説明

多周波数帯域の無線通信用の高速セッション転送方法、装置、およびシステム

【課題】1つの周波数帯から他の周波数帯へのトラフィックストリームのスイッチ、多周波数帯域における効率的な並列処理方法を提供する。
【解決手段】高速セッション転送(FST)セットアッププロトコルにより一対のマルチバンドステーション間でセッション転送を行うためのデバイス、システム、および方法が提供される。FSTプロトコルまたは方法は、第1の周波数帯域および/または第1のチャネルでセッションを動作させ、セッションは、直接物理リンクが構築された一対のステーションに格納されている状態情報により記述されていることと、第2の周波数帯域および/または第2のチャネルでセッションを動作させる同意を設定することと、第2の周波数帯域および/または第2のチャネル上に直接物理リンクを構築して、第2の周波数帯域および/または第2のチャネルへセッションを転送することとを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ノートブックコンピュータ、ネットブック、デスクトップコンピュータ、携帯電話、携帯小型デバイス等の数多くのプラットフォームでは、異なる無線機を利用する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)デバイスおよびパーソナルエリアネットワーク(PAN)デバイスが幅広く利用されている。WLANデバイスおよびPANデバイスには、例えばBluetooth(登録商標)(BT)およびWiFiトランシーバが含まれる。BTトランシーバとWiFiトランシーバとは互いに、同じ周波数帯域(例えば2.4GHz帯域)、または異なる周波数帯域で動作しうる。例えばBTトランシーバが2.4GHz帯域で動作して、WiFiトランシーバが5GHz帯域で動作する、といったことが考えられる。
【0002】
WLANデバイスおよびPANデバイスが利用可能な別の周波数帯域に、60GHz周波数帯域がある。WiFiに準拠したデバイスは、2.5GHz、5GHz、および60GHzという周波数帯域を利用することができる。多周波数帯域間をトランシーバがスイッチする際には、例えば60GHzという1つの周波数帯域から、例えば5GHz、2.4GHzといった他の周波数帯域へのトラフィックストリームのスイッチ、多周波数帯域における効率的な並列処理、などが難しくなる。
【0003】
本発明とみなす主題は、本明細書の最終部分で特に指摘し、明確に請求する。しかし本発明の動作構成および方法、その目的、特徴、利点は、以下の詳細な記載を添付図面とともに読むことで理解が深まる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】本発明の例示的な実施形態において無線通信ネットワークのステーションの概略図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態において無線通信ネットワークの概略図である。
【図3】本発明の例示的な実施形態における高速セッション転送プロトコルで利用される情報エレメントの概略図である。
【図4】本発明の例示的な実施形態における高速セッション転送プロトコルの状態ダイアグラムの概略である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
記載を簡潔且つ明確にする目的から、図面に示す部材は必ずしも実寸に即して描かれていない。例えば、部材の幾つかを他の部材よりも拡大表示して明確性を期している場合がある。さらに適切と思われる箇所においては、図面間で参照番号を繰り返すことで、対応する、または類似した部材であることを示している。
【0006】
以下の詳細な記載においては、数多くの特定の詳細を述べて本発明の完全な理解を促している。しかし当業者であれば、本発明がこれら特定の詳細なしに実行可能であることを理解する。また、公知の方法、プロシージャ、コンポーネント、および回路については詳細な記載を省くことで、本発明を曖昧にしないようにしている箇所もある。
【0007】
以下の詳細な記載の一部は、コンピュータメモリ内のデータビットまたはバイナリデジタル信号に対するアルゴリズムおよび処理の象徴的表現で表されている。これらアルゴリズムによる記載および表現は、データ処理技術分野の当業者が自身の仕事の実質を他の当業者に伝える際に利用する技術の1つである。
【0008】
そうではないと明記しない限りにおいて、「処理(processing)」「コンピューティング(computing)」「計算(calculating)」「判断/決定(determining)」といった用語を利用する説明は明細書の随所に見られるが、これらは、特にそうではないと明記していない限りにおいて、コンピュータまたはコンピューティングシステム、あるいはこれに類似した電子コンピューティングデバイスの動作および/または処理に係るものであってよく、コンピューティングシステムのレジスタおよび/またはメモリの電子量等の物理量で表されるデータを、コンピューティングシステムのメモリ、レジスタ、または他の同様の情報格納、送信デバイス内の物理量として同様に表される他のデータへと操作および/または変換するもののことであってよい。また、本明細書で利用される単数形の名詞は、1つであっても、2つ以上であってもよい定義としてみなされることを意図している。本明細書で利用される「複数」という用語は、2つ、あるいは、3つ以上として定義される。本明細書で利用される「別の」という用語は、少なくとも2つ目以上の、という意味である。本明細書で利用される「含む(including)」および/または「有する(having)」といった用語は、「備える(comprising)」と定義されるが、これに限定はされない。本明細書で利用される「連結」という用語は、例えばソフトウェアにより、ハードウェアにより、またはその他の手段により、例えば機械的、電子的、デジタル的、直接的、といった任意の所望の形態で、動作可能なように接続されている様を示す。
【0009】
本明細書で利用される「トラフィック」および/または「トラフィックストリーム」という用語は、ステーション(STA)等の無線デバイス間のデータフローおよび/またはストリームとして定義される。本明細書で利用される「セッション」という用語は、直接物理(PHY)リンクが構築されている一対のステーションに維持または格納されている状態情報として定義され、状態情報は、セッションを記述または定義するものであってよい。本明細書で利用される「高速セッション転送」(FST)という用語は、互いに通信するSTA両方の無線機が、通信を希望する、または通信すると了承した周波数帯域で整合しているとき、チャネルからチャネルへとセッションを転送または移動させることを意味する。
【0010】
本明細書で利用される「無線デバイス」という用語は、無線通信機能を有するデバイス、無線通信機能を有する通信デバイス、無線通信機能を有する通信ステーション、無線通信機能を有する携帯デバイスまたは固定デバイス等を含む。一部の実施形態では、無線デバイスは、コンピュータに集積される周辺デバイス、コンピュータに取り付けられた周辺デバイスであっても、これらを含んでもよい。一部の実施形態では、「無線デバイス」という用語は、オプションとして無線サービスを含んでもよい。
