、可能であれば超微小気泡発泡体(すなわち、典型的にはおよそ109〜1012気泡/cm3の気泡密度を有するもの)に適用することもできる。所定の物質において平均気泡サイズが減少すると、膨張係数も減少し、少なくとも部分的に気泡凝集を低減し、かつ相対的により厚い気泡壁を維持することにより、ポリマー強度が増加して、気泡の結合性を維持する傾向がある。
【背景技術】
【0002】
本発明は、柔軟性と強度の望ましい組み合わせを達成するに十分な、例えば1つ以上のビニル樹脂を含む少量の1つ以上の添加剤を含有する発泡体絶縁製品、特に押出ポリスチレン発泡体に関する。本発明により製造される硬質押出ポリスチレン発泡体ボードは、元の非変形ボードの熱及び物理特性を実質的に保持しながら、跳ね、割れ又は亀裂を有することなく、1つ以上の湾曲、屈曲又は変形を有する造形ボード形態を作り出す方法によって室温で繰り返し変形することができる。
【0003】
理解されるように、膨張発泡体絶縁ボードが、その構造的及び絶縁性の完全性を保つ傾向を持ちながら、構造体の建築設計の範囲内に適合するように多様な造形に変形する能力は、建築用途に特に有益である。この能力は、波形、曲面、振動又は他の湾曲複合輪郭を有する、外壁断熱ボードとして又はコンクリート構造のための高速道路地下防音ボードとしての使用が意図される膨張発泡体絶縁ボードにとっても望ましい。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、変形が繰り返された後でさえも、元の実質的に平面の形状から、跳ね、割れ若しくはそれ以外のボードの完全性を損傷するものを有さず、又はボードの構造強度を実質的に低減することなく、湾曲造形に繰り返し変形されうる高強度で容易に変形する(HS−ED)硬質押出ポリスチレン発泡体ボードを製造することに関する。本発明は、改善された曲げ及び衝撃抵抗性を示す硬質ポリスチレン発泡体ボードを製造し、それによって、薄い硬質XPS発泡体ボードの性能及び取り扱いを改善し、同時に、従来のXPS発泡体ボードで示されている他の特性、例えば熱寸法安定性及び耐火性を実質的に保持又は改善する。
【0005】
多様なポリマー加工助剤(PPA)を、例えば、溶融破壊を低減すること、多様なポリオレフィン物品の表面特性を改善すること、安定性を改善すること、ずりを低減すること、同一又は低減された出力で産出量を増加すること、溶融体の温度制御を改善すること及び溶融体の摩擦を改善することを含むポリマー溶融体の加工性能を改変するために、ポリマー溶融体に含めることができる。同様に、ベースポリマーの組成を、1つ以上の他のポリマー及びコポリマーを溶融体に添加してブレンド組成物を形成し、ベースポリスチレンと異なる特性及び性能を示す発泡体を製造することによって改変することができる。この方法において、最終発泡体製品の特徴を、意図される多様な用途にある程度特別に適合させることができる。
【0006】
本発明の特徴及び操作は、本発明の多様な実施態様及び添付の図面の例示によるより詳細な記載によって明らかとなる。これらの図面は、例示目的のみで提供され、縮尺通りに描かれてはいない。多様な実施態様に例示されている要素の空間関係及び相対的な大きさは、対応する記載に関連して図面の明確さを改善するために縮小、拡大又は再配置されている。したがって、図面は、本発明の実施例の実施態様により包含されうる対応する構造的要素の相対的な大きさ又は位置を正確に反映するものとして解釈されるべきではない。
【0007】
下記に詳述する実施態様は、本開示が詳細及び完全であり、本発明の範囲が当業者に完全に伝わるように提供されている。本発明の原則及び特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく多様な数多くの実施態様で用いることができる。事実、当業者は、図1及び2で例示されている種々の構成要素を改変、そうでなければ変更して、押出形状の範囲を提供することができることを容易に理解する。