説明

多孔性熱バリアを有した記録デバイス

本発明は、記録媒体に関するものであって、−材料からなる基板であるとともに、複数のパッドを備えているような、基板(21)と、−パッドの頂部上に成膜された記録材料層(23)と、−パッドおよび/または基板の少なくとも一部に配置された熱絶縁領域(22a,22b,22c)と、を具備している。本発明は、また、このような記録媒体の製造方法に関するものである。本発明は、さらに、このような記録媒体を具備した記録デバイスに関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録デバイスまたは記録媒体という分野に関するものであり、また、その製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
局所的プローブを有した顕微鏡技術に関する最近の開発により、例えば、走査型トンネル型顕微鏡すなわちSTM(特許文献1)や、原子力顕微鏡すなわちAFM(特許文献2)や、走査型近視界光学顕微鏡(SNOM)、といったような最近の開発により、ナノメートルという解像度での表面観察が可能となった。これにより、STMの場合には、原子の移動を観察することができる(非特許文献1)。
【0003】
これら技術を使用して、超高密度メモリに対して高解像度を適用することが提案されている。
【0004】
目的は、尖端を、書込媒体に対して、非常に近くにまで接近させることである。典型的には、数ナノメートル以内にまで、接近させることである。本明細書においては、尖端という用語およびプローブという用語は、一般的な意味合いで使用され、これらの双方は、修正型AFMチップや、未修正型AFMチップや、STMチップや、他の変形例、に対応しており、延伸光ファイバにさえ対応している。
【0005】
原理は、プローブを使用することによって、材料に対して局所的な変更を行うことであり、これにより、情報を記録することである。
【0006】
最も広く行われている技術においては、局所的に材料を加熱することによって、材料の特性を変更している。
【0007】
例えば、特性は、加熱尖端によってポリマー層の凹所に関してといったように機械的なものとすることができ(熱的機械的記録。非特許文献2に記載されている。)、また、結晶状態とアモルファス状態との間にわたっての相変化が起こるような例えばGeSbTe といったような相変化材料の場合のように構造的なものとすることができる。
【0008】
特性は、印加された磁界よりも小さなものへと書込磁界の値を低減させるように局所的な加熱を行う場合には、磁気的なものとすることができる。
【0009】
局所的な加熱による書込というこの原理は、記録層を支持している基板に関しての横方向への熱損失および深さ方向への熱損失という問題点に直面している。横方向への損失は、解像度の損失をもたらす。なぜなら、選択された領域の外側へと熱が拡散することによって、書込ポイントが広がってしまうからである。横方向への損失と深さ方向への損失との双方は、エネルギー損失をもたらす。このエネルギー損失は、熱源によって、この場合にはプローブによって、補償されなければならない。
【0010】
この問題点は、情報が記録される層が良好な熱伝導体である場合には、例えば、磁気記録層が金属とされた態様で熱的磁気記録を行う場合には、特に重大である。
【0011】
エネルギー損失は、記録層内の書込ポイントを所望温度へと到達させるようにして、プローブによって補償することができる。
【0012】
しかしながら、横方向の損失と深さ方向の損失との組合せ効果のために、データの記録のために必要な温度にまで媒体の温度を上昇させることができない。
【0013】
図1は、5μsにわたって所定パワー密度でもって加熱されたパッドに関しての、時間の関数としての、温度上昇の一例を示している。この計算は、13Wm−1−1(曲線01)、1.48Wm−1−1(シリカ、曲線02)、および、0.1Wm−1−1(例えば、プラスチックまたはポリマー、曲線03)という熱伝導度を有した3つの材料に関して、有限要素法を使用して、行われた。
【0014】
たとえプローブが媒体へと十分なパワーを伝達し得る場合であっても、熱損失は、より大きなエネルギー消費をもたらすこととなる。エネルギー消費は、特に携帯機器で使用されることとなる尖端の下方のメモリの場合には、非常に重要なデータである。
【0015】
これら問題点を解決を目指した1つのアプローチにおいては、媒体内に、横方向のおよび深さ方向の熱バリアを挿入することである。
【0016】
