説明

変性ポリイミド樹脂の製造方法

【課題】 溶媒中、ジイソシアネート化合物と、2官能性水酸基末端ポリカーボネートを含む一種類以上のジオール化合物及び2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとを反応して、溶液粘度(重合度)を好適に制御した変性ポリイミド樹脂溶液を簡便且つ経済的に得ることができる変性ポリイミド樹脂の製造方法を提供すること。
【解決手段】 溶媒中、(A)ジイソシアネート化合物と、(B)(b1)下記化学式(1)で示される2官能性水酸基末端ポリカーボネートを含む一種類以上のジオール化合物、及び(C)下記化学式(2)で示される2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとを、ジイソシアネート化合物に対するジオール化合物のモル比[(B)+(C)]/(A)を1.01〜1.09の範囲で反応し、次いで反応混合液の溶液粘度が所定粘度まで上昇した段階で(D)1官能性活性水素化合物を添加することを特徴とする変性ポリイミド樹脂の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶媒中、ジイソシアネート化合物と、2官能性水酸基末端ポリカーボネートを含む一種類以上のジオール化合物及び2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとを反応して変性ポリイミド樹脂を得る製造方法に関する。この製造方法によって、溶液粘度(重合度)を好適に制御した変性ポリイミド樹脂溶液を簡便且つ経済的に得ることができる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有機溶媒に可溶であり、電気絶縁性と密着性の両方が優れ、更に耐熱性、柔軟性、低ソリ性、耐溶剤性、耐薬品性、耐屈曲性などに優れたポリカーボネートを含んだ変性ポリイミド樹脂と、その変性ポリイミド樹脂を用いた樹脂組成物が開示されている。ところで、この変性ポリイミド樹脂は、反応混合液中の水分によって失活し易いジイソシアネート化合物と、反応性や溶解性などの特性が異なる2種類以上のジオール化合物との反応によって製造されるために、反応温度や反応環境などの反応条件によって反応が影響を受け易く、得られる変性ポリイミド樹脂溶液の溶液粘度を制御するのが容易ではなかった。
特許文献1では、具体的には、ジオール化合物の種類によって2段階に反応を分けて行うなどの製造方法が採用されているが、2段階で反応するのは経済的ではなく、さらに改良の余地があった。
変性ポリイミド樹脂溶液の溶液粘度(重合度)が制御できないと、その変性ポリイミド樹脂を用いた樹脂組成物の物性や取扱い性に大きな影響があるため、溶液粘度(重合度)が容易に制御でき且つ簡便で経済的な変性ポリイミド樹脂の製造法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−307183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、溶媒中、ジイソシアネート化合物と、2官能性水酸基末端ポリカーボネートを含む一種類以上のジオール化合物及び2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとを反応して変性ポリイミド樹脂を得る製造方法であって、溶液粘度(重合度)を好適に制御した変性ポリイミド樹脂溶液を簡便且つ経済的に得ることができる変性ポリイミド樹脂の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の各項に関する。
(1) 溶媒中、(A)ジイソシアネート化合物と、(B)(b1)下記化学式(1)で示される2官能性水酸基末端ポリカーボネートを含む一種類以上のジオール化合物、及び(C)下記化学式(2)で示される2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとを反応して変性ポリイミド樹脂を得る製造方法において、
ジイソシアネート化合物に対するジオール化合物のモル比[(B)+(C)]/(A)を1.01〜1.09の範囲で反応し、次いで反応混合液の溶液粘度が所定粘度まで上昇した段階で(D)1官能性活性水素化合物を添加することを特徴とする変性ポリイミド樹脂の製造方法。
【0006】
【化1】

但し、式中、Rは2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を示し、nは1〜40の整数である。
【0007】
【化2】

但し、式中、Rは2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を示し、Xはテトラカルボン酸のカルボキシル基を除いた4価の基を示し、Yはジアミンのアミノ基を除いた2価の基を示し、mは0〜20の整数である。
【0008】
(2) (B)のジオール化合物が、さらに(b2)反応性極性基含有ジオール化合物を含むことを特徴とする前記項1に記載の変性ポリイミド樹脂の製造方法。
