説明

外科手術アクセサリークランプおよびシステム

【課題】外科手術アクセサリークランプおよびシステムを提供すること。
【解決手段】外科手術アクセサリークランプ、使用方法、および該クランプを含む外科手術用ロボットシステムが開示される。外科手術アクセサリーは、中間の滅菌アクセサリークランプを使用することなく、外科手術中にマニピュレーターアームに着脱され得、従って、清掃や滅菌を必要とする着脱式のアクセサリーマウントまたはアダプターの必要性がなくなり、効率およびコスト効果が向上する。本発明はさらに、滅菌の不履行を生じることなく、外科手術用ロボットシステムに対して器具、用具またはアクセサリーを容易に着脱することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して外科手術用ロボットシステムに関し、より具体的にはロボットアーム用のアクセサリークランプに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット支援外科手術またはテレロボット外科手術では、一般的に外科医は、患者から離れた場所(例えば、手術室の反対側、別の部屋、または患者とは完全に別の建物)からマスターコントローラーを操作して、手術部位における手術器具の動作を遠隔制御する。マスターコントローラーは、通常、1つ以上の手動入力装置(例えば、ジョイスティック、外骨格(exoskeletal)グローブ等)を含んでおり、これはサーボモーターを有する手術器具に接続されており、サーボモーターは手術部位において器具の関節の働きをする。サーボモーターは一般的に、開口手術部位に直接的に、または患者の腹部等の体腔内にトロカールスリーブを経由して導入される、手術器具を支持および制御する電気機械装置、すなわち外科手術用マニピュレーター(「スレーブ」)の一部である。手術時に、外科手術用マニピュレーターは、機械的な関節の働きと、組織グラスパー、ニードルドライバー、電気外科手術焼灼プローブ等(それぞれ外科医のために種々の機能、例えば、ニードルを保持または駆動する、血管を把持する、または組織を切開する、焼灼する若しくは凝固させる、を実行する)といった種々の手術器具の制御とを提供する。
【0003】
遠隔操作を通じてテレロボット外科手術を実行するこの新たな方法は、もちろん、新たな課題も多く生み出している。このような課題の一つは、電気機械式外科手術用マニピュレーターの一部が手術器具と直接接触し、さらに手術部位に隣接して配置されるという事実から生じている。従って、外科手術用マニピュレーターは、外科手術中に汚染される場合があり、一般的には手術と手術との間に廃棄されるか滅菌されている。費用面から考えると、器具を滅菌するのが好ましいと考えられるが、サーボモーター、センサー、エンコーダー、およびモーターをロボット制御する上で必要となる電気接続部は、一般的に従来の方法(例えば、蒸気、熱および圧力、または化学物質)で滅菌することができない。なぜなら、これらのシステム部品は、滅菌プロセスで損傷または破損すると考えられるためである。
【0004】
テレロボット外科手術システムにおけるさらに別の課題には、一般的に外科医が、手術中に多くの異なる手術器具を使用することが挙げられる。器具ホルダーの数は空間的な制約および費用により制限されることから、これらの手術器具の多くは、1回の外科手術中に何度も、同じ器具ホルダーに着脱されることになる。例えば腹腔鏡検査では、患者の腹部への挿入口の数は、一般的に空間的な制約と、患者への不必要な切開を避ける目的とから、外科手術中に制限されている。このため、一般的には幾つかの異なる手術器具が、外科手術中に同じトロカールスリーブを介して導入される。同様に、開口手術では、一般的に1個または2個よりも多い外科手術用マニピュレーターを配置できるだけの空間的余裕が手術部位の周囲にないため、外科助手は、しばしば器具をホルダーから取り外し、他の手術用具と交換することが強いられることになる。一方で、器具ホルダーはこれまで取扱いが難しく面倒で、両手を使用しなければならなかった。さらに、これまでの器具ホルダーは、手術が終わるたびに取り外して滅菌する必要があった。
【0005】
このため、改良されたテレロボットシステム、および患者の手術部位において手術器具を遠隔操作する改良された方法が求められている。これらのシステムおよび方法は、滅菌の必要性を最小限にして、コスト効果を改善するように構成されるべきである。さらに、これらのシステムおよび方法は、外科手術中における器具交換の時間および困難さを最小限にするように、設計されるべきである。従って、効率およびコスト効果が改善された、ロボット外科手術のためのアクセサリークランプおよびシステムが、非常に望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、テレロボット外科手術で使用される外科手術アクセサリーをクランプするための有用な、システム、装置、および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、外科手術用ロボットシステムの外科手術アクセサリークランプが提供され、該アクセサリークランプは、マニピュレーターアームの遠位端に連結するための基部と、外科手術アクセサリーを受容し、基部に動作可能に連結する2個のクランプジョーとを含む。このクランプは、2個のクランプジョーを覆う滅菌ドレープ部と、これらの2個のクランプジョーを開位置または閉位置に作動させることができるレバー部と、をさらに含む。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、外科手術用ロボットシステムの外科手術アクセサリークランプが提供され、該アクセサリークランプは、マニピュレーターアームの遠位端に連結するための基部であって、第一の取付け部を含む基部と、第一の取付け部を覆う滅菌ドレープ部と、第一および第二の取付け部の間で外科手術アクセサリーをクランプまたは解除する第二の取付け部と、を含む。
【0009】
本発明のさらに別の実施形態によれば、滅菌野において外科手術を行うための外科手術用ロボットシステムが提供され、該システムは、マニピュレーターアームと、外科手術アクセサリーをマニピュレーターアームの遠位端部に連結するための外科手術アクセサリークランプと、滅菌野からアクセサリークランプおよびマニピュレーターアームを遮蔽するためのアクセサリークランプおよびマニピュレーターアームを覆う滅菌ドレープと、を含む。
【0010】
本発明のさらに別の実施形態によれば、滅菌野において外科手術を行うための外科手術用ロボットシステムが提供され、該システムは、手術用具と、近位端部および遠位端部を有するマニピュレーターアームを含むマニピュレーターアセンブリと、手術用具を受容する内腔を画定し患者における経皮的侵入へのアクセスを提供するカニューレと、カニューレをマニピュレーターアームの遠位端部に連結するためのカニューレアダプターと、滅菌野からカニューレアダプターおよびマニピュレーターアームを遮蔽するためのカニューレアダプターおよびマニピュレーターアームを覆う滅菌ドレープと、を含む。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態によれば、外科手術用ロボットシステムの外科手術アクセサリーをクランプする方法が提供され、該方法は、上述のような外科手術アクセサリークランプを提供することと、2個のクランプジョーの上に滅菌ドレープを配置することと、アクセサリークランプを開位置に作動させることと、2個のクランプジョーの間に外科手術アクセサリーを提供することと、アクセサリークランプを閉位置に作動させることと、を含む。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態によれば、外科手術用ロボットシステムの外科手術アクセサリーをクランプする方法が提供され、該方法は、外科手術アクセサリークランプをマニピュレーターアームの遠位端部に装着することと、マニピュレーターアームおよびアクセサリークランプを滅菌野から遮蔽するためにマニピュレーターアームおよびアクセサリークランプを滅菌ドレープで覆うことと、滅菌野の中でアクセサリーをアクセサリークランプに装着することと、を含む。
【0013】
有用にも、本発明は、再滅菌を必要とせず、器具、用具またはアクセサリーの交換が容易であり、それ故にコスト効果および効率が改善された、外科手術用ロボットシステムのための向上したクランプ装置および方法を提供する。
【0014】
本発明の範囲は特許請求の範囲によって定められ、それは参考として本明細書の中で援用される。以下の1つ以上の実施形態の詳細な説明を検討することによって、本発明の実施形態のより詳細な理解、およびそれらのさらなる利点の理解が、当業者には可能となる。図面の簡単な説明に記載される図面が参照される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
外科手術用ロボットシステムの外科手術アクセサリークランプであって、
マニピュレーターアームの遠位端に連結するための基部と、
