説明

外燃用燃料組成物

【課題】着火時や消火時に煤の排出数が少ない外燃用燃料組成物を提供する。
【解決手段】硫黄分が10質量ppm以下、50%留出温度が160〜210℃、97%留出温度が265℃以下、煙点が22〜29mm、全アロマ分が15〜35容量%、2環アロマ分とテトラヒドロナフタレン分の合計量がパラフィン以外成分の合計量の15容量%以下(ここで、テトラヒドロナフタレン分とは、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン骨格を有する化合物の含有量を示す。)である外燃用燃料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外燃用燃料組成物に関し、特には着火時及び消火時において不快臭や煤の排出数が少ない外燃用燃料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ストーブや給湯器等の家庭用燃焼機器や、工場での加熱用ボイラーや暖房用ボイラー等に使用される外燃用燃料は着火時や消火時に煤が発生し易く、不快な臭気だけでなく健康や周辺環境への影響が懸念される。特に気密性の高い住宅における使用や、周辺に住宅がある工場での燃料使用においては着火時や消火時に不快臭や煤の発生が少ない燃料使用が求められている。
【0003】
また、天然ガスを原料として、フィッシャー・トロプシュ合成により生産される硫黄分や芳香族を含有しない、石油系灯油と同等の蒸留性状に調製されたいわゆるGTL(Gas to liquid)灯油が市場に投入されている。しかしながら、GTL灯油を生産する為にはエネルギー投資が大きく、生産設備コスト、運転コストがともに大きいことから、その供給量は当分限定的であるものと見込まれる。この為、比較的安価で大量に生産、供給されている石油系燃料の品質改善が望まれている。
【0004】
そこで、着火時や消火時に煤発生が少ない灯油が提案されている(特許文献1)。これは、蒸留性状だけでなくパラフィンや芳香族類の組成を所定範囲にすることで燃焼時に煤発生の少ない灯油を提案している。しかしながら、着火時や消火時に多く排出される煤の粒子数や、この粒子数に影響を及ぼす燃料の特定成分にも着目しておらず、さらに煙点が比較的高い。
【特許文献1】特開2006−131710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、着火時や消火時に煤の排出数が少なく、煙点が特定の範囲内にあり、さらに、極めて低硫黄である外燃用燃料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究したところ、外燃用燃料組成物を調製する際、特定の高沸点成分の含有量、特には高沸点2環アロマ分やナフタレン分などの含有量が特定の範囲となるように蒸留性状を調整するか、さらには石油系の市販灯油に、高度に精製した低芳香族灯油留分を混合することにより、着火時や消火時における煤の排出数を抑制できることを見出した。かかる知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次のとおりの外燃用燃料組成物である。
(1)硫黄分が10質量ppm以下、50%留出温度が160〜210℃、90%留出温度が220〜240℃、煙点が22〜29mm、全アロマ分が15〜35容量%、2環アロマ分とテトラヒドロナフタレン分の合計量がパラフィン以外の成分の合計量の15容量%以下(ここで、テトラヒドロナフタレン分とは、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン骨格を有する化合物の含有量を示す。)である外燃用燃料組成物。
【0008】
(2)2環アロマ分が0.1容量%以下である上記(1)記載の外燃用燃料組成物。
(3)2環ナフテン分、1環アロマ分及び1環ナフテン分の総量が、35容量%以上である上記(1)又は(2)記載の外燃用燃料組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の外燃用燃料組成物によれば、特に特定成分の含有量を特定の範囲に限定したことから、燃焼時に煤の生成を抑制する効果を奏する。さらに、煤の燃焼を促進し、着火・消火時に発生する煤の粒子数を低減させることができる。煤の燃焼を促進し、着火・消火時に発生する煤の粒子数を低減させる効果を奏する。
