多チャンネル型クロスフロー多孔質装置
多チャンネルモジュール装置(10)は異なる組成物の2つの流体流れを処理する。装置(10)は、本体(150)に配置される第1の複数の供給流れの経路(110)を持つ多孔質の本体(150)を包含し、第1の流れ(180)を輸送する。経路壁(114)は、第1の複数の供給流れの経路(110)を取り囲み、第1の流れ(180)を第1組成物(1852)および第2組成物(1802)へと処理する。少なくとも1つの供給流れの注入口(1101)が本体(150)に配置され、第1の流れ(180)を第1の複数の供給流れの経路(110)へと導入する。少なくとも1つの供給流れの排出口(1102)が本体(150)に配置され、第2組成物を含む残りの第1の流れ(180)を排出する。少なくとも1つの第2経路(210)が本体(150)に配置され、第2の注入口(2101)および第2の排出口(2102)を持つ第2の流れ(280)を輸送する。多孔質の本体(150)に形成される網目状に接続された複数の流体流れ(152)は、第2の流れ(280)のための流れ流路を提供し、第1の複数の供給流れの経路(110)のそれぞれから第2排出口(2102)へと第1組成物(1852)を掃引する。容器(300)に注入口(1101および2101)と排出口(1102および2102)を取り付け、第2の流れのアクセスを提供し、また、容器(300)の内側であって内側表面から離れて本体を配置することによりスペースをあけ、アクセス用の空隙を提供する。仕切り(350)は本体と容器の間の空隙に配置され、空隙(310)の内側に流れを引き込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、異なる組成物の2つの流体流れ相互間の処理に関し、具体的には、分離、精製、大量輸送、交換、もしくは、パージ、掃引、または、第2の流体流れの利用を含む処理流れに関する他の種類の処理用途のための膜モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
クロスフローろ過では、透過流れの流路が、供給流れの流路に対して垂直または直角に配置されることが知られている。透過流れ流路を掃引するためのパージ流れもまた、ディスク状、単一チューブ状もしくは中空糸などの束状の管膜として知られている。しかしながら、単一または束状のセラミックの中空糸は、実用には脆すぎることが知られている。したがって、パージ・アクセスを伴ったクロスフローろ過装置は知られているが、それらは典型的には高分子中空糸に基づいている。高分子系中空糸膜モジュールは、分離、ろ過、および抽出処理に適した2つの流体流れ相互間の大量輸送もしくは交換のための単位容積あたりの所望の分離表面積および透過性に優れていることで知られている。1つの流体流れが中空糸の内側を流れる一方、別の流体流れは中空糸の周囲を流れる。
【0003】
それぞれ小さい中空糸の管がたくさん集まって、束を形成する。束になった個々の中空糸の間の空きスペースは、流体が動き回りパージ流れのアクセスを提供するのに十分なスペースを提供する。束状の中空糸上に形成されるパージ流れもまた、クロスフロー型に配置された束状の中空糸の膜性能を向上させることが知られている。
【0004】
しかしながら、高分子材料の主要問題は、有機溶剤による攻撃に敏感なことであり、また、高温(例えば>250℃)および他の苛酷な処理環境での不安定さである。多孔質の高分子の担体は、無機の膜材料の担持には適していない。
【0005】
ゼオライトなど、本技術分野において既知の多くの吸収材は、選択的な吸着機能を提供する。ゼオライト膜は、様々な用途での可能性が大いにあることから、最近の10年間における活発な技術分野となっている。ゼオライト膜の顕著な特徴は、真の分子ふるい効果を実現させる、明確な細孔構造である。例えば、ゼオライト結晶中の直鎖状分子の拡散速度は、分岐鎖状の対応する異性体と比較して、桁違いに大きいであろう。しかしながら、無機ゼオライトは、相性の悪い有機高分子素材には適用することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
理論上は、中空糸管のそれぞれ、それらの膜、もしくはその両方を、高分子材料の代わりに、セラミック酸化物から作製することにより、同じく広い表面積を持つという利点を提供しつつ、高分子の束状の繊維に関する問題を除外することができる。その上、セラミック膜は、高選択性および単位分離面積に基づいた大きい流束を提供するであろう。さらには、セラミック膜は再生可能であろう。
【0007】
しかしながら、セラミック中空糸は、経済的な方法では、所望の機械的強度および可堯性を生み出すことができない。中空糸セラミック管は大きな表面積を持つが、非常に壊れやすい。無機質の膜は、機械的な可堯性が不足しており、単位モジュール容積あたりの膜表面積が小さく、膜処理およびモジュールの組立てが難しく、また、資本コストが高い。
【0008】
強靭な多孔質体にクロスフロー・チャンネルを埋め込むことにより、クロスフローモジュールに中空糸に匹敵する分離面積を与え、しかも、機械的強度が非常に増強され、また、コスト効率を向上可能なことが知られている。しかしながら、重要な問題は、埋め込まれた管同士の間に存在するオープンスペースもしくは自由空間がない場合、埋め込まれた膜チャンネルもしくは管の内外の流れをいかに実現するかである。周知の通り、中空糸の束もしくは単一チャンネルは、多孔質だが中実である基体(matrix)に埋め込まれている多チャンネルに比べて、個々の中空糸の間に、流れが動き回るためのもっと大きなオープンスペースを提供する。
【0009】
平面ディスクもしくは単一チャンネル管などの簡単な構造の膜モジュールでは、吸収およびパージ処理は、存在する空間で容易に行うことができる。
【0010】
ディスクまたは単一チャンネル膜モジュールは、通常は、研究所および工業プロセスで利用されている。しかしながら、ディスク型もしくは単一チャンネル管状の無機膜モジュールは、単位容積あたりの分離表面積が小さい。表面積を大きくする1つの方法は、1つの無機膜体に、多数の小さい供給チャンネルを持たせることである。このようなモノリス構造的(monolithic)設計においては、吸収または透過した種(species)を効率的に移動させるための掃引流れをいかに導入するか、という点に課題がある。多チャンネル型のモノリス構造的膜モジュールでは、透過物(permeate)は、圧力差によって、内側のチャンネルから外側の膜モジュールへと流れる。パージ流れが膜モジュールの外側に導かれる場合、パージ流れは、逆向きの圧力抵抗のせいで、内側のチャンネルに入ることができない。結果として、膜表面の外側のみが「パージ」され、一方、内側のチャンネル透過物はパージされない。
【0011】
したがって、一般概念として、膜分離のために掃引流れを用いることが知られている。モノリス構造的担体の利用も知られてはいるが、外側の掃引流れがモノリスにパージ・アクセスする組合せは知られていない。課題は、中実だが多孔質である基体に埋め込まれた多数の流れチャンネルを有する膜モジュールのパージ方法である。モノリス構造的な膜モジュールにとって、従来のパージ方法では、モノリス構造的モジュールの外表面だけしか掃引できず、基体の内側の最深部の膜チャンネルをパージすることができない。モノリス構造的な膜担体の各膜チャンネルをパージする方法は、課題である。
【0012】
したがって、低コストでのパージ流れのアクセス、および、2つの流体相互間の接触面積が大きく、膜分離装置を通る透過性が高く、高温で長期安定性であり、過酷な環境下での処理に対する耐久性があり、溶剤の攻撃に対して不活性であり、また、大きな圧力低下に対する抵抗性を有する、強靭な無機クロスフローろ過装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、異なる組成物の2つの流れ相互間を処理するための多チャンネル型のモジュール装置である。装置には、本体に配置された第1の複数の供給流れの経路を持つ多孔質体が含まれ、第1または供給流れを輸送する。経路壁は、第1の複数の供給流れの経路のそれぞれを取り囲み、供給流れを第1組成物および第2組成物へと処理する。少なくとも1つの供給流れの注入口が本体に連結され、供給流れを第1の複数の供給流れの経路へと導く。少なくとも1つの供給流れの排出口が本体に配置され、第2組成物を含む残りの供給流れを排出する。少なくとも1つの第2経路が本体に配置され、第2注入口と第2排出口を持つ第2の流れを輸送する。多孔質体に形成される網目状に広がる複数の流れの流路は、第2の流れのための流れを提供し、第1組成物を、第1の複数の供給流れ経路のそれぞれから第2排出口へと掃引する。容器に注入口と排出口を設置し、第2の流れのアクセスを提供し、また、容器の内側であって内側表面から離れて本体を配置することによりスペースをあけ、アクセスのための空隙を提供する。仕切りは本体と容器の間の空隙に配置され、空隙の内側に流れを引き込む。
【0014】
別の態様では、本発明は、第2の流れとして、パージ流れを含む。
【0015】
本発明のさらなる特性ならびに利点は、後に、詳細な説明において記されるであろうし、部分的には、その記述から当業者にとっては容易に理解され、もしくは、詳細な説明およびそれに続いて示される添付の図面および特許請求の範囲を含め、本明細書中で述べる発明を実行することによって認識されるであろう。
【0016】
前述の一般的な説明および以後の詳細な説明は、本発明にかかる実施の態様を提示し、また、ここに主張するように、本発明の性質および特性を理解する目的で概要もしくは構成を提供する趣旨であることが、理解されるべきである。添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するためのものであり、本明細書に組み込まれ、また、本明細書の一部分を成すものである。図面は、本発明にかかる様々な実施の態様を示し、本記述とともに、本発明の原理および手順についての説明を補助している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好ましい実施の形態に関し、実施例を添付の図面に示しつつ、詳細に述べる。可能な場合はいつでも、図面中の同一もしくは同様の数字は、同一または同様の部分を参照するために用いられる。図面中には数字が記載されていないが明細書中に記載がある場合でも、同一または同様の部分または寸法は、常に、図1または図1Aに示されている。しかしながら、図面が必ずしも規模を示すものではなく、簡素化のため、すべての流れを表す矢印が示されているわけではないことに留意されたい。本発明にかかる異なる組成物の2つの流体流れ相互間の処理のための多チャンネルモジュール装置10の1つの実施の態様が、図1に示されており、通常、全体に亘って参照番号10が割り当てられている。処理は、2つの流体の流れを大量輸送もしくは交換可能であり、ここで、2つの流体の流れとは、未処理の供給流れおよび掃引流れ、もしくは他の2つの異なる流体の流れのことである。一般に、第1流体または供給流れは、気相もしくは液相、液-液相、気/液相、または液-固相であってよく、パージもしくは掃引流れは、液相または気相のいずれかであろう。したがって、本発明の掃引アクセス装置は、本発明によって教示されるように、研究所規模もしくは工業規模で、混合物から有用な成分を抽出、もしくは混合物から不純物を除去するための、液相および気相の分離に利用可能である。
【0018】
図1および図1Aを参照すると、装置またはモジュール10には、第1の複数の供給流れ経路110を持つ多孔質の無機質の本体150が含まれ、第1または供給流れ180を輸送するために本体150に配置される。経路壁114が第1の複数の供給流れ経路110のそれぞれを取り囲み、供給流れ180を第1組成物1852および第2組成物1802へと処理する。少なくとも1つの供給流れの注入口1101が本体150に配置され、供給流れ180を第1の複数の供給流れ経路110に導入する。少なくとも1つの供給流れの排出口1102が本体150に配置され、第2組成物1802を含む残りの供給流れを排出する。少なくとも1つの第2またはパージ流れ経路210が本体150に配置され、第2またはパージ注入口2101および第2またはパージ排出口2102を持つ第2または掃引流れ280を輸送する。多孔質の本体150に形成される網目状に広がる複数の流体流れの流路152は、第2または掃引流れ280のための流れの流路を提供し、第1組成物1852を、第1の複数の供給流れの経路110それぞれから、第2またはパージ排出口2102へと掃引する。例えばスウィープガス(sweep gas)などの第2の流れ280の効果は、曲がりくねった経路または相互に接続された細孔152を通じて、膜140および多孔質の担体または本体150から滲出してくる透過物1852を除去(vacuum out)することである。容器300には、注入口1101と2101、および、排出口1102と2102が取り付けられ、第2の流れまたはパージ流れのアクセスを提供し、容器の内側であって内側表面から離れて本体を配置することによりスペースをあけ、アクセスのための空隙を提供する。仕切り350は、本体と容器の間の空隙に配置され、空隙の内側に流れを引き込む。
【0019】
本体150は、金属もしくは他の無機材料など、適切な多孔質材料で作製される。本体150は、約9〜100mmのモジュール水力直径102を有し、モジュール水力直径102のモジュール長104に対するアスペクト比は1よりも大きい、セラミックのモノリス構造的な多チャンネル基体担体であることが好ましい。第1の複数の供給流れの経路またはチャンネル110は、モジュールの横断面に平行に分散し、ここで、複数の供給流れチャンネル110の大きさおよび形状は、モジュールの前面面積におけるチャンネル密度が7.8〜124チャンネル/cm2 (50〜800 チャンネル/in2)、および、チャンネル水力直径112が約0.5〜3mmと規定され、周縁距離120が、厚さ1.0mm(0.04in)よりも大きく、供給面積で標準化された開放前面面積(open frontal area)(OFA)の百分率が約20〜80%である。
【0020】
定義上は、標準水力直径(Dh)は、次の式で定義される:
Dh = 4(断面積/ぬれ縁)
したがって、二次元の形状では、水力直径は、周辺によって分割される表面積の4倍である。例えば、円の直径をdとすると、水力直径Dh=4[(πd2/4)]/(πd)=dである。しかしながら、正方形の長さLでは、水力直径Dh=4×L2/(4L)=Lとなる。一般には、水力直径は、表面積の容積に対する比と反比例の関係にある。
【0021】
モジュール前面面積は、中実基体の多孔質材料とチャンネルを含むモジュール本体の断面積である。例えば、円筒型モジュールの直径dでは、面積はπd2/4である。よって、開放前面面積の比は、モジュール面積に対する全開放チャンネルの面積の比である。例えば、10cm2のモジュール断面積では、チャンネル全体の面積が5cm2であれば、開放チャンネル面積は全チャンネルの断面積の合計であるから、開放前面面積比は、5/10=0.5である。
【0022】
モジュールの水力直径102は、約10〜50mmであることが好ましい。モジュール水力直径102のモジュール長104に対するアスペクト比は、約5〜10よりも大きいことが好ましい。
【0023】
図12を参照すると、本発明にかかる膜モジュール本体150の可能な形態が示されている。図1では、本体もしくはモジュール150は、円形の横断面と共に、円筒型で示されているが、モジュール150は、直方体を楕円形または他のアーチ型の形に切断した容積150B、もしくは正方形、六角形150Aもしくは長方形150Cの横断面を持つ他の形状のモノリス状の構造など、いずれの形でも構わない。本体150が高いアスペクト比(長さ/直径)を持つ限り、いずれの形状も可能である。一貫性および単純化の目的で、後に続く議論では、モジュール本体150には、優先的に円筒型を用いる。しかしながら、技術上の知識および方法(ノウハウ)を、膜モジュール本体の他の形態に適用可能である。
【0024】
図1および図1Aを再度参照すると、複数の供給流れチャンネル110は、モジュール前面供給流れの面積で標準化されたチャンネル密度が約7.8〜94チャンネル/cm2(50〜600チャンネル/in2)、チャンネル水力直径112が約0.5〜2mm、周縁距離120よりも小さいチャンネル壁間の網目状部分の厚さが約0.2〜5mm(0.01〜0.2in)、および開放前面面積の百分率が約30〜60%、具体的には約40%であることが好ましい。よって、最適化されたモジュール設計は、小さい流れチャンネル110および薄い網目状部分の厚さ130を用いることにより、高い分離表面積を提供する。
【0025】
少なくとも1つのパージ流れ210は、最大限の効率を得るために、水力直径212が約1〜10mmの単一のパージチャンネルであることが好ましい。パージ経路またはチャンネル210は本体150の中央に配置され、掃引流れ280を、パージ注入口2101から、本体150上にある相互に接続された細孔152で構成され、第1の複数の供給流れの経路110それぞれから本体150の外表面1522へとパージ排出口2102を通じて排出される第1組成物1852を掃引する、網目状に広がる複数の流体の流路もしくは曲がりくねった通路へと導入する。本体上の相互に接続された細孔152は、孔隙率が約20〜80%あり、細孔の容積の20%以上は、細孔の大きさが約0.5〜25μmであることが好ましい。しかしながら、細孔の大きさは約0.5nm〜25μmよりもさらに大きいサイズのいずれでもよい。
【0026】
供給流れの経路または供給チャンネル110は、中央のパージ経路210の周りに対称的に、モジュール断面上に分布している。周縁120では、網目状部分の厚さ130よりも厚い、適切な外膜としての厚さ(例えば、>1mmまたは0.04in)が好ましい。外膜もしくは周縁の厚さ120は、網目状部分の厚さ130から独立したパラメーターである。網目状部分の厚さ130は、基本的に、チャンネル110が互いに隣接する距離を決定する一方、外膜または周縁の厚さ120は、全体的なモジュール長および透過性に影響を与える。
【0027】
したがって、本発明は、単独、もしくは、水素の分離および/または精製などの気体または液体の処理利用可能な膜の担体として用いられる多孔質の本体部分を持つ、表面積が大きく、モノリス的構造をした、無機質の管状もしくは他の形状をしたモジュールについて教示する。
【0028】
一例では、モノリス構造をした膜モジュールは、好ましくは約10〜30mmのモジュール水力直径102を持つモジュール管の形状をしている。このモジュール水力直径102と共に、モジュール長104は、複数の供給流れチャンネル110それぞれの長さと実質的に等しく、高いアスペクト比のために約100〜3000mmの範囲にある。
【0029】
本体部分150では、セラミックのモノリス構造的な基体は、約1〜30μmの細孔サイズと約20〜80%の孔隙率を持ち、複数の曲がりくねった流れの経路または細孔の空隙を通じて互いに接続された細孔152を持つ、大きな細孔(macro-porous)のセラミック基体を提供する。細孔の大きさは、細孔の容積全体の20%よりも多くが、約0.5〜25μmの細孔サイズを持つことが好ましい。このような方法で、孔隙率は細孔の大きさとは別に規定される。したがって、担体、本体あるいは基体150は、それら細孔の特定の比が、好ましい透過性を与えるのに十分である限りにおいて、すべての種類の細孔サイズであってよい。
【0030】
このようにして特定の細孔サイズを規定することにより、基体の内側の細孔は互いに接続し、透過物などの第1組成物1852のための経路152を形成する。互いに接続している細孔構造は、モジュールに機械的強度をも提供する。網目状に広がる細孔構造もしくは互いに接続した細孔とは、細孔が互いに接続した曲がりくねった経路152を形成することを意味する。担体基体の内側に細孔が多数存在するがそれらが互いに接続されていない場合は、流体は通り抜けることができず、担体は単独での利用、または、膜の用途としては、適していない。細孔の接続性に関しては、良い規定方法がない。しかしながら、細孔の接続性は、電子顕微鏡検査法を利用することにより、定性的に分析することが可能である。一般に、細孔の大きさおよび孔隙率が十分に大きい場合、網目状に広がる細孔構造を形成可能である。
【0031】
細孔の大きさおよび孔隙率は、許容可能な測定方法で定量化することができる数字である。細孔の大きさおよび孔隙率は、一般的に、水銀ポロシメータおよび窒素吸着などの標準化された技術で測定される。細孔の大きさは、よく適用される方程式で算出する。しかしながら、細孔の長さを特定する良い方法はない。
【0032】
これら細孔の「接続性」は重要ではあるが、定量化するのは難しい。しかしながら、同一の細孔サイズおよび孔隙率の材料では、接続性は、大部分が膜担体の形成工程で決定される。基体または本体部分150は、骨格または基体材料として無機材料を用いた、既知の一体成形法または押出し法によって作製して構わない。黒鉛粒子、CeraMem Corporation社(アメリカ合衆国、ニューヨーク州)の反応性アルミナ・モノリス形成工程、単一チャンネルのアルミナ管などを導入するなどにより、コーニング社(アメリカ合衆国、ニューヨーク州)のディーゼル微粒子フィルタの形成と同一の処理方法など、既知の形成工程によって接続性が得られる。
【0033】
セラミックモノリスの材料は、ムライト (3Al2O3-2SiO2)、アルミナ (Al2O3)、シリカ (SiO2)、コージエライト (2MgO-2Al2O3-5SiO2)、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ-シリカ混合物、ガラス、無機耐火性物質および可塑性の金属酸化物からなる群より選択される物質から作製される。ムライトは、材料化学の分野で知られているように、異なる比率の可能性のある、数種類の他の可能な組成物と共に、Al2O3 + SiO2から生じる金属酸化物の化合物である。ムライトの結晶の形状は、膜の担体本体における他の材料と同様、高いアスペクト比(>5)を持つ中空糸、管または針状の形状、もしくは、低いアスペクト比(0.5〜5)を持つ従来からの結晶形、またはアスペクト比の高いムライトと低いムライトの混合物であってよい。アルミナ化合物Al2O3の通常の結晶相は、ガンマ(γ-アルミナ)、シータ、およびアルファ(α)であり、アルファ-アルミナ(α-アルミナ)が、一般に、他の相と比較して安定している。SiCは、化学的および物理的安定性の良い、耐火性の非酸化セラミック材料である、炭化ケイ素化合物である。コーニング社製のバイコール(登録商標)(Vycor)ガラスもまた、本体150の材料に利用可能である。
【0034】
モジュールの本体150は、複数の細長い開口部を持ち、所定の数の小さい流れチャンネル110を形成するための通路、流れ、経路またはチャンネルを含む、チャンネル化された部分を形成する。ある実施例では、チャンネルの大きさまたはチャンネルの水力直径112は約0.5〜3mmであり、一方、チャンネルの密度は約7.75〜62.0チャンネル/cm2(約50〜400チャンネル/in2)である。
【0035】
チャンネルの形状は、図のように円形もしくは丸みを帯びているのが好ましい。しかしながら、担体のチャンネルの形状は、六角形などの鋭角を持たない他の形状でもよい。たとえチャンネルが正方形の形状であっても、チャンネルの形状は、その後のコーティング処理で修正して構わない。表面特性(粗さ、付着性等)と同様に、チャンネル壁114の細孔の大きさおよび孔隙率は、1種類以上の中間コーティング層によって修正可能である。
【0036】
マイクロろ過、抽出、流体混合などの用途における異なる成分の処理には、多孔性の担体もしくは本体150自身を単独で利用可能である。しかしながら、気体分離およびナノろ過などの他の処理の用途には、膜コーティングが必要である。
【0037】
必要に応じて、基体よりも小さいサイズの細孔を有する多孔性材料の層160を、担体もしくは基体本体部分150のチャンネル壁114にコーティングをする必要があるかもしれず、また、単独でもしくは膜フィルム140と共に利用することもできる。コーティング層160は、以下の3つの機能を持つ。すなわち、(1)細孔サイズ、表面の滑らかさなど、チャンネル110の形状および壁の質感の修正、(2) 担体150の補強、および(3)膜の沈着効率および粘着性の向上である。コーティング層160は、厚さ約10〜200μmであり、細孔サイズは2nm〜約500nmである。したがって、1種類以上の中間層160は、随意的に複数の供給流れのチャンネル110の内表面または壁114に配置され、ナノまたはメソポーラス(細孔)層(細孔サイズ2〜50nm)を形成する。厚さは0.5〜50μmである。よって、2〜50nmのナノまたはメソポーラス層は、中間層として利用可能であり、もしくはナノ層と共に、中間層160の厚さが2〜250μmで、細孔サイズが2nm〜500nmの複合中間層として、外層に利用することも可能である。
【0038】
中間層160は、アルミナ、シリカ、ムライト、ガラス、ジルコニア、およびそれらの混合物からなる群より選択されることが好ましく、特にアルミナとシリカが好ましい。コーティング層160には、ゾル・ゲル法などの湿式化学法を適用しても差し支えない。
【0039】
随意的に、分離機能を提供する膜フィルム140を、さらに、随意的な中間コーティング層160に、もしくは、直接、セラミック担体の本体150の複数の供給流れのチャンネル110の内側の表面または壁114に、適用する。層160は別の層の存在なしに、単独で利用可能であるため、「膜」という語句は、一般に、層160のみ、層140のみ、または、層140と160の両方、を包含する。好ましくは無機質であるフィルム140は、パラジウム(Pd)、Pd‐AgまたはPd‐Cuなどのパラジウム合金、もしくはSiCまたはガラスなどの混合物中のある分子を透過させる、非金属の緻密フィルムなどの緻密層であって構わない。特定の適用のため、フィルム140は、ゼオライト、ジルコニア、アルミナ、シリカ、またはガラスなどの微細細孔(micro-porous)層(<5nm)であってよい。好ましい微細細孔の膜は、分子サイズレベルの分離機能を提供する。しかしながら、本発明にかかるセラミックの膜本体の担体150は、フィルム140のような高分子膜フィルムの担体としてもまた利用可能である。
【0040】
一般に、本発明の教示は、膜単独に関するものではなく、膜担体150および膜担体もしくは担体自身の収納に関し、ゆえに、適する膜のいずれの種類にも利用可能である。さらには、本体担体150は、観念的に分離に適しており、小さいサイズの分子を大きなサイズの分子から分離し、担体基体150を透過させる。
【0041】
一般には、先に述べた膜フィルムおよび担体の間に、ある中間層が必要とされる。小さいサイズの流れチャンネル(<3mm)110の本発明にかかる利用は、同型の薄膜層140の積層を促進し、また、内側の表面または壁114における有機層/セラミック担体接触面のおかげで、熱応力が低減される。例えば、約0.5〜2mmのチャンネルの水力直径112を有する小さいサイズのチャンネル110に適用することにより、それぞれメソ- (2〜50nm)および微細細孔(<2nm)膜コーティング層160および140の厚さを減じることが可能であり、修正コーティング層160の圧力低下を、同じ流束速度で低減させることができ、また、電力消費を節約し、さらに生産的で効果的な膜モジュール担体本体150を提供することができるであろう。
