説明

外科用要素を移植するための最適組織圧縮時間を決定するための方法およびシステム

【課題】ステープルおよび縫合糸の最適形成のための組織への最適量の圧縮を提供するためのデバイスを提供する。
【解決手段】組織中への外科用要素の挿入の前に組織圧縮の最適量を決定する装置100であって、組織の圧縮に際し、組織パラメーターを検出するような形態の測定デバイス106を備え;そして、ここで、この測定デバイス106は、上記組織が所定の時間の間圧縮された後に閾値に到達し、そして外科医に該閾値の事象を示すインジケーター101を有し、そしてこの外科用要素は圧縮された組織に挿入され、ここで、この閾値が、示された時間の間にこの組織中に適正に形成されている外科用要素の指標であり、そして、ここで、この閾値の後に上記圧縮が持上げられ、上記外科用要素とともに上記組織が壊死なくして実質的に圧縮されない状態に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する特許出願への相互参照)
本特許出願は、両方とも2006年2月2日に出願されたMichael A.Soltzによる、米国仮特許出願第60/764,451号および米国仮特許出願第60/764,449号への優先権を主張し、これらの両方は、それらの全体が参考として本明細書中に援用される。本特許出願はまた、「疾患組織中の外科用要素の適正な形成で支援するための機械的に調整された支持材料」と題する、本特許出願と同時に出願されたMichael A.Soltzによる米国特許出願第 号、代理人書類番号第H−US−00551(203−4980)を参考として援用する。
【0002】
(背景)
1.技術分野
本開示は、外科用ステープル留めデバイスおよび縫合糸、そして特に、ステープルおよび縫合糸の最適形成のための組織への最適量の圧縮を提供するための方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
吻合は、別個の中空器官セクションの外科的接続である。代表的には、吻合手順は、中空組織の疾患または欠陥セクションが除去される手術の間で実施される。この吻合手順は、疾患組織が除去された後、残存する端部組織セクションを接続または連結する。所望の吻合手順に依存して、この端部セクションは、円形、端と端とを接した、または側面と側面とを接した器官再構築方法のいずれかによって接続され得る。
【0004】
公知の円形吻合手順では、ステープル留めデバイスが、器官セクションの2つの端部を一緒に接続する。このステープル留めデバイスは、各器官セクションの端部を通じてステープルの円形のアレイを駆動し得る。このデバイスは、ステープルのこの駆動された円形のアレイの内部の任意の組織の芯を同時に抜き、管状通路を自由にする。中空器官の円形吻合を実施するための多くの例は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および特許文献8に記載され、これらは、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。
【0005】
代表的には、これらのデバイスは、その近位端にハンドル部分を有する細長いシャフトを含み、このデバイスの作動を行う。このデバイスはまた、その遠位端に配置されたステープル保持構成要素を有する。取り付けられたアンビルヘッドを備えたアンビルロッドを含むアンビルアセンブリが、このデバイスの遠位端に取り付けられる。このアンビルは、ステープル保持構成要素に隣接している。ステープル留めされるべき中空器官(単数または複数)の組織の対向する端部部分は、アンビルヘッドと、ステープル保持構成要素との間にクランプ留めされる。クランプ留めされた組織は、ステープル保持構成要素からの所定のサイズを有する1つ以上のステープルを駆動することによりステープル留めされる。このようにして、ステープルの端部は、組織を通り、そしてアンビルヘッドによって変形される。環状ナイフが進行されて、中空器官内の組織の芯を抜く。このようにして、ナイフは、この器官内の管状通路をきれいにする。
【0006】
円形吻合を実施するための外科用ステープル留めデバイスはまた、直腸中の内部痔核を処置するために用いられている。痔核処置のための円形ステープル留めデバイスの使用の間に、外科用ステープル留めデバイスのアンビルヘッドおよびステープル保持構成要素は、アンビルヘッドおよびステープル保持構成要素を開放または非接近位置にして、肛門を通って直腸中に挿入される。その後、縫合糸を用いて内部痔核組織および/または粘膜組織をアンビルロッドの方に引っ張る。次に、アンビルヘッドおよびステープル保持構成要素は接近され、このアンビルヘッドとステープル保持構成要素との間の痔核組織および/または粘膜組織をクランプ留めする。このステープル留めデバイスは、発射されて内部痔核組織および/または粘膜組織を除去し、そして切断組織をステープル留めする。縫合糸がまた、組織を連結または接続するために当該技術分野で公知である。
【0007】
痔核処置のための円形の縫合ステープラの使用は、多くの利益を有するけれども、しばしば、外科医は、ステープルのような外科用要素を付与するための身体中の1つ以上の異なる組織に遭遇する。
【0008】
いくつかのその他の組織タイプは、心臓組織、胃腸管組織、および肺組織を含む。これらの異なるタイプの組織には、虚血組織、または疾患組織、厚い組織、医薬または化合物で処置された組織、糖尿病組織、および多くのその他のような、このような組織の多くの異なるその他のタイプのクラスが存在し得る。
【0009】
外科医にとって最高の関心は、このような組織中への個々の外科用要素(ステープルのアレイなど)の適正な形成を確実にすることである。虚血組織、または糖尿病組織のような特定のタイプの組織とともに、改良された外科的結果が、圧縮の量が最適時間の間組織に付与された後に生じ得ることが観察されている。
【0010】
しかし、(最適時間の間の後の)所定の時間の間のさらなる圧縮は好まれない。しかし、手術環境では、種々の組織タイプに付与されるべき最適量の圧縮を視覚または聴覚により認識することは困難であり、そしてまた、組織圧縮のための最適時間を視覚または聴覚により認識することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,959,851号明細書
【特許文献2】米国特許第6,053,390号明細書
【特許文献3】米国特許第5,588,579号明細書
【特許文献2】米国特許第5,119,983号明細書
【特許文献5】米国特許第5,005,749号明細書
【特許文献6】米国特許第4,646,745号明細書
【特許文献7】米国特許第4,576,167号明細書
【特許文献8】米国特許第4,473,077号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、最適時間の間、組織中に外科用要素を付与する前に組織を迅速かつ容易に圧縮し得る、組織の処置のためのデバイスに対する継続する必要性が当該技術分野には存在する。組織を圧縮し得、そして次に閾値が達成されたこと、しかも外科用要素が、ステープルまたは縫合糸のような外科用要素の適正な形成のために組織に付与されるべきことの指標を外科医に通信するデバイスに対する当該技術分野におけるさらなる必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(要約)
本開示の1つの局面によれば、外科用要素を付与するために組織の最適圧縮を決定する方法が提供される。この方法は、組織に負荷を付与する工程を有する。この方法はまた、この負荷に応答する組織によって付与される反応負荷を決定する工程を有する。この方法はさらに、所定の時間の間、単位時間あたりの上記反応負荷を決定する工程、および単位時間あたりの上記反応負荷の勾配を有する。この方法は、所定の閾値に対して上記勾配を評価する工程、およびこの勾配が所定の閾値を超えるとき信号伝達する工程をさらに有する。
【0014】
本開示の別の局面によれば、組織中への外科用要素の挿入の前に組織圧縮の最適量を決定する装置が提供される。この装置は、上記組織の圧縮に際し、組織パラメーターを検出するような形態の測定デバイスを備える。この測定デバイスが、上記組織が所定の時間の間圧縮された後に閾値に到達するとき、インジケーターが、外科医にこの閾値の事象、しかも上記外科用要素が圧縮された組織に挿入される準備が整うことを示す。この閾値は、示された時間の間に上記組織中に適正に形成されている外科用要素の指標である。この閾値の後に上記圧縮が持上げられるとき、この外科用要素とともにこの組織は、壊死なくして実質的に圧縮されない状態に戻る。
【0015】
本開示のなお別の局面によれば、外科用要素を付与するために組織の最適圧縮を決定する方法が提供される。この方法は、初期組織厚みを測定する工程、およびこの組織に負荷を付与する工程を有する。この方法はまた、付与された負荷に応答する上記組織の生理学的事象を決定する工程、およびこの事象における厚みを測定する工程を有する。この方法はまた、この事象における厚みに応答して外科用器具を調整する。
【0016】
本開示の別の局面によれば、外科用要素を適用するために組織の圧縮の最適量を決定するデバイスが提供される。このデバイスは、シャフトに連結されたハンドルアセンブリを有する本体、およびロードセルを有するロードセルアセンブリを有する。このデバイスはまた、このシャフトに連結された移動可能プラテンおよび静止プラテンを有する。この移動可能プラテンは、静止プラテンの間に上記組織を圧縮してこの組織に負荷を付与する。ロードセルが、この移動可能プラテンと接触して配置され、上記負荷に応答する上記組織によって付与される反応負荷を決定する。このデバイスはまた、所定の時間の間、単位時間あたりの反応負荷を決定する形態のコントローラーを有する。
【0017】
