説明

変性ポリカルボジイミド組成物及び変性ポリカルボジイミド

【課題】溶液での保存安定性が改良され、且つ乾燥後に再生されるポリカルボジイミドが高い耐熱性および接着性を有し、アミンがほとんど残存しないので金属等を腐食することのない、変性ポリカルボジイミド組成物および変性ポリカルボジイミドを提供すること。
【解決手段】芳香族ジイソシアネート化合物由来のポリカルボジイミドをジイソプロピルアミンで変性した変性ポリカルボジイミドを含む溶液からなる変性ポリカルボジイミド組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は変性ポリカルボジイミド組成物、および変性ポリカルボジイミドに関するものであり、更に詳しくは、ポリカルボジイミドをジイソプロピルアミンでポリグアニジンに変性することにより高い溶液安定性を有するとともに、乾燥処理を行うことにより変性ポリカルボジイミドをポリカルボジイミドに再生でき、且つ乾燥後にアミン成分の残留をほとんどなくすることができる変性ポリカルボジイミド組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポリカルボジイミドは高い接着性と耐熱性を有することから、電子材料部品等の接着剤や封止材として利用されてきた。このポリカルボジイミドは、溶液の状態でキャスティングを行うことにより、接着剤や封止材として利用される。
しかしながら、ポリカルボジイミドは各種溶媒に対する溶解性が低く、しかも冷暗所においても溶液状態では徐々にカルボジイミド基の反応やポリマーの凝集が進行しゲル化してしまうため、長期保存することが困難であるという問題点があった。
【0003】
そこで、各種溶媒に対する溶解性及び溶液としての保存安定性を向上させる目的で、ポリカルボジイミドの少なくとも1種に、グラフト反応性基および架橋性基を有する化合物の少なくとも1種を、適宜温度でグラフトする熱硬化性樹脂の製造方法(特許文献1参照)や、ポリカルボジイミドに、グラフト反応性基とカルボン酸無水物基とを有する化合物の1種以上をグラフトさせた樹脂と、エポキシ化合物を含有した熱硬化性樹脂組成物(特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、これらの変性ポリカルボジイミドは溶媒に対して溶解はできるものの、活性の高いイソシアネートを生成させる反応を伴うので、ポリカルボジイミドの安定性が低いという問題がある。また、これらは変性されたポリカルボジイミドをそのまま接着剤等として用いるので、変性していないポリカルボジイミドと比べ接着性や耐熱性が劣るだけでなく、カルボジイミド基が再生されないため、その反応性が利用できず反応性に劣るという問題点もある。
【0004】
また、保存安定性および低温で硬化処理することを目的として、エポキシ樹脂と、ポリカルボジイミドを炭素数4以上の直鎖或いは分岐鎖のアルキル基を有するジアルキルアミンで変性したポリグアニジンからなる一液型エポキシ樹脂組成物が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、ポリカルボジイミドから変性されたポリグアニジンは、ポリカルボジイミドに比べて反応性や接着性、耐熱性が劣ったり、残存あるいは解離したジアルキルアミンが金属用途に用いた場合それを腐食させる等の悪影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
【特許文献1】特開平8−27270号公報
【特許文献2】特開平8−81545号公報
【特許文献3】特開2000−136231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、溶液での保存安定性が改良され、且つ乾燥後に再生されるポリカルボジイミドが高い耐熱性および接着性を有し、アミンがほとんど残存しないので金属等を腐食することのない、変性ポリカルボジイミド組成物および変性ポリカルボジイミドを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、芳香族系ポリカルボジイミドを特定のアミンで変性することにより、溶液状態での保存安定性に優れるとともに、キャスティング等を行い通常の温度にて乾燥する際にアミンが解離しカルボジイミド基が再生することにより優れた接着性を示し、且つ解離したアミンは揮発するのでほとんど残存しなくなり、金属を腐食させる等の悪影響を及ぼすことの無い変性ポリカルボジイミド組成物が得られることを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)芳香族ジイソシアネート化合物由来のポリカルボジイミドをジイソプロピルアミンで変性した変性ポリカルボジイミドを含む溶液からなる、変性ポリカルボジイミド組成物、
(2)変性ポリカルボジイミドが一般式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Rは芳香族ジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基を示す。)で表されるカルボジイミド変性基を繰返し単位として有する上記(1)に記載の変性ポリカルボジイミド組成物、
(3)芳香族ジイソシアネート化合物が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−トリレンジイソシアネート、および2,6’−トリレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一種である前記(1)又は(2)記載の変性ポリカルボジイミド組成物、
(4)ポリカルボジイミドが、分子内に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(a)、ポリエーテルブロックアミド(b)、及びヘキサメチレンとペンタメチレンとテトラメチレンの中から選ばれる二種以上の混合アルキレン鎖を有するポリアルキレンカーボネートジオール(c)の両末端官能基を除いた残基の中から選ばれる少なくとも一種を含むソフトセグメントと、該ソフトセグメントとウレタン結合、ウレア結合及びアミド結合から選ばれる少なくとも一種を介して結合されるポリカルボジイミドからなるハードセグメントとを有するポリカルボジイミド共重合体である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の変性ポリカルボジイミド組成物、
(5)芳香族ジイソシアネート化合物由来のポリカルボジイミドをジイソプロピルアミンで変性してなる変性ポリカルボジイミド、
(6)変性ポリカルボジイミドが一般式(I)
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、Rは芳香族ジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基を示す。)で表されるカルボジイミド変性基を繰返し単位として有する前記(5)記載の変性ポリカルボジイミド、
(7)カルボジイミド変性基が、一般式(II)
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、Rは芳香族ジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基を示す。)
