説明

外光照度検知装置の清掃機構

【課題】 外装カバーに生ずる凹部を解消し、かつセンサーカバー表面への汚れの再付着を防止して、精度の良い照度検知を可能にするための外光照度検知装置の清掃機構を提供する。
【解決手段】 光の照度を検知する照度センサー100と、照度センサー100に光を到達させるための穴形状3の近傍に照度センサー100を配置して外周を囲む外装カバー2の、穴形状3から照度センサー100を露出させないように覆うセンサーカバー140と、センサーカバー140の表面を清掃する清掃部材102と、を有する外光照度検知装置の清掃機構において、清掃部材102は、センサーカバー140の表面に当接して固定されている一方、センサーカバー140は、円柱形状で構成され、その表面が外装カバー2の上面と略同一面となっているとともに、該表面が清掃部材102に接触した状態で一方向のみに回動可能に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光の照度を検知する外光照度検知装置の検知精度を良好に保つための清掃機構に関し、特にプリンタや複写機などの画像形成装置において、照度に応じて本体動作の切り替えを判断する手段として用いられる外光照度検知装置の清掃機構に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機などの画像形成装置では、照度センサーなどの照度検知手段を用いて装置外部の照度を検知し、この検知した照度によって本体の動作を切り替える機構が一般的に用いられている。例えば画像形成装置の場合、照度に応じてスリープモードに切り替えたり、電源のOFF/ONを制御したりするものはその代表的な例であり、省エネルギーへの対応方法としても採用されている。近年では、電源をOFF/ONするばかりでなく、照度に応じてきめ細かい制御を行うことが多くなっており、照度センサーには安定した感度が求められるようになった。
【0003】
照度センサーは、表面に汚れが付着すると感度が著しく低下するため、一般には照度センサー自体が装置外部に露出することはなく、光を透過するセンサーカバーが照度センサーを覆うように取り付けられている。このセンサーカバーは、物理的衝撃による破損からも照度センサーを保護している。
【0004】
上記のような照度センサー及びセンサーカバーを備えた一般的な画像形成装置の概略構成図を図6に示す。図6(a)に示すように、一般に部屋の照明50は上側(天井側)に設けられていることが多いことから、照度センサー100及びセンサーカバー101を画像形成装置60の上面部に設置し、装置上方の照度を検知するのが望ましい。しかしこの場合には、センサーカバー101の表面が画像形成装置60の上面と同一面に配置されるため、センサーカバー101の表面に汚れやホコリが付着し易くなり、この汚れやホコリなどが光の透過を妨げ、照度センサー100が正しい照度を検知できずに画像形成装置60が誤作動を起こすという課題があった。
【0005】
このような課題に対する従来の対応例を図6(b)に示す。この例では照度センサー100及びセンサーカバー101を画像形成装置60の側面部、すなわちセンサーカバー101の表面に汚れやホコリが付着しにくい面に設置しており、広く一般的に採用されている。しかし、このように照度センサー100及びセンサーカバー101を画像形成装置60の側面部に設置した場合は、画像形成装置60の設置場所や照明50との角度によって照度センサー100が照度を十分に検知できない場合があり、画像形成装置60の誤作動の原因となったり、照度に応じたきめ細かい動作制御が困難となるなどの課題があった。
【0006】
このような課題に対しては、図7に示す対応例が知られている。この対応例では、照度センサー100及びセンサーカバー110を画像形成装置60の上面部に設置するとともに、センサーカバー110の表面に汚れやホコリが付着しないように、カバー表面を清掃する清掃部材102が設けられている。
【0007】
図7(a)に示すように、清掃部材102は例えば直方体状に形成され、その上端面が、画像形成装置60の外周を覆う外装カバー61の上面裏側に固定され、下端面がセンサーカバー110の表面に当接するように設けられている。センサーカバー110は、その一端部がバネなどの付勢手段103に支持され、他端部が、外装カバー61の正面側に設けられた本体カバー62と図示省略のバネなどで連結されており、この本体カバー62の開閉動作に連動して水平方向に移動可能になっている。
したがって、図7(a)に示すように、本体カバー62が閉じられている場合には、センサーカバー110は付勢手段103によって矢印Mの方向へ付勢されており、図7(b)に示すように、本体カバー62が開かれた場合には、この開動作に連動してセンサーカバー110が矢印Nの方向へ移動する。このように、センサーカバー110がN方向へ移動する際に、清掃部材102によってセンサーカバー110の表面に付着した汚れやホコリが掻き取られ、照度センサー100による照度検知の精度が良好に保たれている。