図2は、そのような態様の一例を示している。この例は、基板11と、記録材料12と、横方向のバリアを形成する熱絶縁材料13と、この材料13とは異なる材料のものとし得るとともに基板に向けての熱絶縁をもたらす熱絶縁材料14と、を備えている。
【0017】
このような構造の製造は、特に、記録材料12とは異なる熱絶縁材料からなる横方向バリア13の製造は、技術的に困難なものである。
【0018】
この問題点は、熱的に補助された記録の場合に関連する。しかしながら、この問題点は、また、書込/読取現象(例えば、電流の循環による)が温度上昇を誘起して正確な動作を困難なものとするような磁気的記録または電気的記録の場合にも、関連する。
【0019】
したがって、熱的補助手段または他の手段を備えた新規な記録デバイスまたは支持体を提供するという課題が発生する。
【0020】
そのような支持体は、好ましくは、製造が容易なものとされ、また、大部分の記録材料(磁性材料、相変化材料、ポリマー、等)に対して適合性を有したものとされる。
【特許文献1】米国特許第4,343,993号明細書
【特許文献2】米国特許第4,724,318号明細書
【非特許文献1】Nature 344,524-526 (1990)
【非特許文献2】IBM Journal of Research and Development, May 2000, IBM, USA, Vol. 44 num. 3, 323-340
【非特許文献3】Appl. Phys. Lett. 75 (1999) 2473-2475
【非特許文献4】Science (1996) 85-87
【非特許文献5】J. Phys. D, 30 (1997) 2911-2916
【非特許文献6】Semiconductors, 31, (1997) 534-537
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、まず最初に、記録媒体に関するものであって、
−材料からなる基板であるとともに、複数のパッドを備えているような、基板と、
−パッドの頂部上に成膜された記録材料層と、
−パッドおよび/または基板の少なくとも一部に配置された熱絶縁領域と、
を具備している。
【0022】
パッドは、基板上へと移送された層に属することができる。パッドと基板とは、単一の材料から形成することもできる。
【0023】
材料は、半導体材料とすることができ、例えば、シリコン、あるいは、ゲルマニウム(Ge)、あるいは、ゲルマニウムシリサイド(SiGe)、あるいは、シリコンカーバイド(SiC)、あるいは、ガリウムヒ素(GaAs)、あるいは、インジウムリン(InP)、あるいは、ガリウムリン(GaP)、とすることができる。
【0024】
熱絶縁領域は、半導体材料の多孔性領域とすることができる。
【0025】
よって、熱絶縁領域は、基板に関して横方向に、および/または、基板に対向して、位置することができる。
【0026】
パッドどうしの間のスペースには、熱絶縁材料を配置することができる。
【0027】
記録材料は、例えば、磁性材料から、あるいは、相変化材料から、あるいは、ポリマーから、形成することができる。
【0028】
熱絶縁領域は、20Wm−1−1〜0.01Wm−1−1という熱伝導度を有することができる。
【0029】
本発明によるデバイスまたは支持体(あるいは、媒体)は、熱的に補助された記録技術の大部分のものと一緒に使用することができ、例えば、高温尖端と一緒に、近距離音場または遠距離音場における光学技術と一緒に、使用することができる。
【0030】
したがって、本発明は、また、記録デバイスに関するものであって、上述したような記録媒体(あるいは、記録支持体)と、光学的加熱手段と、を具備している。
【0031】
また、本発明は、記録デバイスに関するものであって、上述したような記録媒体(あるいは、記録支持体)と、加熱尖端と、を具備している。
【0032】
加熱尖端は、例えば、コンタクトの有無にかかわらず、AFMタイプのものまたはSTMタイプのものとすることができる。
【0033】
本発明によるデバイスまたは支持体は、また、標準的な技術を使用して容易に製造することができ、シリコンタイプの技術に対して、特に、CMOS技術に対して、適合している。
【0034】
本発明は、また、記録媒体を形成するための方法に関するものであって、この方法においては、
−材料からなる基板上に、複数のパッドを形成し、
−パッドおよび/または基板内に、熱絶縁領域を形成し、
−パッド上に、記録材料層を形成する。
【0035】
パッドは、基板内に形成することができる。パッドは、また、基板上に追加された層内に形成することができる。
【0036】
