説明

外科用ハンドアクセス装置

【課題】腹腔鏡検査法のような最小侵襲手術は、相当量の外科医の熟練を必要とし、腹腔に接近する手順では実際的ではない場合がある。
【解決手段】ハンドアクセスデバイス(100)は、長軸方向軸を規定し、そしてそれを通って外科医の腕の通過を許容する寸法の通路を有するハウジング(102)、および開口内に取り付けられ、そしてこの外科医の腕と実質的なシーリング関係を形成する寸法である織物シール(104)を含む。この織物シール(104)は、上記長軸方向軸に沿って延びて細長く、そして砂時計ガラス形態を規定し得る。一対の可撓性バンド(12)がこの織物シールの周りに取り付けられ得る。この可撓性バンド(112)は、上記シールの外側面と係合するように適合され、この織物シール(104)をその閉鎖位置に付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本発明は、2003年4月25日に出願された米国仮出願番号第60/465,932号の優先権の利益を主張し、その全体の内容は、本明細書によって参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
本開示は、外科用デバイス、そしてより詳細には、最小侵襲外科的手順における使用のための外科用アクセスデバイスに関する。
【0003】
内視鏡手順および腹腔鏡手順の両者を含む最小侵襲外科的手順は、組織内の開口から遠く除去される器官、組織および血管に対して実施されるへぎ手術を許容する。腹腔鏡手順および内視鏡手順は、一般に、シールされる身体中に挿入される器具使用を必要とし、すなわち、ガスが、例えば、外科的領域がガス注入される外科的手順におけるような切開を通って身体に入るか、また出ないことを確実にするための準備がなされなければならない。これらの手順は、代表的には、カニューレを通って身体中に導入される外科用器具を採用する。このカニューレは、それにともなうシールアセンブリを有する。このシールアセンブリは、この器具の周りに実質的に流体密シールを提供し、確立された気腹術の一体性を保存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最小侵襲手順は、伝統的な開放手術に対していくつかの利点を有し、より少ない患者外傷、減少した回復時間、減少した感染に対する可能性などを含む。しかし、好ましい外科的手順としてのその最近の成功および全体の承認にかかわらず、腹腔鏡検査法のような最小侵襲手術は、いくつかの欠点を有している。特に、このタイプの手術は、外科医が、内視鏡可視化の下、遠隔部位の周りで長く狭い内視鏡器具を操作するために、相当量の外科医の熟練を必要とする。さらに、腸管を含む腹腔鏡検査法手術では、しばしば、所望の手順を実施するために腸の大きなセクションを操作することが好ましい。これらの操作は、現在の腹腔鏡ツール、およびトロカールまたはカニューレによる腹腔に接近する手順では実際的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要約)
従って、本開示は、外科的手順の間の使用のためのアクセスデバイスに関する。このアクセスデバイスは、長軸方向軸を規定し、かつ外科医の腕の通過を許容する寸法のそれを通る通路を有するハウジング;および開口内に取り付けられた織物シールを含む。この織物シールは、上記外科医の腕と実質的なシーリング関係を形成する寸法である。この織物シールは、細長く、上記長軸方向軸に沿って延びる。このハンドアクセスデバイスは、狭窄を規定する。例えば、この織物シールは、砂時計形態を規定し得る。このデバイスはまた、上記織物シールの周りに取り付けられ狭窄を形成する一対の可撓性バンドをさらに含み得る。これら可撓性バンドは、上記シールの外側面と係合するように適合され、この織物シールをその狭窄または閉鎖された位置に付勢する。これら可撓性バンドは、それらの個々の端部位置で互いに連結され、そして対向する関係で配列される。これら可撓性バンドは、この織物シールを通る上記外科医の腕の通過に際し外側に曲がるように適合され、そして該外科医の腕の非存在下で狭窄または閉鎖位置に戻る。この織物シールは、潤滑性コーティングを備え得る。
【0006】
代替の実施形態では、身体腔へのアクセスを許容するためのアセンブリは、組織中の開口内に少なくとも部分的に配置可能であり、かつこの開口の周りの組織を少なくとも部分的に開創するよう適合されたベース開創器を含む。このベース開創器は、長軸方向軸を規定し、かつ上記長軸方向軸に沿って延びる長軸方向チャネルを有する。このアセンブリは、このベース開創器に取り付けられるハンドアクセスデバイスをさらに含む。このハンドアクセスデバイスは、外科医の腕または手の通過を許容する寸法の通路、およびハウジング部材内に配置された織物シールを有するハウジング部材を含む。この織物シールは、上記外科医の腕または手と実質的なシーリング関係を形成するよう適合されている。この織物シールは、上記シール開口が実質的に閉鎖される位置まで垂直に付勢される。