しかし、理解されるように、下記に詳述される特定の予想外の利点を提供するのは、特定の押出形状ではなく主に押出物の組成である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の発泡体ボード、特にポリスチレン発泡体ボードは、柔軟性を増加し、同時に、ポリスチレン又は他のポリマー及び/若しくはコポリマーとブレンドしたポリスチレンから製造された発泡体ボード製品によりもたらされる強度を実質的に保持することを達成するのに有効な1つ以上のビニル樹脂の量を、ポリマー溶融体に混和することによって形成される。したがって、本発明により製造された硬質押出ポリスチレン発泡体ボードを周囲温度で容易に繰り返し変形して、対応する従来のXPS発泡体と比較して、跳ね、割れ又は亀裂を有することなく、同時に、従来の発泡体の他の望ましい特性を一般に保持する、比較的小さい半径の湾曲を製造することができる。この柔軟性と強度の組み合わせは、本発明により製造される硬質押出ポリスチレン発泡体ボードを、複合造形形態の製造のために特に適切にする。
【0009】
本発明の硬質な独立気泡ポリマー発泡体は、酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー及び塩化ビニリデン/メチルアクリレートコポリマーからなる群より選択されるビニル樹脂、1つ以上の発泡剤、並びに他の添加剤及び/若しくはPPAによる従来の押出法を使用して調製することができる。特定の理論に束縛されることなく、1つの以上のビニル樹脂をポリスチレン又はポリスチレンブレンド樹脂に混和することに関連する利益、特に得られた発泡体の改善された変形能には、少なくとも部分的には、ビニル樹脂のヒドロキシ基の水素結合が寄与していると推定される。この理論と一致するように、適切なヒドロキシル又は他の極性置換基を含有する、例えばポリ酸及びポリアミドを含む他のポリマー及びコポリマーは、同様の機能性を示すことができる。
【0010】
代表的なビニル樹脂は、約20〜40mol%、より典型的には約30〜約34mol%のエチレンコポリマー比率(Kuraray EV-QC-4.17試験法を使用して決定)、190℃で約1〜2、より典型的には約1.4〜約1.8g/10分、210℃で約2.5〜約5g/10分、より典型的には約3〜約4g/10分のメルトインデックス(ASTM−D1505試験法を使用して決定)を有するエチレンビニルアルコール(EVOH)コポリマー樹脂である。
【0011】
本発明の押出ポリスチレンポリマー発泡体は、二軸スクリュー(低せん断)及び一軸スクリュー(高せん断)押出機の両方によって調製することができる。典型的な押出機は、基本のポリマー組成物及び他の任意のPPA又は添加剤と共に、多数の供給入口から押出機に添加され、押出機の中を通されて、ポリスチレン溶融体に混和される、選択されたビニル樹脂又はビニル樹脂の組み合わせのペレット又はビーズを含有するマルチフィーダーを含む。押出発泡体製品の調製に利用される一般的な手順には、ベースポリマー組成物を溶融する工程、1つ以上の発泡剤及び他の添加剤をポリマー溶融体に混和する工程が含まれる。これらの組成物は、発泡剤、添加剤及びベースポリマーの十分な混合をもたらし、同時に、混合物の早期形成を防止することが意図される条件下で、例えば、ブレンドされた組成物を比較的高圧で少なくとも混合行程が完了するまで維持することによって調製される。
【0012】
次にこの発泡性混合物を、典型的には、発泡性混合物が押出機を出る温度よりいくらか低い温度でありうる標的ダイ温度に調整する。次に発泡性混合物を、単一又は多段階押出ダイを通して押し出して、発泡性混合物に対する圧力を大気圧、さらには準大気圧に低減して、混合物を発泡させ、発泡体製品を製造する。急速膨張は、発泡した組成物にいくらかの冷却をもたらすが、より急速な冷却のために浸漬浴のような補助的な冷却を利用することができる。
【0013】
理解されるように、ポリマー、発泡剤及び添加剤の相対的な量、並びに発泡温度、及び圧力の低減方法(例えば、段階的又は単一工程)、及びポリマーが押し出される環境、及び任意の後加工が、得られる発泡体製品の1つ以上の表面品質及び機械的特性に影響を与える傾向がある。押出工程後に、発泡体を、例えば動的/静的冷却、造形、切断及び包装を含む追加的な工程に付すことができる。
【0014】
