説明

多ポンプ配列用のラインの決定方法

【課題】
薬剤供給デバイスが適正にプログラムされて、薬剤源から薬剤を供給するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】
このシステム及び方法は、正しい薬剤が、正しい手法で患者に供給されることを保証し、複数の薬剤を同時に患者に供給する際に特に有利である。このシステム及び方法は、注入ポンプが開いて、その特定が必要になり薬剤供給が変わるときはいつも、デバイスが適正にプログラムされていることを保証する。このシステムの識別デバイスは、注入ポンプ215,220,225及び230と薬剤源250,255,260及び265に貼付されたバーコード320、325.330、335、340、345.350及び355を含んでいる。RFIDのようなバーコード以外のデバイスも使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注入ポンプに関し、より詳細には、多注入ラインを通して患者へ複数の注入流体を伝達するよう構成された多チャンネル注入ポンプを含む注入ポンプ配列に関する。
【背景技術】
【0002】
集中治療室、心臓疾患集中治療室、手術室及び外傷センタ等では、患者に、複数の異なった薬剤を、同時に注入する必要が生じることがある。また、これらの環境で使用される薬剤の中には、相溶性がなく、患者の異なった個所から注入しなければならないものがある。そのためには、並置した注入ポンプを使用して、異なった注入ラインから薬剤の注入が行われる。最近では、患者に、類似又は異なった速度で、同時に数種の薬剤を注入できる多チャンネル注入ポンプが開発されている。これらのポンプの幾つかは、共通のカニュラを通して薬剤を送給するように設計され、他のものは、複数の注入ラインを通して患者に流体を注入する、多数のポンプあるいはチャンネルを備えるものとして設計されている。
【0003】
名称が示唆するように、多チャンネル注入ポンプは、複数のポンプチャンネルを有し、各チャンネルには、注入ライン又はセットが設置されている。この構成では、各ポンプをプログラムして、前記チャンネル内に設置された注入ライン又はセットを通して流れる特定の薬剤を供給するようにし、これにより各ラインは、異なった速度で、あるいは異なった量の薬剤を供給する。
【0004】
異なった注入ラインを通して供給される複数の薬剤を患者に注入する際の問題点は、各ポンプ又は多チャンネルポンプの各チャンネルが、各薬剤を適正に供給できるようにプログラムさせているかどうかである。多くの注入流体及びそれらの流体源は外観が似ているため、薬剤を、誤ったポンプ又はポンプのチャンネルに供給してしまう危険が潜在的に存在する。ことが挙げられる。例えば、ポンプAに供給されるべき薬剤Aと注入セットAを、誤ってポンプBに供給してしまうことである。更に、適正な薬剤及び注入セットが、当初はポンプAに設置されたとしても、注入の間に、注入流体容器を変えないと、交換時に、前記薬剤及び注入セットが、誤ったポンプやチャンネルにセットされる可能性がある。
【0005】
起こり得る他の潜在的なエラーは、ポンプやポンプチャンネルは、特定の薬剤を供給するように正確にプログラムされているが、ポンプやポンプチャンネルに設置された注入ラインは、誤った薬剤源に接続されていることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
必要とされながら、従来実現されていないのは、正確なラインが正確なポンプチャンネルに設置されていることを確実に示す注入ラインの識別システム及び方法である。このようなシステムや方法には、正確な注入ラインが設置されたポンプチャンネルによる自動的な決定が含まれる。さもなければ、このようなシステムにおいては、ポンプで注入を開始する前に、介護者側でなんらかの行為を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、患者識別に関する情報を含むバーコードを読み取り、前記患者へ供給される薬剤識別に関する情報を含むバーコードを読み取り、患者識別に関する情報を、薬剤識別に関する情報と比較し、当該比較が予め設定した条件を満足しないときに、警告シグナルを発し、薬剤供給デバイス識別に関する情報を含むバーコードを読み取り、コントローラが、薬剤供給デバイスの識別に関する受け取ると、プロセッサが、薬剤に関する操作パラメータを受け取るように制御し、かつ前記薬剤供給デバイスが、受け取った操作パラメータに従って、薬剤を供給するようにプログラムすることからなる、注入チャンネルと薬剤源を一致させる方法が提供される。