外科手術アクセサリーを受容するための2個のクランプジョーであって、該基部に動作可能に連結される、2個のクランプジョーと、
該2個のクランプジョーを覆う滅菌ドレープ部と、
該2個のクランプジョーを開位置または閉位置に作動させることができるレバー部と、
を備える、アクセサリークランプ。
(項目2)
上記基部は、ネジ、接着剤または溶接材料によってマニピュレーターアームに連結されることが可能な、項目1に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目3)
上記2個のクランプジョーは、上記開位置において上記外科手術アクセサリーを長手方向軸に沿って回転させることができる、項目1に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目4)
上記2個のクランプジョーは、1つの旋回軸または2つの旋回軸の回りに旋回する、項目1に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目5)
上記外科手術アクセサリーは、手術用具を受容するための内腔を画定し経皮的侵入へのアクセスを提供するカニューレである、項目1に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目6)
上記手術用具は、ジョー、ハサミ、グラスパー、ニードルホルダー、マイクロディセクター、ステープルアプライヤー、タッカー、吸引洗浄用具およびクリップアプライヤー等のエンドエフェクターを有する関節型用具、ならびに切断刃、焼灼プローブ、イルリガートル、カテーテルおよび吸引オリフィス等の非関節型用具からなる群から選択される、項目5に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目7)
上記滅菌ドレープ部は、HDPE、ポリエチレンおよびポリウレタンからなる群から選択される材料からなる、項目1に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目8)
上記滅菌ドレープ部は、より大型のドレープの真空形成された部分、または個別の成形された部分である、項目1に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目9)
上記滅菌ドレープ部は補強部を含む、項目1に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目10)
上記レバー部は、レバーハンドルの摺動動作または旋回動作によって、上記外科手術アクセサリーをクランプし、または解放する、項目1に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目11)
上記2個のクランプジョーの間で受信される上記外科手術アクセサリーに関する情報を処理するための、プリント基板をさらに備える、項目1に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目12)
上記情報は、上記外科手術アクセサリーの識別情報を含む、項目11に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目13)
外科手術用ロボットシステムの外科手術アクセサリークランプであって、
マニピュレーターアームの遠位端に連結するための基部であって、第一の取付け部を含む、基部と、
該第一の取付け部を覆う滅菌ドレープ部と、
該第一の取り付け部と第二の取付け部との間で外科手術アクセサリーをクランプし、または解放するための、第二の取付け部と、
を備える、アクセサリークランプ。
(項目14)
上記外科手術アクセサリーは、手術用具を受容するための内腔を画定し経皮的侵入へのアクセスを提供するカニューレである、項目13に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目15)
上記手術用具は、リトラクター、スタビライザーおよび内視鏡カメラからなる群から選択される、項目14に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目16)
上記滅菌ドレープ部は、HDPE、ポリエチレンおよびポリウレタンからなる群から選択される材料からなる、項目13に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目17)
上記滅菌ドレープ部は、より大型のドレープの真空形成された部分、または個別の成形された部分である、項目13に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目18)
上記滅菌ドレープ部は補強部を含む、項目13に記載の外科手術アクセサリークランプ。
(項目19)
滅菌野内で手術を行うための外科手術用ロボットシステムであって、
マニピュレーターアームと、
外科手術アクセサリーを該マニピュレーターアームの遠位端に連結するための、外科手術アクセサリークランプと、
該アクセサリークランプおよび該マニピュレーターアームを該滅菌野から遮蔽するための、該アクセサリークランプおよび該マニピュレーターアームを覆う滅菌ドレープと、
を備える、システム。
(項目20)
上記外科手術アクセサリーは、手術用具を受容するための内腔を画定し経皮的侵入へのアクセスを提供するカニューレである、項目19に記載の外科手術用ロボットシステム。
(項目21)
上記手術用具は、リトラクター、スタビライザーおよび内視鏡カメラからなる群から選択される、項目19に記載の外科手術用ロボットシステム。
(項目22)
上記滅菌ドレープは、HDPE、ポリエチレンおよびポリウレタンからなる群から選択される材料からなる、項目19に記載の外科手術用ロボットシステム。
(項目23)
上記アクセサリークランプを覆う上記滅菌ドレープは、より大型のドレープの真空形成された部分、または個別の成形された部分である、項目19に記載の外科手術用ロボットシステム。
(項目24)
上記アクセサリークランプを覆う上記滅菌ドレープは、補強部を含む、項目19に記載の外科手術用ロボットシステム。
(項目25)
滅菌野内で手術を行うための外科手術用ロボットシステムであって、
手術用具と、
近位端部および遠位端部を有するマニピュレーターアームを含むマニピュレーターアセンブリと、
該手術用具を受容するための内腔を画定し、患者における経皮的侵入へのアクセスを提供するカニューレと、
該カニューレを該マニピュレーターアームの該遠位端部に連結するための、カニューレアダプターと、
該カニューレアダプターおよび該マニピュレーターアームを該滅菌野から遮蔽するための、該カニューレアダプターおよび該マニピュレーターアームを覆う滅菌ドレープと、
を備える、システム。
(項目26)
上記滅菌ドレープは、HDPE、ポリエチレンおよびポリウレタンからなる群から選択される材料からなる、項目25に記載の外科手術用ロボットシステム。
(項目27)
上記カニューレアダプターを覆う上記滅菌ドレープは、より大型のドレープの真空形成された部分、または個別の成形された部分である、項目25に記載の外科手術用ロボットシステム。
(項目28)
上記カニューレアダプターを覆う上記滅菌ドレープは、補強部を含む、項目25に記載の外科手術用ロボットシステム。
(項目29)
外科手術用ロボットシステムにおいて、外科手術アクセサリーをクランプする方法であって、
マニピュレーターアームの遠位端に連結するための基部と、
該外科手術アクセサリーを受容するための2個のクランプジョーと、
該2個のクランプジョーを該基部に動作可能に連結し、該2個のクランプジョーを開位置または閉位置に作動させることができるレバー部と、
を備える、外科手術アクセサリークランプを提供することと、
滅菌ドレープを該2個のクランプジョーの上に配置することと、
該アクセサリークランプを該開位置に作動させることと、
該外科手術アクセサリーを該2個のクランプジョーの間に提供することと、
該アクセサリークランプを該閉位置に作動させることと、
を包含する、方法。
(項目30)
上記2個のクランプジョーの間に提供された外科手術アクセサリーのタイプを識別すること、をさらに包含する、項目29に記載の方法。
(項目31)
上記外科手術アクセサリーを上記2個のクランプジョーの間の所望の位置に回転させること、をさらに包含する、項目29に記載の方法。
(項目32)
外科手術用ロボットシステムにおいて、外科手術アクセサリーをクランプする方法であって、
外科手術アクセサリークランプをマニピュレーターアームの遠位端部に装着することと、
該マニピュレーターアームおよび該アクセサリークランプを滅菌野から遮蔽するために、該マニピュレーターアームおよび該アクセサリークランプを滅菌ドレープで覆うことと、
該滅菌野の中でアクセサリーを該アクセサリークランプに装着することと、
を包含する、方法。
(項目33)
手術用具を上記アクセサリーを通じて導入すること、をさらに包含する、項目32に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施形態に従った、外科手術用テレロボットシステムおよびテレロボット外科手術方法を示す、手術室の概略図である。
