説明

外燃機関とこれによる発電装置

【課題】軽量・コンパクトで、簡素な構成により信頼性が高く製造コストも低廉で、かつ熱効率の優れた外燃機関の提供を目的とする。
【解決手段】空気圧縮機と、この空気圧縮機から送給される空気を加熱膨張させる空気加熱部と、この空気加熱部から送られる加熱膨張して空気圧縮機からの送給時より高温低圧となった空気のエネルギーを機械的出力に変換する駆動部とを具えた外燃機関により、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、熱効率に優れた外燃機関とこの外燃機関を利用した発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外燃機関は、バイオマスなどのあらゆる可燃物、地熱、太陽熱など、多様な熱源の利用が可能であり、この外燃機関としてはいわゆるスターリングエンジンが周知である。 スターリングエンジンは、気体の熱膨張・熱収縮を利用するから仕事量に比して必要なき大量は多くなり、出力の割には大型化を要する。 このため、今日では作動気体として大気圧の空気に替えてヘリウムガス等を高圧で充填するなどの措置がとられているが、これに伴い、次のような新たな課題も発生している。
1 機械回転機構が複雑となる。
2 高価な高圧のヘリウムガスを使用するために複雑なシール機構を要しているが、それでも短期間でガスが漏出してしまい、トータルコストの増大を回避できない。
【0003】
本願に関連する技術文献として以下のものがある。
【特許文献1】特開2009−156233号公報
【特許文献2】特開2009−92007号公報
【特許文献3】特開2009−127476号公報
【特許文献4】特開2009−92079号公報
【特許文献5】再表2004−101983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は先に、上述の難点を克服するために新規な外燃機関を特願2010−94632号、特願2010−275476号等において開示した。 これらにおいて提案された外燃機関は、軽量・コンパクトで、簡素な構成により信頼性が高く製造コストも低廉で、かつ熱効率に優れているが、大型化が難しく分解、組み立ても容易ではない面があり、大規模なパワープラントを構築して安価な電力を得るには不十分である。 すなわち、燃料のバイオマスを移動させずにバイオマス生産拠点で使用するシステムには必ずしも適合するとは言い難く、部品点数も少なくない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、空気圧縮機と、この空気圧縮機から送給される空気を加熱膨張させる空気加熱部と、この空気加熱部から送られる加熱膨張して空気圧縮機からの送給時より高温低圧となった空気のエネルギーを機械的出力に変換する駆動部とを具えた外燃機関を提供して、上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0006】
段落番号0005の外燃機関において、前記空気加熱部は空気流路とこの空気流路を加熱するバイオマス燃焼炉とからなり、前記空気圧縮機と前記駆動部は、それぞれ互いに対向する一対のシリンダーとシリンダー内を往復動する一対のピストンを具えてなり、前記駆動部のピストン内に前記加熱部から熱膨張した空気を導入してピストンを往復動させて駆動部を動作させるとともに前記空気圧縮機は駆動部に連動して動作するように構成することがある。
【0007】
また、段落番号0006の外燃機関において、駆動部において排気される加熱空気の一部は前記空気加熱部のバイオマス燃焼炉に送給するように構成することがある。
【0008】
さらに、段落番号0006又は0007の外燃機関において、前記駆動部により動作する高圧圧縮機を具える構成となすことがある。
【0009】