【0042】
したがって、高い表面積を得るための1つの典型的なモノリス膜担体本体150としては、膜コーティング140を補助するため、チャンネルの水力直径が約1mm以下の小さな円形のチャンネル110を有するセル密度が15.5セル/cm2(100cpsi)よりも大きいものが目標とされている。モジュールの寸法は、モジュールの水力直径102が約10〜50mm、モジュール長104が約100〜1000mmが目標とされる。典型的にはディーゼル微粒子フィルタ用のモノリスに用いられる、コージエライト、ムライト、α−アルミナ、SiCなどの異なる押出し成型用の材料は、細孔サイズ、孔隙率、および細孔の接続性を最適化し、高い透過性および高い強度を担体基体150に同時に与える。しかしながら、膜担体に用いられるチャンネルの形態は、排ガス規制の用途におけるモノリスディーゼル微粒子フィルタとは異なる。膜分離の圧力差(ΔP)は、実質的に、ディーゼル微粒子フィルタ用の膜よりも大きい。本発明は、例えば、気体の精製/分離のための圧力スウィング吸着(PSA)処理の代替のように、特に、高いΔPが要求される分離に有用である。
【0043】
一般に、圧力の低下は基体本体150の直径の縮小、細孔の増加もしくは本体150の孔隙率の増加によって低減させることが可能である。すでに述べた、ろ液の回収およびパージ機能を提供する本発明の教示から、本体基体の設計書またはモジュール設計は、実際に、所望の圧力差を実現し、各埋め込まれた供給流れのチャンネルにアクセスする外部のパージ流れを提供する。しかしながら、供給チャンネルおよび透過チャンネルの配置、特有のチャンネルの幾何学、特有の材料設計(細孔および孔隙率)などに見られるような、本体基体または本体設計における明確な差異の多様な組合せにより、処理装置10に用いるための様々な本体担体150が提供される。本発明は、用いられる膜モジュールの種類、および、パージ流れを導入して、各埋め込まれた供給流れチャンネル110の透過側を掃引することにより、各埋め込まれた供給経路またはチャンネル110の掃引を首尾よく行うための膜装置の配置方法について教示する。パージ性能は、処理時の透過速度を向上するのに重要であり、場合によっては、膜の再生もしくは持続のための掃除方法も与える。膜モジュール装置10に適した設計は、各膜チャンネル110の透過物側に直接アクセスするパージ流れを提供し、総合的な膜モジュール本体に各膜チャンネルを透過するためのパージ流れを導入し、結果として、以前よりもずっと改善された機械的完全性と、より安価な組立てコストを提供する。
【0044】
各供給チャンネルにパージ流れを導入する方法の1つとして、モジュールまたは本体基体150の中心チャンネル210は、パージ流れ280を導入し、透過物1852を、多孔質のモジュール基体150から出し、互いに接続された細孔152を通じて、個々の膜チャンネル110にパージのアクセスを可能にするため、モジュール本体1522の外表面にパージする。ゆえに、パージ流れ280は、中心線に沿って導入され、放射線状にモジュールまたは本体150の外側へ押し出される。パージ流れ280は、担体基体本体150の互いに接続された細孔または曲がりくねった経路152を通じて流れるため、供給流れ110のすべてが透過物の側に掃引される。これは、単純化のために図1および図1Aに示したような、2層のチャンネルに限定されるわけではなく、多くの層であって構わない。一般に、供給チャンネル110が外表面に近づくほど、透過流れの抵抗性が弱くなり、パージ流れの必要は少なくなる。
【0045】
この放射線状の掃引流れの設計を効果的に行うため、モジュール直径102は、モジュール本体150の細孔および孔隙率に比例(相応)することが好ましい。放射線状の掃引の設計のためには、モジュール基体150の担体基体を全体に渡って均一にする必要があり、供給チャンネル110を対称的に分散させる必要がある。
【0046】
放射線状の掃引流れのモジュール設計のためには、モジュール直径またはモジュール水力直径102は重要であり、また、約9〜100mmであることが好ましい。直径102が大きすぎる場合、パージ流れの抵抗は大きくなる。直径が小さすぎる場合は、モジュールは、操作や取り付けを行うのに十分な強度ではないであろう。よって、モジュール直径は、10〜100mmが、さらに好ましい。モジュールまたは本体150は、直径に対する長さ、もしくはアスペクト比が1以上である円筒状の形態が好ましい。第1の複数の供給流れの経路110は、平行に並んだ多数の流れのチャンネルであり、両端が供給流れ180の輸送のために開放されており、チャンネルの大きさは0.2〜5mm、チャンネル密度は1.55〜155セル/cm2 (10〜1000セル/in2)、開放前面面積が0.2〜0.8である。パージ流れの経路またはチャンネル210は、掃引流れを導入するため、本体150の中央線に沿って配置され、本体150の長さ104と同じかそれ以上の長さで、直径は約1〜10mmであり、掃引流れのポートを提供する。多孔質の本体基体150は、掃引流れ280のための曲がりくねった経路152を形成し、細孔の大きさは約0.2〜20μm、孔隙率は約0.25〜0.75である。膜処理の用途のため、分離膜フィルム140を供給流れ110の壁面114に積層し、第2または掃引流れチャンネル210の壁面には積層しない。しかしながら、第2の流れのための流路またはパージ流路または経路210は、複合性の触媒反応(combined-catalytic reaction)のための触媒層でコーティングすることが可能である。
【0047】
いずれにせよ、膜モジュールの本体150は、成形、もしくはセラミック・モノリスと共に用いられるのと同一の押出し工程により作製することが可能である。パージチャンネルまたは経路210は、第1の複数の供給流れ経路110として、同時に押し出し成形できる。あるいは、パージチャンネルまたは経路210は、モノリス本体150の中心線にドリルで穴を開けることによって作製することも可能である。
【0048】
図2、図2Aおよび図3を参照すると、図1に概略的に示される容器300に関し、多くの収納可能な構造の中から、2つの代替可能な実施の態様が、側面図で示されている。図2、図2Aおよび図3は、図1に図示した本体またはモジュール150を用いた膜装置10を図示したものである。装置10の基本的な構成には、図1に示す膜モジュールまたは本体150、および、空洞を提供し、その中へ取り込む、容器または収納300が含まれる。ポートを提供するため、容器300は、適切な流体もしくは気体のダクト、供給流れ180を排出するための滞留物(retenate)連結管(manifold)334、掃引流れ280を導入するための掃引注入ポート335、ならびに、掃引流れ280および透過物1852の混合物を排出するための第2または透過物排出ポート336を通じて、供給流れ180を導入するための、供給連結管またはプレナム(plenum)333を含み、中央のパージ経路210の一端は、随意的に、図1に示すセメントもしくは他の栓材料で作製された栓288によって塞がれる。
【0049】
本発明において示されるすべてのポートと同様、各ポートの位置は、単なる例示であり、示された正確な位置である必要はない。流束および処理状態が満たされている限り、ポートの位置は他の場所でも構わない。例えば、第2排出ポート336が図1および図2の片側にだけ示されているが、第2排出ポート336は、随意的に、代替として、もう一方の端に取り付けても良いであろうし、図3に示されるように、2つ以上の端に取り付けても良いであろう。放射線状の掃引流れの収納設計には、掃引流れの管理についての2つの選択肢がある。図2の最初の選択肢は、互いに接続された細孔もしくは曲がりくねった経路152を通じて、掃引流れ280のすべてが、本体150のモジュール基体内を通るようにし、透過物1852と一緒に排出される。
【0050】
図3を参照すると、第2の選択肢として、掃引流れ280の一部が、モジュール基体本体150の曲がりくねった経路152を通じて押し進むように強いられ、残りは、図1の栓288で塞ぐ代わりに、掃引排出ポート338から排出される。残りの掃引流れ288は、流入するまたは内側の掃引流れ280として、圧力、方向、量、および異なる流体の流れおよび連結管における他の流れの状態を調節可能なプロセス制御器400を通じて、再循環または連続して循環させることが可能である。
【0051】
ポートまたは連結管333、336および334は、ポート相互間の流れの識別および分離のため、片側に、水平方向に図示されているが、流れ180および1802の出入りを軸方向または水平に調節するバルブまたはプロセス制御器400などの外部調節を用いる代わりに、片側もしくはもう一方の側で、異なる流れが互いに分離され、混合が抑制されている限りにおいて、すべてまたは大部分のポートおよび連結管が垂直に配置され、重力によって自動的に流れ処理を調節できることは、好ましいことである。様々なポートおよび連結管の配置は、所望の流れが要望通りに、内側または外側に分離することができている限りは、自由裁量である。この構成では、生じる掃引流れはモジュール基体を通って押し出され、透過物をパージし、一方、残りの掃引流れは膜モジュールの外へ排出される。排出される掃引流れを、循環制御系400を通じて掃引注入口へと循環して差し支えない。制御系400には、循環ポンプ、流量調整器、圧力調整器などが含まれる。新しく投入される掃引流体288’は、循環流体と混ざり、膜モジュールに入る。
【0052】
様々な構成および実施の形態がすでに知られており、供給およびパージ流れの注入口および排出口として利用可能である。これら注入口および排出口の異なる形態は、すでに、混合タンク、抽出容器、単一チャンネル膜管、ディスク状膜モジュールなどのように、多孔質のセラミックモジュール150を含まない、従来型の分離/混合/ろ過装置によって実現されている。本発明は、供給注入口から各供給チャンネルへの供給、および、供給チャンネルすべてから排出口への残りの成分の排出方法と同時に、注入口から掃引流れを導入し、多数のパージ流路に掃引流れを分散させ、掃引流れおよびパージ流路からの供給チャンネル由来の成分の混合物を回収し、多チャンネルが埋め込まれた本体150の排出口へと排出する方法を教示する。一般に、本発明の教示にしたがい、注入ポート333および335は、供給流れ180および掃引流れ280が、均一に、個々の第1または供給流れ110および掃引経路210および152にそれぞれ分散される方法で設計される。同同様に、排出ポート334および336は、個々のチャンネルから来る流体がすべて効率的に回収される方法で設計される。
【0053】
図2もしくは3のいずれか、および図2Aを参照すると、分離または精製工程において、供給流れ180は、供給流れの注入口1101の各々と連結している供給連結管またはプレナム333を通じて、図1の供給流れチャンネル110に導入される。直接連結する供給流れの経路110が1000以上存在するなど、チャンネルが多すぎると仮定した場合、中央パージ流路210の周りの空間310は、供給流れ180が多数の供給経路110のそれぞれに流れるように提供される。モジュールまたは本体150の2つの端において、流れまたは掃引仕切り350として機能する目的で、対向するエンドキャップ370の内側、またはそれに結合して、あるいはその近くにシーリング剤が存在し、供給流れ280が、空洞または空隙310に入らないよう分離することが好ましい。エンドキャップ370は、例えば、流体の密封を形成するためのOリングなどの仕切り350によって、複数の供給経路110を封止する。
【0054】
供給流れ180は、供給チャンネル110のそれぞれを通過し、網目状の連結管334を通じて、図1の膜モジュールまたは本体150から排出される。その一方で、掃引流れ280は、掃引注入ポート335によって導入され、掃引注入口335が図1のパージ注入口2101と連結することにより、掃引流れチャンネル210へと流れ、曲がりくねった経路152を経由して膜本体基体150から外へ透過物1852を掃引する。透過物1852は、膜モジュールまたは本体150および容器または収納300の壁面または外表面の間にある空隙、空間または空洞310を介して回収され、透過物排出ポート336を介して排出される。
【0055】
図4を参照すると、図1〜3と同じく一般的な教示が、放射線状の掃引流れに水平に配置された図1の装置10の別の実施の態様に適用されて構わない。多孔質の本体150は、細孔の容積全体の20%よりも多くが約10nm〜20μmの細孔サイズを有するような細孔と接続した空隙を伴って、互いに接続した細孔152を持つセラミックのモノリス担体基体を持つ。セラミックのモノリス担体基体本体150の孔隙率は、約20〜80%が好ましい。第1の複数の供給流れの経路110のそれぞれを取り囲む経路の壁面114は、約0.2〜5mmのチャンネル水力直径112を規定する。供給流れの経路110は、約1.55〜77.5セル/cm2(約10〜500セル/in2)のチャンネル密度で分散され、開放前面面積(OFA)の百分率は約10〜50%である。一般に、供給流れの経路110のチャンネル密度は、第2の掃引チャンネルが現存するのだから、供給流れの経路自身および図1のOFAの元々の密度の半分になるべきである。したがって、新しい第1の複数の供給チャンネル密度は、約0.775〜77.5セル/cm2(約5〜500セル/in2)であることが好ましく、開放前面面積(OFA)の百分率は約10〜40%であることが好ましい。
【0056】
図1の単一パージ経路の代わりに、図4では、第2の複数または多数のパージ流路210が示されている。パージ流路またはパージ経路210では、供給経路またはチャンネル110の供給流れとは大きく異なるパージ流れの形状、大きさ、および孔隙率であってよい。すでに教示されたとおり、供給チャンネル110は、円形で、尖った角がないことが好ましく、随意的に膜フィルム140でコーティングされていても構わない。それに対して、パージ流路または経路210は、コーティングされていないか、もしくは複合性の触媒反応のための触媒層でコーティングされている。さらには、図4では、単純化のため円形で示してあるが、パージ流路210は、供給チャンネル110と似たチャンネル形態であって構わない。ただし、細長い長方形の形状でなくではならない。他の可能なパージまたは第2の流れの流路の形状には、正方形、六角形、または他の水理幾何が含まれる。
【0057】
第2の複数のパージ流路210は、チャンネル流路の水力直径212が約0.2〜10mmであることが好ましい。第2の複数のパージ流路210は、約1.55〜77.5セル/cm2(約10〜500セル/in2)のチャンネルまたは流路密度で分散され、開放前面面積(OFA)の百分率は約10〜50%である。
【0058】
第1の複数の供給流れ経路110は、第2の複数のパージ流路210と少なくとも1箇所で重なり、重なり角は0°〜90°である。2つの複数または多数の供給経路110およびパージ流路210は、代替案として、転心において、互いの上に位置することが想定可能であり、掃引流路210の軸方向の配置にとって、0°〜90°で旋回させることができる。0°〜90°の間の重なり角での重なりとともに、第1の複数の供給流れ経路110と第2の複数のパージ流路210の間の経路壁は、仕切りの壁厚430が0.2〜5mmであり、0.5mmよりも厚いことが好ましい。
【0059】
図面の枚数を最小限にするため、すべての重なり角が示されているわけではない。しかしながら、図4では、重なり角は90°であり、第2の複数のパージ流路210は、垂直に配置されている。第1の複数の供給流れ経路110は、開放されている対向した供給部分1101および1102、ならびに、開放された対向した掃引部分を通じて、パージ注入口2101およびパージ排出口2102を有する軸方向に掃引流れ280を輸送するため、開放されている対向した供給端に対して垂直に、反対側にある本体150上の第2の複数のパージ流路210を提供するための開放された対向した掃引部分を有する。
【0060】
図5を参照すると、図4のセラミック膜モジュールまたは本体150のみが示されている。本体または膜モジュール150の一部には、次のものが含まれる:細孔の大きさが10nm〜20μm、孔隙率が0.25〜0.75の多孔質の基体;供給流れ180のために両端が開放されている、チャンネルサイズ112が約0.5〜5mm、チャンネル密度が約1.55〜62.0セル/cm2(約10〜400セル/in2)、開放前面面積が0.3〜0.7の、多数の並列に配置された供給流れチャンネル110;供給流れチャンネル110に隣接し、供給チャンネル110に対して垂直方向に位置する、掃引流れのために両端が開放されている、チャンネルサイズ212が約0.5〜5mm、チャンネル密度が約1.55〜62.0セル/cm2(約10〜400セル/in2)、開放前面面積が0.3〜0.7の、多数のパージ流れチャンネルまたは流路210; および、仕切りの壁厚430が0.5〜3mmの、掃引流れおよび供給流れチャンネル/流路の間の分離壁。チャンネルの大きさおよび形状は、供給およびパージチャンネル/流路110および210のチャンネル密度と同様、同一である必要はない。担体または本体150が、水素などの気体を分離するための約100〜1000m2/m3の広い表面積を提供し、その上、良好な機械的強度も提供するように、供給流れチャンネル110の大きさは小さく、約1mmであることが好ましい。
【0061】
担体モジュールまたは本体150は、横断面の面積が10mm〜50mm、長さが50mm〜3000mmとなるように建設されているとしても、この種類のモジュール設計にとって、寸法の制限はない。断面は、円形または図12に示すように必要とされるパッケージに基づいて正方形の形状であって構わない。供給側のチャンネル密度および大きさは、それぞれ約1.55〜62.0セル/cm2(約10〜400セル/in2)および0.5〜5mmである。掃引側のチャンネル密度および大きさは、それぞれ約1.55〜62.0セル/cm2(約10〜400セル/in2)および0.5〜5mmである。供給チャンネル層110および第2または掃引チャンネル層210は、代替として、積み重ねられ、流れの方向は交差している。供給チャンネル110の小さいチャンネルサイズ(1〜2mm)および、供給110および第2の流れ、透過物、掃引もしくはパージチャンネル210の代替物の積み重ねは、特定の分離面積を増進し、モジュールまたは本体150の機械的完全性を強化し、担体基体本体150の内側の、相互に接続した細孔または曲がりくねった経路152に通じる拡散経路を短くする。供給チャンネルの形状は、円形が好ましい。供給側と掃引側を隔てる壁は、細孔の大きさが約5nm〜5000nm、孔隙率が約0.1〜0.8の多孔質材料で作製される。細孔は、細孔の網目状組織152が担体基体に存在するように、相互に接続されていることが好ましい。
【0062】
ゼオライト膜140および担体本体150の両方が、安価な材料前駆体から作製されることが好ましい。原材料コスト自体は、パラジウムを基礎とした材料よりも格段に安価であろう。主要なコストは、押出し成形の工程、担体のコーティング、およびゼオライト膜の合成に起因する。担体材料の候補としては、アルミナ、ムライト、チタン酸アルミナ、コージエライト、SiCおよび「バイコール」ガラス、もしくは他のセラミック材料が挙げられる。アルミナ材料は、むき出しの担体の上にコーティングされ、界面化学および微細構造を修正する。下記の表は、膜担体本体150の典型的な寸法の例を示すものである。実際の寸法は必要とされる適用の特定の種類に基づいて変更されるであろう。
【表1】
【0063】
膜モジュールまたは本体150は、いくつかの方法によって作製可能である。ある方法では、1つのシートにおける供給チャンネル幾何学110および別のシートにおけるパージ流路幾何学で押出し成型される個々のシートは、素地の形態に、代わりに積み重ねられてもよい。次に、組立て品を高温で焼成し、まとまった単一の本体を形成する。別の方法では、供給チャンネル110は、モノリスの形状に押出し成型される。パージ流路210は、ドリルで穴を開けるか、第2の成型工程によって、押出し成型された素地で作られる。次に、本体を高温で焼成し、機械的強度を得る。モジュールの大きさに理論上の限界はない。しかしながら、効果的な膜分離の実施にとって、膜モジュールまたは本体150は、アスペクト比(長さ/直径)が1より大きい、すなわち、完全な立方体のような形状ではないことが好ましい。
【0064】
メソポーラス材料である随意的な中間層160は、担体の供給チャンネル壁112にコーティングをすることが必要であろう。中間コーティング層160は、厚さが約0〜100μm、細孔の大きさが1nm〜約100nmである。中間コーティング材料160の例には、アルミナ、シリカなどが含まれる。中間コーティング材料160は、ゾル・ゲル法などの湿式化学法によって適用可能である。
【0065】
ゼオライト膜層140は、随意的な中間層160より上の、供給チャンネル壁112上に積層される。ゼオライト合成工程の間、掃引側もしくは掃引または第2の流路210上のチャンネルもしくはチャンネル壁210は、一般に、ゼオライトのコーティングからの隔離、被覆、もしくは他の保護を必要とする。ゼオライト材料の選択は、必要とされる特定の分離工程によって決定される。疎水性には、シリカライトまたは多結晶のMFT型ゼオライトが必要とされる。親水性にとっては、A型ゼオライトが好ましい。大きな細孔サイズには、XまたはY型のゼオライトが好ましい。高いイオン交換容量には、アルミナ/シリカの比が低いゼオライトが必要とされる。成長を促進させるためには、ゼオライト結晶の種を、まず担体または本体150に積層することが必要であろう。
【0066】
ゼオライトが成長する以前にゼオライト結晶間およびゼオライトと担体の間に形成された間隙または小さい穴を、ゼオライトが封止するために、ゼオライトを複数回成長させることが必要であろう。担体または本体150が適切な寸法で作製されない場合、小さく長い流れチャンネル110の内側に欠陥のないゼオライト膜140を調製することは、材料加工の難しい課題である。
【0067】
ゼオライト結晶は、担体または本体150と結合し、必要な密着強度を有することが必要である。担体150の化学組成物および微細構造は、しばしば、ゼオライト膜140の調製に影響を与える。個々のゼオライト結晶中の間隙は、結晶の群生(inter-growth)によって塞がれなければならない。ゼオライト膜140にゼオライトの分離機能を発揮させるためには、ゼオライトチャンネル110が分離流れのための流れ経路のみで構成されるように、欠陥もしくはゼオライトチャンネルよりも大きいピンホールは封止する必要がある。よって、ゼオライト膜140の性質は、適切に管理された方法を用いて適切な合成条件下で調製される。
【0068】
ゼオライト膜の生成および基本的理解については、著しく進歩している。用いるゼオライト材料としては、A型、Y型、MFI型のゼオライトおよびシリカライトが挙げられ、一方、ゼオライト膜を補助するのに用いられる担体材料には、γ‐アルミナ、α‐アルミナ、SiC、コージエライト、および「バイコール」ガラスが挙げられる。本発明にかかる水素パージ作用もしくは適用の改良にとって好ましい、ケイ酸含有量の高いMFI型のゼオライトは、広範囲にわたって文字どおり研究されている。ゼオライト膜の合成技術は、大まかに(1)その場水熱合成法、および(2)二次成長および気相輸送法、に分類される。その場水熱合成法の基本的な手順は、担体または本体150を合成液またはゲルと直接接触させ、次に、熱水条件下で担体150の表面にゼオライトフィルムを成長させる。多くの事例では、ゼオライト膜のその場合成はゼオライト粉末合成と似た条件下で行われる。二次成長方法は、2つの工程から成る。最初の工程は、ゼオライト結晶の種で担体をコーティングすることであり、二番目の工程は、熱水合成によって、種層を途切れのないゼオライトフィルムに成長させることである。典型的には、安定した液相中で生成する小さいゼオライト結晶は、機械的洗浄または浸漬コーティング技術のいずれかによってゼオライトの種を植え付けるのに用いられる。二次成長法における第2の工程の目的は、種を、結晶の間に隙間を生じさせずに、連続した膜へと成長させることである。第2工程は、その場合成の手順とまったく同じように行う。その場合成と比較して、二次成長法は、大量の希釈合成液、より低い合成温度、および、より短い合成時間を必要とする。
【0069】
ゼオライトの分離機能を発揮する膜に関しては、文献で報告されており、そこにはゼオライト膜生成の基本的な実現可能性が示されている。しかしながら、小さいディスクや単一の管に基づいた合成法を、多チャンネルおよび/または長い管にスケールアップすることは、別の難しい課題であることがわかる。所望のモノリス構造は、供給チャンネルの大きさが約1mm、長さが>30cmであり、以前に用いられていたものと比較して、非常に狭く、長い。こういった小さく長いチャンネル110の内側にゼオライト膜140を積層することは、未だに大きな技術的課題ではあるが、本発明にかかる教示によってすでに示されたとおり、モノリス担体本体150の孔隙率を増大させることによって、流束を改善することについては大きな可能性がある。
【0070】
図6、図6Aおよび図6Bを参照すると、図5のモジュールまたは本体150の利用による膜装置の処理の概略図が、装置10に含まれた本体150を示す図4の単純化された斜視図と同じように示されている。装置10のための基本的な構成部品には、膜モジュールまたは本体150を包含するための空洞、隙間または空間310を提供するための
容器または収納300が含まれる。
【0071】
注入および排出パージポート335および336が、一体化していない場合、あるいは、物理的にパージ流路の流れ注入口2101および排出口2102の開口部に、材料に適合したプレナム、フェルール、もしくはコネクタを通じて接続され、物質が直接ポートされてしまい、適切な調節および適切な材料の適合が必要とされる場合、非常に多くの供給経路110へのポートにとっては、配置のアンバランスおよび材料の不適合は、もはや障害ではないであろうことから、間接的または自由流れのポート組立体がより容易でより経済的であろう。容器300の壁とモジュール本体150の間の空間または空隙310は、注入ポート335から多数または1つのパージ流れ流路210のプレナムにパージ流れ280を分散させ、多数または1つのパージ流れ流路210から排出ポート336へとパージ流れを回収することが必要であろう。したがって、パージ注入口335をパージ排出口336から分離するには、スペーサまたは掃引仕切り650が必要である。そこには1つの掃引流れのみが存在しなくてはならず、単一の掃引流れは、膜モジュール150内をワンススルー(once-through)やジグザグなどの異なるパターンで自由に移動し、掃引流れ280と一緒に透過物1852を掃引することが可能である。そのことは、掃引の主目的である。しかしながら、透過物1852が掃引されない場所に入り込んでしまった場合、「デッドスペース」〜利用されない空間〜が生じるであろう。したがって、空間310は、掃引流れ280のための余分のパージ流路を提供し、本体150の外表面からの透過物を掃引する。掃引流れが本体150の必要とされる表面すべてに滑らかにアクセスできるようするためには、収納または容器の形状は、「デッドスペース」を最小限にするため、図に示すように、円または丸みを帯びていることが好ましい。しかしながら、容器の形状は、尖った角がない他の形状でも差し支えない。
【0072】