【図2】図2は、本発明に従った、手術台に連結される一対の取付けジョイントを示す、図1の手術室の拡大図である。
【図3A】図3Aは、本発明の実施形態に従った、滅菌ドレープによって部分的に覆われた、外科手術用ロボットマニピュレーターの斜視図である。
【図3B】図3Bは、リストユニットおよび手術用具を伴う駆動アセンブリを連結する多自由度のアームを示す、滅菌ドレープを外した状態の図3Aの外科手術用ロボットマニピュレーターの斜視図である。
【図4】図4は、手術部位を観察するためのカメラおよび内視鏡を組み込んだ、図3A〜図3Bの外科手術用ロボットマニピュレーターを示す。
【図5】図5は、アームとリストユニットとの間の機械的および電気的連結を示す、図3A〜図3Bのロボットマニピュレーターの部分図である。
【図6】図6は、図3Aおよび図3Bのマニピュレーターの前部アームおよびキャリッジの部分断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態に従った、リストユニットの斜視図である。
【図8】図8は、アームおよび駆動アセンブリを示す、ロボットマニピュレーターの一部の側面断面図である。
【図9A】図9Aは、本発明の別の実施形態に従った、滅菌ドレープで部分的に覆われた外科手術用ロボットマニピュレーターの斜視図である。
【図9B】図9Bおよび図9Cは、外科手術アクセサリークランプ、リストユニットおよび手術用具を伴う駆動アセンブリを連結する多自由度のアームを示す、滅菌ドレープを外した状態の図9Aの外科手術用ロボットマニピュレーターの図である。
【図9C】図9Bおよび図9Cは、外科手術アクセサリークランプ、リストユニットおよび手術用具を伴う駆動アセンブリを連結する多自由度のアームを示す、滅菌ドレープを外した状態の図9Aの外科手術用ロボットマニピュレーターの図である。
【図10】図10は、本発明の実施形態に従った、外科手術アクセサリークランプ、外科手術アクセサリー、およびそれらの間の滅菌ドレープ部の断面図である。
【図11】図11A〜図11Cは、本発明の実施形態に従った、外科手術アクセサリーとしてのカニューレ、および本アクセサリーの検知機構の断面図を示す。
【図12】図12A〜図12Cは、本発明の実施形態に従った、外科手術アクセサリークランプの種々の図を示す。
【図13】図13A〜図13Bは、本発明の実施形態に従った、図12A〜図12Cの外科手術アクセサリークランプに保持された外科手術アクセサリーの斜視図を示す。
【図14】図14A〜図14Cは、本発明の実施形態に従って、外科手術アクセサリーを図12A〜図12Cの外科手術アクセサリークランプに配置およびクランプする際の斜視図および側面図を示す。
【図15】図15および図16は、アクセサリークランプのクランプジョーを覆う2種類の滅菌ドレープ部を示す。
【図16】図15および図16は、アクセサリークランプのクランプジョーを覆う2種類の滅菌ドレープ部を示す。
【図17A】図17A〜図17Eは、アクセサリークランプのクランプジョーの上に滅菌ドレープを配置し、次いでアクセサリーをクランプジョーの間にクランプする際の斜視図を示す。
【図17B】図17A〜図17Eは、アクセサリークランプのクランプジョーの上に滅菌ドレープを配置し、次いでアクセサリーをクランプジョーの間にクランプする際の斜視図を示す。
【図17C】図17A〜図17Eは、アクセサリークランプのクランプジョーの上に滅菌ドレープを配置し、次いでアクセサリーをクランプジョーの間にクランプする際の斜視図を示す。
【図17D】図17A〜図17Eは、アクセサリークランプのクランプジョーの上に滅菌ドレープを配置し、次いでアクセサリーをクランプジョーの間にクランプする際の斜視図を示す。
【図17E】図17A〜図17Eは、アクセサリークランプのクランプジョーの上に滅菌ドレープを配置し、次いでアクセサリーをクランプジョーの間にクランプする際の斜視図を示す。
【図18】図18A〜図18Cは、本発明の別の実施形態に従った、スライドアクセサリークランプの図を示す。
【図19A】図19Aおよび図19Bは、本発明の別の実施形態に従った、ピボットアクセサリークランプを示す。
【図19B】図19Aおよび図19Bは、本発明の別の実施形態に従った、ピボットアクセサリークランプを示す。
【図20】図20は、本発明の別の実施形態に従った、別のピボットアクセサリークランプを示す。
【図21】図21A〜図21Bは、本発明の別の実施形態に従った、別のピボットアクセサリークランプを示す。
【図22】図22A〜図22Cは、本発明の実施形態に従って、外科手術アクセサリーを図21A〜図21Bの外科手術アクセサリークランプに配置およびクランプする際の斜視図である。
【図23】図23A〜図23Cは、本発明の別の実施形態に従った、別のピボットアクセサリークランプを示す。
【図24】図24A〜図24Fは、本発明の別の実施形態に従って、外科手術アクセサリーを外科手術アクセサリークランプに配置およびクランプする際の斜視図を示す。
【図25】図25A〜図25Bは、本発明の実施形態に従った、第一の取付け部の斜視図を示す。
【図26】図26A〜図26Bは、本発明の実施形態に従った、第二の取付け部の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態およびそれらの利点は、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。1枚以上の図面に示してある同じ参照番号は、同じ要素を特定するために使用されていることが、理解されるべきである。図面の縮尺は必ずしも一定でないことがまた、理解されるべきである。
【0017】
本発明は、特に開口外科手術、神経外科手術(例えば、定位脳手術)および内視鏡手術(例えば、腹腔鏡検査、関節鏡検査、胸腔鏡検査)等を含むロボット支援外科手術を患者に行うためのマルチコンポーネントシステムおよび方法を提供する。本発明のシステムおよび方法は、患者から離れた位置からサーボ機構を介して外科医が手術器具を操作することができる外科手術用テレロボットシステムの一部として特に有用である。その目的のために、本発明のマニピュレーター装置またはスレーブは、通常、運動学的に等価であるマスターによって駆動され、力逆送型のテレプレゼンスシステムを形成する。好適なスレーブマスターシステムの説明は、1995年8月21日出願の米国特許出願第08/517,053号の中に見ることができ、該出願の開示全体が、本明細書においてあらゆる目的のために参考として援用される。
【0018】
同じ番号が同じ要素を示している図面を詳細に参照すると、外科手術用テレロボットシステム2が、本発明の一実施形態に従って図示されている。図1に示す通り、テレロボットシステム2は一般的に、手術台Oにまたは手術台Oの近くに取り付けられる1つ以上の外科手術用マニピュレーターアセンブリ4、ならびに外科医Sが手術部位を観察して、マニピュレーターアセンブリ4を制御することを可能にする制御アセンブリ6を含む。本システム2はまた、マニピュレーターアセンブリ4と着脱可能に結合するように適合された1つ以上の観察スコープアセンブリ19および複数の手術器具アセンブリ20をも含む(以下に詳述)。テレロボットシステム2は、通常、少なくとも2つのマニピュレーターアセンブリ4、好ましくは3つのマニピュレーターアセンブリ4を含む。マニピュレーターアセンブリ4の正確な数は、とりわけ、外科手技および手術室内の空間的な制約に依存する。以下に詳述する通り、アセンブリ4のうちの1つは一般的に、手術部位を観察する観察スコープアセンブリ19を(例えば、内視鏡手術において)操作し、一方でその他のマニピュレーターアセンブリ4は、患者Pに種々の手技を行う手術器具20を操作する。
【0019】
制御アセンブリ6は、通常手術台Oと同じ部屋に配置される外科医用コンソールCに配置され、その結果として、外科医は助手Aに話しかけ、手技を直接監視し得る。しかし、外科医Sは、患者Pとは異なる部屋または完全に異なる建物に配置され得ることが、理解されるべきである。制御アセンブリ6は一般的に、支持台8、外科医Sに手術部位の画像を表示するモニター10、およびマニピュレーターアセンブリ4を制御する1つ以上のコントローラー12を含む。コントローラー12は、ジョイスティック、グローブ、トリガーガン、手動コントローラー、音声認識装置等といった種々の入力装置を含み得る。好ましくは、コントローラー12は、関連する手術器具アセンブリ20と同じ自由度を備えることで、外科医にテレプレゼンスを提供するか、または、外科医が器具20を直接制御している強い感覚を覚えるようなコントローラー12と器具20との一体感を外科医に提供する。位置、力および触覚フィードバックセンサー(図示せず)が、また器具アセンブリ20に使用され得、外科医がテレロボットシステムを操作する際に、位置、力および接触の感覚を手術器具から外科医の手に伝え戻す。オペレータにテレプレゼンスを提供するための1つの好適なシステムおよび方法は、先に本明細書において参考として援用されている、1995年8月21日出願の米国特許出願第08/517,053号に記載されている。