【0008】
本発明の他の態様では、薬剤供給デバイスのプログラムは、当該薬剤供給デバイスの識別に関する情報に従って、複数の薬剤供給デバイスから1つのデバイスを選択するプログラムを含んでいる。
【0009】
本発明の更に他の態様では、複数の薬剤供給デバイスから選択された薬剤供給デバイスが、選択された薬剤を供給するようプログラムされていることを確かめる方法であって、薬剤供給デバイスのドアを開け、患者へ供給される注入流体が注入ライン内を流れるように、注入ラインを前記薬剤供給デバイスに装着し、前記薬剤供給デバイスのドアが開いたときにアクセスでき、この薬剤供給デバイスの表面に設けた薬剤供給デバイスの識別情報を含むバーコードを読み取り、薬剤供給デバイスに装着された注入ラインと連通する薬剤源に存在し、患者へ供給される薬剤の識別に関する情報を含むバーコードを読み取り、前記薬剤供給デバイスを前記薬剤源と関連づけ、かつ薬剤供給デバイスに供給される薬剤に関する操作パラメータに価値を判断して、薬剤供給デバイスにより、患者に薬剤を供給するようになっている方法が提供される。
【0010】
本発明の方法の更に他の態様では、複数の薬剤供給デバイスのいずれかで複数のドアが開いているか否かを確かめ、かつ複数のドアが開いていることを知らせる警告を発生させるようになっている。本発明の更に他の態様では、薬剤の初期供給の後に、ドアが開いているかを検出し、ドアが開いたままになっている旨の警告を発生させ、薬剤供給デバイスを再スタートさせる前に、薬剤供給デバイスのバーコード及び薬剤源のバーコードを読み取らせるようになっている。
【0011】
本発明方法の、更に他の態様では、薬剤供給デバイス、この薬剤供給デバイスに設置され、かつ薬剤供給デバイスの識別情報を含む薬剤供給デバイス識別体、薬剤源、薬剤源に設置され、かつ薬剤源に含まれる薬剤の識別情報を含む薬剤源識別体、薬剤供給デバイス識別体及び薬剤源識別体を読み取り、かつこの薬剤供給デバイス識別体及び薬剤源識別体のそれぞれに含まれる識別情報を取り出すことができる識別体リーダ、前記薬剤供給デバイスと関連づけして操作されるデバイスの値を入力するための入力手段、及び前記識別具リーダ及び薬剤供給デバイスと連携して操作でき、かつ取り出された識別情報を受け取り、薬剤源を薬剤供給デバイスと連携させ、入力手段からデバイス操作パラメータの値を受け取り、デバイス操作パラメータの値を薬剤供給デバイスと関連づけさせ、かつ薬剤供給デバイスをデバイス操作パラメータの値に従って操作することからなる、薬剤供給デバイスを薬剤源と連携させるためのシステムを含んでいる。
【0012】
他の態様では、薬剤源識別体はバーコードであり、更に他の態様では、薬剤源識別体はRFIDデバイスであり、更に他の態様では、薬剤供給デバイス識別体はバーコードであり、更に他の態様では、薬剤供給デバイスはRFIDデバイスである。
【0013】
本発明の他の態様や利点は、本発明の態様を例示する添付図面に関連して行う以下の詳細な説明により明らかになると思う。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、正しい薬剤が、正しい手法で患者に供給されることが保証され、特に複数の薬剤を同時に患者に供給する際に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による患者介護管理システムの概略ダイアグラム。
【図2】バーコードリーダで読み取ることのできるバーコードを含む患者識別用ブレスレットを示す。
【図3】バーコードリーダで読み取ることのできる薬剤容器に貼付されたバーコードラベルを示す。
【図3A】介護士識別バッジに貼付されたバーコードラベルを示す。
【図4】種々の容器やデバイスに貼付できるバーコードラベルのシートを示す。
【図5】複数のポンプチャンネルと複数の注入源と複数の注入ラインを示す多チャンネルポンプ配置の概略ダイアグラム。