なお、本体カバー62は、画像形成装置60で使用されるトナーカートリッジの交換時などに開閉されるもので、上記のように本体カバー62の開閉等の動作に連動してセンサーカバー110を移動させて、センサーカバー110の表面の定期的な清掃を実施する構造が一般的である。
【0008】
また、上記のようにセンサーの検知精度を良好に保つための清掃機構に関する技術としては、例えば特許文献1及び特許文献2が知られている。特許文献1に記載の清掃機構では、画像形成装置の開閉カバーの開方向への動作に連動して清掃部材がトナー濃度センサーの表面を摺擦し、センサー表面に付着していたトナー等の異物を払拭する。また、特許文献2に記載のトナー付着防止装置では、トナー補給の際にトナーボトルが装着されるノズル部材に嵌装された円筒形状透明部材の内部を、回動可能に支持された清掃部材が回動して清掃し、トナーの付着を防止することにより、センサーによるトナー有無の誤検知を防止している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、図7の例では、清掃部材102を外装カバー61の上面裏側とセンサーカバー110の表面との間に設ける必要があるため、センサーカバー110は外装カバー61よりも一段低い箇所に配置される。その結果、外装カバー61には図7に示すような凹部70が生じてしまい、本体外観の美観を損ねるばかりでなく、この凹部形状のためにセンサーカバー110の表面に汚れやホコリがより一層溜まり易くなるという問題があった。
【0010】
さらに、上記のような構成においては、実際にセンサーカバー110の表面を清掃する際にも、図8に示す問題があった。すなわち、図8(a)に示すように、本体カバー62が閉じられている通常時においては、センサーカバー110の表面に汚れやホコリ80が付着している。そして、図8(b)に示すように、本体カバー62の開動作に連動してセンサーカバー110がN方向へ移動すると、センサーカバー110の表面に付着していた汚れやホコリ80が清掃部材102によって掻き取られる。しかし、図8(c)に示すように、本体カバー62が閉じられ、この閉動作に連動してセンサーカバー110が付勢手段103によりM方向へ引き戻されると、清掃部材102によって掻き取られた汚れやホコリ80も一緒に引き戻されてしまい、センサーカバー110の表面に再付着してしまう場合が多い。したがって、このようにセンサーカバー110の往復動作を伴う清掃機構は、清掃方法としても最適とは言えない。
【0011】
上記のような2つの課題(外装カバーに生ずる凹部及び汚れの再付着)に関し、図9は、外装カバーに生ずる凹部を解決した例を示している。この例では、センサーカバー120は横断面が円弧状に形成されており、その一端部がバネなどの付勢手段103に支持され、他端部が本体カバー62と図示省略のバネなどで連結されている。このセンサーカバー120は、本体カバー62の開閉動作に連動して、図9(a)及び(b)に示すように、M−N方向に沿って往復するようになっている。
上記のような構成によれば、円弧状のセンサーカバー120の表面が、外装カバー61の上面と略同一面になるように配置されるので、外装カバー61に生ずる凹部は回避可能になる。しかし、この場合でもセンサーカバー120はM−N方向への往復運動を繰り返すため、往路で清掃部材102により掻き取られた汚れやホコリが、復路でセンサーカバー120の表面に再付着する課題は依然として解決できない。
【0012】
一方、図10は、汚れやホコリがセンサーカバーの表面に再付着することを解決した例を示している。この例では、センサーカバー125は円盤状に構成され、円盤中央部にて軸回動可能に支持されている。清掃時には、センサーカバー125を本体カバー62の開閉動作に連動させてM方向へ回動させることにより、その表面に付着した汚れやホコリが清掃部材102によって掻き取られる。このとき、円盤状のセンサーカバー125の回動方向を一方向に限定させることで、センサーカバー125の往復運動が回避され、汚れやホコリがセンサーカバー125の表面に再付着することを防止できる。しかしながら、この構成では、外装カバー61に生ずる凹部70を解決することはできない。
【0013】
そこでこの発明は、前記課題を鑑み、外装カバーに生ずる凹部を解消し、かつセンサーカバー表面への汚れの再付着を防止して、精度の良い照度検知を可能にするための外光照度検知装置の清掃機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光の照度を検知する照度検知手段と、前記照度検知手段に前記光を到達させるための穴形状を有し、該穴形状の近傍に前記照度検知手段を配置して該照度検知手段の外周を囲む外装カバーの、前記穴形状から前記照度検知手段を露出させないように前記照度検知手段を覆う照度検知手段カバーと、前記照度検知手段カバーの表面の清掃を行う清掃部材と、を有する外光照度検知装置の清掃機構において、前記清掃部材は、前記照度検知手段カバーの表