【0007】
少なくとも1の可撓性バンドが、上記織物シールの周縁に隣接して取り付けられる。この可撓性バンドは、垂直に付勢されて上記織物シールを係合し、そしてこの織物シールを前記開口が実質的に閉鎖される位置にする。1対の可撓性バンドは、上記織物シールの周縁の周りに取り付けられ得る。これら可撓性バンドは、垂直に付勢されて上記織物シールと係合してそのシール開口を実質的に閉鎖する。これら可撓性バンドは、上記織物シールを通る外科医の腕または手の通過に際し、半径方向の外側方向に動くようさらに適合される。これら可撓性バンドは、それらの個々端部部分で連結され、かつ上記外科医の腕または手の通過に際し外側に曲がるよう適合されている。これら可撓性バンドは、可撓性を増加するためにその中にスロットを含み得る。
【0008】
上記ハンドアクセスデバイスは、上記ベース開創器に離脱可能に取り付けられ、そして好ましくは、上記ベース開創器に対する回転移動のために取り付けられる。
(項目1)
長軸方向軸を規定し、かつ外科医の腕の通過を許容する寸法のそれを通る通路を有するハウジング;および
該通路内に取り付けられた織物シールであって、エラストマー材料を含み、かつ該外科医の腕と実質的なシーリング関係を形成する寸法である織物シール、を備えるハンドアクセスデバイス。
(項目2)
前記織物シールが、前記長軸方向軸の周りで狭窄を形成するように編まれる、項目1に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目3)
前記織物シールが、狭窄を規定するように配列される、項目1に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目4)
前記織物シールが、前記長軸方向軸に沿って延びる、項目1に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目5)
前記織物シールが、砂時計形態をほぼ規定する、項目4に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目6)
前記織物シールの周りに取り付けられる少なくとも1つの可撓性バンドを含み、該可撓性バンドが該シールの外側表面と係合するように適合され該織物シールをその閉鎖位置に付勢する、項目4に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目7)
前記少なくとも1つの可撓性バンドが、互いにその端部部分で連結される一対の可撓性バンドを備え、該可撓性バンドが対向する関係で配列され、それによって、該可撓性バンドが該織物シールを通る前記外科医の腕の通過に際し外側に曲がるように適合され、そして該外科医の腕の非存在下で閉鎖位置に戻る、項目6に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目8)
前記織物シールが、潤滑性コーティングを備える、項目1に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目9)
身体腔へのアクセスを許容するためのアセンブリであって:
組織中の開口内に少なくとも部分的に配置可能であり、かつ該開口の周りの組織を少なくとも部分的に開創するよう適合されたベース開創器であって、長軸方向軸を規定し、かつ該長軸方向軸に沿って延びる長軸方向チャネルを有するベース開創器;および
該ベース開創器に取り付けられるハンドアクセスデバイスであって、外科医の腕または手の通過を許容する寸法の通路、およびハウジング部材内に配置された織物シールを有するハウジング部材を含み、該織物シールが該外科医の腕または手と実質的なシーリング関係を形成するよう適合されているシール開口を規定するハンドアクセスデバイスを備えるアセンブリ。
(項目10)
前記織物シールが、前記シール開口が実質的に閉鎖される位置まで垂直に付勢される、項目9に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目11)
前記織物シールの周縁に隣接して取り付けられる少なくとも1の可撓性バンドを含み、該可撓性バンドが垂直に付勢されて該織物シールを係合し、そして該織物シールを前記開口が実質的に閉鎖される位置にする、項目9に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目12)
前記織物シールの周縁の周りに取り付けられる1対の可撓性バンドを含み、該可撓性バンドが垂直に付勢されて該織物シールと係合してそのシール開口を実質的に閉鎖し、該可撓性バンドが、該織物シールを通る外科医の腕または手の通過に際し、半径方向の外側方向に動くようさらに適合される、項目11に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目13)