【0009】
(3) (D)の1官能性活性水素化合物が、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、メチルエチルケトオキシム、及びピラゾールから選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする前記項1または2に記載の変性ポリイミド樹脂の製造方法。
【0010】
(4) 反応混合液の水分量が100〜800ppmであることを特徴とする前記項1〜3のいずれかに記載の変性ポリイミド樹脂の製造方法。
【0011】
(5) 反応混合液の溶液粘度と撹拌装置の負荷電流との関係が確認された撹拌装置を用いて、反応混合液を撹拌し、反応混合液の溶液粘度が所定粘度まで上昇した段階であることを、撹拌装置の負荷電流の値で決定することを特徴とする前記項1〜4のいずれかに記載の変性ポリイミド樹脂の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、溶媒中、ジイソシアネート化合物と、2官能性水酸基末端ポリカーボネートを含む一種類以上のジオール化合物及び2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとを反応して変性ポリイミド樹脂を得る製造方法であって、溶液粘度(重合度)を好適に制御した変性ポリイミド樹脂溶液を簡便且つ経済的に得ることができる変性ポリイミド樹脂の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、この発明の方法を詳しく説明する。
本発明で使用される(A)ジイソシアネート化合物としては、1分子中にイソシアネ−ト基を2個有するものであればどのようなものでもよい。例えば、脂肪族、脂環族又は芳香族のジイソシアネ−ト、好ましくはイソシアネート基を除いて炭素数が2〜30の脂肪族、脂環族又は芳香族のジイソシアネ−トであり、具体的には1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,5−ペンタメチレンジイソシアネ−ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、2,2,4−トリメチル−1,6−へキサメチレンジイソシアネ−ト、リジンジイソシアネ−ト、3−イソシアネ−トメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネ−ト(イソホロンジイソシアネ−ト)、1,3−ビス(イソシアネ−トメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ−ト、トリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、トリジンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト等を好適に例示することができる。
【0014】
本発明で使用される(B)ジオール化合物は、必須成分として(b1)前記化学式(1)で示される2官能性水酸基末端ポリカーボネートを含むジオール化合物である。
(b1)2官能性水酸基末端ポリカーボネートは、前記化学式(1)で示される2官能性水酸基末端ポリカーボネートであり、変性ポリイミド樹脂に柔軟性を付与する作用を持つので、限定するものではないが、前記化学式(1)のRが2価の脂肪族炭化水素基である2官能性水酸基末端ポリカーボネートが好ましい。(b1)2官能性水酸基末端ポリカーボネートは、数平均分子量が好ましくは500〜10000、より好ましくは1000〜5000のものが好適である。
本発明で使用される(b1)2官能性水酸基末端ポリカーボネートは、具体的には宇部興産株式会社製のUH−CARB、UN−CARB、UD−CARB、UC−CARB、ダイセル化学工業株式会社製のPLACCEL CD−PL、PLACCEL CD−H、クラレ株式会社製のクラレポリオールCシリーズなどを好適に例示することができる。これらのポリカーボネートジオールは、単独で、または二種類以上を組合せて用いられる。
【0015】
本発明で使用される(B)ジオール化合物は、(b1)前記化学式(1)で示される2官能性水酸基末端ポリカーボネートを単独で用いても構わないし、他のジオール化合物との組合せでも構わない。
本発明においては、(B)ジオール化合物は、さらに(b2)反応性極性基含有ジオール化合物を含有することが好適であり、特に(b)数平均分子量が500〜10000の2官能性水酸基末端ポリカーボネートと、(b)反応性極性基含有ジオール化合物とを組合せて用いるのが好ましい。
【0016】