供給連結管333は、プレナムまたは他のダクト装置を通じて供給流れ180を導入する。網目状の連結管334は、排出口1802として、供給流れ180を排出する。パージ注入ポート335は掃引流れ280を導入し、パージ排出ポート336は排出口2102として掃引流れを排出する。
【0073】
図6および図6Aを参照すると、流れの仕切り350は、供給流れ180を掃引流れ280と分離する目的で、本体150および容器300の間の空間310に配置される。この流れの仕切り350は、弾力性のある材料で作製される分離第1密封パッケージではあるが、特定の処理の適用に耐久性があるであろう。例えば、流れの仕切り350は、弾力性のあるディスク、もしくは、本体150の周縁を取り囲む適切な大きさのO−リングであって構わない。あるいは、流れの仕切りは、特徴または収納における他の突き出た特性(protruding features)を止める(detent)ことができる。この流れの仕切り350は、注入供給流れ180が最初に導入され、または最後に統合される場所に近いモジュールまたは本体150の両端で、供給流れ180を掃引流れ210から分離する。
【0074】
収納または容器300の材料は、用途によって決まる。高温および/または高圧の適用には、容器300は鋼鉄、典型的にはステンレス鋼から作製される必要がある。モジュールまたは本体150は取り外し可能でなくてはならないため、仕切りは収納または容器300の一部でないことが好ましい。しかしながら、仕切りの設置/取り外しが簡単で、漏れが生じない方法で、収納または容器300に何らかの機能を内蔵しても構わない。
【0075】
容器300の形状は、カラムまたは管などの円筒型であることが好ましい。いずれの形状の容器300においてもデッドスペースは存在するが、優れた収納設計によって最小限にできるであろう。図6および図6Bを参照すると、掃引仕切り650として機能する第2の密封パッケージは、掃引流れ210の注入口2101および排出口2102を分割する。一例として、弾力性のある細長い形状をした2つの掃引仕切り650は、直径の対向する両端に沿って配置され、直径を二分し、注入および排出掃引ポート335および336を提供して差し支えない。容器300は円筒型であり、本体150もまた、図4に示すとおり、円筒型の形状であり、残りの空間310とともに容器300内に収まるのに十分小さいサイズであることから、掃引仕切りまたは第2密封パッケージ650は、似たようなアーチ型の形状をしたシリコンまたは他の種類の耐久性のある弾力性のある細長い形状であってよく、パージ流れ280の排出口から注入口を分離するために、注入および排出掃引流れ280に垂直に、隣接して、リング状の部分310を二等分する対向したアーチ状の空間に配置されて差し支えない。本体またはモジュール150は円形の断面と共に円筒型として図に示されているが、すでに図12に関連して論じたとおり、モジュールまたは本体150は、直方体、もしくは正方形、六角形、または長方形の断面を有する、他の形状をしたモノリスなど、いずれの形状であってもよい。
【0076】
図14を参照すると、容器300が円筒型で、本体150Cが正方形の形状で、円筒側の横断面を4つに分割されたアーチ型の空間または間隙310になるように分割するのにちょうど十分な大きさであった場合、掃引仕切りまたは第2密封パッケージ650Cは、似たようなアーチ型の形状のシリコンまたは他の種類の耐久性のある弾力性のあるガスケットであってよく、パージ流れ280の注入口と排出口を分離するために、注入および排出掃引流れのアーチ型の空間部分310に垂直に、隣接して、対向したアーチ型の空間に配置され、提供される空間にうまく適合する形状であって差し支えない。
【0077】
あるいは、容器300が長方形である場合は、掃引仕切りまたは第2密封パッケージ650は、似たような形状をした薄いシリコン層または他の種類の耐久性のある弾力性のあるガスケットであってよく、パージ流れ280の注入口と排出口を分離するために、注入および排出掃引流れのアーチ型の空間部分310に垂直に、隣接して、対向した長方形の空間部分に配置され、提供される上部および底部の空間にうまく適合する形状であって差し支えない。2層の代わりに、掃引仕切りまたは第2の密封パッケージ650は、2つの分割された空間、もしくは、本体150から上または下方向に伸びる、よう壁(retaining wall)であり、本体150と容器300の間にある、本体150の上下の空隙もしくは空間310を通じてパージ流れ280の迂回路を遮断して構わない。
【0078】
また図6および図6Bを参照すると、分離工程には、典型的に、供給流れ180と掃引流れ280の間に大きな勾配圧力またはΔP(2×105〜35×105Pa)170が存在する。したがって、流れの仕切り350は、分離膜を通じて流れることなしに、供給流れ180が掃引流れ280に入ることを妨げるのに十分な強度が必要とされる。対照的に、パージ流れ注入口2101と排出側2102の間には、それほど大きな勾配圧力は存在しない(<0.5×105Pa)。掃引仕切り650は、流入する掃引流れ280を、膜本体150の外側にある開放された開口部もしくは穴2101を通じて、膜本体150の内側のパージ流れチャンネル210に入るように強いる。したがって、図1〜6に示す膜装置では、単純で単一な一の掃引工程のみを行うことが可能である。
【0079】
再度、図6および図6Bを参照すると、供給流れ180と掃引流れ280を分割する流れの仕切り350のための仕切りの材料は、軟ステンレス鋼、グラファイト、高密度セラミックス、炭素複合繊維などから、O−リングもしくはフェルールの形状で作製することができる。この種の密封パッケージ材は、一般に、高価ではあるが、市販されている。供給流れ180と掃引流れ280の間に、大きな圧力勾配を適用することから、この高価な材料は、機械力下で空間を密封するのに用いられる。
【0080】
しかしながら、掃引流れ280のための仕切り材650は、高い圧力差に耐える必要はないことから、多くの材料が利用可能である。グラファイト、高温耐性の「テフロン」(登録商標)、石英ウール、ガラス繊維、ファイバーフレックスなどで作製されたO−リングなどの可撓性材料であることが好ましい。他の多くの別の種類の作動条件下で安定な材料が市販されている。
【0081】
図7、7Aおよび7Bを参照すると、図5に示す同様の単一の膜装置150を用いて、多段式の掃引を可能にしている。例に示すような半円の仕切りリング、各パージ流路の開口部に挿入された2つの円形の栓、もしくは、パージ流路の2つの開口部を覆う収納の、上下の表面に接するための単に長方形のストリップ(strip)、として用いられる付加的な既知の仕切り358および358’は、パージ流れ280が流路210を通じて頻繁に滲出することから、パージ流れ流路の注入口と排出口を分離するため、角の掃引の仕切り350の同一の側に配置される。リングまたはストリップは、容器300およびモジュール本体150の形状に応じて、掃引流れの分離に利用可能である。したがって、仕切りは、容器が300である場合、アーチ型の部分もしくは半円の仕切りリングであってよい。図7に示す付加的な掃引もしくは既知の仕切り358は、ジグザグの掃引流れを作り出し、膜の性能を向上させる。例えば、パージ流れは右側から開始し、パージ流路210を通じて左側へ移動し、パージ流路210を通じて右側に戻り、左側へ移動する、といった具合である。
【0082】
したがって、図7に示すとおり、膜モジュール本体150に沿ったジグザグの掃引流れの経路は、付加的な掃引仕切り358および358’を、膜本体150に沿って、あるパターンで分散させることによって作り出すことができる。図7に示すパターンのジグザグによって、掃引流れ810は、入り口における掃引流れの流入210に逆らって流れている。したがって、全体的な逆行する掃引処理は、全体的な流れの方向が供給流れの方向と反対であるところにもたらされる。
【0083】
図8を参照すると、パージ流路210と供給経路110の間の重なり角は、図4の90°に代えて、今度は0°であり、他はすべて同様になっている。したがって、第2の複数のパージ流路210は、第1の複数の供給流れ経路110と平行に配置される。しかしながら、パージ流路210は、両端が塞がれている。よって、少なくとも2つのパージ注入口および排出口は、掃引流れ280をパージ注入開口部2101から、本体にある第2の複数のパージ流路210へと輸送し、またパージ流れ混合物1852を本体にある第2の複数のパージ流路210からパージ排出開口部2102へと排出するため、栓をした開口部と垂直になるように、対向する側の本体に連結した少なくとも1つの開口部を包含する。
【0084】
したがって、多数の流れチャンネル110は、平行に配置され、供給流れ180のために両端1101および1102が開かれ、チャンネルの大きさ112は約0.2〜5mm、チャンネル密度(約1.55〜155セル/cm2(約10〜1000セル/in2))、および開放前面面積は0.2〜0.8である。掃引流れ流路210の多数もしくは1つの層は、供給流れチャンネル110の他の層に隣接し、平行に重なるように配置される。掃引流路210は、ずらされ(offset)または供給チャンネル110と一緒に直線的に配置せず、機械的完全性を最大限にすることが好ましい。しかしながら、最大の掃引効果を確保するため、掃引流路210があたかも、供給チャンネル110によって定義される正方形の4つの角の中心に位置するかのように、各掃引流路が4つの流れチャンネル110の内側に集中することが好ましい。掃引流路210は、掃引流れ210が、流路もしくはチャンネルの大きさ212が約0.2〜5mm、チャンネル密度が約1.55〜155セル/cm2(約10〜1000セル/in2)、および開放前面面積が0.2〜0.8で通るように、両端が閉じられている。開口部(aperture)2101および出口2102は、一直線になるようには接続されていないが、オフセットで、掃引流れが掃引流路210に注がれるようにし、隣接した供給チャンネル壁114を最大限にきれいに掃除する。排出経路(egress)の断面においてパージ排出開口部2102と直線的に直接接続された各パージ注入開口部2101を持たないことによって期間的完全性を最大限にするため、膜本体150の外側の表面にある同じ開口部の一部として、供給チャンネル110の両端の近くにおいて、多数の排出経路921は、穴または開口部2101および2102と接続している。排出経路921は、本体150の内側の各掃引流れチャンネルまたは流路210を切断し、等分し、妨害し、あるいは反対に、外側の開口部2101または2102に接続される。排出経路921の幅または注入または排出開口部2101または2102は掃引チャンネルの大きさ212と同じかまたは小さい。排出経路921の長さ、もしくは、注入または排出開口部2101または2102は掃引チャンネルの大きさ212と同じかまたは大きい。開口部の深さまたは排出経路921の長さは、すべての掃引流路210よりも長く、掃引チャンネルの大きさ212と同じかまたは大きくなるようにし、注入口または排出口2101または2102における本体150の外表面から最後の掃引チャンネルまでの開口部の深さが連続するようにする。供給およびパージ流れチャンネル110および210の間の仕切りの壁厚430は、約0.5〜3mmである。本体150は細孔の大きさが約10nm〜20μm、孔隙率は約0.25〜0.75の多孔質基体であることが好ましい。
【0085】
図9を参照すると、図9の円筒型本体150が示されている。他の形状のモノリス本体150も、図12で論じたとおり、本発明にかかる教示にしたがって利用可能であることは好ましいことである。
【0086】
図10、10Aおよび11を参照すると、図9に示したものと同様の本体150は、容器300によって封入され、また、設置されて空隙310を提供する。パージもしくは掃引注入ポート335または排出ポート336は、モジュールまたは本体150の外側から、本体150の内側の個々のパージ流れチャンネルまたは流路210にパージ流れ280を導入するため、もしくは、本体150の内側の個々のパージチャンネル210から膜本体150の外側に流れを引き込むための連結管の機能を果たす。ポート335または336のそれぞれのための排出経路921の各開口部、穴、または開口は、1列のパージ流れチャンネル210に関連する。必要に応じて、3箇所以上のパージポート335および336のための開口部を、掃引流速に基づいて作製することが可能である。供給流れの容積率に対する掃引流れの容積率の比は、10よりも小さいことが好ましい。
【0087】
本体150の膜モジュールは、セラミック・モノリス用などの押出し成型法によって作製可能であり、さらに、経済的な鋳造法もまた利用可能である。連結管のスリットとしての役割をする開口のための注入または排出開口部2101および2102を含む排出経路921は、焼成前に、モノリス素地に設けられる。多数の穴あけ機を用いて、本体の外側から内側の方向に向かって穴をあけることができる。両端のパージ流れチャンネルまたは流路210は、焼成後に、セメントなどの栓材料958を用いて塞ぐことができる。栓材料958は、押出し成型本体150と同一または同様の熱膨張係数を有することが好ましい。さらには、栓材料958は、パージおよび供給流れ相互間に、流れの交換を避けるため、機密性、および、流れの仕切りとしての役割も必要とされる。モジュールの大きさに制限はない。しかしながら、モジュールまたは本体150は、>1または>5などの高いアスペクト比(直径に対する長さ)であることが好ましい。モジュール横断面は、図12を参照して論じたとおり、正方形、長方形、六角形または円形の形状で作製されることが好ましい。
【0088】
他の実施の態様の場合、装置10のための基本的な構成部品には、図9の膜モジュール150、容器または収納300、供給流れ180を導入するための供給連結管333、供給流れ180を排出するための網目状の連結管334、掃引流れ280を導入するためのパージ注入ポート335、および掃引流れ280を排出するためのパージ排出ポート336が含まれる。
【0089】
図6に見られるように、パージ流れ280と掃引流れ180を分離するため、モジュールまたは本体150の両端で流れの仕切りとして機能するための対向したエンドキャップ370の内側の流れの仕切り350には、シーリング材があることが好ましい。エンドキャップ370は、例えば流体を密封するための、O−リングなどの流れの仕切り350によって、複数の供給経路110に対して封止される。
【0090】
再度、図10、10Aおよび11を参照すると、O−リングもしくは他の種類の密閉リングなどの掃引仕切り650は、掃引流れ280の注入口2101と排出口2102を分割する。空間または空隙310は、膜本体150および容器300の壁の間に存在する。空隙310は、掃引供給335をモジュールまたは本体の内側のパージ流路210に分布させるためにある。
【0091】
掃引仕切り650は、その空隙310の部分を満たし、掃引流れ280が空隙310を通じて流れること、および、パージ流れチャンネル210を迂回することを防ぐ。したがって、掃引仕切り650は、入ってくる掃引流れが、膜本体150の外側開口部または穴2101を通じて、膜本体150の内側のパージ流れチャンネルまたは流路210に入るように強いる。容器300が円筒型であり、本体150が円筒型の形状で、残る空隙310とともに容器300に収まるのに十分小さい大きさである場合、掃引仕切りまたは第2の密封パッケージ650は、注入口をパージ流れ280の排出口と分割するための空隙の環状部分310に配置された、同様の形状をしたアーチ型のケイ素、または、他の種類の二等分可能な弾力性のリングであって構わない。
【0092】
図13を参照すると、容器300が円筒型で、本体150Cが正方形の形状で、円筒側の横断面を4つに分割されたアーチ型の空間または空隙310になるように分割するのにちょうど十分な大きさであった場合は、第1の密封パッケージまたは流れの仕切り350、および、掃引仕切りまたは第2の密封パッケージ650は、それぞれが、似たようなアーチ型の形状をしたケイ素または他の種類の丈夫な弾力性のあるガスケットの4片のセットであってよく、パージ流れ280の注入口と排出口を区分するために、注入および排出掃引流れのアーチ型の空間部分310に垂直に、隣接して、対向したアーチ型の空間に配置され、提供される空間にうまく適合する形状であって差し支えない。容器300が長方形である場合、および、空隙310が十分に細い場合、長方形の本体150の周りのO−リング650および350もまた、充足するであろう。
【0093】
再び図10を参照すると、分離または精製工程では、供給流れ180は供給連結管333を通じて供給チャンネル110に導入され、供給チャンネル110を通じて移動し、網目状の連結管334を通じて膜モジュール本体150から排出される。一方、同時に、連続した第2の流体工程に見られるように、掃引流れ280は、パージ注入ポート335によって導入され、パージ流れチャンネルまたは流路210に入り、パージ排出ポート336から排出される。実線の矢印で示されるように、掃引流れの方向280は、逆流または、供給流れの方向180に対して反対の、平行方向であることが好ましい。しかしながら、単純に、反対端334で供給流れを導入し、もう一方の端333で供給流れを排出することにより、掃引流れの方向は供給流れの方向に対して同方向になる。あるいは、供給流れ180の元の実線の矢印の方向を保つので、掃引仕切り650は、パージ注入口2101として用いられるであろうパージ排出口336のさらに近くで作動させることによって、流れの方向を定める仕切りとしても機能させることが可能であり、パージ流れ280は、排出口335を通じて、元々示されたように反対方向において、排出されるであろう。したがって、流れの方向を定める仕切り650は、流れ180と280の間の相関的な方向を選択するため、本体150と容器300の間の空隙310に配置され、ここで、流れの方向を定める仕切り650は、掃引流れ280の入り口部分と掃引流れの排出部分を分割し、パージ性能を最大限発揮させる目的で、掃引流れを、供給流れ180の方向と逆方向または同方向に流すようにすることが好ましい。
【0094】
供給流れ180の一部またはほんの少しを、膜壁の互いに接続した細孔を通じて、掃引流れ280へと輸送し、透過物の経路1852を提供する。掃引流れ260は、それに関係する全パージ流路、注入口、排出口、および連結管と一緒に、本発明において、しばしば、掃引またはパージ流れとして参照されてはいるが、掃引流れ280は、供給流れ180である第1の流れとは別の、いかなる第2の流れであっても構わないということは、好ましいことである。
【0095】
操作上、本発明にかかる膜パージ工程は、示された実施の態様のいずれかを利用することが可能である。2つの異なる種類の流体の流れ相互間の大量輸送または交換を包含する、吸着工程、抽出工程、および他の混合および反応工程として、膜モジュール装置10は、高生産力および低コストが実現されるように、これらの工程を連続的な方法で行うことを可能にする。本体150の膜モジュール設計は、所望の性能を達成させる鍵である。膜モジュールは、2つの流れ相互間に大きな接触面積を有すること、および、担体基体150に対する高透過性を有することもまた必要とされる。
【0096】
本発明にかかる装置10は、2つの異なる流体の流れ180および280の混合に利用することもできる。掃引側から導入される1つの流体流れ280に、圧力勾配の下、多孔質の膜壁140を通じて、供給チャンネル110から導入される別の流体180を加える。これにより、2つの流体180および280を、さらに制御された方法で混合することができる。さらには、チャンネル壁にある互いに接続された細孔または曲がりくねった経路152の小さいサイズの細孔は、混合される流体を高度に分散させることができる。言い換えれば、ナノサイズまたはマイクロサイズの粒子の形成のための、小さい水滴またはドメイン・サイズの生成を可能にする。1つの事例は、ペリレンのナノ分子生成への利用である。ペリレンは、生物学および医療の分野で多く用いられる、蛍光性およびエレクトロルミネセンス性の色素である。細孔サイズが約10〜100nmである膜モジュール本体150は、水性の溶液中でナノサイズのペリレン粒子を生成するのに利用可能である。ペリレンのエタノール溶液(1×10−5〜1×10−3M)を掃引側から膜モジュール装置10に導入する一方、供給チャンネル110に水を満たし、流す。約0.1×105〜2.0×105Paの圧力勾配170を、掃引280および供給流体180の間に適用し、ペリレン溶液が膜140を透過し水相へ入るようにする。膜の細孔の大きさは、水相に入るペリレンの大きさを限定する。結果として、10〜100nmの大きさの、分散したペリレン粒子が水相に形成される。したがって、掃引および供給流路/チャンネル210/110の注入および排出を、以下に示す:
掃引側
入 高濃度のペリレンのエタノ−ル溶液
出 非流体、もしくは低濃度のエタノール溶液
供給側
入 ペリレン粒子を含まない、または低濃度のペリレン粒子の水溶液
出 高濃度のペリレン粒子の水溶液
したがって、ペリレンの粒度および粒度分布は、膜の細孔サイズおよびサイズ分布によって調節可能である。混合率は、圧力勾配および膜厚を調整することにより調節可能である。無機の膜140は、特に、有機材料を包含し、および/または高温が要求される、混合の工程に効果的である。
【0097】
本体または膜150自身のちょうど良い細孔の大きさおよび細孔の大きさの配分(約10〜100nmなど)は、膜層140を追加して配置することなく、混合工程に利用可能である。しかしながら、モジュールまたは本体150において、細孔サイズ(0.2〜20μmなど)が特定の適用に適さない場合、および/または適切な表面特性(滑らかさ、疎水性、親水性など)、その結果、膜フィルム140、または、単独あるいは膜フィルム140と一緒に用いられる(10〜100nmの細孔の大きさで、など)、好ましくは無機材料で作製された改質層160は、担体の細孔の大きさおよび表面特性の改質に利用して構わない。
【0098】
抽出工程は、本発明にかかる膜モジュール装置10に利用可能な分離または精製技術の類のひとつである。吸着は、液相または気相であってよく、一方、抽出は、液相で行う。抽出の工程では、目標とする種は、2つの異なる液相の流体で異なる溶解度を有し、溶解性の低い流体中の種を、より溶解性のある流体の方へ抽出する。典型的な抽出工程では、2つの液相の流体を混合し、分配平衡に達するように接触させ、次に、2つの流体に分離する。2つの流体間の効果的な接触あるいは良好な抽出効果のため、2つの流体はよく混合する必要がある。しかしながら、2つの流体が従来の工程で良く混合される場合、それらを分割するのは困難である。それゆえ、従来の溶液抽出工程が、実績のある単位処理工程であるとしても、まだなお技術的限界がある。例えば、充填カラムまたはミキサー・セトラーなどの溶液抽出装置は、狭い流量範囲でのみ処理可能である。さらには、二相間の密度差を必要とする。
【0099】
膜の装置10は、抽出工程を連続的方法で行うことを可能にする。操作上、図1〜13を含むいずれかの実施の態様を参照し、供給流れチャンネルまたは経路110の内表面または壁に配置された膜フィルム140が、吸着剤のフィルム層として利用するためのゼオライト材などの吸着剤である場合、装置10の用途としては、供給および掃引流れ相互間の圧力差約0〜約2×105Pa、温度0℃〜100℃で連続的抽出工程に利用可能である。2つの流体は、膜層140に界面接触し、透過される第1の組成物1852の中の目標とする種が第1流体Iまたは供給流れ180から第2流体II、掃引、パージ、または他のいずれかの第2の流れ280へ抽出される。このようにして、2つの大量の流体が最初の場所では互いに混ざり合わず、それゆえ、分離する必要もない。明らかに、抽出効果を大きくするには、界面積を(膜面積と同じく)可能な限り大きくする必要があり、多数の、小さいサイズの供給チャンネル110を利用する本発明によって、大きくできる。膜装置10は、さらに、他の混合または反応工程にも利用可能であり、それには、1つの流体流れから他の経路への大量輸送が含まれ、また、大量輸送速度は界面積または膜表面積に比例する。したがって、膜厚は、膜140を通じて高い大量輸送速度を有するため、薄いことが必要とされる。ゆえに、膜装置10は、連続的抽出工程を行うことに利用可能であり、ここで、供給液相流れの一成分または一部は、膜壁の界面接触を通じて、第2または掃引液体流体280の中へ輸送される。
【0100】
したがって、本発明にかかる膜モジュール装置10は、連続的抽出工程を行うこと利用可能である。膜抽出工程は、各相、粒子状物質を含む流体流れ1852の抽出、および同一または似た密度の2つの流体流れの利用のための流速の独立制御を可能にする。膜抽出工程では、溶質の種はラフィネート(raffinate)相180から抽出相280の中に、互いに接続された細孔または曲がりくねった経路152の膜細孔を通じて分散することによって移動する。ラフィネート相180は、抽出すべき溶質種を含む流体であり、一方で、抽出相280は、ラフィネートよりも溶質種に対する溶解性または親和性が高い流体である。ゆえに、膜を通じて拡散する溶質の原動力は、2つの異なる流体180および280における溶質の化学ポテンシャルの違いである。
【0101】
周知のように、溶媒系にとっての化学ポテンシャルは、溶媒に対する溶質の親和性に関係する。気相にとって、化学ポテンシャルは分圧に関連する。したがって、膜工程にとって、溶質をラフィネートから抽出物へと溶質を移動させる原動力は、化学ポテンシャルの差である。圧力勾配は、ラフィネートと抽出物を混合する結果となり、膜抽出工程を妨げるであろうことから、膜全体にわたって圧力差が存在しないことを適用すべきである。しかしながら、気体の膜混合工程では、圧力勾配をかけて、1つの流体を別の流体の中へと膜層を通じて適用しなければならない。
【0102】
1つの例では、メチルイソブチルケトン(MIBK)溶媒による水溶液からの酢酸の抽出である。細孔サイズが約0.2〜20μmの膜モジュールを利用する。酢酸水溶液は供給チャンネル110から膜モジュールへ導入され、一方で、MIBK溶媒は掃引側からパージ流れ流路210へ導入される。供給流体180は、掃引流体280と同じ圧力で管理される。すなわち、1つの流体が他の流体に混じらないようにするため、圧力勾配は作らない。接触面は、多孔質膜層140にある2つの流体の流れ180および280の間に形成される。酢酸は、20℃で、接触面において水溶液からMIBK溶媒へ拡散する。したがって、以下に、供給および掃引チャンネル/流路110/210それぞれの注入および排出を例証する:
掃引側
入 酢酸を含まない、または、低濃度の酢酸のMIBK溶媒
出 高濃度の酢酸のMIBK溶媒
供給側
入 高濃度の酢酸の水溶液
出 低濃度の酢酸の水溶液
したがって、膜抽出工程では、原理上は、供給および掃引側はラフィネートまたは抽出物のいずれに利用しても構わない。しかしながら、詰まりや付着の原因となりうる「汚れた」材料を含む流体流れは、容易に清掃できるチャンネルに導入するのが好ましい。例えば、微粒子を含むラフィネートは、直線の流れ経路を伴う供給チャンネル110に導入することが好ましい。膜抽出工程では、抽出速度は、概して、膜層140を通る溶質の拡散速度の影響を受ける。圧力勾配がない、または小さいので、膜厚は、薄い方が好ましく、例えば、<1mmである。よって、抽出は、多種多様な産業工程、精製、石油化学製品、食品、生物製剤、医薬品などに利用可能である。膜層140が、抽出剤に入ろうとする微粒子をブロックするため、膜140は微粒子を含んだラフィネートから直接抽出を可能にする。無機膜モジュール装置10は、長期耐久性の提供が期待されている。さらには、こういった無機膜140は、高温で取り行う抽出を可能にし、それによって抽出速度が上昇し、また、抽出効率も向上するであろう。