で表される基を有する芳香族ジイソシアネート化合物由来のカルボジイミドをジイソプロピルアミンで変性することにより得られるものである、前記(5)又は(6)記載の変性ポリカルボジイミド、
(8)芳香族ジイソシアネート化合物が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−トリレンジイソシアネート、および2,6’−トリレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一種である前記(5)〜(7)のいずれかに記載の変性ポリカルボジイミド、
(9)ポリカルボジイミドが、分子内に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(a)、ポリエーテルブロックアミド(b)、及びヘキサメチレンとペンタメチレンとテトラメチレンの中から選ばれる二種以上の混合アルキレン鎖を有するポリアルキレンカーボネートジオール(c)の両末端官能基を除いた残基の中から選ばれる少なくとも一種を含むソフトセグメントと、該ソフトセグメントとウレタン結合、ウレア結合及びアミド結合から選ばれる少なくとも一種を介して結合されるポリカルボジイミドからなるハードセグメントとを有するポリカルボジイミド共重合体である前記(5)〜(8)のいずれかに記載の変性ポリカルボジイミド
を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶媒に溶解させた樹脂溶液の状態でも非常に優れた保存安定性を有する変性ポリカルボジイミド組成物(樹脂溶液)を提供することができる。
また該変性ポリカルボジイミド組成物をキャスティングして接着剤や封止材等にするにあたり、乾燥工程で変性ポリカルボジイミドのグアニジン基からジイソプロピルアミンが解離しカルボジイミド基を有するポリカルボジイミドに戻るので、優れた耐熱性と接着性を有する接着剤や封止材とすることができる。さらに、得られた接着剤や封止材は乾燥工程を経ることでジイソプロピルアミンがほとんど残存しなくなるので、特に電子部品用途に用いる場合、電子材料部品を腐食させる心配が無いという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[ポリカルボジイミド]
まず、本発明の変性ポリカルボジイミド組成物に用いるポリカルボジイミドについて説明する。
本発明に使用できるポリカルボジイミドは、芳香族ジイソシアネート化合物由来のポリカルボジイミド、すなわち、少なくとも1種の芳香族ジイソシアネート化合物を原料として合成された、分子中に少なくとも2個以上のカルボジイミド基を有する芳香族系ポリカルボジイミドである。芳香族ジイソシアネート化合物とは、分子中に存在する2つのイソシアネート基が芳香環に直結しているイソシアネート化合物のことをいう。この芳香族系ポリカルボジイミドは、他の例えば脂肪族系ポリカルボジイミド等と比較し、耐熱性が優れている点で好ましい。
【0017】
芳香族ジイソシアネート化合物の具体例としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートおよび2,6−トリレンジイソシアネートが工業的原料の汎用性の高さ、および得られるポリカルボジイミドが高い反応性を有しているという点より好ましい。
【0018】
ポリカルボジイミドは、種々の方法で製造することができる。例えば、有機ポリイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により、イソシアネート末端ポリカルボジイミドを製造する方法(米国特許第2941956号明細書や特公昭47−33279号公報、J.Org.Chem,28,2069−2075(1963)、Chemical Review 1981,Vol.81 No.4p 619−621)を例示することができる。
【0019】
本発明においては、芳香族ジイソシアネート化合物の脱炭酸縮合反応は、カルボジイミド化触媒の存在下に進行するものであり、このカルボジイミド化触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド及びこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド等を使用することができ、これらの内、反応性の面からは3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好適である。
カルボジイミド化触媒の量は、カルボジイミド化に用いられる芳香族ジイソシアネート化合物に対して、通常0.1〜1.0質量%である。
【0020】
前記有機ポリイソシアネート化合物からのポリカルボジイミドの合成は、無溶媒でも行うことができるが、芳香族系ポリカルボジイミドの合成は通常溶媒中で行う。このような溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、ジオキソラン等の脂環式エーテル:ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素:クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、パークレン、トリクロロエタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、或いはシクロヘキサノン等の1種又はそれらの混合物を例示することができ、特に好ましいものとしてはテトラヒドロフランを挙げることができる。
【0021】
上記ポリカルボジイミドの合成反応における反応温度としては、特に限定はされないが、例えば40℃〜溶媒の沸点までであることが好ましく、又、原料である芳香族ジイソシアネート化合物の濃度としては、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは5〜20質量%である。尚、芳香族ジイソシアネートの濃度が5質量%以上であれば、ポリカルボジイミドの合成に時間が掛かりすぎることがなく、50質量%以下であれば、合成中に反応系がゲル化するのを抑制することができる。
【0022】
本発明に使用するポリカルボジイミドの重合度としては、その数平均分子量〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算値〕で3,000〜50,000であることが好ましく、更に好ましくは10,000〜30,000、最も好ましくは15,000〜25,000である。尚、数平均分子量が3,000以上であれば十分な成膜性、本硬化後の樹脂の耐熱性、強靭性を得ることができ、数平均分子量が50,000以下であれば、ワニスの合成中の増粘によるゲル化を抑制することができ、ゲル化を避けるために低濃度で合成を行う必要がなく、経済的に有利である。
【0023】
[ポリカルボジイミド共重合体]
また、本発明に使用するポリカルボジイミドは、少なくとも1種の芳香族ジイソシアネート化合物を原料として合成された、分子中に少なくとも2個以上のカルボジイミド基を有する芳香族系ポリカルボジイミド共重合体であってもよい。
上記共重合体としては、芳香族系ポリカルボジイミドと、例えば多官能液状ゴム、ポリアルキレンジオール、脂肪族ポリカルボジイミド、などを共重合させることにより得ることができる。
