説明

変換装置、印刷システム、装着ボード、変換装置の制御方法およびプログラム

【課題】取扱者が印刷された情報を容易に把握できる印刷物を作成可能な変換装置等を提供する。
【解決手段】コード画像30を印刷するための情報であり、識別子およびパラメーターから成る属性情報を1以上含むコード情報を、印刷データーの一部として取得する印刷データー取得部11と、識別子と、装飾情報と、当該装飾を施すか否かを判定するための条件と、を関連付けて記憶する記憶部15と、コード情報から、記憶部15に記憶されている識別子が含まれる属性情報を抽出する属性情報抽出部12と、抽出した属性情報に含まれるパラメーターが、当該属性情報に含まれる識別子に記憶部15で関連付けられた条件を満たすか否かを判別する条件判別部13と、条件を満たすと判定された場合、識別子に関連付けられた装飾情報に基づいて、印刷装置10に対し印刷指令を行う印刷指令部19と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コード画像を印刷する印刷装置に接続されて用いられる変換装置、印刷システム、装着ボード、変換装置の制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
小売や物流の現場では、人や物品の識別などを行う有効な手段として、バーコードを代表とするコード画像(コードシンボル)が用いられている。近年では、情報活用の多様化や識別内容の複雑化などを背景に、コード画像に含まれる情報が増加傾向にある。コンピューター等の情報処理装置にとっては、このような膨大な情報の取り扱いが容易であるが、その物品等の取扱者にとっては、コード画像に含まれる情報を目視だけで把握することは容易ではなく、コード画像に、物品等の取り扱いに関する注意すべき情報が含まれている場合、取扱者にその情報を正確に通知することが困難であった。
【0003】
そこで、バーコードに含まれる情報のうち、取扱者が必要とする属性情報(実質文字列)を、他の情報(付加文字列)とは異なる印刷形態で印刷する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。これにより、取扱者が、実質文字列を的確且つ迅速に認識することができる、といった利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−182160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、実際の使用状況では、取扱者が必要とする属性情報が定まらない場合も多い。例えば、スーパー等で商品に貼付されるラベルの場合、消費期限などの属性情報は、生鮮食品や惣菜の場合非常に重要であるが、乾物など消費期限が長く設定されている場合はあまり重要視されない。つまり、同じ属性情報であっても、商品や販売日時などの条件によって、重要度が変化することが考えられる。ところが、従来の技術では、条件に応じて、コード画像に含まれる属性情報の印刷形態を変化するものは存在しない。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑み、取扱者が情報を容易に把握できるように、同じ属性情報であっても、条件を満たすか否かに応じて印刷形態を変化させることができる変換装置、印刷システム、装着ボード、変換装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の変換装置は、コード画像を印刷する印刷装置に接続されて用いられる変換装置であって、コード画像を印刷するための情報であり、識別子および当該識別子に付加されたパラメーターから成る属性情報を1以上含むコード情報を取得するコード情報取得部と、識別子と、所定の印刷要素に装飾を施して印刷するための装飾情報と、パラメーターに基づいて当該装飾を施すか否かを判定するための条件と、を関連付けて記憶する記憶部と、取得したコード情報から、記憶部に記憶されている識別子が含まれる属性情報を抽出する属性情報抽出部と、抽出した属性情報に含まれるパラメーターが、当該属性情報に含まれる識別子に記憶部で関連付けられた条件を満たすか否かを判別する条件判別部と、条件判別部により、パラメーターが条件を満たすと判定された場合、識別子に関連付けられた装飾情報に基づいて、印刷装置に対し印刷指令を行う印刷指令部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の変換装置の制御方法は、コード画像を印刷する印刷装置に接続されて用いられる変換装置の制御方法であって、変換装置は、識別子と、所定の印刷要素に装飾を施して印刷するための装飾情報と、当該装飾を施すか否かを判定するための条件と、を関連付けて記憶する記憶部を備え、コード画像を印刷するための情報であり、識別子および当該識別子に付加されたパラメーターから成る属性情報を1以