前記可撓性バンドが、それらの個々端部部分で連結され、かつ前記外科医の腕または手の通過に際し外側に曲がるよう適合されている、項目12に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目14)
前記可撓性バンドが、その中にスロットを含む、項目13に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目15)
前記ハンドアクセスデバイスが、前記ベース開創器に離脱可能に取り付けられる、項目9に記載のハンドアクセスデバイス。
(項目16)
前記ハンドアクセスデバイスが、前記ベース開創器に対する回転移動のために取り付けられる、項目15に記載のハンドアクセスデバイス。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本開示の実施形態に従うハンドアクセスデバイスの斜視図である。
【図2】図2は、図1の装置の分離されたパーツの斜視図である。
【図3】図3は、図1の装置の断面図である。
【図4】図4は、図1の装置の平面図である。
【図5】図5は、本開示に従う代替の実施形態である。
【図6】図6は、本開示に従う別の代替の実施形態である。
【図7】図7は、開創器ベースを含む、本開示に従うさらなる実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の好ましい実施形態は、図面への参照によってより良好に認識され得る。
【0011】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本開示のハンドアクセス装置は、この装置を通る目的物(例えば、手)の挿入の間またはその後、患者の身体腔と、外側雰囲気と間の実質的シールを提供する。さらに、本開示のハンドアクセス装置は、この腕の周りで流体密なインターフェースを維持し、ガスおよび/または流体の漏れから外科的手順の雰囲気一体性を保存する。詳細には、このハンドアクセス装置は、シール軸に対するアームの角度の操作を収容する。本開示のこの特徴は、望ましくは、身体腔へ/からのガスおよび/または流体の侵入および排出を最小にする。
【0012】
このハンドアクセス装置は、例えば、腹腔に接近する切開内に配置可能である、ベースユニット、例えば、開創器ベースと組み合わせて用いられ得る。
【0013】
以下の記載では、伝統的であるように、用語「近位」は、オペレーターに最も近い器具の部分をいい、その一方、用語「遠位」は、オペレーターから遠隔の器具の部分をいう。
【0014】
ここで、図面を参照して、そこでは、同様の参照番号は、いくつかの図面を通じて同一または実質的に類似のパーツを識別し、図1〜4は、本開示のハンドアクセス装置の実施形態を示す。ハンドアクセスデバイス100は、軸「a」の長さに延びるハウジング軸「a」を規定するハウジング102、およびこのハウジング102内に取り付けられるシール104を含む。ハウジング102は、望ましくは、一緒に組み立てられて単一ユニットを規定するいくつかのコンポーネント、すなわち、本体106、およびこの本体106の各々の端部で連結される端部キャップ108を取り込む。ハウジング102のこれらコンポーネントは、成形可能なポリマー材料、ステンレス鋼などを含む、任意の従来の生体適合性の剛直性材料から製作され得る。端部キャップ108は、圧縮適合および/またはスポット溶接により上記本体106に連結される。これら成分を固定するためのその他の手段もまた想定される。端部キャップ108は、論議されるように、ハウジング102内でシール104を固定するために供される。
【0015】
シール104は、好ましくは、織物シールであり、そして望ましくは、狭窄を有するように配列される。例えば、このシールは、砂時計のほぼ形状を有し得る。シール104の各端部各端部110は、個々の端部キャップ110を、各端部キャップ108と本体106と間に規定されるスロット内に配置すること、およびその後、この端部キャップ108を、前記の圧縮適合を経由して上記本体106に固定することにより、ハウジング102に固定される。上記シール端部110をハウジング102に固定するためのその他の手段もまた、接着手段、スポット溶接などを含んで想定される。
【0016】