【0103】
しかしながら、モジュール本体150自身の適正な細孔サイズおよび細孔サイズ分布(約0.2〜20μmなど)は、膜層140の追加の配置をすることなく、膜工程に利用可能である。しかしながら、膜モジュールの細孔サイズが特定の抽出工程に適さない場合、および/または適切な表面特性(滑らかさ、疎水性、親水性など)を持たない場合、単独あるいは膜フィルム140と一緒に用いられる、好ましくは無機材料で作製された改質層160を、担体の細孔の大きさおよび表面特性の改質に利用して構わない。供給チャンネル壁およびパージ流路の間の厚さ430は、可能な限り小さく、<2mmが好ましい。また、モジュール基体の孔隙率は、0.35〜0.85と、高いことが好ましい。
【0104】
装置10は、分離および精製目的にも利用可能であり、流体混合物から所望の生成物の回収、もしくは、流体の流れからの不要な不純物の除去が可能となる。こういった膜の装置10の利用は、従来の吸着、抽出、蒸留および結晶化技術と比較して、さらにエネルギー効率の良い工程を可能にする。吸着および抽出技術は、プロセスの流れの中の精製または分離のため、装置産業界で幅広く利用されている。従来の工程は、典型的に、バッチ式で作業し、また、複雑な工程段階、高エネルギーおよび資本コストと関係する。連続的掃引を行うことにより、本発明にかかる膜モジュール装置10は、これらの工程を連続てkな手法で行うことを可能にし、その結果、高生産性およびコストの低減を実現する。
【0105】
従来式の吸着工程では、供給原料の一成分または一部が選択的に固体吸着剤に吸着される。吸着される種は、未処理の供給流れから回収すべき所望の生成物、もしくは、未処理の供給流れの精製にとって望ましくない不純物のいずれかである。吸着剤が飽和または吸着される種が満載となった後、吸着剤は、吸着した種を開放することによって再生する必要がある。吸着された種が所望の生成物である場合、それらを回収しなければならない。再生には、しばしば、掃引またはパージする流体流れの利用が含まれる。吸着される種が不純物である場合は、それらを処理しなければならない。ゆえに、従来的な吸着分離工程には、2つの独立した基本的段階(1)吸着、および、(2)再生が含まれる。気相の吸着工程では、吸着は、しばしば、高圧力の下で行われ、再生(または脱着)は、低い圧力で逆方向に行われ、これは、圧力スイング吸着(PSA)法として周知である。液相の吸着工程では、再生は、しばしば、供給流体とは別の溶媒を用いて行われる。
【0106】
従来的な吸着を基本とした分離工程には、2つの根本的な問題がある。第1に、吸着処理の間のある時期に機能するのは、吸着床のほんの一部である。典型的には、吸着処理の間に、吸着前面が形成される。前面が形成される以前は、吸着剤は飽和しており、前面が形成された後は、吸着剤は利用できない。吸着が進行すると、前面は吸着床の深さに沿って下降する。結果として、吸着剤のほんの一部しかその時期には機能しない。第2に、再生または脱着は、吸着工程と逆行して行う必要がある。それゆえ、多数の吸着床が必要となり、結果として資本コストが大きくかかってしまう。さらには、吸着容器にたいする一定の加圧および減圧により、エネルギー消費が大きくなる。従来的な吸着工程は工業および研究所において流体流れの分離・精製に幅広く利用されているが、上述のように基本的な欠点がある。
【0107】
一方、装置10によって可能となる膜を基本とした吸着工程は、資本および作業コストを格段に低減するための溶液を提供する。装置10を使用した膜分離装置では、目標とする種は供給側の膜140に吸着され、膜140を通じて透過し、パージ側の膜140の外へ連続的に除去される。このようにして、膜面積のすべてが、常時、積極的に機能し、定常状態の作業が実現する。
【0108】
装置10によって扱われる処理流れは、工業、環境、精錬、ガソリン、石油化学、生物学、医薬化学、バイオ化学、または他の処理用途において、ゼオライト材などの吸着剤上に、望まない不純物または所望の成分を含んだ処理流れを吸着することにより精製可能である。典型的な用途には、天然ガス処理などで気体の流れからの水除去、および、特に治水に利用するPEM燃料電池を用いた燃料電池の処理が挙げられる。
【0109】
する
ゼオライト吸着フィルムは、連続的な吸着工程に利用可能であり、供給および掃引流体流れ相互間の圧力差約1×105〜50×105Pa、および約0℃〜700℃の温度で処理される。連続的吸着の間に、膜モジュールまたは本体150の供給チャンネル壁114は選択的吸着フィルム140でコーティングされ、吸着剤140上に吸着される吸着種は、チャンネル壁の曲がりくねった経路152を通じて拡散し、パージ流路210に入り、気掃引流れ280によって掃引される。
【0110】
気体の混合物の分離は、気体混合物中の成分がゼオライトの細孔に選択的に吸着されることにより起こる。これらの吸着された分子は、別のまたは第2の多数の流れチャンネル210に、ゼオライトの細孔の外側に、連続的に引き出され、装置10の膜モジュールまたは本体150の外側へ掃引される。分離は、ゼオライト層が気体混合物中のある成分を高選択的に吸着するような条件下で行われる。よって、分離温度は200℃より低く、100℃より低いことが好ましい。低温は、一般に、吸着にとって好ましい。供給気体流れ180は、一定の圧力、例えば2×105Paである。高圧は、一般に、吸着にとって好ましい。
【0111】
ゼオライト膜140の好ましい低温での処理は、低エネルギー消費、高耐久性、低モジュール取り付け費用など、多くの利点を提供する。しかしながら、300〜600℃でゼオライト膜を処理しても、基本的に問題はない。そのような温度では、吸着の代わりに、ゼオライトの細孔の内側の気相の拡散が、有力な分離装置となるであろう。
【0112】
原理的には、本発明は、特定の気体混合物にとって適切なゼオライト膜材を選択することにより、いずれの分離系にも適用可能である。例えば、同一の大きさだが異なる吸着特性を有する分子の分離は、装置10によって達成しうる。直鎖分子を分岐鎖分子から分離する工程では、気体混合物供給流れ180は、400℃未満の温度、および5×105Paより大きい圧力170で、直鎖分子に対する高い吸着親和性を持つゼオライト膜140を通過する。ゼオライト膜140は、触媒反応を最小限にするため、酸性部位を持たないか、または酸性部位が少ない。膜フィルム140としての利用には、シリカライトもしくはイオン交換された、高シリカ/アルミナ比のZSM−5型ゼオライトが好ましい。
【0113】
乾燥工程では、膜フィルム140には、H2Oに対する高い吸着親和性を持つゼオライト材が用いられる。湿性気体供給流れ180として水蒸気を含む気体混合物を用いるこういった分離工程では、気体混合物180に、100℃未満の温度、および1×105Paより大きい圧力170を適用し、水蒸気に対する高い吸着親和性を持つゼオライト膜140を通過させて、水蒸気を湿性気体流れ180から選択的に排除し、未透過流れ(retentate)としての乾燥気体を生成する。膜140にはA型ゼオライトが用いられる。水蒸気は第2流路210を通じて真空吸引することによって膜の外へ引き出して差し支えない。
【0114】
装置10は、制御された供給付加および/または生成物の回収、もしくは、単一容器内で反応と分離を組み合わせて行うことが要求される、反応チャンバの新たな分野にも利用可能である。細胞培養用の生体膜反応装置は、装置10の最初の実例である。
【0115】
水素および炭化水素分子を含む気体混合物180の分離には、シリカライトなどの炭化水素分子に対する高い吸着親和性を持つゼオライト材が、膜フィルム140として用いられる。水素/炭化水素気体混合物の分離工程では、気体混合物180は、100℃未満の温度、および5×105Paより大きい圧力で、炭化水素分子に対する高い吸着親和性を持つゼオライト膜140を通過させる。排除される非水素分子である不純物の気体を排除および透過排出し、水素の未透過流れの気体から除去するには、シリカライトなどのMFI型のゼオライトの利用が好ましい。炭化水素分子は拡散性もしくは輸送速度が低いことから、透過物質側を気体の流れと共に掃引することは、透過速度を非常に向上させるであろう。供給気体流れに対する掃引気体の比は、約0〜1である。100℃未満の温度では、非水素分子は優先的にMFI型ゼオライトの細孔に吸着され、膜140を透過する一方、水素のゼオライト膜140の透過は、このような低い温度では、ほぼ、完全に遮断される。
【0116】
ゼオライト140および基体150の材料は、25〜120℃の温度で処理している間、すべて安定した金属酸化物であることから、および、ほとんど他の故障モードがないことから、装置10は、100,000時間に到達する動作耐久性が期待されている。さらには、不要の気体成分1522は、膜140を通じて排除され(この場合、一般には、透過物は最終生成物として回収されうるとしても)、また、未透過流れとしての精製された水素ガスは、膜140を透過せず、同等の水素の流束は、水素を透過物とする方法に比べて、1桁大きい規模となりうる。活性炭膜と比較して、ゼオライト膜は、約2桁も大きな、高い透過流束および高い選択性の両方を示す。所望の水素生成物の流れが膜140を通過しないことから、依存するエネルギー消費もまた大幅に低減される。
【0117】
従来的な水素分離膜処理(Pdベース、高分子系、微多孔膜)では、水素ガスは膜を通過しなければならない。適用に応じて、5×105〜30×105Paの相当な大きさの圧力勾配を、水素ガスが所望の気体流れである、膜に適用する必要がある。よって、気体の圧縮がエネルギーを大量に消費する。
【0118】
それに対し、水素ガスが直線の供給チャンネル110を流れるため、本発明にかかる膜140を通過する水素生成物流れの圧力低下は最小限になる。膜140を透過する非水素ガス1852は、不用な気体流れにすぎず、燃焼させることができる。結果として、本発明にかかる膜分離の依存するエネルギー消費はかなり低く、約0.1KW/28.32m3/時(1000scfh)H2であると推測される。
【0119】
水素と炭化水素の気体混合物は、通常、精錬、石油化学、化学など様々な処理産業における触媒の変換処理を包含する。本発明にかかる膜モジュールは、そうした気体混合物から水素ガスを濃縮または回収するための資本コストを低減し、また、処理コストも低減する、ゼオライト膜分離を可能にする。
【0120】
本発明の取り組みは、また、接触改質装置(リフォーマー)(catalytic reformer)の気体流れから水素を精製するのに非常に適している。流れおよび/または酸素を伴う炭化水素の接触改質は水素製造の主要な製造技術である。結果として得られる反応混合物は、典型的には、大きな割合の水素、および、CO、CO2、H2O、N2、少量の改質されない炭化水素、および他の不純物を含む、少ない割合の他の望まない不純物で構成される。ある用途では、高純度の水素ガス(例えば、99.99%)が必要とされる。この場合、Pd膜が、高純度の水素ガスの製造には良い選択である。他の事例では、高純度のH2ガスは必要ではなく、H2ガス混合物から望まない成分を除去することのみが必要となる。例えば、PEM燃料電池の適用では、COは<1.0×10−4重量%(10ppm)未満となるように除去する必要がある一方で、N2、H2、およびCO2などの他の不純物は燃料電池の性能にはあまり影響を与えない。気体流れ180としてのCO含有気体混合物から不純物を取り除いた気体を製造するための分離工程では、気体混合物180を、温度300℃未満、および圧力約2×105Paで、CO分子に対して高い吸着親和性を有するゼオライト膜140に通す。イオン交換されたゼオライト膜140(ゼオライトの吸着選択性は、イオン交換によって改質する)は、COを透過させる膜140の利用が好ましい。CO透過の原動力を向上させるため、透過側は酸素含有パージ気体280で掃引する。透過したCOは、O2と反応し掃引される、CO2を形成する。COの酸化促進のため、触媒コーティングをパージ流路210に適用しても良い。よって、CO含有気体流れ180からCOの選択的除去のための膜処理によって、ゼオライト膜140の化学ポテンシャルである圧力勾配171の促進のため、CO酸化触媒層が掃引側に配置される。水素およびCOを含む、このような気体混合物180の分離では、COに対する高い吸着親和性を有するゼオライト膜140が用いられる。燃料電池の適用にとって、透過物1852としてCO不純物のみを除去することは、膜に非常に高い処理能力を与える。
【0121】
したがって、吸着性の拡散分離機構が本発明によって教示される。また、パージおよび掃引能力が、この分離機構で膜を効果的に作用させるのに重要である。水素の精製は非水素分子の選択的除去によって行われる。この分離機構はゼオライト材料の選択的吸着機能を十分に活用するものである。接触改質装置による工程からの気体混合物流れ180では、水素は、典型的には、主成分である。微量成分の除去は、主成分を引き入れるよりも費用効率が良い。例えば、天然ガスの改質処理は、乾燥時において79%H2、19%CO2、1%CO、および1%改質されていないCH4を含む典型的な気体混合物を生成する。数パーセントの水蒸気も存在する。このような気体流れ180は、CO2、CO、およびCH4 ガス、もしくは選択的に除去されるCOガスのみの選択的除去によって精製可能である。PEM燃料電池の用途のためには、水分は害にはならず、除去する必要はない。ゆえに、高シリカ/アルミナ比を持つMFI型ゼオライトなどの疎水性のゼオライト材料を利用して構わない。COの吸着を促進させるため、ゼオライトは、さらに、金属イオンでイオン交換することにより改質しても差し支えない。ゼオライト材料は、イオン交換によって改質することにより、CO吸着のための高吸着体となる。
【0122】
ゼオライト膜に対する吸着性の拡散機構に基づく接触改質(リフォーマー)のガス流れによる分離の結果については、まだ開示されているものはない。しかしながら、本発明の分離機構の基本的な実現可能性を示す確かな証拠がある。例えば、シリカライトゼオライト膜を用いるCO2/N2分離では、CO2は、常にN2よりも高い透過性を示す。CO2/H2系では、低温で、水素から選択的にCO2を分離することは、もっと高くなることが期待される。吸着性の拡散機構では、高い分離選択性は、ゼオライト材料の高い吸着選択性と相関がある。ゼオライト膜の高選択性に関する別の例は、A型ゼオライト膜を用いた水/アルコール混合物のパーベーパレーション(pervaporization)分離である。5,000〜10,000の高い分離係数が報告されている。
【0123】
以来、ゼオライトは高選択的な吸着体として作製可能である。高分離選択性は、ゼオライト膜によって達成可能であると考えられている。ゼオライト膜は、接触改質の気体混合物からCO不純物を選択的に除去する可能性を持つ。本発明の分離機構に基づいて、透過物は、水素よりも分子が大きい。よって、担体を通過する時の拡散抵抗は、重要な要素ではないはずである。可溶性の有機成分(sof)の交互に重なる層の供給およびパージチャンネルを包含する図5および9のモジュール設計では、担体基体を通過して拡散する距離が短くなるのが好ましい。
【0124】
したがって、水素の精製のみならず、本発明にかかる膜担体は、膜の部分1521および膜ではない多孔質の本体部分1522を有する、多孔質の本体部分150の基体を通る複数の曲がりくねった経路152を通じて、多種多様な気相および液相の混合物のための分離、精製、ろ過、もしくは他の処理機能に利用可能である。一般に、曲がりくねりの概念は、流れ経路の長さの差であると考えられ、ここで、混合物(ガス状もしくは流体)の特定の成分は、チャンネルの方向の変更、および/または、方向または断面積を変更せずに、言い換えれば、直線流れの不変の断面積において、チャンネルの同一の長さ全体における混合物の同様の成分が進む経路の長さに対するチャンネルの断面積の比の変更の結果として、チャンネルによって形成される通路を通過するであろう。直線または真っ直ぐな経路から外れる場合は、もちろん、結果として長く、さらに曲がりくねった経路となり、直線経路からの逸脱が大きくなればなるほど通過する経路の長さは長くなるであろう。
【0125】
装置10に利用する本発明にかかる膜モジュール150は、図4に示すように、垂直に配置可能であり、また、水平に横たえることもでき、図4〜13に示すように、斜め、もしくは他のいずれの配置も可能な単純な構造を持つ。供給流れチャンネル110のそれぞれが供給端1101および排出端1102を持つ。膜フィルム140は、可能な圧力勾配170の下、複数の供給流れチャンネル110の供給端1101から供給される、不純物が混じった供給流れ180を受け入れるように担持され、適合される。膜フィルム140は、不純物が混じった供給流れ180が、膜フィルム140の外表面を通じ、および、本体部分150の基体の複数の曲がりくねった経路152へと通過する不純物が混じった供給流れ180の一部から形成される、膜の部分1521に入り、膜ではない多孔質の本体部分1522から、少なくとも1つのパージ流路210からの掃引またはパージ流れ280の力を借りて排出される、精製された透過物1852へと処理されるように適合される。
【0126】
副生成物の流れ1802は、複数の供給流れチャンネル110の排出端1102を通じて排出されるように、膜フィルム140を通過せず、不純物が混じった供給流れ180の一部から取り残される。
【0127】
特定の分離工程では、供給および透過側の流路間の全範囲にわたる圧力差または圧力勾配170は、以下の方程式にしたがって、膜フィルム140およびコーティング層160の第1圧力低下ΔPf,i171、および担体基体150を通じて第2圧力低下ΔPm,i172で構成される:
ΔPoverall=Pin−Pout=ΔPf,i+ΔPm,i
膜の流束は、膜フィルム140の圧力勾配170および追加のコーティング層160とともに増加する:
Ji=k・ΔPf,i
特定の分離工程では、ΔPoverallは固定値であるが、担体基体150を通過する圧力低下ΔPm,i172は可能な限り小さい値にする必要がある:
ΔPf,i>> ΔPm,i
基体を通過する圧力低下172、ΔPm,iが全体的な圧力低下170と比較して十分に小さい場合のみ、膜のチャンネル110が十分に活用される。
【0128】
膜単体の有用性に関する1つの重大問題は、基体150を通過する気体または液体の透過の性能であり、多チャンネル膜モジュールでは特に重大である。すべてのチャンネルのチャンネル壁114上のまく表面積を十分に活用するため、本体最深部150を有する、本体内部150から装置10の外側へ透過するための水素ガスなどの分子に対する抵抗性は、分離膜140を通過する抵抗性と比較して、ごくわずかに違いない。そうでなければ、このような膜モジュールの有効性は引き下げられてしまうであろう。
【数1】
【0129】
基体の均一な細孔構造にとって、圧力低下は、直接的に、流体の運搬距離Lおよび流束/表面的な直線の速度Vに比例する。圧力低下は、細孔の大きさdpの増加および孔隙率εの増加にしたがって低下する。ゆえに、細孔の大きさおよび孔隙率は、基盤を通過する圧力低下に影響を与える重要なパラメーターである。
【0130】
本発明にかかる方法における高い分離表面積は、小さいサイズの流れチャンネルの利用および薄膜の厚さの結果である。従来的な多チャンネルモジュールにおけるチャンネルの大きさは、約6〜12mmであり、本発明の設計よりもかなり大きい。よって、本発明は、大量運搬または2つの流体流れ相互間の交換のための無機またはセラミック膜モジュールを含む膜装置について教示する。1つの流体流れは原料の供給流れである一方、別の流れは掃引、パージまたは他の種類の第2の流体流れである。セラミック膜モジュールは、供給流れのための1つの配列の流れチャンネルおよび、掃引または第2の流体流れのための別の配列の流路または経路を包含する。供給流れチャンネルは多孔質の中実の基体によってパージ流れの流路に結合し、また接続されている。中実の基体は、供給流れから掃引流れへと運搬する種のための運搬媒体を提供し、また、モジュールにとっての機械的強度をも提供する。基体材料の細孔の大きさおよび孔隙率は、それぞれ、10nm〜20μm、および0.2〜0.8である。供給流れチャンネルおよび第2または掃引流路は各供給流れチャンネルが掃引流れまたは第2の流れによってアクセス可能な方法で配置される。
【0131】
当業者にとっては、本発明の精神および範囲から離れることなくして、センサーなどの処理の適用を含む様々な修正および変更が可能であることは明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲に入る、本発明によって提供される修正および変更をも包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1−1】図1は、本発明にかかる放射線状の第2の流れの態様の斜視図である。
【図1−2】図1Aは、本発明に従った、図1の本体150の切断面1Aにおける断面図である。
【図2−1】図2は、本発明に従った、図1の本体150に収納される図1の容器300の側面図である。
【図2−2】図2Aは、本発明に従った、図1の仕切り板350の切断面2Aにおける断面図である。
【図3】図3は、本発明に従った、図1の容器300に取り付けられる代替物の側面図である。
【図4】図4は、本発明にかかる正接の第2の流れの態様の斜視図である。
【図5】図5は、本発明にかかる図4の正接の第2の流れの本体150の斜視図である。
【図6−1】図6は、本発明に従った、図5の本体150に収納される図4の容器300の上面図である。
【図6−2】図6Aは、本発明に従った、図6の仕切り板350の切断面6Aにおける断面図である。
【図6−3】図6Aは、本発明に従った、図6の仕切り板650の切断面6Bにおける断面図である。
【図7−1】図7は、本発明に従った、複数のジグザグ形へと第2の流れ210の流れを方向転換させるための仕切り板358および358’を含む図6の装置10の上面図である。
【図7−2】図7Aは、本発明に従った、図7の仕切り板358の切断面7Aにおける断面図である。
【図7−3】図7Bは、本発明に従った、図7の仕切り板358’の切断面7Bにおける断面図である。
【図8】図8は、本発明にかかる平行な第2の流れの態様の斜視図である。
【図9】図9は、本発明に従った、図8の平行な第2の流れの本体150の斜視図である。
【図10−1】図10は、本発明に従った、図9と同様の本体150を含む、図9の排出ポート921を横断する装置10の上面図である。
【図10−2】図10Aは、本発明に従った、図10の仕切り板650の切断面10Aにおける断面図である。
【図11】図11は、本発明に従った、図10と同様の本体150を含む、装置10の背面図である。
【図12】図12は、本発明に従った、前述の態様のいずれかの本体150のための異なる本体の形である。
【図13】図13は、図10Aの均等物であり、ここで、図13は、本体が円形の代わりに正方形150Cである場合の、本発明に従った、仕切り板350または650の断面図である。
【図14】図14は、図6Bの均等物であり、ここで、図14は、本体が円形の代わりに正方形150Cである場合の、本発明に従った、仕切り板650の断面図である。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図2A】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、異なる組成物の2つの流体流れ相互間の処理に関し、具体的には、分離、精製、大量輸送、交換、もしくは、パージ、掃引、または、第2の流体流れの利用を含む処理流れに関する他の種類の処理用途のための膜モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
クロスフローろ過では、透過流れの流路が、供給流れの流路に対して垂直または直角に配置されることが知られている。透過流れ流路を掃引するためのパージ流れもまた、ディスク状、単一チューブ状もしくは中空糸などの束状の管膜として知られている。しかしながら、単一または束状のセラミックの中空糸は、実用には脆すぎることが知られている。したがって、パージ・アクセスを伴ったクロスフローろ過装置は知られているが、それらは典型的には高分子中空糸に基づいている。高分子系中空糸膜モジュールは、分離、ろ過、および抽出処理に適した2つの流体流れ相互間の大量輸送もしくは交換のための単位容積あたりの所望の分離表面積および透過性に優れていることで知られている。1つの流体流れが中空糸の内側を流れる一方、別の流体流れは中空糸の周囲を流れる。
【0003】
それぞれ小さい中空糸の管がたくさん集まって、束を形成する。束になった個々の中空糸の間の空きスペースは、流体が動き回りパージ流れのアクセスを提供するのに十分なスペースを提供する。束状の中空糸上に形成されるパージ流れもまた、クロスフロー型に配置された束状の中空糸の膜性能を向上させることが知られている。
【0004】
しかしながら、高分子材料の主要問題は、有機溶剤による攻撃に敏感なことであり、また、高温(例えば>250℃)および他の苛酷な処理環境での不安定さである。多孔質の高分子の担体は、無機の膜材料の担持には適していない。
【0005】
ゼオライトなど、本技術分野において既知の多くの吸収材は、選択的な吸着機能を提供する。ゼオライト膜は、様々な用途での可能性が大いにあることから、最近の10年間における活発な技術分野となっている。ゼオライト膜の顕著な特徴は、真の分子ふるい効果を実現させる、明確な細孔構造である。例えば、ゼオライト結晶中の直鎖状分子の拡散速度は、分岐鎖状の対応する異性体と比較して、桁違いに大きいであろう。しかしながら、無機ゼオライトは、相性の悪い有機高分子素材には適用することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
理論上は、中空糸管のそれぞれ、それらの膜、もしくはその両方を、高分子材料の代わりに、セラミック酸化物から作製することにより、同じく広い表面積を持つという利点を提供しつつ、高分子の束状の繊維に関する問題を除外することができる。その上、セラミック膜は、高選択性および単位分離面積に基づいた大きい流束を提供するであろう。さらには、セラミック膜は再生可能であろう。
【0007】
しかしながら、セラミック中空糸は、経済的な方法では、所望の機械的強度および可堯性を生み出すことができない。中空糸セラミック管は大きな表面積を持つが、非常に壊れやすい。無機質の膜は、機械的な可堯性が不足しており、単位モジュール容積あたりの膜表面積が小さく、膜処理およびモジュールの組立てが難しく、また、資本コストが高い。
【0008】
強靭な多孔質体にクロスフロー・チャンネルを埋め込むことにより、クロスフローモジュールに中空糸に匹敵する分離面積を与え、しかも、機械的強度が非常に増強され、また、コスト効率を向上可能なことが知られている。しかしながら、重要な問題は、埋め込まれた管同士の間に存在するオープンスペースもしくは自由空間がない場合、埋め込まれた膜チャンネルもしくは管の内外の流れをいかに実現するかである。周知の通り、中空糸の束もしくは単一チャンネルは、多孔質だが中実である基体(matrix)に埋め込まれている多チャンネルに比べて、個々の中空糸の間に、流れが動き回るためのもっと大きなオープンスペースを提供する。