【0024】
このような共重合体としては、高い耐熱性と可撓性を有すると共に、耐屈曲性(耐ハゼ折り性)に優れるという点から、分子内に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエーテルブロックアミド、及びヘキサメチレンとペンタメチレンとテトラメチレンの中から選ばれる二種以上の混合アルキレン鎖を有するポリアルキレンカーボネートジオールの両末端官能基を除いた残基の中から選ばれる少なくとも一種を含むソフトセグメントと、該ソフトセグメントとウレタン結合、ウレア結合及びアミド結合から選ばれる少なくとも一種を介して結合されるポリカルボジイミドからなるハードセグメントとを有するポリカルボジイミド共重合体などを例として挙げることができる。
【0025】
前記ポリテトラメチレンエーテルグリコール及びポリアルキレンカーボネートジオールの両末端官能基は、ヒドロキシル基(ウレタン結合)であり、ポリエーテルブロックアミドの両末端官能基は、主としてカルボキシル基(アミド結合)であるが、両末端がアミノ基(ウレア結合)である場合や、一方の末端がカルボキシル基(アミド結合)で、他方の末端がアミノ基(ウレア結合)の場合もあり得る。なお括弧内は、それぞれの官能基によって分子内に取り込まれた際に形成される結合の種類を示す。
【0026】
本発明に使用するポリカルボジイミド共重合体におけるソフトセグメントとハードセグメントとの質量比は、通常20:100〜500:100の範囲で選定される。該質量比が上記の範囲にあれば、ポリカルボジイミド共重合体は、良好な可撓性を有すると共に、耐熱性に優れる熱硬化性樹脂とすることができる。より好ましい質量比は、50〜300:100であり、特に70〜200:100の範囲が好ましい。
本発明に使用するポリカルボジイミド共重合体としては、一般式(III)
【0027】
【化4】

【0028】
(式中、Arはアリーレン基、Aは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエーテルブロックアミド、及びヘキサメチレンとペンタメチレンとテトラメチレンの中から選ばれる二種以上の混合アルキレン鎖を有するポリアルキレンカーボネートジオールの両末端官能基を除いた残基の中から選ばれる少なくとも一種を含むソフトセグメント、Y1及びY2は、各々Arに結合する窒素原子を有するウレタン結合、ウレア結合及びアミド結合から選ばれる少なくとも一種を示し、mは1以上の整数をそれぞれ示す。)
で表される構成単位を有するポリカルボジイミド共重合体を挙げることができる。
前記一般式(III)において、Arで示されるアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ジフェニルメタンジイル基、ジフェニルエーテルジイル基、及びこれらの基の芳香環上に低級アルキル基や低級アルコキシル基などの置換基を一つ以上有する基などを挙げることができる。このArは、一種含まれていてもよく、二種以上含まれていてもよい。mは1以上の整数であり、好ましくは5〜50の整数である。
【0029】
ソフトセグメントAを形成する官能基を両末端に有する重合体として、本発明においては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(a)、ポリエーテルブロックアミド(b)、及びヘキサメチレンとペンタメチレンとテトラメチレンの中から選ばれる二種以上の混合アルキレン鎖を有するポリアルキレンカーボネートジオール(c)が用いられる。これらの重合体は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記のポリテトラメチレンエーテルグリコール(a)は、通常、一般式(IV)
HO−(CH2CH2CH2CH2O)n−H (IV)
(式中、nは重合度を示す。)
で表されるポリエーテルグリコールである。数平均分子量としては、通常600〜3,000程度のものが用いられる。
【0030】
前記ポリエーテルブロックアミド(b)は、ポリアミドとポリアルキレンエーテルとのブロック共重合体であって、ポリアミド成分としては、通常ナイロン−6,−11,−12などの脂肪族ポリアミドが使用される。また、ポリアルキレンエーテルは、例えばポリエチレンエーテル、ポリプロピレンエーテル、ポリテトラメチレンエーテルなどである。このポリエーテルブロックアミドの両末端の官能基は、通常カルボキシル基であるが、両末端がアミノ基である場合や、一方の末端がカルボキシル基で、他方の末端がアミノ基の場合もあり得る。
このポリエーテルブロックアミドの数平均分子量は、通常1,000〜5,000程度、好ましくは1,000〜3,000である。
【0031】
一方、前記ポリアルキレンカーボネートジオール(c)として、本発明においては、ヘキサメチレンとペンタメチレンとテトラメチレンの中から選ばれる二種以上の混合アルキレン鎖を有するものが用いられる。
ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール又はポリテトラメチレンカーボネートジオールの両末端官能基を除いた残基を、それぞれ単独でソフトセグメントとして用いたものは、これらが結晶性を有するために、得られるポリカルボジイミド共重合体が十分なエラストマー性を発現することができない。
これに対し、ヘキサメチレンとペンタメチレンとテトラメチレンの中から選ばれる二種以上の混合アルキレン鎖を有するポリアルキレンカーボネートジオールの両末端官能基を除いた残基をソフトセグメントとして用いたものは、結晶性が低下し、得られるポリカルボジイミド共重合体が良好なエラストマー性を発揮する。このような混合アルキレン鎖としては、例えばペンタメチレンとヘキサメチレンの組合せ、テトラメチレンとヘキサメチレンの組合せなどが好ましく、これらを本発明の目的に則して適切な量で組み合わせて用いることができるが、例えば、ペンタメチレン(テトラメチレン):ヘキサメチレン=5:95〜95:5質量%、さらに10:90〜90:10質量%の範囲で組み合わせることができる。
【0032】
本発明で用いるポリアルキレンカーボネートジオールは、公知の方法、例えば特開2003−183376号公報に記載されている方法等に従い、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオールなどの中から上記組合せに従い適宜選ばれる二種以上のジオール類と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのジアルキルカーボネートをエステル交換反応させることにより得ることができる。このポリアルキレンカーボネートグリコールの数平均分子量は、通常500〜5,000程度、好ましくは600〜3,000である。
本発明おいては、ソフトセグメントAを形成する、官能基を両末端に有する重合体として、所望により、一般式(V)
【0033】
【化5】

【0034】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基、aは1〜20の整数をそれぞれ示す。)
で表されるポリオルガノシロキサンや、その他ソフトセグメント形成重合体を前記重合体と併用することができる。
