説明

多孔性トラック膜の製造方法

多孔性トラック膜がポリマーフィルムを重イオンの衝撃に暴露してトラック密度を有するフィルムを得、乱流を維持する条件下で孔を得られるトラックドフィルムにエッチング液でエッチングしてトラック密度に相当する孔の密度を有するフィルムを得ることにより製造される。得られるアルカリ金属含有溶液の沸点を約100℃を超えて約150℃までの温度に上昇するのに充分な濃度のアルカリ金属の塩を含むアルカリ性エッチング液が使用される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
この出願は2003年5月29日に出願された先のロシア連邦共和国特許出願第2003115929号であって、現在のロシア連邦共和国特許第2233196号、IPC 7B 01 D 67/00、2004年7月27日の広報No.21に関する。
本発明は流体からの物質の分離に有益な多孔性トラック膜の製造方法に関する。
【0002】
(背景技術)
ポリマーフィルムが重荷電粒子により照射され、高温で6価クロム溶液で化学的にエッチングされる、多孔性トラック膜の製造方法が知られている。ロシア連邦共和国特許第2056151号(IPC B 01 D 67/00、1996年3月20日の広報No.8)を参照のこと。この従来技術の方法は多くの欠点を有する。クロム化合物がポリマーフィルムの表面にしっかりと吸着され、これが洗浄工程中にこれらの化合物を除去することをかなり困難にすることをもたらす。これらの化合物のその後の存在は膜が流体からの物質の分離に使用される場合に濾過された流体の汚損をもたらす。
多孔性トラック膜を製造するための別の従来技術の方法はトラックド(tracked)フルオロポリマーフィルムを密閉容器中で80-110℃の温度で過マンガン酸カリウム及び水酸化ナトリウムを含むエッチング液でエッチングすることを含む(Shirokova V. V.,及びTretyakova S. P.,“フルオロポリマートラック膜の製造のための物理的かつ化学的基礎”, Radiation Measurements, 28巻, 1-6号, 1997年, 791-798頁)。この従来技術の方法の欠点として、(1) 100℃以下で作業することによるエッチング時間のかなりの増加及び得られる不十分な効率並びにエッチング液を循環しないことによる非一様な加熱、及び(2) フィルム表面の異なる位置におけるエッチング速度の得られる変動性が挙げられる。
一層高品質の多孔性トラック膜を製造するための一層有効な方法についての要望がある。
【0003】
(発明の概要)
本発明はポリマーフィルムを重イオンの衝撃に暴露してトラック密度を有するフィルムを得、乱流を維持する条件下で孔を得られるトラックドフィルムにエッチング液でエッチングしてトラック密度に相当する孔の密度を有するフィルムを得ることにより多孔性トラック膜を提供する。
【0004】
(発明の好適な態様の詳細な説明)
以下の定義が本明細書に使用される。
「流体」は空気、水、血液、炭化水素、及びその他の流体(それらはそれらの加工されていない状態で本発明の多孔性トラック膜を使用する系により分離される物質を含む)の範囲であり得るガス又は液体である。
「多孔性膜」は物質を流体から分離又は濾過するための孔を含むポリマー材料の薄い可撓性のシート又は層である。
「多孔性トラック膜」はトラックに沿って特定の直径の孔を生じるために化学的にエッチングされたトラックドフィルムである。
「トラックドフィルム」は孔を生じるためのエッチング部位として利用できるトラックを生じるために重イオンの衝撃に暴露されたポリマーフィルムである。
「物質」は約0.01μm(mu.m)から約1.5μmまでの範囲の適当な孔直径を有する多孔性膜を使用して流体から分離し得る約0.01μmから約1.5μmまでの有限のサイズを有するあらゆるものである。
図1は流体からの物質の分離又は濾過に有益である多孔性トラック膜が製造される、本発明の方法の一実施態様のブロック図を示す。
【0005】
ブロック10は種々の幅、典型的には約600ミリメートル(mm)の幅、及び典型的には約10μmの厚さの連続ロールで通常得られるポリマーフィルムを得る工程を表す。本発明の方法は、フィルムが多孔性にされ得る限り、ポリマーフィルムの特定の型に限定されない。所望の多孔度にエッチングされることがわかったポリマー材料の典型的な例として、ポリアミド、フルオロポリマー、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、酢酸セルロース、ポリスルホン、及びポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、並びにこれらのコポリマーが挙げられる。