さらにまた、段落番号0008の外燃機関において、前記高圧圧縮機からの高圧空気を回転源とするタービンを具える構成となすことがある。
【0010】
そして、本願発明は、山林地に複数散在設置した段落番号0008に係る外燃機関と、これら外燃機関の各高圧圧縮機からの高圧空気を集約する幹線高圧ホースと、この幹線高圧ホースから送給される高圧空気により駆動されるタービンと、このタービンにより回転する発電機とを具えてなる発電装置を提供して、上記従来の課題を解決しようとするものである。
【発明の効果】
【0011】
本願発明は、上記のように、簡易な構成により製造コスト、運転コストともに極めて低廉であり、保守管理も容易なうえ燃料に再生可能な森林資源その他のバイオマスを活用することにより二酸化炭素の排出を抑制して地球環境の維持保全に資することも大きい外燃機関を実現できる。そして、この外燃機関を多数具備した発電装置は山林地に設置することにより大規模な発電を低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本願発明に係る外燃機関の構成概要を示すブロック図である。
【図2】空気流路4とこの空気流路4を加熱するバイオマス燃焼炉5とからなる空気加熱部2を示す断面図である。
【図3】空気圧縮機1と駆動部3の実施例のならびにこれらの関連構成を示す一部断面図である。
【図4】図3に示すピストンロッド31aにより駆動される高圧圧縮機などの関連構成を示す側面図である。
【図5】本願の発電装置の一実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本願に係る外燃機関において、空気加熱部は空気流路とこの空気流路を加熱するバイオマス燃焼炉とからなり、前記空気流路に空気を送給する空気圧縮機と空気加熱部から送られる加熱膨張空気のエネルギーを機械的出力に変換する駆動部は、それぞれ互いに対向する一対のシリンダーとシリンダー内を往復動する一対のピストンを具えて構成されている。
【0014】
そして、駆動部のピストン内に前記加熱部から導入される熱膨張した空気は、約0.14MPSで摂氏約650度を使用することが想定されている。 したがって、空気圧縮機、駆動部において、それぞれのシリンダー、ピストン、ピストンロッド、軸受け等はセラミック製の耐熱・耐火性を有するものが望ましく、またクランク軸受け等のリンク部位には高耐熱のエンジンオイルを使用することになる。
【0015】
また、バイオマス類の効率の良い燃焼温度は経験則から摂氏850度から1000度の温度帯がもっとも良好である。 高温過ぎると燃焼時の灰がその温度で溶解し、機関部に溶着し熱交換機能その他の機能を阻害する要因になる。 また、摂氏850度を下回る温度の燃焼は完全燃焼せずに煤煙として黒い炭素分子を多量に大気中に放出する要因となるばかりか、機関内部に煤として積もり効率が低下し、結果的に燃料を浪費することになる。
【0016】
本願発明に係る外燃機関は、空気圧縮機(図1−7)と、この空気圧縮機から送給される空気を加熱膨張させる空気加熱部(空気流路とこの空気流路を加熱するバイオマス燃焼炉)と、この空気加熱部から送られる加熱膨張空気のエネルギーを機械的出力に変換する駆動部(図1の1と2)とを具える基本構成を有していて、前記空気加熱部は空気流路とこの空気流路を加熱するバイオマス燃焼炉とを具え、前記空気圧縮機と前記駆動部は、それぞれ互いに対向する一対のシリンダーとシリンダー内を往復動する一対のピストンを具え、前記駆動部のピストン内に前記加熱部から熱膨張した空気を導入してピストンを往復動させて駆動部を動作させるとともに前記空気圧縮機は駆動部に連動して動作するように構成することが望ましい。
【0017】