【0011】
本発明の実施形態は、第1の周波数帯域から別の周波数帯域への遷移前、遷移中および遷移完了後に、トラフィックストリームを制御することができ、デバイスは、遷移先の別の周波数帯域において、または多周波数帯域においてアクティブである。本発明の一部の実施形態におけるこの解決法により、デバイス同士が例えば両方の周波数帯域で同じ媒体アクセス制御(MAC)アドレスを有するようなトランスペアレントモードをカバーすることができ、本発明の他の実施形態では、通信デバイスのうち少なくとも1つが異なる周波数帯域で異なるMACアドレスを有するような非トランスペアレントモードを提供することができるが、本発明の範囲はこれらの例に限定はされない。
【0012】
本発明は様々な用途に利用可能である。本発明はこの点に限定はされないが、ここで開示する回路および技術は、無線システムのステーションといった数多くの装置で利用可能である。本発明の範囲に含むことが意図されるステーションは、ほんの数例を挙げると、WLANステーション、ワイヤレスパーソナルネットワーク(WPAN)等である。
【0013】
本発明の範囲に含まれることが意図される種類のWPANステーションには、これらに限定はされないが、周波数ホッピング方式(FHSS)、直接拡散方式(DSSS)、コンプリメンタリ・コード・キーイング(CCK)、直交周波数分割多重方式(OFDM)等のスペクトル拡散信号を送受信するモバイルステーション、アクセスポイント、ステーションが含まれる。
【0014】
一部の実施形態は、ビデオデバイス、オーディオデバイス、オーディオ‐ビデオ(A/V)デバイス、セットトップボックス(STB)、ブルーレイディスク(BD)プレーヤ、BDレコーダ、デジタルビデオディスク(DVD)プレーヤ、高精細(HD)DVDプレーヤ、DVDレコーダ、HD DVDレコーダ、パーソナルビデオレコーダ(PVR)、放送HDレシーバ、ビデオソース、オーディオソース、ビデオシンク、オーディオシンク、ステレオチューナ、放送ラジオレシーバ、ディスプレイ、フラットパネルディスプレイ、パーソナルメディアプレーヤ(PMP)、デジタルビデオカメラ(DVC)、デジタルオーディオプレーヤ、スピーカ、オーディオレシーバ、オーディオアンプ、データソース、データシンク、デジタルスチルカメラ(DSC)、パーソナルコンピュータ(PC)、デスクトップコンピュータ、モバイルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)デバイス、ハンドヘルドPDAデバイス、オンボードデバイス、オフボードデバイス、ハイブリッドデバイス、車両用デバイス、非車両用デバイス、モバイルまたはポータブルデバイス、家庭用デバイス、非モバイルまたは非ポータブルデバイス、無線通信ステーション、無線通信デバイス、無線アクセスポイント(AP)、有線または無線ルータ、有線または無線モデム、有線または無線ネットワーク、ワイヤレスエリアネットワーク、ワイヤレスビデオエリアネットワーク(WVAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、WLAN、PAN、WPAN、既存のWirelessHD(登録商標)および/またはワイヤレス・ギガビット・アライアンス(WGA)仕様および/または将来のバージョンおよび/または
その派生物に従い動作するデバイスおよび/またはネットワーク、既存のIEEE802.11(IEEE802.11-19992007:ワイヤレスLAN媒体アクセス制御(MAC)および物理層(PHY)仕様)規格およびその修正版(「IEEE802.11規格」)、IEEE802.16規格、および/または、その将来のバージョンおよび/またはその派生物等に従い動作するデバイスおよび/またはネットワーク、および/または、上述したネットワークの一部であるユニットおよび/またはデバイス、一方向または双方向通信システム、セルラー方式無線移動電話通信システム、ワイヤレスディスプレイ(WiDi)デバイス、携帯電話、無線電話、パーソナル・コミュニケーション・システム(PCS)デバイス、無線通信デバイス、モバイルまたはポータブルグローバルポジショニングシステム(GPS)デバイスが組み込まれたPDAデバイス、GPSレシーバまたはトランシーバまたはチップが組み込まれたデバイス、RFID素子またはチップが組み込まれたデバイス、多入力多出力(MIMO)トランシーバまたはデバイス、単一入力多出力(SIMO)トランシーバまたはデバイス、多入力単一出力(MISO)トランシーバまたはデバイス、1以上の内部アンテナおよび/または外部アンテナを有するデバイス、デジタルビデオ放送(DVB)デバイスまたはシステム、マルチスタンダードの無線デバイスまたはシステム、有線または無線ハンドヘルドデバイス(BlackBerry、Palm Treo等)、ワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP)デバイス等の様々なデバイスおよびシステムと組み合わせて利用することができる。
【0015】
一部の実施形態は、無線周波数(RF)、赤外線(IR)、周波数分割多重(FDM)、直交周波数分割多重(OFDM)、時分割多重(TDM)、時分割多元接続(TDMA)、拡張TDMA(E−TDMA)、汎用パケット無線サービス(GPRS)、拡張GPRS、符号分割多元接続(CDMA)、広帯域CDMA(WCDMA)、CDMA2000、シングルキャリアCDMA、マルチキャリアCDMA,マルチキャリア変調(MDM)、離散マルチトーン(DMT)、Bluetooth(登録商標)、グローバルポジショニングシステム(GPS)、Wi−Fi、Wi−Max、ZigBee(登録商標)、ウルトラワイドバンド(UWB)、モバイル通信用のグローバルシステム(GSM)、2G、2.5G、3G、3.5G、GSMエボリューション用の拡張データレート(EDGE)等の1以上の種類の無線通信信号および/またはシステムと組み合わせて利用することができる。他の実施形態も様々な他のデバイス、システム、および/またはネットワークで利用可能である。
【0016】
一部の実施形態は、「ピコネット」(ワイヤレスエリアネットワーク、WVAN、WPAN等)の適切な、範囲の制限された、または短距離用の無線通信ネットワークと組み合わせた利用が可能である。
【0017】
先ず図1を参照すると、本発明の例示的な実施形態において無線通信ネットワークのステーション(STA)が概略されている。本発明の実施形態においては、ステーション100は、例えばアクセスポイント、ピコネットコントローラ(PNC)、ステーション、開始側機器、応答側機器等の無線通信デバイスであってよい。ステーション100は、例えばマルチバンドステーションであってよい。
【0018】