材料は、半導体材料とすることができ、例えば、シリコン(Si)、あるいは、ゲルマニウム(Ge)、あるいは、ゲルマニウムシリサイド(SiGe)、あるいは、シリコンカーバイド(SiC)、あるいは、ガリウムヒ素(GaAs)、あるいは、インジウムリン(InP)、あるいは、ガリウムリン(GaP)、とすることができる。
【0037】
熱絶縁領域は、半導体材料を多孔性のものとすることにより、形成することができる。例えば、陽極酸化によって、あるいは、酸性槽内への含浸によって、形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明によるデバイスまたは支持体または媒体につき、図3A〜図3Cを参照して説明する。
【0039】
この構造は、シリコン製基板21と、エッチング形成された複数のパッド27と、を備えている。この場合、構造は、単一部材(あるいは、一体部材)として形成されている。
【0040】
例えば、パッドは、90nmという直径を有しており、180nmというピッチでもって配置されている。
【0041】
標準的な密度(テラビット/平方インチ)を得るために、パッドは、20nm〜50nmというピッチでもって、例えば25nmというピッチでもって、配置することができる(例えば、パッドの直径が20nmであり、間隔が5nm)。
【0042】
高さ方向においては、2(すなわち、h/φ=2)という形状因子が、好ましい。これにより、パッドどうしの間において、パッドの頂部とパッドの底との間の距離を増大させることができる。
【0043】
この場合、シリコンの一部は、後述するように例えば電解槽を使用した技術によって、多孔性のものとして形成される。ここで、以下のいずれかの構成とすることができる。
−パッドの高さ全体および基板の一部(領域22a、図3A)を多孔性のものとする構成。
−基板の一部(領域22b、図3B)だけを多孔性のものとし、かつ、シリコンパッドを非多孔性の状態に維持する、という構成。
−パッドの一部(領域22c、図3C)だけを多孔性のものとする構成。有利には、パッドの上部だけを多孔性のものとする構成。
【0044】
記録材料23は、このようにして構成された構造上に配置される。
【0045】
パッドどうしの間のスペース24内におけるエアは、良好な熱絶縁特性を有した材料によって、置換することができる。
【0046】
エアを材料によって置換した場合には、熱絶縁性が低減することとなる。しかしながら、デバイスを平坦に維持し得るという点においては、あるいは、機械的強化を行い得るという点においては、スペース24を、部分的にまたは完全に充填することは、有効なものとなり得る。エアを置換するための材料としては、例えば、以下のものを使用することができる。
−スピンコーティングによって広げられる樹脂(ポリマー)、あるいは、
−化学的にあるいは中実層として成膜された酸化物(SiO)。
【0047】
本発明について、材料の一例としてシリコンを例示することにより、説明する。
【0048】
シリコンに代えて、例えば、ゲルマニウム(Ge)、あるいは、ゲルマニウムシリサイド(SiGe)、あるいは、シリコンカーバイド(SiC)、あるいは、ガリウムヒ素(GaAs)、あるいは、インジウムリン(InP)、あるいは、ガリウム(GaP)、といったような他の半導体材料を、多孔性のものとして形成して(同様に、電解槽によって)、使用することができる。さらに、これら多孔性材料は、非多孔性の半導体と比較して、より良好な電気絶縁性を有している。
【0049】
シリコンは、マイクロエレクトロニクス技術に適合しており、特に、CMOS技術に適合している。
【0050】
したがって、多孔性シリコンによって電気バリアを形成することができる。特に、その理由は、多孔性シリコンが、中実シリコンと比較した場合、ずっと容易に酸化することができるからである。これにより、電気抵抗をさらに増大させることができる。
【0051】
これは、電流の循環によって書込を行うシステムにおいて、特に有効である。
【0052】
最後に、必ずしも半導体に限定することなく、他の材料を使用することもできる。
【0053】
図3A’,3B’,3C’(あるいは、それぞれ、図3A−1,図3B−1,図3C−1とも表記する)は、他の実施形態を示している。これら実施形態においては、複数のパッドが既に形成されているシリコン層52が、支持体50上へと配置されるあるいは移送される。この層52は、図3A〜図3Cに関連して上述したようにして修正することができ(例えば、多孔性のものとして形成することができる)、基板21と同じ材料から形成することができる。
【0054】