前記空気圧縮機により0.15MPS(メガパスカル)に圧縮された新鮮な外気を 空気加熱部の空気流路の入口端から送給する。 ここで送給される定圧空気の温度は摂氏約30度前後が好ましい。 そして、バイオマス燃焼炉の燃焼ガスにより加熱される空気流路の一方口端における外部接触燃焼ガス温度は摂氏350から500度程度である。 空気流路はパイプを積層した構成であり、パイプにおいて入口端と出口端の中途部分における外側の外部接触燃焼ガス温度は摂氏約700度から900度程度とする。 さらに、空気流路としてのパイプの出口端における内部の空気温度は摂氏600度前後になるように出力を取り出し、駆動部におけるピストンの動作回数を制御して加熱膨張空気の消費量を調整するようする。
【0018】
さて、本願発明に係る空気加熱部は通常のスチームボイラー等と異なり前記パイプ入口端における空気挿入時の人力圧力より出口端における出力圧力の方が低くなるが、それは本願発明に係る外燃機関が既に気体である空気の熱膨張体積変化を有効に使い一方向にのみ空気が膨張し流れる構成を有するからである。
すなわち、0.15MPSで摂氏30度のパイプ入り口における空気を出口(出口力)
では0.14MPSで摂氏約600度とし、この結果、空気は入りロ体積の約2.5倍量を前記駆動部において使えるようになる。
【0019】
なお、ここで、駆動部出力がそのままこの外燃機関の出力にはならない。これは、空気圧縮機を共動させるための駆動負荷を、駆動部出力より差し引く必要がある。
すなわち、計算上は以下の計算式が成り立つ。
空気加熱部で形成された熱膨張空気圧量積がそのまま出力量にはならない。常に低温定圧の空気を挿入してこそこの装置のエネルギー取り出し理論が成り立つが其の低温定圧空気を挿入する事を帰還エネルギー〈一成分〉として考えておくことが必要である。 このパワー〈圧×量〉の比を本発明の理論熱増殖効率比と言い0.1 4Mp sで600度取り出し使用の場合その理論増殖効率は2.54倍となる。
【0020】
空気圧縮機の動作のための負荷として、1.4気圧1.54倍の膨張空気圧量を使い,低温定圧1,5気圧1倍量の空気をパイプ状の空気流路に吹き込む構成にする。 駆動部において高圧圧縮機により、残りの1.4気圧1倍量の空気を使い低温空気を高圧に加圧しその高圧空気によりタービンを回し発電する構成が望ましい。
【0021】
なお、水資源が多少入手できる条伴下では、より高効率に空気加熱部において高圧低温空気量を確保する方法がある。 すなわち、空気加熱部の空気流路に空気圧動作ポンプを連結し、併せてこのポンプに精製水タンクを設置する。
バイオマス燃料の火力が強い〈含有水分が30%以下〉場合などは効果的な手法でより大量の高圧低温空気を取り出す事ができる。この時、空気加熱部の空気流路に帰還用として吹き込む0.1
5Mp s 1 Lに付き前記精製水タンクの水0.6cc相当を混合して挿入すると0.1 4Mp s3.6倍量の高温定圧蒸気混合加熱膨張空気が得られる。 この空気の含有酸素は13%程度に下がるが燃焼能力には大差なく燃やせるが火力が下がるのでバイオマス燃焼炉の火力調整機能として装備して置くと有効である。
【実施例】
【0022】
図面にしたがって実施例を説明する。 図1は本願発明に係る外燃機関の1実施例を示す構成概要のブロック図である。 図において、1は空気圧縮機であり、2はこの空気圧縮機から送給される空気を加熱膨張させる空気加熱部、3はこの空気加熱部から送られる加熱膨張空気のエネルギーを機械的出力に変換する駆動部である。 そして、前記空気加熱部2は空気流路4とこの空気流路4を加熱するバイオマス燃焼炉5とからなっている。 なお、21は空気圧縮機1から空気流路4への加圧低温空気の空気通路であり、22は空気流路4から駆動部3への加熱膨張空気の空気通路、23は駆動部3からバイオマス燃焼炉5への排気通路である。
【0023】
図2は、空気流路4とこの空気流路4を加熱するバイオマス燃焼炉5とからなる空気加熱部2を示す断面図である。空気流路4は金属パイプで形成されて断熱材からなるケーシング6内においてその下部から上部にかけて段階的に連続して設置されている。 なお、7は燃焼ガスの流動を適正に拡散するための誘導板である。 後述のように、加熱すべき空気は前記空気圧縮機1から空気流路の入り口端4aにおいてパイプ内に送給され加熱膨張したのち、出口端4bから放出され前記駆動部3に送られて機械的出力に変換されることになる。
