説明

外部部材接続機構付き装置および装置並設構造

【課題】 装置の交換作業の作業効率の悪化を抑制する。
【解決手段】 外部部材と接続するための接続用構成部38を含む所定の領域36に装着される装着部材37を設ける。この装着部材37には、接続用構成部38に対応する位置に、前記外部部材と接続用構成部38を接続させる貫通孔39を形成する。さらに、少なくとも、装着部材37における、貫通孔39の一方側の開口部が形成される第1表面37Aと、貫通孔39の他方側の開口部が形成される第2表面37Bとの両面に、それぞれ、リバーシブル対応の表示を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電源ケーブル等の外部部材との接続機構を備えた外部部材接続機構付き装置および装置並設構造および外部部材接続機構付き装置の製造方法および外部部材接続機構付き装置の使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11には外部部材接続機構付き装置の一つである通信用装置の一例が模式的な斜視図により示されている。この通信用装置40の内部には、例えば、回路が形成された基板(図示せず)が配設されている。当該通信用装置40の外表面には、ケーブル接続部41A,41B,41Cが形成されている。そのケーブル接続部41Aは、例えば、前記回路に電源電力を供給するための電源ケーブル42が接続する部分である。また、ケーブル接続部41Bは、例えば、前記回路とアンテナ(図示せず)を電気的に接続させるためのアンテナ線43が接続する部分である。さらに、ケーブル接続部41Cは、前記回路と外部回路(図示せず)を電気的に接続させるための信号線44が接続する部分である。
【0003】
上記のような通信用装置40は、例えば、多数の同種の通信用装置40と共に専用の収納ラック(図示せず)内に積層設置されることがある(例えば特許文献1参照)。また、通信用装置40は、例えば通信業者の専用局舎や、建物の内部に設けられた機械室等に、他の装置等と共に集約設置されることもある。そのように設置された通信用装置40のケーブル接続部41A,41B,41Cには、それぞれ、該当するケーブル(線)42,43,44が接続される。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3107704号公報(図2等を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のように設置された既設の通信用装置40を、別種の通信用装置に交換することがある。この場合に次のような問題が生じる。すなわち、例えば、図11に示すような既設の通信用装置40を図12に示されるような通信用装置40’に置き換えることがある。その既設の通信用装置40におけるケーブル接続部41Aは、通信用装置40の図11に示す左側に形成されている。これに対して、置き換え対象の通信用装置40’においては、ケーブル接続部41Aは通信用装置40’の図12に示す右側に形成されている。このようなケーブル接続部41A,41B,41Cの配置位置の違いのために、通信用装置40を通信用装置40’に置き換えた場合には、ケーブル(線)42,43,44を引き回し直さなくてはならない。
【0006】
しかしながら、既設の通信用装置40に接続されているケーブル42,43,44は、それぞれ、ケーブルの整理等の理由のために、例えば特許文献1に示されるように、引き回し位置が規制されていることがある。また、例えば電源ケーブル42は、耐久性等を考慮して太く且つ硬く形成されていて柔軟性に欠けていることがある。このような、ケーブルの引き回し位置が規制されていることと、ケーブルが柔軟性に欠けていることとによって、ケーブル42,43,44、特に、電源ケーブル42を引き回し直す作業は大変で時間が掛かる。このため、通信用装置40の交換作業は作業性の悪いものであった。
【0007】
このように、通信用装置40等の外部部材接続機構付き装置においては、外部部材との接続作業の作業効率の低さに起因して、装置の交換作業の効率が悪いものであった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、装置の交換作業の作業効率の悪化を抑制できる外部部材接続機構付き装置および外部部材接続機構付き装置の製造方法および外部部材接続機構付き装置の使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の外部部材接続機構付き装置は、