本開示のさらなる局面によれば、外科用要素を適用するために組織に対するひずみの最適量を決定する装置が提供される。この装置は、第1のキャリパーアームおよび第2のキャリパーアームならびにこの第1のキャリパーアームおよび第2のキャリパーアームに連結される本体を有する。この第1のキャリパーアームと第2のキャリパーアームとの間の距離は、ギャップとして測定される。この第1のキャリパーアームは、第2のキャリパーアームに対して移動可能であり、そしてこの第2のキャリパーアームに向かう方向に移動するように適合され、このギャップ中の初期組織厚みを測定する。この第1のキャリパーアームおよび第2のキャリパーアームは、互いに向かってさらに移動し得、上記組織に負荷を付与し、この組織を所定の組織厚みまで圧縮する。この所定の組織厚みは、上記外科用要素を組織中に付与するために適切な上記組織上の最適量のひずみに対応する。
【0018】
本開示は、外科用要素を付与するために組織の最適圧縮を決定する方法に関し、この方法は、上記組織に負荷を付与する工程;この負荷に応答する上記組織によって付与される反応負荷を決定する工程;所定の時間の間、単位時間あたりのこの反応負荷を決定する工程;単位時間あたりのこの反応負荷の勾配を決定する工程;所定の閾値に対する上記勾配を評価する工程;および上記勾配が上記所定の閾値を超えるとき信号伝達する工程を包含する。
【0019】
上記反応負荷は、ロードセル、ひずみゲージまたは圧力ゲージを用いて決定され得る。
【0020】
上記使用者への前記信号伝達する工程は、視覚または聴覚によって達成され得る。
【0021】
上記負荷は、圧縮または張力であり得る。
【0022】
上記所定の閾値に対する前記勾配を評価する工程は、上記勾配が、単位時間あたりの勾配における無視し得る変化を有するまで、上記勾配を評価することを包含するか、上記勾配が、単位時間あたりの勾配におけるゼロ変化を有するまで、上記勾配を評価することを包含するか、または、上記勾配が、単位時間あたりの勾配における閾値変化を超えるまで、上記勾配を評価することを包含し得る。
【0023】
上記方法は、最大の損傷する力が付与されるときに信号伝達する工程をさらに包含し、この最大の損傷する力が上記組織にとって大き過ぎるか、または最小の力が付与されるときに信号伝達する工程をさらに包含し得る。
【0024】
上記方法は、上記勾配が所定の閾値未満であるとき信号伝達する工程を有し得る。
【0025】
本開示はまた、組織中への外科用要素の挿入の前に組織圧縮の最適量を決定する装置に関し、この装置は、上記組織の圧縮に際し、組織パラメーターを検出するような形態の測定デバイスを備え;そして、ここで、この測定デバイスが、上記組織が所定の時間の間圧縮された後に閾値に到達し、そして外科医に該閾値の事象を示すインジケーターを有し、そして上記外科用要素が圧縮された組織に挿入され、ここで、上記閾値が、示された時間の間に該組織中に適正に形成されている外科用要素の指標であり、そして、ここで、上記閾値の後に上記圧縮が持上げられ、上記外科用要素とともに上記組織が壊死なくして実質的に圧縮されない状態に戻る。
【0026】
上記測定装置は、ロードセルであり得、このロードセルが、単位時間あたりの前記組織の粘弾性反力を検出し得る。
【0027】
上記装置は、移動可能なプラテンおよび静止プラテンを含み得、この静止プラテンと組織プラテンとの間の組織ギャップを規定し、ここで上記ロードセルは、該移動可能なプラテン間に導入されるよう適合され得る。
【0028】
上記装置は、上記ロードセルに連結されたコントローラーを含み得、このコントローラーが、上記時間あたりの組織の粘弾性反力のデータを受け、上記コントローラーがこのデータを閾値に比較し、上記コントローラーが上記閾値に到達する際に上記インジケーターを制御する。
【0029】
上記コントローラーは、上記データを上記閾値に比較し得、ここで、上記閾値が上記時間あたりの組織の粘弾性反力の勾配であり、そしてここで、上記コントローラーは、上記勾配が組織の最適圧縮の指標であるとき信号伝達する。
【0030】
上記コントローラーは、上記データを上記閾値に比較し得、そして、ここで、上記閾値が上記時間あたりの組織の粘弾性反力の勾配であり、そしてここで、上記コントローラーが、勾配が時間あたり無視可能な変化を有するとき上記インジケーターを信号伝達する。
【0031】
本発明はまた、外科用要素を付与するために組織の最適圧縮を決定する方法に関し、この方法は、初期組織厚みを測定する工程;上記組織に負荷を付与する工程;上記付与された負荷に応答する上記組織の生理学的事象を決定する工程;この事象における厚みを測定する工程;およびこの事象における厚みに応答して外科用器具を調整する工程を包含する。
【0032】
上記負荷は、段階的様式で付与され得る。
【0033】
上記外科用器具を調整する工程は、ステープルサイズを変化することを含み得る。
【0034】
上記調整する工程は、ステープラカートリッジとアンビルとの間のギャップ距離を変化することを含み得る。
【0035】
上記初期組織厚みを測定する工程は、または上記事象における組織厚みを測定する工程は、キャリパーで決定され得る。
【0036】
上記生理学的事象は、視覚によって決定され得る。
【0037】
上記生理学的事象は、組織の止血、または組織からの流体の漏れであり得る。
【0038】
上記事象における厚みは、上記組織が胃腸組織であるとき、上記初期組織厚みの約60〜約80%であり得る。
【0039】
上記事象における厚みは、上記組織が小腸組織であるとき、上記初期組織厚みの約60〜約70%であり得る。
【0040】
上記事象における厚みは、上記組織が胃組織であるとき、上記初期組織厚みの約65〜約75%であり得る。
【0041】
上記事象における厚みは、上記組織が結腸組織であるとき、上記初期組織厚みの約70〜約80%であり得る。
【0042】
上記事象における厚みは、上記初期組織厚みの約80〜約85%であり得る。
【0043】
上記事象における厚みは、上記初期組織厚みの約60〜約90%であり得、そしてここで、融合されることが所望される組織セクションが、上記組織の粘膜下セクション中にある。
【0044】
上記事象における厚みは、上記初期組織厚みの約90%であり得る。
【0045】
本開示はまた、外科用要素を適用するために組織の圧縮の最適量を決定するデバイスに関し、このデバイスは、シャフトに連結されたハンドルアセンブリを有する本体;ロードセルを有するロードセルアセンブリ;上記シャフトに連結された移動可能プラテンおよび静止プラテン;ここで、上記移動可能プラテンが、上記静止プラテンの間に上記組織を圧縮して上記組織に負荷を付与し;ここで、上記ロードセルが、上記移動可能プラテンと接触して配置され、上記負荷に応答する上記組織によって付与される反応負荷を決定し;および所定の時間の間、単位時間あたりの該反応負荷を決定する形態のコントローラーを備える。
【0046】
上記ロードセルは、トランスデューサーを有し得、このトランスデューサーが、状負荷を測定可能な電気的出力に変換するように適合されている。
【0047】
上記コントローラーは、単位時間あたりの反応組織負荷の勾配を決定するために適合され、そしてこのコントローラーがメモリー中に格納された所定の閾値に対して上記勾配を評価するような形態であり、そしてこのコントローラーが、上記勾配が該所定の閾値を超えるとき、信号伝達するような形態であり得る。
【0048】
上記コントローラーは、上記本体中に配置され得る。上記コントローラーは、上記本体の外側に配置され得る。
【0049】
上記ロードセルは、ひずみゲージを基礎にしたロードセル、または機械的ロードセルであり得る。
【0050】
上記移動可能なプラテンは、先導スクリューによってモーターに連結され得、このモーターが上記移動可能なプラテンを上記静止プラテンに向かう方向に機械的に進行し、組織を圧縮する。
【0051】
上記移動可能なプラテンおよび上記静止プラテンは、上記組織を所定の領域中で圧縮し、そしてこの所定の領域が、外科用ステープラアンビルとカートリッジとの間で圧縮された組織の領域にサイズが相補的である。
【0052】
上記デハイスは、ディスプレイをさらに備え、このディスプレイがコントローラーに作動可能に連結され、そして単位時間あたりの反応負荷を表示するような形態であり得る。
【0053】
本開示はまた、外科用要素を適用するために組織に対するひずみの最適量を決定する装置に関し、この装置は:第1のキャリパーアーム;第2のキャリパーアーム;この第1のキャリパーアームおよび第2のキャリパーアームに連結される本体であって、この第1のキャリパーアームと該第2のキャリパーアームとの間の距離がギャップである本体;を備え、ここで、上記第1のキャリパーアームが上記第2のキャリパーアームに対して移動可能であり、そして上記第2のキャリパーアームに向かう方向に移動するように適合され、上記ギャップ中の初期組織厚みを測定し、ここで、上記第1のキャリパーアームおよび上記第2のキャリパーアームが互いに向かってさらに移動し得、上記組織に負荷を付与し、この組織を所定の組織厚みまで圧縮し、そしてここで、この所定の組織厚みが、上記外科用要素を組織中に付与するために適切な該組織上の最適量のひずみに対応する。
【0054】
上記装置は、上記所定の組織厚みを示すような形態のデジタルディスプレイまたはアナログディスプレイをさらに備え得る。
【0055】
上記装置は、上記装置の組織との接触を決定するような形態のセンサーをさらに備え得る。
【0056】
本開示はまた、外科用要素を付与するために組織の最適圧縮を決定するシステムに関し、このシステムは、上記組織に負荷を付与するための手段;上記負荷に応答する上記組織によって付与される反応負荷を決定するための手段;所定の時間の間、単位時間あたりの該反応負荷を決定するための手段;単位時間あたりの該反応負荷の勾配を決定するための手段;所定の閾値に対するこの勾配を評価するための手段;および上記勾配が上記所定の閾値を超えるとき信号伝達する手段を備える。
【0057】
上記反応負荷を決定するための手段は、ロードセル、ひずみゲージまたは圧力ゲージであり得る。
【0058】
上記使用者への前記信号伝達する手段は、視覚手段または聴覚手段によって達成され得る。
【0059】
上記負荷は、圧縮または張力であり得る。
【0060】
上記所定の閾値に対する上記勾配を評価するための手段は、上記勾配が、単位時間あたりの勾配における無視し得る変化を有するまで、この勾配を評価するための手段、またはこの勾配が、単位時間あたりの勾配におけるゼロ変化を有するまで、この勾配を評価するための手段、またはこの勾配が、単位時間あたりの勾配における閾値変化を超えるまで、この勾配を評価するための手段を備え得る。