【0024】
図3は、空気圧縮機1と駆動部3の実施例のならびにこれらの関連構成を示す一部断面図である。
この実施例において、前記空気圧縮機1と前記駆動部3は、それぞれ互いに対向する一対のシリンダーとシリンダー内を往復動する一対のピストンを具えて構成されていて、前記駆動部1のピストン内に前記加熱部から熱膨張した空気を導入してピストンを往復動させて駆動部を動作させるとともに前記空気圧縮機は駆動部に連動して動作するように構成されている。 すなわち、図3において、11,11は互いに対向する一対のシリンダーでその内部で往復動するピストン11a、11aを具え、これらピストン11a、11aは1本のピストンロッド11bで連結されていて、前記空気圧縮機1が構成されている。
【0025】
また、図3において、31,31は互いに対向する一対のシリンダーでその内部で往復動するピストン31a、31aを具え、これらピストン31a、31aは1本のピストンロッド31bで連結されていて、前記駆動部3が構成されている。
【0026】
前記ピストンロッド11bとピストンロッド31bは互いに連結ピン8で連結されていて、このためピストンロッド11b(ピストン11、11)は、ピストンロッド31b(ピストン31a、31a)の往復動に従動することになる。 なお、ピストン31a、31aの面積はピストン11a、11aの面積より広く設定して空気圧縮機を作動させて加熱膨張空気に係る膨張空気圧を使い空気圧縮器を動かして未加熱低温度の末膨張空気を空気流路の入り口端より吹き込む。
【0027】
さらに、図3において、図1の項で説明したように、空気流路4から駆動部3への加熱膨張空気の空気通路22により加熱膨張空気がタブレット切り替え弁12,12を介してシリンダー31,31に送給されてピストン31a、31aを往復動させる。 ピストン31a、31aの往復動に従ってピストン11、11も往復動して空気を圧縮し、これにより空気圧縮機1から空気流路4への加圧低温空気が前記空気通路21を通り供給され空気流路4を通過しながら加熱膨張されることになる。 なお、図3において、10は弁作動ロッドであり作動ピン10aを介してピストンロッド31bに従動して動作し弁12,12を介して空気加熱部2からの加熱膨張空気をシリンダー31,31に吸入させ、さらに排気させる。 なお、排気は前述した排気通路23によりバイオマス燃焼炉5へ戻る。
【0028】
以上のように、空気加熱部2から駆動部3に送られるか熱膨張空気のエネルギーは駆動部3において機械的出力すなわちピストンロッド31aの往復動に変換される。この実施例では図4において後述するようにピストンロッド31aに軸支されるクランク9を介してピストンロッド31aの往復動は回転運動に変換される。
【0029】
図4は、図3に示すピストンロッド31aにより駆動される高圧圧縮機などの関連構成を示す側面図である。 図において、9は図3に示すクランク9の延長部分であり、その端部は弾み車41に回転可能に軸支されており、前記ピストンロッド31aの往復動が回転運動に変換されるようになっている。 弾み車41の回転はベルト42により伝達されて高圧圧縮機43を動作させて高圧空気が生成され、ノズル44から噴出させて空気タービン(不図示)を駆動させることになる。
【0030】
図5は本願の発電装置の一実施例を示す説明図である。 図において45、45.....は 山林地に複数散在設置した外燃機関であり、これらの各外燃機関はそれぞれ高圧圧縮機43を具えている。 外燃機関45は、空気加熱部2(図1参照)、空気圧縮機1(図1参照)、駆動部(図1、図3、図4参照)から構成されている。 また、60は前記各外燃機関45の各高圧圧縮機43からの高圧空気を集約する幹線高圧ホースである。 この幹線高圧ホース60の終端には送給される高圧空気により駆動されるタービン70が設けられ、このタービン70により発電機80が駆動され発電がなされるようになっている。