外部部材と接続するための接続用構成部を含む所定の領域に装着される装着部材を有し、
当該装着部材には、前記接続用構成部に対応する位置に、前記外部部材と前記接続用構成部を接続させる貫通孔が形成されると共に、少なくとも、前記貫通孔の一方側の開口部が形成される第1表面と、前記貫通孔の他方側の開口部が形成される第2表面との両面に、それぞれ、リバーシブル対応の表示が施されている。
【0010】
本発明の装置並設構造は、
複数の本発明の外部部材接続機構付き装置が、前記装着部材の向きを揃え、かつ、それぞれの所定の仮想装置基準面を互いに平行にして並設されており、
隣り合う前記外部部材接続機構付き装置は、前記仮想装置基準面を基準にして互いに半回転した姿勢となっており、前記並設されている複数の外部部材接続機構付き装置の前記接続用構成部は互い違いに配置されている。
【0011】
本発明の外部部材接続機構付き装置の製造方法は、
外部部材と接続するための接続用構成部を含む所定の領域に装着する装着部材における前記接続用構成部に対応する位置に、貫通孔を設ける工程と、
前記装着部材における、少なくとも、前記貫通孔の一方側の開口部が形成される第1表面と、前記貫通孔の他方側の開口部が形成される第2表面との両面に、それぞれ、リバーシブル対応の表示を施す工程と、
を有する。
【0012】
本発明の外部部材接続機構付き装置の使用方法は、
本発明の外部部材接続機構付き装置を所定の仮想装置基準面を基準にして半回転させる工程と、
前記装着部材を外し、当該装着部材を前記仮想装置基準面に垂直な仮想回転軸を中心にして半回転させた後に、当該装着部材を再装着する工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、装置の交換作業の作業効率の悪化を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
まず、本発明に係る外部部材接続機構付き装置の一実施形態の概要を図7を利用して説明する。すなわち、図7(a)に示されるように、本実施形態の外部部材接続機構付き装置35は、装着部材37を有している。装着部材37は、外部部材と接続するための接続用構成部38が形成されている所定の領域(装着対象領域)36に装着されるものである。当該装着部材37には、接続用構成部38に対応する位置に、外部部材と前記接続用構成部を接続させる貫通孔39が形成されている。さらに、装着部材37には、少なくとも、貫通孔39の一方側の開口部39Aが形成される第1表面37Aと、貫通孔39の他方側の開口部39Bが形成される第2表面37Bとの両面に、それぞれ、リバーシブル対応の表示が施されている。なお、この明細書においては、リバーシブルとは、両面とも使用可能という意味で用いている。
【0016】
この外部部材接続機構付き装置35では、装着部材37は、第1表面37Aを装着対象領域36側に向けて装着対象領域36に装着される場合と、第2表面37Bを装着対象領域36側に向けて装着対象領域36に装着される場合とがある。このような装着部材37の装着の向き、および、第1表面37Aと第2表面37Bの各表示は、例えば外部部材接続機構付き装置35の設置の向き(姿勢)に応じて定められる。
【0017】
この外部部材接続機構付き装置35は上記のような構成を有しているので、次のような効果を得ることができる。すなわち、既設の装置から外部部材接続機構付き装置35に装置の入れ替えを行う際に、既設の装置に接続されていた外部部材を、外部部材接続機構付き装置35の接続用構成部38に接続し直す場合がある。この場合に、既設の装置における前記外部部材との接続位置と、外部部材接続機構付き装置35の接続用構成部38の位置がずれていると、前記外部部材を接続用構成部38に接続させるために前記外部部材を動かさなければならないことがある。しかしながら、その外部部材の配置位置が規制されていたり、外部部材の大きさや重さや形状等のために、外部部材が動かし難いことがある。この場合には、その外部部材と外部部材接続機構付き装置35との接続作業に手間が掛かって時間を要してしまうことがある。
【0018】