【図6】蠕動注入ポンプ及び注入ラインに隣接するポンプハウジングに貼付されたバーコードラベルを示すポンプ又はポンプチャンネルの概略ダイアグラム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面中、同じ符号は、同じ又は対応する要素を示す。図1は、本発明の一態様による患者介護システムの概要を示す図である。図1において、患者介護デバイス12は、薬局管理システム34と病院情報システムサーバ30を含む病院ネットワーク10に接続されている。各要素12、30及び34は、伝送チャンネル34によりネットワーク10に接続されている。伝送チャンネル34は無線式でも有線式でも良く、例えば802.11無線ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)を使用できる。本発明の好ましい態様では、ネットワーク10は、病院全体に亘る種々の部門に位置するコンピュータシステムも含んでいる。例えば図1のネットワーク10は、所望に応じて、総務部門36、経理部門38、生医学工学部門40、臨床検査室42、中央調度部門44、1又は2以上のユニット・ステーション・コンピュータ46及び/又は医療判断サポートシステム48と連携されているコンピュータシステムを含んでいる。
【0017】
患者介護デバイス12は、エガースらの米国特許第5,713,856号に記載されたものと類似するシステムを備えていることが好ましい。それに代わって、ポンプ、生理学的なモニタ(例えば、心拍数、血圧、ECG、EEG、パルス酸素濃度計、及び他の患者用モニタ)及び治療デバイスのような他の患者介護デバイス、及び他の薬剤供給デバイスを、本明細書の教示に従って利用できる。患者介護デバイス12は、1又は2以上の機能的モジュール16、18、20、22に接続され、インターフェイスユニット14としても参照される高度なプログラムモジュール14を備えていることが好ましい。インターフェイスユニット14は、メモリ例えばランダム・アクセス・メモリ(RAM)に接続された中央演算処理装置(CPU)と、使用者インターフェイスデバイス54、コード化されたデータの入力デバイス60、ネットワーク接続52、及び補助インターフェイス62のような付加的なモジュール又はデバイスと連携するための1又は2以上のインターフェイスデバイスを含んでいる。必ずしも必須ではないが、インターフェイスユニット14は、好ましくはハードディスクドライブである主不揮発性記憶ユニット56を含んでいることが好ましく、このユニット56は、ソフトウェアやデータ、及び前記要素を相互接続するための1又は2以上の内部バス64を含んでいる。
【0018】
典型的な態様では、使用者インターフェイスデバイス54は、使用者に対して情報を表示し、かつ使用者がスクリーンの特定のエリアに触れることにより入力するようになっているタッチスクリーンである。これに代わって、使用者インターフェイスデバイス54は、モニタ、プリンタ、キーボード、ソフトキー、マウス、トラックボール及び/又はライトペンのような情報を表示し入力するための適宜の手段を備えていても良い。コード化データ入力デバイス60は、バーコードのフォーマットで印刷されたデータを走査し読み取ることができるバーコードリーダであるのが好ましい。これとは別に、データ入力デバイス60は、磁気帯、PCMCIAスマートカード、ラジオ周波数カード、メモリスチック、CD、DVD又のアナログ又はデジタルの記憶媒体を読み取るためのデバイスのような、コンピュータに、コード化されたデータを入力するためのデバイスであっても良い。データ入力デバイス60の他の例は、音声起動又は認識デバイス又は携帯用パーソナル・データ・アシスタント(PDA)である。使用するインターフェイスデバイスのタイプに応じて、使用者インターフェイスデバイス54及びコード化データ入力デバイス60は、同じデバイスであっても良い。図1に示したデータ入力デバイス60は、インターフェイスユニット14内に配置されているが、データ入力デバイス60は、薬局システム34と一体化しても、薬局システムの外方に配置しても、あるいはRS−232シリアル・インターフェイス又は任意の連携手段で連携させても良いことは、当業者であれば理解しうると思う。補助インターフェイス62は、好ましくはRS−232連携インターフェイスであるが、プリンタ、患者モニタ、注入ポンプ、又は他の医学的なデバイスのような周辺デバイスと連携する他の手段を、本発明の範囲を逸脱することなく使用することができる。
【0019】
ネットワーク接続52は、T1接続、総合デジタル通信網(ISDN)接続、デジタル加入者回線(DSL)モデム又はケーブルモデムのような直接ネットワーク接続であることが好ましい。その代わりに、電話モデム、MIBシステム、RS232インターフェイス、補助インターフェイス、光リンク、赤外線リンク、高周波リンク、マイクロ波リンク、又はWLANS接続を含むがこれらに限定されない直接又は間接のネットワーク接続を使用することもできる。
【0020】