図1に例示されているように、本発明の方法を実施するのに有用な押出装置100は、圧縮するように形状された螺旋羽根106を備えたねじ104に囲まれたバレル102を含む一軸又は二軸(図示されず)スクリュー押出機を含むことができ、したがって、スクリュー押出機の導入された材料を加熱することができる。図1に例示されているように、基材ポリマー組成物を、ビーズ、顆粒若しくはペレットのような流動性固体として、又は液体若しくは半液体溶融体として、1つ以上の(図示されず)の供給ホッパー108からスクリュー押出機に供給することができる。
【0015】
基材ポリマー組成物がスクリュー押出機の中を進むと、羽根106の減少空間が、連続的に小さくなる空間を画定し、その中をポリマー組成物がスクリューの回転によって押し進められる。この減少容量がポリマー組成物の温度が上昇するように作用して、(固体出発材料が使用される場合)ポリマー溶融体が得られる、及び/又はポリマー溶融体の温度を上昇させる。
【0016】
ポリマー組成物がスクリュー押出機100の中を進むと、EVOH及び1つ以上の追加のポリマー加工助剤をポリマー組成物に注入するように形状されうる関連する装置110を有する1つ以上の開口が、バレル102に沿って提供されている場合がある。同様に、1つ以上の発泡剤をポリマー組成物に注入する関連する装置112を有する1つ以上の開口が、バレル102に沿って提供されている場合がある。ポリマー加工助剤及び発泡剤がポリマー組成物に導入されると、得られた混合物は、それぞれの添加剤がポリマー組成物の全体を通して一般に均一に分布されて押出組成物を得るのに十分なように、いくらかの追加的なブレンドに付される。
【0017】
次にこの押出組成物を、押出ダイ114を通過させ、ダイから(大気圧未満でありうる)減圧領域に出し、それによって、発泡剤を膨張させ、ポリマー発泡体層又はスラブを製造する。ポリマー発泡体を、得られたポリマー発泡体製品の厚さ及び他の特性を制御するために、カレンダー仕上げ、水中浸漬、冷却噴霧、又は他の操作のような追加の加工に付すことができる。
【0018】
図2に例示されているように、本発明の方法を実施するのに有用な押出装置200は、圧縮するように形状された螺旋羽根206を備えたねじ204に囲まれたバレル202を含む一軸又は二軸(図示されず)スクリュー押出機を含むことができ、したがって、スクリュー押出機の導入された材料を加熱することができる。図2に例示されているように、基材ポリマー組成物を、場合によりEVOH及び1つ以上の追加のポリマー加工助剤と共に、ビーズ、顆粒若しくはペレットのような流動性固体として、又は液体若しくは半液体溶融体として、1つ以上の(図示されず)の供給ホッパー208からスクリュー押出機に供給することができる。
【0019】
基材ポリマー組成物がスクリュー押出機の中を進むと、羽根206の減少空間が、連続的に小さくなる空間を画定し、その中をポリマー組成物がスクリューの回転によって押し進められる。この減少容量がポリマー組成物の温度が上昇するように作用して、(固体出発材料が使用される場合)ポリマー溶融体が得られる、及び/又はポリマー溶融体の温度を上昇させる。
【0020】
ポリマー組成物がスクリュー押出機200の中を進むと、1つ以上の発泡剤、及び場合により1つ以上のポリマー加工助剤をポリマー組成物に注入するように形状されている関連する装置212を有する1つ以上の開口が、バレル202に沿って提供されている場合がある。所望の量のポリマー、ポリマー加工助剤及び発泡剤がスクリュー押出機に導入されると、得られた混合物は、それぞれの添加剤がポリマー組成物の全体を通して一般に均一に分布されて押出組成物を得るのに十分なように、いくらかの追加的なブレンドに付される。
【0021】
次にこの押出組成物を、押出ダイ214を通過させ、ダイから(大気圧未満でありうる)減圧領域に出し、それによって、発泡剤を膨張させ、ポリマー発泡体層又はスラブを製造する。図2に例示されているように、この減圧は、押出ポリマー混合物が、ダイに備わるより大きな開口部又は押出ダイの下流に備えられた幾つかの適切な装置(図示されず)を通して、ポリマー混合物に適用された圧力が低減するようにある程度制御されて連続的に進むことによって、徐々に得ることができる。また、ポリマー発泡体を、得られたポリマー発泡体製品の厚さ及び他の特性を制御するために、カレンダー仕上げ、水中浸漬、冷却噴霧、又は他の操作のような追加の加工に付すことができる。