上含むコード情報を取得するステップと、取得したコード情報から、記憶部に記憶されている識別子が含まれる属性情報を抽出するステップと、抽出した属性情報に含まれるパラメーターが、当該属性情報に含まれる識別子に記憶部で関連付けられた条件を満たすか否かを判別するステップと、パラメーターが条件を満たすと判定された場合、識別子に関連付けられた装飾情報に基づいて、印刷装置に対し印刷指令を行うステップと、を実行することを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、属性情報に含まれるパラメーターが、記憶部において、当該属性情報に含まれる識別子に関連付けられた条件を満たすと判定された場合のみ、当該条件および識別子に関連付けられた装飾情報に基づいて印刷指令を行うため、パラメーターの内容などに応じて印刷形態を変化させることができる。これにより、例えば、印刷内容の重要度に応じて印刷形態を変化させることができ、取扱者は、重要な情報を的確且つ迅速に把握することができる。また、印刷装置に接続されて用いられる変換装置で装飾を施す構成であるため、コード情報の送信元となるコンピューター(上位装置)のアプリケーション変更や印刷装置の入れ替えなどの大幅な改造を必要とすることなく、変換装置の追加だけで本発明を実現することができる。また、コンピューターや印刷装置のバージョンアップも支障なく行うことができる。
【0010】
上記に記載の変換装置において、印刷指令部は、識別子に関連付けられた装飾情報に基づいて装飾が施された所定の印刷要素と、コード情報取得部により取得したコード情報に基づくコード画像と、の印刷を指令することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、装飾情報に基づく装飾が施された所定の印刷要素だけでなく、コード情報に基づくコード画像も印刷させることができる。
【0012】
上記に記載の変換装置において、所定の印刷要素は、識別子に付加されたパラメーターを指すことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、所定の印刷要素を含む装飾情報に関連付けられているパラメーターに対して、装飾情報に基づく装飾を施すことができる。例えば、識別子が商品コードを示すものである場合、そのパラメーターであるコードに対して装飾を施すことができる。
【0014】
上記に記載の変換装置において、印刷指令部は、パラメーターに、識別子に対応するテキストを付加して印刷するように指令を行うことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、装飾情報に基づく装飾が施されたパラメーターと共に、識別子に対応するテキストを印刷させることができる。例えば、識別子が商品コードを示すものである場合、識別子に対応するテキスト(例えば、「商品コード:」)を、そのパラメーターであるコードの先頭に付加して印刷させることができる。
【0016】
上記に記載の変換装置において、識別子は、商品コードを示すものであり、条件判別部は、商品データーベースの参照結果から、パラメーターによって特定される商品が広告対象商品であると判定できた場合、条件を満たすと判定することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、条件を、「パラメーターによって特定される商品が広告対象商品であること」としているため、広告対象商品を対象としたコード情報を取得した場合のみ、所定の印刷要素に装飾を施すことができる。これにより、例えば、広告対象商品を対象としたラベルに、「広告の品」のロゴを付加するなどの装飾を行うことができる。
【0018】
上記に記載の変換装置において、識別子は、期限日を示すものであり、条件判別部は、計時部の計時結果から、パラメーターによって特定される日付までの残り日数が所定日数以内であると判定できた場合、条件を満たすと判定することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、条件を、「パラメーターによって特定される日付までの残り日数が所定日数以内であること」としているため、消費期限日や賞味期限日が残り少ない商品を対象としたコード情報を取得した場合のみ、所定の印刷要素に装飾を施すことができる。これにより、例えば、消費期限日や賞味期限日が近い商品を対象としたラベルに、日付(パラメーター)を強調して印刷するなどの装飾を行うことができる。
【0020】
上記に記載の変換装置において、装飾情報は、文字サイズ、文字スタイル、下線、罫線、枠線、文字飾り、文字色、線色、地紋色、文字種類、画像付加、印刷位置、のうち、1以上に関する情報を含むことが好ましい。
【0021】