(b2)反応性極性基含有ジオール化合物は、分子中にエポキシ基あるいはイソシアネート基との反応性を有する極性基を持ったジオール化合物が好ましい。特に限定するものではないが、置換基として活性水素を有するジオール化合物、例えばカルボキシル基やフェノール性水酸基を持ったジオール化合物が好ましく、特に置換基としてカルボキシル基やフェノール性水酸基を持った炭素数が1〜30更に炭素数が2〜20のジオール化合物が好適である。具体的には、カルボキシル基を有するジオール化合物として、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸などを挙げることができる。フェノール性水酸基を有するジオール化合物として、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−フェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾールなどを挙げることができる。
【0017】
本発明で使用される(C)2官能性水酸基末端イミドオリゴマーは、前記化学式(2)で示すことができる。この2官能性水酸基末端イミドオリゴマーは、テトラカルボン酸成分と、ジアミン化合物及び水酸基を1個有するモノアミン化合物からなるアミン成分とから得られる。前記式中mは0〜20の整数を示し、好ましくは0〜10であり、より好ましくは0〜5であり、特に1〜5である。
【0018】
(C)2官能性水酸基末端イミドオリゴマーのテトラカルボン酸成分としては、芳香族テトラカルボン酸、又はそれらの酸二無水物や低級アルコ−ルのエステル化物が、得られる変性ポリイミド樹脂の耐熱性が優れているのでの好適である。具体的には、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ベンゼンジカルボン酸)ヘキサフルオロプロパン、ピロメリット酸、1,4−ビス(3,4−ベンゼンジカルボン酸)ベンゼン、2,2−ビス〔4−(3,4−フェノキシジカルボン酸)フェニル〕プロパン、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタンなどの芳香族テトラカルボン酸、又はそれらの酸二無水物や低級アルコ−ルのエステル化物、及びシクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3−メチル−4−シクロヘキセン−1,2,4,5−テトラカルボン酸などの脂環族系テトラカルボン酸、又はそれらの酸二無水物や低級アルコ−ルのエステル化物を好適に挙げることができる。これらのなかでも特に2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルエ−テルテトラカルボン酸、及び2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、又はそれらの酸二無水物や低級アルコ−ルのエステル化物は、変性ポリイミドとしたときの有機溶媒に対する溶解性が優れているので好適である。
テトラカルボン酸成分は、ジアミンと反応させることが容易なテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。
【0019】
(C)2官能性水酸基末端イミドオリゴマーのアミン成分中のジアミン化合物としては、特に限定されるものではなく、芳香族、脂環式及び脂肪族のジアミンを用いることができる。具体的には、芳香族ジアミンは、1,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2,5−ジハロゲノベンゼンなどのベンゼン1個を含むジアミン類、ビス(4−アミノフェニル)エ−テル、ビス(3−アミノフェニル)エ−テル、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(3−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、o−ジアニシジン、o−トリジン、トリジンスルホン酸類などのベンゼン2個を含むジアミン類、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼンなどのベンゼン3個を含むジアミン類、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4’−(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、5,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセンなどのベンゼン4個以上を含むジアミン類などのジアミン化合物が挙げることができる。脂環式ジアミンは、分子内に一つ以上の脂肪族環を有する炭素数が5〜30の脂環式ジアミンが好ましく、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどを挙げることができる。脂肪族ジアミンは、炭素数が2〜30の脂肪族ジアミンが好ましく、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノドデカンなどを挙げることができる。
【0020】