シール104は、織られた材料、編み組み材料、または編まれた材料のような、織物材料を含む。材料のタイプは、所望の膨張性を提供するために選択される。例えば、変動する端部数および角度のブレードが選択され得る。任意の天然または人工材料が、この織物のために用いられ得る。特定の実施形態では、ナイロン、Kevlar(E.I.DuPont de Nemours and Company)のような合成材料、またはハウジング102を通じて挿入された腕の周りで膨張および圧縮する任意のその他の材料が用いられる。選択された材料は、望ましくは、上記腕がハウジング102中に導入されるとき、ギャップの形成を最小にするか、または防ぐ。シール104の材料は、多孔性またはガス注入法のガスに不透過性であり得る。多孔性である場合、シール104は、ガス注入法ガスに不透過性であるエラストマー材料のコーティングを含み得るか、またはこのシール104の少なくとも一部は被覆され得る。さらに、上記織物は、その内面上に、ウレタン、シリコーンまたはその他の可撓性潤滑性材料で被覆され得、この織物シール104を通る手および腕の通過を容易にする。特定の実施形態では、上記織物は、軸「a」の周りに、狭窄または閉鎖部分を形成するように集まる。この織物は、望ましくは、この織物が狭窄または閉鎖を形成するような材料から構成されるか、および/または配列される。このシールはまた、狭窄を有するように成形され得るか、または狭窄を有するように編まれるか、編み組まれるかまたは織られ得る。例えば、上記シール104は、望ましくは、2004年1月30日に出願された米国仮特許出願第60/540,421号および2003年4月25日に出願された同第60/466,005号に開示のように形成され、これらの開示は、本明細書によって、本明細書中に参考として援用される。例えば、この織物は、一緒に織られた、編み組まれた、または編まれた複数のストランドから成り、これらストランドは、ポリプロピレン、ナイロン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)および/またはポリアリールエーテル−エーテルケトン(「PEEK」)のマルチフィラメントおよび/またはモノフィラメントのストランドを含み得る。この織物は、望ましくは、成形され、押し出され、浸漬され、皺を寄せられるか、またはそうでなければ、熱可塑性エラストマー(「TPE」)、ポリウレタン、ポリイソプレン、シリコーン、モンプレン、スタノプレンのようなエラストマー材料で形成される。
【0017】
図1〜4を継続して参照し、好ましい実施形態では、シール104は、このシール104の中央部分または頸部に隣接して配置される一対の可撓性バンド112のような、弾力性部材をさらに含む。可撓性バンド112は、ステンレス鋼、ばね鋼、形状記憶金属などのような適切な可撓性材料から作製される。可撓性バンド112は、シール104の外側周縁に接着剤などで固定されるか、または上記織物上またはその中に縫い付けられる。可撓性バンド112は、好ましくは、ピボットピン114をもつそれらの個々の端端部で回動可能に接続される。これら可撓性バンド112は、ピボットピン114の周りを回動するよう適合され、そして図4に描写される閉鎖位置から図3に描写される開放位置まで外側に曲がって、ハウジング102を通って手および腕の通過を許容する。代替の実施形態では、上記弾性部材は、単一部材であるか、または作動可能に連結された2つ以上の部材を含む。
【0018】
可撓性バンド112は、閉鎖位置に垂直に付勢され、そして上記外科医の手の非存在下でこの位置をとり、シール開口を完全に閉じる。可撓性部材112は、ウレタン、シリコーンまたはその他の可撓性潤滑性コーティング材料のいずれかで被覆され得る。可撓性バンド112は、好ましくは、図1および3に描写されるような断面が開いたU形状を所有し、砂時計の入口および出口ファネル形状に近似し、それによって上記外科医の手の侵入移動および出る移動を容易にする。1つの実施形態では、可撓性バンド112は、ハウジング102を通過する外科医の手または腕との直接係合よって、図3の開放位置に移動される。別個の機構が、上記外科医の手との係合とは独立に、可撓性バンド112を手動で開放かつ閉鎖するために提供され得ることもまた想定される。例えば、発泡体支持体、ゲル充填物、圧縮流体チャンバーのような、上記シール104を閉鎖して付勢するその他の手段も用いられ得る。その他の実施形態では、上記付勢手段は省略される。さらなる実施形態では、上記付勢手段は省力され、そしてフラッパーバルブまたはダックビルバルブのようなさらなるシールが、シール104に加えて用いられる。
【0019】
図5は、本開示のハンドアクセス装置の代替の実施形態を示す。この実施形態は、図1〜4の実施形態に実質的に類似している。しかし、この実施形態では、可撓性バンド112は、長さがより長く、ハウジング102の外側周縁を超えて延びる。この配列では、可撓性バンド112は、シール104の開放形態でより大きな寸法の開口まで開く。
【0020】
図6は、別の代替の実施形態を示し、ここで、この可撓性バンド112は、U形状断面を有し、そしてこのU形状の脚は、カット部またはスロット114を含み、曲がり作用を容易にする。
【0021】
ここで、図7を参照して、腹腔壁にある開口内に配置されるベース開創器ユニット200と組み合わせたハンドアクセス装置を有するさらなる実施形態が示される。ベース開創器ユニット200は、下部部材202、この下部部材202から延びる可撓性スリーブ204、および上部部材206を含む。下部部材202は、この腹腔内に配置可能である。好ましくは、下部部材202は、適切に可撓性であって長楕円形形状に変形されて上記切開内への侵入を許容するが、上記腹腔内の解放に際し、その通常の環状形状に戻る金属またはポリマーリングのような、エラストマーまたは弾性リングである。下部部材102のための適切な材料は、ばね鋼、形状記憶合金、エラストマー材料などを含む。下部202は、所望の形態に選択的に膨張可能である環状の膨張可能な部材であり得ることもまた想定される。