本発明の例示的な実施形態においてステーション100は、例えば無線機A110、無線機B120、無線機C130等の複数の無線機を含んでよい。各無線機A110、無線機B120、無線機C130は、2以上のアンテナに動作可能に連結される。例えば無線機A110は、アンテナ160および162に動作可能に連結されており、無線機B120はアンテナ164および166に動作可能に連結されており、無線機Cはアンテナ168および170に動作可能に連結されている。
【0019】
無線機A110、無線機B120、無線機C130は、無線機A110に関して示すものと同様のアーキテクチャを有してよい。各無線機は、ビームフォーミング(BF)コントローラ、レシーバ(RX)112、およびトランスミッタ(TX)114を少なくとも含んでよいが、本発明の範囲はこの点に限定はされない。
【0020】
さらに、本発明の一部の実施形態では、各無線機が、適宜、それぞれ異なる周波数帯域で動作することができる。例えば、無線機A110は60GHz周波数帯域で動作してよく、無線機B120は5GHz周波数帯域で動作してよく、無線機C130は2.4GHz周波数帯域で動作してよいが、本発明の実施形態がこの例に限定されると理解されるべきではない。
【0021】
ステーション100はさらに、MACプロセッサ140およびメモリ150を含んでよい。MACブロック140は、IEEE802.11TAGadおよび/またはIEEE802.15.3cおよび/またはWirelessHD(登録商標)および/またはECMA−387および/またはISO/IEC13156:2009および/またはBluetooth(登録商標)および/またはWGA仕様に従ってMACプロトコルを動作させることができる。
【0022】
さらに、MACプロセッサ140は、状態遷移タイマ(STT)145およびリンクロスカウントダウンタイマ(LLCT)147を含んでよい。STT145は、適宜、高速セッション転送(FST)を制御または実行することができる。例えば、各マルチバンドSTAは各FSTセッション用にSTTを維持することができる。マルチバンドステーションは、STT145が1からゼロに移動または遷移するときに、FSTの初期状態410(図4参照)へ移動または遷移することができる。LLCT147は、FSTプロトコルのある状態から別の状態への遷移を制御することができる。メモリ150は、状態情報151を含んでよく、状態情報151は別の格納ユニットに格納されていてよい。
【0023】
メモリ150は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、取り外し可能または取り外し不可能メモリ、消去可能または消去不可能メモリ、書き込み可能または書き換え可能メモ等を含んでよい。例えばメモリ150は、1以上のランダムアクセスメモリ(RAM)、動的RAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDR−DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、静的RAM(SRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能ROM(EPROM)、電気消去可能ROM(EEPROM)、CD−ROM、書き込み可能CD(CD−R)、書き換え可能CD(CD−RW)、フラッシュメモリ(NORまたはNANDフラッシュメモリ)、コンテント・アドレッサブル・メモリ(CAM)、ポリマーメモリ、相変化メモリ、強誘電メモリ、シリコン−酸化物−窒化物−酸化物−シリコン(SONOS)メモリ、ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードドライブ、光学ディスク、磁気ディスク、カード、磁気カード、光学カード、テープ、カセット等を含んでよい。
【0024】
一部の例示的な実施形態では、アンテナ160、162、164、166、168、および170は、例えば、フェーズドアレイアンテナ、内部および/または外部RFアンテナ、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、全方位アンテナ、エンドフェッドアンテナ、円偏光アンテナ、マイクロストリップアンテナ、ダイバーシティアンテナ、その他、無線通信信号、ブロック、フレーム、送信ストリーム、パケット、メッセージ、および/または、データの送信および/または受信に適した任意の種類のアンテナを含んでよいが、本発明の範囲はこれらの例に限定はされない。
【0025】
本発明の一部の例示的な実施形態では、BFコントローラ116は、適宜、多入力多出力(MIMO)コントローラおよび/またはビームフォーマプロセッサを含んでよい。
【0026】
本発明の一実施形態では、ステーション100は、ある周波数帯域から別の周波数帯域へ、および、あるチャネルから別のチャネルへと、複数の無線機(無線機A110、無線機B120、および/または、無線機C130)を利用して、セッションを移動させたり転送したりすることができてよいが、本発明の実施形態はこの点に限定はされないことを理解されたい。
【0027】
例えばマルチバンドSTA100は、第1の周波数帯域(例えば、無線機A110による60GHz)および/または第1のチャネルでセッションを動作させることができ、ここでセッションは、直接物理リンクが構築されている一対のステーションに維持または格納されている状態情報であっても、これにより記述されていてもよい。マルチバンドSTA100は、必要に応じて、他のマルチバンドSTAとの間で、第2の周波数帯域(例えば無線機B120による2.4GHz)および/または第2のチャネルでセッションを動作させるための同意を設定または構築してよく、第2の周波数帯域および/または第2のチャネルに直接物理リンクを構築してよい。マルチバンドSTA110は、例えば図4を参照して後述する高速セッション転送(FST)プロトコルを利用することで、セッションを第2の周波数帯域および/または第2のチャネルに転送または移動することができる。
【0028】
図2は、本発明の例示的な実施形態において無線通信ネットワーク200の概略図である。例えば無線通信ネットワーク200は、IEEE802 802.11タスクグループad(TGad)により開発された規格に従って、および/または、WGA仕様に従って、および/または、IEEE802.15.3c規格に従って、および/または、WirelessHD(登録商標)仕様および/またはECMA−387規格等に従って動作することができる。
【0029】
本発明の範囲はこれに限定はされないが、無線通信ネットワーク200は、ステーションA210およびステーションB240を含んでよい。ステーションAは、無線機A220および無線機B230を含んでよく、ステーションBは、無線機A250および無線機B260を含んでよい。ここではステーション(STA) A210を開始側機器と称し、STA B240を応答側機器と称する場合があるが、本発明の範囲はこの点に限定はされない。他の無線機または異なる数の無線機を含むこともできる。
【0030】