ところが、この外部部材接続機構付き装置35においては、そのような問題を解消できる。それというのは、外部部材接続機構付き装置35は、その設置の姿勢を複数通りに変更可能であり、既設の前記外部部材の配置位置に応じて、柔軟に、接続用機構部38の配置位置の変更ができるからである。すなわち、装置表面の表示の向きのために、外部部材接続機構付き装置の配置の姿勢を変更できないことが有る。これに対して、外部部材接続機構付き装置35においては、装置表面の表示に起因した配置の姿勢の規制が緩くて、配置の姿勢を複数通りに変更できる。つまり、外部部材接続機構付き装置35には、装着部材37を装着する構成である。その装着部材37の第1表面37Aと第2表面37Bの両面を利用することによって、外部部材接続機構付き装置35の姿勢に応じて、装着部材37の表示を変更できる。換言すれば、装置表面の表示によって、外部部材接続機構付き装置35の姿勢が決定されるのではなく、外部部材接続機構付き装置35の姿勢によって、装置表面(装着部材37)の表示を決定できる。つまり、装置表面の表示によって外部部材接続機構付き装置35の設置の姿勢を決定しなくて済み、外部部材との接続を考慮した接続用構成部38の適切な配置位置に応じて外部部材接続機構付き装置35の設置の姿勢を決定できる。このため、外部部材の配置位置を変更することなく、外部部材接続機構付き装置35への入れ替えが可能となる。すなわち、装置の交換作業の作業効率の悪化を抑制できる。
【0019】
上記のような外部部材接続機構付き装置35は、図7(b)に示す貫通孔形成工程S1と、表示工程S2とを含む製造工程を経て、製造することができる。その貫通孔形成工程S1は、装着部材37における接続用構成部38に対応する位置に、貫通孔39を設ける工程である。表示工程S2は、装着部材37の第1表面37Aと第2表面37Bとの両面に、それぞれ、リバーシブル対応の表示を施す工程である。なお、装着部材37に表示を施した工程の後に、装着部材37に貫通孔39を形成してもよい。
【0020】
上記のような外部部材接続機構付き装置35は、図7(c)に示されるような装置並設構造を採り得る。つまり、複数の外部部材接続機構付き装置35が、装着部材37の向きを揃え、かつ、それぞれの所定の仮想装置基準面Kを平行にして並設されている。この装置並設構造では、隣り合う接続部材接続機構付き装置35は、仮想装置基準面Kを基準にして互いに半回転した姿勢となっている。このために、並設されている複数の外部部材接続機構付き装置35の接続用構成部38は互い違いに配置されている。
【0021】
上記外部部材接続機構付き装置35は次のように使用することができる。その使用工程では、図8(a)に示すような装置半回転工程T1と、装着部材付け直し工程T2とを含む。装置半回転工程T1は、図8(b)に示すように、外部部材接続機構付き装置35を所定の仮想装置基準面Kを基準にして半回転させる工程である。装着部材付け直し工程T2は、装着部材37を外し、図8(c)に示すように、当該装着部材37を所定の仮想回転軸O37を中心にして半回転させた後に、当該装着部材37を再装着させる工程である。なお、装着部材付け直し工程T2の後に、装置半回転工程装T1を行ってもよい。
【0022】
図1には本実施形態の外部部材接続機構付き装置である通信ボックスの模式的な分解図が示されている。図2(a)には図1の前側から見た通信ボックスの模式的な斜視図が示され、図2(b)には図1の後ろ側から見た通信ボックスの模式的な斜視図が示されている。これら図1および図2(a)、(b)に示される通信ボックス1は、筐体2と、装着部材である前面プレート3と、装着部材である背面プレート4とを有して構成されている。
【0023】
筐体2は、直方体状と成し、当該筐体2の内部には、例えば、回路が形成された回路基板(図示せず)等が収容されている。当該筐体2の前面2Fには、接続用構成部である制御用信号線接続部6が配置されている。さらに、筐体2の前面2Fには、電源スイッチ7と、画面表示部8と、光報知部(例えば発光ダイオード(LED(Light-Emitting-Diode)))9とが配設されている。それら制御用信号線接続部6と、電源スイッチ7と、画面表示部8と、光報知部9とは、それぞれ、筐体2の内部の予め定められた回路部分に電気的に接続されている。
【0024】
さらにまた、筐体2の前面2Fには、ねじ15fが挿通するねじ穴10a,10bが形成されている。
【0025】
筐体2の背面2Bには、図2(b)に示されるような、接続用構成部である電源ケーブル接続部11と、接続用構成部であるアンテナ線接続部12と、接続用構成部である制御用ケーブル接続部13とが形成されている。それら電源ケーブル接続部11と、アンテナ線接続部12と、制御用ケーブル接続部13とは、それぞれ、筐体2の内部の予め定められた回路部分に電気的に接続されている。本実施形態では、筐体2の図1に示す上面である第1平面2U、又は、図1に示す底面である第2平面2Dが仮想装置基準面に定められている。電源ケーブル接続部11と、アンテナ線接続部12と、制御用ケーブル接続部13とは、それぞれ、図2(b)に示されるように、背面(装着対象領域)2Bの仮想中心線O2Bからずれた位置に形成されている。ここでは、その仮想中心線O2Bは、前記仮想装置基準面に垂直な仮想中心線である。