【0020】
モニター10は、観察スコープアセンブリ19に適切に連結され、外科医用コンソールC上の外科医の手の近くに手術部位の画像が提供される。好ましくは、モニター10は、実際に外科医が手術部位を真上から見下ろしているように感じる方向からの、反転画像をディスプレイ18に示す。その目的のために、手術器具20の画像は、たとえ観察点(すなわち、内視鏡または観察カメラ)が画像の視点からのものでないとしても、オペレータの手がある場所にあるかのように見える。さらに、リアルタイム画像は、好ましくは、斜視画像に変換され、その結果として、実質的に真のプレゼンスにおいて作業空間を見ているかのように、オペレータはエンドエフェクターおよび手の制御を操作し得る。真のプレゼンスとは、画像の表示が、手術器具20を物理的に操作しているオペレータの視点をシミュレートした真の斜視画像であることを意味する。このように、コントローラー(図示せず)は、斜視画像が、カメラまたは内視鏡が手術器具20の真後ろにあるかのように見える画像となるように、手術器具20の座標を知覚位置に変換する。このバーチャル画像を提供するのに好適な座標変換システムは、1994年5月5日出願の米国特許出願第08/239,086号(現、米国特許第5,631,973号)に記載されており、該出願の開示全体が、本明細書においてあらゆる目的のために参考として援用される。
【0021】
図1に示す通り、コントローラー12の機械的動作をマニピュレーターアセンブリ4に転送するためにサーボ機構16が提供される。サーボ機構16は、マニピュレーターアセンブリ4と分離されている場合も、一体となっている場合もあり得る。サーボ機構16は、通常、手術器具20から手動コントローラー12へ力およびトルクのフィードバックを提供する。さらに、サーボ機構16は、認識された状態(例えば、患者への過剰な力の負荷、マニピュレーターアセンブリ4のランナウェイ等)に応答して、全てのロボットの動作をフリーズするかまたは少なくとも抑制し得る安全監視コントローラー(図示せず)を含む。サーボ機構は、好ましくは、外科医の素早い手の動きにシステムが迅速かつ正確に応答できるように、少なくとも10hzの3dBカットオフ周波数を有するサーボ帯域幅を有する。本システムを効率的に操作するために、マニピュレーターアセンブリ4は比較的低い慣性を有し、駆動モーター170(図8を参照)は、比較的低いギア比またはプーリー連結を有する。任意の好適な従来のサーボ機構または特殊なサーボ機構が本発明の実施において使用され得るが、力およびトルクのフィードバックを組み込んだものが、特に本システムのテレプレゼンス操作に対しては好ましい。
【0022】
図7を参照すると、手術器具アセンブリ20はそれぞれ、リストユニット22、およびリストユニット22に着脱可能に取り付けられた手術用具24(図3Aおよび図3B)を含む。以下に詳述する通り、各リストユニット22は一般的に、近位キャップ58を有する細長いシャフト56、および手術用具24に旋回可能に連結される遠位リスト60を含む。各リストユニット22は実質的に同じであり、外科手技の要件に応じて、異なるまたは同じ手術用具24がこれに取り付けられる。あるいは、リストユニット22は、リストユニット22が従来の用具24と共に使用され得るように、個々の手術用具24に合わせて設計された特殊なリスト60を有し得る。図1に示す通り、器具アセンブリ20は、通常、台Tの上に、または手術台Oに隣接するその他の適切な支持台の上に組み立てられている。本発明の方法(以下に記載)によれば、リストユニット22およびそれらの関連する手術用具24は、リストユニットシャフト56をマニピュレーターアセンブリ4から着脱することによって、外科手術中に迅速に交換され得る。
【0023】
図2を参照すると、各マニピュレーターアセンブリ4は、好ましくは、取付けジョイント30によって手術台Oに取り付けられる。取付けジョイント30は、アセンブリ4に対して複数の自由度(好ましくは、少なくとも5自由度)を提供し、アセンブリ4を患者に対して適切な位置および方向に固定することができるブレーキ(図示せず)を含む。ジョイント30は、ジョイント30を手術台Oに取り付け、各マニピュレーターアセンブリ4をサーボ機構16に接続するためのレセプタクル32に取り付けられる。さらに、レセプタクル32は、ジョイント30をRF電源、吸引洗浄システム等のその他のシステムに接続し得る。レセプタクル32は、手術台Oの外側レール36に沿って摺動可能に配置される取付けアーム34を含む。マニピュレーターアセンブリ4はまた、その他の機構と共に手術台O上に配置され得る。例えば、本システムは、1つ以上のマニピュレーターアセンブリ4を患者の上で移動させて保持する支持システム(手術室の天井または壁に連結される)を組み込み得る。
【0024】
次に図3〜図8を参照して、マニピュレーターアセンブリ4をさらに詳細に説明する。マニピュレーターアセンブリ4は、非滅菌の駆動制御部品、滅菌可能なエンドエフェクターまたは手術用具(すなわち、手術器具アセンブリ20)、および中間コネクター部品を含む、3つの部品からなる装置である。中間コネクターは、手術用具24を駆動制御部品と連結し、駆動部品から手術用具24に動作を伝達する機械的要素を含む。図3Bに示す通り、駆動制御部品は一般的に、駆動アセンブリ40、および取付けジョイント30(図2)に取り付けるのに適した、取付けブラケット44に連結される多自由度のロボットアーム42を含む。好ましくは、駆動アセンブリ40およびロボットアーム42は、球形回転の遠隔中心45を通って伸びる(図8を参照、以下に詳述)X軸の回りに旋回可能なように、ブラケット44に連結される。マニピュレーターアセンブリ4は、アーム42の遠位端48に固定される前部アームアセンブリ46、ならびにリストユニット22および手術用具24をマニピュレーターアセンブリ4に取り付けるための、前部アームアセンブリ46に連結されるリストユニットアダプター52を、さらに含む。
【0025】
内視鏡手術において、マニピュレーターアセンブリ4はさらに、カニューレ66をマニピュレーターアセンブリ4に取り付けるための、前部アーム46の下部に取り付けられるカニューレアダプター64を含む。あるいは、カニューレ66は、前部アームアセンブリ46に組み込まれた(すなわち、着脱不能な)一体型カニューレ(図示せず)であり得る。カニューレ66は、カニューレ66内の環状ベアリングに取り付けられる、ひずみゲージまたは力検出抵抗器等の力検出機構(図示せず)を含み得る。力検出ベアリングは、外科手術中に手術用具24を支持し、用具がベアリングの中心穴を通って回転および軸方向に移動できるようにする。さらに、このベアリングは、手術用具24によって及ぼされる横方向の力を力検出機構に伝達し、該力検出機構は、サーボ機構16に連結されており、これらの力をコントローラー12に伝達する。このようにして、手術用具24に作用する力は、手術切開部周囲の組織のようなカニューレ66に作用する力、またはマニピュレーターアセンブリ4に作用する重量および慣性力による影響を受けずに、検出され得る。これにより、外科医が手術用具24に作用する力を直接感知することから、ロボットシステムにおけるマニピュレーターアセンブリ4の使用が助長される。
【0026】
図3Aに示す通り、マニピュレーターアセンブリ4は、マニピュレーターアセンブリ4全体を実質的に覆うような大きさの滅菌ドレープ70を、さらに含む。ドレープ70は、一対の穴72、74を有し、この一対の穴72、74は、リストユニットアダプター52およびカニューレアダプター64が穴72、74を抜けて伸長して、リストユニット22およびカニューレ66をマニピュレーターアセンブリ4に取り付けられるようなサイズおよび配置となっている。滅菌ドレープ70は、手術部位からマニピュレーターアセンブリ4を効果的に遮蔽するように構成された材料を備えており、その結果として、アセンブリ4の部品の大部分(すなわち、アーム42、駆動アセンブリ40および前部アームアセンブリ46)は外科手技の前後に滅菌される必要はない。
【0027】
図3Aに示す通り、リストユニットアダプター52およびカニューレアダプター64は、ドレープ70の穴72、74を抜けて伸長し、その結果として、前部アームアセンブリ46、およびマニピュレーターアセンブリ4の残りの部分は、手技の間に患者から遮蔽されたままとなる。一実施形態において、リストユニットアダプター52およびカニューレアダプター64は、手術部位の滅菌野の中に伸長することから、滅菌される再使用可能な部品として製造される。リストユニットアダプター52およびカニューレアダプター64は、蒸気、熱および圧力、化学物質等といった通常の方法で滅菌され得る。図3Bを参照すると、リストユニットアダプター52は、リストユニット22のシャフト56を受容する開口部80を含む。以下に詳述する通り、シャフト56は、開口部80を抜けて側方に押し進められて、アダプター52にスナップ止めされ、その結果として、リストユニットアダプター52の非露出部分は滅菌されたままとなる(すなわち、滅菌野と反対のドレープ70の滅菌側に残る)。リストユニットアダプター52はまた、リストユニット22をアダプターに固定するラッチ(図示せず)をも含み得る。同様に、カニューレアダプター64は、カニューレ66をアダプターにスナップ止めさせるための開口部82を含み、その結果として、外科手術中にアダプター64の非露出部分が滅菌されたままとなる。