面に当接して固定されている一方、前記照度検知手段カバーは、円柱形状で構成され、その表面が前記外装カバーの上面と略同一面となっているとともに、該表面が前記清掃部材に接触した状態で一方向のみに回動可能に支持されていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、光の照度を検知する照度検知手段と、前記照度検知手段に前記光を到達させるための穴形状を有し、該穴形状の近傍に前記照度検知手段を配置して該照度検知手段の外周を囲む外装カバーの、前記穴形状から前記照度検知手段を露出させないように前記照度検知手段を覆う照度検知手段カバーと、前記照度検知手段カバーの表面の清掃を行う清掃部材と、を有する外光照度検知装置の清掃機構において、前記清掃部材は、前記照度検知手段カバーの表面に当接して固定されている一方、前記照度検知手段カバーは、円筒形状で構成され、その表面が前記外装カバーの上面と略同一面となっているとともに、該表面が前記清掃部材に接触した状態で一方向のみに回動可能に支持されていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の外光照度検知装置の清掃機構において、前記照度検知手段は、円筒形状に構成された前記照度検知手段カバーの内部に配置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の外光照度検知装置の清掃機構において、前記照度検知手段カバーは、前記外装カバーに設けられた開閉部材の開閉動作に連動して回動することを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の外光照度検知装置の清掃機構において、前記照度検知手段カバーは、その回動方向が回動方向規制手段によって一方向のみに規制されることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の外光照度検知装置の清掃機構において、前記回動方向規制手段は、1ウェイクラッチバネにより構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の外光照度検知装置の清掃機構において、前記清掃部材は、前記照度検知手段カバーの表面を清掃することを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明は、画像形成装置において、請求項1ないし7のいずれかに記載の外光照度検知装置の清掃機構を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記照度検知手段は、画像形成装置の上面部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
この発明は、前記のようであって、請求項1に記載の発明によれば、照度検知手段カバーの表面を外装カバーの上面と略同一面とすることで、外装カバーに生ずる凹部が解消される。これにより、照度検知手段カバーの表面に汚れやホコリが溜まりにくくなり、照度センサーにおいて照度を精度良く検知することができる。また、照度検知手段カバーが一方向のみに回動を許容されているので、清掃部材で掻き取られた汚れやホコリを照度検知手段カバーの表面に再び引き戻すことがなく、カバー表面を常にクリアに保つことができる。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、照度検知手段カバーの表面を外装カバーの上面と略同一面とすることで、外装カバーに生ずる凹部が解消される。これにより、照度検知手段カバーの表面に汚れやホコリが溜まりにくくなり、照度センサーにおいて照度を精度良く検知することができる。また、照度検知手段カバーが一方向のみに回動を許容されているので、清掃部材で掻き取られた汚れやホコリを照度検知手段カバーの表面に再び引き戻すことがなく、カバー表面を常にクリアに保つことができる。さらに、照度検知手段カバーを円筒形状とすることにより、成型工程において肉厚部が発生せず、生産性が向上する。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、照度検知手段を照度検知手段カバーの内部に設置できるため、省スペース化が実現できる。また、照度検知手段を穴形状の近傍に配置できるため、照度検知の際に外光を安定して検知することができ、検知レベルへの影響を抑えることができる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、照度検知手段カバーの清掃が、消耗品交換時における開閉部材の開閉と同時に行われるため、簡単かつ定期的に照度検知手段カバーの清掃を行うことができ、カバー表面を常にクリアに保ちつつ照度検知の精度を良好に保つことができる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、照度検知手段カバーの回動方向が、回動方向規制手段によって一方向のみに規制されるため、清掃部材で掻き取られた汚れやホコリを照度検知手段カバーの表面に再び引き戻すことがなく、カバー表面を常にクリアに保つことができる。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、回動方向規制手段として1ウェイクラッチバネを用いることで、低コストかつ簡単な構成で回動方向の規制を実現できる。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、清掃部材により照度検知手段カバーの表面が清掃されるため、外光を安定して照度検知手段に導くことができる。