本発明の好ましい実施態様において、ポリマーフィルムはフルオロポリマーフィルム、更に好ましくはポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムである。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムが好ましいが、その他のフルオロポリマーフィルムが使用でき、これらとして、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレンとエチレンのコポリマー(ECTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロアルコキシエチレンのコポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとペルフルオロアルコキシエチレンのターポリマー(EPE)、テトラフルオロエチレンとエチレンのコポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、及びこれらのフルオロポリマー樹脂のあらゆる組み合わせのフィルムが挙げられるが、これらに限定されない。
ブロック20はポリマーフィルムが重イオンにより衝撃されて前もって決められたトラック密度を有するフィルムを得る、暴露工程を表す。トラック密度は重イオン、即ち、サイクロトロン又はその他の粒子加速器からの軌道の通路で移動する、高エネルギー荷電粒子により残されたポリマーフィルムの表面の面積の単位当りのトラックの数である。これらの荷電粒子により残されたトラックの夫々が好適なエッチング液により作用され得る。
【0006】
この目的のための好適な重イオンの典型的な例として、以下の元素のイオンが挙げられるが、これらに限定されない:アルゴン、クリプトン、キセノン、ビスマス及びこれらの重イオンの組み合わせ。トラック密度は約107cm-2〜約109cm-2の範囲であることが好ましい。米国特許第5,449,917号及び2004年7月27日に公表されたロシア連邦共和国特許第2233196号を参照のこと。暴露工程の関連する説明が参考として本明細書に含まれる。加えて、E. U. Apel,“重イオンによりポリマー中に生じた選択的エッチング可能なトラックの直径の測定”を参照のこと。その後者の文献はNuclear Tracks, 6巻, 2-3号, 115-118頁(1982年)に見られた。
ブロック30のエッチング工程は本発明の方法の次の工程である。この工程では、トラックドフィルムがエッチング液に入れられ、又は通されてトラック密度に相当する孔でフィルムをエッチングする。エッチング工程はフィルムの表面に荷電粒子により残された実質的にあらゆるトラックのための孔を有するポリマーフィルムをもたらす。得られる多孔性膜では、膜中の孔の孔密度と高エネルギー粒子トラックのトラック密度の間に実質的に1対1の合致がある。約600mmの幅、約10μmの厚さ、及び約1m〜約20mの長さを有し、約107トラック/cm2、例えば、107cm-2のトラック密度を有するフィルムは107cm-2の孔密度をもたらし、孔が約1μmの直径を有する。同様に、約109cm-2のトラック密度を有するフィルムの同じ直径は109cm-2の孔密度をもたらし、孔が約0.01μmの直径を有する。これらの下の範囲と上の範囲の間でトラック密度を変えることにより、孔密度が調節し得る。エッチング時間を変えることにより、孔直径が約0.01μm〜約1.5μmの範囲内で調節し得る。ポリマーフィルムがフルオロポリマー樹脂からつくられる場合、アルカリ性溶液がエッチングに使用されることが好ましい。
好ましいアルカリ性溶液はPVDFフィルムをエッチングするための過マンガン酸カリウムのアルカリ性溶液であることが実験により実証された。PVDFフィルムのエッチングは約100℃〜約150℃の範囲の温度で行なわれることが好ましい。アルカリ性溶液を約100℃よりも高く維持するための一つの方法は、エッチング温度の所望の上昇を得るのに充分な濃度のアルカリ金属の塩、好ましくは塩化ナトリウムを添加することである。
【0007】
エッチング工程における別の変化は乱流を維持する条件下でアルカリ性溶液をPVDFと接触して通すことである。これは約100から約500までの範囲のレイノルズ数でエッチング液をPVDFフィルムの上に循環することにより達成される。このような流量で、フィルムと接触する溶液の温度勾配が実質的にゼロに低下され、エッチングの速度がフィルム表面の全てのトラックにつき実質的に一様である。それ故、これらの流量は完成された多孔性トラック膜における孔直径分布の範囲の狭くなることをもたらす。
エッチング工程は約1時間〜約24時間の範囲の期間にわたって行なわれるが、約3〜9時間の一層短い期間が過マンガン酸カリウムのアルカリ性溶液につき推奨される。正確なエッチング時間は孔の必要とされる直径及びフィルムの厚さに依存する。