【0028】
図4に示す通り、リストユニットアダプター52はまた、手術部位を観察するための観察スコープ100を受容するように構成され得る。内視鏡手術の場合には、観察スコープ100は従来の内視鏡であり得、この内視鏡は一般的に、剛性の細長い管102を含み、この管102の近位端にレンズシステム(図示せず)およびカメラマウント104を装備する。小型のビデオカメラ106が、好ましくは、カメラマウント104に取り付けられ、ビデオモニター10に接続されて、外科手技のビデオ画像を提供する。好ましくは、スコープ100は、管102の側方または斜めからの表示が可能になるように構成された遠位端(図示せず)を有する。観察スコープはまた、管102の近位端上でアクチュエーターを操作することによって、屈曲または回転させることができる誘導可能なチップを有し得る。このタイプのスコープは、Baxter Healthcare Corp.(米国イリノイ州ディアフィールド)またはOrigin Medsystems,Inc.(米国カリフォルニア州メンロパーク)から市販されている。
【0029】
図4に示す通り、観察スコープ100は、観察スコープ100をリストユニットアダプター52に連結する、スコープアダプター110をさらに含む。スコープアダプター110は、滅菌、ETOおよびオートクレーブが可能であり、また、駆動アセンブリ40からスコープ100へ動作を伝達する複数の動作フィードスルー(図示せず)を含む。好適な構成において、この動作は、ピッチおよびヨーの動作、Z軸の回りの回転、およびZ軸に沿った移動を含む。
【0030】
次に、図5および図6を参照して、前部アームアセンブリ46をさらに詳細に説明する。図5に示す通り、前部アームアセンブリ46は、アーム42に固定されるハウジング120、およびハウジング120に摺動可能に連結される可動キャリッジ122を含む。キャリッジ122は、リストユニットアダプター52およびリストユニット20をZ方向に移動させるために、ハウジング120にリストユニットアダプター52を摺動可能に取り付ける。さらに、キャリッジ122は、前部アームアセンブリ46からリストユニットアダプター52へ動作および電気信号を伝達するために、いくつかの開口部123を定める。図6に示す通り、ハウジング120内には、アーム42から開口部123を通ってリストユニットアダプター52およびリストユニット22へ動作を伝達するために、複数の回転シャフト124が取り付けられる。回転シャフト124は、好ましくは、リストユニット22のリスト60の回りの手術用具24のヨーおよびピッチの動作、Z軸の回りのリストユニット22の回転、および用具24の作動を含む、少なくとも4自由度をリストユニット22に提供する。本システムはまた、所望の場合には、より多いまたはより少ない自由度を提供するように構成され得る。用具24の作動は、ジョー、グラスパーまたはハサミの開閉、クリップまたはステープルの適用等のような、種々の動作を含み得る。リストユニット22および用具24のZ方向への動作は、前部アームハウジング120の各々の端部における回転プーリー128と129との間に伸長する1対のキャリッジケーブルドライブ126によって提供される。ケーブルドライブ126は、キャリッジ122およびリストユニット22を前部アームハウジング120に対してZ方向に移動するように機能する。
【0031】
図6に示す通り、アーム42の遠位端48は、アーム42から前部アームアセンブリ46へ動作を伝達する複数の動作フィードスルー132を有する連結アセンブリ130を含む。さらに、連結アセンブリ130は、アーム42からリストユニット22へ電気信号を伝達するための、いくつかの電気コネクター(図示せず)を含む。同様に、リストユニットアダプター52は、リストユニット22へ動作を伝達するための複数の動作フィードスルー(図示せず)、および電気信号をリストユニット22へ送信しかつそこから受信する(例えば、手術部位からコントローラー12へ力およびトルクのフィードバック信号を送受信する)ための電気接続部(図示せず)を含む。連結アセンブリ130およびリストユニットアダプター52の各々の側の部品は、有限の動作範囲を有する。通常、この動作範囲は、少なくとも1回転であり、そして1回転よりも多いことが好ましい。これらの動作範囲は、前部アームアセンブリ46が連結アセンブリ130に機械的に連結され、リストユニットアダプター52が前部アーム46に機械的に連結されるときに、互いに整合される。
【0032】
図7を参照して、リストユニット22をさらに詳細に説明する。図示の通り、リストユニット22は、近位端にキャップ58が、遠位端にリスト60が取り付けられた中空シャフト56を含む。リスト60は、種々の手術用具24をシャフト56に着脱可能に連結する連結部(図示せず)を含む。シャフト56は、シャフト56の長手軸(すなわち、Z軸)の回りにシャフト56および用具24を回転させられるように、キャップ58に回転可能に連結される。キャップ58は、リストユニットアダプター52からシャフト56内の駆動ケーブル(図示せず)に動作を伝達する機構(図示せず)を収容する。この駆動ケーブルは、リスト60の回りに用具24を旋回させ、用具24上のエンドエフェクター140を作動させるように、シャフト56内の駆動プーリーに適切に連結されている。リスト60はまた、例えば差動歯車、プッシュロッド等のようなその他の機構によって操作され得る。
【0033】
用具24は、リストユニット22のリスト60に着脱可能に連結される。用具24は、好ましくは、外科医に対して触覚のフィードバックを提供する触覚センサーアレイ(図示せず)を有するエンドエフェクター65を含む(図3Aおよび図3B)。用具24は、ジョー、ハサミ、グラスパー、ニードルホルダー、マイクロディセクター、ステープルアプライヤー、タッカー、吸引洗浄用具、クリップアプライヤー等の種々の関節型用具を含み得、それらは、ワイヤ連結、偏心カム、プッシュロッドまたはその他の機構によって駆動されるエンドエフェクターを有する。さらに、用具24は、切断刃、プローブ、イルリガートル、カテーテルまたは吸引オリフィス等の非関節型器具を備え得る。あるいは、用具24は、組織を焼灼、切除、切断または凝固する電気外科手術プローブを備え得る。後者の実施形態において、リストユニット22は、例えばシャフト56を通過して用具24まで伸長するリード線またはロッドに連結される、近位バナナ型プラグ等の伝動性要素を含む。
【0034】
図4および図8を参照して、本発明の駆動部品および制御部品の特定の構成(すなわち、ロボットアーム42および駆動アセンブリ40)をさらに詳細に説明する。上述の通り、アーム42および駆動アセンブリ40は、取付けブラケット44から伸長する1対のピン150の回りに回転可能に連結される。好ましくは、アーム42は、実質的に剛性の細長体152を備え、この遠位端48は前部アームアセンブリ48に連結され、近位端154は駆動アセンブリ40およびブラケット44に旋回可能に連結されて、ピッチおよびヨー、すなわちX軸およびY軸(ただし、Y軸は紙面に対して垂直で、点45を通って伸長する。図8を参照)の回りの回転を与える。アーム40は、例えば、L字型アーム(ヒトの腕と同様の)、角柱アーム(真っ直ぐに伸長可能)等の、その他の構成を有し得る。固定型ヨーモーター156は、アーム42および駆動アセンブリ40をX軸の回りに回転させるために、取付けブラケット44に取り付けられる。駆動アセンブリ40はまた、Y軸の回りにアームを回転させるための、アーム42に連結されるピッチモーター158をも含む。1対の実質的に剛性のリンク要素160、124は、ブラケット44からロボットアーム42へ伸長して、Y軸の回りに旋回可能なようにアーム42をブラケット44に連結する。一方のリンク要素160は、アーム42に旋回可能に連結され、他方のリンク要素124は、アーム42に対して並行に伸長する第三のリンク要素164に旋回可能に連結される。好ましくは、ロボットアーム42は、第三のリンク要素164を少なくとも部分的に収容する溝型の(channel shaped)剛性要素である。リンク要素160、124および164、ならびにアーム42は平行四辺形のリンク構造を形成し、該リンク構造の中でこれらの部材は共に平行四辺形に連結され、部材によって形成される平面内でのみ相対的に移動する。
【0035】
アーム42の遠位端48に保持されるリストユニット22のZ軸は、上記の平行四辺形のリンク構造のX軸と交差する。リストユニット22は、図8に番号45として示される位置の回りの、球面回転の遠隔中心を有する。従って、この回転の遠隔中心45を同じ位置に維持したまま、リストユニット22の遠位端は、それ自身の軸またはX軸およびY軸の回りに回転させられ得る。遠隔中心位置決め装置のより完全な説明は、1995年7月20日出願の米国特許出願第08/504,301号(現、米国特許第5,931,832号)の中に見ることができ、該出願の開示の全体が、本明細書においてあらゆる目的のために参考として援用される。アーム42および駆動アセンブリ40は、上記および図8に示すもの以外にも、定位的位置決め装置、固定式ジンバル等といった多岐にわたる位置決め装置と共に使用され得ることに、留意されたい。
