説明

外科手術用器具の細片収集システム

【課題】細片を医療用器具から除去するための、効率的かつ安価なデバイス、システムおよび方法を提供する。
【解決手段】細片収集システム100であって、細長本体110であって、第一の端部114、第二の端部112、および細長本体を通って延びる穴を有し、細長本体の第一の端部は、密閉状態で閉じられ、そして細長本体の第二の端部は開口部を有する、細長本体;細長本体に固定されるキャップ120であって、該キャップを通って延びる穴を有する、キャップ;ならびに細長本体に流体を導入するためのポート130であって、キャップに取り付けられる、ポート、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科手術用器具のための収集システムに関する。より特定すると、本開示は、ステープルカートリッジの細片収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
慣用的な外科手術手順の間、外科手術用器具には、有機物の細片および無機物の細片が蓄積し得る。これらの細片は、健常な組織、疾患組織、または病原体もしくは他の危険な物質を含む組織細片を含み得る。従って、外科医、看護士、および他の健康管理専門家は、汚染を回避するために必要な対策を採らなければならない。医療用器具またはその一部が使い捨てである場合でさえも、これらの専門家は、感染を防止するために、この医療用器具を取り扱う前にこの医療用器具から細片を除去しなければならない。組織細片との直接の接触、および場合によっては間接的な接触は、疾病を引き起こし得る。従って、健康管理専門家は、医療用器具を処分または再使用する前に、この医療用器具から細片を外さなければならない。
【0003】
汚染を防止しようと努力して、外科手術用器具および歯科用器具から細片を除去するための多くのデバイス、システムおよび方法が、何年にもわたって開発されている。例えば、手でこすることは、細片除去のために使用される方法のうちの1つである。この方法は、摩擦を使用して、外科手術用器具に蓄積した固体を外して除去することを包含する。医療用設備または歯科用設備に摩擦を適用するために、技術者は、代表的に、携帯型の剛毛ブラシ(例えば、剛毛爪ブラシまたは歯ブラシ)を使用する。理論上は、携帯型のブラシを用いて手で絶えず繰り返しこすることにより、有機物の細片および無機物の細片が外科手術用器具から除去される。しかし、手でこすることは、必ずしも感染を制御せず、予防もしない。なぜなら、汚染された表面との直接の接触をもたらし得るからである。
【0004】
より最近は、超音波清浄化が、医療用器具から細片を除去するために使用されている。この方法は、汚染された表面に人員が直接接触する可能性を減少させる。この方法において、器具がチャンバに入れられ、そして超音波を伝える適切な流体に浸漬される。次いで、超音波発生変換機が電子的に作動されて、この流体中に超音波を生じさせる。その結果、微視的なキャビテーション気泡の発生および崩壊により、エネルギーが放出される。これらの気泡が、汚染物質および塵埃を破壊して器具の表面から剥がす。しかし、超音波清浄化は、機械設備、高価な保守管理、およびその実施時間のかなりの消費を必要とする。
【0005】
本明細書中で上に記載された細片除去方法は、それらの欠点を有する。手でこすることは、感染を効果的に予防せず、そして超音波清浄化は、非常に高価であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のことを考慮して、細片を医療用器具から除去するための、効率的かつ安価なデバイス、システムおよび方法を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、以下を提供する:
(項目1)
細片収集システムであって、
細長本体であって、第一の端部、第二の端部、および該細長本体を通って延びる穴を有し、該細長本体の第一の端部は、密閉状態で閉じられ、そして該細長本体の第二の端部は開口部を有する、細長本体;
該細長本体に固定されるキャップであって、該キャップを通って延びる穴を有する、キャップ;ならびに
該細長本体に流体を導入するためのポートであって、該キャップに取り付けられる、ポート、
を備える、細片収集システム。
【0008】
(項目2)
上記ポートが、流体サンプルを上記細長本体から取り出すために配置される、項目1に記載の細片収集システム。
【0009】
(項目3)
流体取り出しポートをさらに備える、項目1に記載の細片収集システム。
【0010】
(項目4)
上記キャップに取り付けられるシールをさらに備える、項目1に記載の細片収集システム。
【0011】
(項目5)
上記シールがガスケットである、項目4に記載の細片収集システム。
【0012】
(項目6)
上記シールが不透過性材料から構成されている、項目4に記載の細片収集システム。