この構成によれば、文字サイズ(フォントサイズ)、文字スタイル(斜体、太字など)、下線、罫線、枠線、文字飾り(取り消し線、中抜き、浮き出し、隠し文字など)、文字色、線色、地紋色、文字種類(フォント種類)、画像付加、印刷位置(印刷媒体上における絶対位置の指定、他情報との相対位置の指定)、などの装飾を施すことができる。
【0022】
本発明の印刷システムは、上記に記載の変換装置と、変換装置にコード情報を送信するコンピューターと、印刷装置と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
本発明の装着ボードは、上記に記載の変換装置における各部を備え、印刷装置に装着されて用いられることを特徴とする。
【0024】
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記に記載の変換装置の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0025】
これらの構成によれば、同じ属性情報であっても、条件を満たすか否かに応じて印刷形態を変化させることにより、取扱者が情報を容易に把握できる印刷システム、装着ボードおよび変換装置の制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】コード画像を印刷するためのコード情報の説明図である。
【図3】印刷テーブルの一例を示す図である。
【図4】装飾テーブルの一例を示す図である。
【図5】変換装置に入力される印刷データーと、当該印刷データーに基づく商品ラベルの印刷結果を示す図である。
【図6】商品ラベルの編集内容を示す図である。
【図7】変換装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図8】印刷システムの他の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係る変換装置、印刷システム、装着ボード、変換装置の制御方法およびプログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、印刷システムSYの構成を示すブロック図である。当該印刷システムSYは、印刷データー40(図5(a)参照)を生成および送信するコンピューター20と、当該コンピューター20から送信された印刷データー40に対し所定のデーター変換(装飾など)を行う変換装置70と、当該変換装置70からの印刷指令に基づいて印刷を行う印刷装置10と、を備えている。
【0028】
コンピューター20は、少なくともコード画像30を印刷するためのコード情報42(図2(a)参照)を生成、送信可能なものであれば良く、POS(Point Of Sales)端末やパーソナルコンピューターなど各種情報処理装置を適用可能である。なお、図1では、コード画像30としてバーコードを例示しているが、2次元コードやカラーコードなど、各種コードシンボルを採用可能である。
【0029】
また、コンピューター20は、印刷データー生成部23および商品データーベース21を備えている。印刷データー生成部23は、商品ラベルLを印刷するための印刷データー40を生成する。なお、印刷データー生成部23は、コード情報42を生成可能なアプリケーションソフトにより実現される。例えば、コンピューター20がPOS端末の場合、POSアプリケーションにより実現される。
【0030】
また、商品データーベース21は、各商品について、商品コード、固体識別番号、商品名、単価、割引率、商品属性(広告対象商品、タイムサービス商品など)などが記録されたものである。なお、商品データーベース21をコンピューター20内に備えるのではなく、変換装置70内に備えたり、独立した装置内に備えたりしても良い。また、不図示のPOSサーバー内に商品データーベース21を備え、変換装置70から参照可能としても良い。
【0031】
変換装置70は、本実施形態の主要部を構成する装置であり、コンピューター20および印刷装置10と、それぞれインターフェース(図示省略)を介して接続されている。なお、変換装置70は、コンピューター20および印刷装置10とケーブル等で有線接続されていても良いし、無線LAN等で無線接続されていても良い。
【0032】
ここで、変換装置70の機能構成について説明する。図1に示すように、変換装置70は、主な機能構成として、印刷データー取得部11(コード情報取得部)、属性情報抽出部12、条件判別部13、印刷指令部19、記憶部15および計時部16を備えている。ここで、属性情報抽出部12、条件判別部13および印刷指令部19は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を主要部とする変換装置70内の制御装置により実現される。
【0033】
印刷データー取得部11は、コンピューター20の印刷データー生成部23から、インターフェースを介して印刷データー40を取得する。印刷データー40には、商品ラベルLに、商品名などのテキストを印刷するためのテキスト情報41、コード画像30を印刷するためのコード情報42、および商品ラベルLのラベル枠54を印刷するための枠線情報43などが含まれる(図5(a),(b)参照)。