【0031】
次に、以上の構成説明の補足に併せて上記実施例に係る外燃機関の動作を説明する。
空気加熱部2の内部は高温度バイオマス燃焼ガスにより加熱され、パイプ状の空気流路4の内部空気が加熟し膨張させられる。
空気加熱部2の空気流路4の出口端4bから駆動部3のシリンダー31のタブレット切換弁12まで加熱膨張空気を送給するための配管がなされている。
【0032】
前記タブレット切換弁12(図3)がそれぞれ切り替わり一方のシリンダー31へ加熱膨張空気が送給されてピストン31aを動作させて、次いで他方のシリンダー31への加熱膨張空気が送給されるのに併せて最初のシリンダー31からの排気がなされる。 このようにして、各ピストン31a,は往復動をなすことになる。 排気は前記のように前記バイオマス燃焼炉5に回流されて燃焼を促進する。
なお、空気流路4(図2)の出口端4bの空気圧は入り口端4aの圧より少しだけ低く設定されているので、駆動部3への加熱膨張空気の流入は円滑であり、この流れは弁の切換なしで行う事が可能となっている。
【0033】
本願に係る発電装置は、バイオマス燃料を容易に入手できる山林地に構築することになるが、散在させたいずれかの外燃機関の周辺で燃料を使い終われば、燃料を求めて別の場所に移設が必要である。 そして、バイオマス燃焼炉と空気加熱部は容量も大きく重量もそれなりにあるから、設計・製造の段階から分解可能にしておくことが望ましい。
【0034】
駆動部3(シリンダー31、31)の出力の一部は空気圧縮機に分割されるが、
この時シリンダー31,31の出力と空気加熱温度の関係は加熱空気膨張量が機械相互変換損失分(約35%)を超えた温度から運転し続けることになる。すなわち、挿入した空気体積の1、6倍を超えた状態から動き始めるが各種摩擦ロスを差し引きし凡そ2倍を超えたときからと考えて良い。
この時の加熱膨張済み空気(空気流路の出口端4b)の温度は、およそ摂氏390度〈1.5気圧で390度は、1気圧243度1気圧約2倍体積であるから〉程度になる。 また、前記のようにシリンダー31を動作済みの排気空気はタブレット切換弁12の切り替わりでバイオマス燃焼炉5(図1)下部より燃焼用空気として吹き込まれ水分率の高いバイオマス燃料を乾かし、そして燃やす働きをするので好都合であり、燃料の節約効果が大きい。駆動部のシリンダー31と空気圧縮機のシリンダー11の関係は上記説明したように各シリンダー面積比と空気圧比を綜合して計算する必要がある。
【0035】
従って、外燃機関の出力はシリンダー31の出力から空気挿入装置負荷分(帰還空気挿入負荷)と各所摩擦磨動部損失の相互変換効率を差し引いた値となる空気圧エネルギーのみとなる。 さて、本願の外燃機関には冷却装置、冷却部位が全く存在しない。既存のスチーム式発電機関の場合最も多量に熱エネルギーを廃棄している部位(復水器)が存在しないのが最も大きい特徴の一つである。
この事はスチーム発電の最大ロス源(約40‰)がそもそも存在しない事がそのまま本装置の熱電変換効率が高い理由の一つとなる。
【0036】
通常のスチームボイラーの加熱燃焼ガス温度差{熱交換器}は摂氏500度を優に越える事は珍しくないが、本願の外燃機関では摂氏約250から350度である。
装置効率を考えないならば1 5 0度の温度差でも従って発電は可能になる。
また、駆動部のシリンダーを駆動させた後の排気空気温度が摂氏270度程度であり、この空気には酸素が手付かずの状態で温在しているので、バイオマス燃焼炉内に帰還させて燃料と混合し酸化剤として供給するのが通常の外気温度より既に摂氏300度(カロリーにして約1000ka1/1m3)の利得があるので更に燃費効率が良くなる。
【0037】
本願発明は当初、バイオマス燃料独特の低温度燃焼ガスの有効的電力変換方法としてのみ考案研究されたのであるが発明を終えた現時点で省みるにこの発明が実は各所で有効利用が想定できる事が判明した。