したがって、市販灯油留分の中で、パラフィン成分を主体として煤の生成量が相当小さいと言われているGTL灯油をなどの高価なものをブレンドしなくても煤の生成を低減した外燃用燃料組成物を調製することができる。この結果、GTL灯油などを製造するための高額な生産設備のコストや、操業に要する膨大なエネルギー消費を節約することができ、経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
〔全硫黄分〕
本発明の外燃用燃料組成物は、全硫黄分が10質量ppm以下である。全硫黄分が10質量ppm以下であるので、燃焼によって生ずる亜硫酸ガス等に基づく不快臭や環境負荷が低減される。全硫黄分は、環境負荷低減の観点から好ましくは5質量ppm以下、さらに好ましくは3質量ppm以下である。
【0011】
〔50%留出温度〕
本発明の外燃用燃料組成物は、50%留出温度が160〜210℃である。50%留出温度が160℃未満では燃料消費量が悪化し、ハンドリング時に燃料組成物から放散される臭気が強くなる。この為、50%留出温度の下限は好ましくは170℃以上であり、さらに好ましくは190℃以上、特には195℃以上である。また、50%留出温度が210℃を超えると揮発性が悪化し、未燃炭化水素や一酸化炭素の発生が増加する。50%留出温度の上限は好ましくは205℃以下であり、さらに好ましくは200℃以下、特には190℃以下である。
【0012】
〔90%留出温度〕
本発明の外燃用燃料組成物は、90%留出温度が220〜240℃である。90%留出温度が240℃を超えると燃焼性が悪化し、煤が発生し易くなる。この為、好ましくは235℃以下、さらに好ましくは230℃以下である。また、90%留出温度が220℃を下回ると燃費が悪化する。この為、90%留出温度の下限は220℃以上で、好ましくは223℃以上、さらに好ましくは225℃以上である。
【0013】
〔煙点〕
本発明の外燃用燃料組成物は、煙点が22〜29mmである。煙点が22mm未満では、煙が発生し易くなる為、煙点が22mm以上、好ましくは22.5mm以上、さらに好ましくは23mm以上、特には24mm以上である。また、煙点が29mmを超えると、燃焼時の炎の長さが長くなり、芯式ストーブでの芯調節が難しくなることや、あるいは煙点が低い芳香族環を水素化することにより煙点が高いナフテン環やパラフィンにすることによって調製されたオーバースペック的な外燃料用燃料に見られることから、製造時のエネルギーコストが増加し、本発明品とGTL灯油との差異が小さくなる為、好ましくは28mm以下、さらに好ましくは27mm以下、特には26mm以下である。
【0014】
〔全アロマ分〕
全アロマ分は、1環アロマ分、2環アロマ分及びテトラヒドロナフタレン分の合計含有量を指し、15〜35容量%である。全アロマ分が15容量%未満では燃費が悪化する。また芳香環の水素化や蒸留分離等によって全芳香族分を低減するには、膨大なコストがかかる為、全アロマ分の下限は15容量%以上であり、好ましくは20容量%以上、さらに好ましくは22容量%以上、特には25容量%以上である。また、全芳香族分が35容量%を超えると燃焼性が悪化し、煤が発生し易くなる。この為、全アロマ分の上限は35容量%以下であり、好ましくは33容量%以下、さらに好ましくは31容量%以下、特には29容量%以下である。
【0015】
〔テトラヒドロナフタレン分〕
テトラヒドロナフタレン分は、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン骨格を有する化合物の含有量を示し、好ましくは3.0〜10.0容量%である。テトラヒドロナフタレン分が3.0容量%を下回ると燃費が悪化し、また芳香族環に隣接するナフテン環を水素化分解したり芳香環化等によるナフテン分低減にコストがかかる。この為、テトラヒドロナフタレン分の下限は3.0容量%以上であり、好ましくは3.5容量%以上、さらに好ましくは4.0容量%以上、特には4.5容量%以上である。また、テトラヒドロナフタレン分が10.0容量%を上回ると燃焼性が悪化し、煤が発生し易くなる。この為、テトラヒドロナフタレン分の上限は10.0容量%以下であり、好ましくは9.0容量%以下、さらに好ましくは8.0容量%以下、特には7.5容量%以下である。1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン骨格を有する化合物として、具体的には、テトラリン、メチルテトラリン、ジメチルテトラリン、トリメチルテトラリン、インダン、メチルインダン、ジメチルインダン及びトリメチルインダン等が挙げられる。