前記一般式(V)において、R1及びR2の中で炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。また、炭素数6〜10のアリール基の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。R1及びR2としては、メチル基及びフェニル基が好ましく、またR1及びR2はたがいに同一でも異なっていてもよい。
一般式(V)で表されるポリオルガノシロキサンとしては、両末端にヒドロキシル基を有する、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン及びポリメチルフェニルシロキサンを好ましく挙げることができる。
本発明においては、当該ポリカルボジイミド共重合体のソフトセグメントを形成する官能基を両末端に有する常温で液状又は可撓性の重合体として、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、あるいはヘキサメチレンとペンタメチレンとテトラメチレンの中から選ばれる二種以上の混合アルキレン鎖を有するポリ混合アルキレンカーボネートジオール(PCDL)を、単独であるいは組み合わせて用いることができる。
【0035】
前記一般式(III)で表される構成単位を有するポリカルボジイミド共重合体においては、前述の理由から、分子内における全A成分/[Ar−(N=C=N−Ar)mに相当する全成分]質量比は、好ましくは0.2〜5、より好ましくは0.5〜3、さらに好ましくは0.7〜2である。なお、「Ar−(N=C=N−Ar)mに相当する全成分」とは、前記一般式(III)で表される構成単位におけるAr−(N=C=N−Ar)mの全成分と、該構成単位以外に存在するAr−(N=C=N−Ar)n成分(nは1以上の整数)との合計のことである。また当該ポリカルボジイミド共重合体においては、前記一般式(III)で表される構成単位の数は、1〜5程度が好ましい。この構成単位の数が上記範囲にあれば、当該ポリカルボジイミド共重合体の製造時に、分子量の増大に伴うゲル化を抑制することができる。
上記一般式(III)で表される構成単位を有する熱硬化性ポリカルボジイミド共重合体においては、一般式(III)の構成単位は、そのまま繰り返し単位として含まれるものであってもよいが、ランダムに共重合体に含まれるものであってもよい。
当該ポリカルボジイミド共重合体は、ソフトセグメントを有し、可撓性に優れているが、耐熱性にも優れており、熱硬化物のガラス転移点は、通常130℃以上であり、また200℃以上にすることができる。
【0036】
次に、本発明に用いるポリカルボジイミド共重合体の製造方法について説明する。
前記一般式(III)で表される構成単位を有する熱硬化性ポリカルボジイミド共重合体は、以下に示す方法に従えば、効率よく製造することができる。
この方法においては、一般式(VI)
1−A−X2 (VI)
(式中、X1及びX2は、各々ヒドロキシル基、アミノ基及びカルボキシル基の中から選ばれる官能基、Aは一般式(III)の場合と同じである。)
で表される、常温で液状又は可撓性の重合体に、一般式(VII)
OCN−Ar−NCO (VII)
(式中、Arは一般式(III)の場合と同じである。)
で表される芳香族ジイソシアネート化合物を反応させて、一般式(VIII)
OCN−Ar−(Y1−A−Y2−Ar)p−NCO (VIII)
(式中、pは1以上の整数を示し、Ar、Y1、Y2及びAは一般式(III)の場合と同じである。)
で表される両末端イソシアネート化合物を得たのち、カルボジイミド化触媒を用いてカルボジイミド化することにより、前記一般式(III)で表される構成単位を有する熱硬化性ポリカルボジイミド共重合体を製造することができる。
【0037】
前記一般式(VI)で表される、常温で液状又は可撓性の重合体としては、前述の一般式(IV)で表されるポリテトラメチレンエーテルグリコール(a)、ポリエーテルブロックアミド(b)及びポリ混合アルキレンカーボネートグリコール(c)の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができるが、本発明においては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリ混合アルキレンカーボネートジオール(PCDG)を単独で、又はこれらの混合物を用いることが好ましい。
【0038】
前記一般式(VII)で表される芳香族ジイソシアネート化合物としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、o−トリジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
本発明においては、まず、前記一般式(VI)で表される両末端に官能基を有する、常温で液状又は可撓性の重合体に、前記一般式(VII)で表される芳香族ジイソシアネート化合物を、通常2倍モルより多く使用することにより反応させて、前記一般式(VIII)で表される両末端イソシアネート化合物を生成させる。この反応においては、必要に応じ、適当な溶媒を用いることができる。この溶媒としては、例えばテトラヒドロフランやジオキサンなどの脂環式エーテル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素化合物類、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどの脂環式ケトン類等が挙げられ、これらは一種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
反応温度は、重合体の両末端官能基の種類や使用溶媒にもよるが、通常50〜200℃である。
次に、このようにして得られた両末端イソシアネート化合物と、反応系中に過剰に存在する芳香族ジイソシアネート化合物及び必要により新たに添加された芳香族ジイソシアネート化合物とを、前記カルボジイミド化触媒の存在下に反応させて、ポリカルボジイミド共重合体を形成させる。
カルボジイミド化触媒の量は、カルボジイミド化に用いられる芳香族ジイソシアネート化合物に対して、通常0.1〜1.0質量%である。
【0041】
カルボジイミド化反応の温度は、溶媒の種類やモノマー濃度などに左右されるが、通常30〜150℃程度、好ましくは50〜130℃である。
このカルボジイミド化反応において使用する芳香族ジイソシアネート化合物の量は、前記の両末端に官能基を有する重合体1モルに対して、通常2モル以上であり、この反応段階で追加してもよく、反応初期より存在するものであってもよい。
芳香族ジイソシアネート化合物の全使用量は、得られるポリカルボジイミド共重合体において、ソフトセグメントとハードセグメントとの質量比が、前述の範囲になるように選定するのがよい。
【0042】
カルボジイミド化反応を行う際の固形分濃度としては、反応系の総量の5〜50質量%であることが好ましく、更に好ましくは20〜30質量%である。
このようにして得られた本発明のポリカルボジイミド共重合体の数平均分子量は、GPC法によるポリスチレン換算で、通常5,000以上、好ましくは8,000以上、より好ましくは10,000以上である。
【0043】
[芳香族ポリカルボジイミドの末端封止]