本発明の一実施形態においては、STA A210およびSTA B240アーキテクチャおよびコンポーネントは、必要に応じて図1のSTA100のアーキテクチャおよびコンポーネントと類似したものであってよいが、他のアーキテクチャを利用することもできる。
【0031】
動作においては、STA A210は、第1の周波数帯域(例えば、無線機A110による60GHz)および/または第1のチャネルでセッション270を動作させることができ、セッション270は、本発明の実施形態では、直接物理リンクが構築されている一対のステーションに維持または格納されている状態情報である。STA A210(一例では開始側機器である)は、STA B240(一例では応答側機器である)との間で、第2の周波数帯域(例えば無線機B120による2.4GHz)および/または第2のチャネルでセッションを動作させ、または、実行させるための同意を設定または構築することができる。STA A210およびSTA B240は、適宜、第2の周波数帯域および/または第2のチャネルに直接物理リンクを構築することができる。STA A210は、点線で示されているFSTプロトコルを利用または実行することで、第2の周波数帯域および/または第2のチャネルにセッションを転送または移動することができるが、本発明の範囲は本実施形態に限定はされないことは理解されたい。
【0032】
図3は、本発明の例示的な実施形態におけるFSTプロトコルとともに利用される情報エレメント(IE)300の概略図である。本発明のこの例示的な実施形態においては、IE300は、エレメント識別(ID)フィールド310、長さフィールド320、FSTセッション(FSTS)IDフィールド330、新たな帯域フィールド340、および古い帯域フィールド350を含んでよい。
【0033】
この例示的な実施形態においては、エレメントIDフィールド310は、IE IDを示すために1つの8ビットを含んでよい。長さフィールド320は、IE300の長さを示すことができる。FSTS IDフィールド330は、開始側機器により割り当てられ、例えば4つの8ビットを含んでよい、一対のSTAの間に構築されるFSTセッションの識別子を含んでよい。
【0034】
新たな帯域フィールド340および古い帯域フィールド350は、本発明の実施形態におけるFSTプロトコルの動作または実行の際の信号伝達に利用することができる。例えば、新たな帯域フィールド340および古い帯域フィールド350の各々が、帯域IDサブフィールド、セットアップサブフィールド、および動作サブフィールドを含んでよい。帯域IDサブフィールドは、周波数帯の識別子を提供してよく、セッションが動作中または実行中の、あるいはそこに転送または移動されるべき、所望の、および/または、現在の周波数帯および/またはチャネルを示すことができる。例えば、帯域IDサブフィールドは、2.4GHz(LB)については1に設定されてよく、5GHz(HB)については2に設定されてよく、60GHz(UB)については3に設定されてよい。値0は留保されてよい。他の値および周波数を利用することもできる。
【0035】
セットアップおよび動作サブフィールドは、FSTプロトコル動作に従って0または1を含んでよい。他の値が留保されてもよいが、本発明の範囲はこの点に限定はされない。
【0036】
IE300は、これに限定はされないがFSTセットアップ要求フレーム、FST応答フレーム、FST削除フレーム、FST受領確認(Ack)要求フレーム、および、FST受領確認応答フレームの一部であってよいが、本発明の範囲はこの点に限定されない。
【0037】
<FSTセットアップ要求フレーム>
例えばFSTセットアップ要求フレームは、カテゴリFSTのアクションフレームである。FSTセットアップ要求フレームによって、開始ステーション(開始側機器)は他のピアステーションに対して、ソースステーションとピアステーションとの間のセッションについてFSTをイネーブルする意向があるかをアナウンスすることができる。FSTセットアップ要求の例示的なフォーマットを表1に示す。
【表1】

【0038】
表1では、カテゴリフィールドはFST用のカテゴリに設定されている。アクションフィールドは、FSTセットアップ要求の値に設定され、リンクロスタイムアウト(LLT)フィールドは32ビットを含んでよく、ソースSTAがピアSTAから最後にデータフレームを受信してからソースSTAがFSTを開始すると決定するまでをカウントした最大期間をマイクロ秒で示してよく、セッション遷移フィールドは、図3の情報エレメント300に類似したセッション遷移エレメントを含んでよい。
【0039】
マルチバンドフィールドはマルチバンドエレメントを含んでよい。マルチバンドエレメントは、このエレメントを送信するSTA(送信STA)が、このエレメントが送信されるものとは異なる周波数帯域で動作可能であり、この送信STAが現在のチャネルから他の帯域のチャネルにセッションをスイッチすることができることを示してよい。マルチバンドエレメントに含まれる規制情報は、フレームに含まれる全てのフィールドおよびエレメントに適用可能である。起動スケジュールエレメントは、ステーションの起動時間および2つの連続した起動間のスリープ間隔を適宜示してよい。アウェイク・ウィンドウエレメントは、アウェイク・ウィンドウの時間を含んでよく、スイッチストリームエレメントは、送信STA要求が新たな処理帯域へのスイッチを要求するストリームを示すが、本発明の範囲はこの例示的な実施形態に限定はされない。
【0040】
<FSTセットアップ応答フレーム>
本発明の例示的な実施形態において、FSTセットアップ応答フレームは、FSTセットアップ要求フレームを受信すると送信されてよい。表2にフレーム本体のフォーマットを示す。
【表2】

【0041】
本例においては、カテゴリフィールドはFSTのカテゴリに設定されている。アクションフィールドは、FSTセットアップ応答の値に設定されてよく、セッション遷移フィールドは、一対のステーション間に構築されたFSTセッションの識別子を含みうるセッション遷移エレメント、遷移したセッションの周波数帯域および/またはチャネルを適宜含んでよい。マルチバンドエレメント、起動スケジュールエレメント、アウェイク・ウィンドウエレメント、およびスイッチストリームエレメントは、FSTセットアップ要求フレームに含まれるものと同じである。
【0042】
<FST削除フレーム>
FST削除フレームは、ステーション間で構築されているFSTセッションを削除するために送信される。表3にフレーム本体のフォーマットを示す。
【表3】

【0043】
本例においては、カテゴリフィールドはFSTのカテゴリに設定されており、アクションフィールドはFST削除のための値に設定されており、FSTセッション(FSTS)IDフィールドは、ステーション間に構築されているFSTセッションの識別子を含む。
【0044】
<FST受領確認要求フレーム>
FST受領確認要求フレームは、FSTセッションの転送先の周波数帯域で送信され、FSTセッション転送を確認する。フレーム本体のフォーマットを表4に示す。