【0026】
筐体2の背面2Bには、さらに、ねじ15bが挿通するねじ穴(図示せず)が形成されている。
【0027】
さらにまた、筐体2には、通信ボックス1を収容する収容ラック(図示せず)に取り付けるための取り付け用部材16が設けられている。
【0028】
前面プレート3は、図1に示されるように、板状であり、当該前面プレート3は、筐体2の前面(装着対象領域)2Fに当該前面2Fの全面を覆う形態で装着される。この前面プレート3には貫通孔18〜21が形成されている。貫通孔18は、前面プレート3が筐体2の前面2Fに装着されるときに前面2Fにおける制御用信号線接続部6の形成部位に対応する前面プレート部分に形成されている。貫通孔19は、前面2Fにおける光報知部9の形成部位に対応する前面プレート部分に形成されている。貫通孔20は、前面2Fにおける画面表示部8の形成部位に対応する前面プレート部分に形成されている。貫通孔21は、前面2Fにおける電源スイッチ7の形成部位に対応する前面プレート部分に形成されている。上記貫通孔18〜21によって、前面プレート3を筐体2の前面2Fに装着した状態においても、制御用信号線接続部6と電源スイッチ7と画面表示部8と光報知部9が外部に露出される。また、貫通孔18を介して、外部部材である制御用信号線と、制御用信号線接続部6とが接続される。
【0029】
さらに、前面プレート3には、ねじ15fを挿通するためのねじ穴22a,22bが形成されている。それら各ねじ穴22a,22b、および、筐体2のねじ穴10a,10bに、ねじ15fが挿通され、当該ねじ15fが筐体2に結合されることによって、前面プレート3が筐体2に取り付けられる。このように、前面プレート3が筐体2にねじ15fによって装着される構成であるために、前面プレート3は、例えばドライバだけで簡単に着脱できる。
【0030】
このような前面プレート3における第1表面(図1では表面)3Aと第2表面(図1では裏面)3Bには、それぞれ、次のような表示が施されている。つまり、第1表面3Aは、貫通孔18〜21の一方側の開口部が形成されている面であり、例えば図3(a)のような表示が施されている。第2表面3Bは、貫通孔18〜21の他方側の開口部が形成されている面であり、例えば図3(b)のような表示が施されている。すなわち、前面プレート3の第1表面3Aと第2表面3Bの各表示は、図1に示されるような仮想回転軸O3を中心にして前面プレート3を半回転させたときに、例えば図1に示すα位置から見たときの半回転前後の表示の向きが同じである。換言すれば、前面プレート3を仮想回転軸O3を中心にして半回転させた場合に、同一方向から見た第1表面3Aの表示も第2表面3Bの表示も、向きに正誤がある例えば文字等の表示が逆向きでなくて正しい向きの表示となっている。すなわち、前面プレート3の第1表面3Aと第2表面3Bには、それぞれ、リバーシブル対応の表示が施されている。その表示は、第1表面3Aおよび第2表面3Bに直接的に例えばスクリーン印刷等により施されたものであってもよいし、ラベル等に成されたものが第1表面3Aおよび第2表面3Bにラベル貼付されていてもよい。
【0031】
なお、前面プレート3の仮想回転軸O3とは、前記仮想装置基準面(この実施形態では、筐体2の第1平面2U又は第2平面2D)に垂直な仮想の直線である。
【0032】
背面プレート4は、図1に示されるように、前面プレート3と同様に、板状であり、当該背面プレート4は、筐体2の背面(装着対象領域)2Bに当該背面2Bの全面を覆う形態で装着される。この背面プレート4には貫通孔24〜26が形成されている。貫通孔24は、背面プレート4が筐体2の背面2Bに装着されるときに背面2Bにおける図2(b)に示す電源ケーブル接続部11の形成部位に対応する背面プレート部分に形成されている。貫通孔25は、背面2Bにおけるアンテナ線接続部12の形成部位に対応する背面プレート部分に形成されている。貫通孔26は、背面2Bにおける制御用ケーブル接続部13の形成部位に対応する背面プレート部分に形成されている。上記貫通孔24〜26によって、背面プレート4を筐体2の背面2Bに装着した状態においても、電源ケーブル接続部11とアンテナ線接続部12と制御用ケーブル接続部13が外部に露出される。換言すれば、貫通孔24は、外部部材である電源ケーブルと、電源ケーブル接続部11とを接続させるためのものである。貫通孔25は、外部部材であるアンテナ線と、アンテナ線接続部12とを接続させるためのものである。貫通孔26は、外部部材である制御用ケーブルと、制御用ケーブル接続部13とを接続させるためのものである。