一層長いエッチング期間では、二酸化マンガンがエッチング反応の結果として生成され、フィルム表面に付着されることがわかった。二酸化マンガン付着は反応ゾーンへのエッチング液の接近を妨げ、低下された反応速度をもたらす。エッチング液を先に示されたような乱流条件下でエッチング浴中で循環することにより、沈降する反応生成物がフィルム表面から少なくとも部分的に洗い去られ、反応速度が全エッチング工程中にほぼ一定に留まる。
上記されたように温度、流量及び時間のプロセス条件を制御することにより、エッチング工程が実質的な過熱を生じないで行なわれることがわかった。実質的な過熱を生じないエッチングは過熱のないことと定義され、又はエッチング液の過熱が生じるとしても、それは1℃以下である。これらの条件は下記の式で表し得る。
N.ltoreq.Q・Cs・ΔT
式中、Nはプレヒーターの出力(W)であり、
Qはピックリング溶液の流量(m3/s)であり、
Csはその溶液の比熱(J/(m3・K))であり、
ΔTはその溶液の過熱(K)である。
ΔTが1℃又は°K以下に維持される場合、N.ltoreq.Q・Csである。
時間及び温度の間隔は以下の因子により決められる。エッチングは100℃より下の温度で行なわれないことが好ましい。何とならば、エッチング時間がかなり増大し、低いプロセス効率をもたらすからである。他方で、アルカリ塩の添加の提案された方法を使用して120℃より上の温度を得ることは困難である。エッチング時間が約1時間以下である場合、孔が膜に形成されない。エッチング時間が24時間の特定範囲より長い場合、好ましい効果の更なる増大がない。加えて、高多孔性膜は所望の範囲外のエッチング時間に暴露された後にそれらの機械的性質を失うであろう。
これらの最適のプロセス条件を維持することの結果は半透過性膜、即ち、多孔性膜の高品質である。本発明の方法により製造された多孔性トラック膜の特性の一つは得られる多孔性膜が分離系におけるそれらの有益な寿命中、即ち、膜が交換される必要がある前の通常平均約6ヶ月中に同じ最大孔直径を維持することである。
【0008】
図1に示される本方法の実施態様において、トラックドポリマーフィルムがブロック30のエッチング工程の前に有限の長さの幾つかの別々の部分に切断される。トラックドフィルムを取り扱いやすい長さに切断することにより、エッチング工程が図2Aに示されたエッチングユニット200を使用してバッチ型操作で行ない得る。約1m〜約20mの範囲であるトラックドフィルムの長さがカセット210に好ましい。
図2A及び2Bはカセット210及び幻影で示された浴220を含むエッチングユニット200を示す。カセット210はフレーム215、フレーム215上の第一横支持体227に取り付けられた第一回転支持体225、フレーム215上の第二横支持体237に取り付けられた第二回転支持体235、並びに幾つかの等しく隔置された固定上部水平支持体255及び下部水平支持体265を含む。フレーム215は上部部材250(その上に上部水平支持体255が取り付けられている)及び下部部材260(その上に下部水平支持体265が取り付けられている)を有する。
【0009】
エッチング操作のフィルムローディング工程中に、カセット210が浴220から除去される。ポリマートラックドフィルムの第一長さ262の右端が第一クリップ254により固定上部水平支持体255に固定される。自由左端が回転支持体225にあるまで、第一長さ262の自由左端が下部水平支持体265の下、次いで上部水平支持体255の上に供給される。次いで左端が第二クリップ256により回転支持体225に取り付けられてフィルムの第一部分262を支持体に適所にしっかりと固定する。同様に、フィルムの第二長さ267の左端が第三クリップ257により固定上部水平支持体255に固定される。自由端部が回転支持体235にあるまで、第二長さ267の自由右端が下部水平支持体265の下、次いで上部水平支持体255の上に供給される。次いで右端が第四クリップ258により回転支持体235に取り付けられてフィルムの第二部分267を適所にしっかりと固定する。全てのクリップがチタンからつくられることが好ましい。
エッチング工程におけるこの時点で、回転支持体225及び235が夫々反時計回り及び時計回りで回転されて第一長さ262及び第二長さ267を充分な程度の予備延伸又は制御延伸下に置く。延伸はフィルム長さが100℃以上のエッチング液温度でエッチング浴中に入れられる場合にそれらが膨張する傾向を相殺する。フィルムのわずかに二つの長さが支持体上の位置に固定されて示されるが、四つまでの長さが一つのカセットにより容易に収容され得る。
エッチング操作中に、エッチング液が浴220に注入され、カセット210が浴220中に下げられる。カセット210はエッチング反応を増大するために上下される。
【実施例】
【0010】