また、本発明においては、ポリカルボジイミドとして、モノイソシアネート等のポリカルボジイミドの末端イソシアネート基と反応する化合物を用いて、適当な重合度に分子量制御したものを使用することもできる。
【0044】
このようにポリカルボジイミドの末端を封止してその重合度を制御するためのモノイソシアネートとしては、例えばフェニルイソシアネート、p−ニトロフェニルイソシアネート、p−及びm−トリルイソシアネート、p−ホルミルフェニルイソシアネート、p−イソプロピルフェニルイソシアネートなどを用いることができる。特にp−イソプロピルフェニルイソシアネートが好適に用いられる。
【0045】
又、この他にも、封止剤として末端イソシアネートと反応し得る化合物として、脂肪族化合物、芳香族化合物、脂環族化合物であって、例えば、−OH基を持つメタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等;=NH基を持つジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等;−NH2基を持つブチルアミン、シクロヘキシルアミン等;−COOH基を持つプロピオン酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等;−SH基を持つエチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール等やエポキシ基等を有する化合物を使用することができる。
【0046】
[ジイソプロピルアミン]
このようにして得られたポリカルボジイミドを変性させる化合物としては、二級アミンであるジイソプロピルアミンを用いる。
一級アミンでは、2つの活性水素が任意の2つのカルボジイミド基と反応できるため架橋点となり、カルボジイミド樹脂溶液がゲル化してしまう。また三級アミンでは、カルボジイミド基と付加反応は起こさないが、カルボジイミド基の架橋反応を活性化させる触媒作用を示すため、この場合も溶液がゲル化してしまう。
【0047】
上記の理由より活性水素基を1つだけ有する二級アミンが好ましいのであるが、全ての二級アミンで本発明の効果が得られる訳ではない。
二級アミンの有する炭化水素基の炭素数が2以下の場合、乾燥工程においてアミンの脱離が起こりにくくなる。アミンが脱離せずに残ると、電子材料部品や基板の金属の腐食を起こす場合がある。また、変性ポリカルボジイミド組成物(樹脂溶液)が変性ポリカルボジイミドとエポキシ樹脂からなる場合、乾燥工程で付加反応が起こり硬化してしまい、接着剤や封止材として機能しなくなる。炭素数が4以上の場合は、アミンの沸点が高くなるため乾燥工程で脱離したアミンが揮発しきらずに残存し易くなり、電子材料部品や基板の金属の腐食を起こす原因となる。また、残存したアミンは乾燥工程後に再度カルボジイミド基と反応してしまうため、再生するカルボジイミド基の割合が下がってしまい、接着性、反応性などが低下してしまう。
【0048】
さらに、二級アミンであって炭化水素基の炭素数が3であるアミンとしては、工業的にジ−n(ノルマル)−プロピルアミンおよびジイソプロピルアミンがあるが、本願ではジイソプロピルアミンを用いる。
N原子に結合した炭化水素基が直鎖であるジ−n−プロピルアミンに対し、ジイソプロピルアミンは嵩高く立体障害が大きいため、加熱の際アミンの脱離が起こりやすい。また、それぞれのアミンの沸点は、ジイソプロピルアミンの84℃に対してジ−n−プロピルアミンの沸点は107℃であるため、カルボジイミド基との再結合反応や金属に対する腐食を生じさせる残存アミンを無くすという意味合いからも、ジイソプロピルアミンの方が優れている為である。
【0049】
[変性ポリカルボジイミド組成物の調製]
次に、変性ポリカルボジイミド組成物の調製について説明する。
本発明の変性ポリカルボジイミド組成物は、変性ポリカルボジイミドを含む溶液であって、変性ポリカルボジイミド、および溶媒からなり、または変性ポリカルボジイミド、エポキシ樹脂、必要により硬化剤、および溶媒からなる。
この変性ポリカルボジイミドは、芳香族ジイソシアネート化合物由来のポリカルボジイミドをジイソプロピルアミンで変性したものであり、具体的には前記一般式(I)で示されるカルボジイミド変性基を繰返し単位として有するものである。
この変性ポリカルボジイミド組成物の溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、ジオキソラン等の脂環式エーテル:ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素:クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、パークレン、トリクロロエタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、或いはシクロヘキサノン等の1種又はそれらの混合物を例示することができ、変性ポリカルボジイミドの合成時に使った溶媒をそのまま用いることができる。これらの中で特にテトラヒドロフラン、トルエン、シクロヘキサノンが変性ポリカルボジイミド組成物(樹脂溶液)の保存安定性の面で好ましい。
変性ポリカルボジイミド組成物を、変性ポリカルボジイミドとエポキシ樹脂を含む組成物とする場合においては、当該変性ポリカルボジイミドを用いることで、ポリカルボジイミド組成物の保存安定性の面などからエポキシ樹脂を限定する必要が無いという利点がある。
【0050】
溶液中の変性ポリカルボジイミドの濃度としては、5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%、さらに好ましく10〜25質量%である。5質量%以上であれば反応に要する時間と単位体積あたりの樹脂量が多いという経済面から、また50%以下であると溶液を安定的に合成し得るという点から好ましい。
エポキシ樹脂を混合する場合、求める特性により変性ポリカルボジイミドとの配合量比は決定される。例えば、フィルム形成能を重視する場合、エポキシ樹脂の性状にもよるが変性ポリカルボジイミドのエポキシ樹脂と変性ポリカルボジイミドとの合計量中の配合率は15〜95質量%であり、好ましくは25〜90質量%である。15質量%以上であればフィルム形状の保持が可能であり、95質量%以下であるとエポキシ樹脂を併用した効果が得られるという点から好ましい。
硬化剤を添加する場合は、硬化剤の添加量も求める硬化物特性によって異なるが、カルボジイミド基とエポキシ基に対して0.1〜1当量、好ましくは0.2〜1当量を例示することができる。0.1当量以上であれば硬化剤による架橋効果が認められ、また1当量以下であれば硬化剤が過剰となることなく硬化できる。
【0051】
[エポキシ樹脂]
本発明の変性ポリカルボジイミド組成物(樹脂溶液)は、エポキシ樹脂を混合する場合、エポキシ樹脂としては、一分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用いる。このようなエポキシ樹脂としては、従来から公知のものを用いることができ、特に限定されるものではない。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、リン変性エポキシ樹脂等を挙げることができ、これらのエポキシ樹脂はそれぞれ単独で使用したり、あるいは混合して使用したりすることができる。