【0016】
〔2環アロマ分〕
2環アロマ分は、ベンゼン環が2個縮合した骨格を有する化合物の含有量であり、多いと煤が発生し易くなる。このため、2環アロマ分は0.1容量%以下が好ましく、最も好ましくは含まないことである。ベンゼン環を2個有する化合物として、具体的には、ナフタレン、1個以上のアルキル基(炭素数が合計で1〜5個)で置換されたナフタレン誘導体、及びアントラセンの1環が飽和化された化合物などが挙げられる。
【0017】
〔パラフィン分、2環アロマ分とテトラヒドロナフタレン分の総量がパラフィンを除く成分の総量に占める比率〕
パラフィン分は20〜70容量%が好ましい。パラフィン分が少ないと煤が出やすくなるため、好ましくは20容量%以上、さらに好ましくは30容量%以上である。また、パラフィン分が多すぎると芳香族環やナフテン環を多く水素化分解するため製造コストが増加し、また低温流動性が悪化するため、好ましくは70容量%以下、さらに好ましくは60容量%以下である。パラフィン分はノルマルパラフィン及びイソパラフィン分であるが、ノルマルパラフィン分を多く含む方が煤の発生が少ない。具体的には、ノルマルパラフィンは、炭素数9〜20の飽和直鎖炭化水素化合物であり、イソパラフィンはその異性体である。
また、2環ナフテン分、1環アロマ分及び1環ナフテン分は、2環アロマ分とテトラヒドロナフタレン分に比較して煤の発生が少ない。なお、2環ナフテンとしては、5〜7員環のシクロアルカン2個が組み合わさった骨格を有する化合物が挙げられ、代表的には、デカリン、そのアルキル置換体などである。また、1環は、ベンゼン骨格を有する化合物が挙げられ、代表的には、ベンゼン及びそのアルキル置換体などである。
煤の発生量を抑制するためには、2環アロマ分とテトラヒドロナフタレン分の総量がパラフィンを除く成分の総量に占める比率が15容量%以下であり、好ましくは13容量%以下、さらに好ましくは12容量%以下である。また、2環アロマ分とテトラヒドロナフタレン分の総量がパラフィンを除く成分の総量に占める比率が低すぎると、燃費が悪化し、また芳香族環に隣接するナフテン環を水素化分解したり芳香環化等によるナフテン分低減にコストがかかる為、5.0容量%以上が好ましく、さらには7.0容量%以上が好ましい。
【0018】
本発明の外燃用燃料組成物は、原料油として、例えば、常圧蒸留装置、接触分解装置、熱分解装置等から得られる灯油留分、すなわち沸点が140〜280℃の範囲で留出する留分を用いて、水素化脱硫することにより得られるが、2環アロマ含有量を抑える為、水素化脱硫する原料油にこれらの化合物を多く含まない原料油、例えばアスファルトを熱分解した油の混合比率を抑えたり、原料油を選択したりすることが有効である。また、これら化合物含有量を抑える為に、原料油の高沸点側を蒸留分離したり、反応温度を高めとし、水素分圧を上げたり、水素/オイル比を高くしたりすることも有効である。なお、接触分解装置、熱分解装置等から得られる灯油留分は難脱硫成分も多く含有することから、水素化脱硫にあたっては硫黄分を選択的に除去する触媒を用いる。硫黄分を選択的に除去する触媒としては、CoMo触媒、NiMo触媒などが挙げられる。
【0019】
水素化脱硫は、水素化脱硫触媒として、Co、Mo及びNiの1種以上を含有し、又所望によりPを担持したものを用い、反応温度270〜380℃、好ましくは295〜360℃、反応圧力2.5〜8.5MPa、好ましくは2.7〜7.0MPa、LHSV0.9〜6.0h−1、好ましくは0.9〜5.4h−1、水素/オイル比130〜300(±5程度の変動は許容される。)Nm/kLの条件の範囲で適宜選択して、上述した本発明の外燃用燃料組成物が得られるようにする。特には、LHSV、水素圧、水素/オイル比は大きい方が良い。また反応温度は酸化安定性の悪いスチレン類化合物やジエン類化合物の生成を抑える為に、低めにするとよい。
【0020】