【0034】
ここで、図2を参照し、コード情報42について説明する。図2(a)は、コード情報42の一例を示す図である。上記のとおり、コード情報42は、コード画像30を印刷するための情報であって、1以上の属性情報から成る。図2(a)は、コード情報42が、3つの属性情報から構成されている場合を例示している。
【0035】
また、図2(b)に示すように、属性情報は、各属性情報を識別するための識別子と、当該識別子に付加されたパラメーターと、から成る。同図では、識別子を、括弧付の3桁数字で示し、パラメーターを、6桁〜8桁の数字で示している。なお、コード画像30としては、GS1データーバーを用いることが可能であり、この場合の識別子としては、GS1アプリケーション識別子を適用可能である。但し、本実施形態では、GS1アプリケーション識別子の規格(ISO/IEC15418規格)とは関係なく、識別子およびデーター項目を規定するものとする。
【0036】
図1の説明に戻る。記憶部15は、フラッシュメモリーなど不揮発性のメモリーにより実現されるものであり、印刷テーブル15a(図3参照)および装飾テーブル15b(図4参照)を備えている。印刷テーブル15aは、上記の「識別子」と、当該識別子が示す「データー項目」と、編集内容を示す「印刷情報」と、を関連付けたものである。また、装飾テーブル15bは、上記の「識別子」と、当該識別子が示す「データー項目」と、装飾を施すか否かを判定するための「条件」と、編集内容を示す「装飾情報」と、を関連付けたものである。編集内容の詳細については、後述する。
【0037】
計時部16は、RTC(Real Time Clock)などにより実現されるものであり、現在時刻を計時する。なお、変換装置70内に計時部16を備えるのではなく、コンピューター20や不図示の外部装置から時刻情報を取得することによって、現在時刻を特定できるようにしても良い。
【0038】
属性情報抽出部12は、印刷データー取得部11により取得した印刷データー40内のコード情報42から、記憶部15(印刷テーブル15aおよび装飾テーブル15bの少なくとも一方)に記憶されている識別子が含まれる属性情報を抽出する。例えば、識別子「010」(データー項目:固体識別番号)の属性情報を含むコード情報42を取得した場合、印刷テーブル15aおよび装飾テーブル15bには、いずれも当該識別子が記憶されているため(図3の符号A,図4の符号B参照)、取得したコード情報42から、識別子「010」の属性情報が抽出される。
【0039】
条件判別部13は、装飾テーブル15bを参照し、属性情報抽出部12により抽出した属性情報に含まれるパラメーターが、当該属性情報に含まれる識別子に関連付けられた条件を満たすか否かを判別する。例えば、識別子「010」の属性情報を含むコード情報42を取得した場合、装飾テーブル15bでは、当該識別子に、条件「和牛を示すものであること」が関連付けられているため(符号B参照)、識別子「010」に続くパラメーターが、「和牛」を示すものであるか否かを判別する。
【0040】
また、条件判別部13は、例えば条件が、「パラメーターによって特定される商品が広告対象商品であること」など、商品判定が必要なものである場合、商品データーベース21を参照して判別を行う。また、例えば条件が、「パラメーターによって特定される日付までの残り日数が所定日数以内であること」など、日付判定が必要なものである場合、計時部16の計時結果を参照して判別を行う。
【0041】
印刷指令部19は、コンピューター20から取得した印刷データー40に対し、装飾を施したり、印刷装置10に適した所定のデーター変換を行って、印刷装置10に対する印刷指令を行う。例えば、条件判別部13により、パラメーターが条件を満たすと判定された場合は、識別子に関連付けられた装飾情報に基づいて装飾を施した後、印刷装置10に対し印刷指令を行う。例えば、識別子「010」の属性情報を含むコード情報42を取得した場合であって、識別子「010」に続くパラメーターが「和牛」を示すものであった場合、当該識別子に関連付けられた装飾情報「牛のイラストを、位置****に印刷」(符号B参照)にしたがって、印刷データー40を編集する(装飾データーを付加する)。なお、条件判別部13により、パラメーターが条件を満たさないと判定された場合は、装飾テーブル15bに基づく装飾は行わない。
【0042】
また、印刷指令部19は、属性情報抽出部12により、印刷テーブル15aに記憶されている識別子が含まれる属性情報を抽出した場合、当該識別子に関連付けられた印刷情報に基づいて印刷指令を行う。例えば、識別子「010」の属性情報を含むコード情報42を取得した場合、当該識別子に関連付けられた印刷情報「パラメーターを、テキスト「固体識別番号:」に続けて、位置****に印刷」(符号A参照)にしたがって、印刷データー40を編集する(テキストデーターを付加する)。