【0036】
再び図8を参照すると、駆動アセンブリ40は、アーム42に連結されてこれを回転させる複数の駆動モーター170をさらに含む。ピッチモーター156およびヨーモーター158は、アーム42(および駆動モーター170)のX軸およびY軸の回りの動作を制御し、駆動モーター170は、リストユニット22および手術用具24の動作を制御する。好ましくは、少なくとも5個の駆動モーター170がアーム42に連結され、リストユニット22に少なくとも5自由度を提供する。駆動モーター170は、好ましくは、サーボ機構16に応答するエンコーダー(図示せず)、および力およびトルクのフィードバックを外科医Sに送る力センサー(図示せず)を含む。上述の通り、5自由度は、好ましくは、キャリッジ122およびリストユニット22のZ方向の動き、Z軸の回りのリストユニット22の回転、リスト60の回りの手術用具24のピッチおよびヨーの回転、および用具24の作動を含む。
【0037】
図示の通り、ケーブル172は、各モーター170から、アーム42内のモーター駆動プーリー174、アイドラープーリー176の周囲に、そして比較的大きなポットキャプスタン178に沿って伸長し、ケーブル172に対する摩擦トルクの影響を最小限にする。これらのケーブル172はそれぞれ、アーム42の遠位端48における別のアイドラープーリー180の周囲に、連結駆動プーリー182の周囲に、そして再びモーター170へと伸長する。これらのケーブル172は、好ましくは、モーター駆動プーリー174ならびに連結駆動プーリー182において張力が加えられて、そこで係留される。図8に示す通り、連結駆動プーリー182は、複数のケーブル186を介して、連結アセンブリ130内の複数のより小型のプーリー184に接続され、モーター170からリストユニットアダプター52に動作を伝達する。
【0038】
次に、本発明に従って患者に外科手術を施す方法を、図1〜図9を参照しながら説明する。図2に示す通り、取付けジョイント30はレセプタクル32に取り付けられており、このレセプタクル32は、取付けアーム34をレール36に沿って摺動させることによって、手術台Oに取り付けられる。次いで、各マニピュレーターアセンブリ4が、それぞれの取付けジョイント30に取り付けられ、患者Pに対して適切な位置および方向に関節接合される。次に、レセプタクル32は、サーボ機構16、および外科手術中に必要とされ得るRF電源、吸引洗浄システムといったその他のシステムに連結される。滅菌ドレープ70は、麻酔の前後または最中にマニピュレーターアセンブリ4の上に置かれる(図3A)。外科手術の準備として、マニピュレーターアセンブリ4は、これらをドレープ70で覆う前に化学的に清掃される場合もあれば、されない場合もある。リストユニットアダプター52、カニューレアダプター64およびスコープアダプター110は、マニピュレーターアセンブリ4の前部アームアセンブリ46の上にスナップ止めされる(図3Bおよび図5を参照)。スコープアダプター110およびリストユニットアダプター52の数および相対的位置は、もちろん、個々の外科手技により異なる(例えば、開口外科手術ではカニューレアダプター64が必要とされない場合もある)。
【0039】
外科手術の間、手術器具アセンブリ20は、個々のリストユニットシャフト56をリストユニットアダプター52の開口部80を通って側方に押し進めることによって、それぞれのマニピュレーターアセンブリ4に連結される。各リストユニット22は、どのタイプの用具24がリストユニット22に接続されているかを迅速かつ容易に示すのに好適な識別手段(図示せず)を有する。外科医が手術用具24の変更を望むときには、外科医はコントローラー12を操作して、前部アームアセンブリ46に沿った行程の最上部または近位の位置にキャリッジ122を移動させる(図3Bを参照)。この位置において、手術用具24はカニューレ66内にあるか、または開口外科手術中に手術部位から取り外される。次いで、助手Aが、リストキャップ58を上に引っ張り、ラッチ(図示せず)を解除し、それによってリストユニット22をさらに上へ摺動させて、カニューレ66から取り外す。次に、助手Aは、リストユニット22を側方へ引っ張り、このリストユニット22をリストユニットアダプター52から外し得る。リストユニット22がアダプター52に連結されていない時には、制御機構は、システムが「用具変更モード」にあると認識し、外科医が前もってキャリッジ122を近位に移動させていない場合は、これを近位へ駆動する。
【0040】
マニピュレーターアセンブリ4に別の手術器具アセンブリ20を連結するために、助手Aは、別のアセンブリ20を台Tから把持し、リストユニットシャフト56を側方にリストユニットアダプター52の開口部80へと押し進め、次いでリストユニット22を下に移動させて、手術用具24がカニューレ66内に留まるようにする(図1および図3Bを参照)。このようにリストユニット22を下向きに移動させることで、リストキャップ58およびリストユニットアダプター52内の電気的継手および動作フィードスルー(図示せず)が自動的に嵌合する。本システムは、継手が嵌合し、リストユニット22がそれ以上に下がらなくなるまで、(例えば、ブレーキ(図示せず)を作動させることによって)キャリッジ122の移動を最上部または近位に固定するように構成された制御機構を含み得る。この時点で、外科医Sは外科手技を継続し得る。
【0041】
本発明のシステムおよび方法は、好ましくは、リストユニット22がリストユニットアダプター52に着脱される回数を計数する機構を含む。このようにして、製造業者は、リストユニット22が使用され得る回数を制限し得る。特定の構成において、集積回路チップ(図示せず)がリストキャップ58内に収容される。この回路チップは、リストユニット22がリストユニットアダプター52に連結される回数(例えば、20回)を計数し、警告が外科医用コンソールCに表示される。すると、制御システムは、供給し得る負荷を低減するかまたは明らかなバックラッシュを増加させることによって、本システムの性能を低下させる。
【0042】
次に、図9Aを参照して、本発明の別の実施形態に従って、滅菌ドレープ270によって部分的に覆われた外科手術用ロボットマニピュレーター204を含む、外科手術用ロボットシステム200を示す。図9Bおよび図9Cは、滅菌ドレープを外した状態での図9Aの外科手術用ロボットマニピュレーターの図であり、外科手術アクセサリークランプ、リストユニットおよび手術用具を伴う駆動アセンブリを連結する多自由度のアームを図示している。システム200は、図1〜図8に関連して上記に示され、説明されたシステムと同様のものであるが、しかし、外科手術アクセサリークランプ264は、滅菌ドレープ270を抜けて伸長しておらず、外科手術アクセサリー266(例えば、カニューレ)とインターフェースし、ドレープ270の一部が外科手術中に外科手術の滅菌野からアクセサリークランプ264を有効に遮蔽する。有用にも、アクセサリークランプ264は外科手術前に滅菌の必要もなければ交換の必要もないために、コストが節減される。また、滅菌ドレープの開口部が1つ少なくなることから、システム200は滅菌野からより効果的に遮蔽され、システム機器の遮断性が向上する。
【0043】
上述の(同じまたは類似の機能性を有する)駆動アセンブリ40、アーム42、前部アームアセンブリ46、リストユニットアダプター52、リストユニット22および用具24を含む同じまたは類似のマニピュレーターアセンブリ4が、システム200内で、アクセサリークランプ264と共に使用され得るが、同じまたは類似の部品に関する繰り返しの説明は省略する。しかしながら、シャフト256およびエンドエフェクター265を伴う用具224を作動するための、異なる駆動アセンブリ240、アーム242、前部アームアセンブリ246およびインターフェース252が、図9A〜図9Cに示される。駆動アセンブリ240、アーム242、前部アームアセンブリ246、インターフェース252、およびその他の適用可能な部品または用具の実施形態は、例えば、米国特許第6,331,181号、第6,491,701号、および第6,770,081号に記載されており、該特許の開示全体(その中で参考として援用されている開示内容を含む)が、あらゆる目的のために本明細書において参考として援用される。次に、クランプ264、アクセサリー266およびドレープ270の実施形態を、詳細に説明する。
【0044】
図10は、本発明の一実施形態に従った、外科手術アクセサリークランプ264、外科手術アクセサリー266、およびそれらの間の滅菌ドレープ270の滅菌ドレープ部270aの横断面図である。外科手術アクセサリークランプ264は2個のクランプジョー264aを含み、これらはその間にアクセサリー266を「捕捉」するように作動される。ジョー264aは、片方または両方が作動し得、または作動可能であり得る。一実施形態においては、レバー部が、摺動動作または旋回動作によってジョー264aを作動させ得る。