【0061】
上記システムは、最大の損傷する力が付与されるときに信号伝達するための手段をさらに備え、この最大の損傷する力が上記組織にとって大き過ぎてもよい。
【0062】
上記システムは、最小の力が付与されるときに信号伝達するための手段、または上記勾配が所定の閾値未満であるとき信号伝達するための手段を有し得る。
【0063】
本開示はまた、外科用要素を付与するために組織の最適圧縮を決定するシステムに関し、このシステムは、初期組織厚みを測定するための手段;この組織に負荷を付与するための手段;この付与された負荷に応答する上記組織の生理学的事象を決定するための手段;この事象における厚みを測定するための手段;およびこの事象における厚みに応答して外科用器具を調整するための手段を備える。
【0064】
上記負荷を付与するための手段は、上記負荷を段階的様式で付与するための手段を備える。
【0065】
上記外科用器具を調整するための手段は、ステープルサイズを変化するための手段を備え得る。
【0066】
上記調整するための手段が、ステープラカートリッジとアンビルとの間のギャップ距離を変化するための手段を備え得る。
【0067】
上記初期組織厚みを測定するための手段または上記事象における組織厚みを測定するための手段は、キャリパーを備え得る。
【0068】
上記生理学的事象を決定するための手段は、視覚手段を備え得る。
【0069】
上記生理学的事象は、組織の止血、または組織からの流体の漏れであり得る。
【0070】
上記事象における厚みは、上記組織が胃腸組織であるとき、上記初期組織厚みの約60〜約80%であり得る。
【0071】
上記事象における厚みは、上記組織が小腸組織であるとき、上記初期組織厚みの約60〜約70%であり得る。
【0072】
上記事象における厚みは、上記組織が胃組織であるとき、上記初期組織厚みの約65〜約75%であり得る。
【0073】
上記事象における厚みは、上記組織が結腸組織であるとき、上記初期組織厚みの約70〜約80%であり得る。
【0074】
上記事象における厚みは、上記初期組織厚みの約80〜約85%であり得る。
【0075】
上記事象における厚みは、上記初期組織厚みの約60〜約90%であり得、そしてここで、融合されることが所望される組織セクションが、上記組織の粘膜下セクション中にあり得る。
【0076】
上記事象における厚みは、上記初期組織厚みの約90%であり得る。
【発明の効果】
【0077】
組織を圧縮し得、そして次に閾値が達成されたこと、しかも外科用要素が、ステープルまたは縫合糸のような外科用要素の適正な形成のために組織に付与されるべきことの指標を外科医に通信するデバイスが提供されるので、最適時間の間、組織中に外科用要素を付与する前に組織を迅速かつ容易に圧縮することができ、このような組織中への個々の外科用要素(ステープルのアレイなど)の適正な形成を確実にする。そして、虚血組織、または糖尿病組織のような特定のタイプの組織について、改良された外科的結果を得ることができる。
【0078】
本開示の上記およびその他の局面、特徴、および利点は、添付の図面と組合せて考慮するとき、以下の詳細な説明を考慮してより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、外科用要素を組織中に移植するためのデバイスの斜視図である。
【図2】図2は、本開示の実施形態による第2の組織セクションに圧縮されている第1の組織セクションの概略図であり、組織は、この圧縮に応答する反力を与えることにより反応している。
【図3】図3は、1.5mmのギャップ距離について胃腸管組織の迅速負荷圧縮に対する、推定される力 対 時間のプロットであり、このプロットは、粘弾性組織の平衡状態を示す。
【図3A】図3Aは、移動可能プラテンと静止プラテンとの間にある組織の図であり、初期組織厚みを有する組織を示す。
【図3B】図3Bは、移動可能プラテンと静止プラテンとの間にある圧縮されている組織の図であり、最終のギャップ厚みを有する組織を示す。
【図3C】図3Cは、組織 対 時間の平衡力のプロットである。
【図3D】図3Dは、組織厚み 対 時間の変動のプロットである。
【図3E】図3Eは、種々の組織についての初期および止血厚みのプロットである。
【図4】図4は、本開示による、最適圧縮時間を決定するためのシステムの図であり、このシステムは、移動可能なプラテン、静止プラテン、およびロードセルを有する。
【図4A】図4Aは、最適圧縮時間を決定するための手動システムの図であり、このシステムは、移動可能なプラテン、静止プラテン、ロードセル、およびディスプレイスクリーンを有する。
【図5】図5は、ロードセルおよび組織を圧縮する移動可能プラテンを備えるシステムの斜視図であり、組織の機械的負荷を示す。
【図6】図6は、ロードセルおよび組織を圧縮する移動可能プラテンを備えるシステムの斜視図であり、顎の間にクランプ留めされた組織を示す。
【図7】図7は、組織を圧縮するための本開示の方法による概略ブロック図を示し、組織中への外科用要素を移植するための、圧縮の最適量および最適時間を決定する。
【図8】図8は、初期組織厚み、および組織の止血厚みを決定するためのキャリパーデバイスである。
【図9】図9は、初期組織厚み、および組織の止血厚みを決定する図8のキャリパーデバイスを示す。
【図10】図10は、初期組織厚み、および組織の止血厚みを決定する図8のキャリパーデバイスを示す。
【図10A】図10Aは、いくつかの異なる組織タイプについて、組織に付与される圧縮ひずみの大きさ%のプロットである。
【図11】図11は、組織セクションに付与された圧縮ひずみの種々の逐次的な程度、および各ひずみ増分における組織セクションに関する結果とともに組織セクションを示す。
【図12A】図12Aは、小腸の解剖学の例を示し、組織にひずみはない。
【図12B】図12Bは、小腸の解剖学の例を示し、組織にひずみが付与されている。
【図13】図13は、手順の1つ以上の外科的パラメーターについて、初期組織厚みを測定するため、止血組織厚みを決定するための本開示の方法による概略ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
(詳細な説明)
現在開示される方法、装置およびシステムの実施形態は、添付の描写された図面を参照して本明細書で以下に説明され、ここで、同様の参照番号は、類似または同一の要素を識別する。以下の説明では、周知の機能または構成は、不必要な詳細で本開示を不明りょうにすることを避けるために詳細には記載されていない。
【0081】
図1を参照して、組織に外科用要素を付与するためのデバイが示される。このデバイスは、米国特許第6,959,851号に記載されている。1つの実施形態では、このデバイスは、近位ハンドルアセンブリ12、中央本体部分14および遠位ヘッド部分16を有するステープル留めデバイス10である。
【0082】
近位ハンドルアセンブリ12は、回転可能な接近ノブ18および発射トリガー20を有する。この接近ノブ18は、間隔をおいた位置および接近位置との間でヘッド部分16のシェルアセンブリ24に対してアンビル22を移動するように作動可能であり、そして発射トリガー20は、外科用要素(ファスナー)をシェルアセンブリ24から射出するように作動可能であり、そしてナイフブレードをシェルアセンブリ24を通じて進行させ、組織を切断する。
【0083】
胃腸管手術では、手術の目的は、組織を機械的に圧縮することにより、止血漏れのない接続を提供することである。しかし、吻合創傷への血液灌流を行い得る、種々の組織に特異的な考慮が存在し得る。いくかの考慮は、乏しい血液供給、虚血、糖尿病、組織厚み、および組織を通る乏しい流体流れを含む。
【0084】
本開示の1つの局面では、手術環境においてより多くの柔軟性を外科医に与える改良されたステープル形成の方法が提供される。この改良されたステープル形成は、組織の2つ以上の所望のセクションが接続され得て、受容可能および適正なステープル形成を達成し得、そしてその一方、これら2つの接続された組織セクションは、永久的に接続され、そして任意の漏れなくして治癒する。
【0085】
図2は、第1の別個の組織セクション30、および第2の別個の組織セクション32を示す。各々は、長軸方向の筋肉、周縁の筋肉、下粘膜、および粘膜のような種々の層を有する。本発明の方法は、これら組織セクションを予備処置するために任意の組織要素を導入する前に、これら2つの組織セクション30、32に対する最適量の圧縮を決定することを提供する。その後、これら組織セクション30、32が最適量の圧縮で予備処置された後にのみ、これら2つの組織セクション30、32は、外科用要素によって接続される準備が整う。
【0086】
1つの例では、上記第1の組織セクション30は、上記第2の組織セクション32と同時に圧縮される。別の例では、組織セクション30、32の各々は、最適量の圧縮で個々に圧縮され得る。なお別の実施形態では、組織セション(図示せず)は、最適量の圧縮で放射状様式に圧縮され得、そして次に外科用要素のアレイで接続される。種々の形態が可能であり、そして本開示内である。
【0087】
本開示の別の局面によれば、適正なステープル形成のためのステープルのような外科的要素の挿入は、ストレス緩和実験として考慮され得る。粘弾性材料とのストレス緩和は、組織からの力が単位時間あたり変化しないか、または変化が経時的に無視可能であるとき達成される。
【0088】
この局面では、組織は、図5および図6に示されるように、第1のプラテン120と第2のプラテン122との間に搭載され、これは、本明細書で以後詳細に論議され得る。移動可能なプラテン120は作動されて、組織を所望の最終厚みに圧縮する。図2に示されるように、この圧縮の時間の間に、組織は、組織Fに対する圧縮力に応答して反力Ftを奏する組織による変形に抵抗する。
【0089】
粘弾性材料では、より速い圧縮は、より大きな反力を生成する。ストレス緩和のモデルは、Fungの準線形粘弾性理論に基づく。圧縮変形を受け生物学的組織の組織標本にとって、圧縮におけるステップ増加がこの組織標本になされると、発生するストレスは、時間(t)、およびひずみ(ε)の関数である。
【0090】
緩和関数と呼ばれるひずみの履歴K(ε、t)は以下の形態であり:
【0091】
【化1】