【0033】
さらに、背面プレート4には、ねじ15bを挿通するためのねじ穴27a,27bが形成されている。それら各ねじ穴27a,27b、および、筐体2の背面2Bの前記ねじ穴に、ねじ15bが挿通され、当該ねじ15bが筐体2に結合されることによって、背面プレート4が筐体2に取り付けられる。このように、背面プレート4も、前面プレート3と同様に、筐体2にねじ15bによって装着される構成であるために、背面プレート4においても、例えばドライバだけで簡単に着脱できる。
【0034】
背面プレート4における第1表面4Aと第2表面4Bの各表示に関しても、前面プレート3の第1表面3Aと第2表面3Bの各表示と同様に、リバーシブル対応の表示となっている。すなわち、背面プレート4の第1表面4Aと第2表面4Bの各表示は、図1の鎖線O4に示されるような仮想回転軸O4を中心にして背面プレート4を半回転させたときに、同一方向から見たときの表示の向きが同じである。なお、背面プレート4の仮想回転軸O4とは、仮想装置基準面2U,2Dに垂直な仮想の直線である。
【0035】
本実施形態の通信ボックス1は上記のように構成されている。当該通信ボックス1は、上記構成を備えているので、例えば、筐体2の第1平面2Uを上側に向けた姿勢での設置にも、第2平面2Dを上側に向けた姿勢での設置にも柔軟に対応できる。すなわち、筐体2の第1平面2Uを上側に向けた姿勢で通信ボックス1を設置する場合には、筐体2の前面2Fに前面プレート3を、例えば図4(a)に示されるように、第1表面3Aを外向きにして装着する。また、例えば図4(a)の状態から図4(b)の状態(つまり、筐体2の第2平面2Dを上側に向けた姿勢)に通信ボックス1の設置の姿勢を変更する場合には、前面プレート3を筐体2から外す。そして、前面プレート3を仮想回転軸O3を中心にして半回転させ、第2表面3Bを外向きにして前面プレート3を、筐体2の前面2Fに、再装着する。なお、背面プレート4に関しても上記同様に、通信ボックス1の設置の向きを考慮して筐体2の背面2Bに装着する。
【0036】
上記のように、通信ボックス1の設置の向きに応じて、前面プレート3と背面プレート4のそれぞれの外向きにする面を決定して筐体2に前面プレート3と背面プレート4をそれぞれ装着する。これにより、通信ボックス1の天地の向きを逆向きにしても、前面プレート3や背面プレート4の文字等の表示が逆向きなることが回避される。
【0037】
例えば、図5(a)に示すように設置された装置28に代えて、通信ボックス1を設置すると仮定する。この場合、既設の装置28に接続されている外部部材である電源ケーブル29やアンテナ線30や信号線31の引き回し位置を考慮して、通信ボックス1は、図5(b)に示されるように、第2平面2Dを上側に向けて設置される。この場合に、前記の如く、前面プレート3と背面プレート4の表示の向きを気にすることなく、通信ボックス1の設置の向きを決定できる。
【0038】
上記のように、第2平面2Dを上側に向けて通信ボックス1が設置されることによって、電源ケーブル29の配置位置を殆ど変更することなく、そのまま、その電源ケーブル29を通信ボックス1の背面2Bの電源ケーブル接続部11に接続できる。また、アンテナ線30や信号線31に関しても同様であり、配置位置を殆ど変更することなく、そのまま、アンテナ線30と信号線31をそれぞれアンテナ線接続部12と制御用ケーブル接続部13に接続できる。すなわち、通信ボックス1の入り換え作業の時に、電源ケーブル29やアンテナ線30や信号線31の引き回し配線作業をやり直さなくて済む。これにより、装置交換の作業効率を格段に向上させることができる。
【0039】
さらに、本実施形態の通信ボックス1は、同一種の通信ボックス1だけで図6(a)に示されるような装置並設構造32を構成することができる。すなわち、その装置並設構造32においては、複数の本実施形態の通信ボックス1が、装着部材である前面プレート3や背面プレート4の向きを揃え、かつ、筐体2の第2平面(仮想装置基準面)2Dを互いに平行にして並設されている。それら隣り合う通信ボックス1は、互いに天地の向きが逆向きになっている。換言すれば、隣り合う通信ボックス1は、仮想装置基準面2Dを基準にして互いに半回転した姿勢となっている。これにより、隣り合う通信ボックス1の例えば電源ケーブル接続部11の図6(a)に示される左右方向の位置がずれている。つまり、並設されている複数の通信ボックス1の例えば各電源ケーブル接続部11は互い違いに配置されている。なお、図6(a)では、2個の通信ボックス1が並設されている例が示されているが、3個以上の通信ボックス1を上記同様に並設してもよいものである。