以下においては、本発明による媒体の製造方法につき、一例としてシリコンを例示することによって、説明する。しかしながら、本発明による製造方法は、他の材料に対して適用することもできる。
【0055】
まず最初に、構造が形成された媒体を、シリコンから形成する。その際、例えば、その後の工程において基板に対して要求される熱絶縁の程度に応じたものとしてドーピングの程度を選択する。
【0056】
任意の手法を使用することによって、構造が形成された基板を、形成することができる。例えば、標準的なシリコン技術を使用することができる。例示するならば、紫外線リソグラフィーあるいは超紫外線リソグラフィーあるいは電子線リソグラフィーを行い、その後、シリコンをエッチングする。エッチングに際しては、例えば、異方性反応性陰イオンエッチング(非特許文献3)を行う。あるいは、リフトオフプロセス(例えば、非特許文献4に記載されている)を使用してまたは使用せずに、ナノプリント技術を行い、その後、上述と同様にして、シリコンのエッチングを行う。
【0057】
その後、シリコン媒体は、フッ酸(HF)媒体内において陽極酸化を行うことにより、多孔性にされる。シリコン基板は、白金対向電極(カソード)が付設されかつHF/エタノール溶液を含有している電解槽のアノードを構成する。
【0058】
シリコン基板上の電気コンタクトは、予め成膜されたアルミニウム層によって、背面上において、得られる。
【0059】
移送されたあるいは配置された層の場合には、支持体50は、半導体または導体からなるものが選択される。必要であれば、支持体の背面上には、追加的な導電層を成膜することができる。
【0060】
そのようなコンタクトは、また、シリコンに関して化学的に不活性な導電性溶液を含有している第2電解槽によって、形成することもできる。このコンタクトは、背面照射が必要とされた際に、使用されることとなる。
【0061】
図4Aおよび図4Bは、電流を制御するタイプの(図4A)、また、電圧を制御するタイプの(図4B)、電解槽アセンブリを示している。
【0062】
図4Aは、
−電解槽のチャンバ31と、
−酸性溶液32と、
−白金カソード33と、
−電流源34と、
−アルミニウム層39に対しての電気接続配線35と、
−シリコンサンプル36と、
−電解液32から基板36の背面を絶縁するためのシール37と、
を示している。
【0063】
図4Bの場合には、電圧源40と、電極41と、電流計42と、が追加されている。
【0064】
最終ステップにおいては、記録材料23(図3A〜図3C、および、図3A’〜図3C’)を成膜する。記録材料は、磁性材料や、相変化材料や、ポリマー材料や、他のもの、とすることができる。記録材料は、材料の性質や要求された成膜条件に応じて、例えば蒸着やDCスパッタリングやRFスパッタリング等といったような、様々な技術を使用して、パッドの頂部上に成膜することができる。
【0065】
要求されたパッドのサイズに応じて、また、多孔度合いや孔の位置に応じて、以下のものを調節することができる。
−材料のドーピング(タイプ、および、ドーピング度合い)。
−電圧または電流の大きさおよびモード(DCあるいはパルス)。
−電解溶液内のHF濃度。
−サンプルに対する照明あるいは非照射。
【0066】
例えば、nタイプの材料を照射することにより、材料を多孔性のものとすることができる。よって、図3Bの場合には、パッドが既に形成されたnタイプの基板の背面が、照射される。
【0067】
図3Cおよび図3C’の場合に関しては、基板は、照射されない。しかしながら、電解条件を選択することによって、活性化学種がパッドどうしの間に存在しないものとされる。その後、パッドの頂部だけが、電解質と反応し、多孔性のものとされる。
【0068】
本発明による主要な利点および有効性は、特に以下のようなものである。
【0069】
まず最初に、構造が、シリコンプロセスおよびCMOSプロセスに対して、技術的に適合している。
【0070】
構造は、さらに、例えば磁性材料や相変化材料やポリマー材料といったような、大部分の熱的に補助される記録材料に対して適合している。
【0071】
パッドを備えた構造により、
−尖端の下方での記録技術に対して適合することができ、
−横方向の熱絶縁を非常に良好に得ることができ、
−ビットどうしの間の物理的な分離を行うことができて、信号雑音比を改良することができ、
−熱的磁気記録の場合には、非常に良好な超常磁性限界を得ることができる(考慮対象をなす容積は、もはや多結晶媒体グレインの容積ではなく、パッドの頂部上に成膜された層の容積である)。
【0072】
多孔性シリコンの使用により、以下のことを行うことができる。