【0043】
一方、印刷装置10は、印刷データー40に含まれるコード情報42に基づいてコード画像30を印刷可能であることが条件である。本実施形態では、生鮮食品や惣菜などに貼付される商品ラベルLを作成するためのラベルプリンターであって、カラー印刷が可能な印刷装置10を例示する。
【0044】
印刷装置10は、主な機能構成として、印刷部14を備えている。印刷部14は、印刷ヘッド、ヘッド駆動機構、ラベル媒体搬送機構およびラベル切断機構等により実現される。なお、印刷部14の印刷方式としては、インクジェットプリンターやサーマルプリンターなど、各種方式を適用可能である。
【0045】
次に、図5を参照し、変換装置70に入力される(コンピューター20から送信される)印刷データー40と、当該印刷データー40に基づく商品ラベルLの印刷結果について説明する。図5(a)は、印刷データー40の一例を概念的に示した図である。例示した印刷データー40には、商品名を示すテキスト情報41と、コード情報42と、枠線情報43と、が含まれている。また、本例では、これら各情報41,42,43の印刷位置およびサイズ、並びにテキスト情報41のフォントおよび色に関する情報も、印刷データー40に含まれるものとする。さらに、コード情報42には、同図に示した6つの属性情報が含まれるものとする。
【0046】
図5(b)は、図5(a)に示した印刷データー40に基づく商品ラベルLの印刷結果を示す図である。同図に示すように、ラベル上には、「広告の品」と記載されたトップロゴ51、商品名52、詳細情報53、ラベル枠54、イラスト55、商品価格56およびコード画像30が印刷されている。なお、商品名52、ラベル枠54およびコード画像30は、それぞれ印刷データー40のテキスト情報41、枠線情報43およびコード情報42に基づいて印刷された項目である。
【0047】
ここで、図6を参照し、印刷テーブル15a(図3参照)および装飾テーブル15b(図4参照)と、商品ラベルLの印刷結果との相関関係について説明する。図5(a)に示したとおり、印刷データー40(コード情報42)には識別子「001」(データー項目:商品コード)が含まれ、装飾テーブル15bに識別子「001」が記憶されているため、条件判別部13は、商品データーベース21を参照し、当該識別子に続くパラメーターによって特定される商品が、当該識別子に関連付けられた条件「広告対象商品であること」を満たすか否かを判別する。その結果、条件を満たす場合、当該識別子に関連付けられた装飾情報に基づいて、トップロゴ51が印刷される。言い換えれば、条件を満たさない場合(広告対象商品でない場合)は、トップロゴ51が印刷されない。なお、「ロゴ」とは、所定形式の画像データーを指すものであり、当該ロゴの指定により、当然、色およびサイズも指定される。
【0048】
さらに、条件判別部13は、商品データーベース21を参照し、当該識別子に続くパラメーターによって特定される商品が、当該識別子に関連付けられた条件「精肉を示すものであること」を満たすか否かを判別する。その結果、条件を満たす場合、当該識別子に関連付けられた装飾情報に基づいて、ラベル枠54が変更されて印刷される。言い換えれば、条件を満たさない場合(精肉を示すものでない場合)は、枠線情報43に基づく規定の(予め定められた)ラベル枠が印刷される。
【0049】
なお、図4に示すとおり、装飾情報には、各種装飾に関する編集内容が記述されている。装飾内容としては、文字サイズ(フォントサイズ)、文字スタイル(斜体、太字など)、下線、罫線、枠線、文字飾り(取り消し線、中抜き、浮き出し、隠し文字など)、文字色、線色、地紋色、文字種類(フォント種類)、画像付加、印刷位置(商品ラベルL上における絶対位置の指定、他情報との相対位置の指定)、などが挙げられる。また、装飾情報には、装飾の対象となる所定の印刷要素(トップロゴ51等のロゴやイラスト55の挿入領域、識別子に続くパラメーター、ラベル枠54など)についても記述されている。
【0050】
また、図5(a)に示した印刷データー40には、識別子「010」(データー項目:固体識別番号)も含まれる。さらに、印刷テーブル15aは、当該識別子「010」が記憶されている。したがって、印刷テーブル15aにおいて当該識別子に関連付けられた印刷情報に基づいて印刷が行われる。本実施形態では、識別子「010」に関連付けられた印刷情報に基づいて、詳細情報53の1行目が印刷されたものとする。図3に示すとおり、印刷情報には、印刷位置やテキスト挿入の他、各種装飾(上記の「装飾情報」参照)に関する編集内容が記述されている。
【0051】