【0022】
本発明のXPS発泡体製品は、追加の発泡剤又は発泡助剤として二酸化炭素を混和するか又はしないでHCFC142b発泡剤を使用する場合、約200〜約250℃、典型的にはおよそ240℃の溶融混合温度、約100〜約130℃、典型的にはおよそ120℃のダイ溶融温度、約50〜80bar(5〜8MPa)、典型的にはおよそ60bar(6MPa)のダイ圧力を有する発泡操作で製造することができる。膨張率、すなわち発泡体厚と押出ダイギャップとの比率は、約20〜70の範囲、典型的にはおよそ60であることができる。
【0023】
HCFC、HFC、CO2、H2O、不活性ガス、炭化水素及びこられの混合物を含む、多様な発泡剤を発泡性混合物の形成に利用することができる。当業者には理解されるように、特定の発泡剤は本発明の実施に有用でありうるが、他に考慮することがあり、特に、CFC化合物、また、おそらくHCFC及びHFC化合物の地球のオゾン層の分解に対する明白な寄与によって、その広範囲な使用が制限される。炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン及びシクロペンタンは、オゾンに対してより優しく、安全性とVOC放出の両方に対する関心を引き起こす。
【0024】
従来の発泡系には、1つ以上のPPAと組み合わせて注入することもできる1つ以上の発泡剤を含む組成物が含まれる。そのような系には、例えば、約8〜約14%、より典型的には約11%の発泡性混合物を含むHCFC−142b、約4〜約10%、より典型的には約5.5%の発泡性混合物を、約3%のエタノールと組み合わせて含むHFC−134a、約3%〜約6%、典型的には約3.5〜約4.0%の発泡性混合物を、約1.8%のエタノールと及び/又は1つ以上の追加のPPAと組み合わせて含む二酸化炭素が含まれる。PPAを、発泡性混合物全体にわたる発泡剤の溶解性又は分布を増加するため、及び/又は完成した発泡体製品の1つ以上の特性、例えば連続気泡の率、表面品質及び発泡体密度を改変するために使用することができる。
【0025】
本発明は、1)フラットダイ及び造形プレートと組み合わせた二軸スクリューLMP押出機、及び2)ラジアルダイ及びスリンキー造型機と組み合わせた一軸スクリュータンデム押出機の両方を使用して、本発明の硬質ポリスチレン発泡体ボードの代表例と、従来の硬質ポリスチレン発泡体ボードの比較例を調製することによって実証された。上記のパイロットと製造ラインを出る発泡体には、両方とも真空を提供することもできる。
【0026】
表1は、二軸スクリュー押出機における実施例及びEVOH添加剤のない対照実施例の加工条件を示す。EVOHコポリマーは、Eval Company of AmericaのF171の32mol%EVAL等級材料から調製された。使用したポリスチレン樹脂は、約1.6g/10分のメルトインデックスを有するNOVA Chemical Inc.のNOVA 1220であった。安定化ヘキサブロモシクロドデカン(Great Lakes Chemical, HBCD SP-75)を、難燃剤として、固体発泡ポリマーの約1質量%の濃度で混和した。他の添加剤には、約0.5質量%のタルク及び微量の着色剤が含まれた。
【0027】
【表1】

【0028】
次に、下記の表2に反映されているように、異なるEVOH濃度及び物理的寸法、並びに発泡体特性を有する得られたXPS発泡体製品2つの本発明の例及び1つの比較例を、特定の圧縮強度及び変形(曲げ)評価に付した。
【0029】
【表2】

【0030】
圧縮強度及び変形(曲げ)評価の結果を下記の表3に詳述する。
【0031】
【表3】

1曲げ試験に使用した試験方法は、下記の段落〔0038−43〕に記載されており、大きなほうの寸法が押出方向を横断する方向であるシートから切断した試料に適用した。
2fは、下記で更に詳述される破壊半径である。
3cは、下記で更に詳述される臨界半径である。
4rは、パネルが破壊することなくRcに近づくことができる回数の測定である。
【0032】