−非常に小さな熱伝導度の値を得ることができ、したがって、非常に大きな熱絶縁の値を得ることができる。89%というナノ多孔性シリコン多孔度に関しては、λth=0.03Wm−1−1という値が、非特許文献5において報告されており、80%というナノ多孔性シリコン空隙度に関しては、λth=0.025Wm−1−1という値が、非特許文献6において報告されている。
−所望の熱絶縁を選択することができる。熱絶縁の程度は、多孔度の値に依存する。多孔度の値は、単に、電解条件によって、および、シリコンの初期的な選択によって、決定することができる。熱伝導度の値は、想定されるすべての材料に関して、約10Wm−1−1以上から、上述した値にまでにわたって、変更することができる。例えば、20Wm−1−1から、0.01Wm−1−1までにわたって、変更することができる。
−記録材料と多孔性シリコンとの間の境界熱抵抗が大きいことの利益を得ることができる。多孔性シリコンは、電気絶縁体であり、熱伝導度は、フォノンだけによって得ることができる。記録材料と多孔性構造との間の結晶構成の相違が、フォノンの通過を妨害し、内部熱抵抗となる。
−大きな電気抵抗を得ることができる。
【0073】
最後に、表面状態は、薄い層の成膜に対して適合したものである。
【0074】
したがって、本発明は、熱的に補助された記録デバイスまたは支持体に関するものである。
【0075】
このようなデバイスまたは支持体は、薄い層として成膜し得るような大部分の記録材料と一緒に使用し得るとともに、大部分の近距離音場と一緒に使用することができ、さらに、従来的な読取/書込技術(光学的、ハードディスク、等)と一緒に使用することができる。
【0076】
よって、例えば、本発明は、様々な記録材料23と一緒に使用することができる。記録材料は、例えば、以下のようなものとすることができる。
−平行な磁化または垂直な磁化を有した磁性材料。この磁性材料は、交換によって、反強磁性材料に対して、あるいは、大きな保持力を有した材料に対して、結合することができる。これにより、熱的な安定性を増大させることができる。
−あるいは、相変化材料。
−あるいは、例えば強誘電性ポリマーといったような、ポリマー。
【0077】
本発明は、また、様々な加熱手段と一緒に使用することができる。加熱手段は、例えば、以下のようなものとすることができる。
−光学タイプの手段。例えば、光ファイバ。
−あるいは、加熱尖端。例えば、STMチップタイプの加熱尖端、あるいは、AFMタイプの加熱尖端。コンタクトを有していてもあるいは有していなくても良い。
【0078】
尖端またはファイバは、基板の上方に配置され、電源に対してあるいは光源に対して接続され、さらに、基板の上方において尖端またはファイバを移動させるための駆動手段に対して連結される。
【0079】
さらに、酸性槽内への含浸によって、多孔度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】互いに異なる熱伝導度を有した3つの材料に関し、温度上昇に関する計算結果を示すグラフである。
【図2】公知の記録構造を示す図である。
【図3A】本発明の様々な実施形態を示す図である。
【図3B】本発明の様々な実施形態を示す図である。
【図3C】本発明の様々な実施形態を示す図である。
【図3A−1】本発明の様々な実施形態を示す図である。
【図3B−1】本発明の様々な実施形態を示す図である。
【図3C−1】本発明の様々な実施形態を示す図である。
【図4A】本発明に基づく方法を実施するための装置を概略的に示す図である。
【図4B】本発明に基づく方法を実施するための他の装置を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0081】
21 基板
22a 熱絶縁領域
22b 熱絶縁領域
22c 熱絶縁領域
23 記録材料層
50 媒体
52 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体であって、
−材料からなる基板であるとともに、複数のパッドを備えているような、基板(21,52)と、
−前記パッドの頂部上に成膜された記録材料層(23)と、
−前記パッドおよび/または前記基板の少なくとも一部に配置された熱絶縁領域(22a,22b,22c)と、
を具備していることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
請求項1記載の記録媒体において、
前記パッドを備えている前記基板(52)が、媒体(50)上へと移送されたものとされていることを特徴とする記録媒体。
【請求項3】
請求項1記載の記録媒体において、