また、識別子「010」は、装飾テーブル15bにも記憶されているため、条件判別部13は、商品データーベース21を参照し、当該識別子に続くパラメーターによって特定される商品が、当該識別子に関連付けられた条件を満たすか否かを判別する。その結果、条件を満たす場合、当該識別子に関連付けられた装飾情報に基づいて、イラスト55が印刷される。
【0052】
また、印刷データー40に含まれる識別子「011」(データー項目:消費期限)の属性情報(図5(a)参照)に基づいて、詳細情報53の2行目が印刷される。当該識別子「011」は、装飾テーブル15bにも記憶されているため、条件判別部13は、計時部16の計時結果を参照し、当該識別子に続くパラメーターによって特定される日付が、当該識別子に関連付けられた条件「残り日数が7日以内であること」を満たすか否かを判別する。その結果、条件を満たす場合、当該識別子に関連付けられた装飾情報に基づいて、消費期限のパラメーター部分が、赤色、強調、下線付きで印刷される。つまり、この場合は、装飾の対象となる所定の印刷要素が、識別子に続くパラメーターとなる。
【0053】
同様に、本実施形態では、印刷データー40に含まれる識別子「015」(データー項目:加工日)の属性情報に基づいて、詳細情報53の3行目が印刷され、印刷データー40に含まれる識別子「030」(データー項目:内容量)の属性情報に基づいて、詳細情報53の4行目が印刷され、印刷データー40に含まれる識別子「045」(データー項目:価格表示)の属性情報に基づいて、詳細情報53の5行目および商品価格56が印刷される。なお、詳細情報53は、いずれも、印刷テーブル15aの参照結果に基づいて、各識別子に対応するテキストが、当該識別子に続くパラメーターに付加して印刷されたものである(パラメーターテキスト印刷)。
【0054】
次に、図7のフローチャートを参照し、変換装置70の制御方法について説明する。ここでは、記憶部15内に、印刷テーブル15aおよび装飾テーブル15bが、予め設定されているものとして説明する。変換装置70は、印刷データー取得部11により、印刷データー40(コード情報42)を取得すると(S01)、属性情報抽出部12により、印刷テーブル15a内の識別子を含む属性情報が、取得したコード情報42に含まれるか否かを判別する(S02)。
【0055】
印刷テーブル15a内の識別子を含む属性情報がコード情報42に含まれる場合は(S02:Yes)、当該識別子に関連づけられた印刷情報に基づいて印刷を行うための編集を行う(S03)。一方、印刷テーブル15a内の識別子を含む属性情報がコード情報42に含まれない場合は(S02:No)、S03を省略する。
【0056】
続いて、変換装置70は、属性情報抽出部12により、装飾テーブル15b内の識別子を含む属性情報が、取得したコード情報42に含まれるか否かを判別する(S04)。ここで、装飾テーブル15b内の識別子を含む属性情報がコード情報42に含まれる場合は(S04:Yes)、条件判別部13により、当該識別子に続くパラメーターが、装飾テーブル15bに記述された条件を満たすか否かを判別する(S05)。
【0057】
条件判別部13により、当該識別子に続くパラメーターが条件を満たすと判定された場合は(S05:Yes)、装飾テーブル15bに記述された装飾情報に基づいて印刷を行うための編集を行う(S06)。一方、装飾テーブル15b内の識別子を含む属性情報がコード情報42に含まれない場合は(S04:No)、S05およびS06を省略し、識別子に続くパラメーターが条件を満たさない場合は(S05:No)、S06を省略する。その後、印刷指令部19により、S03およびS06の編集結果に基づいて(編集を行わなかった場合は、取得した印刷データー40そのものに基づいて)、印刷装置10に対し印刷指令を行う(S07)。
【0058】
以上説明したとおり、本実施形態の印刷システムSYによれば、変換装置70は、コンピューター20から取得した印刷データー40に含まれるコード情報42内の任意の属性情報が、装飾テーブル15bで定められた条件を満たすと判定された場合、当該条件および識別子に関連付けられた装飾情報に基づいて印刷指令を行うため、属性情報の内容などに応じて印刷形態を変化させることができる。これにより、例えば、印刷内容の重要度に応じて印刷形態を変化させて印刷することができ、取扱者は、重要な情報を的確且つ迅速に把握することができる。また、コンピューター20と印刷装置10の中間に位置する変換装置70で装飾を施す構成であるため、コード情報42の送信元となるコンピューター20のアプリケーションソフトの変更や印刷装置10の入れ替えなどの大幅な改造を必要とすることなく、変換装置70の追加だけで本発明を実現することができる。また、コンピューター20や印刷装置10のバージョンアップも支障なく行うことができる。
【0059】
また、変換装置70内には、装飾テーブル15b以外に、識別子毎に印刷情報(編集内容)が設定された印刷テーブル15aも記憶されているため、条件を満たすか否かに関わらず、特定の属性情報に対して一律に同様の装飾を施すことも可能である。