【表4】

【0045】
本例では、カテゴリフィールドはFSTのカテゴリに設定されており、アクションフィールドはFST受領確認要求のための値に設定されており、ダイアログトークンフィールドは、FST受領確認要求を送信するSTAが、要求/報告処理を特定するために選択する、ゼロではない値に設定されていてよく、FSTS IDフィールドは、ステーション間に構築されているFSTセッションの識別子を適宜含む。
【0046】
<FST受領確認応答フレーム>
FST受領確認応答フレームは、FST受領確認要求フレームを受信すると送信される。フレーム本体のフォーマットを表5に示す。
【表5】

【0047】
本例では、カテゴリフィールドはFSTのカテゴリに設定されており、アクションフィールドはFST受領確認応答のための値に設定されており、ダイアログトークンフィールドは、任意の対応するFST受領確認要求フレームの値に設定されていてよい。例えば、FST受領確認応答フレームがFST受領確認要求フレームを受けても送信されていない場合には、ダイアログトークンをゼロに設定してよい。FSTS IDフィールドは、ステーション間に構築されているFSTセッションの識別子を含むが、本発明の範囲は本例に限定はされない。
【0048】
図4は、本発明の例示的な実施形態におけるFSTプロトコル400の状態ダイアグラムの概略である。本発明の範囲はこの点に限定はされないが、同じ、および/または、異なる周波数帯域で、STAに例えば1以上の数のチャネルでセットアップおよび動作を行わせる詳細なFSTセットアッププロトコル、FSTプロトコルステートマシン、および、状態間の遷移規則を、状態ダイアグラム400を参照して以下に説明する。
【0049】
本発明の一実施形態では、プロトコルが同時および同時ではない処理をサポートする。FSTセットアッププロトコルは、FSTが任意の周波数帯域でセットアップされることで、任意の他の周波数帯域へのセッション転送を可能とするスケーラブルなプロトコルである。例えば2.4GHz、5GHz、および60GHz周波数帯域で動作しうるSTA100等のマルチバンドSTAは、2.4GHz周波数帯域でFSTをセットアップすることができ、60GHz周波数帯域から5GHz周波数帯域へのセッション転送を行うことができるが、本発明の範囲はこの点に限定はされない。
【0050】
<FSTセットアッププロトコル>
本発明の実施形態においては、FSTセットアッププロトコルは、銘々の現在の周波数帯域および/またはチャネルから別の周波数帯域および/またはチャネルへの、開始側機器と応答側機器との間のFSTセッションの転送を定義することができる。本発明のこの例示的な実施形態においては、FSTセットアッププロトコルは、4つの状態と複数の規則とを含むことで、ある状態から次の状態への移動または遷移を行うことができるようになる。
【0051】
第1の状態は初期状態410であってよい。この状態においては、FSTセッションは1以上の周波数帯域および/またはチャネルで動作可能である。第2の状態は、セットアップ完了状態420である。この状態においては、FSTセッション(1または複数)が現在動作中である場合、開始側機器および応答側機器の両方において、周波数帯域およびチャネルを変更する準備が整っている。第3の状態は、遷移完了状態430である。この状態においては、FSTセッションのセットアップに利用されるFSTセットアップ要求フレーム内のLLTフィールドの値がゼロである場合に、開始側機器および応答側機器が両方とも他の周波数帯域および/またはチャネルで動作することができる。第4の状態は、遷移確認済み状態440である。この状態では、遷移が確認された状態にするために、開始側機器および応答側機器が両方とも、新たな周波数帯域および/またはチャネルにおける通信に成功している必要がある。
【0052】
動作においては、初期状態410からセットアップ完了状態420へFSTセッションを移すために、(例えばSTA210)および応答側機器(例えばSTA240)は、適宜、FSTセットアップ要求フレームおよびFSTセットアップ応答フレームを交換してよい。図3に示す情報エレメントは、FSTセットアップ応答フレームおよびセットアップ要求フレームに適宜含まれてよい。
【0053】
1つの例示的な実施形態では、初期状態410およびセットアップ完了状態420において、FSTセットアップ要求フレームおよびFSTセットアップ応答フレームの古い周波数帯および古いチャネルとは、FSTセッションが転送される前の転送元の周波数帯域およびチャネルのことであってよく、新たな周波数帯域および新たなチャネルとは、FSTセッションが転送される転送先のもののことであってよい。
【0054】
遷移完了状態430では、FSTセットアップ要求フレームおよび応答フレームにおける新たな周波数帯域および新たなチャネルとは、転送先の状態の周波数帯域/チャネルを表していてよい。さらにFST受領確認要求フレームおよびFST受領確認応答フレームにおける古い周波数帯域/チャネルとは、FSTセッションの転送元の周波数帯域/チャネルを表していてよいが、本発明の範囲はこの例に限定はされない。
【0055】
FSTセットアップの説明を続けると、応答側機器(例えばSTA240)は、FSTセットアップ要求を受諾する場合にはFSTセットアップ応答フレームのステータスコードフィールドを例えば0(成功)に設定し、FSTセットアップ要求の1以上のパラメータが無効であり、他のパラメータを提示するような場合にはFSTセットアップ応答フレームのステータスコードを例えば39(提案を含む拒否)に設定し、FSTセットアップ要求が未完了であることを示すためにはFSTセットアップ応答フレームのステータスコードを例えば55(未完了)に設定し、FSTセットアップ要求を拒否するためには、FSTセットアップ応答フレームのステータスコードフィールドを例えば37(拒否)に設定する、といったことが可能であるが、本発明の範囲はこの例に限定はされない。
【0056】
本発明の1つの例示的な実施形態においては、必要に応じてFSTセットアッププロトコル内の状態遷移を状態遷移タイマ(STT)により制御してもよい。例えば、各マルチバンドSTAは、各FSTセッションについてSTTを維持することができる。マルチバンドステーションは、STTが1から0に移るときには、または、FST削除フレームの受信および/または送信においては、必要に応じて初期状態410に移動または遷移することができる。
【0057】
開始側機器は、FSTセットアップ要求(例えば要求フレーム)の送信に成功すると、および、例えば55に等しいステータスコードフィールドを有するFSTセットアップ応答(例えば応答フレーム)を受信して各ACKフレームを送信すると、STTをFSTセッションのタイムアウトの値に設定してよい。開始側機器は、例えば0に等しい値のステータスコードフィールドを有するFSTセットアップ応答フレームを受信してACKフレームを送信することで、STTをゼロに設定してよい。開始側機器は、必要に応じて、例えば0に等しいステータスコードフィールドを有するFSTセットアップ応答を受信してFST受領確認応答フレームを送信した後、例えばFSTセッションタイムアウト値よりも前に、FSTセットアップ要求フレームを送信してよい。