【0040】
この装置並設構造32では、電源ケーブル接続部11の左右方向の位置がずれているので、隣り合う通信ボックス1に接続される電源ケーブル29の引き回し位置は、ずれることとなる。電源ケーブル29は、耐久性等を考慮して太く且つ硬いことが多い。このため、図6(b)に示されるように、並設されている全ての通信ボックス1の電源ケーブル接続部11の配置位置が揃っていて各通信ボックス1にそれぞれ接続される全ての電源ケーブル29が重なるように配置されると、電源ケーブル29が嵩張る。また、電源ケーブル29を通信ボックス1に接続させる作業のときに、接続済みの電源ケーブル29が邪魔をして接続作業の効率が低下するという問題が生じる。これに対して、図6(a)のような本実施形態の装置並設構造32を採用することによって、隣り合う装置35に接続されている電源ケーブル29の配置位置は、ずれるので、電源ケーブル29の嵩張りを抑制できる。さらに、電源ケーブル29と通信ボックス1との接続作業の低下も抑制できる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、この実施形態では、外部部材接続機構付き装置として通信ボックスを例にして説明したが、本発明は通信ボックスに限定されるものではなく、外部部材と接続する機構を持つ他の装置にも適用できるものである。また、この実施形態では、通信ボックス(外部部材接続機構付き装置)1は筐体2を有するものであったが、例えば、図9に示されるような筐体を持たない装置50にも本発明は適用することができる。その装置50においては、回路基板51が露出している。その回路基板51の端面に前面部材52が取り付けられている。その前面部材52における外表面部52Fには凹部53が形成されている。当該凹部53の内壁面には、制御用信号線用の接続部(接続用構成部)54や、音声や映像等のデータ信号用の信号線の接続部(接続用構成部)55が形成されている。凹部53には、装着部材56が嵌め込み装着される。装着部材56には、接続部54,55にそれぞれ対応する貫通孔57が形成されている。装着部材56における第1表面56Aと第2表面56Bには、それぞれ、リバーシブル対応の表示が施されている。例えば、図9に示される仮想回転軸O56を中心にして装着部材56を半回転させた場合に、同一方向から見たときの表示の向きが同じとなる表示が、第1表面56Aと第2表面56Bのそれぞれに施されている。
【0042】
上記のような装置50においても、通信ボックス1と同様に、例えば、天地の向きを決定した後に、装着部材56の第1表面56Aと第2表面56Bのうちの外向きの面を決定して当該装着部材56を外表面部52に取り付けることが可能になる。これにより、外表面部52の表示の向きによって装置50の設置の天地の向きが決定されないので、例えば、前記通信ボックス1と同様に、装置の入り換え作業の効率悪化を抑制できるというものである。
【0043】
また、上記実施形態では、装着部材である前面プレート3や背面プレート4は、筐体2の前面2F、背面2Bの全面を覆う形態で装着される形態であった。これに対して、図9に示されるように、装着部材は、接続用構成部を備えた一つの面における一部の領域(図9の例では、凹部53の内底壁面)に装着される構成であってもよい。
【0044】
さらに、上記実施形態では、前面2Fと背面2Bに設けられる接続用構成部は、接続部6,11〜13であったが、例えば、接続用構成部として、ケーブル(線)の挿通口が設けられていてもよい。つまり、信号線等のケーブルの先端部が、例えば、筐体2の内部に設けられた接続部に接続する構成と成し、外側から筐体内部にそのケーブルを導くための挿通口が接続用構成部として例えば前面2Fや背面2Bに設けられていてもよい。
【0045】