【0013】
(項目7)
上記ポートが開位置と閉位置との間で相対的に移動可能である、項目1に記載の細片収集システム。
【0014】
(項目8)
上記キャップの穴が外科手術用道具を受容するための寸法にされている、項目1に記載の細片収集システム。
【0015】
(項目9)
上記細長本体が不透過性材料から作製されている、項目1に記載の細片収集システム。
【0016】
(項目10)
細片収集システムであって、
第一の端部および第二の端部を有する細長本体であって、該細長本体は、外科手術用道具を受容するための、該細長本体の一部を通って延びる穴を備え、該細長本体の第二の端部は開口部を有する、細長本体;
該細長本体に取り外し可能に固定されるキャップであって、該キャップを通って延びる穴を有する、キャップ;ならびに
該細長本体に流体を導入するためのポートであって、該キャップに取り付けられる、ポート、
を備える、細片収集システム。
【0017】
(項目11)
上記ポートが、流体サンプルを上記細長本体から取り出すために配置されている、項目10に記載の細片収集システム。
【0018】
(項目12)
流体取り出しポートをさらに備える、項目10に記載の細片収集システム。
【0019】
(項目13)
上記キャップに取り付けられるシールをさらに備える、項目10に記載の細片収集システム。
【0020】
(項目14)
上記シールがガスケットである、項目13に記載の細片収集システム。
【0021】
(項目15)
上記シールが不透過性材料から構成されている、項目13に記載の細片収集システム。
【0022】
(項目16)
上記ポートが開位置と閉位置との間で相対的に移動可能である、項目10に記載の細片収集システム。
【0023】
(項目17)
上記キャップの穴が外科手術用道具を受容するための寸法にされている、項目10に記載の細片収集システム。
【0024】
(項目18)
上記細長本体が不透過性材料から作製されている、項目10に記載の細片収集システム。
【0025】
(項目19)
外科手術用道具を清浄化する方法であって、
細片収集システムを提供する工程であって、該細片収集システムは、
細長本体であって、第一の端部、第二の端部、および該細長本体を通って延びる穴を有し、該細長本体の第一の端部は、密封状態で閉じられており、そして該細長本体の第二の端部は、開口部を有する、細長本体;
該細長本体に固定されるキャップであって、該キャップを通って延びる穴を有する、キャップ;および
該細長本体に流体を導入するためのポートであって、該キャップに取り付けられる、ポート、
を備える、工程;
該細片収集システムに液体を導入する工程;
該細片収集システムに外科手術用道具を挿入する工程;ならびに
該細片収集システム内で渦を発生させて、細片を該外科手術用道具から除去する工程、を包含する、方法。
【0026】
(項目20)
流体のサンプルを上記細長本体から取り出す工程をさらに包含する、項目19に記載の方法。
【0027】
(項目21)
上記外科手術用道具を上記細片収集システムから取り出す工程をさらに包含する、項目19に記載の方法。
【0028】
(項目22)
上記液体を導入する工程が、滅菌流体を導入する工程を包含する、項目19に記載の方法。
【0029】
(項目23)
上記渦を発生させる工程が、
外部の気体供給源を提供する工程;および
該外部の気体供給源から上記細長本体へと気体を送達する工程、
を包含する、項目19に記載の方法。
【0030】
(項目24)
上記細長本体に気体を供給する工程が、該細長本体内で混濁した流れを生じさせる、項目23に記載の方法。
【0031】
(項目25)
上記外部の気体供給源から上記細長本体に気体を送達する工程が、該外部の気体供給源から該細長本体内に空気を送達する工程を包含する、項目23に記載の方法。
【0032】
(項目26)
上記細長本体を攪拌する工程をさらに包含する、項目19に記載の方法。
【0033】
本開示の細片収集システムは、細長本体を備え、この細長本体は、第一の端部と、第二の端部と、この細長本体を通って延びる穴とを備える。この細長本体の第一の端部は密封状態で閉じられ、一方で、この第二の端部は開口部を有する。この細長本体は、不透過性材料から作製される。この細長本体に固定されるキャップは、このキャップを通って延びる穴を有する。このキャップに取り付けられるポートは、この細長本体に流体を導入するように設計される。液密シール(例えば、ガスケット)が、このキャップに取り付けられる。このシールもまた、不透過性材料から作製される。操作の際に、液体が、この細片収集システムに導入される。次いで、外科手術用道具がこのシステムに導入されなければならない。その後、このシステム内で渦を発生させ、細片をこの外科手術用道具から除去する。
【0034】
(要旨)