表2から分かるように、微量部分のEVOHの添加、例えば、固体発泡体ポリマーに基づいて約2.5質量%未満のEVOHの、発泡性ポリスチレン混合物への添加は、得られるXPS製品の圧縮強度を維持し、同時に、柔軟性及び耐久性を有意に改善する傾向があった。圧縮強度の維持に加えて、実施例の組成の発泡体は、およそ0.2w/m・kの熱伝導率(老化180日間)の熱伝導率と、小規模延焼試験でのおよそ15〜17秒の燃焼時間の難燃性の両方に関して対照発泡体に相応していた。
【0033】
したがって、本発明は、XPS絶縁を使用することができる、例えば異なる複合造形を形成することが必要になる絶縁用途の範囲を広げ、従来の絶縁シートを切断及び封止する必要性を、又は複合造形の特別仕様若しくは半特別仕様の形状を維持する必要性を低減又は排除することによって設置を簡単にし、それによって建設労務費を低減し、同時に設置製品の絶縁性能を維持又は改善する、高強度で容易に変形する(HS−ED)硬質ポリスチレン発泡体ボードを提供する。
【0034】
上記の表3に報告されているように、本発明の発泡体組成物及び従来の発泡組成物の変形(曲げ)性能を、以下の手順を使用して評価した。
【0035】
曲げ試験
出願者は、この試験の従来のASTM又はISO同等物を承知していないが、多様な発泡体試料の相対的柔軟性/延性性を評価及び定量化するために、この誘導曲げ試験を開発した。この試験は、見掛け曲げ弾性率(ASTM D747により決定)のような全ての硬質発泡体の機械的柔軟特性に対処すること、又は弾性と可塑性の構成要素を識別することを意図又は目的としていない。しかしこの試験は、発泡体ボートを10回まで(又はボードが反復変形に耐えるのに十分な耐久性がない場合は破壊するまで)曲げることによる、曲げ半径を可能にする見掛け値、並びに発泡体ボードの耐久性の測度の比較的簡単な評価を提供する。
【0036】
XPS発泡体製品の性能を評価するのに使用できる他の試験には、自由曲げ、誘導曲げ(例えば、ASTM E190)、半誘導曲げ(ASTM E290)及び巻き付け曲げを含む多様な種類の曲げに対処する曲げ試験が含まれる。他の試験には、片持ちはりの曲げの力及び角度を測定することにより見掛け曲げ弾性率を決定する、片持ちはり曲げ弾性率(例えば、ASTM D747)が含まれる。
【0037】
試験を、4インチ×24インチ(10×61cm)の寸法を持つXPSシートから切断した長方形の試験試料で行った。試験試料の厚さは、試験される製品シートの厚さを反映した。次にこれらの試験試料を、2つの異なる曲げ試験に付した。
【0038】
図3A及び3Bに例示されているように、試験Aは、試験試料を図3Aの曲げ誘導固定具上に置き(誘導固定具は、2インチから6インチ(5cm〜15cm)で選択できる直径を有するスチール管である)、十分な力を適用して試料の両端を押し下げる半誘導曲げ試験であった。試料が変形すると、試料の中央凸領域Cを、割れ又は試料破壊を示す他のひずみ誘発欠陥について調べた。破壊でのたわみ又は中央縦座標Δを各試料で記録した。次に破壊半径Rfを式Iに従って計算した。
f=(L2/8Δ)+Δ/2 (I)
式中、L=たわみを測定する弦の長さ(これらの試料では24インチ)及びΔ=たわみ又は中央縦座標(インチ)。
【0039】
図4A及び4Bに例示されているように、試験Bは、試験手順を、試験Aの手順で利用した同じ曲げ誘導固定具を使用して同様にした自己平行180°曲げ試験であった。試料を曲げ誘導固定具の上に置き、十分な力Fを適用して、試料の対向する端を平行方向にし(図4A)、平行端の間の間隙、したがって試料の円弧部分の半径を、試料が破壊するまで、例えば中央凸領域に割れ目ができるまで低減した。この半径を臨界半径Rcとして記録した。
【0040】
図4Bに例示されているように、次に試料を、最初に順方向、次に逆方法(破線で示されている)に、試料の中央凸表面に割れが観察されるまで、又は10曲げサイクルが完了するまで、この臨界半径に近づけて繰り返し曲げた。試料が耐えたサイクルの数Trを、破壊又は試験の終了時、すなわちTr>10で記録した。
【0041】
本発明の非限定例の実施態様が上記で詳細に記載されてきたが、本明細書で教示される基本的な発明の概念に対する多くの変形及び/又は変更は、当業者に容易に理解され、依然として本発明の実施例の実施態様の精神及び範囲内であり、添付の請求項で定義されているとおりであることを理解するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の方法を実施するのに有用な例示的な押出装置の概略図である。