【0060】
なお、上記の実施形態において、変換装置70は、独立した装置であり、インターフェースおよびケーブル等を介して、コンピューター20および印刷装置10と接続されるものとしたが、図8に示すように、印刷装置10に装着して用いられる装着ボード71によって実現しても良い。この場合、装着ボード71には、印刷データー取得部11(コード情報取得部)、属性情報抽出部12、条件判別部13、印刷指令部19および記憶部15が備えられる。なお、計時部16は、同図に示すように、印刷装置10内に備えても良いし、装着ボード71内に備えても良い。また、装着ボード71は、コンピューター20と接続される外部インターフェースと、印刷装置10と接続される専用インターフェースと、を備え(いずれも図示省略)、これらのインターフェースを介してコンピューター20および印刷装置10と通信を行う。また、装着ボード71には、印刷装置10とは独立した制御装置(図示省略)が設けられ、当該制御装置と、記憶部15内に記憶された制御プログラムに基づいて、各部が実現される。このように、変換装置70を装着ボード71とすることにより、変換装置70の設置スペースの必要がなくなり、省スペース化を図ることができる。また、コンピューター20と、装着ボード71が装着された印刷装置10と、によって印刷システムSYを構築できるため、システム構成を簡素化できる。
【0061】
また、上記の実施形態では、商品ラベルL上に、コード画像30を印刷するものとしたが(図5(b)参照)、必ずしも印刷しなくても良い。つまり、印刷データー40にコード情報42が含まれる場合であっても、当該コード情報42に基づくコード画像30の印刷を省略しても良い。また、コード画像30の印刷の要否について、ユーザーが設定可能としても良い。
【0062】
また、上記の実施形態では、テキスト情報41、コード情報42および枠線情報43の印刷位置およびサイズ、並びにテキスト情報41のフォントおよび色に関する情報が、印刷データー40に含まれるものとしたが、これら印刷位置およびサイズ、並びにフォントおよび色に関する情報を、変換装置70内の印刷テーブル15aに格納しておくようにしても良い。つまり、コンピューター20からは、各情報41,42,43の内容のみを送信し、印刷位置やサイズなどについては、印刷テーブル15aの印刷情報に基づいて決定しても良い。この構成によれば、コンピューター20から、印刷位置やサイズなどの情報を送信する必要がないため、送信データー量を少なくすることができると共に、簡易なアプリケーションソフトを用いた場合でも、複雑な(見栄えの良い)商品ラベルLを作成することができる。
【0063】
また、上記の実施形態では、ラベル枠54の印刷について、印刷データー40内の枠線情報43に基づく枠線を、装飾情報に基づく枠線に変更する場合を例示したが、印刷データー40内に枠線情報43が含まれない場合、所定の枠線を付加する装飾を行うようにしても良い。つまり、装飾情報として、「所定の枠線を付加して印刷する」旨を記述しても良い。
【0064】
また、上記の実施形態では、識別子「011」(データー項目:消費期限)に続くパラメーターによって特定される日付が、条件「残り日数が7日以内であること」を満たす場合、当該パラメーター部分を強調印刷するものとしたが、消費期限については、残り日数が少ないときばかりでなく、商品によっては、常に重要となる場合が考えられる。そこで、商品コードから、生鮮食品や惣菜など、消費期限が重要と考えられる商品であると判定された場合、消費期限のパラメーター部分に装飾を施すようにしても良い。この場合、識別子は、商品コードを示すものとし、条件は、「生鮮食品や惣菜を示すものであること」とし、装飾情報は、消費期限のパラメーター(識別子「011」に続くパラメーター)を強調印刷する、として、装飾テーブル15bに記憶させておけばよい。この構成によれば、所定の印刷要素を、特定の識別子に続くパラメーターとすることができ、さらに多様な装飾を実現することができる。
【0065】
また、上記に示した変換装置70の各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、一般的なコンピューターを変換装置70の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0066】
また、上記の実施形態では、印刷装置10としてラベルプリンターを例示したが、他のプリンターや発券機を用いても良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0067】