【0045】
図11A〜図11Cは、本発明の一実施形態に従ったカニューレ300等の外科手術アクセサリー266の例を示す。任意ではあるが、カニューレ300は、外科手術システム200に対してカニューレのタイプを自動的に認識するためのリング302を含み、例えば、そのアクセサリーが特定のロボットシステムに適合することを確認する情報、必要な場合のシステム再構成パラメータ、および用具寿命データ、カニューレ長、全体のプレゼンス等のアクセサリーに固有の情報を提供する。リング302からの情報を読み取るために、プリント基板(PCB)304、磁石306およびセンサー308が、アクセサリークランプ264または前部アームアセンブリ246の一部となり得る(図9Bおよび図9C)。ただし、本発明はカニューレアクセサリーに限定されず、内視鏡/カメラアセンブリおよび手術器具(例えば、リトラクターまたはスタビライザー)のような、外科手術中の任意の時点でロボットアームへの着脱が可能な、再利用可能または使い捨てのアクセサリーを含む、しかしこれらに限定されない、種々のアクセサリー266が、本発明の範囲内に含まれることに留意する。
【0046】
図12A〜図12Cは、本発明の一実施形態に従った外科手術アクセサリークランプ400の種々の図である。アクセサリークランプ400は、ロボットマニピュレーターアームの遠位端(例えば、前部アームアセンブリ246)に連結するための基部402、2個のクランプジョー404、および2個のクランプジョー404を開位置または閉位置に作動させるレバー部406を含む。アクセサリークランプ400の種々の部品は図12Aおよび図12Bに強調表示され、アセンブリの斜視断面図が図12Cに示される。図13Aおよび図13Bは、アクセサリーをクランプした状態のアセンブリの全体図である。
【0047】
図12Aに示す通り、このクランプの特定の実施形態において、カムフォロア408は、レバー部406が基部402に対して上下に移動するときに、レバー部406内の溝410に沿って動き、レバーを円滑に操作できるように誘導する。レバーが上に動くとき、第二のカムフォロア408−1がレバーの傾斜部410−1と相互に作用し、クランプジョー404を開位置と閉位置の間で作動させる(図14A〜図14C参照)。この傾斜部は、カムおよびスプリングとして機能し、それはアクセサリーに加えられる荷重およびレバーを閉じるのに必要な荷重を部分的に決定する。また、このカムはオーバーセンター機能を生み出す頂点を有し、クランプを閉じたまま維持して、クランプが係合しているという正のフィードバックをユーザーに送る。止めネジ403により、ガイドカムフォロアの重複した保持方法が可能となる。次に図12Bを参照すると、ブロック414に予め組み立てられたセンサー412が、基部402にピン417によって位置決めされ、その結果として、センサー末端部412aは、カニューレ300等のクランプされるアクセサリーからの識別情報を検知するのに理想的な位置に固定される(図11A〜図11C)。ネジ415により、基部402がマニピュレーターアームに連結される。ただし、例えば接着材または溶接材料などによって、種々の他の手段が基部402をマニピュレーターアームに連結するために使用され得ることが、理解されるべきである。図12Cは、クランプジョー404が開位置と閉位置との間を移動するときに、クランプジョーの旋回軸として機能する旋回ピン420(例えば、8〜32ネジ山418)を示す。この実施形態においては、クランプジョーの間のバネ416によって、クランプジョー404は開位置にバイアスされており、レバー部406によって閉位置に作動されない限り、バネ416がクランプジョーを開位置に保持する。ただし、クランプはまた、開位置に作動されない限りはクランプジョーが自然に閉位置にあるように設計され得ることが、理解されるべきである。
【0048】
図13Aおよび図13Bは、本発明の実施形態に従って、組み立てられた図12A〜図12Cの外科手術アクセサリークランプ400の斜視図である。カニューレ300は、閉位置にあるクランプジョー404の間に固定されている。
【0049】
図14A〜図14Cは、本発明の一実施形態に従って、図12A〜図12Cの外科手術アクセサリークランプ400にカニューレ300を配置およびクランプする際の斜視図および側面図である。図14Aは、第一の(開)位置にあるアクセサリークランプ400を示し、クランプジョー404がその間のバネ416によってバイアスされて開いている。図14Bは、クランプジョー404の間に配置されているアクセサリー400を示す。図14Cは、レバー部406が基部402に対して上方に、矢印Aの方向にクランプジョー404の方へ押し上げられており、それによってクランプジョー404が閉位置に作動している、第二の(閉)位置にあるアクセサリークランプ400を示す。従って、クランプジョー404は、レバー部406をクランプジョー404の方へ摺動させることによって作動される。他の実施形態においては、旋回するレバー部が、以下の図19〜図23に関連して示され説明される。
【0050】
図15および図16は、図12A〜図12Cに示すアクセサリークランプ400のクランプジョー404を覆うように適合し得る、滅菌ドレープ部270aの2つの例の種々の図を示す。滅菌ドレープ部270aは、クランプジョー404の形状に適合するように形成され、クランプジョーの能動部品に沿って屈曲する。このために、ドレープ部270aは、閉位置にあるアクセサリーを受容しクランプするような形状の表面(この場合は筒状)を有する。
【0051】
滅菌ドレープ部270aは、好ましくは、非滅菌アクセサリークランプの上に適切に配置でき、種々の方向に環状の荷重がかかっても裂けないような十分な剛性および強度を有する材料からなるが、しかし、好ましくは、クランプジョーの能動部品の動作を可能にするほどの柔軟性を有する材料からなる。滅菌ドレープ部270aは、単一のドレープの一部として、または接着剤、熱、RF溶接またはその他の手段を介して滅菌ドレープ本体270装着され得る個別のピースとして形成され得る。
【0052】
図17A〜図17Eは、アクセサリークランプのクランプジョー404の上に滅菌ドレープ部270aを配置し、カニューレ300を、クランプジョーとアクセサリーの間の滅菌ドレープ部270aと共にクランプジョーの間にクランプする際の斜視図である。図17Aは、例えば前部アームアセンブリ246の末端のカニューレ取付け部246aの、ロボットアームの遠位端に取り付けられたアクセサリークランプ400を示す。図17Bは、クランプジョー404の上に配置された滅菌ドレープ部270aを示し、図17Cは、アクセサリークランプ404の上に完全に配置されたドレープ部270aを示す。一実施形態において、滅菌ドレープ部270aは、ドレープ部270aの上表面に連結される(例えば、一体に接着されるまたは熱成形される)補強部270bを含み得る。補強部270bは、種々の耐久性材料からなり得、一例として、高密度ポリエチレン(HDPE)またはポリウレタンからなり得る。
【0053】
図17Dは、クランプ400の上に配置されたカニューレ300を示す。有用にも、カニューレ300は、閉位置にあるクランプジョーの間にクランプされる前に、所望の任意の軸方向に配置され得る。アクセサリーの特性により、ユーザーはカニューレを誤って取り付けないように物理的に制限される。一例では、2つの固有の直径のクランプ部300Aおよび300Bが、クランプするためにアクセサリー上に定められている。直径は、アクセサリーが誤ってクランプされ得ないように、異なるサイズを有する。ジョー404内の大きい方の直径は、ジョー内の領域に小さい方の直径のクランプ部300Bが配置された場合に、レバーが閉じられるとアクセサリーが保持されないような大きさとなっている。ジョー404内の小さい方の直径、およびジョーの開放角度の制限により、大きい方の直径のクランプ部300Aはこの領域に物理的に適合しない。
【0054】
図17Eは、クランプ400のクランプジョー404の間に完全にクランプされたカニューレ300を示しており、レバー部406を矢印Aの方向に上へ動かすと、クランプジョーが矢印Cの方向に内側へ移動し、クランプジョー404が閉位置になる。この状態でカニューレ300は、カニューレとクランプとの間の滅菌ドレープ部と共に、ロボットアームにしっかりと正確に装着される。
【0055】
有用にも、外科手術アクセサリーは、中間の滅菌アクセサリークランプを使用することなく、外科手術中にマニピュレーターアーに着脱され得るために、清掃や滅菌が必要な着脱式のアクセサリーマウントまたはアダプターが必要でなくなり、効率性とコスト効果とを向上させる。本発明はさらに、滅菌の不履行を生じることなく、器具、用具またはアクセサリーを外科手術用ロボットシステムに簡単に着脱することができ、例えば、一部の場合には、アクセサリーの交換を片手で行うことができる。
【0056】