ここで、G(t)は減少した緩和関数であり、そして時間の正規化関数を表し、そしてT(ε)は組織の弾性応答である。ひずみにおける変化に応答するストレスdε(t)は、時間tにおけるひずみεの状態にある標本上に重ねられ、ここで:
【0092】
【化2】

であると仮定される。総ストレスT(t)は以下:
【0093】
【化3】

によって与えられる。
【0094】
従って、時間tにおける総ストレスは、同じ減少した緩和関数をもつ、過去の変化のすべての寄与の合計である。
【0095】
t=0、および
【0096】
【化4】

で、力がこの組織において付与されるとき、そのときは、式3は:
【0097】
【化5】

まで減少し、そして
【0098】
【化6】

が連続的である場合、そのときは、上記式は:
【0099】
【化7】

に等価であり、ラプラスドメインでは、総ストレスは:
【0100】
【化8】

によって与えられ、この変換を式6中のT(t)に適用して、総ストレスは:
【0101】
【化9】

である。一般関数f(t)には、一次微分df/dtの変換は、
【0102】
【化10】

として算出される。同様に、式8中の重畳の変換は:
【0103】
【化11】

である。減少した緩和関数G(t)は、生物学的組織の挙動を記載するために容易に用いられ、そして:
【0104】
【化12】

として規定される。ここで、E1(z)は、以下の式で規定される指数積分関数であり:
【0105】
【化13】

従って、G(s)は以下で与えられる:
【0106】
【化14】

および
【0107】
【化15】

現在の分析では、弾性応答は、ひずみの線形関数であると仮定され、すなわち:
【0108】
【化16】

である。
【0109】
生物学的組織は、一般に、非線形ストレス−ひずみ依存性を有するけれども、現在の線形構成は、圧縮の1つのレベルで試験された組織によって課せられる応答または力を曲線適用するには十分である。これは、上記に列挙された式9から、ラプラスドメインにおける総ストレスは:
【0110】
【化17】