【0030】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1ないし7のいずれかに記載の外光照度検知装置の清掃機構を備えているので、前記作用効果を画像形成装置において発揮することができ、照度に応じた画像形成装置の動作の切り替え等を安定して行うことができる。
【0031】
請求項9に記載の発明によれば、照度検知手段を画像形成装置の上面部に設けることで、部屋の天井に設置されている照明などの光の照度を精度良く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の実施の形態1に係る外光照度検知装置の清掃機構の概略構成を側面透視状態で示す構成説明図である。
【図2】同上の清掃機構の概略構成を上方から見た状態及び側面透視状態で示す構成説明図である。
【図3】図2において給紙カセットを出し入れした際のセンサーカバーの動作を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る外光照度検知装置の清掃機構の概略構成を側面透視状態で示す構成説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る外光照度検知装置の清掃機構を備えたカラープリンタ1を斜め上方から見た状態で示す斜視図である。
【図6】照度センサー及びセンサーカバーを備えた従来の画像形成装置の概略構成を側面透視状態で示す構成説明図である。
【図7】センサーカバーの清掃を行う清掃部材を備えた従来の画像形成装置の概略構成を側面透視状態で示す構成説明図である。
【図8】同上の清掃時における汚れやホコリの再付着の状態を示す説明図である。
【図9】同上の外装カバーに生ずる凹部を解決した構成の概略を示す説明図である。
【図10】同上の清掃時における汚れやホコリの再付着を解決した構成の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
【0034】
<実施の形態1>
まず、実施の形態1に係る外光照度検知装置の清掃機構について、図1ないし図3を用いて説明する。
図1に示すように、この外光照度検知装置の清掃機構は、光の照度を検知する照度検知手段としての照度センサー100と、この照度センサー100に光を到達させるための穴形状(以下、開口部と称する)3を有し、該開口部の近傍に前記照度センサー100を配置して照度センサー100の外周を囲む外装カバー2の、前記開口部3から照度センサー100を露出させないように照度センサー100を覆う照度検知手段カバーとしてのセンサーカバー140と、センサーカバー140の表面の清掃を行う清掃部材102と、を備えている。
【0035】
センサーカバー140は、照明などの光を透過できる程度の透明度を有する樹脂などで形成され、図1に示すように、その横断面が円柱形状に形成されている。また、開口部3から露出するセンサーカバー140の表面は、外装カバー2の上面と略同一面となるように配置されている。これにより、外装カバー2の上面に生ずる凹部が解消され、センサーカバー140の表面に汚れやホコリが溜まりにくくなっている。その結果、照明などの光が安定して照度センサー100へ導かれ、照度センサー100における照度の検知精度が良好に保たれている。また、外装カバー2に生ずる凹部が解消されることで、外観上の美観も保たれている。
【0036】
また、センサーカバー140の表面には、清掃部材102が当接されている。清掃部材102は、図1に示すように、その上面が外装カバー2に固定され、その側面が長手方向にわたってセンサーカバー140の表面に接触した状態で取り付けられている。清掃部材102の具体例としては、弾性をもつウレタン等の発泡材で直方体に形成されたものや、複数の繊維又は細い線状の樹脂でブラシ状に形成されたもの、弾性をもつ樹脂板や固めのゴムでクリーニングブレード状に形成されたものなどが挙げられる。
【0037】
上記のような構成の清掃機構において、センサーカバー140は、その表面を清掃部材102に接触させた状態で、図1に示すM方向のみに回動するように支持されている。そして、センサーカバー140がM方向へ回動する際に、その表面に付着した汚れやホコリが清掃部材102によって掻き取られる。このように、センサーカバー140の回動方向を一方向のみに規制することで、清掃部材102によって掻き取られた汚れやホコリが、センサーカバー140の表面に再び引き戻されることを防止している。以下、センサーカバー140の回動方向を一方向のみに規制する具体的構成例について、図2及び図3を用いて説明する。