以下の実施例はエッチングユニット200を使用する方法を示す。以下の実施例の夫々において、20質量%のKMnO4、13質量%のNaOH、及び沸騰温度で完全飽和の濃度を得るための200g/lからの濃度のアルカリ金属の塩を含む、溶液をエッチング浴に注入した。ポンプ及び電気ヒーターにスイッチを入れ、エッチング液が作業温度にされる際にそれを循環した。その溶液が必要な温度に達した時、重荷電粒子の衝撃に暴露されたフルオロポリマーフィルムを含むカセット210を、浴220に浸漬し、3〜9時間の範囲の期間にわたって化学エッチングにかけた。トラックドフィルムの全表面の加熱はエッチング浴内のエッチング液の連続循環の結果として一様であった。先に示されたように、正確な温度及びエッチングの時間はフィルムの異なる型につき変化する。
【0011】
(例1)
厚さ13μmの厚さを有し、最初に加速Krイオンの衝撃に暴露されて1方形(quadrature)108cm-2のトラック密度を有するポリフッ化ビニリデンフィルムを110℃で5時間にわたって20質量%のKMnO4、13質量%のNaOH及び20質量%のNaClを含むエッチング液中でエッチングした。エッチング液はこの実施例につきNRe=200を得るための1m3/hの流量でエッチング浴内を循環した。この実施例で製造された多孔性トラック膜は0.3μmの有効孔直径を有していた。
【0012】
(例2)
比較のために、同様の例を行ない、この場合、同じトラックドPVDFフィルムを100℃で6時間にわたって20質量%のKMnO4及び13質量%のNaOHを含む浴中でエッチングして0.17μmの有効孔直径を有する多孔性トラック膜を製造した。この直径は100℃より上の温度で製造された多孔性トラック膜と較べて1.8倍小さかった。
【0013】
(例3)
厚さ25μmの厚さを有し、最初に加速Krイオンの衝撃に暴露されて5方形107cm-2のトラック密度を有する別のPVDFフィルムを105℃で8時間にわたって20質量%のKMnO4、13質量%のNaOH及び20質量%のNaClを含むエッチング液中でエッチングした。エッチング液は実施例1と同じNReを得るために同じ流量でエッチング浴内を循環した。この実施例で製造された多孔性トラック膜は0.4μmの有効孔直径を有していた。
【0014】
(例4)
比較のために、同様の例を行ない、この場合、同じトラックドPVDFフィルムを100℃で8時間にわたって20質量%のKMnO4及び13質量%のNaOHを含む浴中でエッチングして0.1μmの有効孔直径を有する多孔性トラック膜を製造した。この直径は100℃より上の温度で製造された多孔性トラック膜と較べて4倍小さかった。
それ故、その方法の温度を100℃より上に厳密に制御することにより、所定の最大孔直径を生じるための時間はその温度が100℃に維持される場合に必要とされる時間の1/4であることがわかった。
図3はブロック310により表されるトラックドポリマーフィルムの連続ロールが上記のような重イオンの衝撃への暴露のためにブロック320に通される多孔性トラック膜を製造する別の実施態様を示す。ブロック320から、トラックドフィルムの連続ロールをブロック330に通して上記のような好適なエッチング液に暴露する。しかしながら、連続ロールの場合、連続エッチングユニット(示されていない)は新鮮なエッチング液をエッチングユニットのトラックドフィルム入口端部で導入し、使用済みのエッチング液をトラックドフィルム出口端部で除去することを含むことが意図されている。
本発明の種々の実施態様により製造された多孔性トラック膜についての適用として、(a) 工業イン-フィード(in-feed)及び廃水の処理、再生、循環及び再使用、(b) 海水の脱塩、(c) 多種の液体工業薬品についての液体分離、並びに(d) 原油、天然ガス、凝縮物及び精製石油製品からの硫黄及びメルカプタンの除去のための膜をベースとする分離技術が挙げられる。
本発明の精神及び範囲から逸脱しないで、当業者は種々のその他の適用に適応するために本発明の種々の実施態様の夫々につき種々の変化及び改良をすることができる。このようなものとして、これらの変化及び改良は適切に、同等に、特許請求の範囲の均等物の全範囲内にあることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】多孔性トラック膜を製造するための本発明の方法の一実施態様の簡素化ブロック流れ図である。
【図2−A】図1に示された方法のポリマーフィルムの切断ストリップのエッチング工程に使用される典型的なカセット及び浴の左斜視図である。
【図2−B】図2Aに示されたカセットの側断面図である。
【図3】多孔性トラック膜を製造するための本発明の方法の別の実施態様の簡素化ブロック流れ図である。
【符号の説明】
【0016】
200−エッチングユニット
210−カセット
215−フレーム
220−浴
225−第一回転支持体
227−第一横支持体
235−第二回転支持体
237−第二横支持体
250−上部部材
254−第一クリップ
255−上部水平支持体
256−第二クリップ
257−第三クリップ
258−第四クリップ
260−下部部材
262−第一長さ
265−下部水平支持体
