説明

外壁材の汚染促進試験装置

【課題】 試験が低コストでかつ容易になし得、しかも評価が短時間でなし得る、外壁材の汚染促進試験装置を提供する。
【解決手段】 本発明の汚染促進試験装置Aは、外壁材の汚染促進試験装置であって、試験部10と、汚染物質懸濁液を循環させる循環部20とを備え、前記試験部10は、試験室30と、試験体収納かご40と、前記試験室30からのオーバーフロー液を貯水する貯水室50とを備え、前記循環部20は、循環ポンプ60と該循環ポンプの駆動制御する制御盤62とを備え、また、試験室30が、底面に汚染物質懸濁液供給孔と、その上方に配設された分散板31とを備えてなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁材の汚染促進試験装置に関する。さらに詳しくは、汚染物質懸濁水流下法と同等の試験がなし得る外壁材の汚染促進試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、外壁材の汚染物質を含む懸濁水による汚染を評価するため、汚染物質懸濁水流下法による促進試験がなされている。この試験には、図6に示す試験装置100を用いて、図7に示すように、試験体P’を回転させながら汚染物質を含む懸濁水を試験体P’に流下させることによりなされる。
【0003】
しかしながら、試験装置100による試験は煩雑であるため、手軽に外壁材の汚染促進試験をなすことはできないという問題がある。また、試験装置100が高価であるため、結果的に試験に要する費用が高額になるという問題もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、試験が低コストでかつ容易になし得、しかも評価が短時間でなし得る、外壁材の汚染促進試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の汚染促進試験装置は、外壁材の汚染促進試験装置であって、試験部と、汚染物質懸濁液を循環させる循環部とを備え、前記試験部は、試験室と、試験体収納かごと、前記試験室からのオーバーフロー液を貯水する貯水室とを備え、前記循環部は、循環ポンプと該循環ポンプの駆動制御する制御盤とを備えてなることを特徴する。
【0006】
本発明の汚染促進試験装置においては、試験室が、底面に汚染物質懸濁液供給孔と、その上方に配設された分散板とを備えてなるのが好ましい。
【0007】
また、本発明の汚染促進試験装置においては、試験体収納かご底面の位置が、試験体の一部が汚染物質懸濁液表面から突出するよう調整されてなるのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡素かつ低廉な試験装置により、外壁材の汚染促進試験が短時間でなし得るという優れた効果が得られる。そのため、外壁材の汚染促進試験が手軽になし得るという効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0010】
本発明の一実施形態に係る外壁材の汚染促進試験装置(以下、単に試験装置という)の概略図を図1〜図3に示し、図4に概略のフローを示す。なお、図1〜図3においては、作図の簡略化の観点から配管は省略されている。
【0011】
試験装置Aは、図1〜図3に示すように、試験部10と、汚染物質懸濁水を循環させる循環部20とを主要部として備えてなるものとされ、試験部10と循環部20とは共通ベースBに載置されている。
【0012】
試験部10は、試験室30と、試験体Pを汚染物質懸濁水に浸漬させるための試験体収納かご40と、試験室30からオーバーフローしてくる汚染物質懸濁水を貯水する貯水室50とを備えてなるものとされる。
【0013】
試験部10は、具体的には、直方体状の有蓋箱体11とされ、その内部を底面12から所定高さまで、例えば半分の高さまで仕切板13で仕切ることにより、試験室30と貯水室50とが形成されている。そして、試験室30底面には汚染物質懸濁水供給孔(明瞭には図示されていない)が設けられ、その上方には分散板31がもうけられている 。一方、貯水室底面50には汚染物質懸濁水排水孔(明瞭には図示されていない)およびドレン抜き孔(明瞭には図示されていない)が設けられている。汚染物質懸濁水供給孔には、循環部20からの供給管65が接続され、汚染物質懸濁水排水孔には循環部20への戻し管66が接続されている。
【0014】
試験体収納かご40は、図5に示すように、例えば有脚直方体状体とされて試験体Pを所定間隔で配列できるようにされている。図示例では、2列縦隊でそれぞれ5枚の試験体Pが収納されるようにされている。試験体収納かご40の脚41の長さは、底面42が試験体Pの一部、例えば上半分が汚染物質懸濁水表面から突出する位置となるよう調整されている。このようにすることにより、試験体Pの汚染状況の評価が容易となる。なお、図中、符号43は収納部を示し、符号44,45はスペース部を示す。
【0015】
循環部20は、循環ポンプ60と、循環ポンプを駆動するモータMと、モータMを制御する機側制御盤62と、ポンプ回り配管64とを含む。また、ポンプ回り配管64は、循環ポンプ60吐出口と汚染物質懸濁水供給孔とを接続している供給管65と、循環ポンプ60戻り口と汚染物質懸濁水排水孔とを接続している戻し管66と、ドレン抜き管67とを含む。
【0016】
しかして、かかる構成とされた試験装置Aにおいては、試験室30の汚染物質懸濁水が循環ポンプ60により循環されて、汚染物質懸濁水流下法と同等の試験がなされる。
【実施例】
【0017】
次に、かかる構成とされた試験装置により試験体の汚染物質懸濁水による汚染促進試験を行った結果について説明する。
【0018】
試験1
試験は試験体を汚染物質懸濁水に10分間浸漬させた後、大気中にて乾燥させることにより行った。試験体の評価は、目視およびウエットティッシュ(王子製紙製、商品名:ウエットプラス)によりサンプリングし、それを目視することにより行った。サンプリングは、試験体表面を10回擦ることにより行った。
【0019】
試験2
試験および評価は、試験体を汚染物質懸濁水に20分間浸漬させた他は、試験1と同様にして行った。
【0020】
参考試験
屋外暴露試験を5ヶ月行い、その評価を試験1と同様にして行った。
【0021】
試験2は試験1に比して付着量は増加しているものの、サンプリング結果においては、試験1とさほど差異は認められず、また試験1および参考試験におけるサンプリング結果においても、さほど差異は認められなかった。
【0022】
このことから、試験装置により10分間浸漬試験を行うことにより、屋外暴露試験と同等の結果が得られることが実証されたといえる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、外壁材の汚染促進試験に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る試験装置の概略平面図である。
【図2】同概略正面図である。
【図3】同概略側面図である。
【図4】同試験装置の概略フロー図である。
【図5】同装置の試験体収納かごの概略斜視図である。
【図6】従来の試験装置の縦断面図である。
【図7】同装置による試験要領の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
10 試験部
11 有蓋箱体
12 底面
13 仕切板
20 循環部
30 試験室
31 分散板
40 試験体収納かご
41 脚
42 底面
43 収納部
60 循環ポンプ
62 機側制御盤
64 ポンプ回り配管
65 供給管
66 戻し管
A 試験装置
B ベース
M モータ
P 試験体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁材の汚染促進試験装置であって、
試験部と、汚染物質懸濁液を循環させる循環部とを備え、
前記試験部は、試験室と、試験体収納かごと、前記試験室からのオーバーフロー液を貯水する貯水室とを備え、
前記循環部は、循環ポンプと該循環ポンプの駆動制御する制御盤とを備えてなる
ことを特徴する汚染促進試験装置。
【請求項2】
試験室が、底面に汚染物質懸濁液供給孔と、その上方に配設された分散板とを備えてなることを特徴とする請求項1記載の汚染促進試験装置。
【請求項3】
試験体収納かご底面の位置が、試験体の一部が汚染物質懸濁液表面から突出するよう調整されてなることを特徴とする請求項1記載の汚染促進試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−275649(P2006−275649A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92788(P2005−92788)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】