【0038】
図2(a)は、外光照度検知装置の清掃機構において、センサーカバー140の回動方向を一方向のみに規制する構成を上方から見た状態の説明図、図2(b)は側面から見た状態の説明図である。
図2(a)及び(b)に示すように、センサーカバー140の一端部には円柱形状の軸141が突設され、この軸141と同軸になるように歯車142が配設されている。この軸141と歯車142とは、一方の方向のみに回動力を伝達する回動方向規制手段としての1ウェイクラッチバネ143で連結されている。これにより、歯車142の一方向のみの回動力が、軸141を介してセンサーカバー140に伝達されるように構成されている。
歯車142は、一端側にラック145が設けられたリンク棒144と噛み合っている。また、このリンク棒144の他端側に位置する当接部146は、バネ147により付勢されて、外装カバー2の正面側に設けられた開閉部材150に当接されている。リンク棒144は、そのほぼ中央に位置する支点Wにおいて、図示しないネジなどにより、外装カバー2の側面に回動可能に支持されている。
【0039】
上記のような構成の清掃機構において、センサーカバー140は、開閉部材150の開閉動作に連動して回動する。ここでは、かかる清掃機構を一般的な画像形成装置に適用し、開閉部材150として画像形成装置に一般に備えられている給紙カセットを用いた例について、図3を用いて説明する。
まず、図3に示すように、開閉部材としての給紙カセット150がU方向へ引き出されて外装カバー2が開かれると(開動作)、給紙カセット150に当接していた当接部146が給紙カセット150から離れるとともに、バネ147によってU方向へ引っ張られる。すると、リンク棒144は支点Wを中心としてP方向へ動き、ラック145が歯車142をQ方向へ回動させる。この歯車142のQ方向への回動力は、1ウェイクラッチバネ143に伝達される。このとき、1ウェイクラッチバネ143は、Q方向への回動力をセンサーカバー140の軸141に伝達しないようにセットされている。したがって、このように給紙カセット150が引き出されて外装カバー2が開かれたときには、センサーカバー140が回動することはない。
【0040】
一方、給紙カセット150がV方向へ差し込まれて外装カバー2が閉じられると(閉動作)、給紙カセット150によって当接部146がバネ147の付勢力に反してV方向へ押し込まれる。すると、リンク棒144は支点Wを中心としてR方向へ動き、ラック145が歯車142をS方向へ回動させる。この歯車142のS方向への回動力は、1ウェイクラッチバネ143に伝達される。このとき、1ウェイクラッチバネ143は、S方向への回動力をセンサーカバー140の軸141に伝達するようにセットされている。したがって、このように給紙カセット150が差し込まれて外装カバー2が閉じられたときには、センサーカバー140がS方向へ回動する。このように、センサーカバー140がS方向へ回動するときに、清掃部材102によるセンサーカバー140の表面の清掃が行われ、その表面に付着していた汚れやホコリが掻き取られる。そして、このように清掃された面が外装カバー2の開口部3へ移動し、外部へ露出する。
【0041】
このように、センサーカバー140の回動方向が一方向のみに制限されているため、清掃部材102によって掻き取られた汚れやホコリが、再び引き戻されてカバーの表面に再付着することが防止される。したがって、開口部3から露出するセンサーカバー140の表面は、常に清掃が施されて汚れやホコリが掻き取られた面となり、照度センサー100による照度検知の精度を良好に保つことができる。
【0042】
また、上記構成の清掃機構によれば、給紙カセット150の開閉動作に連動してセンサーカバー140の表面の清掃が行われるので、たとえば消耗品であるコピー用紙の補給や交換の際に、給紙カセット150を開閉するのと同時に、センサーカバー140の表面の清掃が行われる。このため、ユーザは清掃のための操作を特に行うことなく、定期的かつ簡単にセンサーカバー140の表面の清掃を行うことができる。また、このように定期的な清掃が行われることで、センサーカバー140の表面は常にクリアに保たれ、照度センサー100の検知精度が良好な状態に保たれる。
【0043】
さらに、上記構成の清掃機構によれば、センサーカバー140の回動方向の規制を、1ウェイクラッチバネ143を用いて実現していることから、かかる回動方向の規制を低コストかつ簡単に実現することができる。
【0044】
なお、本実施の形態においては、給紙カセット150を差し込んだ場合にのみ、センサーカバー140を回動させる例を説明したが、1ウェイクラッチバネ143の設定をこれとは逆方向とし、給紙カセット150を引き出した場合にのみ、センサーカバー140を回動させるようにしてもよい。すなわち、いずれの場合であっても、センサーカバー140の回動方向が一方向のみに許容されていればよい。