機能的モジュール16、18、20、22は、患者に介護を提供するか、又は患者の状態をモニタする任意のデバイスである。本発明の好ましい一態様では、少なくとも1個の機能的モジュール16、18、20、22は、薬剤又は他の流体を患者に供給するための静脈注入ポンプのような注入ポンプモジュールである。説明上、機能的モジュール16は、注入ポンプモジュールとする。機能的モジュール18、20、22のそれぞれは、注入ポンプ、シリンジポンプ、PCAポンプ、硬膜外ポンプ、経腸ポンプ、血圧計、パルス酸素濃度計、EKGモニタ、EEGモニタ、心拍数モニタ、頭蓋内圧モニタ、またはこれら以外の患者処置又は追跡デバイスである。その代わりに、機能的モジュール18、20及び/又は22を、プリンタ、スキャナ又の周辺入力/出力デバイスとすることもできる。
【0021】
各機能的モジュール16、18、20、22は、直接又は間接にインターフェイスユニット14と連携され、インターフェイスユニット14は、デバイス12を全体的に追跡し制御する。好ましい態様では、機能的モジュール16、18、20、22は、図1に示し、かつ前記したエガースらの米国特許明細書に詳述してある通り、インターフェイスユニット14の一端又は両端に、物理的かつ電子的に順次接続されている。しかし当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、機能的モジュールを、他の接続手段でインターフェイスユニットに接続できることを理解しうると思う。十分なプログラム性と接続性を与えるポンプやモニタなどのデバイスは、別のインターフェイスユニットを使用することなく、直接ネットワークと連係させてもよいことも理解しうると思う。前述した通り、付加的な医療デバイスあるいは周辺デバイスは、1又は2以上の補助インターフェイス62を経て、患者介護デバイス12に接続される。
【0022】
前記機能的モジュール16、18、20、22は、代表的なものとして、情報を記録するための特定モジュール素子76、マイクロプロセッサ70、揮発性メモリ72及び不揮発性メモリ74を備えている。4個の機能的モジュールが図1に示されているが、任意の数のデバイスを直接又は間接に、中央のコンピュータに接続しても良いことは言うまでもない。本明細書で述べた機能的モジュールの数及びタイプは例示であって、本発明の範囲を限定するものではない。特定モジュール素子76は、注入ポンプモジュール16のポンプメカニズムのような特定のモジュールを操作するために必要な素子を含んでいる。
【0023】
各機能的モジュールは、代表的な機能として、最小限レベルの独立した操作を行うことができ、インターフェイスユニット14は、デバイス12の全体的な追跡と制御を行う。例えば、後に更に詳細に述べるように、インターフェイスユニット14は、機能的モジュール16、18、20、22にプログラムのための指示を与え、各モジュールの状態を追跡する。
【0024】
本発明の好ましい態様によると、患者介護デバイス12は、異なった幾つかのモード又は特性で操作されることができ、各人の特性は、設定データベースで明示される。特定の設定データベースの少なくとも一部は、患者の場所、年齢、物理的な特性、又は医学的な特性のような患者に固有の情報により選択される。医学的な特性には、患者の診察、処置処方、医学的履歴、医学的記録、患者介護提供者識別、生理学的特性又は心理学的な特性が含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書で使用する患者固有情報は、介護提供者の情報(つまり医者の識別)や、病院又は病院のコンピュータネットワークにおける患者介護デバイス10の位置も含んでいる。患者介護情報は、インターフェイスデバイス52、54、60又は62を通して入力されるが、この情報は、例えば薬局34、総務36、及び検査室42のようなネットワーク10のいずこから出たものでも良い。
【0025】