であることが観察される。
ここで、Aは、組織の弾性剛直性であり、cは緩和指標を表し、τ1は短緩和定数であり、そしてτ2は長緩和定数である。
【0111】
式12において、L(ε(t))は、適用されるひずみ関数のラプラス変換を表す。総ストレスT(t)は、T(s)の逆ラプラス変換を算出することにより数的に決定され得る。
【0112】
ここで、図3を参照して、組織への外科用要素の迅速負荷圧縮についての図5および6に示される移動可能プラテン120の圧縮に応答する組織の予測される力が示される。この実施形態では、この組織は、胃腸管組織である;しかし、現在の分析は、その他の組織タイプに拡張され得る。図3に示される実施形態では、組織は、約1.5mmまで圧縮され、アンビルと外科用ステープラのカートリッジとの間で測定されるとき等価な器具ギャップ距離を有する。
【0113】
上記に記載されたモデルは、粘弾性指数(c)、短時間定数(τ1)、および長時間定数(τ2)ならびに組織の均衡係数(A)を含む組織の材料性質を決定するためのアルゴリズムである。この係数をステープル留めに適用するために、図2に示される反力Ftが決定される。この力Ft応答を曲線適合することにより、特定組織の材料性質が、個々の患者について抽出され得、そして個々の患者に対する最適量の圧縮および圧縮の時間が決定され得る。
【0114】
このモデルはまた、図3に示されるような迅速またはゆっくりとした圧縮のような種々の条件下でステープル留めされるとき、組織30、32の挙動を予測するために用いられ得る。図3Aおよび3Bで理解されるように、第1のプラテン120と第2のプラテン122との間に配置された組織は、図3Aに示されるような初期組織厚みを有し、そして次に図3Bに示されるような最終ギャップ厚みまで圧縮される。しかし、この組織は本明細書中に議論されるような反力を与える。
【0115】
ここで、図3を参照して、観察されるようにx軸は秒で表した時間である。y軸は、圧縮に応答する組織の反力をポンドで示す。このy軸は、あるいは、ニュートンのようなその他の増分における尺度であり得る。
【0116】
理解され得るように、この組織は100秒内に直ちに約80ポンドのピーク力33を奏する。このピーク力33は、この特定の組織サンプルがこの組織に対して奏される圧縮の量に基づき所望の外科用要素を付与するための理想的時間ではない。その後、時間が200秒まで経過するとき、反力は約40ポンドである。その後、さらに時間が300秒まで経過するとき、この反力は約30ポンドである。その後、さらに時間が400秒まで経過するとき、この反力は約22ポンドである。その後、さらに時間が500秒まで経過するとき、この反力は約20ポンドである。さらに、より多くの時間が600秒まで経過するとき、この反力はなおかつ約20ポンドで残る。
【0117】
従って、図3から、外科用要素を付与するための適正な時間は平衡状態34においてであるか、または(経時的な反力の)曲線の勾配が所定の閾値に接近するときであるか、またはこの勾配が参照番号34によって示されるように単位時間あたり無視し得る変化を有するときであることが観察され得る。この点で組織によって奏される反力は、平衡力34と呼ばれる。1つの実施形態では、勾配はゼロに到達し得る。別の実施形態では、この勾配は、圧縮が初期に組織に付与されるときから100秒における勾配に対して顕著により小さい。別の実施形態では、この勾配は、所定の値または閾値に簡単に到達し、そして維持され得る。種々の形態が可能であり、そして本開示の範囲内である。
【0118】
ここで、図3Cのように示されるプロットを参照して、組織の平衡力のプロットが経時的に示される。図3Cのように示されるプロットで、組織によって与えられる平衡力は、T6で示されるように1時間に亘って減少することが理解される。このプロットでは、組織は、10分間圧縮され、そして次に圧縮なしに10分間静置され、1時間の間このサイクルを繰り返した。組織は切開され、そして実験のためにすべての血液供給および流体供給から切断された。時間の期間に亘る圧縮に起因して、組織の剛直性は図3Cに示されるように減少した。経過した時間に亘り、組織は、より柔軟であると認められた。
【0119】
ここで、図3Dのように示されるプロットを参照して、組織の厚みのプロットが経時的に示される。図3Dのように示されるプロットでは、ミリメートルで示される組織の厚みは、示される時間の期間に亘って約75%近く増加することが理解される。圧縮に起因して、組織厚みは、恐らくは組織に戻りそしてそれを通って横切る血液または流体を促進するための組織の痙攣効果に起因して増加することが観察された。
【0120】
ここで、図3Eのように示されるプロットを参照して、組織の初期厚みおよび止血が起こると観察される組織の厚みのプロットが経時的に示される。図3Eのように示されるプロットでは、肺組織、結腸組織、胃組織および小腸組織のような異なる組織タイプについて、そして組織の決定された止血厚みに対する圧縮の量はまた、止血を支援するように血管を圧潰し得、そして以下に詳細に論議される。
【0121】
ここで、図4を参照して、組織の機械的特性を測定するためのデバイス100が示される。このデバイス100は、ハンドルアセンブリ102、およびシャフトアセンブリ104を有する。このシャフトアセンブリ104は、ハンドルアセンブリ102に連結される。このシャフトアセンブリ104はまた、ロードセルアセンブリ106を有する。このロードセルアセンブリ106は、力を測定可能な電気的出力に変換するトランスデューサーを含む。このロードセルアセンブリ106は、デバイス10の種々の位置に配置され得、そして例示目的のみのために移動可能なプラテン120と支持プレート121との間に示される。このロードセルアセンブリ106は、Heinrichらによる米国公開特許出願第US2005/0131390号に開示されるようなその他の位置に配置され得、これは、その全体が参考として本明細書中に援用される。1つの代替の実施形態では、デバイス100は、静止プラテン122中またはそれに対して配置されたロードセル106とともに形成され得る。
【0122】
1つの実施形態では、このロードセルアセンブリ106は、ひずみゲージを基礎にしたロードセルを含む。別の実施形態では、このロードセルアセンブリ106は、水力ロードセル、または空気力ロードセルのような機械的ロードセルを含み得る。なおあるいは、このロードセルアセンブリ106は、曲げビームロードセル、せん断ビームロードセル、キャニスターロードセル、リングそしていわゆる「パンケーキロードセル」、ボタンおよびワッシャーロードセル、またはらせんもしくは光ファイバーロードセルのようなひずみゲージロードセルであり得る。ロードセルアセンブリ106の種々の形態が可能であり、そして本開示内であり、そしてこのロードセルアセンブリ106は、圧縮負荷に応答する組織によって与えられる力を決定するために任意のデバイスであり得る。
【0123】
このデバイス100は、ガイドピン108および剛直性フレーム110を有する。有利には、このデバイス100は、組織ギャップ挿入部分112を有し、ここに、いくつかの異なる組織タイプが、組織の厚みまたは組織タイプにかかわらず、間に容易に挿入または配置される。この局面では、デバイス100は、組織上に対してクランプ留めするためのクランプバー114を有する。このデバイス100はまた、ロードセルアセンブリ106を有する。このロードセルアセンブリ106は、有利には、移動可能プラテン120と支持プレート121との間に配置される。この支持プレート121は、移動可能プラテン120に、第1のガイドバー123と第2のガイドバー125とによって連結され、移動可能プラテン120が静止プラテン122に向かって遠位方向に進行されるときロードセルの直線状移動を確実にする。ガイドピン108は、第2のガイドバー125と連結し、そしてプレート121を移動可能プラテン120と連結する。