さらに、上記実施形態では、前面プレート3と背面プレート4のそれぞれの第1表面3A,4Aと第2表面3B,4Bの各表示は、通信ボックス1の天地を半回転させて設置する場合を想定したものであった。これに対して、前面プレート3と背面プレート4のそれぞれの第1表面3A,4Aと第2表面3B,4Bの各表示は、例えば図2(a)のような姿勢と、図10のような姿勢との何れの姿勢での通信ボックス1の設置にも対応可能な表示としてもよい。つまり、例えば、前面プレート3の第1表面3Aには、図3(a)のような表示が施され、第2表面3Bには、図10のような表示が施される。なお、図10に示される通信ボックス1の姿勢は、図2(a)に示す筐体2の第2平面(仮想装置基準面)2Dに対して当該第2平面2Dが起立している姿勢である。また、背面プレート4の第1表面4Aと第2表面4Bの各表示に関しても、上記同様に、通信ボックス1の図2(a)に示される姿勢と、図10に示される姿勢とに応じた表示が施される。
【0046】
上記のような表示が施されている前面プレート3は、通信ボックス1が図2(a)に示す姿勢で設置される場合には、第1表面3Aを外向きにして筐体2の前面2Fに取り付けられる。また、通信ボックス1が図10に示す姿勢で設置される場合には、前面プレート3は、第2表面3Bを外向きにして筐体2の前面2Fに取り付けられる。なお、背面プレート4の取り付けに関しても同様である。
【0047】
さらに、上記実施形態では、仮想装置基準面に垂直な仮想回転軸O3を中心にして前面プレート3を半回転させた場合に、同一方向から見たときの半回転前後の表示の向きが同じとなる表示が前面プレート3の第1表面3Aと第2表面3Bにそれぞれ施されていた。これに対して、それら第1表面3Aと第2表面3Bの各表示は、仮想回転軸O3を中心にして前面プレート3を半回転させた半回転前後の表示の向きが同じ向きとなる表示でなくともよい。例えば、前記のように、前面プレート3の第1表面3Aには図3(a)のような表示が施され、第2表面3Bには図10のような表示が施されていてもよい。なお、背面プレート4に関しても同様である。
【0048】
上記のように、本発明の外部部材接続機構付き装置の構成は、外部部材接続機構付き装置の姿勢を半回転させることが想定される場合に有効なだけでなく、装置の姿勢を他の姿勢に変更することが想定される場合にも有効である。
【0049】
さらに、上記実施形態では、装着部材として、平板状の前面プレート3、背面プレート4が設けられていたが、例えば、装着部材の装着対象領域が曲面である場合には、その曲面に合うように形状が変形できる構成であってもよい。この場合には、例えば、その装着部材はフレキシブルなシート状の部材により構成する。さらにまた、上記実施形態では、装着部材として、前面プレート3、背面プレート4(つまり、板状の部材)が設けられる構成であったが、装着部材は、板状の部材に限定されず、例えばブロック状のものであってもよい。このように、装着部材の形状は、所定の装着対象領域に装着できれば、限定されるものではない。
【0050】
さらに、上記実施形態では、外部部材接続機構付き装置に接続される外部部材として、ケーブル(線)を例に示したが、外部部材接続機構付き装置によっては、外部部材として、例えば、カード状の記憶装置等の外部装置が接続されてもよい。
【0051】
さらに、上記実施形態では、通信ボックス1の筐体2には、収容ラックに収容するための取り付け用部材16が設けられていたが、例えば、複数の通信ボックス1がそのまま積層して配置される場合には、取り付け用部材16は設けなくてもよい。
【0052】
さらに、上記実施形態では、装着部材である前面プレート3と背面プレート4は、それぞれ、着脱が容易なように、筐体2の前面2F、背面2Bにねじ留めされる構成であった。これに対して、前面プレート3と背面プレート4(装着部材)は、それぞれ、着脱自在な他の取り付け手法によって、前面2F、背面2Bに装着されてもよい。例えば、前面プレート3や背面プレート4の外向きの面に凸部が形成されていてもよい場合には、前面プレート3や背面プレート4の第1表面と第2表面のそれぞれに鉤状部位を有するフック凸部を設ける。前面2Fや背面2Bには、そのフック凸部の鉤が係止する係止部が形成されているフック受け凹部を設ける。このような構成を持つ場合には、前面プレート3や背面プレート4は、フック凸部を前面2Fや背面2Bのフック受け凹部に挿入し、フック凸部の鉤をフック受け凹部の係止部に抜け留めさせることにより、簡単に前面2Fや背面2Bに取り付けることができる。もちろん、装着部材を装着する手法は、上記手法やねじ留めに限定されず、他の取り付け手法であってもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、通信ボックス1を上下方向に並設する場合の装置並設構造を示したが、例えば、仮想装置基準面、つまり、第1平面2Uや第2平面2Dが図10に示すように起立する姿勢でもって通信ボックス1を並設してもよい。この場合には、もちろん、通信ボックス1をそのように起立配置することを想定して、前面プレート3や背面プレート4の表示が施される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る外部部材接続機構付き装置の一実施形態を説明するための模式的な分解図である。