【0009】
平面ディスクもしくは単一チャンネル管などの簡単な構造の膜モジュールでは、吸収およびパージ処理は、存在する空間で容易に行うことができる。
【0010】
ディスクまたは単一チャンネル膜モジュールは、通常は、研究所および工業プロセスで利用されている。しかしながら、ディスク型もしくは単一チャンネル管状の無機膜モジュールは、単位容積あたりの分離表面積が小さい。表面積を大きくする1つの方法は、1つの無機膜体に、多数の小さい供給チャンネルを持たせることである。このようなモノリス構造的(monolithic)設計においては、吸収または透過した種(species)を効率的に移動させるための掃引流れをいかに導入するか、という点に課題がある。多チャンネル型のモノリス構造的膜モジュールでは、透過物(permeate)は、圧力差によって、内側のチャンネルから外側の膜モジュールへと流れる。パージ流れが膜モジュールの外側に導かれる場合、パージ流れは、逆向きの圧力抵抗のせいで、内側のチャンネルに入ることができない。結果として、膜表面の外側のみが「パージ」され、一方、内側のチャンネル透過物はパージされない。
【0011】
したがって、一般概念として、膜分離のために掃引流れを用いることが知られている。モノリス構造的担体の利用も知られてはいるが、外側の掃引流れがモノリスにパージ・アクセスする組合せは知られていない。課題は、中実だが多孔質である基体に埋め込まれた多数の流れチャンネルを有する膜モジュールのパージ方法である。モノリス構造的な膜モジュールにとって、従来のパージ方法では、モノリス構造的モジュールの外表面だけしか掃引できず、基体の内側の最深部の膜チャンネルをパージすることができない。モノリス構造的な膜担体の各膜チャンネルをパージする方法は、課題である。
【0012】
したがって、低コストでのパージ流れのアクセス、および、2つの流体相互間の接触面積が大きく、膜分離装置を通る透過性が高く、高温で長期安定性であり、過酷な環境下での処理に対する耐久性があり、溶剤の攻撃に対して不活性であり、また、大きな圧力低下に対する抵抗性を有する、強靭な無機クロスフローろ過装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、異なる組成物の2つの流れ相互間を処理するための多チャンネル型のモジュール装置である。装置には、本体に配置された第1の複数の供給流れの経路を持つ多孔質体が含まれ、第1または供給流れを輸送する。経路壁は、第1の複数の供給流れの経路のそれぞれを取り囲み、供給流れを第1組成物および第2組成物へと処理する。少なくとも1つの供給流れの注入口が本体に連結され、供給流れを第1の複数の供給流れの経路へと導く。少なくとも1つの供給流れの排出口が本体に配置され、第2組成物を含む残りの供給流れを排出する。少なくとも1つの第2経路が本体に配置され、第2注入口と第2排出口を持つ第2の流れを輸送する。多孔質体に形成される網目状に広がる複数の流れの流路は、第2の流れのための流れを提供し、第1組成物を、第1の複数の供給流れ経路のそれぞれから第2排出口へと掃引する。容器に注入口と排出口を設置し、第2の流れのアクセスを提供し、また、容器の内側であって内側表面から離れて本体を配置することによりスペースをあけ、アクセスのための空隙を提供する。仕切りは本体と容器の間の空隙に配置され、空隙の内側に流れを引き込む。
【0014】
別の態様では、本発明は、第2の流れとして、パージ流れを含む。
【0015】
本発明のさらなる特性ならびに利点は、後に、詳細な説明において記されるであろうし、部分的には、その記述から当業者にとっては容易に理解され、もしくは、詳細な説明およびそれに続いて示される添付の図面および特許請求の範囲を含め、本明細書中で述べる発明を実行することによって認識されるであろう。
【0016】
前述の一般的な説明および以後の詳細な説明は、本発明にかかる実施の態様を提示し、また、ここに主張するように、本発明の性質および特性を理解する目的で概要もしくは構成を提供する趣旨であることが、理解されるべきである。添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するためのものであり、本明細書に組み込まれ、また、本明細書の一部分を成すものである。図面は、本発明にかかる様々な実施の態様を示し、本記述とともに、本発明の原理および手順についての説明を補助している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の好ましい実施の形態に関し、実施例を添付の図面に示しつつ、詳細に述べる。可能な場合はいつでも、図面中の同一もしくは同様の数字は、同一または同様の部分を参照するために用いられる。図面中には数字が記載されていないが明細書中に記載がある場合でも、同一または同様の部分または寸法は、常に、図1または図1Aに示されている。しかしながら、図面が必ずしも規模を示すものではなく、簡素化のため、すべての流れを表す矢印が示されているわけではないことに留意されたい。本発明にかかる異なる組成物の2つの流体流れ相互間の処理のための多チャンネルモジュール装置10の1つの実施の態様が、図1に示されており、通常、全体に亘って参照番号10が割り当てられている。処理は、2つの流体の流れを大量輸送もしくは交換可能であり、ここで、2つの流体の流れとは、未処理の供給流れおよび掃引流れ、もしくは他の2つの異なる流体の流れのことである。一般に、第1流体または供給流れは、気相もしくは液相、液-液相、気/液相、または液-固相であってよく、パージもしくは掃引流れは、液相または気相のいずれかであろう。したがって、本発明の掃引アクセス装置は、本発明によって教示されるように、研究所規模もしくは工業規模で、混合物から有用な成分を抽出、もしくは混合物から不純物を除去するための、液相および気相の分離に利用可能である。
【0018】
図1および図1Aを参照すると、装置またはモジュール10には、第1の複数の供給流れ経路110を持つ多孔質の無機質の本体150が含まれ、第1または供給流れ180を輸送するために本体150に配置される。経路壁114が第1の複数の供給流れ経路110のそれぞれを取り囲み、供給流れ180を第1組成物1852および第2組成物1802へと処理する。少なくとも1つの供給流れの注入口1101が本体150に配置され、供給流れ180を第1の複数の供給流れ経路110に導入する。少なくとも1つの供給流れの排出口1102が本体150に配置され、第2組成物1802を含む残りの供給流れを排出する。少なくとも1つの第2またはパージ流れ経路210が本体150に配置され、第2またはパージ注入口2101および第2またはパージ排出口2102を持つ第2または掃引流れ280を輸送する。多孔質の本体150に形成される網目状に広がる複数の流体流れの流路152は、第2または掃引流れ280のための流れの流路を提供し、第1組成物1852を、第1の複数の供給流れの経路110それぞれから、第2またはパージ排出口2102へと掃引する。例えばスウィープガス(sweep gas)などの第2の流れ280の効果は、曲がりくねった経路または相互に接続された細孔152を通じて、膜140および多孔質の担体または本体150から滲出してくる透過物1852を除去(vacuum out)することである。容器300には、注入口1101と2101、および、排出口1102と2102が取り付けられ、第2の流れまたはパージ流れのアクセスを提供し、容器の内側であって内側表面から離れて本体を配置することによりスペースをあけ、アクセスのための空隙を提供する。仕切り350は、本体と容器の間の空隙に配置され、空隙の内側に流れを引き込む。
【0019】
本体150は、金属もしくは他の無機材料など、適切な多孔質材料で作製される。本体150は、約9〜100mmのモジュール水力直径102を有し、モジュール水力直径102のモジュール長104に対するアスペクト比は1よりも大きい、セラミックのモノリス構造的な多チャンネル基体担体であることが好ましい。第1の複数の供給流れの経路またはチャンネル110は、モジュールの横断面に平行に分散し、ここで、複数の供給流れチャンネル110の大きさおよび形状は、モジュールの前面面積におけるチャンネル密度が7.8〜124チャンネル/cm2 (50〜800 チャンネル/in2)、および、チャンネル水力直径112が約0.5〜3mmと規定され、周縁距離120が、厚さ1.0mm(0.04in)よりも大きく、供給面積で標準化された開放前面面積(open frontal area)(OFA)の百分率が約20〜80%である。
【0020】
定義上は、標準水力直径(Dh)は、次の式で定義される:
Dh = 4(断面積/ぬれ縁)
したがって、二次元の形状では、水力直径は、周辺によって分割される表面積の4倍である。例えば、円の直径をdとすると、水力直径Dh=4[(πd2/4)]/(πd)=dである。しかしながら、正方形の長さLでは、水力直径Dh=4×L2/(4L)=Lとなる。一般には、水力直径は、表面積の容積に対する比と反比例の関係にある。
【0021】
モジュール前面面積は、中実基体の多孔質材料とチャンネルを含むモジュール本体の断面積である。例えば、円筒型モジュールの直径dでは、面積はπd2/4である。よって、開放前面面積の比は、モジュール面積に対する全開放チャンネルの面積の比である。例えば、10cm2のモジュール断面積では、チャンネル全体の面積が5cm2であれば、開放チャンネル面積は全チャンネルの断面積の合計であるから、開放前面面積比は、5/10=0.5である。
【0022】
モジュールの水力直径102は、約10〜50mmであることが好ましい。モジュール水力直径102のモジュール長104に対するアスペクト比は、約5〜10よりも大きいことが好ましい。
【0023】
図12を参照すると、本発明にかかる膜モジュール本体150の可能な形態が示されている。図1では、本体もしくはモジュール150は、円形の横断面と共に、円筒型で示されているが、モジュール150は、直方体を楕円形または他のアーチ型の形に切断した容積150B、もしくは正方形、六角形150Aもしくは長方形150Cの横断面を持つ他の形状のモノリス状の構造など、いずれの形でも構わない。本体150が高いアスペクト比(長さ/直径)を持つ限り、いずれの形状も可能である。一貫性および単純化の目的で、後に続く議論では、モジュール本体150には、優先的に円筒型を用いる。しかしながら、技術上の知識および方法(ノウハウ)を、膜モジュール本体の他の形態に適用可能である。
【0024】
図1および図1Aを再度参照すると、複数の供給流れチャンネル110は、モジュール前面供給流れの面積で標準化されたチャンネル密度が約7.8〜94チャンネル/cm2(50〜600チャンネル/in2)、チャンネル水力直径112が約0.5〜2mm、周縁距離120よりも小さいチャンネル壁間の網目状部分の厚さが約0.2〜5mm(0.01〜0.2in)、および開放前面面積の百分率が約30〜60%、具体的には約40%であることが好ましい。よって、最適化されたモジュール設計は、小さい流れチャンネル110および薄い網目状部分の厚さ130を用いることにより、高い分離表面積を提供する。
【0025】
少なくとも1つのパージ流れ210は、最大限の効率を得るために、水力直径212が約1〜10mmの単一のパージチャンネルであることが好ましい。パージ経路またはチャンネル210は本体150の中央に配置され、掃引流れ280を、パージ注入口2101から、本体150上にある相互に接続された細孔152で構成され、第1の複数の供給流れの経路110それぞれから本体150の外表面1522へとパージ排出口2102を通じて排出される第1組成物1852を掃引する、網目状に広がる複数の流体の流路もしくは曲がりくねった通路へと導入する。本体上の相互に接続された細孔152は、孔隙率が約20〜80%あり、細孔の容積の20%以上は、細孔の大きさが約0.5〜25μmであることが好ましい。しかしながら、細孔の大きさは約0.5nm〜25μmよりもさらに大きいサイズのいずれでもよい。
【0026】
供給流れの経路または供給チャンネル110は、中央のパージ経路210の周りに対称的に、モジュール断面上に分布している。周縁120では、網目状部分の厚さ130よりも厚い、適切な外膜としての厚さ(例えば、>1mmまたは0.04in)が好ましい。外膜もしくは周縁の厚さ120は、網目状部分の厚さ130から独立したパラメーターである。網目状部分の厚さ130は、基本的に、チャンネル110が互いに隣接する距離を決定する一方、外膜または周縁の厚さ120は、全体的なモジュール長および透過性に影響を与える。
【0027】
したがって、本発明は、単独、もしくは、水素の分離および/または精製などの気体または液体の処理利用可能な膜の担体として用いられる多孔質の本体部分を持つ、表面積が大きく、モノリス的構造をした、無機質の管状もしくは他の形状をしたモジュールについて教示する。
【0028】
一例では、モノリス構造をした膜モジュールは、好ましくは約10〜30mmのモジュール水力直径102を持つモジュール管の形状をしている。このモジュール水力直径102と共に、モジュール長104は、複数の供給流れチャンネル110それぞれの長さと実質的に等しく、高いアスペクト比のために約100〜3000mmの範囲にある。
【0029】
本体部分150では、セラミックのモノリス構造的な基体は、約1〜30μmの細孔サイズと約20〜80%の孔隙率を持ち、複数の曲がりくねった流れの経路または細孔の空隙を通じて互いに接続された細孔152を持つ、大きな細孔(macro-porous)のセラミック基体を提供する。細孔の大きさは、細孔の容積全体の20%よりも多くが、約0.5〜25μmの細孔サイズを持つことが好ましい。このような方法で、孔隙率は細孔の大きさとは別に規定される。したがって、担体、本体あるいは基体150は、それら細孔の特定の比が、好ましい透過性を与えるのに十分である限りにおいて、すべての種類の細孔サイズであってよい。
【0030】
このようにして特定の細孔サイズを規定することにより、基体の内側の細孔は互いに接続し、透過物などの第1組成物1852のための経路152を形成する。互いに接続している細孔構造は、モジュールに機械的強度をも提供する。網目状に広がる細孔構造もしくは互いに接続した細孔とは、細孔が互いに接続した曲がりくねった経路152を形成することを意味する。担体基体の内側に細孔が多数存在するがそれらが互いに接続されていない場合は、流体は通り抜けることができず、担体は単独での利用、または、膜の用途としては、適していない。細孔の接続性に関しては、良い規定方法がない。しかしながら、細孔の接続性は、電子顕微鏡検査法を利用することにより、定性的に分析することが可能である。一般に、細孔の大きさおよび孔隙率が十分に大きい場合、網目状に広がる細孔構造を形成可能である。
【0031】
細孔の大きさおよび孔隙率は、許容可能な測定方法で定量化することができる数字である。細孔の大きさおよび孔隙率は、一般的に、水銀ポロシメータおよび窒素吸着などの標準化された技術で測定される。細孔の大きさは、よく適用される方程式で算出する。しかしながら、細孔の長さを特定する良い方法はない。
【0032】
これら細孔の「接続性」は重要ではあるが、定量化するのは難しい。しかしながら、同一の細孔サイズおよび孔隙率の材料では、接続性は、大部分が膜担体の形成工程で決定される。基体または本体部分150は、骨格または基体材料として無機材料を用いた、既知の一体成形法または押出し法によって作製して構わない。黒鉛粒子、CeraMem Corporation社(アメリカ合衆国、ニューヨーク州)の反応性アルミナ・モノリス形成工程、単一チャンネルのアルミナ管などを導入するなどにより、コーニング社(アメリカ合衆国、ニューヨーク州)のディーゼル微粒子フィルタの形成と同一の処理方法など、既知の形成工程によって接続性が得られる。
【0033】
セラミックモノリスの材料は、ムライト (3Al2O3-2SiO2)、アルミナ (Al2O3)、シリカ (SiO2)、コージエライト (2MgO-2Al2O3-5SiO2)、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ-シリカ混合物、ガラス、無機耐火性物質および可塑性の金属酸化物からなる群より選択される物質から作製される。ムライトは、材料化学の分野で知られているように、異なる比率の可能性のある、数種類の他の可能な組成物と共に、Al2O3 + SiO2から生じる金属酸化物の化合物である。ムライトの結晶の形状は、膜の担体本体における他の材料と同様、高いアスペクト比(>5)を持つ中空糸、管または針状の形状、もしくは、低いアスペクト比(0.5〜5)を持つ従来からの結晶形、またはアスペクト比の高いムライトと低いムライトの混合物であってよい。アルミナ化合物Al2O3の通常の結晶相は、ガンマ(γ-アルミナ)、シータ、およびアルファ(α)であり、アルファ-アルミナ(α-アルミナ)が、一般に、他の相と比較して安定している。SiCは、化学的および物理的安定性の良い、耐火性の非酸化セラミック材料である、炭化ケイ素化合物である。コーニング社製のバイコール(登録商標)(Vycor)ガラスもまた、本体150の材料に利用可能である。
【0034】
モジュールの本体150は、複数の細長い開口部を持ち、所定の数の小さい流れチャンネル110を形成するための通路、流れ、経路またはチャンネルを含む、チャンネル化された部分を形成する。ある実施例では、チャンネルの大きさまたはチャンネルの水力直径112は約0.5〜3mmであり、一方、チャンネルの密度は約7.75〜62.0チャンネル/cm2(約50〜400チャンネル/in2)である。
【0035】
チャンネルの形状は、図のように円形もしくは丸みを帯びているのが好ましい。しかしながら、担体のチャンネルの形状は、六角形などの鋭角を持たない他の形状でもよい。たとえチャンネルが正方形の形状であっても、チャンネルの形状は、その後のコーティング処理で修正して構わない。表面特性(粗さ、付着性等)と同様に、チャンネル壁114の細孔の大きさおよび孔隙率は、1種類以上の中間コーティング層によって修正可能である。
【0036】
マイクロろ過、抽出、流体混合などの用途における異なる成分の処理には、多孔性の担体もしくは本体150自身を単独で利用可能である。しかしながら、気体分離およびナノろ過などの他の処理の用途には、膜コーティングが必要である。
【0037】
必要に応じて、基体よりも小さいサイズの細孔を有する多孔性材料の層160を、担体もしくは基体本体部分150のチャンネル壁114にコーティングをする必要があるかもしれず、また、単独でもしくは膜フィルム140と共に利用することもできる。コーティング層160は、以下の3つの機能を持つ。すなわち、(1)細孔サイズ、表面の滑らかさなど、チャンネル110の形状および壁の質感の修正、(2) 担体150の補強、および(3)膜の沈着効率および粘着性の向上である。コーティング層160は、厚さ約10〜200μmであり、細孔サイズは2nm〜約500nmである。したがって、1種類以上の中間層160は、随意的に複数の供給流れのチャンネル110の内表面または壁114に配置され、ナノまたはメソポーラス(細孔)層(細孔サイズ2〜50nm)を形成する。厚さは0.5〜50μmである。よって、2〜50nmのナノまたはメソポーラス層は、中間層として利用可能であり、もしくはナノ層と共に、中間層160の厚さが2〜250μmで、細孔サイズが2nm〜500nmの複合中間層として、外層に利用することも可能である。
【0038】
中間層160は、アルミナ、シリカ、ムライト、ガラス、ジルコニア、およびそれらの混合物からなる群より選択されることが好ましく、特にアルミナとシリカが好ましい。コーティング層160には、ゾル・ゲル法などの湿式化学法を適用しても差し支えない。
【0039】
随意的に、分離機能を提供する膜フィルム140を、さらに、随意的な中間コーティング層160に、もしくは、直接、セラミック担体の本体150の複数の供給流れのチャンネル110の内側の表面または壁114に、適用する。層160は別の層の存在なしに、単独で利用可能であるため、「膜」という語句は、一般に、層160のみ、層140のみ、または、層140と160の両方、を包含する。好ましくは無機質であるフィルム140は、パラジウム(Pd)、Pd‐AgまたはPd‐Cuなどのパラジウム合金、もしくはSiCまたはガラスなどの混合物中のある分子を透過させる、非金属の緻密フィルムなどの緻密層であって構わない。特定の適用のため、フィルム140は、ゼオライト、ジルコニア、アルミナ、シリカ、またはガラスなどの微細細孔(micro-porous)層(<5nm)であってよい。好ましい微細細孔の膜は、分子サイズレベルの分離機能を提供する。しかしながら、本発明にかかるセラミックの膜本体の担体150は、フィルム140のような高分子膜フィルムの担体としてもまた利用可能である。
【0040】
一般に、本発明の教示は、膜単独に関するものではなく、膜担体150および膜担体もしくは担体自身の収納に関し、ゆえに、適する膜のいずれの種類にも利用可能である。さらには、本体担体150は、観念的に分離に適しており、小さいサイズの分子を大きなサイズの分子から分離し、担体基体150を透過させる。
【0041】
一般には、先に述べた膜フィルムおよび担体の間に、ある中間層が必要とされる。小さいサイズの流れチャンネル(<3mm)110の本発明にかかる利用は、同型の薄膜層140の積層を促進し、また、内側の表面または壁114における有機層/セラミック担体接触面のおかげで、熱応力が低減される。例えば、約0.5〜2mmのチャンネルの水力直径112を有する小さいサイズのチャンネル110に適用することにより、それぞれメソ- (2〜50nm)および微細細孔(<2nm)膜コーティング層160および140の厚さを減じることが可能であり、修正コーティング層160の圧力低下を、同じ流束速度で低減させることができ、また、電力消費を節約し、さらに生産的で効果的な膜モジュール担体本体150を提供することができるであろう。
【0042】
したがって、高い表面積を得るための1つの典型的なモノリス膜担体本体150としては、膜コーティング140を補助するため、チャンネルの水力直径が約1mm以下の小さな円形のチャンネル110を有するセル密度が15.5セル/cm2(100cpsi)よりも大きいものが目標とされている。モジュールの寸法は、モジュールの水力直径102が約10〜50mm、モジュール長104が約100〜1000mmが目標とされる。典型的にはディーゼル微粒子フィルタ用のモノリスに用いられる、コージエライト、ムライト、α−アルミナ、SiCなどの異なる押出し成型用の材料は、細孔サイズ、孔隙率、および細孔の接続性を最適化し、高い透過性および高い強度を担体基体150に同時に与える。しかしながら、膜担体に用いられるチャンネルの形態は、排ガス規制の用途におけるモノリスディーゼル微粒子フィルタとは異なる。膜分離の圧力差(ΔP)は、実質的に、ディーゼル微粒子フィルタ用の膜よりも大きい。本発明は、例えば、気体の精製/分離のための圧力スウィング吸着(PSA)処理の代替のように、特に、高いΔPが要求される分離に有用である。
【0043】
一般に、圧力の低下は基体本体150の直径の縮小、細孔の増加もしくは本体150の孔隙率の増加によって低減させることが可能である。すでに述べた、ろ液の回収およびパージ機能を提供する本発明の教示から、本体基体の設計書またはモジュール設計は、実際に、所望の圧力差を実現し、各埋め込まれた供給流れのチャンネルにアクセスする外部のパージ流れを提供する。しかしながら、供給チャンネルおよび透過チャンネルの配置、特有のチャンネルの幾何学、特有の材料設計(細孔および孔隙率)などに見られるような、本体基体または本体設計における明確な差異の多様な組合せにより、処理装置10に用いるための様々な本体担体150が提供される。本発明は、用いられる膜モジュールの種類、および、パージ流れを導入して、各埋め込まれた供給流れチャンネル110の透過側を掃引することにより、各埋め込まれた供給経路またはチャンネル110の掃引を首尾よく行うための膜装置の配置方法について教示する。パージ性能は、処理時の透過速度を向上するのに重要であり、場合によっては、膜の再生もしくは持続のための掃除方法も与える。膜モジュール装置10に適した設計は、各膜チャンネル110の透過物側に直接アクセスするパージ流れを提供し、総合的な膜モジュール本体に各膜チャンネルを透過するためのパージ流れを導入し、結果として、以前よりもずっと改善された機械的完全性と、より安価な組立てコストを提供する。
【0044】
各供給チャンネルにパージ流れを導入する方法の1つとして、モジュールまたは本体基体150の中心チャンネル210は、パージ流れ280を導入し、透過物1852を、多孔質のモジュール基体150から出し、互いに接続された細孔152を通じて、個々の膜チャンネル110にパージのアクセスを可能にするため、モジュール本体1522の外表面にパージする。ゆえに、パージ流れ280は、中心線に沿って導入され、放射線状にモジュールまたは本体150の外側へ押し出される。パージ流れ280は、担体基体本体150の互いに接続された細孔または曲がりくねった経路152を通じて流れるため、供給流れ110のすべてが透過物の側に掃引される。これは、単純化のために図1および図1Aに示したような、2層のチャンネルに限定されるわけではなく、多くの層であって構わない。一般に、供給チャンネル110が外表面に近づくほど、透過流れの抵抗性が弱くなり、パージ流れの必要は少なくなる。
【0045】
この放射線状の掃引流れの設計を効果的に行うため、モジュール直径102は、モジュール本体150の細孔および孔隙率に比例(相応)することが好ましい。放射線状の掃引の設計のためには、モジュール基体150の担体基体を全体に渡って均一にする必要があり、供給チャンネル110を対称的に分散させる必要がある。
【0046】
放射線状の掃引流れのモジュール設計のためには、モジュール直径またはモジュール水力直径102は重要であり、また、約9〜100mmであることが好ましい。直径102が大きすぎる場合、パージ流れの抵抗は大きくなる。直径が小さすぎる場合は、モジュールは、操作や取り付けを行うのに十分な強度ではないであろう。よって、モジュール直径は、10〜100mmが、さらに好ましい。モジュールまたは本体150は、直径に対する長さ、もしくはアスペクト比が1以上である円筒状の形態が好ましい。第1の複数の供給流れの経路110は、平行に並んだ多数の流れのチャンネルであり、両端が供給流れ180の輸送のために開放されており、チャンネルの大きさは0.2〜5mm、チャンネル密度は1.55〜155セル/cm2 (10〜1000セル/in2)、開放前面面積が0.2〜0.8である。パージ流れの経路またはチャンネル210は、掃引流れを導入するため、本体150の中央線に沿って配置され、本体150の長さ104と同じかそれ以上の長さで、直径は約1〜10mmであり、掃引流れのポートを提供する。多孔質の本体基体150は、掃引流れ280のための曲がりくねった経路152を形成し、細孔の大きさは約0.2〜20μm、孔隙率は約0.25〜0.75である。膜処理の用途のため、分離膜フィルム140を供給流れ110の壁面114に積層し、第2または掃引流れチャンネル210の壁面には積層しない。しかしながら、第2の流れのための流路またはパージ流路または経路210は、複合性の触媒反応(combined-catalytic reaction)のための触媒層でコーティングすることが可能である。
【0047】