267―第二長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体からの物質の分離に有益な多孔性トラック膜の製造方法であって、a)ポリマーフィルムを重イオンの衝撃に暴露してトラック密度を有するフィルムを得る工程、及びb)乱流を維持する条件下で孔を得られるトラックドフィルムにエッチング液でエッチングしてトラック密度に相当する孔の密度を有するフィルムを得る工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記重イオンがクリプトン、アルゴン、キセノン、ビスマス、及びこれらの組み合わせからなるイオンの群から選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記トラック密度が約107cm-2〜約109cm-2の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記孔の直径が約0.01μm〜約1μmの範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記エッチング液がアルカリ性溶液である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーフィルムがフルオロポリマーフィルムである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記フルオロポリマーフィルムがポリフッ化ビニリデンである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記アルカリ性溶液が過マンガン酸カリウムのアルカリ性溶液である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記アルカリ性溶液がまた得られるアルカリ金属含有溶液の沸点を約100℃〜約150℃の範囲の温度に上昇するのに充分な濃度のアルカリ金属の塩を含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記エッチングを100℃より高い温度で行なう、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記エッチング液を約100から約500までのレイノルズ数を生じる流量で前記トラックドフィルムと接触させて通す、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記エッチングを約1時間〜約24時間の範囲の期間にわたって行なう、請求項11記載の方法。
【請求項13】
少なくとも温度、流量及び時間を調節し、その結果、エッチング工程が10℃以下のエッチング液の過熱で行なわれる、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記アルカリ金属塩が塩化ナトリウムである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
流体からの物質の分離に有益な多孔性トラック膜の製造方法であって、a)フルオロポリマーフィルムを重イオンの衝撃に暴露してトラック密度を有するフィルムを得る工程、b)得られるトラックドフィルムを複数の別々の部分に切断する工程、及びc)乱流を維持する条件下でトラックドフィルムの部分をエッチング液でエッチングしてトラック密度に相当する孔の密度を有するフィルムの部分を得る工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記重イオンがクリプトン、アルゴン、キセノン、ビスマス、及びこれらの組み合わせからなるイオンの群から選ばれる、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記トラック密度が約107cm-2〜約109cm-2の範囲である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記孔の直径が約0.01μm〜約1μmの範囲である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記エッチング液がアルカリ性溶液である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記フルオロポリマーフィルムがポリフッ化ビニリデンである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記アルカリ性溶液が過マンガン酸カリウムのアルカリ性溶液である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記アルカリ性溶液が得られるアルカリ金属含有溶液の沸点を約100℃〜約150℃の範囲の温度に上昇するのに充分な濃度のアルカリ金属の塩を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記エッチングを100℃より高い温度で行なう、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記エッチング液を約100から約500までのレイノルズ数を生じる流量で前記トラックドフィルムと接触させて通す、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記エッチングを約1時間〜約24時間の範囲の期間にわたって行なう、請求項24記載の方法。