【図2】図1に示される外部部材接続機構付き装置の模式的な斜視図である。
【図3】図1に示される外部部材接続機構付き装置を構成する前面プレートの表示例を模式的に表したモデル図である。
【図4】実施形態の外部部材接続機構付き装置における前面プレートの装着例を表したモデル図である。
【図5】実施形態の外部部材接続機構付き装置の構成から得られる効果を説明するための図である。
【図6】図1に示される外部部材接続機構付き装置の並設構造の一例を説明するためのモデル図である。
【図7】本発明に係る実施形態の概要を説明するための図である。
【図8】図7に引き続き、本発明に係る実施形態の概要を説明するための図である。
【図9】その他の実施形態を説明するための図である。
【図10】さらに、その他の実施形態を説明するための図である。
【図11】装置と外部部材との接続形態例を説明するための図である。
【図12】装置と外部部材との接続に関連した課題を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
1 通信ボックス(外部部材接続機構付き装置)
3 前面プレート(装着部材)
4 背面プレート(装着部材)
6 制御用信号線接続部(接続用構成部)
11 電源ケーブル接続部(接続用構成部)
12 アンテナ線接続部(接続用構成部)
13 制御用ケーブル接続部(接続用構成部)
18〜21,24〜26 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部部材と接続するための接続用構成部を含む所定の領域に装着される装着部材を有し、
当該装着部材には、前記接続用構成部に対応する位置に、前記外部部材と前記接続用構成部を接続させる貫通孔が形成されると共に、少なくとも、前記貫通孔の一方側の開口部が形成される第1表面と、前記貫通孔の他方側の開口部が形成される第2表面との両面に、それぞれ、リバーシブル対応の表示が施されている外部部材接続機構付き装置。
【請求項2】
前記装着部材の前記第1表面の表示と、前記第2表面の表示とは、装着対象の前記所定の領域に装着される姿勢の前記装着部材を、所定の仮想装置基準面に垂直な仮想回転軸を中心にして半回転させた場合に、同一方向から見たときの半回転前後の表示の向きが同じである請求項1記載の外部部材接続機構付き装置。
【請求項3】
前記接続用構成部は、前記装着部材が装着される領域の所定の仮想中心線からずれた位置に形成されている請求項2記載の外部部材接続機構付き装置。
【請求項4】
複数の請求項3記載の外部部材接続機構付き装置が、前記装着部材の向きを揃え、かつ、前記各仮想装置基準面を互いに平行にして並設されており、
隣り合う前記外部部材接続機構付き装置は、前記仮想装置基準面を基準にして互いに半回転した姿勢となっており、前記並設されている複数の外部部材接続機構付き装置の前記接続用構成部は互い違いに配置されている装置並設構造。
【請求項5】
外部部材と接続するための接続用構成部を含む所定の領域に装着する装着部材における前記接続用構成部に対応する位置に、貫通孔を設ける工程と、
前記装着部材における、少なくとも、前記貫通孔の一方側の開口部が形成される第1表面と、前記貫通孔の他方側の開口部が形成される第2表面との両面に、それぞれ、リバーシブル対応の表示を施す工程と、
を有する外部部材接続機構付き装置の製造方法。
【請求項6】
請求項2記載の外部部材接続機構付き装置を前記仮想装置基準面を基準にして半回転させる工程と、
前記装着部材を外し、当該装着部材を前記仮想回転軸を中心にして半回転させた後に、当該装着部材を再装着する工程と、
を含む外部部材接続機構付き装置の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−141220(P2010−141220A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317843(P2008−317843)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)