【0124】
プッシャー116は、移動可能プラテン122によって組織に対し既知の変形を配置するように適合されている。プッシャー116は、ピストンまたは類似の構造であり得、そしてモーターに連結されか、またはそれに代わり、手動で操作され得る。この移動可能プラテン122は、プレート121と移動可能プラテン122との間に配置されているロードセル106に接触する。移動可能プラテン122と接触するロードセル106は、組織の反力を同時に測定する。組織は、キャリパーまたは類似のデバイスで測定され、そして記録される初期厚みを有する。ロードセルアセンブリ106は、好ましくは、プレート121と移動可能プラテン120と間に配置される。移動可能プラテン120と静止プラテン122とは、組織ギャップ挿入部分112中の選択可能なギャップによって互いから分離されている。この移動可能プラテン120は、先導スクリューアセンブリ126によってモーターMに作動可能に連結されて示される。概略的に示されているが、モーターMは、デバイス100から分離され得るか、またはシャフトアセンブリ104中に配置されるに十分コンパクトであり得る。
【0125】
本開示の別の実施形態が図4Aに示される。この実施形態では、デバイス100は、図4の実施形態よりコンパクトなデバイスであり、そしてデバイス100のモーターによる操作に代わって、組織の機械的性質を測定するためのデバイス100は、手動で操作され得る。このデバイス100は、図4におけるように任意の外部デバイスに連結されなくても良く、それに代わってより動的な作業状態に適している。ここで再び、このデバイス100は、ハンドルアセンブリ102、およびシャフトアセンブリ104を有している。このシャフトアセンブリ104は、ハンドルアセンブリ102に連結され、そしてまた、プレート121と移動可能プラテン120との間に配置されたロードセルアセンブリ106を有する。
【0126】
ロードセルアセンブリ106は、力を測定可能な電気的出力に変換するトランスデューサーを含む。このロードセルアセンブリ106はまた、出力のフォーマットをスクリーン101上の出力の表示に変換するように適合されている回路を有する。プッシャー116は、移動可能なプラテン120が組織に対し既知の変形を配置するように適合されている。移動可能なプラテン120は、反力を測定するためにロードセルアセンブリ106にさらに接触する。組織は、キャリパーまたは類似のデバイスで測定される初期厚みを有し、そして記録される。ロードセルアセンブリ106は、組織ギャップ挿入部分112中の選択可能なギャップによって静止プラテン122から分離されている移動可能なプラテン120と接触する。この実施形態では、移動可能なプラテン120は、駆動スクリュー126に連結され、そして外科医は、この移動可能なプラテン120を、アクチュエーター127を用いて静止プラテン122に向かう方向に遠位方向に手動で進行し得る。一旦、スクリーン101上の表示された力が単位時間あたりで無視し得る変化しかないか、またはそれに代わって、単位時間あたりに変化することを停止すると、外科医は、組織が平衡状態に到達したことを知り、そしてそれは、外科要素を移植するまさに時間である。このデバイス100は、必要に応じてスクリーン101上に力を表示しなくても良く、そしてそれに代わり、外科医に組織が平衡状態に到達したことを示すアラームで形成され得る。種々の形態および可能性が、そして本開示内にある。
【0127】
ここで、図5および6を参照して、作動中の図4のデバイス100が示される。初期厚みは、組織T上に負荷がほとんどないか、またはないときに測定される。その後、ロードセルアセンブリ106は、静止プラテン122に向かって移動する移動可能なプラテン120を有し、(図6に示されるように)組織Tを圧縮し、組織上に所定の負荷を付与する。組織からの反力および組織の転位を、ロードセルアセンブリ106によって、所望の最終厚みに到達するまで記録される。一旦、到達し、そして組織Tが、実質的に平衡状態に到達すると、デバイス100は、最適圧縮時間に到達し、しかも外科用要素が組織を通って導入され得ることのアラームを送る。この平衡状態は、図3に示されるような曲線のゼロ勾配として規定されるか、または単位時間あたりの組織反力がほぼゼロであるか、もしくは単位時間あたりの変化が無視できるときに組織が入る状態である。
【0128】
図6は、移動可能なプラテン120と静止プラテン122との間に配置された組織Tを示す。組織Tの粘弾性が与えられると、単位時間あたりの組織反力の勾配が、所定の時間の期間の間圧縮された後にゼロまたは無視し得る大きさに到達するまで、組織を圧縮することが所望されることが理解される。ロードセルアセンブリ106は、このロードセルアセンブリから、図4に概略的に示されるコントローラー124に電気的信号を通信する。
【0129】
デバイスのコントローラー124は、プログラム可能な命令を含み、そして手順の1つ以上のパラメーターをモニターする。1つの実施形態では、このコントローラー124はコントロールシステムを有し得、これは、1つ以上のデジタル信号プロセッサーおよびこのプロセッサー上で実行可能な制御モジュールを含み得る。このデジタル信号プロセッサーおよび/または制御モジュールは、1つ以上のデジタル信号プロセッサー(DSP)および関連する回路を含み得る。このコントローラー124は、アナログ、デジタルおよび/または論理デバイス(明りょうには示されない)をさらに含み得る。これらDSPは、当該技術分野で公知のようにフラッシュROMを用いてアップグレード可能であり得る。これらDSPのためのアップグレードは、コンパクトフラッシュ(登録商標)媒体、磁気ディスク、光ディスク、磁気テープ、またはコンパクトであるようなその他の適切な媒体のようなコンピューター読み取り可能な媒体に格納され得る。さらに、コントローラー124は、少なくとも部分的に遠隔プロセッサーに存在し得る。これらDSPは、数理的に作動し得る任意のシステムによって置換され得る。1つのこのような実施形態では、コントロールシステム124は、フィールドプログラマブルゲートアレイであり得る。
【0130】
1つの実施形態では、コントローラー124は、ロードセルアセンブリ106で単位時間あたりの組織の反力を測定する。図3のプロット上で示されるような点34の後に、反力は、時間とともに変化しないか、または経時的に所定の量のみ変化することを認識すべきである。デバイス100は、第1の時間間隔で反力を、そして次に別もしくは後の第2の時間間隔を逐次的に検出するロードセルアセンブリ106を有する。このデバイス100は、経時的に多くの増分でこの力をさらに測定する。コントローラー124が、次いで、この反力の曲線の勾配を経時的に決定する。コントローラー124は、次いで、この曲線の勾配を閾値と比較する。コントローラー124がこの勾配が閾値を超えたことを決定すると、コントローラー124は、聴覚アラーム(示さず)を制御し、外科医に、組織が最適圧縮に到達したこと、しかも任意のさらなる圧縮が不要であり、しかも外科用要素が組織セクションを一緒に接続するために組織中に導入される準備が整っていることを知らせる。本発明の別の実施形態では、デバイス100は、ロードセル106に代わってひずみゲージを有し得、組織上の負荷の反力を測定する。なお別の実施形態では、デバイス100は、ロードセルに代わって圧力ゲージを有し得る。種々の形態が可能であり、そして本開示の範囲内である。