種々のデータ源からのデータ及び種々のデータ源へのデータは、在来の技術で、ネットワークに準拠したデータ入力変換することができ、医学的デバイスとネットワーク間の情報の移動は、種々の手段で達成できる。例えば、患者介護デバイス12及びネットワーク10は、自動的相互作用及び/又は手動相互作用を介して連携できる。自動的相互作用は、連続的でも間欠的でも良く、直接ネットワーク接続54(図1に示す)を経て起こるか、その代わりに、RS232リンク、MIBシステム、及びBLUETOOTH(カリフォルニア州サンホセのアムテル・コーポレーション)のようなRFリンク、IRリンク、WLANS,デジタルケーブルシステム、電話モデム又は他の連携手段を経て起こる。患者介護デバイス12とネットワーク10間の手動相互作用には、間欠的に又は周期的に、例えば使用者インターフェイスデバイス54、コード化データ入力デバイス60、バーコード、コンピュータのディスク、携帯用データ・アシスタント、メモリカード、又はデータを記憶する他の媒体を使用して、システム間のデータの物理的な転送が含まれる。連携手段は、双方向性で、データへのアクセスが、分布したデータ源のポイントと同じ数のポイントで行えるものであることが好ましい。意思決定は、ネットワーク10内の種々の個所で行うことができる。例えば、意思決定を、HISサーバ30、決定サポート48、病院部門又はユニットステーション46で、又は患者介護デバイス12自身で行うことができる。
【0026】
図2〜図4は、本発明のバーコード識別システムの種々の例を示す。例えば図2は、病院や他の施設で、一般的に使用されるタイプの患者識別ブレスレット100を示し、これによりたとえ患者に意識がなかったり、あるいは質問に答えられない場合でも、各患者を確実に識別することができる。バーコード105は、患者識別ブレスレット100に貼付されるラベルに印刷され、そのバーの配列の中に、患者の識別に必要な情報がコード化されている。このバーコードは、図1で60で特定されているようなコンピュータ化されたバーコードリーダを使用して読み取ることができる。ある態様では、バーコードリーダ60は、バーコードを走査する発光及び受光ワンドを備えている。ワンドから発した光は、バーコードを構成する一連の明暗腺により反射されて、ワンドの受光レンズに入射する。ワンド中のセンサは、受け取った光を信号に変換し、この信号はCPUへ伝送される。CPUで使用されているソフトウェアアプリケーションプログラムは、前記信号を、当業者には周知の手法で、バーコードで代表されるデータに解読する。好適なソフトウェアプログラムを使用すると、前記データは、自動的にCPUのメモリかディスクに記憶されたデータベースに格納される。その代わりに、センサや好適な光学素子をモジュール中に設置して、バッジや薬剤容器をウィンドウの上を通過させ、発光をバーコード上に投射させセンサへ反射させても良い。
【0027】
バーコードシステムはたいへん順応性があり、限界があるにしても、バーコードで表される情報量は、多数の方面で使用できる。例えば図3に示す薬剤容器110は、それに印刷されたバーコード120を有するラベル115により識別される。このバーコード120は、患者識別を行い、かつ医学的な指令番号を示すこともでき、更に薬剤供給を行う医学デバイスをプログラムし、かつ及び制御する操作パラメータのような、施設が投薬を行いかつ処置を追跡するために役立つと判断される他の情報も示すことができる。バーコード120は、バーコードリーダを使用して読み取っても良く、かつ好適なアプリケーションソフトウェアを使用して、薬剤容器及びその内容物を、患者識別ブレスレット100とリンクさせ、これにより、正しい薬剤が、正しい手法で、正しい時期に、正しい患者に供給されることを保証できる。バーコードの使用は、前述の例に限定されない。バーコード135を有するバーコードラベル130のシート190が、図4に示されている。このようなラベルは、薬局CPU又は介護管理システムに接続されたプリンタにより印刷されることができ、あるいはその代わりに、介護管理システムの種々のCPDに接続されたバーコードリーダにより読み取られる形態の情報を有するバーコードを形成するために、プログラムされることができる任意の他の病院情報システムに接続された他のプリンタにより印刷される。これらのバーコードラベル130は、臨床デバイス、患者の所持品、あるいは積極的な識別が必要な他の品目に貼付される。後に詳述するように、バーコードは、デバイスの識別の補助を行う種々の臨床デバイスにも貼付できる。例えば、バーコードはポンプに設けても、あるいは好適なソフトウェアを通して、薬剤容器の識別バーコードにリンクしても良く、これにより、特定の投薬を行うポンプは、リンクした薬剤に対して、正しい操作パラメータでプログラムされる。
【0028】
図5は、患者に複数の注入物を供給するようになっているセットアップ200とした、本発明の一態様を示している。図5は、多チャンネルポンプは位置を示しているが、当業者であれば、このような配置は、単一又は2つのアレイ、他の配置のポンプと置換することができ、その場合でも、依然として本発明により達成される、正しい薬剤を、正しい割合で、正しいポンプにより確実に供給するという問題が解決されることを理解しうると思う。