いずれにせよ、膜モジュールの本体150は、成形、もしくはセラミック・モノリスと共に用いられるのと同一の押出し工程により作製することが可能である。パージチャンネルまたは経路210は、第1の複数の供給流れ経路110として、同時に押し出し成形できる。あるいは、パージチャンネルまたは経路210は、モノリス本体150の中心線にドリルで穴を開けることによって作製することも可能である。
【0048】
図2、図2Aおよび図3を参照すると、図1に概略的に示される容器300に関し、多くの収納可能な構造の中から、2つの代替可能な実施の態様が、側面図で示されている。図2、図2Aおよび図3は、図1に図示した本体またはモジュール150を用いた膜装置10を図示したものである。装置10の基本的な構成には、図1に示す膜モジュールまたは本体150、および、空洞を提供し、その中へ取り込む、容器または収納300が含まれる。ポートを提供するため、容器300は、適切な流体もしくは気体のダクト、供給流れ180を排出するための滞留物(retenate)連結管(manifold)334、掃引流れ280を導入するための掃引注入ポート335、ならびに、掃引流れ280および透過物1852の混合物を排出するための第2または透過物排出ポート336を通じて、供給流れ180を導入するための、供給連結管またはプレナム(plenum)333を含み、中央のパージ経路210の一端は、随意的に、図1に示すセメントもしくは他の栓材料で作製された栓288によって塞がれる。
【0049】
本発明において示されるすべてのポートと同様、各ポートの位置は、単なる例示であり、示された正確な位置である必要はない。流束および処理状態が満たされている限り、ポートの位置は他の場所でも構わない。例えば、第2排出ポート336が図1および図2の片側にだけ示されているが、第2排出ポート336は、随意的に、代替として、もう一方の端に取り付けても良いであろうし、図3に示されるように、2つ以上の端に取り付けても良いであろう。放射線状の掃引流れの収納設計には、掃引流れの管理についての2つの選択肢がある。図2の最初の選択肢は、互いに接続された細孔もしくは曲がりくねった経路152を通じて、掃引流れ280のすべてが、本体150のモジュール基体内を通るようにし、透過物1852と一緒に排出される。
【0050】
図3を参照すると、第2の選択肢として、掃引流れ280の一部が、モジュール基体本体150の曲がりくねった経路152を通じて押し進むように強いられ、残りは、図1の栓288で塞ぐ代わりに、掃引排出ポート338から排出される。残りの掃引流れ288は、流入するまたは内側の掃引流れ280として、圧力、方向、量、および異なる流体の流れおよび連結管における他の流れの状態を調節可能なプロセス制御器400を通じて、再循環または連続して循環させることが可能である。
【0051】
ポートまたは連結管333、336および334は、ポート相互間の流れの識別および分離のため、片側に、水平方向に図示されているが、流れ180および1802の出入りを軸方向または水平に調節するバルブまたはプロセス制御器400などの外部調節を用いる代わりに、片側もしくはもう一方の側で、異なる流れが互いに分離され、混合が抑制されている限りにおいて、すべてまたは大部分のポートおよび連結管が垂直に配置され、重力によって自動的に流れ処理を調節できることは、好ましいことである。様々なポートおよび連結管の配置は、所望の流れが要望通りに、内側または外側に分離することができている限りは、自由裁量である。この構成では、生じる掃引流れはモジュール基体を通って押し出され、透過物をパージし、一方、残りの掃引流れは膜モジュールの外へ排出される。排出される掃引流れを、循環制御系400を通じて掃引注入口へと循環して差し支えない。制御系400には、循環ポンプ、流量調整器、圧力調整器などが含まれる。新しく投入される掃引流体288’は、循環流体と混ざり、膜モジュールに入る。
【0052】
様々な構成および実施の形態がすでに知られており、供給およびパージ流れの注入口および排出口として利用可能である。これら注入口および排出口の異なる形態は、すでに、混合タンク、抽出容器、単一チャンネル膜管、ディスク状膜モジュールなどのように、多孔質のセラミックモジュール150を含まない、従来型の分離/混合/ろ過装置によって実現されている。本発明は、供給注入口から各供給チャンネルへの供給、および、供給チャンネルすべてから排出口への残りの成分の排出方法と同時に、注入口から掃引流れを導入し、多数のパージ流路に掃引流れを分散させ、掃引流れおよびパージ流路からの供給チャンネル由来の成分の混合物を回収し、多チャンネルが埋め込まれた本体150の排出口へと排出する方法を教示する。一般に、本発明の教示にしたがい、注入ポート333および335は、供給流れ180および掃引流れ280が、均一に、個々の第1または供給流れ110および掃引経路210および152にそれぞれ分散される方法で設計される。同同様に、排出ポート334および336は、個々のチャンネルから来る流体がすべて効率的に回収される方法で設計される。
【0053】
図2もしくは3のいずれか、および図2Aを参照すると、分離または精製工程において、供給流れ180は、供給流れの注入口1101の各々と連結している供給連結管またはプレナム333を通じて、図1の供給流れチャンネル110に導入される。直接連結する供給流れの経路110が1000以上存在するなど、チャンネルが多すぎると仮定した場合、中央パージ流路210の周りの空間310は、供給流れ180が多数の供給経路110のそれぞれに流れるように提供される。モジュールまたは本体150の2つの端において、流れまたは掃引仕切り350として機能する目的で、対向するエンドキャップ370の内側、またはそれに結合して、あるいはその近くにシーリング剤が存在し、供給流れ280が、空洞または空隙310に入らないよう分離することが好ましい。エンドキャップ370は、例えば、流体の密封を形成するためのOリングなどの仕切り350によって、複数の供給経路110を封止する。
【0054】
供給流れ180は、供給チャンネル110のそれぞれを通過し、網目状の連結管334を通じて、図1の膜モジュールまたは本体150から排出される。その一方で、掃引流れ280は、掃引注入ポート335によって導入され、掃引注入口335が図1のパージ注入口2101と連結することにより、掃引流れチャンネル210へと流れ、曲がりくねった経路152を経由して膜本体基体150から外へ透過物1852を掃引する。透過物1852は、膜モジュールまたは本体150および容器または収納300の壁面または外表面の間にある空隙、空間または空洞310を介して回収され、透過物排出ポート336を介して排出される。
【0055】
図4を参照すると、図1〜3と同じく一般的な教示が、放射線状の掃引流れに水平に配置された図1の装置10の別の実施の態様に適用されて構わない。多孔質の本体150は、細孔の容積全体の20%よりも多くが約10nm〜20μmの細孔サイズを有するような細孔と接続した空隙を伴って、互いに接続した細孔152を持つセラミックのモノリス担体基体を持つ。セラミックのモノリス担体基体本体150の孔隙率は、約20〜80%が好ましい。第1の複数の供給流れの経路110のそれぞれを取り囲む経路の壁面114は、約0.2〜5mmのチャンネル水力直径112を規定する。供給流れの経路110は、約1.55〜77.5セル/cm2(約10〜500セル/in2)のチャンネル密度で分散され、開放前面面積(OFA)の百分率は約10〜50%である。一般に、供給流れの経路110のチャンネル密度は、第2の掃引チャンネルが現存するのだから、供給流れの経路自身および図1のOFAの元々の密度の半分になるべきである。したがって、新しい第1の複数の供給チャンネル密度は、約0.775〜77.5セル/cm2(約5〜500セル/in2)であることが好ましく、開放前面面積(OFA)の百分率は約10〜40%であることが好ましい。
【0056】
図1の単一パージ経路の代わりに、図4では、第2の複数または多数のパージ流路210が示されている。パージ流路またはパージ経路210では、供給経路またはチャンネル110の供給流れとは大きく異なるパージ流れの形状、大きさ、および孔隙率であってよい。すでに教示されたとおり、供給チャンネル110は、円形で、尖った角がないことが好ましく、随意的に膜フィルム140でコーティングされていても構わない。それに対して、パージ流路または経路210は、コーティングされていないか、もしくは複合性の触媒反応のための触媒層でコーティングされている。さらには、図4では、単純化のため円形で示してあるが、パージ流路210は、供給チャンネル110と似たチャンネル形態であって構わない。ただし、細長い長方形の形状でなくではならない。他の可能なパージまたは第2の流れの流路の形状には、正方形、六角形、または他の水理幾何が含まれる。
【0057】
第2の複数のパージ流路210は、チャンネル流路の水力直径212が約0.2〜10mmであることが好ましい。第2の複数のパージ流路210は、約1.55〜77.5セル/cm2(約10〜500セル/in2)のチャンネルまたは流路密度で分散され、開放前面面積(OFA)の百分率は約10〜50%である。
【0058】
第1の複数の供給流れ経路110は、第2の複数のパージ流路210と少なくとも1箇所で重なり、重なり角は0°〜90°である。2つの複数または多数の供給経路110およびパージ流路210は、代替案として、転心において、互いの上に位置することが想定可能であり、掃引流路210の軸方向の配置にとって、0°〜90°で旋回させることができる。0°〜90°の間の重なり角での重なりとともに、第1の複数の供給流れ経路110と第2の複数のパージ流路210の間の経路壁は、仕切りの壁厚430が0.2〜5mmであり、0.5mmよりも厚いことが好ましい。
【0059】
図面の枚数を最小限にするため、すべての重なり角が示されているわけではない。しかしながら、図4では、重なり角は90°であり、第2の複数のパージ流路210は、垂直に配置されている。第1の複数の供給流れ経路110は、開放されている対向した供給部分1101および1102、ならびに、開放された対向した掃引部分を通じて、パージ注入口2101およびパージ排出口2102を有する軸方向に掃引流れ280を輸送するため、開放されている対向した供給端に対して垂直に、反対側にある本体150上の第2の複数のパージ流路210を提供するための開放された対向した掃引部分を有する。
【0060】
図5を参照すると、図4のセラミック膜モジュールまたは本体150のみが示されている。本体または膜モジュール150の一部には、次のものが含まれる:細孔の大きさが10nm〜20μm、孔隙率が0.25〜0.75の多孔質の基体;供給流れ180のために両端が開放されている、チャンネルサイズ112が約0.5〜5mm、チャンネル密度が約1.55〜62.0セル/cm2(約10〜400セル/in2)、開放前面面積が0.3〜0.7の、多数の並列に配置された供給流れチャンネル110;供給流れチャンネル110に隣接し、供給チャンネル110に対して垂直方向に位置する、掃引流れのために両端が開放されている、チャンネルサイズ212が約0.5〜5mm、チャンネル密度が約1.55〜62.0セル/cm2(約10〜400セル/in2)、開放前面面積が0.3〜0.7の、多数のパージ流れチャンネルまたは流路210; および、仕切りの壁厚430が0.5〜3mmの、掃引流れおよび供給流れチャンネル/流路の間の分離壁。チャンネルの大きさおよび形状は、供給およびパージチャンネル/流路110および210のチャンネル密度と同様、同一である必要はない。担体または本体150が、水素などの気体を分離するための約100〜1000m2/m3の広い表面積を提供し、その上、良好な機械的強度も提供するように、供給流れチャンネル110の大きさは小さく、約1mmであることが好ましい。
【0061】
担体モジュールまたは本体150は、横断面の面積が10mm〜50mm、長さが50mm〜3000mmとなるように建設されているとしても、この種類のモジュール設計にとって、寸法の制限はない。断面は、円形または図12に示すように必要とされるパッケージに基づいて正方形の形状であって構わない。供給側のチャンネル密度および大きさは、それぞれ約1.55〜62.0セル/cm2(約10〜400セル/in2)および0.5〜5mmである。掃引側のチャンネル密度および大きさは、それぞれ約1.55〜62.0セル/cm2(約10〜400セル/in2)および0.5〜5mmである。供給チャンネル層110および第2または掃引チャンネル層210は、代替として、積み重ねられ、流れの方向は交差している。供給チャンネル110の小さいチャンネルサイズ(1〜2mm)および、供給110および第2の流れ、透過物、掃引もしくはパージチャンネル210の代替物の積み重ねは、特定の分離面積を増進し、モジュールまたは本体150の機械的完全性を強化し、担体基体本体150の内側の、相互に接続した細孔または曲がりくねった経路152に通じる拡散経路を短くする。供給チャンネルの形状は、円形が好ましい。供給側と掃引側を隔てる壁は、細孔の大きさが約5nm〜5000nm、孔隙率が約0.1〜0.8の多孔質材料で作製される。細孔は、細孔の網目状組織152が担体基体に存在するように、相互に接続されていることが好ましい。
【0062】
ゼオライト膜140および担体本体150の両方が、安価な材料前駆体から作製されることが好ましい。原材料コスト自体は、パラジウムを基礎とした材料よりも格段に安価であろう。主要なコストは、押出し成形の工程、担体のコーティング、およびゼオライト膜の合成に起因する。担体材料の候補としては、アルミナ、ムライト、チタン酸アルミナ、コージエライト、SiCおよび「バイコール」ガラス、もしくは他のセラミック材料が挙げられる。アルミナ材料は、むき出しの担体の上にコーティングされ、界面化学および微細構造を修正する。下記の表は、膜担体本体150の典型的な寸法の例を示すものである。実際の寸法は必要とされる適用の特定の種類に基づいて変更されるであろう。
【表1】
【0063】
膜モジュールまたは本体150は、いくつかの方法によって作製可能である。ある方法では、1つのシートにおける供給チャンネル幾何学110および別のシートにおけるパージ流路幾何学で押出し成型される個々のシートは、素地の形態に、代わりに積み重ねられてもよい。次に、組立て品を高温で焼成し、まとまった単一の本体を形成する。別の方法では、供給チャンネル110は、モノリスの形状に押出し成型される。パージ流路210は、ドリルで穴を開けるか、第2の成型工程によって、押出し成型された素地で作られる。次に、本体を高温で焼成し、機械的強度を得る。モジュールの大きさに理論上の限界はない。しかしながら、効果的な膜分離の実施にとって、膜モジュールまたは本体150は、アスペクト比(長さ/直径)が1より大きい、すなわち、完全な立方体のような形状ではないことが好ましい。
【0064】
メソポーラス材料である随意的な中間層160は、担体の供給チャンネル壁112にコーティングをすることが必要であろう。中間コーティング層160は、厚さが約0〜100μm、細孔の大きさが1nm〜約100nmである。中間コーティング材料160の例には、アルミナ、シリカなどが含まれる。中間コーティング材料160は、ゾル・ゲル法などの湿式化学法によって適用可能である。
【0065】
ゼオライト膜層140は、随意的な中間層160より上の、供給チャンネル壁112上に積層される。ゼオライト合成工程の間、掃引側もしくは掃引または第2の流路210上のチャンネルもしくはチャンネル壁210は、一般に、ゼオライトのコーティングからの隔離、被覆、もしくは他の保護を必要とする。ゼオライト材料の選択は、必要とされる特定の分離工程によって決定される。疎水性には、シリカライトまたは多結晶のMFT型ゼオライトが必要とされる。親水性にとっては、A型ゼオライトが好ましい。大きな細孔サイズには、XまたはY型のゼオライトが好ましい。高いイオン交換容量には、アルミナ/シリカの比が低いゼオライトが必要とされる。成長を促進させるためには、ゼオライト結晶の種を、まず担体または本体150に積層することが必要であろう。
【0066】
ゼオライトが成長する以前にゼオライト結晶間およびゼオライトと担体の間に形成された間隙または小さい穴を、ゼオライトが封止するために、ゼオライトを複数回成長させることが必要であろう。担体または本体150が適切な寸法で作製されない場合、小さく長い流れチャンネル110の内側に欠陥のないゼオライト膜140を調製することは、材料加工の難しい課題である。
【0067】
ゼオライト結晶は、担体または本体150と結合し、必要な密着強度を有することが必要である。担体150の化学組成物および微細構造は、しばしば、ゼオライト膜140の調製に影響を与える。個々のゼオライト結晶中の間隙は、結晶の群生(inter-growth)によって塞がれなければならない。ゼオライト膜140にゼオライトの分離機能を発揮させるためには、ゼオライトチャンネル110が分離流れのための流れ経路のみで構成されるように、欠陥もしくはゼオライトチャンネルよりも大きいピンホールは封止する必要がある。よって、ゼオライト膜140の性質は、適切に管理された方法を用いて適切な合成条件下で調製される。
【0068】
ゼオライト膜の生成および基本的理解については、著しく進歩している。用いるゼオライト材料としては、A型、Y型、MFI型のゼオライトおよびシリカライトが挙げられ、一方、ゼオライト膜を補助するのに用いられる担体材料には、γ‐アルミナ、α‐アルミナ、SiC、コージエライト、および「バイコール」ガラスが挙げられる。本発明にかかる水素パージ作用もしくは適用の改良にとって好ましい、ケイ酸含有量の高いMFI型のゼオライトは、広範囲にわたって文字どおり研究されている。ゼオライト膜の合成技術は、大まかに(1)その場水熱合成法、および(2)二次成長および気相輸送法、に分類される。その場水熱合成法の基本的な手順は、担体または本体150を合成液またはゲルと直接接触させ、次に、熱水条件下で担体150の表面にゼオライトフィルムを成長させる。多くの事例では、ゼオライト膜のその場合成はゼオライト粉末合成と似た条件下で行われる。二次成長方法は、2つの工程から成る。最初の工程は、ゼオライト結晶の種で担体をコーティングすることであり、二番目の工程は、熱水合成によって、種層を途切れのないゼオライトフィルムに成長させることである。典型的には、安定した液相中で生成する小さいゼオライト結晶は、機械的洗浄または浸漬コーティング技術のいずれかによってゼオライトの種を植え付けるのに用いられる。二次成長法における第2の工程の目的は、種を、結晶の間に隙間を生じさせずに、連続した膜へと成長させることである。第2工程は、その場合成の手順とまったく同じように行う。その場合成と比較して、二次成長法は、大量の希釈合成液、より低い合成温度、および、より短い合成時間を必要とする。
【0069】
ゼオライトの分離機能を発揮する膜に関しては、文献で報告されており、そこにはゼオライト膜生成の基本的な実現可能性が示されている。しかしながら、小さいディスクや単一の管に基づいた合成法を、多チャンネルおよび/または長い管にスケールアップすることは、別の難しい課題であることがわかる。所望のモノリス構造は、供給チャンネルの大きさが約1mm、長さが>30cmであり、以前に用いられていたものと比較して、非常に狭く、長い。こういった小さく長いチャンネル110の内側にゼオライト膜140を積層することは、未だに大きな技術的課題ではあるが、本発明にかかる教示によってすでに示されたとおり、モノリス担体本体150の孔隙率を増大させることによって、流束を改善することについては大きな可能性がある。
【0070】
図6、図6Aおよび図6Bを参照すると、図5のモジュールまたは本体150の利用による膜装置の処理の概略図が、装置10に含まれた本体150を示す図4の単純化された斜視図と同じように示されている。装置10のための基本的な構成部品には、膜モジュールまたは本体150を包含するための空洞、隙間または空間310を提供するための
容器または収納300が含まれる。
【0071】
注入および排出パージポート335および336が、一体化していない場合、あるいは、物理的にパージ流路の流れ注入口2101および排出口2102の開口部に、材料に適合したプレナム、フェルール、もしくはコネクタを通じて接続され、物質が直接ポートされてしまい、適切な調節および適切な材料の適合が必要とされる場合、非常に多くの供給経路110へのポートにとっては、配置のアンバランスおよび材料の不適合は、もはや障害ではないであろうことから、間接的または自由流れのポート組立体がより容易でより経済的であろう。容器300の壁とモジュール本体150の間の空間または空隙310は、注入ポート335から多数または1つのパージ流れ流路210のプレナムにパージ流れ280を分散させ、多数または1つのパージ流れ流路210から排出ポート336へとパージ流れを回収することが必要であろう。したがって、パージ注入口335をパージ排出口336から分離するには、スペーサまたは掃引仕切り650が必要である。そこには1つの掃引流れのみが存在しなくてはならず、単一の掃引流れは、膜モジュール150内をワンススルー(once-through)やジグザグなどの異なるパターンで自由に移動し、掃引流れ280と一緒に透過物1852を掃引することが可能である。そのことは、掃引の主目的である。しかしながら、透過物1852が掃引されない場所に入り込んでしまった場合、「デッドスペース」〜利用されない空間〜が生じるであろう。したがって、空間310は、掃引流れ280のための余分のパージ流路を提供し、本体150の外表面からの透過物を掃引する。掃引流れが本体150の必要とされる表面すべてに滑らかにアクセスできるようするためには、収納または容器の形状は、「デッドスペース」を最小限にするため、図に示すように、円または丸みを帯びていることが好ましい。しかしながら、容器の形状は、尖った角がない他の形状でも差し支えない。
【0072】
供給連結管333は、プレナムまたは他のダクト装置を通じて供給流れ180を導入する。網目状の連結管334は、排出口1802として、供給流れ180を排出する。パージ注入ポート335は掃引流れ280を導入し、パージ排出ポート336は排出口2102として掃引流れを排出する。
【0073】
図6および図6Aを参照すると、流れの仕切り350は、供給流れ180を掃引流れ280と分離する目的で、本体150および容器300の間の空間310に配置される。この流れの仕切り350は、弾力性のある材料で作製される分離第1密封パッケージではあるが、特定の処理の適用に耐久性があるであろう。例えば、流れの仕切り350は、弾力性のあるディスク、もしくは、本体150の周縁を取り囲む適切な大きさのO−リングであって構わない。あるいは、流れの仕切りは、特徴または収納における他の突き出た特性(protruding features)を止める(detent)ことができる。この流れの仕切り350は、注入供給流れ180が最初に導入され、または最後に統合される場所に近いモジュールまたは本体150の両端で、供給流れ180を掃引流れ210から分離する。
【0074】
収納または容器300の材料は、用途によって決まる。高温および/または高圧の適用には、容器300は鋼鉄、典型的にはステンレス鋼から作製される必要がある。モジュールまたは本体150は取り外し可能でなくてはならないため、仕切りは収納または容器300の一部でないことが好ましい。しかしながら、仕切りの設置/取り外しが簡単で、漏れが生じない方法で、収納または容器300に何らかの機能を内蔵しても構わない。
【0075】
容器300の形状は、カラムまたは管などの円筒型であることが好ましい。いずれの形状の容器300においてもデッドスペースは存在するが、優れた収納設計によって最小限にできるであろう。図6および図6Bを参照すると、掃引仕切り650として機能する第2の密封パッケージは、掃引流れ210の注入口2101および排出口2102を分割する。一例として、弾力性のある細長い形状をした2つの掃引仕切り650は、直径の対向する両端に沿って配置され、直径を二分し、注入および排出掃引ポート335および336を提供して差し支えない。容器300は円筒型であり、本体150もまた、図4に示すとおり、円筒型の形状であり、残りの空間310とともに容器300内に収まるのに十分小さいサイズであることから、掃引仕切りまたは第2密封パッケージ650は、似たようなアーチ型の形状をしたシリコンまたは他の種類の耐久性のある弾力性のある細長い形状であってよく、パージ流れ280の排出口から注入口を分離するために、注入および排出掃引流れ280に垂直に、隣接して、リング状の部分310を二等分する対向したアーチ状の空間に配置されて差し支えない。本体またはモジュール150は円形の断面と共に円筒型として図に示されているが、すでに図12に関連して論じたとおり、モジュールまたは本体150は、直方体、もしくは正方形、六角形、または長方形の断面を有する、他の形状をしたモノリスなど、いずれの形状であってもよい。
【0076】
図14を参照すると、容器300が円筒型で、本体150Cが正方形の形状で、円筒側の横断面を4つに分割されたアーチ型の空間または間隙310になるように分割するのにちょうど十分な大きさであった場合、掃引仕切りまたは第2密封パッケージ650Cは、似たようなアーチ型の形状のシリコンまたは他の種類の耐久性のある弾力性のあるガスケットであってよく、パージ流れ280の注入口と排出口を分離するために、注入および排出掃引流れのアーチ型の空間部分310に垂直に、隣接して、対向したアーチ型の空間に配置され、提供される空間にうまく適合する形状であって差し支えない。
【0077】
あるいは、容器300が長方形である場合は、掃引仕切りまたは第2密封パッケージ650は、似たような形状をした薄いシリコン層または他の種類の耐久性のある弾力性のあるガスケットであってよく、パージ流れ280の注入口と排出口を分離するために、注入および排出掃引流れのアーチ型の空間部分310に垂直に、隣接して、対向した長方形の空間部分に配置され、提供される上部および底部の空間にうまく適合する形状であって差し支えない。2層の代わりに、掃引仕切りまたは第2の密封パッケージ650は、2つの分割された空間、もしくは、本体150から上または下方向に伸びる、よう壁(retaining wall)であり、本体150と容器300の間にある、本体150の上下の空隙もしくは空間310を通じてパージ流れ280の迂回路を遮断して構わない。
【0078】
また図6および図6Bを参照すると、分離工程には、典型的に、供給流れ180と掃引流れ280の間に大きな勾配圧力またはΔP(2×105〜35×105Pa)170が存在する。したがって、流れの仕切り350は、分離膜を通じて流れることなしに、供給流れ180が掃引流れ280に入ることを妨げるのに十分な強度が必要とされる。対照的に、パージ流れ注入口2101と排出側2102の間には、それほど大きな勾配圧力は存在しない(<0.5×105Pa)。掃引仕切り650は、流入する掃引流れ280を、膜本体150の外側にある開放された開口部もしくは穴2101を通じて、膜本体150の内側のパージ流れチャンネル210に入るように強いる。したがって、図1〜6に示す膜装置では、単純で単一な一の掃引工程のみを行うことが可能である。
【0079】
再度、図6および図6Bを参照すると、供給流れ180と掃引流れ280を分割する流れの仕切り350のための仕切りの材料は、軟ステンレス鋼、グラファイト、高密度セラミックス、炭素複合繊維などから、O−リングもしくはフェルールの形状で作製することができる。この種の密封パッケージ材は、一般に、高価ではあるが、市販されている。供給流れ180と掃引流れ280の間に、大きな圧力勾配を適用することから、この高価な材料は、機械力下で空間を密封するのに用いられる。