本発明に係る外燃用燃料組成物に対しては、当業者に知られた任意の酸化防止剤を必要に応じて添加することができる。酸化防止剤を添加する場合、その添加量は当業者であれば目的とする酸化安定性に応じて適宜調整することができる。例えば、炭素数10以上のスチレン類及び炭素数15以上のジエン類を夫々0.01質量%以上含有する場合、酸化防止剤を添加して良好な酸化安定性を維持することができ、1〜10質量ppm程度の添加量で所望の効果を得ることができるが、10質量ppm以上添加してもよい。
【0021】
酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系の中で特に制限なく使用できる。具体的には、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤や、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤、及びこれらの混合物が挙げられる。フェノール系及びアミン系の化合物以外にも酸化防止効果を有する物質が考えられるが、区別を明確にするために、本発明においてはフェノール系及びアミン系の化合物のみを酸化防止剤として取扱い、酸化防止効果を有するその他の化合物を添加する場合は燃料基材として取り扱う。
【0022】
また、その他、低温流動性向上剤、耐摩耗性向上剤、セタン価向上剤等の公知の燃料添加剤を添加しても良い。本発明は低温流動性が良好である為、低温流動性向上剤を添加する必要はないが、添加する場合はエチレン共重合体などを用いることが出来るが、特には酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどの飽和脂肪酸のビニルエステルが好ましく用いられる。耐磨耗性向上剤としては、例えば長鎖脂肪酸(炭素数12〜24)又はその脂肪酸エステルが好ましく用いられる。10〜500ppm、好ましくは50〜100ppmの添加量で十分に耐摩耗性が向上する。
【実施例】
【0023】
本発明の外燃用燃料組成物について具体的に実施例により説明する。なお、本発明は、以下の実施例のように実施すれば実現できるが、本実施例に限定されるものではない。
【0024】
供試燃料(外燃用燃料組成物)の調製
本発明の外燃用燃料組成物を次の供試燃料1〜4を用いて評価した。
供試燃料1:市販灯油(JIS1号灯油)
供試燃料2:供試燃料1の市販灯油80容量%とナフテン溶剤(日本油脂(株)製、ナフテン溶剤D40)20容量%との混合物。
供試燃料3:常圧蒸留装置から留出した沸点範囲150〜268℃の留分を、Co、Mo、Pを担持した市販触媒を用い、反応温度350℃、反応圧力7.2MPa、水素/オイル比300±5Nm/kL、LHSV1.0h−1、水素純度94%の条件下でして得た水素化精製油。
供試燃料4:常圧蒸留装置から留出した沸点範囲145〜250℃の留分を、Co、Mo、Pを担持した市販触媒を用い、反応温度350℃、反応圧力10MPa、水素/オイル比300±5Nm/kL、LHSV1.0h−1、水素純度94%の条件下で水素化精製した後、細孔径が5Åのゼオライト触媒でノルマルパラフィンを分離して得たラフィネート。
【0025】
上記の供試燃料1〜4について、それぞれの物性、成分組成を測定し、さらに、石油ストーブによる燃焼試験を行い、その燃焼排ガス中に含まれる煤の粒子数などから評価を行った。その結果を表1に示す。
【0026】
【表1】

【0027】
表1に記載の物性、成分組成及び燃焼排ガス評価などの測定方法及び評価方法は、次に示す方法で測定、評価した。
1)密度:JIS K2249「原油及び石油製品密度試験方法」に規定された方法。
2)蒸留性状:JIS K2254「蒸留試験方法」に規定された方法。
3)硫黄分:JIS K2541−6「硫黄分試験方法(紫外蛍光法)」に規定された方法。
4)煙点:JIS K2537「煙点試験方法」に規定された方法。
削除する。
5)全アロマ分、2環アロマ分、テトラヒドロナフタレン分、パラフィン分、その他成分などの詳細成分: Agilent Technologies社製HP−6890N型FID検出器付きGC、及び日本電子社製AccuTOF JMS−T100GC飛行時間型質量分析計によるGCシステムを用いた。詳細な分析条件は次の通りである。
1次カラム:微極性カラム(Supelco社製PTE−5、長さ30m、内径0.25mm、フィルム厚0.25μm)、モジュレータ中空カラム:長さ2m、内径0.1mm