【0029】
図5に示すセットアップ200は、インターフェイスユニット/コントローラ205、4個のLVP注入ポンプ215,220,225及び230、及びバーコードモジュール235を有している。バーコードモジュール235は、このバーコードモジュール235内に設置したバーコードリーダ240と、前記バーコードモジュール235に接続されて動作するバーコードリーダワンド245を有している。バーコードリーダワンド245は、バーコードリーダ240の直前に置くことができない対象物に貼付されているバーコードの読み取りを可能にする。
【0030】
図示の態様では、各ポンプ215,220,225及び230は、これらのポンプを識別するためにバーコードワンド245により読み取られるように、ポンプに貼付されバーコード320、325.330及び335を有している。更に各薬剤源250,255,260及び265は、該薬剤源に含まれる薬剤を識別するために、それに貼付されたバーコード340、345.350及び355を有している。更に各バーコード340、345.350及び355は、注入量や速度などの種々のパラメータを含む操作情報のような付加情報を含んでいても良く、これらの情報は、バーコードワンド245で読み取られ、特定の薬剤源に含まれる薬剤を患者に供給するために、コントローラ205のプロセッサをプログラムするために使用される。
【0031】
容易に理解できるように、前記注入ポンプ215,220,225及び230のような薬剤供給デバイスは、適正にプログラムされて、各ポンプが、薬剤を患者に正確かつ確実に供給するようにすることが重要である。複数の注入薬剤が単一の患者に供給される多忙な施設における問題点は、介護人がミスをして、ポンプにより実際に供給される薬剤以外の薬剤を、ポンプにプログラムしてしまう可能性があることである。このようなミスは、薬剤源及びラインの数の多さのために起こり、特定の薬剤源に接続されなければならない注入ライン配列を混乱させる。従って介護人は、特定のポンプを、正確な操作パラメータでプログラムしなければならない。
【0032】
本発明は、注入ポンプを、薬剤源と一致させるシステムと方法を提供することにより、前記問題点を解決するものである。ある態様では、バーコードリーダ235から提供されるコントローラ205で動作するソフトウェアとポンプ使用情報が、適正なポンプ又はポンプチャンネルが、ポンプに接続された薬剤源の薬剤に関する適切な操作パラメータでプログラムされることを保証する。他の態様では、介護人は、バーコードを有する患者の識別ブレスレットを走査し、次いで薬剤源250のバーコード340を走査する。コントローラは、薬剤源250に含まれる薬剤が、特定の患者に投与されるようになっているか否かを確認するために、バーコードから供給された情報の処理を行う。コントローラが、正しい薬剤が正しい患者に与えられようとしていると判断した場合には、コントローラは、介護人が、ポンプ215のバーコード320を読み取ることを許容し、ある場合には、それを促進する。
【0033】
バーコード320が読み取られると、コントローラは、ポンプ215に、薬剤源250に含まれる薬剤を割り当て、介護人に、注入開始のために必要な全ての情報、例えば注入速度及び量のような操作パラメータを手動で入力するよう働きかける。バーコードリーダ245を使用して、薬剤源250に接続されたポンプチャンネルを識別すると、コントローラは、薬剤源250に含まれる薬剤に関連する供給パラメータが、適正なポンプ又はポンプチャンネルに確実に導かれるようにプログラムされる。
【0034】
以上本発明を、バーコードを使用する形態で説明したが、例えば無線デバイスのような、患者、介護人、薬剤及びデバイスを積極的に識別できる他の手段も使用できることを理解しうると思う。例えば、前述の実施例における各バーコードは、無線識別デバイス(RFID)と置き換えても良い。このようなデバイスは、送信機又は送信機/受信機により生成された信号に対応し、受信機に情報を伝達する回路を有している。このようなシステムでは、送信機は、クエリ信号を送信し、RFIDデバイスがこれを受信する。RFIDデバイスはこの信号に対応し、識別情報、又は送信するようプログラムされた他の情報を含む信号を送信し、この信号は受信機に受信される。これにより、RFIDデバイスは、上述のバーコードと同じ種類の確実な識別を可能にする。更に、本発明のシステム及び方法は、バーコード、RFIDデバイス又は他の識別手段を組み合わせて使用することも意図しており、これにより、正しい薬剤が、正しい供給パラメータを使用して、正しい患者に供給されることが保証される。