【0080】
しかしながら、掃引流れ280のための仕切り材650は、高い圧力差に耐える必要はないことから、多くの材料が利用可能である。グラファイト、高温耐性の「テフロン」(登録商標)、石英ウール、ガラス繊維、ファイバーフレックスなどで作製されたO−リングなどの可撓性材料であることが好ましい。他の多くの別の種類の作動条件下で安定な材料が市販されている。
【0081】
図7、7Aおよび7Bを参照すると、図5に示す同様の単一の膜装置150を用いて、多段式の掃引を可能にしている。例に示すような半円の仕切りリング、各パージ流路の開口部に挿入された2つの円形の栓、もしくは、パージ流路の2つの開口部を覆う収納の、上下の表面に接するための単に長方形のストリップ(strip)、として用いられる付加的な既知の仕切り358および358’は、パージ流れ280が流路210を通じて頻繁に滲出することから、パージ流れ流路の注入口と排出口を分離するため、角の掃引の仕切り350の同一の側に配置される。リングまたはストリップは、容器300およびモジュール本体150の形状に応じて、掃引流れの分離に利用可能である。したがって、仕切りは、容器が300である場合、アーチ型の部分もしくは半円の仕切りリングであってよい。図7に示す付加的な掃引もしくは既知の仕切り358は、ジグザグの掃引流れを作り出し、膜の性能を向上させる。例えば、パージ流れは右側から開始し、パージ流路210を通じて左側へ移動し、パージ流路210を通じて右側に戻り、左側へ移動する、といった具合である。
【0082】
したがって、図7に示すとおり、膜モジュール本体150に沿ったジグザグの掃引流れの経路は、付加的な掃引仕切り358および358’を、膜本体150に沿って、あるパターンで分散させることによって作り出すことができる。図7に示すパターンのジグザグによって、掃引流れ810は、入り口における掃引流れの流入210に逆らって流れている。したがって、全体的な逆行する掃引処理は、全体的な流れの方向が供給流れの方向と反対であるところにもたらされる。
【0083】
図8を参照すると、パージ流路210と供給経路110の間の重なり角は、図4の90°に代えて、今度は0°であり、他はすべて同様になっている。したがって、第2の複数のパージ流路210は、第1の複数の供給流れ経路110と平行に配置される。しかしながら、パージ流路210は、両端が塞がれている。よって、少なくとも2つのパージ注入口および排出口は、掃引流れ280をパージ注入開口部2101から、本体にある第2の複数のパージ流路210へと輸送し、またパージ流れ混合物1852を本体にある第2の複数のパージ流路210からパージ排出開口部2102へと排出するため、栓をした開口部と垂直になるように、対向する側の本体に連結した少なくとも1つの開口部を包含する。
【0084】
したがって、多数の流れチャンネル110は、平行に配置され、供給流れ180のために両端1101および1102が開かれ、チャンネルの大きさ112は約0.2〜5mm、チャンネル密度(約1.55〜155セル/cm2(約10〜1000セル/in2))、および開放前面面積は0.2〜0.8である。掃引流れ流路210の多数もしくは1つの層は、供給流れチャンネル110の他の層に隣接し、平行に重なるように配置される。掃引流路210は、ずらされ(offset)または供給チャンネル110と一緒に直線的に配置せず、機械的完全性を最大限にすることが好ましい。しかしながら、最大の掃引効果を確保するため、掃引流路210があたかも、供給チャンネル110によって定義される正方形の4つの角の中心に位置するかのように、各掃引流路が4つの流れチャンネル110の内側に集中することが好ましい。掃引流路210は、掃引流れ210が、流路もしくはチャンネルの大きさ212が約0.2〜5mm、チャンネル密度が約1.55〜155セル/cm2(約10〜1000セル/in2)、および開放前面面積が0.2〜0.8で通るように、両端が閉じられている。開口部(aperture)2101および出口2102は、一直線になるようには接続されていないが、オフセットで、掃引流れが掃引流路210に注がれるようにし、隣接した供給チャンネル壁114を最大限にきれいに掃除する。排出経路(egress)の断面においてパージ排出開口部2102と直線的に直接接続された各パージ注入開口部2101を持たないことによって期間的完全性を最大限にするため、膜本体150の外側の表面にある同じ開口部の一部として、供給チャンネル110の両端の近くにおいて、多数の排出経路921は、穴または開口部2101および2102と接続している。排出経路921は、本体150の内側の各掃引流れチャンネルまたは流路210を切断し、等分し、妨害し、あるいは反対に、外側の開口部2101または2102に接続される。排出経路921の幅または注入または排出開口部2101または2102は掃引チャンネルの大きさ212と同じかまたは小さい。排出経路921の長さ、もしくは、注入または排出開口部2101または2102は掃引チャンネルの大きさ212と同じかまたは大きい。開口部の深さまたは排出経路921の長さは、すべての掃引流路210よりも長く、掃引チャンネルの大きさ212と同じかまたは大きくなるようにし、注入口または排出口2101または2102における本体150の外表面から最後の掃引チャンネルまでの開口部の深さが連続するようにする。供給およびパージ流れチャンネル110および210の間の仕切りの壁厚430は、約0.5〜3mmである。本体150は細孔の大きさが約10nm〜20μm、孔隙率は約0.25〜0.75の多孔質基体であることが好ましい。
【0085】
図9を参照すると、図9の円筒型本体150が示されている。他の形状のモノリス本体150も、図12で論じたとおり、本発明にかかる教示にしたがって利用可能であることは好ましいことである。
【0086】
図10、10Aおよび11を参照すると、図9に示したものと同様の本体150は、容器300によって封入され、また、設置されて空隙310を提供する。パージもしくは掃引注入ポート335または排出ポート336は、モジュールまたは本体150の外側から、本体150の内側の個々のパージ流れチャンネルまたは流路210にパージ流れ280を導入するため、もしくは、本体150の内側の個々のパージチャンネル210から膜本体150の外側に流れを引き込むための連結管の機能を果たす。ポート335または336のそれぞれのための排出経路921の各開口部、穴、または開口は、1列のパージ流れチャンネル210に関連する。必要に応じて、3箇所以上のパージポート335および336のための開口部を、掃引流速に基づいて作製することが可能である。供給流れの容積率に対する掃引流れの容積率の比は、10よりも小さいことが好ましい。
【0087】
本体150の膜モジュールは、セラミック・モノリス用などの押出し成型法によって作製可能であり、さらに、経済的な鋳造法もまた利用可能である。連結管のスリットとしての役割をする開口のための注入または排出開口部2101および2102を含む排出経路921は、焼成前に、モノリス素地に設けられる。多数の穴あけ機を用いて、本体の外側から内側の方向に向かって穴をあけることができる。両端のパージ流れチャンネルまたは流路210は、焼成後に、セメントなどの栓材料958を用いて塞ぐことができる。栓材料958は、押出し成型本体150と同一または同様の熱膨張係数を有することが好ましい。さらには、栓材料958は、パージおよび供給流れ相互間に、流れの交換を避けるため、機密性、および、流れの仕切りとしての役割も必要とされる。モジュールの大きさに制限はない。しかしながら、モジュールまたは本体150は、>1または>5などの高いアスペクト比(直径に対する長さ)であることが好ましい。モジュール横断面は、図12を参照して論じたとおり、正方形、長方形、六角形または円形の形状で作製されることが好ましい。
【0088】
他の実施の態様の場合、装置10のための基本的な構成部品には、図9の膜モジュール150、容器または収納300、供給流れ180を導入するための供給連結管333、供給流れ180を排出するための網目状の連結管334、掃引流れ280を導入するためのパージ注入ポート335、および掃引流れ280を排出するためのパージ排出ポート336が含まれる。
【0089】
図6に見られるように、パージ流れ280と掃引流れ180を分離するため、モジュールまたは本体150の両端で流れの仕切りとして機能するための対向したエンドキャップ370の内側の流れの仕切り350には、シーリング材があることが好ましい。エンドキャップ370は、例えば流体を密封するための、O−リングなどの流れの仕切り350によって、複数の供給経路110に対して封止される。
【0090】
再度、図10、10Aおよび11を参照すると、O−リングもしくは他の種類の密閉リングなどの掃引仕切り650は、掃引流れ280の注入口2101と排出口2102を分割する。空間または空隙310は、膜本体150および容器300の壁の間に存在する。空隙310は、掃引供給335をモジュールまたは本体の内側のパージ流路210に分布させるためにある。
【0091】
掃引仕切り650は、その空隙310の部分を満たし、掃引流れ280が空隙310を通じて流れること、および、パージ流れチャンネル210を迂回することを防ぐ。したがって、掃引仕切り650は、入ってくる掃引流れが、膜本体150の外側開口部または穴2101を通じて、膜本体150の内側のパージ流れチャンネルまたは流路210に入るように強いる。容器300が円筒型であり、本体150が円筒型の形状で、残る空隙310とともに容器300に収まるのに十分小さい大きさである場合、掃引仕切りまたは第2の密封パッケージ650は、注入口をパージ流れ280の排出口と分割するための空隙の環状部分310に配置された、同様の形状をしたアーチ型のケイ素、または、他の種類の二等分可能な弾力性のリングであって構わない。
【0092】
図13を参照すると、容器300が円筒型で、本体150Cが正方形の形状で、円筒側の横断面を4つに分割されたアーチ型の空間または空隙310になるように分割するのにちょうど十分な大きさであった場合は、第1の密封パッケージまたは流れの仕切り350、および、掃引仕切りまたは第2の密封パッケージ650は、それぞれが、似たようなアーチ型の形状をしたケイ素または他の種類の丈夫な弾力性のあるガスケットの4片のセットであってよく、パージ流れ280の注入口と排出口を区分するために、注入および排出掃引流れのアーチ型の空間部分310に垂直に、隣接して、対向したアーチ型の空間に配置され、提供される空間にうまく適合する形状であって差し支えない。容器300が長方形である場合、および、空隙310が十分に細い場合、長方形の本体150の周りのO−リング650および350もまた、充足するであろう。
【0093】
再び図10を参照すると、分離または精製工程では、供給流れ180は供給連結管333を通じて供給チャンネル110に導入され、供給チャンネル110を通じて移動し、網目状の連結管334を通じて膜モジュール本体150から排出される。一方、同時に、連続した第2の流体工程に見られるように、掃引流れ280は、パージ注入ポート335によって導入され、パージ流れチャンネルまたは流路210に入り、パージ排出ポート336から排出される。実線の矢印で示されるように、掃引流れの方向280は、逆流または、供給流れの方向180に対して反対の、平行方向であることが好ましい。しかしながら、単純に、反対端334で供給流れを導入し、もう一方の端333で供給流れを排出することにより、掃引流れの方向は供給流れの方向に対して同方向になる。あるいは、供給流れ180の元の実線の矢印の方向を保つので、掃引仕切り650は、パージ注入口2101として用いられるであろうパージ排出口336のさらに近くで作動させることによって、流れの方向を定める仕切りとしても機能させることが可能であり、パージ流れ280は、排出口335を通じて、元々示されたように反対方向において、排出されるであろう。したがって、流れの方向を定める仕切り650は、流れ180と280の間の相関的な方向を選択するため、本体150と容器300の間の空隙310に配置され、ここで、流れの方向を定める仕切り650は、掃引流れ280の入り口部分と掃引流れの排出部分を分割し、パージ性能を最大限発揮させる目的で、掃引流れを、供給流れ180の方向と逆方向または同方向に流すようにすることが好ましい。
【0094】
供給流れ180の一部またはほんの少しを、膜壁の互いに接続した細孔を通じて、掃引流れ280へと輸送し、透過物の経路1852を提供する。掃引流れ260は、それに関係する全パージ流路、注入口、排出口、および連結管と一緒に、本発明において、しばしば、掃引またはパージ流れとして参照されてはいるが、掃引流れ280は、供給流れ180である第1の流れとは別の、いかなる第2の流れであっても構わないということは、好ましいことである。
【0095】
操作上、本発明にかかる膜パージ工程は、示された実施の態様のいずれかを利用することが可能である。2つの異なる種類の流体の流れ相互間の大量輸送または交換を包含する、吸着工程、抽出工程、および他の混合および反応工程として、膜モジュール装置10は、高生産力および低コストが実現されるように、これらの工程を連続的な方法で行うことを可能にする。本体150の膜モジュール設計は、所望の性能を達成させる鍵である。膜モジュールは、2つの流れ相互間に大きな接触面積を有すること、および、担体基体150に対する高透過性を有することもまた必要とされる。
【0096】
本発明にかかる装置10は、2つの異なる流体の流れ180および280の混合に利用することもできる。掃引側から導入される1つの流体流れ280に、圧力勾配の下、多孔質の膜壁140を通じて、供給チャンネル110から導入される別の流体180を加える。これにより、2つの流体180および280を、さらに制御された方法で混合することができる。さらには、チャンネル壁にある互いに接続された細孔または曲がりくねった経路152の小さいサイズの細孔は、混合される流体を高度に分散させることができる。言い換えれば、ナノサイズまたはマイクロサイズの粒子の形成のための、小さい水滴またはドメイン・サイズの生成を可能にする。1つの事例は、ペリレンのナノ分子生成への利用である。ペリレンは、生物学および医療の分野で多く用いられる、蛍光性およびエレクトロルミネセンス性の色素である。細孔サイズが約10〜100nmである膜モジュール本体150は、水性の溶液中でナノサイズのペリレン粒子を生成するのに利用可能である。ペリレンのエタノール溶液(1×10−5〜1×10−3M)を掃引側から膜モジュール装置10に導入する一方、供給チャンネル110に水を満たし、流す。約0.1×105〜2.0×105Paの圧力勾配170を、掃引280および供給流体180の間に適用し、ペリレン溶液が膜140を透過し水相へ入るようにする。膜の細孔の大きさは、水相に入るペリレンの大きさを限定する。結果として、10〜100nmの大きさの、分散したペリレン粒子が水相に形成される。したがって、掃引および供給流路/チャンネル210/110の注入および排出を、以下に示す:
掃引側
入 高濃度のペリレンのエタノ−ル溶液
出 非流体、もしくは低濃度のエタノール溶液
供給側
入 ペリレン粒子を含まない、または低濃度のペリレン粒子の水溶液
出 高濃度のペリレン粒子の水溶液
したがって、ペリレンの粒度および粒度分布は、膜の細孔サイズおよびサイズ分布によって調節可能である。混合率は、圧力勾配および膜厚を調整することにより調節可能である。無機の膜140は、特に、有機材料を包含し、および/または高温が要求される、混合の工程に効果的である。
【0097】
本体または膜150自身のちょうど良い細孔の大きさおよび細孔の大きさの配分(約10〜100nmなど)は、膜層140を追加して配置することなく、混合工程に利用可能である。しかしながら、モジュールまたは本体150において、細孔サイズ(0.2〜20μmなど)が特定の適用に適さない場合、および/または適切な表面特性(滑らかさ、疎水性、親水性など)、その結果、膜フィルム140、または、単独あるいは膜フィルム140と一緒に用いられる(10〜100nmの細孔の大きさで、など)、好ましくは無機材料で作製された改質層160は、担体の細孔の大きさおよび表面特性の改質に利用して構わない。
【0098】
抽出工程は、本発明にかかる膜モジュール装置10に利用可能な分離または精製技術の類のひとつである。吸着は、液相または気相であってよく、一方、抽出は、液相で行う。抽出の工程では、目標とする種は、2つの異なる液相の流体で異なる溶解度を有し、溶解性の低い流体中の種を、より溶解性のある流体の方へ抽出する。典型的な抽出工程では、2つの液相の流体を混合し、分配平衡に達するように接触させ、次に、2つの流体に分離する。2つの流体間の効果的な接触あるいは良好な抽出効果のため、2つの流体はよく混合する必要がある。しかしながら、2つの流体が従来の工程で良く混合される場合、それらを分割するのは困難である。それゆえ、従来の溶液抽出工程が、実績のある単位処理工程であるとしても、まだなお技術的限界がある。例えば、充填カラムまたはミキサー・セトラーなどの溶液抽出装置は、狭い流量範囲でのみ処理可能である。さらには、二相間の密度差を必要とする。
【0099】
膜の装置10は、抽出工程を連続的方法で行うことを可能にする。操作上、図1〜13を含むいずれかの実施の態様を参照し、供給流れチャンネルまたは経路110の内表面または壁に配置された膜フィルム140が、吸着剤のフィルム層として利用するためのゼオライト材などの吸着剤である場合、装置10の用途としては、供給および掃引流れ相互間の圧力差約0〜約2×105Pa、温度0℃〜100℃で連続的抽出工程に利用可能である。2つの流体は、膜層140に界面接触し、透過される第1の組成物1852の中の目標とする種が第1流体Iまたは供給流れ180から第2流体II、掃引、パージ、または他のいずれかの第2の流れ280へ抽出される。このようにして、2つの大量の流体が最初の場所では互いに混ざり合わず、それゆえ、分離する必要もない。明らかに、抽出効果を大きくするには、界面積を(膜面積と同じく)可能な限り大きくする必要があり、多数の、小さいサイズの供給チャンネル110を利用する本発明によって、大きくできる。膜装置10は、さらに、他の混合または反応工程にも利用可能であり、それには、1つの流体流れから他の経路への大量輸送が含まれ、また、大量輸送速度は界面積または膜表面積に比例する。したがって、膜厚は、膜140を通じて高い大量輸送速度を有するため、薄いことが必要とされる。ゆえに、膜装置10は、連続的抽出工程を行うことに利用可能であり、ここで、供給液相流れの一成分または一部は、膜壁の界面接触を通じて、第2または掃引液体流体280の中へ輸送される。
【0100】
したがって、本発明にかかる膜モジュール装置10は、連続的抽出工程を行うこと利用可能である。膜抽出工程は、各相、粒子状物質を含む流体流れ1852の抽出、および同一または似た密度の2つの流体流れの利用のための流速の独立制御を可能にする。膜抽出工程では、溶質の種はラフィネート(raffinate)相180から抽出相280の中に、互いに接続された細孔または曲がりくねった経路152の膜細孔を通じて分散することによって移動する。ラフィネート相180は、抽出すべき溶質種を含む流体であり、一方で、抽出相280は、ラフィネートよりも溶質種に対する溶解性または親和性が高い流体である。ゆえに、膜を通じて拡散する溶質の原動力は、2つの異なる流体180および280における溶質の化学ポテンシャルの違いである。
【0101】
周知のように、溶媒系にとっての化学ポテンシャルは、溶媒に対する溶質の親和性に関係する。気相にとって、化学ポテンシャルは分圧に関連する。したがって、膜工程にとって、溶質をラフィネートから抽出物へと溶質を移動させる原動力は、化学ポテンシャルの差である。圧力勾配は、ラフィネートと抽出物を混合する結果となり、膜抽出工程を妨げるであろうことから、膜全体にわたって圧力差が存在しないことを適用すべきである。しかしながら、気体の膜混合工程では、圧力勾配をかけて、1つの流体を別の流体の中へと膜層を通じて適用しなければならない。
【0102】
1つの例では、メチルイソブチルケトン(MIBK)溶媒による水溶液からの酢酸の抽出である。細孔サイズが約0.2〜20μmの膜モジュールを利用する。酢酸水溶液は供給チャンネル110から膜モジュールへ導入され、一方で、MIBK溶媒は掃引側からパージ流れ流路210へ導入される。供給流体180は、掃引流体280と同じ圧力で管理される。すなわち、1つの流体が他の流体に混じらないようにするため、圧力勾配は作らない。接触面は、多孔質膜層140にある2つの流体の流れ180および280の間に形成される。酢酸は、20℃で、接触面において水溶液からMIBK溶媒へ拡散する。したがって、以下に、供給および掃引チャンネル/流路110/210それぞれの注入および排出を例証する:
掃引側
入 酢酸を含まない、または、低濃度の酢酸のMIBK溶媒
出 高濃度の酢酸のMIBK溶媒
供給側
入 高濃度の酢酸の水溶液
出 低濃度の酢酸の水溶液
したがって、膜抽出工程では、原理上は、供給および掃引側はラフィネートまたは抽出物のいずれに利用しても構わない。しかしながら、詰まりや付着の原因となりうる「汚れた」材料を含む流体流れは、容易に清掃できるチャンネルに導入するのが好ましい。例えば、微粒子を含むラフィネートは、直線の流れ経路を伴う供給チャンネル110に導入することが好ましい。膜抽出工程では、抽出速度は、概して、膜層140を通る溶質の拡散速度の影響を受ける。圧力勾配がない、または小さいので、膜厚は、薄い方が好ましく、例えば、<1mmである。よって、抽出は、多種多様な産業工程、精製、石油化学製品、食品、生物製剤、医薬品などに利用可能である。膜層140が、抽出剤に入ろうとする微粒子をブロックするため、膜140は微粒子を含んだラフィネートから直接抽出を可能にする。無機膜モジュール装置10は、長期耐久性の提供が期待されている。さらには、こういった無機膜140は、高温で取り行う抽出を可能にし、それによって抽出速度が上昇し、また、抽出効率も向上するであろう。
【0103】
しかしながら、モジュール本体150自身の適正な細孔サイズおよび細孔サイズ分布(約0.2〜20μmなど)は、膜層140の追加の配置をすることなく、膜工程に利用可能である。しかしながら、膜モジュールの細孔サイズが特定の抽出工程に適さない場合、および/または適切な表面特性(滑らかさ、疎水性、親水性など)を持たない場合、単独あるいは膜フィルム140と一緒に用いられる、好ましくは無機材料で作製された改質層160を、担体の細孔の大きさおよび表面特性の改質に利用して構わない。供給チャンネル壁およびパージ流路の間の厚さ430は、可能な限り小さく、<2mmが好ましい。また、モジュール基体の孔隙率は、0.35〜0.85と、高いことが好ましい。
【0104】
装置10は、分離および精製目的にも利用可能であり、流体混合物から所望の生成物の回収、もしくは、流体の流れからの不要な不純物の除去が可能となる。こういった膜の装置10の利用は、従来の吸着、抽出、蒸留および結晶化技術と比較して、さらにエネルギー効率の良い工程を可能にする。吸着および抽出技術は、プロセスの流れの中の精製または分離のため、装置産業界で幅広く利用されている。従来の工程は、典型的に、バッチ式で作業し、また、複雑な工程段階、高エネルギーおよび資本コストと関係する。連続的掃引を行うことにより、本発明にかかる膜モジュール装置10は、これらの工程を連続てkな手法で行うことを可能にし、その結果、高生産性およびコストの低減を実現する。
【0105】
従来式の吸着工程では、供給原料の一成分または一部が選択的に固体吸着剤に吸着される。吸着される種は、未処理の供給流れから回収すべき所望の生成物、もしくは、未処理の供給流れの精製にとって望ましくない不純物のいずれかである。吸着剤が飽和または吸着される種が満載となった後、吸着剤は、吸着した種を開放することによって再生する必要がある。吸着された種が所望の生成物である場合、それらを回収しなければならない。再生には、しばしば、掃引またはパージする流体流れの利用が含まれる。吸着される種が不純物である場合は、それらを処理しなければならない。ゆえに、従来的な吸着分離工程には、2つの独立した基本的段階(1)吸着、および、(2)再生が含まれる。気相の吸着工程では、吸着は、しばしば、高圧力の下で行われ、再生(または脱着)は、低い圧力で逆方向に行われ、これは、圧力スイング吸着(PSA)法として周知である。液相の吸着工程では、再生は、しばしば、供給流体とは別の溶媒を用いて行われる。
【0106】
従来的な吸着を基本とした分離工程には、2つの根本的な問題がある。第1に、吸着処理の間のある時期に機能するのは、吸着床のほんの一部である。典型的には、吸着処理の間に、吸着前面が形成される。前面が形成される以前は、吸着剤は飽和しており、前面が形成された後は、吸着剤は利用できない。吸着が進行すると、前面は吸着床の深さに沿って下降する。結果として、吸着剤のほんの一部しかその時期には機能しない。第2に、再生または脱着は、吸着工程と逆行して行う必要がある。それゆえ、多数の吸着床が必要となり、結果として資本コストが大きくかかってしまう。さらには、吸着容器にたいする一定の加圧および減圧により、エネルギー消費が大きくなる。従来的な吸着工程は工業および研究所において流体流れの分離・精製に幅広く利用されているが、上述のように基本的な欠点がある。
【0107】
一方、装置10によって可能となる膜を基本とした吸着工程は、資本および作業コストを格段に低減するための溶液を提供する。装置10を使用した膜分離装置では、目標とする種は供給側の膜140に吸着され、膜140を通じて透過し、パージ側の膜140の外へ連続的に除去される。このようにして、膜面積のすべてが、常時、積極的に機能し、定常状態の作業が実現する。
【0108】
装置10によって扱われる処理流れは、工業、環境、精錬、ガソリン、石油化学、生物学、医薬化学、バイオ化学、または他の処理用途において、ゼオライト材などの吸着剤上に、望まない不純物または所望の成分を含んだ処理流れを吸着することにより精製可能である。典型的な用途には、天然ガス処理などで気体の流れからの水除去、および、特に治水に利用するPEM燃料電池を用いた燃料電池の処理が挙げられる。
【0109】
する
ゼオライト吸着フィルムは、連続的な吸着工程に利用可能であり、供給および掃引流体流れ相互間の圧力差約1×105〜50×105Pa、および約0℃〜700℃の温度で処理される。連続的吸着の間に、膜モジュールまたは本体150の供給チャンネル壁114は選択的吸着フィルム140でコーティングされ、吸着剤140上に吸着される吸着種は、チャンネル壁の曲がりくねった経路152を通じて拡散し、パージ流路210に入り、気掃引流れ280によって掃引される。
【0110】
気体の混合物の分離は、気体混合物中の成分がゼオライトの細孔に選択的に吸着されることにより起こる。これらの吸着された分子は、別のまたは第2の多数の流れチャンネル210に、ゼオライトの細孔の外側に、連続的に引き出され、装置10の膜モジュールまたは本体150の外側へ掃引される。分離は、ゼオライト層が気体混合物中のある成分を高選択的に吸着するような条件下で行われる。よって、分離温度は200℃より低く、100℃より低いことが好ましい。低温は、一般に、吸着にとって好ましい。供給気体流れ180は、一定の圧力、例えば2×105Paである。高圧は、一般に、吸着にとって好ましい。