また、エポキシ樹脂のエポキシ基数としては、一分子中に2個以上であれば、特に制限されるものではないが、製造を考慮すれば、エポキシ基が5個以下のエポキシ樹脂を用いるのが良い。なお、前記エポキシ基数は、エポキシ樹脂が分子量分布を有するため、1分子当たりのエポキシ基の平均を意味する。
【0052】
また、変性ポリカルボジイミド組成物(樹脂溶液)が芳香族系ポリカルボジイミドとエポキシ樹脂を含む組成物である場合、硬化剤を含有してもよい。
硬化剤としてはエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものの中で、反応付加物の熱的安定性の点からアミン系硬化剤、ノボラック型フェノール樹脂、クレゾール型フェノール樹脂、アルキル変性フェノール樹脂等のフェノール樹脂等を挙げることができる。
【0053】
[その他添加剤]
本発明の変性ポリカルボジイミド組成物においては、さらに難燃助剤、増粘剤等の役割を果たす添加剤(フィラー)を含むこともできる。この種の添加剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ粉末、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物の粉末、タルク、クレー等の粘土鉱物の粉末、その他石英粉、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、ダイヤモンド粉、マイカ、フッ素樹脂やジルコン粉等といった無機フィラー等を用いることができる。添加剤は、1種のみを用いることができるほか、2種以上を混合して用いることもできる。添加剤の配合量は、用途等に応じて適宜に設定することができる。
【0054】
[接着剤、封止材の製造]
本発明の変性ポリカルボジイミド組成物は乾燥工程を経ることにより接着剤や封止材として使用することができる。
フィルム状の接着剤、封止材を得る方法としては、例えば適宜の基体上に公知の方法に従い、例えばコーターを用いてキャスティングし、加熱による乾燥工程で溶剤を除去することにより得ることができる。
フィルムや封止材の厚みは用途により適宜決定されるが、一般的に接着剤では0.05〜1mm、封止材では0.1〜1mmを例示することができる。
【0055】
乾燥工程は加熱により溶媒を除去する工程であるが、本発明においては変性ポリカルボジイミド組成物中の変性ポリカルボジイミドを元のポリカルボジイミドとジイソプロピルアミンに解離する工程でもある。好ましい乾燥温度は上述のとおり120〜180℃である。乾燥時間は溶液の樹脂濃度やフィルムの厚みにより異なるが、おおよそ5〜30分を例示することができる。
上記の乾燥工程を経ることで、変性ポリカルボジイミドはポリカルボジイミドに戻るので、得られる接着剤または封止材は優れた接着性や耐熱性を有するとともに、解離したジイソプロピルアミンはそのほとんどが揮発するので、接着剤や封止材が使用される基板や電子部品等の金属を腐食するという悪影響を及ぼすことがない。
【0056】
[変性ポリカルボジイミド]
本発明はまた、芳香族ジイソシアネート化合物由来のポリカルボジイミドをジイソプロピルアミンで変性してなる変性ポリカルボジイミドをも提供する。
すなわち、前記一般式(I)で示されるカルボジイミド変性基を繰返し単位として有するものであり、一般式(II)で示されるカルボジイミド基をジイソプロピルアミンにより変性することにより得られた、一般式(I)で表されるカルボジイミド変性基を有する変性ポリカルボジイミドである。
【0057】
【化6】

【0058】
(式中、Rは前記と同じである。)
カルボジイミド変性基はグアニジン基である。このカルボジイミド変性基の繰返し数は、1以上、好ましくは5〜50である。反応性の高いカルボジイミド基がグアニジン基に変性されているので、溶媒と、あるいはエポキシ樹脂や他の添加剤および溶媒とからなる溶液状態であっても優れた保存安定性を示すことができる。
【0059】
本発明の変性ポリカルボジイミドは、溶液状態の芳香族系ポリカルボジイミドに対しジイソプロピルアミンを、カルボジイミド基に対して所定の当量となるように添加し、常温または加熱下に撹拌して反応させることにより、容易に合成をすることができる。
好ましいジイソプロピルアミンの添加量としては、カルボジイミド基1当量に対して1〜2当量という範囲を例示することができる。さらに1〜1.5当量であることが過剰なアミン量が少なく、乾燥処理時にアミンが逸散し易いという理由より好ましい。
反応の温度は常温または40〜120℃が反応速度と変性中の副反応を抑えるという理由から好ましい。
【0060】
該変性は溶媒下で行うが、溶媒は芳香族ポリカルボジイミドの合成時に用いた溶媒、またはポリカルボジイミドを含む共重合体の重合時に用いた溶媒をそのまま使用することができる。
該変性は撹拌をしながら行うことが好ましく、反応時間は温度によって異なるが、およそ0.1〜2時間を例示することができる。
【0061】
[グアニジンの解離]
さらに上記のようにして変性された変性ポリカルボジイミドは、加熱により元のポリカルボジイミドとジイソプロピルアミンとに解離する。解離してカルボジイミド基に戻ることにより、その後の硬化反応により高い接着性と耐熱性を有するポリカルボジイミドとすることができる。他方、解離して生成したジイソプロピルアミンは揮発するのでポリカルボジイミド中にほぼ残存しなくなる。
変性ポリカルボジイミドは上記のとおり加熱により解離するが、解離開始温度は120℃程度である。ジイソプロピルアミンの沸点は84.1℃であり、解離すると直ちに揮発乾燥される。解離速度と解離して生成したジイソプロピルアミンを揮発させて除去する観点から、好ましい乾燥温度は120〜180℃である。
【実施例】
【0062】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
〔芳香族系ポリカルボジイミドの合成〕
合成例1
1リットル4つ口フラスコに4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以降MDIと表記)70.0g、PTMG1000(三洋化成(株)製)74.0gと溶媒としてトルエン320.0g、メチルエチルケトン(MEK)180.0gを投入し、これを、90℃のオイルバスに浸けて2時間加熱下で攪拌した。
次いで3−メチル−1−フェニル−2−ホスフォレン−1−オキシド(以下、「カルボジイミド化触媒」と表記)を0.12g投入して、110℃昇温後5時間カルボジイミド化反応を進めることにより、ポリカルボジイミド共重合体溶液を得た。
【0063】
合成例2
1リットル4つ口フラスコにトリレンジイソシアネート(2,4−トリレンジイソシアネート:2,6−トリレンジイソシアネート=80:20の混合物、以降TDIと表記)70.0g、PTMG1400(三洋化成(株)製)50.0gを仕込み、80℃のオイルバスに浸けて3時間加熱下で攪拌した。次いで、溶媒としてシクロヘキサノン500.0gを投入し均一溶液とした後、カルボジイミド化触媒0.16g投入して130℃昇温後6時間カルボジイミド化反応を進めることにより、ポリカルボジイミド共重合体溶液を得た。
【0064】
合成例3