【図2】本発明の方法を実施するのに有用な別の例示的な押出装置の概略図である。
【図3A】第1の曲げ試験の手順を例示する。
【図3B】第1の曲げ試験の手順を例示する。
【図4A】第2の曲げ試験の手順を例示する。
【図4B】第2の曲げ試験の手順を例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡ポリスチレン発泡体製品を製造する方法であって、
主要部分のポリスチレン、第1副部分の曲げ剤及び第2副部分の発泡剤を含む加圧発泡性組成物を調製すること;
加圧発泡性組成物をダイからより低い圧力の領域に押し出して、中間発泡体製品を形成すること;及び
中間発泡体製品を冷却し、仕上げて、最終発泡体製品を形成すること
を含む方法。
【請求項2】
曲げ剤が、酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー、及び塩化ビニリデン/メチルアクリレートコポリマーの少なくとも1つから選択される、請求項1記載の発泡ポリスチレン発泡体製品の製造方法。
【請求項3】
曲げ剤が、ビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)である、請求項1記載の発泡ポリスチレン発泡体製品の製造方法。
【請求項4】
曲げ剤が、約190℃で約1.5〜約1.8のメルトインデックスを有するビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)である、請求項1記載の発泡ポリスチレン発泡体製品の製造方法。
【請求項5】
曲げ剤が、約190℃で約1.5〜約1.8のメルトインデックスを有し、約30〜約34mol%のエチレン組成を有するビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)である、請求項1記載の発泡ポリスチレン発泡体製品の製造方法。
【請求項6】
曲げ剤が、発泡製品の乾燥質量に基づいて発泡性組成物の約5質量%未満を表すビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)である、請求項1記載の発泡ポリスチレン発泡体製品の製造方法。
【請求項7】
曲げ剤が、発泡製品の乾燥質量に基づいて発泡性組成物の約2.5質量%以下を表すビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)である、請求項1記載の発泡ポリスチレン発泡体製品の製造方法。
【請求項8】
曲げ剤が、発泡製品の乾燥質量に基づいて発泡性組成物の約0.5質量%以下を表すビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)である、請求項1記載の発泡ポリスチレン発泡体製品の製造方法。
【請求項9】
加圧発泡性組成物が、ポリスチレン以外の副部分のオレフィンポリマー又はオレフィンコポリマーも含む、請求項1記載の発泡ポリスチレン発泡体製品の製造方法。
【請求項10】
曲げ剤が、ポリスチレンと水素結合を形成する傾向がある複数の極性基を組み込む、請求項1記載の発泡ポリスチレン発泡体製品の製造方法。
【請求項11】
主要部分の極性基がヒドロキシル基である、請求項10記載の発泡ポリスチレン発泡体製品の製造方法。
【請求項12】
主要部分のポリスチレンと、
第1副部分の曲げ剤と、
第2副部分の発泡剤とを含み、約1インチ(約2.54cm)の公称厚さを有する横断試料が、約12インチ未満の破壊半径Rfを有する
硬質発泡ポリスチレン発泡体製品。
【請求項13】
主要部分のポリスチレンに適合する、第3副部分の1つ以上のポリマー及びコポリマーを更に含み、
第1副部分の曲げ剤が、少なくとも2つの曲げ剤のブレンドであり、更に、
第2副部分の発泡剤が、少なくとも2つの発泡剤のブレンドである
請求項12記載の硬質発泡ポリスチレン発泡体製品。
【請求項14】