すなわち、本願発明は水蒸発熱を必要とする蒸気の体積圧力を使用せず気体[空気]の熱膨張力を直接出力として取り出す原理の装置であるので力〔電力〕までの熟変換効率は従来のスチーム方式とは雲泥の差を有する。が大出力の装置には適さない欠点も同時にあった。それはバイオマス燃料と言う爆発性火力や高温燃焼性に乏しい燃料を対象に発明された事に起因するし山岳部平坦地に乏しい立地条件での建設や、重機搬送路も無い軽く小さい部品による組み立て稼働を前提に設備の構想から製作までを鑑みて開発して置く必要がある。つまり小規模限定の装置理論でもあった。
【0038】
それでも、理論上の使用気体圧力の関係で動作装置外形重量比の出力が小さいのである。 しかし、バイオマスを主とする発電装置でも生産性と言う経済競争に打ち勝つ為には燃費効果の優位性だけでは不十分で装置全部の総合計イニシャルコスト[初期投資額]の引き下げと総合的運営コスト(ランニングコスト)の引き下げが必要なのである。
そこで今目的経済条件下の生産性からくる優位性確保の装置規模は100kwから5000kw/hの装置を必要とする事が判明してくる。 空気圧縮機、空気加熱部、駆動部を組み合わせる事でこの解決がなされることになる。
【0039】
この空気圧縮機、空気加熱部、駆動部で構成される1単位ずつを散在させて、険しい山岳部山頂中腹部位に広く分布繁茂しているバイオマス木材をその場で燃料として使い其の場所で高圧空気圧として1次加工し移送コストの低減を行う為の構成である。
つまり、遊牧民の羊のように薄く広く繁茂している燃料の本が燃やしてなくなればこのユニットは分解して別の木本の繁茂している場所に移動し組み立てるのである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧縮機と、この空気圧縮機から送給される空気を加熱膨張させる空気加熱部と、この空気加熱部から送られる加熱膨張して空気圧縮機からの送給時より高温低圧となった空気のエネルギーを機械的出力に変換する駆動部とを具えたことを特徴とする外燃機関。
【請求項2】
請求項1記載の外燃機関において、前記空気加熱部は空気流路とこの空気流路を加熱するバイオマス燃焼炉とを具え、前記空気圧縮機と前記駆動部は、それぞれ互いに対向する一対のシリンダーとシリンダー内を往復動する一対のピストンと対向する一対のピストンを結合するピストンロッドとを具えてなり、前記駆動部のピストン内に前記加熱部から熱膨張した空気を導入してピストンを往復動させて駆動部を動作させるとともに前記空気圧縮機は駆動部に連動して動作するようにしたことを特徴とする外燃機関。
【請求項3】
請求項2記載の外燃機関において、駆動部において排気される加熱空気の一部は前記空気加熱部のバイオマス燃焼炉に送給するようにしたことを特徴とする外燃機関。
【請求項4】
請求項2又は3記載の外燃機関において、前記駆動部により動作する高圧圧縮機を具えたことを特徴とする外燃機関。
【請求項5】
請求項4記載の外燃機関において、前記高圧圧縮機からの高圧空気を回転源とするタービンを具えたことを特徴とする外燃機関。
【請求項6】
山林地に複数散在設置した請求項4に係る外燃機関と、これら外燃機関の各高圧圧縮機からの高圧空気を集約する幹線高圧ホースと、この幹線高圧ホースから送給される高圧空気により駆動されるタービンと、このタービンにより回転する発電機とを具えてなる発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−219724(P2012−219724A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86964(P2011−86964)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(591183544)