10…印刷装置 11…印刷データー取得部 12…属性情報抽出部 13…条件判別部 14…印刷部 15…記憶部 15a…印刷テーブル 15b…装飾テーブル 16…計時部 19…印刷指令部 20…コンピューター 21…商品データーベース 23…印刷データー生成部 30…コード画像 40…印刷データー 42…コード情報 70…変換装置 71…装着ボード L…商品ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード画像を印刷する印刷装置に接続されて用いられる変換装置であって、
前記コード画像を印刷するための情報であり、識別子および当該識別子に付加されたパラメーターから成る属性情報を1以上含むコード情報を取得するコード情報取得部と、
前記識別子と、所定の印刷要素に装飾を施して印刷するための装飾情報と、前記パラメーターに基づいて当該装飾を施すか否かを判定するための条件と、を関連付けて記憶する記憶部と、
取得した前記コード情報から、前記記憶部に記憶されている前記識別子が含まれる属性情報を抽出する属性情報抽出部と、
抽出した前記属性情報に含まれる前記パラメーターが、当該属性情報に含まれる前記識別子に前記記憶部で関連付けられた前記条件を満たすか否かを判別する条件判別部と、
前記条件判別部により、前記パラメーターが前記条件を満たすと判定された場合、前記識別子に関連付けられた前記装飾情報に基づいて、前記印刷装置に対し印刷指令を行う印刷指令部と、を備えたことを特徴とする変換装置。
【請求項2】
前記印刷指令部は、前記識別子に関連付けられた前記装飾情報に基づいて装飾が施された前記所定の印刷要素と、前記コード情報取得部により取得したコード情報に基づく前記コード画像と、の印刷を指令することを特徴とする請求項1に記載の変換装置。
【請求項3】
前記所定の印刷要素は、前記識別子に付加された前記パラメーターを指すことを特徴とする請求項1または2に記載の変換装置。
【請求項4】
前記印刷指令部は、前記パラメーターに、前記識別子に対応するテキストを付加して印刷するように指令を行うことを特徴とする請求項3に記載の変換装置。
【請求項5】
前記識別子は、商品コードを示すものであり、
前記条件判別部は、商品データーベースの参照結果から、前記パラメーターによって特定される商品が広告対象商品であると判定できた場合、前記条件を満たすと判定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の変換装置。
【請求項6】
前記識別子は、期限日を示すものであり、
前記条件判別部は、計時部の計時結果から、前記パラメーターによって特定される日付までの残り日数が所定日数以内であると判定できた場合、前記条件を満たすと判定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の変換装置。
【請求項7】
前記装飾情報は、文字サイズ、文字スタイル、下線、罫線、枠線、文字飾り、文字色、線色、地紋色、文字種類、画像付加、印刷位置、のうち、1以上に関する情報を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の変換装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の変換装置と、
前記変換装置に前記コード情報を送信するコンピューターと、
前記印刷装置と、を備えたことを特徴とする印刷システム。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の変換装置における各部を備え、
前記印刷装置に装着されて用いられることを特徴とする装着ボード。
【請求項10】
コード画像を印刷する印刷装置に接続されて用いられる変換装置の制御方法であって、
前記変換装置は、
識別子と、所定の印刷要素に装飾を施して印刷するための装飾情報と、当該装飾を施すか否かを判定するための条件と、を関連付けて記憶する記憶部を備え、
前記コード画像を印刷するための情報であり、前記識別子および当該識別子に付加されたパラメーターから成る属性情報を1以上含むコード情報を取得するステップと、
取得した前記コード情報から、前記記憶部に記憶されている前記識別子が含まれる属性情報を抽出するステップと、
抽出した前記属性情報に含まれる前記パラメーターが、当該属性情報に含まれる前記識別子に前記記憶部で関連付けられた前記条件を満たすか否かを判別するステップと、
前記パラメーターが前記条件を満たすと判定された場合、前記識別子に関連付けられた前記装飾情報に基づいて、前記印刷装置に対し印刷指令を行うステップと、を実行することを特徴とする変換装置の制御方法。
【請求項11】
コンピューターに、請求項10に記載の変換装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−242972(P2011−242972A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114026(P2010−114026)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】