【0035】
図6は、本発明の他の態様を示している。この態様では、バーコードはポンプ220の内面に形成され、かつポンプ220のドア390を開けることによってのみ、つまり注入ライン275がポンプ部400に設置され、ラインがポンプフィンガ405.410及び415と連携しているような場合にのみ、アクセスできる。この態様では、バーコード425を有するバーコードラベル420は、バーコードリーダ245で読み取られる。これは、正しい薬剤供給パラメータが、正しいポンプにプログラムされている例を示している。他の態様として、ソフトウェア操作パラメータは、所定時刻に単一のポンプのドアを開けることのみを許容するルーティンを含んでいることもある。
【0036】
さらに他の態様では、ドア390が開けられた場合には、常に、コントローラ205は、常にバーコード425が読み取られ、かつ薬剤源バーコードと一致するように要求するようにしても良い。これにより、コントローラ205は、注入ラインを変更するため、又は他の目的でドアが開けられた際に、ポンプが正確にプログラムされることを保証し、薬剤源中の薬剤が不適切に供給されてしまうような、薬剤源からのラインの不用意な切替を防止する。
【0037】
本発明を実施するために必要な較は、コントローラ205のプロセッサ又は注入ポンプ215で行われる。更に、コントローラ205を、施設と関連する1又は2以上の内部又は外部サーバと連携させても良く、前記比較は、任意のサーバにおいて、サーバとコントローラ間で通信される好適なコマンドと情報を使用して行われる。
【0038】
更に、コントローラをプログラムするために使用されるソフトウェアのインストラクションは、薬剤供給デバイスをプログラムし操作するために使用される操作パラメータの値を、施設により設定されたデータベースに含まれるルールと比較するような能力も有し、適正な薬剤供給を保障する。測定された値が、上述したルールで特定された予め設定された受け入れられる値の範囲内にないときは、比較がどこで行われたかにもよるが、コントローラやサーバが不定期であることに注目するよう警告を発する。同様に、前記食い違いが解消されるまで、前記ルールはシステムを停止させる。
【0039】
以上、本発明の特定の態様を例示し、かつ説明してきたが、本発明の特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の変形が可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0040】
10 病院ネットワーク
12 患者介護デバイス
14 インタフェイスユニット
16、18、20、22 機能的モジュール
30 サーバ
32 伝送チャンネル
34 薬局管理システム
36 総務部門
38 経理部門
40 生医学工学部門
42 臨床検査室
44 中央調度部門
46 ユニット・ステーション・コンピュータ
48 医療判断サポートシステム
52 ネットワーク接続
54 使用者インターフェイスデバイス
56 主不揮発性記憶ユニット
60 入力デバイス
62 補助インターフェイス
70 マイクロプロセッサ
72 揮発性メモリ
74 不揮発性メモリ
76 特定モジュール素子
100 患者識別ブレスレット
105 バーコード
110 薬剤容器
115 ラベル
120 バーコード
130 バーコードラベル
135 ラベル
190 シート
200 セットアップ
205 インターフェイスユニット/コントローラ
215,220,225及び230 注入ポンプ
235 バーコードモジュール
240 バーコードリーダ
245 バーコードリーダワンド
250,255,260及び265 薬剤源
275 注入ライン
320、325.330、335、340、345.350及び355 バーコード
390 ドア
400 ポンプ部
405.410及び415 ポンプフィンガ
420 バーコードラベル
425 バーコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者識別に関する情報を含むバーコードを読み取り、
前記患者へ供給される薬剤識別に関する情報を含むバーコードを読み取り、
患者識別に関する情報を、薬剤識別に関する情報と比較し、
当該比較が予め設定した条件を満足しないときに、警告シグナルを発し、
薬剤供給デバイス識別に関する情報を含むバーコードを読み取り、