【0058】
応答側機器は、FSTセットアップ応答フレームの送信に成功すると、STTを、FSTセッションタイムアウトフィールドの値に設定してよい。応答側機器は、FSTセットアップ要求を受信して各ACKフレームを送信するたびに、STTをゼロに設定してよい。例えば、応答側機器は、FSTセットアップ要求フレームを受信してACKフレームを送信した後であってFSTセッションタイムアウト値よりも前に、または、例えば55に等しいステータスコードフィールドを有するFSTセットアップ応答フレームの送信に成功すると、FSTセットアップ応答フレームを送信してよい。後者の場合には、応答側機器は開始側機器に対して、要求されていないFSTセットアップ応答フレームを送信することもできるが、本発明の範囲はこの例に限定はされない。
【0059】
本発明の一部の例示的な実施形態においては、開始側機器と応答側機器との間にFSTセッションが構築されるまで、開始側機器と応答側機器とがそれぞれ複数のFSTセットアップ要求フレームおよびFSTセットアップ応答フレームを送信することとなろう。
【0060】
例えば、初期状態410からセットアップ完了状態420への各遷移において、開始側機器および応答側機器は、以下のプロシージャを行うことができる。(1)開始側機器が応答側機器にFSTセットアップ要求フレームを送る。(2)FSTセットアップ要求フレームを受信すると、応答側機器は、開始側機器に提示した未完了のFSTセットアップ要求フレームが存在しており、応答側機器が、開始側機器のMACアドレスよりも数値的に大きなMACアドレスを有している例外を除いて、FSTセットアップ応答フレームで応答してよく、例外に当てはまる場合には、応答者は受信したFSTセットアップ要求(例えばフレーム)を削除することができる。(3)開始側機器のFSTセットアップ要求フレームに対する受領確認を受信した後に開始側機器が応答側機器からFSTセットアップ要求フレームを受信した場合には、開始側機器は、自身のMACアドレスが応答側機器のMACアドレスより数値的に大きい場合には、FSTセットアップ応答フレームで応答しなくてよい。反対に自身のMACアドレスが応答側機器のMACアドレスより数値的に小さい場合には、この開始側機器が応答側機器となり、FSTセットアップ応答フレームで応答して、現在のFSTセッション遷移中にはFSTセットアップ要求フレームを送信しない。(4)開始側機器は、以下の条件のうち少なくとも1つが満たされる場合には次の状態に移動または遷移しない。条件とはすなわち、(a)開始側機器は、応答側機器からのFSTセットアップ応答フレームを受信してもACKフレームを送信しなくてよい、(b)応答側機器から受信したFST応答フレームのステータスコードフィールドの値が0以外である(0以外の値を利用してもよい)場合、(c)表6に示す状態特定の例外が生じた場合、である。(5)開始側機器は、条件(4)(a)、(4)(b)、および(4)(c)のいずれも満たさない場合には、次の状態に移動または遷移してよい。(6)応答側機器は、以下の条件のうち少なくとも1つが満たされる場合には次の状態に移動または遷移しない。条件とはすなわち、(a)応答側機器が、自身が送信したFSTセットアップ応答フレームに対する受領確認を受信していない場合、(b)FSTセットアップ応答フレームのステータスコードフィールドの値が0以外である(0以外の値を利用してもよい)場合、(c)送信したFSTセットアップ応答フレームのセッション遷移エレメント中のセットアップサブフィールドおよび動作サブフィールドの値が、表6のいずれの行とも異なるステータスになった場合(この場合には、応答側機器は、必要に応じて、送信したFSTセットアップ応答のステータスコードフィールドを3に設定することができる)、(d)新たな帯域フィールドの動作サブフィールドのステータスが0となった(0以外の値を利用してもよい)場合、である。(7)応答側機器は、条件(6)(a)、(6)(b)、(6)(c)、および(6)(d)のいずれも満たさない場合には、次の状態に移動または遷移してよい。
【表6】

【0061】
本発明の例示的な実施形態においては、セットアップ完了状態420へ遷移した場合に、受信した最後のFSTセットアップ要求フレーム内のLLTフィールドの値がゼロであった場合には、開始側機器および応答側機器が、即座に遷移完了状態に移動または遷移してよい。
【0062】
さらに、セットアップ完了状態420へ遷移した場合に、最後に受信したFSTセットアップ要求フレーム内のLLTフィールドの値がゼロより大きい場合には、開始側機器および応答側機器の両方がセットアップ完了状態420に残り、または留まり、初期値LLT*32μsecでリンクロスカウントダウンタイマ(LLCT)(例えばLLCT147)を開始してよい。LLCTは、1ビット/μsecずつカウントしてよい。例えば各STAのリンクロスカウントダウンは、FSTセッションのピアSTAからユニキャストフレームが受信されるたびに、例えばLLT*32といった値をリロードされてよい。セットアップ完了状態420から遷移完了状態430へのFST遷移は、FSTセッションの開始側機器または応答側機器のいずれかにおけるLLCTが1から0に遷移した直後に行われてよい。
【0063】
表7は、本発明の実施形態における、各状態遷移におけるFSTセッションステータスを示す。FSTセットアップ要求のサブフィールドの値が、以下のFSTセットアップ応答フレームの同じサブフィールドの値と異なっている場合には、その結果生じるステータスは、FSTセットアップ要求およびFSTセットアップ応答両方においてそれぞれ対応するサブフィールドの値の論理積であってよい。
【表7】

【0064】
遷移完了状態430から遷移確認済み状態440への遷移にあたって、開始側機器および応答側機器は、FSTセッションセットアップ中に交渉されたマルチバンドエレメントで特定されている規制クラスのチャネル数および帯域ID内で以下のプロシージャを行うことができる。(1)状態遷移タイマ(STT)(例えばSTT145)により状態遷移が制御される。FSTセッションの各STAは、自身のSTTを有していてよい。開始側機器および応答側機器は、STTが自身の値を1から0に変更すると初期状態に移動する、または遷移してよい。開始側機器は、FST受領確認要求フレームの送信に成功すると、または、任意のユニキャストデータユニットを応答側機器に送信すると、STTをFSTセッションタイムアウトの値に設定してよい。開始側機器は、応答側機器からのFST受領確認応答に対してACKを送信すると、または、応答側機器に送ったフレームに対するACKフレームを受信すると、STTをゼロに設定することができる。応答側機器は、FST受領確認応答フレームを送信すると、または、開始側機器に他の任意のユニキャストデータユニットを送信すると、STTをFSTセッションタイムアウトの値に設定してよい。