【0111】
ゼオライト膜140の好ましい低温での処理は、低エネルギー消費、高耐久性、低モジュール取り付け費用など、多くの利点を提供する。しかしながら、300〜600℃でゼオライト膜を処理しても、基本的に問題はない。そのような温度では、吸着の代わりに、ゼオライトの細孔の内側の気相の拡散が、有力な分離装置となるであろう。
【0112】
原理的には、本発明は、特定の気体混合物にとって適切なゼオライト膜材を選択することにより、いずれの分離系にも適用可能である。例えば、同一の大きさだが異なる吸着特性を有する分子の分離は、装置10によって達成しうる。直鎖分子を分岐鎖分子から分離する工程では、気体混合物供給流れ180は、400℃未満の温度、および5×105Paより大きい圧力170で、直鎖分子に対する高い吸着親和性を持つゼオライト膜140を通過する。ゼオライト膜140は、触媒反応を最小限にするため、酸性部位を持たないか、または酸性部位が少ない。膜フィルム140としての利用には、シリカライトもしくはイオン交換された、高シリカ/アルミナ比のZSM−5型ゼオライトが好ましい。
【0113】
乾燥工程では、膜フィルム140には、H2Oに対する高い吸着親和性を持つゼオライト材が用いられる。湿性気体供給流れ180として水蒸気を含む気体混合物を用いるこういった分離工程では、気体混合物180に、100℃未満の温度、および1×105Paより大きい圧力170を適用し、水蒸気に対する高い吸着親和性を持つゼオライト膜140を通過させて、水蒸気を湿性気体流れ180から選択的に排除し、未透過流れ(retentate)としての乾燥気体を生成する。膜140にはA型ゼオライトが用いられる。水蒸気は第2流路210を通じて真空吸引することによって膜の外へ引き出して差し支えない。
【0114】
装置10は、制御された供給付加および/または生成物の回収、もしくは、単一容器内で反応と分離を組み合わせて行うことが要求される、反応チャンバの新たな分野にも利用可能である。細胞培養用の生体膜反応装置は、装置10の最初の実例である。
【0115】
水素および炭化水素分子を含む気体混合物180の分離には、シリカライトなどの炭化水素分子に対する高い吸着親和性を持つゼオライト材が、膜フィルム140として用いられる。水素/炭化水素気体混合物の分離工程では、気体混合物180は、100℃未満の温度、および5×105Paより大きい圧力で、炭化水素分子に対する高い吸着親和性を持つゼオライト膜140を通過させる。排除される非水素分子である不純物の気体を排除および透過排出し、水素の未透過流れの気体から除去するには、シリカライトなどのMFI型のゼオライトの利用が好ましい。炭化水素分子は拡散性もしくは輸送速度が低いことから、透過物質側を気体の流れと共に掃引することは、透過速度を非常に向上させるであろう。供給気体流れに対する掃引気体の比は、約0〜1である。100℃未満の温度では、非水素分子は優先的にMFI型ゼオライトの細孔に吸着され、膜140を透過する一方、水素のゼオライト膜140の透過は、このような低い温度では、ほぼ、完全に遮断される。
【0116】
ゼオライト140および基体150の材料は、25〜120℃の温度で処理している間、すべて安定した金属酸化物であることから、および、ほとんど他の故障モードがないことから、装置10は、100,000時間に到達する動作耐久性が期待されている。さらには、不要の気体成分1522は、膜140を通じて排除され(この場合、一般には、透過物は最終生成物として回収されうるとしても)、また、未透過流れとしての精製された水素ガスは、膜140を透過せず、同等の水素の流束は、水素を透過物とする方法に比べて、1桁大きい規模となりうる。活性炭膜と比較して、ゼオライト膜は、約2桁も大きな、高い透過流束および高い選択性の両方を示す。所望の水素生成物の流れが膜140を通過しないことから、依存するエネルギー消費もまた大幅に低減される。
【0117】
従来的な水素分離膜処理(Pdベース、高分子系、微多孔膜)では、水素ガスは膜を通過しなければならない。適用に応じて、5×105〜30×105Paの相当な大きさの圧力勾配を、水素ガスが所望の気体流れである、膜に適用する必要がある。よって、気体の圧縮がエネルギーを大量に消費する。
【0118】
それに対し、水素ガスが直線の供給チャンネル110を流れるため、本発明にかかる膜140を通過する水素生成物流れの圧力低下は最小限になる。膜140を透過する非水素ガス1852は、不用な気体流れにすぎず、燃焼させることができる。結果として、本発明にかかる膜分離の依存するエネルギー消費はかなり低く、約0.1KW/28.32m3/時(1000scfh)H2であると推測される。
【0119】
水素と炭化水素の気体混合物は、通常、精錬、石油化学、化学など様々な処理産業における触媒の変換処理を包含する。本発明にかかる膜モジュールは、そうした気体混合物から水素ガスを濃縮または回収するための資本コストを低減し、また、処理コストも低減する、ゼオライト膜分離を可能にする。
【0120】
本発明の取り組みは、また、接触改質装置(リフォーマー)(catalytic reformer)の気体流れから水素を精製するのに非常に適している。流れおよび/または酸素を伴う炭化水素の接触改質は水素製造の主要な製造技術である。結果として得られる反応混合物は、典型的には、大きな割合の水素、および、CO、CO2、H2O、N2、少量の改質されない炭化水素、および他の不純物を含む、少ない割合の他の望まない不純物で構成される。ある用途では、高純度の水素ガス(例えば、99.99%)が必要とされる。この場合、Pd膜が、高純度の水素ガスの製造には良い選択である。他の事例では、高純度のH2ガスは必要ではなく、H2ガス混合物から望まない成分を除去することのみが必要となる。例えば、PEM燃料電池の適用では、COは<1.0×10−4重量%(10ppm)未満となるように除去する必要がある一方で、N2、H2、およびCO2などの他の不純物は燃料電池の性能にはあまり影響を与えない。気体流れ180としてのCO含有気体混合物から不純物を取り除いた気体を製造するための分離工程では、気体混合物180を、温度300℃未満、および圧力約2×105Paで、CO分子に対して高い吸着親和性を有するゼオライト膜140に通す。イオン交換されたゼオライト膜140(ゼオライトの吸着選択性は、イオン交換によって改質する)は、COを透過させる膜140の利用が好ましい。CO透過の原動力を向上させるため、透過側は酸素含有パージ気体280で掃引する。透過したCOは、O2と反応し掃引される、CO2を形成する。COの酸化促進のため、触媒コーティングをパージ流路210に適用しても良い。よって、CO含有気体流れ180からCOの選択的除去のための膜処理によって、ゼオライト膜140の化学ポテンシャルである圧力勾配171の促進のため、CO酸化触媒層が掃引側に配置される。水素およびCOを含む、このような気体混合物180の分離では、COに対する高い吸着親和性を有するゼオライト膜140が用いられる。燃料電池の適用にとって、透過物1852としてCO不純物のみを除去することは、膜に非常に高い処理能力を与える。
【0121】
したがって、吸着性の拡散分離機構が本発明によって教示される。また、パージおよび掃引能力が、この分離機構で膜を効果的に作用させるのに重要である。水素の精製は非水素分子の選択的除去によって行われる。この分離機構はゼオライト材料の選択的吸着機能を十分に活用するものである。接触改質装置による工程からの気体混合物流れ180では、水素は、典型的には、主成分である。微量成分の除去は、主成分を引き入れるよりも費用効率が良い。例えば、天然ガスの改質処理は、乾燥時において79%H2、19%CO2、1%CO、および1%改質されていないCH4を含む典型的な気体混合物を生成する。数パーセントの水蒸気も存在する。このような気体流れ180は、CO2、CO、およびCH4 ガス、もしくは選択的に除去されるCOガスのみの選択的除去によって精製可能である。PEM燃料電池の用途のためには、水分は害にはならず、除去する必要はない。ゆえに、高シリカ/アルミナ比を持つMFI型ゼオライトなどの疎水性のゼオライト材料を利用して構わない。COの吸着を促進させるため、ゼオライトは、さらに、金属イオンでイオン交換することにより改質しても差し支えない。ゼオライト材料は、イオン交換によって改質することにより、CO吸着のための高吸着体となる。
【0122】
ゼオライト膜に対する吸着性の拡散機構に基づく接触改質(リフォーマー)のガス流れによる分離の結果については、まだ開示されているものはない。しかしながら、本発明の分離機構の基本的な実現可能性を示す確かな証拠がある。例えば、シリカライトゼオライト膜を用いるCO2/N2分離では、CO2は、常にN2よりも高い透過性を示す。CO2/H2系では、低温で、水素から選択的にCO2を分離することは、もっと高くなることが期待される。吸着性の拡散機構では、高い分離選択性は、ゼオライト材料の高い吸着選択性と相関がある。ゼオライト膜の高選択性に関する別の例は、A型ゼオライト膜を用いた水/アルコール混合物のパーベーパレーション(pervaporization)分離である。5,000〜10,000の高い分離係数が報告されている。
【0123】
以来、ゼオライトは高選択的な吸着体として作製可能である。高分離選択性は、ゼオライト膜によって達成可能であると考えられている。ゼオライト膜は、接触改質の気体混合物からCO不純物を選択的に除去する可能性を持つ。本発明の分離機構に基づいて、透過物は、水素よりも分子が大きい。よって、担体を通過する時の拡散抵抗は、重要な要素ではないはずである。可溶性の有機成分(sof)の交互に重なる層の供給およびパージチャンネルを包含する図5および9のモジュール設計では、担体基体を通過して拡散する距離が短くなるのが好ましい。
【0124】
したがって、水素の精製のみならず、本発明にかかる膜担体は、膜の部分1521および膜ではない多孔質の本体部分1522を有する、多孔質の本体部分150の基体を通る複数の曲がりくねった経路152を通じて、多種多様な気相および液相の混合物のための分離、精製、ろ過、もしくは他の処理機能に利用可能である。一般に、曲がりくねりの概念は、流れ経路の長さの差であると考えられ、ここで、混合物(ガス状もしくは流体)の特定の成分は、チャンネルの方向の変更、および/または、方向または断面積を変更せずに、言い換えれば、直線流れの不変の断面積において、チャンネルの同一の長さ全体における混合物の同様の成分が進む経路の長さに対するチャンネルの断面積の比の変更の結果として、チャンネルによって形成される通路を通過するであろう。直線または真っ直ぐな経路から外れる場合は、もちろん、結果として長く、さらに曲がりくねった経路となり、直線経路からの逸脱が大きくなればなるほど通過する経路の長さは長くなるであろう。
【0125】
装置10に利用する本発明にかかる膜モジュール150は、図4に示すように、垂直に配置可能であり、また、水平に横たえることもでき、図4〜13に示すように、斜め、もしくは他のいずれの配置も可能な単純な構造を持つ。供給流れチャンネル110のそれぞれが供給端1101および排出端1102を持つ。膜フィルム140は、可能な圧力勾配170の下、複数の供給流れチャンネル110の供給端1101から供給される、不純物が混じった供給流れ180を受け入れるように担持され、適合される。膜フィルム140は、不純物が混じった供給流れ180が、膜フィルム140の外表面を通じ、および、本体部分150の基体の複数の曲がりくねった経路152へと通過する不純物が混じった供給流れ180の一部から形成される、膜の部分1521に入り、膜ではない多孔質の本体部分1522から、少なくとも1つのパージ流路210からの掃引またはパージ流れ280の力を借りて排出される、精製された透過物1852へと処理されるように適合される。
【0126】
副生成物の流れ1802は、複数の供給流れチャンネル110の排出端1102を通じて排出されるように、膜フィルム140を通過せず、不純物が混じった供給流れ180の一部から取り残される。
【0127】
特定の分離工程では、供給および透過側の流路間の全範囲にわたる圧力差または圧力勾配170は、以下の方程式にしたがって、膜フィルム140およびコーティング層160の第1圧力低下ΔPf,i171、および担体基体150を通じて第2圧力低下ΔPm,i172で構成される:
ΔPoverall=Pin−Pout=ΔPf,i+ΔPm,i
膜の流束は、膜フィルム140の圧力勾配170および追加のコーティング層160とともに増加する:
Ji=k・ΔPf,i
特定の分離工程では、ΔPoverallは固定値であるが、担体基体150を通過する圧力低下ΔPm,i172は可能な限り小さい値にする必要がある:
ΔPf,i>> ΔPm,i
基体を通過する圧力低下172、ΔPm,iが全体的な圧力低下170と比較して十分に小さい場合のみ、膜のチャンネル110が十分に活用される。
【0128】
膜単体の有用性に関する1つの重大問題は、基体150を通過する気体または液体の透過の性能であり、多チャンネル膜モジュールでは特に重大である。すべてのチャンネルのチャンネル壁114上のまく表面積を十分に活用するため、本体最深部150を有する、本体内部150から装置10の外側へ透過するための水素ガスなどの分子に対する抵抗性は、分離膜140を通過する抵抗性と比較して、ごくわずかに違いない。そうでなければ、このような膜モジュールの有効性は引き下げられてしまうであろう。
【数1】
【0129】
基体の均一な細孔構造にとって、圧力低下は、直接的に、流体の運搬距離Lおよび流束/表面的な直線の速度Vに比例する。圧力低下は、細孔の大きさdpの増加および孔隙率εの増加にしたがって低下する。ゆえに、細孔の大きさおよび孔隙率は、基盤を通過する圧力低下に影響を与える重要なパラメーターである。
【0130】
本発明にかかる方法における高い分離表面積は、小さいサイズの流れチャンネルの利用および薄膜の厚さの結果である。従来的な多チャンネルモジュールにおけるチャンネルの大きさは、約6〜12mmであり、本発明の設計よりもかなり大きい。よって、本発明は、大量運搬または2つの流体流れ相互間の交換のための無機またはセラミック膜モジュールを含む膜装置について教示する。1つの流体流れは原料の供給流れである一方、別の流れは掃引、パージまたは他の種類の第2の流体流れである。セラミック膜モジュールは、供給流れのための1つの配列の流れチャンネルおよび、掃引または第2の流体流れのための別の配列の流路または経路を包含する。供給流れチャンネルは多孔質の中実の基体によってパージ流れの流路に結合し、また接続されている。中実の基体は、供給流れから掃引流れへと運搬する種のための運搬媒体を提供し、また、モジュールにとっての機械的強度をも提供する。基体材料の細孔の大きさおよび孔隙率は、それぞれ、10nm〜20μm、および0.2〜0.8である。供給流れチャンネルおよび第2または掃引流路は各供給流れチャンネルが掃引流れまたは第2の流れによってアクセス可能な方法で配置される。
【0131】
当業者にとっては、本発明の精神および範囲から離れることなくして、センサーなどの処理の適用を含む様々な修正および変更が可能であることは明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲に入る、本発明によって提供される修正および変更をも包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1−1】図1は、本発明にかかる放射線状の第2の流れの態様の斜視図である。
【図1−2】図1Aは、本発明に従った、図1の本体150の切断面1Aにおける断面図である。
【図2−1】図2は、本発明に従った、図1の本体150に収納される図1の容器300の側面図である。
【図2−2】図2Aは、本発明に従った、図1の仕切り板350の切断面2Aにおける断面図である。
【図3】図3は、本発明に従った、図1の容器300に取り付けられる代替物の側面図である。
【図4】図4は、本発明にかかる正接の第2の流れの態様の斜視図である。
【図5】図5は、本発明にかかる図4の正接の第2の流れの本体150の斜視図である。
【図6−1】図6は、本発明に従った、図5の本体150に収納される図4の容器300の上面図である。
【図6−2】図6Aは、本発明に従った、図6の仕切り板350の切断面6Aにおける断面図である。
【図6−3】図6Aは、本発明に従った、図6の仕切り板650の切断面6Bにおける断面図である。
【図7−1】図7は、本発明に従った、複数のジグザグ形へと第2の流れ210の流れを方向転換させるための仕切り板358および358’を含む図6の装置10の上面図である。
【図7−2】図7Aは、本発明に従った、図7の仕切り板358の切断面7Aにおける断面図である。
【図7−3】図7Bは、本発明に従った、図7の仕切り板358’の切断面7Bにおける断面図である。
【図8】図8は、本発明にかかる平行な第2の流れの態様の斜視図である。
【図9】図9は、本発明に従った、図8の平行な第2の流れの本体150の斜視図である。
【図10−1】図10は、本発明に従った、図9と同様の本体150を含む、図9の排出ポート921を横断する装置10の上面図である。
【図10−2】図10Aは、本発明に従った、図10の仕切り板650の切断面10Aにおける断面図である。
【図11】図11は、本発明に従った、図10と同様の本体150を含む、装置10の背面図である。
【図12】図12は、本発明に従った、前述の態様のいずれかの本体150のための異なる本体の形である。
【図13】図13は、図10Aの均等物であり、ここで、図13は、本体が円形の代わりに正方形150Cである場合の、本発明に従った、仕切り板350または650の断面図である。
【図14】図14は、図6Bの均等物であり、ここで、図14は、本体が円形の代わりに正方形150Cである場合の、本発明に従った、仕切り板650の断面図である。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図2A】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる組成物の2つの流体流れ相互間の処理のための多チャンネルモジュール装置であって、該装置が多孔質の無機本体を備え、該本体が、
第1の流れを輸送するための前記本体に配置された第1の複数の供給流れ経路と、
前記第1の流れを第1組成物および第2組成物に処理するための第1の複数の供給流れ経路のそれぞれを取り囲む経路壁と、
前記第1の流れを前記第1の複数の供給流れ経路に導入するために前記本体に配置された少なくとも1つの注入口と、
前記第2組成物を含む残りの第1流れを排出するために前記本体に配置された少なくともひとつの排出口と、
第2の注入口および排出口を持つ第2の流れを輸送するために前記本体に配置された少なくとも1つの第2経路と、
前記第1組成物を前記第1の複数の供給流れ経路から前記第2の排出口へと掃引するために前記多孔質の本体に形成された網目状の複数の流体流路と、
前記注入口および排出口を設置することにより前記第2の流れのアクセスを提供するための容器であって、該容器の内側であって該容器の内側表面から離れて前記本体を配置することにより、アクセスのための空間を提供するための容器と、
前記本体と前記容器の間の前記空間に配置された、該空間内の流れを迂回させるための仕切りと、
を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記仕切りが、前記供給流れを前記第2の流れと分離するために、前記本体と前記容器の間の前記空間に配置された流れの仕切りを包含することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記仕切りが、前記流れ相互間の相関的な方向を選択するために、前記本体と前記容器の間の前記空間に配置される流れの仕切りを包含し、該流れの仕切りは、前記第2の流れの入口部分を該第2の流れの排出部分と分離し、前記供給流れと逆方向もしくは同一方向に流れるように前記第2の流れを導くことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記多孔質の本体が、アルミナ(Al2O3)、ムライト(3Al2O3‐2SiO2)、シリカ(SiO2)、炭化ケイ素(SiC)、コージエライト(2MgO‐2Al2O3‐5SiO2)、ガラス、およびアルミナ-シリカ混合物からなる無機耐火性物質および延性のある金属酸化物の群から選択される安定なセラミック材料から押出し成型されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記供給流れを透過物である前記第1組成物および未透過流れである前記第2組成物へと処理するために、前記第1の複数の供給流れ経路の各経路壁の内表面に配置された膜フィルムをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記膜フィルムが有機、無機、もしくは有機/無機材料の混合物から作製されていることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記膜フィルムが、パラジウム(Pd)、パラジウム合金、Pd‐Ag、Pd‐Cu、ゼオライト、アルミナ、ジルコニア、シリカ、SiC、ガラスおよび高分子からなる群より選択される材料から作製されていることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項8】
前記多孔質の本体が、細孔の容積全体の20%よりも多くが、約0.5〜25μmの細孔サイズを持つように細孔を接続した空隙を伴う、内部接続された細孔を有するセラミックのモノリス構造的担体基体を持つことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記第1の複数の供給流れ経路それぞれを取り囲む前記経路壁が、約0.2〜5mmのチャンネル水力直径で規定されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記第1の複数の供給流れ経路の各々が約0.2〜5mmのチャンネル水力直径を持ち、該供給流れ経路が約1.55〜155セル/cm2のチャンネル密度で分配され、約20〜80%の開放前面面積(OFA)を持つことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項1】
異なる組成物の2つの流体流れ相互間の処理のための多チャンネルモジュール装置であって、該装置が多孔質の無機本体を備え、該本体が、
第1の流れを輸送するための前記本体に配置された第1の複数の供給流れ経路と、
前記第1の流れを第1組成物および第2組成物に処理するための第1の複数の供給流れ経路のそれぞれを取り囲む経路壁と、
前記第1の流れを前記第1の複数の供給流れ経路に導入するために前記本体に配置された少なくとも1つの注入口と、
前記第2組成物を含む残りの第1流れを排出するために前記本体に配置された少なくともひとつの排出口と、
第2の注入口および排出口を持つ第2の流れを輸送するために前記本体に配置された少なくとも1つの第2経路と、
前記第1組成物を前記第1の複数の供給流れ経路から前記第2の排出口へと掃引するために前記多孔質の本体に形成された網目状の複数の流体流路と、
前記注入口および排出口を設置することにより前記第2の流れのアクセスを提供するための容器であって、該容器の内側であって該容器の内側表面から離れて前記本体を配置することにより、アクセスのための空間を提供するための容器と、
前記本体と前記容器の間の前記空間に配置された、該空間内の流れを迂回させるための仕切りと、
を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記仕切りが、前記供給流れを前記第2の流れと分離するために、前記本体と前記容器の間の前記空間に配置された流れの仕切りを包含することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記仕切りが、前記流れ相互間の相関的な方向を選択するために、前記本体と前記容器の間の前記空間に配置される流れの仕切りを包含し、該流れの仕切りは、前記第2の流れの入口部分を該第2の流れの排出部分と分離し、前記供給流れと逆方向もしくは同一方向に流れるように前記第2の流れを導くことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記多孔質の本体が、アルミナ(Al2O3)、ムライト(3Al2O3‐2SiO2)、シリカ(SiO2)、炭化ケイ素(SiC)、コージエライト(2MgO‐2Al2O3‐5SiO2)、ガラス、およびアルミナ-シリカ混合物からなる無機耐火性物質および延性のある金属酸化物の群から選択される安定なセラミック材料から押出し成型されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記供給流れを透過物である前記第1組成物および未透過流れである前記第2組成物へと処理するために、前記第1の複数の供給流れ経路の各経路壁の内表面に配置された膜フィルムをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記膜フィルムが有機、無機、もしくは有機/無機材料の混合物から作製されていることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記膜フィルムが、パラジウム(Pd)、パラジウム合金、Pd‐Ag、Pd‐Cu、ゼオライト、アルミナ、ジルコニア、シリカ、SiC、ガラスおよび高分子からなる群より選択される材料から作製されていることを特徴とする請求項5記載の装置。
【請求項8】
前記多孔質の本体が、細孔の容積全体の20%よりも多くが、約0.5〜25μmの細孔サイズを持つように細孔を接続した空隙を伴う、内部接続された細孔を有するセラミックのモノリス構造的担体基体を持つことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記第1の複数の供給流れ経路それぞれを取り囲む前記経路壁が、約0.2〜5mmのチャンネル水力直径で規定されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記第1の複数の供給流れ経路の各々が約0.2〜5mmのチャンネル水力直径を持ち、該供給流れ経路が約1.55〜155セル/cm2のチャンネル密度で分配され、約20〜80%の開放前面面積(OFA)を持つことを特徴とする請求項1記載の装置。
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−521595(P2008−521595A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543360(P2007−543360)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/042184
【国際公開番号】WO2006/057969
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/042184
【国際公開番号】WO2006/057969
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
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