コントローラが、薬剤供給デバイスの識別に関する受け取ると、プロセッサが、薬剤に関する操作パラメータを受け取るように制御し、かつ
前記薬剤供給デバイスが、受け取った操作パラメータに従って、薬剤を供給するようにプログラムすることからなる、注入チャンネルと薬剤源を一致させる方法。
【請求項2】
薬剤供給デバイスのプログラムは、当該薬剤供給デバイスの識別に関する情報に従って、複数の薬剤供給デバイスから1つのデバイスを選択するプログラムを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の薬剤供給デバイスから選択された薬剤供給デバイスが、選択された薬剤を供給するようプログラムされていることを確かめる方法であって、
薬剤供給デバイスのドアを開け、
患者へ供給される注入流体が注入ライン内を流れるように、注入ラインを前記薬剤供給デバイスに装着し、
前記薬剤供給デバイスのドアが開いたときにアクセスでき、この薬剤供給デバイスの表面の薬剤供給デバイスの識別情報を含むバーコードを読み取り、
薬剤供給デバイスに装着された注入ラインと連通する薬剤源に存在し、患者へ供給される薬剤の識別に関する情報を含むバーコードを読み取り、
前記薬剤供給デバイスを前記薬剤源と連携させ、かつ
薬剤供給デバイスに供給される薬剤に関する操作パラメータの価値を判断し、この薬剤供給デバイスが、患者に薬剤を供給するよう操作することからなることを特徴とする方法。
【請求項4】
複数の薬剤供給デバイスのいずれかで複数のドアが開いているかを確かめ、かつ
複数のドアが開いていることを知らせる警告を発生させることからなる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
薬剤の初期供給の後に、ドアが開いているかを検出し、
ドアが開いていることの警告を発生させ、
薬剤供給デバイスを再スタートさせる前に、薬剤供給デバイスのバーコード及び薬剤源のバーコードを読み取ることを要求することを更に含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
薬剤供給デバイス、
該薬剤供給デバイスに設置され、かつこの薬剤供給デバイスの識別情報を含む薬剤供給デバイス識別体、
薬剤源、
薬剤源に設置され、かつ薬剤源に含まれる薬剤の識別情報を含む薬剤源識別体、
前記薬剤供給デバイス識別体及び前記薬剤源識別体を読み取り、かつこの薬剤供給デバイス識別体及び薬剤源識別体のそれぞれに含まれる識別情報を取り出すことができる識別体リーダ、
前記薬剤供給デバイスと連携して操作されるデバイスの値を入力するための入力手段、及び
前記識別体リーダ及び薬剤供給デバイスと連携して操作でき、かつ取り出された識別情報を受け取り、薬剤源を薬剤供給デバイスと連携させ、入力手段からデバイス操作パラメータの値を受け取り、このデバイス操作パラメータの値を薬剤供給デバイスと連携させ、かつこの薬剤供給デバイスをデバイス操作パラメータの値に従って操作する
ことからなる薬剤供給デバイスを薬剤源と連携させるためのシステム。
【請求項7】
薬剤源識別体はバーコードである請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
薬剤源識別体はRFIDデバイスである請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
薬剤供給デバイス識別体はバーコードである請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
薬剤供給デバイスはRFIDデバイスである請求項6に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−183211(P2011−183211A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141836(P2011−141836)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【分割の表示】特願2008−500849(P2008−500849)の分割
【原出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(507271514)ケアフュージョン 303 インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】