説明

外壁洗浄装置

【課題】本発明は、このような従来技術の課題を解決し、建物の外壁面を少ない労力で効果的に洗浄することができる外壁洗浄装置を提供することを目的とするものである。
【解決方法】本発明の外壁洗浄装置Aは、長尺の柄部A1と、柄部A1の上端に装着された電動回転式のブラシ15を備えたヘッド部A2とを有し、柄部A1の上端付近が円弧状に湾曲していることを特徴としている。更に、ヘッド部A2が、互いに反対方向に回転振動する2個のブラシ15を並列状態で備えたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物の外壁面を洗浄する際に使用される外壁洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、平坦な面を清掃あるいは洗浄する為に、柄の先端に回転式のブラシを備えた装置が開発、使用されてきたが、柄の部分は直線的な棒状のものが一般的であった。例えば、特許文献1には、床などの水平面を清掃するためのポリッシャーが開示されているが、この例においても、先端にブラシ5が装着された心棒1は文字通り一直線の棒状の部材である。このような構成の場合、心棒1の長さが比較的短く、心棒1とブラシ5の清掃の対象となる水平面とのなす角度が大きく、且つ重量が清掃の対象となる面方向に作用するので特に作業上の支障がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−010204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、建物の外壁面を洗浄する場合、特に、例えば地上面から離隔して上階の外壁面を洗浄するような場合、柄と壁面のなす角度が小さくなるので、モーターなどを有し重量の集中するヘッド部がより高い位置となって横方向に振れやすくなる。従って、作業者はブラシの位置を保つあるいは修正することに多くの労力を費やさなければならない。
【0005】
また、汚れの度合いによっては外壁面に圧力をかけてブラシを当接させたい場合があるが、長い柄はたわみやすいので、柄を壁面方向に押さえつけてもその力は柄を撓ませるばかりでブラシにはあまり伝達されない。その為、洗浄が充分に行えない、あるいは洗浄作業に多くの労力や時間を必要とするという問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題を解決し、建物の外壁面を少ない労力で効果的に洗浄することができる外壁洗浄装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、本発明に係る外壁洗浄装置の第1の構成は、長尺の柄部と、柄部の上端に装着された電動回転式のブラシを備えたヘッド部とを有し、該柄部の上端付近が円弧状に湾曲していることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る外壁洗浄装置の第2の構成は、第1の構成に加え、前期ヘッド部が、互いに反対方向に回転振動する2個のブラシを並列状態で備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る外壁洗浄装置の第1の構成によれば、柄部の上端付近が円弧状に湾曲しているので、柄部の中間部を押さえる力が確実にヘッド部(ブラシ)に伝達される。従って、柄部を押す力を増大させなくてもブラシと外壁面との摩擦力が増すので、横方向の振れが生じにくくすることができ、作業者がヘッド部(ブラシ)の位置を保つあるいは修正する作業の負荷を軽減させることができる。また、外壁面に大きな圧力作用するようにブラシを当接させたい場合も、力の伝達のロスが減り、効果的に外壁面を洗浄することができる。
【0010】
また、本発明に係る外壁洗浄装置の第2の構成によれば、互いに反対方向に回転振動するブラシを並列させることで、ブラシの回転振動に伴うヘッド部のぶれを低減させることができ、また、ブラシが外壁面に当接する幅を大きくすることもでき、作業の際の安定度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】外壁洗浄装置の主要部分の構成を示す図である。
【図2】ヘッド部の詳細を示す図である。
【図3】外壁洗浄装置を用いた作業状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図を参照して、本発明に係る外壁洗浄装置の一実施形態について説明する。本実施形態の外壁洗浄装置Aは図1に示すように、柄部A1、ヘッド部A2、洗浄液ボトルA3、及びバッテリーA4で構成されている。
【0013】
柄部A1は、アルミニウム製のパイプからなる複数のパーツ(上端材1、中間材2、下端材3)の端部に形成された雄ねじ部と雌ねじ部を螺合することによって連結されて構成されている。上端材1は、円弧状に湾曲しており、その先端の円筒状の連結環1aにヘッド部が連結されている。連結環1aの胴部のタップ穴には蝶ネジ1bが螺入されている。
【0014】
中間材2は直線状であり、中間材2の着脱、追加、あるいは長さの異なるものへの変更等によって、柄部A1の全長を調整することが可能である。
【0015】
下端材3は中間材2と同様直線状であり、その下端縁からおよそ1m上方の位置に、作業者が作業中に一方の手で把持するためのループ状の取手3aが取り付けられている。なお、下端材3の取手3aより下の部分は作業者のもう一方の手で把持される部分であるので、すべり止めのブリップ等を備えていてもよい。
【0016】
ヘッド部A2は、基盤11、連結軸12、電動モーター13、ブラシ装着盤14、ブラシ15、洗浄液噴出部16、及びカバー17からなる。
【0017】
基盤11はステンレス鋼板からなり、連結軸12、電動モーター13、洗浄液噴出部16、及びカバー17が取り付けられる。
【0018】
連結軸12は、パイプ状であり、ブラシを装着する側とは反対側の面に複数のUボルト12aにて水平に、かつ柄部A1の上端材1の連結環1aを貫通する状態で取り付けており、ヘッド部A2が回動自在に、即ち柄部A1とブラシ15の外壁当接面とのなす角度が調整自在に構成されている。また、ロックと、蝶ネジ1bを螺入してその先端で連結軸12を圧迫するによって、ヘッド部A2の回動を抑止し、柄部A1とブラシ15の外壁当接面とのなす角度を固定することが可能である。