【0045】
また、本実施の形態では、開閉部材として給紙カセット150を用いた例を説明したが、これに限定されることなく、例えば背景技術の説明において例示した画像形成装置の本体カバー62(図7参照)の開閉動作に連動させるようにしてもよい。
【0046】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2に係る外光照度検知装置の清掃機構について、図4を用いて説明する。なお、この実施の形態2に係る外光照度検知装置の清掃機構は、センサーカバーの形状および照度センサーの設置箇所のみが実施の形態1と異なり、その他の構成は実施の形態1と同様であるので、同じ構成のものは同一符号を付し、説明を省略する。
【0047】
実施の形態2に係る外光照度検知装置の清掃機構は、図4に示すように、センサーカバー170が横断面円筒形状に形成されるとともに、照度センサー100がこのセンサーカバー170の内部に配設されている。なお、センサーカバー170の回動方向は、実施の形態1と同様に図中のM方向のみに制限されている。
【0048】
上記のような構成の清掃機構によれば、照度センサー100が円筒形状のセンサーカバー170の内部に設置されることで、省スペース化が実現できる。また、照度センサー100は、より開口部3に近い位置で安定した照度検知を行うことができ、照度の検知精度を向上させることができる。
また、このように照度センサー100がセンサーカバー170の内部に設置されることで、センサーカバー170の径を大きくした場合でも、光が照度センサー100に到達するまでの距離を短く抑えることができる。これにより、光が照度センサー100に到達するまでに、照度が減衰してしまうことを抑えることができ、照度センサー100において安定した照度検知を行うことができる。
【0049】
また、このように照度センサー100における照度検知への影響を抑えつつ、センサーカバー170の径を大きくすることができるので、外装カバー2に設ける開口部3をより大きく取ることができ、採光性も向上する。さらに、このようにセンサーカバー170の径を大きくすることにより、清掃部材102を当接させる表面積を充分に確保することができ、清掃効率も向上する。
【0050】
また、このようにセンサーカバー170を円筒形状とすることで、開口部3から露出するセンサーカバー170の表面を、実施の形態1の場合よりも外装カバー2の上面に沿った形状にすることができる。さらに、センサーカバー170を成型する上でも肉厚部が発生しないため、成型不良が発生するおそれも少なく、生産性も向上する。
【0051】
なお、実施の形態2に係る外光照度検知装置の清掃機構において、センサーカバー170の回動方向を一方向のみに規制する場合には、円筒形状のセンサーカバー170の一側面が閉じた形状(例えばコップ状)とし、その閉じた面に前記軸141を設けたうえで、この軸141と前記歯車142とを前記1ウェイクラッチバネ143で連結するように構成するのが望ましい。
【0052】
次に、前記した実施の形態1に係る外光照度検知装置の清掃機構をその装置本体に組み込んだ画像形成装置の構成について、図5を用いて簡単に説明する。
図5に示す符号1は、画像形成装置の一例として示すタンデム型のカラープリンタであり、詳細な内部機構については省略しているが、色材3原色と黒色からなるイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の4つのトナーからフルカラーの画像を形成する画像形成部等を備えている。このカラープリンタ1は、装置全体の筐体である外装カバー2によってその外周全体を覆われている。この外装カバー2の上面(主に操作パネル90の近傍)には、所定の大きさの穴形状からなる開口部3が設けられている。開口部3は、部屋の照明などの光を内部に採り込んで、その開口部3の下部に配置されている照度センサー100へ光を導くために設けられている。この開口部3からは、照度センサー100の上部を覆うセンサーカバー140の表面が露出しており、このセンサーカバー140の表面が、外装カバー2の上面と略同一面となっている。
【0053】
また、このカラープリンタ1は、一般的な画像形成装置においてその最下部に配置され、シート材であるコピー用紙を複数枚収容して一枚ずつ給紙する図示しない給紙部を備えている。この給紙部は、シート材である所定の大きさの複数枚のコピー用紙の束を収容する給紙カセット150を有し、この給紙カセット150は、図中のU方向へ引き出すことが可能となっている。すなわち、給紙カセット150は、コピー用紙の補給や交換が行われる際に、ユーザによりU方向へ引き出され、補給等が完了した後に再び差し込まれて、次の画像形成が行われる。このように、ユーザによる給紙カセット150の出し入れが行われる際に、前述のようにセンサーカバー140の表面の清掃が行われる。