応答側機器は、送信したFST受領確認応答フレームに対するACKフレームを受信すると、または開始側機器から送られたユニキャストフレームを受信すると、STT値をゼロに設定してよい。応答側機器は、開始側機器から受信したFST受領確認要求に対してACKフレームを送信した後、FSTセッションタイムアウト値が経つまでに、開始側機器に対してFST受領確認応答フレームを送信してよい。(2)開始側機器は応答側機器に対して、FST受領確認要求フレームを送信してよい、または、任意の他のユニキャストデータフレームを送信してよい。(3)FST受領確認要求フレームを受信すると、応答側機器は開始側機器に対してFST受領確認応答フレームを送ることで応答することができる。(4)開始側機器は、応答側機器からのFST受領確認応答フレームまたは任意の他のユニキャストフレームに対してACKフレームを送信すると、または、開始側機器が応答側機器に対して送ったFST受領確認要求フレームではないフレームに対して応答側機器からACKフレームを受信すると、遷移確認済み状態へ移動または遷移することができる。(5)応答側機器は、開始側機器に送ったFST受領確認応答フレームまたは任意の他のユニキャストフレームに対するACKフレームを受信すると、または、FST受領確認要求ユニキャストフレームではないフレームに対するACKフレームを送信すると、遷移確認済み状態に移動または遷移することができる。
【0065】
本発明の実施形態は、プロセッサまたはコントローラにより実行されるとここで開示する方法を実行する命令を符号化する、含む、または格納する、メモリ、ディスクドライブ、またはUSBフラッシュメモリ等の、コンピュータまたはプロセッサにより可読である媒体、またはコンピュータまたはプロセッサ格納媒体等の物品を含んでよい。
【0066】
本発明の実行を特定の実施形態のコンテキストで記載してきた。これら実施形態は例示であり限定は意図していない。多くの変形例、変更例、追加、および改善が可能である。従って、複数のインスタンスをここでは単一のインスタンスとして記載している場合がある。また、様々なコンポーネント、処理、およびデータ格納装置の間の境界は比較的自由に決定されており、特定の処理が、特定の例における構成のコンテキストにおいて示されている。機能に関する他の分配方法も、以下の請求項の範囲に含まれることが意図されている。最後に、様々な構成における離散したコンポーネントとして提示されている構造および機能は、構造またはコンポーネントの組み合わせとして実行することもできる。これらの、またはその他の変形例、変更例、追加、および改善は、以下の請求項が定義する本発明の範囲に含まれることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速セッション転送(FST)セットアッププロトコルを利用してセッションを転送する方法であって、
前記高速セッション転送(FST)セットアッププロトコルは、
第1の周波数帯域及び第1のチャネルの少なくとも一方で、直接物理リンクが構築された一対のステーションに格納されている状態情報により記述されているセッションを動作させることと、
第2の周波数帯域及び第2のチャネルの少なくとも一方で前記セッションを動作させる同意を設定することと、
前記第2の周波数帯域及び前記第2のチャネルの少なくとも一方に直接物理リンクを構築することと、
前記第2の周波数帯域及び前記第2のチャネルの少なくとも一方に前記セッションを転送ることと
を含み、
前記セッションの前記転送は、銘々が通信を希望する1以上の周波数帯域において無線機が整合している前記一対のステーションの第1のステーションと前記一対のステーションの第2のステーションとの間で第1のチャネルから第2のチャネルへと行われる、方法。
【請求項2】
前記FSTセットアッププロトコルは、
初期状態、セットアップ完了状態、遷移完了状態、および遷移確認済み状態を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記初期状態において、前記第1の周波数帯域及び前記第1のチャネルの少なくとも一方で通信する段階と、
FSTセットアップ要求フレームを送信する段階と、
FSTセットアップ応答フレームを受信する段階と、
タイムアウトが受信されていない場合、または、FST削除フレームが受信されていない場合に、前記セットアップ完了状態へと遷移する段階と、
前記セットアップ完了状態において、前記第1の周波数帯域及び前記第1のチャネルの少なくとも一方で通信を行う段階と
を備える請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記FSTセットアップ要求フレームのリンクロスタイムアウト(LLT)フィールドの値がゼロより大きい場合に前記セットアップ完了状態に留まる段階を備え、
前記LLTフィールドの前記値は32ビットを含み、前記第1のステーションが前記第2のステーションから最後にデータフレームを受信してから前記第1のステーションが前記FSTを開始すると決定するまでカウントされる最大期間をマイクロ秒で示す請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記FSTセットアップ要求フレームの前記LLTの値がゼロに等しい場合に、前記セットアップ完了状態から前記遷移完了状態へ遷移する段階と、
前記遷移完了状態において、前記第2の周波数帯域及び前記第2のチャネルの少なくとも一方で通信を行う段階と
を備える請求項4に記載の方法。
【請求項6】
タイムアウトになった場合に前記遷移完了状態から前記初期状態へ遷移する段階と、
前記初期状態において、前記第1の周波数帯域及び前記第1のチャネルの少なくとも一方で通信する段階と
を備える請求項5に記載の方法。
【請求項7】
FST受領確認要求フレームおよびFST受領確認応答フレームの交換が完了すると、前記遷移完了状態から前記遷移確認済み状態へ遷移する段階と
前記セッションを転送する段階と、
前記遷移確認済み状態において、前記第2の周波数帯域及び前記第2のチャネルの少なくとも一方で通信する段階と
を備える請求項5に記載の方法。
【請求項8】
第1の周波数帯域及び第1のチャネルの少なくとも一方で、直接物理リンクが構築された一対のステーションに格納されている状態情報により記述されているセッションを動作させる第1の無線機と、
第2の無線機を利用して第2の周波数帯域及び第2のチャネルの少なくとも一方で前記セッションを動作させる同意を設定して、前記第2の無線機を利用して前記第2の周波数帯域及び前記第2のチャネルの少なくとも一方に直接物理リンクを構築して、少なくとも4つの状態を有する高速セッション転送(FST)セットアッププロトコルを利用して前記第2の周波数帯域及び前記第2のチャネルの少なくとも一方に前記セッションを転送する媒体アクセス制御(MAC)プロセッサと
を備え、
前記セッションの第1のチャネルから第2のチャネルへの前記転送は、銘々が通信を希望する1以上の周波数帯域において無線機が整合している前記一対のステーションにおける第1のステーションと前記一対のステーションの第2のステーションとの間で行われる、マルチバンドステーション。