前記ジアミン化合物のうち脂環式ジアミンを用いた2官能性水酸基末端イミドオリゴマーは、有機溶剤に対する溶解性が高くなる。このため、前記化学式(1)のRが炭素数9以上の長鎖メチレン基からなるポリカーボネートジオールと組合せて変性ポリイミド樹脂を得た場合でも、その変性ポリイミド樹脂は、有機溶剤に均一に溶解し易く、更に耐熱性が良好であるから特に好適である。
【0021】
(C)2官能性水酸基末端イミドオリゴマーのアミン成分中の水酸基を1個有するモノアミン化合物としては、分子中に水酸基とアミノ基とを各1個有する化合物であれば特に限定するものではないが、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノールなどの水酸基を有する脂肪族モノアミン化合物特に炭素数が1〜10の水酸基を有する脂肪族モノアミン化合物、アミノシクロヘキサノールなどの水酸基を有する脂環式モノアミン化合物特に炭素数が3〜20の水酸基を有する脂環式モノアミン化合物、アミノフェノール、アミノクレゾール、4−ヒドロキシ−4’−アミノジフェニルエーテル、4−ヒドロキシ−4’−アミノビフェニル、アミノベンジルアルコール、アミノフェニチルアルコールなどの水酸基を有する芳香族モノアミン化合物特に炭素数が6〜20の水酸基を有する芳香族モノアミン化合物を好適に挙げることができる。
【0022】
(C)2官能性水酸基末端イミドオリゴマーは、テトラカルボン酸成分と、ジアミン化合物及び水酸基を1個有するモノアミン化合物からなるアミン成分とを、テトラカルボン酸成分の酸無水物基(あるいは隣接する二個のカルボキル基等)の当量数と、アミン成分のアミノ基の当量数とが略等量となるようにして、有機溶媒中で重合及びイミド化反応させて得ることができる。具体的には、テトラカルボン酸成分(特にテトラカルボン酸二無水物)と、ジアミン化合物と水酸基を有するモノアミン化合物からなるアミン成分とを、酸無水物基(または隣接するジカルボン酸基)とアミン成分のアミノ基とが略当量となるような割合で使用して、各成分を有機極性溶媒中で、約100℃以下、特に80℃以下の反応温度で反応させてアミド−酸結合を有するオリゴマーを生成し、次いで、そのアミド−酸オリゴマー(アミック酸オリゴマーともいう)を、約0℃〜140℃の低温でイミド化剤を添加するか或いは140℃〜250℃の高温で加熱して脱水・イミド化させる方法によって得ることができる。脱水・イミド化反応のとき、トルエンやキシレンを加えて、共沸によって縮合水を除去しながら反応させてもよい。
【0023】
(C)2官能性水酸基末端イミドオリゴマーを製造する際に使用される有機溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、などのアミド類溶媒、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホルムアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホンなどの硫黄原子を含有する溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノールなどのフェノール類溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラグライムなどのジグライム類溶媒、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類溶媒、イソホロン、シクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンなどのケトン類溶媒、ピリジン、エチレングリコール、ジオキサン、テトラメチル尿素などの其の他の溶媒、また必要に応じてベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類溶媒を挙げることができる。これらの有機溶媒は単独で用いても複数種を混合して用いても構わない。
【0024】
前述のようにして製造した(C)2官能性水酸基末端イミドオリゴマーは、前記化学式(2)中のmが異なる複数の2官能性水酸基末端イミドオリゴマーの混合物になることがある。この発明では、mが異なる複数の2官能性水酸基末端イミドオリゴマーからなる混合物を、それぞれのイミドオリゴマーに分離して用いても構わないが、分離しないで混合物のままで好適に用いることができる。なお、2官能性水酸基末端イミドオリゴマーのm(混合物の場合はmの平均値)は、製造時のアミン成分中のジアミン化合物とモノアミン化合物との仕込み比(モル比)によって制御することができる。
【0025】
また、前述のようにして製造した(C)2官能性水酸基末端イミドオリゴマーは、その反応液を、そのまま又は適宜濃縮あるいは希釈して、変性イミドオリゴマー溶液として使用してもよい。また、その反応液を水等の非溶解性溶媒に注ぎ込んで、粉末状の生成物として単離して、必要な時にその粉末生成物を有機極性溶媒に溶解して使用してもよい。
【0026】