第1副部分の曲げ剤が、酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー、及び塩化ビニリデン/メチルアクリレートコポリマーの少なくとも1つから選択される少なくとも1つの化合物を含み、第2副部分の発泡剤が、HCFC、HFC、CO2、H2O、不活性ガス、炭化水素、及びこれらの混合物の少なくとも1つから選択される少なくとも1つの化合物を含み、約1インチ(約2.54cm)の公称厚さを有する横断試料が、約12インチ未満の試験A破壊半径Rfの半径を有する、請求項12記載の硬質発泡ポリスチレン発泡体製品。
【請求項15】
曲げ剤が、ビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)である、請求項12記載の硬質発泡ポリスチレン発泡体製品。
【請求項16】
曲げ剤が、約190℃で約1.5〜約1.8のメルトインデックスを有するビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)である、請求項12記載の硬質発泡ポリスチレン発泡体製品。
【請求項17】
曲げ剤が、約190℃で約1.5〜約1.8のメルトインデックスを有し、30〜34mol%のエチレン組成を有するビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)である、請求項12記載の硬質発泡ポリスチレン発泡体製品。
【請求項18】
曲げ剤が、発泡製品の乾燥質量に基づいて発泡性組成物の約2.5質量%以下を表すビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)である、請求項12記載の硬質発泡ポリスチレン発泡体製品。
【請求項19】
曲げ剤が、発泡製品の乾燥質量に基づいて発泡性組成物の約1.0質量%以下を表すビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)である、請求項12記載の硬質発泡ポリスチレン発泡体製品。
【請求項20】
曲げ剤が、発泡製品の乾燥質量に基づいて発泡性組成物の約2.5質量%以下を表すビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)であり、約1インチ(約2.54cm)の公称厚さを有する横断試料が、約6インチ未満のRfを有する、請求項14記載の硬質発泡ポリスチレン発泡体製品。
【請求項21】
曲げ剤が、発泡製品の乾燥質量に基づいて発泡性組成物の約2.5質量%以下を表すビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)であり、約1インチ(約2.54cm)の公称厚さを有する横断試料が、約4インチ未満のRfを有する、請求項4記載の硬質発泡ポリスチレン発泡体製品。
【請求項22】
曲げ剤が、発泡製品の乾燥質量に基づいて発泡性組成物の約2.5質量%以下を表すビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOH)であり、約1インチ(約2.54cm)の公称厚さを有する横断試料が、試験手順Aに従って測定して、約4インチ未満のRf及び約12インチ(約30.5cm)未満の臨界半径Rcを有する、請求項14記載の硬質発泡ポリスチレン発泡体製品。
【請求項23】
約1インチ(約2.54cm)の公称厚さを有するポリスチレン発泡体製品が、試験手順Bに従って測定して、約4インチ未満のRf及び約6インチ(約15.2cm)未満の臨界半径Rcを有する、請求項19記載の硬質発泡ポリスチレン発泡体製品。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2009−504896(P2009−504896A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528011(P2008−528011)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/032317
【国際公開番号】WO2007/024682
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(507220187)オウェンス コーニング インテレクチュアル キャピタル リミテッド ライアビリティ カンパニー (14)
【Fターム(参考)】