【請求項9】
前記FSTセットアッププロトコルの前記少なくとも4つの状態は、初期状態、セットアップ完了状態、遷移完了状態、および遷移確認済み状態を含む請求項8に記載のマルチバンドステーション。
【請求項10】
前記MACプロセッサは前記マルチバンドステーションを前記FSTセットアッププロトコルに従って動作させ、
前記FSTセットアッププロトコルは、
前記初期状態において、前記第1の周波数帯域及び前記第1のチャネルの少なくとも一方で通信することと、
FSTセットアップ要求フレームを送信することと、
FSTセットアップ応答フレームを受信することと、
タイムアウトが受信されていない場合、または、FST削除フレームが受信されていない場合に、前記セットアップ完了状態へと遷移することと、
前記セットアップ完了状態において、前記第1の周波数帯域及び前記第1のチャネルの少なくとも一方で通信を行うことと
を含む請求項9に記載のマルチバンドステーション。
【請求項11】
前記FSTセットアッププロトコルは、
前記FSTセットアップ要求フレームのリンクロスタイムアウト(LLT)フィールドの値がゼロより大きい場合に前記セットアップ完了状態に留まることを含み、
前記LLTフィールドの前記値は32ビットを含み、前記第1のステーションが前記第2のステーションから最後にデータフレームを受信してから前記第1のステーションが前記FSTを開始すると決定するまでカウントされる最大期間をマイクロ秒で示す請求項10に記載のマルチバンドステーション。
【請求項12】
前記FSTセットアッププロトコルは、
前記FSTセットアップ要求フレームの前記LLTの値がゼロに等しい場合に、前記セットアップ完了状態から前記遷移完了状態へ遷移することと、
前記遷移完了状態において、前記第2の周波数帯域及び前記第2のチャネルの少なくとも一方で通信を行うことと
を含む請求項11に記載のマルチバンドステーション。
【請求項13】
前記FSTセットアッププロトコルは、
タイムアウトになった場合に前記遷移完了状態から前記初期状態へ遷移することと、
前記初期状態において、前記第1の周波数帯域及び前記第1のチャネルの少なくとも一方で通信することと
を含む請求項12に記載のマルチバンドステーション。
【請求項14】
前記FSTセットアッププロトコルは、
FST受領確認要求フレームおよびFST受領確認応答フレームの交換が完了すると、前記遷移完了状態から前記遷移確認済み状態へ遷移することと
前記セッションを転送することと、
前記遷移確認済み状態において、前記第2の周波数帯域及び前記第2のチャネルの少なくとも一方で通信することと
を含む請求項12に記載のマルチバンドステーション。
【請求項15】
無線通信システムであって、
少なくとも2つのマルチバンドステーションを備え、
1つのマルチバンドステーションは、
少なくとも第1の無線機および第2の無線機と、
媒体アクセス制御(MAC)プロセッサと
を有し、
前記第1の無線機は、第1の周波数帯域及び第1のチャネルの少なくとも一方で、直接物理リンクが構築された一対のステーションに格納されている状態情報により記述されているセッションを動作させ、
前記MACプロセッサは、第2の無線機を利用して第2の周波数帯域及び第2のチャネルの少なくとも一方で前記セッションを動作させる同意を設定して、前記第2の無線機を利用して前記第2の周波数帯域及び前記第2のチャネルの少なくとも一方に直接物理リンクを構築して、少なくとも4つの状態を有する高速セッション転送(FST)セットアッププロトコルを利用して前記第2の周波数帯域及び前記第2のチャネルの少なくとも一方に前記セッションを転送し、
前記セッションの第1のチャネルから第2のチャネルへの前記転送は、銘々が通信を希望する1以上の周波数帯域において無線機が整合している前記一対のステーションにおける第1のステーションと前記一対のステーションの第2のステーションとの間で行われる
無線通信システム。
【請求項16】
前記FSTセットアッププロトコルの前記少なくとも4つの状態は、初期状態、セットアップ完了状態、遷移完了状態、および遷移確認済み状態を含む請求項15に記載の無線通信システム。
【請求項17】
前記MACプロセッサは前記マルチバンドステーションを前記FSTセットアッププロトコルに従って動作させ、
前記FSTセットアッププロトコルは、
前記初期状態において、前記第1の周波数帯域及び前記第1のチャネルの少なくとも一方で通信することと、
FSTセットアップ要求フレームを送信することと、
FSTセットアップ応答フレームを受信することと、
タイムアウトが受信されていない場合、または、FST削除フレームが受信されていない場合に、前記セットアップ完了状態へと遷移することと、
前記セットアップ完了状態において、前記第1の周波数帯域及び前記第1のチャネルの少なくとも一方で通信を行うことと
を含む請求項16に記載の無線通信システム。
【請求項18】
前記FSTセットアッププロトコルは、
前記FSTセットアップ要求フレームのリンクロスタイムアウト(LLT)フィールドの値がゼロより大きい場合に前記セットアップ完了状態に留まることを含み、
前記LLTフィールドの前記値は32ビットを含み、前記第1のステーションが前記第2のステーションから最後にデータフレームを受信してから前記第1のステーションが前記FSTを開始すると決定するまでカウントされる最大期間をマイクロ秒で示す請求項17に記載の無線通信システム。
【請求項19】
前記FSTセットアッププロトコルは、
前記FSTセットアップ要求フレームの前記LLTの値がゼロに等しい場合に、前記セットアップ完了状態から前記遷移完了状態へ遷移することと、
前記遷移完了状態において、前記第2の周波数帯域及び前記第2のチャネルの少なくとも一方で通信を行うことと
を含む請求項18に記載の無線通信システム。
【請求項20】
前記FSTセットアッププロトコルは、
タイムアウトになった場合に前記遷移完了状態から前記初期状態へ遷移することと、
前記初期状態において、前記第1の周波数帯域及び前記第1のチャネルの少なくとも一方で通信することと
を含む請求項19に記載の無線通信システム。
【請求項21】
前記FSTセットアッププロトコルは、
FST受領確認要求フレームおよびFST受領確認応答フレームの交換が完了すると、前記遷移完了状態から前記遷移確認済み状態へ遷移することと
前記セッションを転送することと、
前記遷移確認済み状態において、前記第2の周波数帯域及び前記第2のチャネルの少なくとも一方で通信することと
を含む請求項19に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−10316(P2012−10316A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−84836(P2011−84836)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】