本発明で用いられる(D)1官能性活性水素化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類、ピラゾール等を挙げることができる。メチルエチルケトオキシムやピラゾールは、変性ポリイミド樹脂組成物の硬化性を向上させるのでより好適である。
【0027】
本発明の変性ポリイミド樹脂の製造方法は、溶媒中、(A)ジイソシアネート化合物と、(B)(b1)下記化学式(1)で示される2官能性水酸基末端ポリカーボネートを含む一種類以上のジオール化合物及び(C)下記化学式(2)で示される2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとを反応して変性ポリイミド樹脂を得る製造方法において、ジイソシアネート化合物に対するジオール化合物のモル比[(B)+(C)]/(A)を1.01〜1.09の範囲で反応し、次いで、反応混合液の溶液粘度が所定粘度まで上昇した段階で(D)1官能性活性水素化合物を添加することを特徴とする。
【0028】
本発明の変性ポリイミド樹脂の製造方法では、得られる変性ポリイミド樹脂溶液が比較的高濃度の場合でも、取り扱いやすい低溶液粘度に容易に制御することができる。限定するものではないが、例えば固形分濃度が20質量%以上好ましくは30質量%以上より好ましくは40質量%以上の変性ポリイミド樹脂溶液を、25℃における溶液粘度が1〜500Pa・s好ましくは10〜300Pa・sより好ましくは50〜200Pa・s程度の取扱いが容易な溶液粘度に再現性良く容易に制御することができる。
したがって、本発明の製造方法においては、好ましくは固形分濃度が前記濃度になるような濃度で反応が行われ、好ましくは得られる変性ポリイミド樹脂溶液の溶液粘度が前記粘度になるように、(D)1官能性活性水素化合物が添加される。
【0029】
本発明の変性ポリイミド樹脂の製造方法で用いる溶媒は、反応する各成分を好適に溶解できるものであれば限定するものではないが、(C)2官能性水酸基末端イミドオリゴマーを製造する際に使用される有機溶媒と同じものを好適に使用することができる。
例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタムなどのアミド類溶媒、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルフォスホルムアミド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホンなどの硫黄原子を含有する溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラグライムなどのジグライム類溶媒、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類溶媒、イソホロン、シクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンなどのケトン類溶媒、ピリジン、エチレングリコール、ジオキサン、テトラメチル尿素などの其の他の溶媒、また必要に応じてベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は単独でもいくつかの溶媒の混合物であっても構わない。これらの溶媒の中でも、ジグライム類溶媒、ラクトン類溶媒、ケトン類溶媒が好適に用いられる。
なお、本発明の変性ポリイミド樹脂の製造方法で用いる溶媒は、好ましくは反応混合液の水分量が100〜800ppmになるように、溶媒の水分量も制御されることが好ましい。
【0030】
本発明の変性ポリイミド樹脂の製造方法において、(A)ジイソシアネート化合物と、(B)(b1)下記化学式(1)で示される2官能性水酸基末端ポリカーボネートを含む一種類以上のジオール化合物及び(C)下記化学式(2)で示される2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとは、ジイソシアネート化合物に対するジオール化合物のモル比[(B)+(C)]/(A)を1.01〜1.09、好ましくは1.01〜1.08の範囲で反応される。
ジイソシアネート化合物に対するジオール化合物のモル比[(B)+(C)]/(A)が1.01未満では、反応混合液の溶液粘度の増大速度が大きくなって、溶液粘度(重合度)が容易に制御でき難くなる。またジイソシアネート化合物に対するジオール化合物のモル比[(B)+(C)]/(A)が1.09を超えると、十分な分子量を持った変性ポリイミド樹脂を得るために長時間の反応が必要になったり、或いは十分な分子量を持った変性ポリイミド樹脂を得ることが難しくなったりするので好適ではない。
本発明の変性ポリイミド樹脂の製造方法では、これら(A)、(B)及び(C)の反応は、一段反応で好適に行うことができる。
また、この反応は、反応温度が30℃〜150℃好ましくは30℃〜130℃で、0.1〜50時間、好ましくは0.5〜40時間反応することによって好適に行うことができる。圧力は限定されないが通常は常圧であり、雰囲気は不活性ガス雰囲気で好適に行うことができる。