【0022】
可撓性スリーブ204は、好ましくは、例えば、エラストマーまたはラテックス材料を含む、不透過性の医療用グレードのから製作される。このスリーブ204は、好ましくは、形状が管状であり、かつ従来手段により下部部材202と一体であるか、またはそれに連結される。可撓性スリーブ204は、開口内でその展開に際し、上記組織を開創するような寸法であり得、そしてまた流体が上記切開に侵入することを防ぐ障壁として供される。上部部材206は、スリーブ204に張力を与え、そして腹腔壁中の切開を、下部部材202まで切開するための、ポリマーまたは金属製リング、またはそれに代わり設計が類似の膨張可能部材のような、エラストマーまたは弾性リングであり得る。
【0023】
ハンドアクセス装置100は、スナップまたは締まりばめ、または例えば、差込みカップリングを含む従来手段によりベース開創器ユニット200に離脱可能に取り付けられ得る。望ましくは、上記上部部材206は、相対的に剛直性の部材を含み、上記装置の取り付けを容易にする。1つの好ましい配列では、ベース開創器ユニット200は、迅速連結移動止め、またはボールベアリング機構を含み、一般に参照番号208として識別され、2つのコンポーネントを連結する。この配列で、ボールベアリングが、ハウジング102の外部にある対応する環状凹部と係合するように配列される。この点に関し、ハンドアクセス装置100は、このベース開創器ユニットに対し軸「a」の周りに旋回または回転し得る。ラチェット、差込み連結などのような、これら2つのコンポーネントを連結するためのその他の手段が同様に想定される。Oリングシールが、これらコンポーネントを通る流体の損失を防ぐために提供され得る。第2のゼロ閉鎖バルブ210がハンドアクセス装置100に、またはベース開創器ユニット200の近位端に取り付けられ得ることもまた想定される。このバルブ210は、ダックビルバルブ、フラッパーバルブ、単一スリットバルブまたは二重スリットゼロ閉鎖バルブ、アイリスバルブまたはゲル材料から成るシールであり得る。この第2のバルブ210は、上記織物シール104の必要性を除去し得、その非膨張状態に完全に閉鎖する。さらなる実施形態では、上記ベース開創器ユニットの上部部材206は、張力を与えた後、上記スリーブ204を係合かつ固定するために少なくとも1つのタブを備える。
【0024】
腹腔鏡検査手順における使用では、切開が、ガス注入された腹腔の腹腔壁中に作製される。ベース開創器ユニット200は、下部部材202を、上記開口を通過するために狭い形態に変形すること、およびその後、この部材を上記腹腔内の解放することにより上記切開内に配置される。可撓性スリーブ204は、従って、身体の外側に配置された外側部材とともにこの切開内に横たわる。好ましくは、上記スリーブは、この切開を開創するように張力を与えられる。その後、ハンドアクセス装置100は、前に記載の様式でベース開創器ユニット200に取り付けられる。外科医は、その後、彼の手および腕を、シール104を通して通過させ、それによって、上記可撓性バンド112は外側に曲がる。シール104は、この腕と実質的に流体密の様式で係合し、ガス注入法のガスの放出を防ぐ。次いで、手術が、上記腕の周りの所望のシールを維持しながら、上記シールが上記腕の軸を離れた操作を許容して実施される。終了に際し、上記外科医の腕は引抜かれ、そして上記シール104は、シール104を閉鎖するその通常の狭窄位置に戻り、そしてガスがこの装置を通って逃れることを防ぐ。
【0025】
本発明を詳細に示し、そして好ましい実施形態を参照して説明したが、形状および詳細で種々の改変および変更が、本発明の範囲および思想から逸脱することなくその中でなされ得ることが当業者によって理解され得る。例えば、上記織物シールの周りに配置された弾性部材は、エラストマーバンド、またはその他の弾性部材を備え得る。従って、上記で示唆されたような改変は、それに限定されずに、本発明の範囲内であると考えられ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−104812(P2010−104812A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5300(P2010−5300)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【分割の表示】特願2006−513313(P2006−513313)の分割
【原出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】