1リットル4つ口フラスコにMDI30.0g、PEBA(融点132℃、分子量7200)60.0gと、溶媒としてシクロヘキサノン450.0gを仕込み、160℃のオイルバスに浸漬させ還流下で2時間攪拌反応させた。110℃に下げた後、カルボジイミド化触媒を0.06g投入して4時間カルボジイミド化反応を進めることにより、ポリカルボジイミド共重合体溶液を得た。
【0065】
合成例4
1リットル4つ口フラスコにMDI40.0g、PCDL5650(旭化成(株)製)70.0gと、溶媒としてシクロヘキサノン300.0g及びMEK150gを仕込み、100℃のオイルバスに浸漬させ加熱下で2時間攪拌反応させた。カルボジイミド化触媒を0.06g投入した後120℃に上げ、4時間カルボジイミド化反応を進めることにより、ポリカルボジイミド共重合体溶液を得た。
なお、PCDL5650は一般式(IX)の構造を有するものであり、mは5の場合と6の場合を含み、qは6〜7の数である。
【0066】
【化7】

【0067】
合成例5
1リットル4つ口フラスコにMDI40.0g、PCDL4671(旭化成(株)製)30.0gとPTMG1000(三菱化成(製))10.0gと、溶媒としてトルエン200.0g及びMEK250gを仕込み、100℃のオイルバスに浸漬させ加熱下で2時間攪拌反応させた。カルボジイミド化触媒を0.06g投入した後110℃にオイルバス温度を上げ、4時間カルボジイミド化反応を進めることにより、ポリカルボジイミド共重合体溶液を得た。
なお、PCDL4671は前記一般式(IX)の構造を有するものであり、mは4の場合と6の場合を含み、qは6〜8の数である。
【0068】
合成例6
1リットル4つ口フラスコにMDI70.0gと溶媒としてトルエン430.0gを投入した。これを、90℃のオイルバスに浸浸し、加熱下3時間撹拌した。
次いでカルボジイミド化触媒を0.06g投入し、110℃に昇温後5時間カルボジイミド化反応を進めることにより、ポリカルボジイミド溶液を得た。
【0069】
合成例7
1リットル4つ口フラスコにTDI70.0gとフェニルイソシアネート3.0gを仕込み、溶媒としてシクロヘキサノン500.0gを投入し均一溶液とした後、カルボジイミド化触媒0.09g投入し、120℃下で6時間カルボジイミド化反応を進めることにより、カルボジイミド溶液を得た。
【0070】
〔変性ポリカルボジイミド共重合体組成物の製造〕
実施例1〜5
各合成例1〜5で得られたポリカルボジイミド共重合体溶液100gとその樹脂固形分のカルボジイミド樹脂当量に対し1.3倍当量のジイソプロピルアミンを混合後、80℃で3時間反応させることにより、変性ポリカルボジイミド共重合体の組成物を製造した。赤外線吸収スペクトル(以下、IRと記す。)でカルボジイミド基NCNの吸収が消失し、且つ、1620cm-1付近に新たなグアニジン基に帰属される吸収が観測されたことにより、ポリグアニジンの生成を確認した。
【0071】
〔変性ポリカルボジイミド組成物の製造〕
実施例1〜5のポリカルボジイミド共重合体溶液を合成例6および7のポリカルボジイミド溶液に変更した以外は同様にして、変性ポリカルボジイミド組成物を製造した。IRでカルボジイミド基NCNの吸収が消失し、且つ、1620cm-1付近に新たなグアニジン基に帰属される吸収が観測されたことにより、ポリグアニジンの生成を確認した。
【0072】
比較例1
合成例1で得られたポリカルボジイミド共重合体溶液100.0gと、ジブチルアミン4.0gを混合後、80℃で3時間反応させることにより、変性ポリカルボジイミド共重合体の組成物を製造した。IRで2100cm-1付近に観測されるカルボジイミド基NCNの吸収が消失し、且つ、1620cm-1付近に新たなグアニジン基に帰属される吸収が観測されたことにより、ポリグアニジンの生成を確認した。
なお、ジブチルアミンの添加量は、実施例と同様、カルボジイミド樹脂当量に対し1.3倍当量とし、以下の比較例2,3もアミン化合物の添加量を同様とした。
【0073】
比較例2
合成例1で得られたポリカルボジイミド共重合体溶液100.0gと、ジエチルアミン3.0gを混合後、80℃で3時間反応させることにより、変性ポリカルボジイミド共重合体の組成物を製造した。IRでカルボジイミド基NCNの吸収が消失し、且つ、1615cm-1付近に新たなグアニジン基に帰属される吸収が観測されたことにより、ポリグアニジンの生成を確認した。
【0074】
比較例3
合成例1で得られたポリカルボジイミド共重合体溶液100.0gと、ジ(2−エチルヘキシル)アミン7.5gを混合後、80℃で3時間反応させることにより、変性ポリカルボジイミド共重合体の組成物を製造した。IRでカルボジイミド基NCNの吸収が消失し、且つ、1640cm-1付近に新たなグアニジン基に帰属される吸収が観測されたことにより、ポリグアニジンの生成を確認した。
【0075】
比較例4
合成例1で得られたポリカルボジイミド共重合体溶液100.0gを、そのまま用いた。
【0076】
(1)溶液安定性
合成した溶液を室温下ガラス容器中で保管し、一ヶ月後の粘度変化を測定した。初期の粘度に対して粘度上昇が5%未満であったものを「○」、5%以上であったものを「×」、溶液がゲル化してしまったものは「ゲル」と表記した。
【0077】
(2)アミン解離性
〔変性ポリカルボジイミド組成物によるフィルムの作製〕
各実施例及び比較例で得られた変性ポリカルボジイミド共重合体の溶液を、樹脂濃度が25質量%になるまで濃縮したのち、テーブルコーターを使用して、離型処理されたPETフィルム上にキャスティングし、150℃で8分乾燥処理することにより、厚さ50μmのフィルムを作製した。
上記のようにして乾燥し作成したフィルムを、250℃・10分加熱し発生したガスについてGC−MS測定装置〔6890 series GC system(Agilent社製)及び5973 Mass Selective Detector(Agilent社製)〕を用いて、乾燥処理後にアミンが残存するか分析を行った。
変性に用いたアミンが全く検出されなかったものを○、検出されたものは×と表記した。
またこうして得たフィルムを、熱分析装置〔EXTER6000 TG/DTA6200(セイコーインスツルメンツ社製)〕を使用し昇温10℃/min.で測定を行い5%の質量減少が観測された温度を熱分解温度とした。
変性前の樹脂と比較して、変化が3℃未満であったものを○、3℃以上の変化が認められたものを×と表記した。〔 表中の( )内は実測値(℃)〕
【0078】
(3)反応性
〔変性ポリカルボジイミド組成物とエポキシ樹脂によるフィルムの作製〕
各実施例及び比較例で得られた変性ポリカルボジイミド共重合体100部に対しビスフェノールA型エポキシ樹脂80部を混合した溶液を、樹脂濃度が40質量%になるまで濃縮したのち、テーブルコーターを使用して、離型処理されたPETフィルム上にキャスティングし、170℃で6分乾燥処理することにより、厚さ30μmのフィルムを作製した。
上記のようにして乾燥し作成したフィルムを、250℃10分加熱し発生したガスについてGC−MS測定装置を用いて、乾燥処理でポリカルボジイミドとエポキシ樹脂の付加反応が起こっているか分析を行った。
変性に用いたアミンが全く検出されなかったものを○、検出されたものは×と表記した。
【0079】
(4)金属腐食性
〔銅箔に対する腐食性〕