2次カラム:高極性カラム(Supelco社製SpelcoWAX10、長さ2m、内径0.25mm、フィルム厚0.25μm)
昇温条件:10℃/分(50℃(5分保持)から280℃(27分保持))
注入口温度:280°C
注入量:1.0μl
スプリット比:100:1
キャリアガス:ヘリウム(He)、1.0ml/分
モジュレータ温度:下記のコールド温度、ホット温度を繰り返す。
ホットジェットガス温度:150℃(5分保持)から320℃(33分保持)に10℃/分で昇温。
コールドジェットガス温度:約−140℃
モジュレータ頻度:6秒間で0.3秒間ホット温度、その後5.7秒間コールド温度。
インターフェイス中空カラム:長さ0.5m、内径0.25mm
FIDガス条件:水素(45mL/分)、空気(450mL/分)、メークアップヘリウム(25mL/分)
本GCシステムは、炭素数7〜44の化合物を測定することが可能であり、測定したピーク(山形)の溶出時間とマススペクトルから、それぞれのピーク(山形)に対応する化合物を同定する。同定された全ピーク(山形)の合計を含有量合計(100ピーク体積%)とし、それぞれのピーク(山形)から対応するそれぞれの化合物の含有量をピーク体積%として算出し、これを容量%とする。同定された化合物は、骨格別に前記の成分(化合物群)に分類され、分類された成分ごとの含有量が求められる。
【0028】
6)燃焼排ガス中の煤の粒子数と粒子径:
市販の芯式ストーブ(シャープ製自然通気型開放式石油ストーブHSR−26L)を用い、発生した燃焼排ガス中に含まれる煤の粒子数(煤粒子数の積算値)と、煤粒子径の最高値を次の条件下に計測し評価した。
燃焼排ガスのサンプリングは、前記石油ストーブの天板から5cm上に設置した20cm四方のフードで燃焼排ガスを集めサンプリングし、フードに接続するダクトを通して粒子径、粒子数計測装置に直接排ガスサンプルを供給した。
点火頭初に最大目盛り(芯の最大高さから8割の高さ)の一つ下になる様にレバーで芯の高さを設定し、炎が安定したら20秒後に目盛りの中間点(5割の高さ)に調節した。点火2分後に耐震自動消火装置を作動させて瞬間的に消火させた。点火から消火30秒後までの間、排ガスサンプルを採り続けた(総計2分30秒)。
粒子径、粒子数計測:上記フードで集めた燃焼排ガスを、ダクトを通してリアルタイム自排微粒子解析装置(東京ダイレック(株)製 EEPS 3090)に毎分10Lで2分30秒間供給して1秒間ごとに全ての粒子をカウントし、粒子数の総計(煤粒子数の積算値)、煤粒子数の最高値、すなわち1秒間に通過する煤の個数の最大値(ピーク値)を求めた。なお、表1において、煤粒子数の積算値、煤粒子数の最高値は、供試燃料1の値を基準(1.0)として、それに対する比率で示した。
【0029】
表1から、供試燃料1に比較して供試燃料2は煤粒子数の最高値は同じであるが、煤粒子数の積算値は高く、供試燃料3は煤粒子数の積算値、最高値ともに良好であることがわかる。また、供試燃料4は煤粒子数の積算値は供試燃料1と同じであるが、最高値は良好であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全硫黄分が10質量ppm以下、50%留出温度が160〜210℃、90%留出温度が220〜240℃、煙点が22〜29mm、全アロマ分が15〜35容量%、2環アロマ分とテトラヒドロナフタレン分の合計量がパラフィン以外成分の合計量の15容量%以下(ここで、テトラヒドロナフタレン分とは、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン骨格を有する化合物の含有量を示す。)であることを特徴とする外燃用燃料組成物。
【請求項2】
さらに2環アロマ分が0.1容量%以下である請求項1に記載の外燃用燃料組成物。
【請求項3】
さらに、2環ナフテン分、1環アロマ分及び1環ナフテン分の総量が、35容量%以上である請求項1又は2に記載の外燃用燃料組成物。

【公開番号】特開2010−120996(P2010−120996A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294176(P2008−294176)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(304003860)株式会社ジャパンエナジー (344)