図18A〜図18Cは、本発明の別の実施形態に従った、カニューレ300を把持するスライドアクセサリークランプ500の図を示す。クランプ500を滅菌野から効率的に遮蔽するための、カニューレ300とクランプ500との間の滅菌ドレープ部は示されていない。クランプ500は、2個のクランプジョー502、および摺動動作を介して開位置から閉位置へクランプジョー502を作動させるレバー部504を含む。図18Bは、ニトロニックピン506、およびセンター越えて移動してクランプジョー502の間にアクセサリーを固定することができるレバー部504のレバーハンドル512を示す。図18Cは、磁石508、およびカニューレ300の識別リングからアクセサリーの識別情報を検知するセンサー510を有するPCBを示す。
【0057】
図19Aおよび図19Bは、本発明の別の実施形態に従った、ピボットアクセサリークランプ600を示す。クランプ600を滅菌野から効率的に遮蔽するための、カニューレ300とクランプ600との間の滅菌ドレープ部は示されていない。クランプ600は、2個のクランプジョー602、およびセンターを越えて移動してクランプジョー602の間にアクセサリーを固定することができるレバーハンドル604を含む。クランプジョー602はまた、レバーを開位置に維持する際に使用する戻り止め606をも含む。アクセサリークランプ600は、他の実施形態と共に上述するとおり、センサーおよび取付け手段を中に含み得る基部608をさらに含む。
【0058】
図20は、本発明の別の実施形態に従った、別のピボットアクセサリークランプ700を示す。クランプ700を滅菌野から効率的に遮蔽するための、カニューレ300とクランプ700との間の滅菌ドレープ部は示されていない。クランプ700は、2個のクランプジョー702、および、またセンターを越えて移動してクランプジョー702の間にアクセサリーを固定することができるレバーハンドル704を含む。この実施形態において、基部708は、クランプジョーを開位置に維持する際に使用する戻り止め706を含み、また、他の実施形態と共に上述するとおり、センサーおよび取付け手段を含み得る。クランプ700はさらに、両方のクランプが開位置と閉位置との間を移動するための単一の旋回点710を含み、これによってクランプのサイズを縮小することが可能となる。任意ではあるが、一方のクランプのみを開いて、アクセサリーが解除される。
【0059】
図21A〜図21Bは、本発明の別の実施形態に従った、カニューレ300を捕捉したピボットアクセサリークランプ800を示す。クランプ800を滅菌野から効率的に遮蔽するための、カニューレ300とクランプ800との間の滅菌ドレープ部は示されていない。クランプ800は、2個のクランプジョー802、および開位置から閉位置へと移動してクランプジョーの間にアクセサリーを固定するレバーハンドル804を含む。レバー部は、クランプジョーを開位置から閉位置へと旋回させるピボットピン810をさらに含む。基部808は、他の実施形態と共に上述するとおり、クランプ800をロボットマニピュレーターアームに取り付ける取付け手段を含み得る。図21Bは、レバーハンドル804を旋回させるピボットピン812、クランプ804のカム表面に沿って回転するカムフォロア814、ジョーに力を伝達し続けながらもカムフォロアを若干たわませるバネプランジャー816、バネプランジャーがアセンブリの外に出ないようにするバネピン818、および旋回するクランプジョー802を通常の開位置に保ち、レバーハンドル804が動かされたときにジョーを閉じることができるねじりバネ822を示す。クランプ800は、アクセサリーからのアクセサリー情報を検知するセンサー820をさらに含む。
【0060】
図22A〜図22Cは、本発明の実施形態に従った、図21A〜図21Bの外科手術アクセサリークランプ800に外科手術カニューレ300を配置およびクランプする際の斜視図を示す。図22Aでは、カニューレ300がクランプジョーの間に配置される。図22Bでは、カムフォロア814が戻り止めにカチッとはまるまで、レバーハンドル804が旋回される。図22Cでは、クランプジョーの間にカニューレ300が固定される。有用にも、閉位置にあるアセンブリはアクセサリーよりも背が高くならないように製造され得、その結果として、カニューレ300の上表面は、アクセサリークランプ800の上表面(すなわち、クランプジョーの上表面)と同一面となる。
【0061】
図23A〜図23Cは、本発明の別の実施形態に従った、カニューレ300を捕捉したピボットアクセサリークランプ900を示す。クランプ900を滅菌野から効率的に遮蔽するための、カニューレ300とクランプ900との間の滅菌ドレープ部は示されていない。クランプ900は、2個のクランプジョー902、レバーハンドル904、およびクランプ900をマニピュレーターアームの遠位端に取り付ける基部908を含む。図23Bおよび図23Cは、レバーハンドル904を開位置と閉位置との間の適切な位置に配置するために使用される戻り止め906を含む、クランプ900の断面を示す。図23Cは、開位置と閉位置との間でクランプジョー902を旋回させるピボットピン910、磁石912、およびクランプされたアクセサリーからアクセサリー情報を検知するセンサー914を有するPCBを示す。
【0062】
図24A〜図24Fは、本発明の別の実施形態に従った、外科手術アクセサリークランプ1000にカニューレ300を配置およびクランプする際の斜視図を示す。アクセサリークランプ1000は、間にカニューレ300を捕捉またはクランプする第一の取付け部1002および第二の取付け部1004を含む。滅菌ドレープ部(図示せず)は、第一の取付け部1002とカニューレ300との間に配置され得る。別の実施形態において、クランプ部品(例えば、第一の取付け部)は滅菌ドレープの一部であり得、したがって滅菌された状態で供給されて、その後廃棄されるか、または後の利用のために再滅菌され得る。図24Aおよび図24Bは、外科手術の前または開始時に、第一の取付け部1002が、前部アームアセンブリ246等のロボットアームの遠位端に連結される様子を示す。図24Cおよび図24Dは、第一の取付け部1002の上にカニューレ300が配置される様子を示す。第一の取付け部1002は、カニューレ300の一部を受容する「ポケット」の形状をした上表面1006を含む。この特定の実施形態では、上表面1006は円筒状のアクセサリーの表面と嵌合するように円筒形の形状をしているが、その他の形状およびポケットが本発明の範囲内に含まれる。図24Eおよび図24Fは、第二の取付け部1004が第一の取付け部1002の上に配置されて、これに連結され、その間にカニューレ300が捕捉されている様子を示す。
【0063】
図25A〜図25Bは、本発明の一実施形態に従った、第一の取付け部1002の斜視図を示す。図25Aは、第二の取付け部1004の固定リップと嵌合する固定リップ1008を含む第一の取付け部1002を示す。第一の取付け部1002はさらに、ケーブル(図示せず)を介して第二の取付け部1004に接続し、これらの部品を一緒に保持して、全体的に使いやすくするための、繋ぎ紐用ループ1010を含む。図25Bは、固定クリップを取り付けるスロット1012および滅菌ドレープを取り付けるリップ1014を含む、第一の取付け部1002を示す。
【0064】
図26A〜図26Bは、本発明の一実施形態に従った、第二の取付け部1004の斜視図を示す。図26Aは、第一の取付け部1004の繋ぎ紐用ループ1010にケーブル(図示せず)を介して接続する繋ぎ紐用ループ1016を含む、第二の取付け部1004を示す。第二の取付け部1004はさらに、第一の取付け部1002の固定リップと嵌合する固定リップ1018を含む。
【0065】
上記の実施形態は、本発明を例示するものであって、制限するものではない。また、本発明の原理に従って数多くの変更および改変が可能であることが、理解されるべきである。例えば、上記の実施形態では、クランプジョーおよびドレープ部に対して円筒状の形状が記載されているが、非円筒状の形状のアクセサリーを受容するための他の形状およびポケットが、本発明の範囲内に含まれる。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図15】
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【図16】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図17E】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−254360(P2012−254360A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−219681(P2012−219681)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2008−533514(P2008−533514)の分割
【原出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(506410453)インテュイティブ サージカル インコーポレイテッド (32)