【0031】
本発明の変性ポリイミド樹脂の製造方法では、(A)ジイソシアネート化合物と、(B)ジオール化合物とを、ジイソシアネート化合物に対するジオール化合物のモル比[(B)+(C)]/(A)を1.01〜1.09の範囲で反応した後で、反応混合液の溶液粘度が所定粘度まで上昇した段階で(D)1官能性活性水素化合物を添加する。
ここで、所定粘度とは、同じ装置や原料やスケールで同様の反応を行った結果に基づいて経験的に決定されるべき溶液粘度であって、通常は目的の溶液粘度の90〜130%好ましくは95〜125%の値である。
【0032】
本発明の変性ポリイミド樹脂の製造方法においては、反応混合液の溶液粘度と撹拌装置の負荷電流との関係が、所定の濃度や温度などの条件で確認された撹拌装置を用いて、反応混合液を撹拌し、反応混合液の溶液粘度が所定粘度まで上昇した段階であることを、撹拌装置の負荷電流の値で決定することが好ましい。このような手段を採用することによって、反応混合液の溶液粘度と撹拌装置の負荷電流との関係を一旦確認すれば、以降同じ条件で製造する場合には確認する必要がなくなるし、電気信号に変換することによって制御システムを容易に構築できる。この結果、操作が簡便になるのみならず、得られる変性ポリイミド樹脂溶液の溶液粘度の精度(再現性)をさらに向上することができる。
なお、反応混合液の溶液粘度と撹拌装置の負荷電流との関係は、予め決定した製造時に採用される反応条件(反応容器、濃度、温度、撹拌速度など)において、溶液粘度と負荷電流の値を測定して確認される。
【0033】
本発明の変性ポリイミド樹脂の製造方法において、反応混合液の溶液粘度が所定粘度まで上昇した段階で(D)1官能性活性水素化合物を添加した後は、樹脂溶液を均一にするために反応混合物を十分に撹拌して反応を完結することが好ましい。その後、反応混合液は冷却するのが好ましい。
【0034】
本発明の変性ポリイミド樹脂の製造方法によって得られる変性ポリイミド樹脂は、溶液粘度(重合度)が制御されたものであるので目的の特性を持っており、得られた変性ポリイミド樹脂溶液のままで、或いは一旦非溶媒などを用いて析出した後で、必要に応じて他の樹脂や充填材や添加剤と混合した組成物として、例えば特許文献1に記載された絶縁膜用硬化性樹脂組成物として好適に用いることができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0036】
以下の各例において測定、評価は次の方法で行った。
〔溶液粘度〕
東機産業株式会社製粘度計TV−22を用い、温度25℃で、回転数1rpmにて測定した。
〔GPC〕
東ソー株式会社製HLC−8220GPC(カラム TSKgel SuperHZ1000+TSKgel SuperHZ3000)を用い、THFを溶媒として測定を行い、ポリスチレン標準試料を用い、数平均分子量を求めた。
〔固形分濃度〕
変性ポリイミド樹脂溶液約1gを精秤してγ―ブチロラクトン約3gで希釈し、これを150℃で4時間加熱し、加熱前の試料質量(w1、但し希釈用γ―ブチロラクトンは含まず)と加熱後の試料質量(w2)から、次式により固形分濃度を測定した。
固形分濃度(%)=〔w2/w1〕×100
【0037】
以下の各例において以下の撹拌装置を用いた。
〔撹拌装置〕
新東科学株式会社製スリーワンモータBL300を用いた。
〔粘度と撹拌負荷電流との相関関係〕
撹拌装置、温度計及び窒素導入管を備えた容量500ミリリットルのガラス製セパラブルフラスコに、粘度が既知の変性ポリイミド樹脂500gを入れ、80℃および90℃、100rpmで撹拌し、その時の負荷電流値を記録した。変性ポリイミド樹脂の粘度を変えて同様の操作を繰り返し行うことにより、粘度と撹拌負荷電流との相関関係を求めた。
【0038】
〔参考例1〕2官能性水酸基末端イミドオリゴマーの製造
窒素導入管、ディーンスタークレシバー、冷却管を備えた容量500ミリリットルのガラス製セパラブルフラスコに、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 117.6g(0.40モル)、イソホロンジアミン 34.0g(0.20モル)、3−アミノプロパノール 30.0g(0.40モル)、及びジメチルアセトアミド 400ミリリットルを仕込み、窒素雰囲気下、100℃で1時間撹拌した。次いで、トルエン100ミリリットルを加え、180℃4時間加熱し、イミド化反応により生じた水をトルエンと共沸により除いた。反応溶液を水2リットルに投入して、生じた沈殿を濾取し、水洗後減圧乾燥し、2官能性水酸基末端イミドオリゴマーの粉末157.6gを得た。
この2官能性水酸基末端イミドオリゴマーは、H−NMRスペクトルから、プロパノールの2位メチレンプロトン(1.65〜1.85ppm)とビフェニルテトラカルボン酸イミドのフェニレンプロトン(7.50〜8.20ppm)の積分強度比から、2官能性水酸基末端イミドオリゴマーは化学式(2)のm(平均値)が1の2官能性水酸基末端イミドオリゴマーであることが確認できた。
【0039】
〔実施例1〕