【0054】
上記のような構成のカラープリンタ1によれば、前記した実施の形態1における作用効果と同様の作用効果を奏することができる。また、上記構成のカラープリンタ1においては、照度センサー100がカラープリンタ1の上面部に配置されるため、照明などの光の照度を安定して検知することができる。そのため、照度の検知精度を良好に保つことができ、照度に応じた本体動作の切り替え等を安定して行うことができる。
【0055】
なお、カラープリンタ1において、この発明の実施の形態2に係る外光照度検知装置の清掃機構を適用することも勿論可能である。また、カラープリンタ1は、実施の形態1及び実施の形態2において説明した構成以外については、一般的な画像形成装置の構成と同様であり、画像形成動作についても同様であるので、ここではその説明を省略する。
【符号の説明】
【0056】
1 カラープリンタ
2 外装カバー
3 開口部(穴形状)
100 照度センサー(照度検知手段)
102 清掃部材
140,170 センサーカバー(照度検知手段カバー)
141 軸
142 歯車
143 1ウェイクラッチバネ(回動方向規制手段)
144 リンク棒
145 ラック
146 当接部
147 バネ
150 給紙カセット(開閉部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開2007−225671号公報
【特許文献2】特開2008−10247号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の照度を検知する照度検知手段と、
前記照度検知手段に前記光を到達させるための穴形状を有し、該穴形状の近傍に前記照度検知手段を配置して該照度検知手段の外周を囲む外装カバーの、前記穴形状から前記照度検知手段を露出させないように前記照度検知手段を覆う照度検知手段カバーと、
前記照度検知手段カバーの表面の清掃を行う清掃部材と、
を有する外光照度検知装置の清掃機構において、
前記清掃部材は、前記照度検知手段カバーの表面に当接して固定されている一方、前記照度検知手段カバーは、円柱形状で構成され、その表面が前記外装カバーの上面と略同一面となっているとともに、該表面が前記清掃部材に接触した状態で一方向のみに回動可能に支持されていることを特徴とする外光照度検知装置の清掃機構。
【請求項2】
光の照度を検知する照度検知手段と、
前記照度検知手段に前記光を到達させるための穴形状を有し、該穴形状の近傍に前記照度検知手段を配置して該照度検知手段の外周を囲む外装カバーの、前記穴形状から前記照度検知手段を露出させないように前記照度検知手段を覆う照度検知手段カバーと、
前記照度検知手段カバーの表面の清掃を行う清掃部材と、
を有する外光照度検知装置の清掃機構において、
前記清掃部材は、前記照度検知手段カバーの表面に当接して固定されている一方、前記照度検知手段カバーは、円筒形状で構成され、その表面が前記外装カバーの上面と略同一面となっているとともに、該表面が前記清掃部材に接触した状態で一方向のみに回動可能に支持されていることを特徴とする外光照度検知装置の清掃機構。
【請求項3】
前記照度検知手段は、円筒形状に構成された前記照度検知手段カバーの内部に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の外光照度検知装置の清掃機構。
【請求項4】
前記照度検知手段カバーは、前記外装カバーに設けられた開閉部材の開閉動作に連動して回動することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の外光照度検知装置の清掃機構。
【請求項5】
前記照度検知手段カバーは、その回動方向が回動方向規制手段によって一方向のみに規制されることを特徴とする請求項4に記載の外光照度検知装置の清掃機構。
【請求項6】
前記回動方向規制手段は、1ウェイクラッチバネにより構成されていることを特徴とする請求項5に記載の外光照度検知装置の清掃機構。
【請求項7】
前記清掃部材は、前記照度検知手段カバーの表面を清掃することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の外光照度検知装置の清掃機構。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の外光照度検知装置の清掃機構を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
前記照度検知手段は、画像形成装置の上面部に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−163775(P2012−163775A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24203(P2011−24203)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】