本開示により、細片収集システムが提供され、この細片収集システムは、細長本体を備え、この細長本体は、第一の端部、第二の端部、およびこの細長本体を通って延びる穴を有する。この細長本体の第一の端部は、密封状態で閉じられ、一方で、第二の端部は開口部を有する。この細長本体は、キャップに固定され、不透過性材料から作製される。
【0035】
このキャップは、このキャップを通って延びる穴を有する。このキャップの穴は、外科手術用道具を受容するための寸法にされる。細長本体に流体を導入するためのポートが、このキャップに取り付けられる。このポートは、開位置と閉位置との間で相対的に移動可能であり得る。このポートに加えて、シールが、このキャップに取り付けられる。このシールは、ガスケットであっても、当該分野において公知である他の任意の適切な液密シールであってもよく、そして不透過性材料から構成される。このシステムは、流体サンプルを細長本体から取り出すためのポートを備え得る。
【0036】
操作の間、液体が、この細片収集システムに導入される。次いで、外科手術用道具がこのシステムに挿入される。細片をこの道具から除去するために、この細片収集システムの細長本体の内部で、渦が発生させられる。この渦は、多数の方法で発生させられ得る。例えば、気体が、外部の供給源から細片収集システムに送達され得る。この気体の送達は、細長本体内に混濁した流れを生じさせ、これによって、細片を外科手術用道具から除去する。
【0037】
本開示のステープルカートリッジの細片収集システムの実施形態が、添付の図面を参照して、本明細書中に記載される。
【発明の効果】
【0038】
本発明により、細片を医療用器具から除去するための、効率的かつ安価なデバイス、システムおよび方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本開示の実施形態に従って構築された、ステープルカートリッジの細片収集システムの斜視図である。
【図2】図2は、図1のステープルカートリッジの細片収集システムの斜視図である。
【図3】図3は、図1〜図2のステープルカートリッジの細片収集システムの斜視図である。
【図4】図4は、図1〜図3のステープルカートリッジの細片収集システムの斜視図である。
【図5】図5は、図1〜図4のステープルカートリッジの細片収集システムの側面立面図であり、このシステムの内部に配置された外科手術用道具、およびこのシステムに取り付けられた流体源を備える。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(図面の詳細な説明)
本開示の実施形態が、ここで、図面を参照しながら詳細に記載される。図面において、類似の参照番号は、類似の要素または同じ要素を識別する。図面および以下の説明において、用語「近位」とは、慣例的であるように、ステープルカートリッジの細片収集システムの、操作者に最も近い端部をいい、一方で、用語「遠位」とは、この収集システムの、操作者から最も遠い端部をいう。
【0041】
本開示は、外科手術用ステープル留め装置または他の任意の適切な医療用器具の道具から細片を除去するための、細片収集システムに関する。図1〜図2を参照すると、本開示の実施形態に従う細片収集システムが、一般に100として表される。
【0042】
図1〜図2に見られるように、細片収集システム100は、細長本体110およびこの細長本体に取り付けられたキャップ120を備える。細長本体110は、近位端112、遠位端114、およびこの細長本体を通って延びる穴116(図5を参照のこと)を有する。穴116は、外科手術用ステープル留め器具の外科手術用道具を受容するように適合され、そのための寸法にされる。外科手術用ステープル留め器具にかかわらず、当業者は、穴116が任意の適切な医療用デバイスを受容するように構成され得ることを理解する。細長本体110の遠位端114は、密封状態で閉じられ、一方で、細長本体110の近位端112は、開口部113(図4を参照のこと)を有する。細長本体110は、不透過性材料から作製され、その結果、流体は、開口部113を通ってのみ、細長本体110に出入りし得る。図面は、実質的に円錐の形状を有する遠位端114を図示するが、遠位端114は、任意の適切な形状を有し得ることが予測される。細長本体110の近位開口部113は、キャップ120を通って延びる穴127と実質的に整列する(図4を参照のこと)。
【0043】
キャップ120は、細長本体110の近位端112に取り外し可能に固定され、そして近位端122、遠位端124、およびアクセスポート130を受容するための穴127を備える。キャップ120の遠位端124は、細長本体110の近位端112に固定される。さらに、キャップ120は、使用者の指を受容するためのくぼみ121を、キャップの外周に有する。細片収集システム100の1つの実施形態は、キャップ120の取り扱いを容易にするために、キャップ120の外側表面に配置された少なくとも1つのフック125を備える。