溶液粘度が130〜150Pa・sの変性ポリイミド樹脂溶液を得ることを目標にして以下製造を試みた。
撹拌装置、温度計及び窒素導入管を備えた容量500ミリリットルのガラス製セパラブルフラスコに、2官能性水酸基末端ポリカーボネートジオールとしてUH−CARB200(宇部興産(株)製,分子量 約2000) 106g(0.053mol)、反応性極性基含有ジオール化合物として2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(Perstorp製) 7.07g(0.053mol)、2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとして参考例1の2官能性水酸基末端イミドオリゴマーのγ―ブチロラクトン溶液 93.0g(固形分濃度52.3重量%、0.058mol)、溶媒としてγ―ブチロラクトン(三菱化学(株)製) 256gを仕込み、50℃で1時間撹拌した。ジイソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製) 38.2g(0.153mol)を添加し、60℃で3時間反応させた。反応温度を80℃に上げ、撹拌機の負荷電流が60mA(at100rpm)となった時点で1官能性活性水素化合物として1−プロパノール(和光純薬工業(株)製) 3.65g(0.0607mol)を添加し、更に80℃にて3時間反応を行った。
得られた変性ポリイミド樹脂溶液は、ほぼ目標とした、固形分濃度40重量%、溶液粘度136Pa・sの溶液であった。GPCから求めた数平均分子量は12,700であった。
【0040】
〔実施例2〕
溶液粘度が70〜90Pa・sの変性ポリイミド樹脂溶液を得ることを目標にして以下製造を試みた。
撹拌装置、温度計及び窒素導入管を備えた容量500ミリリットルのガラス製セパラブルフラスコに、2官能性水酸基末端ポリカーボネートジオールとしてUH−CARB200(宇部興産(株)製,分子量 約2000) 110g(0.055mol)、反応性極性基含有ジオール化合物として2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(Perstorp製) 7.31g(0.055mol)、2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとして参考例1の2官能性水酸基末端イミドオリゴマーのγ―ブチロラクトン溶液 87.1g(固形分濃度52.3重量%、0.055mol)、溶媒としてγ―ブチロラクトン(三菱化学(株)製)263gを仕込み、50℃で1時間撹拌した。ジイソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製) 39.9g(0.160mol)を添加し、60℃で1時間反応させた。反応温度を80℃に上げ、撹拌機の負荷電流が54mA(at100rpm)となった時点でメチルエチルケトオキシム(宇部興産(株)製)5.51g(=0.0632mol)を添加し、更に80℃にて1.5時間反応を行った。
得られた変性ポリイミド樹脂溶液は、ほぼ目標とした、固形分濃度40重量%、溶液粘度79Pa・sの溶液であった。GPCから求めた数平均分子量は8,200であった。
【0041】
〔実施例3〕
溶液粘度が130〜150Pa・sの変性ポリイミド樹脂溶液を得ることを目標にして以下製造を試みた。
撹拌装置、温度計及び窒素導入管を備えた容量500ミリリットルのガラス製セパラブルフラスコに、2官能性水酸基末端ポリカーボネートジオールとしてUH−CARB200(宇部興産(株)製,分子量 約2000) 91.2g(0.046mol)、反応性極性基含有ジオール化合物として2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(Perstorp製) 10.9g(0.081mol)、2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとして参考例1の2官能性水酸基末端イミドオリゴマーのγ―ブチロラクトン溶液 79.8g(固形分濃度48.5重量%、0.046mol)、溶媒としてγ―ブチロラクトン(三菱化学(株)製) 238gを仕込み、80℃に昇温した。ジイソシアネート化合物として4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(住化バイエルウレタン(株)製) 45.0g(0.17mol)を添加し、80℃で0.3時間、100℃で1時間、更に130℃で14時間反応させた。反応温度を90℃に下げ、撹拌機の負荷電流が53mA(at100rpm)となった時点で1官能性活性水素化合物として1−ペンタノール(東洋合成工業(株)製) 5.58g(0.0633mol)を添加し、更に90℃にて16時間反応を行った。
得られた変性ポリイミド樹脂溶液は、ほぼ目標とした、固形分濃度40重量%、溶液粘度137Pa・sの溶液であった。GPCから求めた数平均分子量は6,900であった。