【0131】
本開示の別の実施形態では、コントローラー124は、勾配を算出するために変形に代わってその他のパラメーターを受け得、そして勾配を閾値と比較する。1つの実施形態におけるコントローラー124は、距離、および/または移動可能なプラテン120の速度を測定し得る。コントローラー124は、例えば、付与される任意の負荷なくして初期厚みの80%の圧縮についての、所定の距離閾値に対する距離を測定し得る。一旦、閾値距離が達成されると、コントローラー124は、視覚アラームを制御して、外科医に、最適量の圧縮が達成され、そして外科用要素が組織に付与されるべきであることを知らせる。
【0132】
ここで、図7を参照して、デバイス100のコントローラー124が、外科用要素を組織中に移植する前に組織の最適圧縮時間を決定するために用い得る概略ブロック図を示す。この方法は、ステップ130で始まる。ステップ132で、この方法は、組織を所望のギャップまで圧縮する工程を有する。その後、この方法は、ステップ134に続き、そして圧縮に応答する組織の反力を測定する。その後、この方法は、この反力をメモリー中に記録するステップをさらに有し得る。この方法は、次いで、ステップ136にある決定ブロックに到達する。
【0133】
決定136で、この方法は、上記反力が所定の範囲にあるか否かを決定するステップを有する。測定された力が最小力より小さい場合、そのときは、力は不十分であり、そしてこの方法は、ステップ132に戻り、組織を所望のギャップまで圧縮する。
【0134】
決定136で、測定された力がステップ136における最大の力より大きい場合、そのときは、力は大き過ぎるかも知れず、そして方法は、ステップ138に進行し、移動可能プラテン120を停止し、そして待ちに進む。この測定された力がステップ136における最小の力より大きく、そしてこの力が最大の力より少ない場合、この方法は決定ステップ138に続く。
【0135】
ステップ138で、コントローラー124は、変化に亘る反力における変化の勾配を合わせて決定し、パラメーターを決定する。ステップ138で、コントローラー124は、このパラメーターを所定の閾値に対して評価する。1つの実施形態では、この所定の閾値は、図3に示されるプロットの勾配であり得る。このようにして、プロット上で参照番号34によって示されるように、スロープがゼロ、または無視され得る変化であるとき、これは、コントローラー124に、組織が、粘弾性組織の最適量の圧縮であることを示す状態に到達したこと、そして外科用要素が組織に導入されるべきであることを示し、ステップ140において外科用要素の適正な形成を確実にする。
【0136】
その後、コントローラー124が所定の閾値に到達する場合、そのときは、この方法は、ステップ140に進行し、そこで、デバイス100は、聴覚アラームまたは視覚アラームを有し得、外科医がステープルのような外科用要素を発射すべきであることを示す。
【0137】
別の実施形態では、コントローラー124が所定の閾値に到達する場合、そのときは、この方法は、ステップ140に進行し、そこで、デバイス100は、図1のステープラの発射機構に連結され得、ステープルのような外科用要素を組織中に自動的に発射する。ステップ138でコントローラー124が所定の閾値に到達しない場合、そのときは、この方法は、ステップ134に戻り、そこで、デバイス100は組織上に圧縮を付与することを継続し得、そして組織の反力を経時的に測定する。いずれの例においても、過剰の圧縮および組織への不適切な血流に至り得るときである20分を超えて組織が圧縮されないことが認識されるべきである。コントローラー124は、20分のような割り当てられた時間を超えて圧縮される場合に組織を開放するようなプログラム命令を有している。
【0138】
本開示のなお別の実施形態では、デバイス100は、移動可能なプラテン120の速度または加速を測定し得る。コントローラー124は、所定の距離閾値に対する速度または速度の変化を測定し得る。1つの例では、コントローラー124は、初期厚み(付与される任意の負荷がない)の約80%圧縮が到達されるとき、移動可能なプラテン120の所定の速度を測定し得る。一旦、閾値が到達されると、コントローラー124は、聴覚アラームを制御し、外科医に、最適量の圧縮が達成され、そして外科用要素が組織セクションを互いに接続するために組織に付与されるべきであることを知らせる。
【0139】
本開示のさらなる実施形態では、デバイス100の移動可能なプラテン120および静止プラテン122は、この手順で用いられる器具の端部エフェクターの幾何学的形状に相補的である所定の幾何学的形状を有する。1つの実施形態では、外科用要素がチタンのような生体適合性材料から作製された外科用ステープルである場合、移動可能なプラテン120および静止プラテン122は、外科用ステープラの顎と同じである圧縮領域を有する。
【0140】
ここで、図8〜13を参照して、本開示の別の実施形態が示される。この実施形態では、上記方法は、組織の初期厚みを測定するステップを有する。その後、組織がデバイス200で圧縮され、そして生理学的応答にある組織の最終厚みがとられる。この最終厚みは、外科手順の1つ以上のパラメーターを調整するために用いられる。図8は、第1のキャリパーアーム202と第2のキャリパーアーム204を有し、この第1のキャリパーアーム202と第2のキャリパーアーム204との間に組織ギャップ206を規定する改変されたキャリパーデバイス200を示す。このキャリパーデバイス200はまた、センサー208を有する。このセンサー208は、光学または抵抗要素であり、デバイス200が組織に接触していることを視覚、または聴覚に示す。
【0141】
このキャリパーデバイス200は、対向する端部上に、キャリパーアーム202、204に連結されているアクチュエーター212を備えたねじのあるアーム210を有し、そしてこれは、外科医がアクチュエーター212を手動で回転し、第1のキャリパーアーム202を第2のキャリパーアーム204に、第1および第2のキャリパーアーム202、204間のギャップ206中に組織を配置して引くことを可能にする。このキャリパーデバイス200はまた、ダイアルで手動による、またはLEDでデジタル的に、または表示スクリーンのような組織の厚みを視覚的に示すインジケーターまたはスクリーン201を有し得る。このスクリーン201は、測定の単位を示す液晶デジタルディスプレイであり得る。あるいは、このスクリーン201は、従来のアナログディスプレイ、またはインチもしくはミリメートルで測定の単位を示すダイアルであり得る。あいるは、キャリパーデバイス200は、アナログデジタルコンバーターに連結され得、アナログ信号をデジタル信号に変換し、上記厚みを電気的にコントローラー124に通信する。
【0142】
この実施形態では、組織上のひずみの最適量が、出血を機械的に制御するために必要であり、そして外科的結果を改善するために所望されることが想定される。組織に付与される所定量は既知であることがまた認識されるべきである。ひずみのこの所定の量は、止血を促進するために血管を圧潰する。しかし、この止血を促進するためのひずみのこの所定量は、異なるタイプの組織に対して変動する。胃腸管組織、肺組織、腹部組織、結腸組織または小腸組織は異なって反応し得、そしてこの特定の組織タイプの各々について明確な外科的結果を確実にするために異なる量のひずみが必要であり得る。
【0143】
圧縮は、以下の等式に示されるように組織厚みにおける変化%として規定される:
【0144】
【化18】