【請求項26】
温度、流量及び時間の前記条件を調節し、その結果、エッチング工程が1℃以下のエッチング液の過熱で行なわれる、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記アルカリ金属塩が塩化ナトリウムである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
切断トラックドフィルムの部分をカセット内に入れてフィルムの一端を複数の固定支持体の一つに固定し、フィルムの自由端部を固定支持体の残りのまわりに延長し、自由端部を回転支持体に固定し、回転支持体を回転してエッチングの前にフィルムの予備延伸を得ることにより工程(c) を行なう、請求項15記載の方法。
【請求項29】
カセットをエッチング液に入れる、請求項28記載の方法。
【請求項30】
流体からの物質の分離に有益な多孔性トラック膜の製造方法であって、a)ポリマーフィルムの連続ロールを重イオンの衝撃に暴露してトラック密度を有するフィルムを得る工程、及びb)乱流を維持する条件下でロールがエッチング液中を通る際にトラックドフィルムの連続ロールをエッチングしてトラック密度に相当する孔の密度を有するフィルムの部分を得る工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
前記重イオンがクリプトン、アルゴン、キセノン、ビスマス、及びこれらの組み合わせからなるイオンの群から選ばれる、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記トラック密度が約107cm-2〜約109cm-2の範囲である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記孔の直径が約0.01μm〜約1μmの範囲である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記エッチング液がアルカリ性溶液である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記フルオロポリマーフィルムがポリフッ化ビニリデンである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記アルカリ性溶液が過マンガン酸カリウムのアルカリ性溶液である、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記アルカリ性溶液が得られるアルカリ金属含有溶液の沸点を約100℃〜約150℃の範囲の温度に上昇するのに充分な濃度のアルカリ金属の塩を含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記エッチングを100℃より高い温度で行なう、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記エッチング液を約100から約500までのレイノルズ数を生じる流量で前記トラックドフィルムと接触させて通す、請求項23記載の方法。
【請求項40】
前記エッチングを約1時間〜約24時間の範囲の期間にわたって行なう、請求項24記載の方法。
【請求項41】
温度、流量及び時間の前記条件を調節し、その結果、エッチング工程が1℃以下のエッチング液の過熱で行なわれる、請求項25記載の方法。
【請求項42】
前記アルカリ金属塩が塩化ナトリウムである、請求項26記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−502473(P2009−502473A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523845(P2008−523845)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【国際出願番号】PCT/SG2006/000213
【国際公開番号】WO2007/013861
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(507210199)ドレセル プライヴェイト リミテッド (2)
【Fターム(参考)】