【0042】
〔比較例1〕
溶液粘度が130〜150Pa・sの変性ポリイミド樹脂溶液を得ることを目標にして以下製造を試みた。
撹拌装置、温度計及び窒素導入管を備えた容量500ミリリットルのガラス製セパラブルフラスコに、2官能性水酸基末端ポリカーボネートジオールとしてUH−CARB200(宇部興産(株)製,分子量 約2000) 106g(0.053mol)、反応性極性基含有ジオール化合物として2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(Perstorp製) 7.07g(0.053mol)、2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとして参考例1の2官能性水酸基末端イミドオリゴマーのγ―ブチロラクトン溶液 93.0g(固形分濃度52.3重量%、0.058mol)、溶媒としてγ―ブチロラクトン(三菱化学(株)製)256gを仕込み、50℃で1時間撹拌した。ジイソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製) 38.2g(=0.153mol)を添加し、60℃で3時間反応したが溶液粘度は目標値を大幅に下回ったので、更に80℃にて14時間反応を行った。
得られた変性ポリイミド樹脂溶液は、目標とした溶液粘度から外れ、ポリマー固形分濃度40重量%、溶液粘度238Pa・sの溶液であった。GPCから求めた数平均分子量は14,900であった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によって、溶媒中、ジイソシアネート化合物と、2官能性水酸基末端ポリカーボネートを含む一種類以上のジオール化合物及び2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとを反応して変性ポリイミド樹脂を得る製造方法であって、溶液粘度(重合度)を好適に制御した変性ポリイミド樹脂溶液を簡便且つ経済的に得ることができる変性ポリイミド樹脂の製造方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒中、(A)ジイソシアネート化合物と、(B)(b1)下記化学式(1)で示される2官能性水酸基末端ポリカーボネートを含む一種類以上のジオール化合物、及び(C)下記化学式(2)で示される2官能性水酸基末端イミドオリゴマーとを反応して変性ポリイミド樹脂を得る製造方法において、
ジイソシアネート化合物に対するジオール化合物のモル比[(B)+(C)]/(A)を1.01〜1.09の範囲で反応し、次いで反応混合液の溶液粘度が所定粘度まで上昇した段階で(D)1官能性活性水素化合物を添加することを特徴とする変性ポリイミド樹脂の製造方法。
【化1】

但し、式中、Rは2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を示し、nは1〜40の整数である。
【化2】

但し、式中、Rは2価の脂肪族又は芳香族炭化水素基を示し、Xはテトラカルボン酸のカルボキシル基を除いた4価の基を示し、Yはジアミンのアミノ基を除いた2価の基を示し、mは0〜20の整数である。
【請求項2】
(B)のジオール化合物が、さらに(b2)反応性極性基含有ジオール化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の変性ポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項3】
(D)の1官能性活性水素化合物が、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、メチルエチルケトオキシム、及びピラゾールから選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の変性ポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項4】
反応混合液の水分量が100〜800ppmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の変性ポリイミド樹脂の製造方法。
【請求項5】
反応混合液の溶液粘度と撹拌装置の負荷電流との関係が確認された撹拌装置を用いて、反応混合液を撹拌し、反応混合液の溶液粘度が所定粘度まで上昇した段階であることを、撹拌装置の負荷電流の値で決定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の変性ポリイミド樹脂の製造方法。

【公開番号】特開2011−219743(P2011−219743A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60309(P2011−60309)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】