ここで、(ε)はひずみであり、(hi)は初期組織厚みであり、そして(hf)は圧縮後の最終組織厚みである。従って、組織の当初の厚みに依存して、種々の異なるひずみが組織タイプに依存して組織に付与され得、正の手術結果を確実にする。1つの実施形態では、最小量のひずみが、止血を促進するため、および組織を治癒するために必要であり得る。
【0145】
ここで、図9を参照して、この実施形態では、キャリパーデバイス200が、組織Tの初期厚みを測定する。動物の小腸組織Tが手術される1つの実施形態では、この方法は、図9に示されるように整列された2つの組織セクションの初期厚みを決定するステップを有する。ディスプレイ201に示される任意の所望の単位が、引き続く手順におけるこれら測定が同じ一致する単位で行われる限り、センチメートルまたはインチであり得ることが認識される。
【0146】
ここで、図10を参照して、上記方法は、次に、キャリパーデバイス200を用いて、初期厚みから圧縮された厚みまで2つの組織セクションを圧縮するステップを有し、第2の厚みを決定する。この第2の厚みは、特定の生理学的事象が起こる厚みである。1つの実施形態では、この生理学的事象は、止血または組織からの出血の停止である。この第2の厚みは、キャリパーデバイス200を用い、これら2つの組織セクションTの視覚検査が最終厚みでなされ得るまで、第1および第2のキャリパーアーム202、204から組織セクションTをゆっくりと解放することにより測定される。
【0147】
この最終厚みは、生理学的応答または事象の視覚検査が起こる、記録された厚みであることが想定される。生理学的応答の視覚検査は、1つの実施形態では、この組織を横切る流体、または血液の存在である。しかし、本発明の方法は、組織の止血を単に観察することに制限されない。その他の生理学的応答の例は、組織の部分的止血、組織からの流体の漏失、組織からの血液漏失、またはデバイスからの圧縮の所定量、(または別のクランプが組織Tに付与される)、または時間がその後経過したときの組織の完全治癒を含む。
【0148】
ここで、図10Aを参照して、いくつかの異なるタイプの組織について種々の異なるひずみのグラフを示す。図10Aは、肺組織、結腸組織、胃組織および小腸組織を含むいくつかの異なる組織タイプに付与されたひずみを示すプロットに由来する。図10Aは、「小」としてほぼ示される小腸プロットを示す。値は、この特定の非制限的な実施形態で、組織が圧縮されていることを示す。y軸は、図10Aでは、初期組織厚みから決定される圧縮の最適%または量を示す。この厚み%は、試験研究で切開された組織の切断エッジで血液の存在が観察されたときの圧縮の点で記録される。胃腸管組織について止血を生成するために、初期の非圧縮の測定された厚みによって乗じたとき、約60〜80%のひずみ範囲が受容可能であることが想定される。小腸組織について止血を生成するために、約60〜70%のひずみ範囲が受容可能であることがさらに想定される。胃組織について止血を生成するために、約65〜75%のひずみ範囲が受容可能であることが想定される。結腸組織について止血を生成するために、約70〜80%のひずみ範囲が受容可能であることが想定される。肺組織は、その他の組織タイプより有意により柔らかいことが見出されていることをさらに認識すべきである。肺組織の特有の性質のため、組織止血を達成するために必要な圧縮の%は、図10Aに示されるように、(腹部組織、または結腸組織のような)その他の組織タイプに対してより大きいことが観察される。
【0149】
組織の粘膜下セクションにおいて組織融合を促進するためには、約60〜90%のひずみ範囲が受容可能であることが想定される。一般に、すべての組織タイプについて止血を生成するために、約60〜80%のひずみ範囲が一般的範囲として受容可能である。この一般的範囲は、すべての組織タイプについて組織を融合するための顕著な改善を促進することが注記される。しかし、組織タイプ、および/または組織疾患ならびに個々の患者の特定の症状のような種々のその他の因子が、この一般的範囲との兼ね合いで考慮されなければならない。
【0150】
説明の目的のために、上記2つの組織セクションTは、これら2つの組織セクションTが管腔を形成して接続されるべきことが所望される吻合手順の文脈で論議される。このような状況では、腹腔のような身体の別の位置に漏失し得る2つの接続された組織セクションからの任意の漏失を避けるために、腹腔ステープラ、または縫合糸のような外科用要素の導入の前に、2つの組織セクションに最適量の圧縮がもたらされるように注意すべきである。
【0151】
その後、1つの実施形態では、流体の加圧された供給源がまた、キャリパー200で一緒に接続されている管腔または組織セクションに付与され得る。キャリパー200は、所定量の血液または血漿が組織から逃げるまでゆっくりと放出される。組織はさらに圧縮され得、組織の止血の厚みを決定する。このようにして、生理学的応答における組織の最終厚みが、ピークの力で、または加圧流体流れが生じるときに測定される。このようにして、組織の最終厚みが、この特定の組織について最適圧縮で記録される。
【0152】
最適量の圧縮が、心臓血管組織、肺組織、腹部組織、結腸組織、および/または胃腸管組織のような種々の組織タイプとともに用いられるべきであることが想定される。キャリパー200は、この最適量の圧縮を、約20分の時間の期間の間を超えないこともまた認識されるべきである。
【0153】
組織の最適最終厚みおよび初期厚みに基づき、外科手順の種々のパラメーターが、少なくともこの組織の最適最終厚みおよび初期厚みに基づき決定され得る。1つの局面では、組織の最終厚みに基づき、外科医は、組織を通じて外科用要素を導入する前に、この組織を所望の最終厚みにクランプし得るクランプ留めデバイスを用い得る。別の局面では、組織の最終厚みに基づき、外科医は、外科用要素を導入する前に、初期厚みの約80〜85%のような、組織を通って外科用要素を導入する前に、(繰り返し使用の間)最終厚みの一般的範囲にこの組織をクランプし得るクランプ留めデバイスを用い得る。
【0154】
組織の最終厚みに基づき、外科医は、組織を所望の最終厚みに圧縮するために外科用器具を調節し得ることもまた想定される。1つの実施形態では、外科医は、組織を通る外科用要素の付与のために、例えば、図9に示されるアンビルとステープラ10のカートリッジとの間で測定さされた所定の組織ギャップを調節し得る。この所定の組織ギャップは、最適組織圧縮についてさらに改変され得る。別の実施形態では、外科医は、図9に示される外科用ステープラ10を調節し得、このステープラ10のステープル閉鎖高さを最適にする。
【0155】
ここで、図11を参照して、ステージあたり0.242mmのひずみ増分で2.42mmの初期厚みを有する組織の圧縮写真が示される。図11は、圧縮ひずみが、約70%の圧縮が達成されるまで、ステージあたり0.242mmのひずみ増分でステージあたり約10%増加される複数ゾーンを示す。図12aは、小腸の解剖学を示す。小腸は、多くの組織層、または粘膜、粘膜下組織、周縁筋肉、および長軸方向筋肉を有することが認識されるべきである。図12aは、非圧縮または非負荷様式にある小腸組織を示す。図12bは、最適量の組織ひずみで圧縮された組織を示す。
【0156】
組織構成要素の最適組織ひずみの経過の間に、これらセクションを通る外科用要素の付与の前にいくつかの因子が働くようになることが理解されるべきである。最初に、組織中に存在する流体が、圧縮された部位から横断して離れる。第2に、間に所定量の組織を有する組織のいくつかの例では、均一またはホモゲナイズされた組織静止状態に落ち着く。第3に、圧縮組織セクションに供給される血液はほとんどないか、またはなく、組織は軟化し始める。組織は最適時間の期間圧縮されるが、組織の壊死に至り得る最適時間の期間を超える時間の期間の間、組織はもはや圧縮されないことを認識すべきである。一旦、圧縮が解放されると、すぐには、組織は恒常性のためにその初期状態には戻らない。
【0157】
ここで、図13を参照して、本開示に従う概略ブロック図が示される。この方法は、ステップ220で開始する。その後、この方法は、ステップ222に続く。ステップ222では、この方法は、組織の初期厚みを測定するステップを有する。その後、この方法は、ステップ224に続く。ステップ224で組織は圧縮される。1つの実施形態では、組織は、図11に示されるように増分で段階的様式で圧縮される。別の実施形態では、組織は、図8のキャリパーデバイス200を用いて1ステップで圧縮され得る。その後、この方法は、ステップ226に続く。ステップ226で、この方法は、決定ブロックに到達する。
【0158】
ここで、ステップ226では、外科医は、組織の止血、組織の治癒、または組織からの流体の漏れのような圧縮時の組織の生理学的応答を観察し、組織の最適量の圧縮に到達したか否かを決定する。ステップ226で正の応答が観察されたとき、そのときは、この方法は、ステップ228に続き、そこで、この生理学的応答における最終厚みが記録される。
【0159】
その後、この方法は、ステップ230に続き、そこで、外科用デバイスが、この最終組織厚みと一致する様式で調節される。述べたように、ステープルサイズ選択は、最終組織厚みに応答して変更され得、外科用ステープラとアンビルとの間のギャップ、または器具もしくは手順の別のパラメーターは改変され得る。ステップ226で、この方法は、決定ブロックに到達し、そして外科医は、圧縮において組織からの任意の列挙された生理学的応答を観察されない場合、これは、組織の最適量の圧縮が到達されていないことを示す。ステップ226で負の応答が観察された場合、そのときは、この方法は、ステップ224に戻って継続され、ミリメートルで測定されたような次の増分で組織をさらに圧縮する。一旦、この増分が調節されると、この方法は、ステップ232で終了する。
【0160】
本開示のいくつかの実施形態が図に示されているが、本開示はそれに制限されることは意図されない。なぜなら、本開示は、当該技術分野が許容し、しかも本明細書が同様に読まれ得るような広範な範囲であることが意図されるからである。それ故、上記の説明は、制限するものと解釈されるべきでなく、好ましい実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。
【0161】
(開示の要約)
外科用要素を付与するために組織の最適圧縮を決定する方法は、組織に負荷を付与する工程を有する。この方法は、この負荷に応答する組織によって付与された反応負荷を決定する工程を有する。この方法はまた、所定の時間の間、単位時間あたりの反応負荷を決定する工程、および単位時間あたりの反応負荷の勾配を決定する工程を有する。この方法は、所定の閾値に対して勾配を評価する工程、およびこの勾配が上記所定の閾値を超えるとき信号伝達する工程をさらに有する。
【産業上の利用可能性】
【0162】
外科用ステープル留めデバイスおよび縫合糸、そして特に、ステープルおよび縫合糸の最適形成のための組織への最適量の圧縮を提供するための方法およびデバイスが提供される。
【符号の説明】
【0163】
100 組織の機械的特性を測定するデバイス
102 ハンドルアセンブリ
104 シャフトアセンブリ
106 ロードアセンブリ
108 ガイドピン
110 剛直性フレーム
112 組織ギャップ挿入部分
114 クランプバー
116 プッシャー
121 支持プレート
122 移動可能プラテン
123、125 ガイドバー
126 先導スクリューアセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−148098(P2012−148098A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−65797(P2012−65797)
【出願日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【分割の表示】特願2007−22184(P2007−22184)の分割
【原出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】