各実施例及び比較例で得た変性ポリカルボジイミド共重合体の組成物を、共重合体樹脂濃度が40質量%になるまで濃縮したのち、テーブルコーターを使用して幅200mm、厚さ25μmの銅箔(日立電線(株)製)上にキャスティングし、150℃で8分乾燥処理することにより、厚さ50μmの樹脂層つき銅箔を作製した。この銅箔上に同じ銅箔を樹脂層を挟み込むようにして張り合わせ、それらを180℃/60分間、加圧圧力0.5MPaで加熱硬化して接着し試験片を作製した。
この試験片を、85℃/湿度85RHの恒温恒湿器中にて3ヶ月放置し、銅箔に対する腐食の有無を評価した。
腐食が認められない場合を○、ある場合を×とした。
【0080】
【表1】

【0081】
第1表から分かるように、本発明の変性ポリカルボジイミド組成物は、溶液安定性に優れると共に、乾燥工程を経ることによりアミンの影響を無くすことができ、高い耐熱性を有するカルボジイミト゛樹脂が再生できる。
【0082】
(5)耐ハゼ折り性
実施例1〜5で得たポリカルボジイミド共重合体溶液を、該共重合体濃度が25質量%になるまで濃縮したのち、テーブルコーターを使用して、離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にキャスティングし、120℃で6分乾燥処理することにより、厚さ30μmのフィルムを作製した。
20mm幅にフィルムを切断したものを、幅方向に対して直角にハゼ折りをした折り目部位の上に300gのローラーを転がし、その後、折り目を開いて元の位置まで戻す操作を一回とし、同じ部位に対しこの操作を3回繰り返し、折り目部位への割れ・裂けの有無を目視にて確認した。
3回以上割れ・裂けが発生しなかったものは◎とし、3回以内に割れ・裂けが発生したものは割れ・裂けの発生が確認された時点の回数を表記した。
【0083】
(6)ガラス転移点
「TG/DTA6020」(セイコーインスツルメンツ社製)を使用し昇温速度5℃/min、振動周波数0.1Hzの条件で測定を行い、得られたスペクトルでのtanδのピーク値をガラス転移点とした。
同温度が130℃以上の場合を◎、130℃に満たない場合を×と表記した。〔 ( )内は実測値(℃)〕
【0084】
【表2】

【0085】
表2から分かるように、本発明の変性ポリカルボジイミド共重合体組成物は、耐屈曲性(耐ハゼ折り性)により優れるので、フレキシブル配線板用のベースフィルムやカバーレイフィルムに特により好適に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の変性ポリカルボジイミド組成物は、溶液の保存安定性を有しており、高い接着強度、高い耐熱性を有する。かつ金属を腐食しないので、各種電子部品用塗、例えば配線板用のベースフィルムやカバーレイフィルム、あるいは接着フィルムなどの素材として好適に用いられる。特に変性ポリカルボジイミド共重合体においては、さらに可撓性を有すると共に、耐屈曲性(耐ハゼ折り性)に優れるので、フレキシブル配線板用のベースフィルムやカバーレイフィルムに特に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジイソシアネート化合物由来のポリカルボジイミドをジイソプロピルアミンで変性した変性ポリカルボジイミドを含む溶液からなる変性ポリカルボジイミド組成物。
【請求項2】
変性ポリカルボジイミドが一般式(I)
【化1】

(式中、Rは芳香族ジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基を示す。)で表されるカルボジイミド変性基を繰返し単位として有する請求項1記載の変性ポリカルボジイミド組成物。
【請求項3】
芳香族ジイソシアネート化合物が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−トリレンジイソシアネート、および2,6’−トリレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2記載の変性ポリカルボジイミド組成物。
【請求項4】
ポリカルボジイミドが、分子内に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(a)、ポリエーテルブロックアミド(b)、及びヘキサメチレンとペンタメチレンとテトラメチレンの中から選ばれる二種以上の混合アルキレン鎖を有するポリアルキレンカーボネートジオール(c)の両末端官能基を除いた残基の中から選ばれる少なくとも一種を含むソフトセグメントと、該ソフトセグメントとウレタン結合、ウレア結合及びアミド結合から選ばれる少なくとも一種を介して結合されるポリカルボジイミドからなるハードセグメントとを有する熱硬化性ポリカルボジイミド共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の変性ポリカルボジイミド組成物。
【請求項5】
芳香族ジイソシアネート化合物由来のポリカルボジイミドをジイソプロピルアミンで変性してなる変性ポリカルボジイミド。
【請求項6】
変性ポリカルボジイミドが一般式(I)
【化2】

(式中、Rは芳香族ジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基を示す。)で表されるカルボジイミド変性基を繰返し単位として有する請求項5記載の変性ポリカルボジイミド。
【請求項7】
カルボジイミド変性基が、一般式(II)
【化3】

(式中、Rは芳香族ジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた残基を示す。)
で表される芳香族ジイソシアネート化合物由来のカルボジイミド基をジイソプロピルアミンで変性することにより得られるものである、請求項5又は6記載の変性ポリカルボジイミド。
【請求項8】
芳香族ジイソシアネート化合物が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−トリレンジイソシアネート、および2,6’−トリレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一種である請求項5〜7記載の変性ポリカルボジイミド。
【請求項9】
ポリカルボジイミドが、分子内に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(a)、ポリエーテルブロックアミド(b)、及びヘキサメチレンとペンタメチレンとテトラメチレンの中から選ばれる二種以上の混合アルキレン鎖を有するポリアルキレンカーボネートジオール(c)の両末端官能基を除いた残基の中から選ばれる少なくとも一種を含むソフトセグメントと、該ソフトセグメントとウレタン結合、ウレア結合及びアミド結合から選ばれる少なくとも一種を介して結合されるポリカルボジイミドからなるハードセグメントとを有するポリカルボジイミド共重合体である請求項5〜8のいずれかに記載の変性ポリカルボジイミド。

【公開番号】特開2007−138080(P2007−138080A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336166(P2005−336166)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000004374)日清紡績株式会社 (370)
【Fターム(参考)】