【0044】
1つの実施形態において、使用者は、自分の指をくぼみ121に配置してキャップ120を回転させることによって、細長本体112にキャップ120を固定し得る。この実施形態は、ねじ切りされた外壁を有する細長本体110の近位端112と、同様にねじ切りされた内壁を有するキャップ120の遠位端124とを備える。これらのねじ切りされた壁は、操作の間、互いに係合して、キャップ120を細長本体110に固定するか、またはキャップ120を細長本体110から取り外す。具体的には、使用者は、キャップ120を時計回りに回転させることによって、キャップ120を細長本体110に固定し得る。次に、使用者はまた、キャップ120を反時計回りに回転させることによって、キャップ120を細長本体110から緩めるか、または分離し得る。他の実施形態において、このキャップは、差込手段、スナップばめ手段、または他の手段によって、この細長本体に取り外し可能に接続される。
【0045】
図3〜図4を参照すると、キャップ120は、アクセスポート130を受容するように適合された開口部分123を備える。アクセスポート130は、少なくとも1つの開口部132を通して、外部の供給源140(図5を参照のこと)と細長本体110との間に流体連絡を提供する。さらに、アクセスポート130は、開位置と閉位置との間で相対的に移動可能である。アクセスポート130がその開位置にある場合、流体は、外部の供給源140と細長本体110との間で自由に移動し得る。逆に、外部の供給源140および細長本体110は、アクセスポート130がその閉位置にある場合、互いに流体連絡しない。
【0046】
1つの実施形態において、使用者は、アクセスポート130を回転させて、開位置と閉位置との間を切り替え得る。この実施形態のアクセスポート130は、アクセスポート130の回転を容易にするための突出部131を備える。突出部131は、アクセスポート130の本体130aから外向きに延びる。
【0047】
液密シール118が、キャップ120の近位端122に配置される。シール118は、外科手術用ステープル留め器具または他の任意の適切な医療用器具の外科手術用道具を受容するための開口部118aを備える。さらに、シール118は、ガスケットであっても、当該分野において公知である他の任意の適切な液密シールであってもよい。不透過性材料が、シール118を構築するために使用されて、液体が細片収集システム100から逃れることを防止し得る。
【0048】
操作において、使用者は、所望の組織媒体、滅菌流体、抗菌剤または当該分野において公知である他の任意の適切な流体を、アクセスポート130を通して細長本体110に注入するかまたは注ぐ。管142または他の伝導手段を使用して、所望の流体を外部の供給源140からアクセスポート130へと輸送し得る。次いで、ステープラーヘッド、ステープラーカートリッジ、または外科手術用道具200が、図5に示されるように、キャップ120の穴127を通して細片収集システム100に挿入される。その後、使用者は、挿入した道具200から細片を効果的に除去するために、細長本体110の内部に渦を発生させなければならない。この渦は、空気または他の任意の適切な気体を細長本体110に吹き込むことによって、発生し得る。さらに、または代替的に、このシステムは、機械で攪拌され得る。装置(例えば、外部の供給源140)が、細長本体110に気体を提供し、そして細長本体の内部で渦を発生させるために使用され得る。細長本体110内への気体の送達は、細長本体110の内部に混濁した流れを生じさせる。一旦、細片が外科手術用道具200から除去されると、使用者は、外科手術用道具200を細片収集システム100から取り出し得、そして外科手術用道具200を覆って標準的なキャップを配置し得る。
【0049】
種々の改変が、本開示の細編集集システムの実施形態に対してなされ得ることが理解される。従って、上記説明は、限定として解釈されるべきではなく、単に実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および精神の範囲内で他の改変を予測する。
【符号の説明】
【0050】
100 細片収集システム
110 細長本体
120 キャップ
112 近位端
114 遠位端
116 穴
113 開口部
127 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−78649(P2013−78649A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−1724(P2013−1724)
【出願日】平成25年1月9日(2013.1.9)
【分割の表示】特願2008−71845(P2008−71845)の分割
【原出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】