【0019】
電動モーター13は、基盤11に対し水平方向に並列状態で2個取り付けられており、2個の電動モーター13が互いに反対方向に回転するように配線がなされている。電動モーター13のスイッチ(不図示)は柄部A1の取手3a近くに設置されている。
【0020】
ブラシ装着盤14は円盤状で、電動モーター13の回転軸13aに取り付けられており、ブラシ15を装着する面には、面ファスナーを構成する雄片雌片のうちの一方の片が固着されている。ブラシ装着盤14の中心位置は、電動モーター13の回転軸13aの中心と僅かにずらしてあり、回転軸13aを回転させた場合に、例えば、自転をしない惑星の公転のように、ブラシ装着盤14(ブラシ15)の方向を一定に保ったままその中心位置が小さな円を描く運動(円の半径が小さいので振動的な運動となり、この運動を回転振動と称している)を生じさせる機構を備えている。
【0021】
ブラシ15は、毛15aが植えられた台15bの背面に面ファスナーの他方の片が固着されており、面ファスナーを介してブラシ装着盤14に着脱自在に取り付けられている。
本実施例ではブラシ装着盤14の形状に対応した円形(ドーナツ状)をなしているが、ブラシ15の形状は特にブラシ装着盤14の形状に対応したものでなくてもよく、例えば、長方形の小型のブラシを複数組み合わせて多角形状に装着してもよい。また、毛15aの材質、長さ、配列等も外壁や塗膜の材質、溝模様の形状、洗浄する部位等に応じて適宜好ましいもの選択すればよい。
【0022】
2個の電動モーター13が互いに反対方向に回転するのに伴い、2個のブラシ装着盤14及び夫々に装着されたブラシ15には、互いに反対方向の回転振動が生じる。
【0023】
洗浄液噴出部16は、洗浄作業中に外壁面に洗浄液を噴射させる為のものである。自動車のウィンドウォッシャーの機構等を転用して容易に構成することができ、洗浄液ボトルA3と可撓性のあるチューブ(不図示)で連結されている。
【0024】
カバー17は電動モーター13の水濡れを防止するものである。
【0025】
洗浄液ボトルA3は、洗浄液噴出部16に供給される洗浄液を貯留しておくもので、洗浄液を圧送するためのポンプを備えており、作業者の腰にベルト等を用いて装着される。(図3参照)
【0026】
バッテリーA4は、電動モーター13及び洗浄液ボトル14のポンプに供給される電気を蓄えておくもので、図示しないケーブルにて電動モーター及びポンプに通線されており、洗浄液ボトルA3とともに作業者の腰にベルト等を用いて装着される。(図3参照)
【0027】
上記構成の外壁洗浄装置Aを用いた建物Bの外壁面B1の洗浄作業手順の一例を、図3を参照しながら以下に示す。(1)洗浄する部位の凡その高さに合わせて柄部A1の中間材2の長さや数を調整する。(2)ヘッド部A2を上下方向に大きく移動させながら洗浄する場合には、蝶ネジ1bを緩めておき、ヘッド部A2が自由に回動するようにしておく。また、ヘッド部A2を水平方向に移動させながらあるいは僅かに上下方向に移動させながら洗浄する際には、蝶ネジ1bを締めて、柄部A1とヘッド部A2のなす角度を固定しておく。(3)外壁洗浄装置Aを持ち上げブラシ15が外壁面B1に当接するように立てかける。(4)一他方の手で取手3aを把持し、他方の手で柄部A1の下端部付近を把持して電動モーター13のスイッチを入れる。(5)適宜洗浄液を噴射させながらブラシ15を上下あるいは左右方向に移動させて洗浄する。(6)ホース等を用いて外壁面B1に水をかけ剥離された汚れや洗浄液を洗い落とす。
【0028】
上記構成の外壁洗浄装置Aによれば、柄部A1の上端材1が円弧状に湾曲しているので、柄部A1の中間部を押さえる力が確実にヘッド部A2(ブラシ15)に伝達される。従って、柄部A1を押す力を増大させなくてもブラシ15と外壁面B1との摩擦力が増すので、横方向の振れが生じにくくすることができ、作業者がヘッド部A2(ブラシ15)の位置を保つあるいは修正する作業の負荷を軽減させることができる。また、外壁面B1に大きな圧力作用するようにブラシ15を当接させたい場合も、力の伝達のロスが減り、効果的に外壁面B1を洗浄することができる。
【0029】
また、互いに反対方向に回転するブラシ15を並列させることで、ブラシ15の回転に伴うヘッド部A2のぶれを低減させることができ、また、ブラシ15が外壁面B1に当接する幅を大きくすることもでき、作業の際の安定度を向上させることができる。
【0030】
以上、本発明に係る外壁洗浄ブラシの一実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではない。例えば、ブラシの数は3個以上であってもよく、柄部はロッド状に伸縮するものでもよい。また、電源は交流電源直結式でも構わない。
【符号の説明】
【0031】
A 外壁洗浄装置
A1 柄部
A2 ヘッド部
A3 洗浄液タンク
A4 バッテリー
B 建物
B1 外壁面
1 上端材
1a 連結環
1b 蝶ネジ
2 中間材
3 下端材
3a 取手
11 基盤
12 連結軸
12a Uボルト
13 電動モーター
13a 回転軸
14 ブラシ装着盤
15 ブラシ
15a 毛
15b 台
16 洗浄液噴出部
17 カバー
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の洗浄装置は、高所にある機械装置などの洗浄にも適用ができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の柄部と、該柄部の上端に装着された電動回転式のブラシを備えたヘッド部とを有し、該柄部の上端付近が円弧状に湾曲していることを特徴とする外壁洗浄装置。
【請求項2】
前期ヘッド部が、互いに反対方向に回転振動する2個のブラシを並列状態で備えたことを特徴とする請求項1に記載した外壁洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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