前記複数のパッドおよび前記基板(21)が、単一の材料から形成されていることを特徴とする記録媒体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録媒体において、
前記材料が、半導体材料とされていることを特徴とする記録媒体。
【請求項5】
請求項4記載の記録媒体において、
前記半導体材料が、シリコン、あるいは、ゲルマニウム(Ge)、あるいは、ゲルマニウムシリサイド(SiGe)、あるいは、シリコンカーバイド(SiC)、あるいは、ガリウムヒ素(GaAs)、あるいは、インジウムリン(InP)、あるいは、ガリウムリン(GaP)、とされていることを特徴とする記録媒体。
【請求項6】
請求項4または5記載の記録媒体において、
前記熱絶縁領域が、前記半導体材料の多孔性領域とされていることを特徴とする記録媒体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の記録媒体において、
前記パッドどうしの間のスペースに、熱絶縁材料が配置されていることを特徴とする記録媒体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の記録媒体において、
前記記録材料が、磁性材料から、あるいは、相変化材料から、あるいは、ポリマーから、形成されていることを特徴とする記録媒体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の記録媒体において、
前記熱絶縁領域(22a,22b,22c)が、20Wm−1−1〜0.01Wm−1−1という熱伝導度を有していることを特徴とする記録媒体。
【請求項10】
記録デバイスであって、
請求項1〜9のいずれか1項に記載された記録媒体と、
光学的加熱手段と、
を具備していることを特徴とするデバイス。
【請求項11】
記録デバイスであって、
請求項1〜9のいずれか1項に記載された記録媒体と、
加熱尖端と、
を具備していることを特徴とするデバイス。
【請求項12】
請求項11記載のデバイスにおいて、
前記加熱尖端が、コンタクトの有無にかかわらず、AFMタイプのものまたはSTMタイプのものとされていることを特徴とするデバイス。
【請求項13】
記録媒体を形成するための方法であって、
−材料からなる基板(21)上に、複数のパッドを形成し、
−前記パッドおよび/または前記基板内に、熱絶縁領域(22a,22b,22c)を形成し、
−前記パッド上に、記録材料層(23)を形成する、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、
前記パッドを、前記基板内に形成することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13記載の方法において、
前記複数のパッドを、前記基板上に追加された層内に形成することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法において、
前記基板を、半導体材料から形成することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、
前記半導体材料を、シリコン(Si)、あるいは、ゲルマニウム(Ge)、あるいは、ゲルマニウムシリサイド(SiGe)、あるいは、シリコンカーバイド(SiC)、あるいは、ガリウムヒ素(GaAs)、あるいは、インジウムリン(InP)、あるいは、ガリウムリン(GaP)、とすることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16または17記載の方法において、
前記熱絶縁領域を、前記半導体材料を多孔性のものとすることにより、形成することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、
前記半導体材料を多孔性のものとすることを、陽極酸化によって、あるいは、酸性槽内への含浸によって、行うことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3A−1】
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【図3B】
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【図3B−1】
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【図3C】
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【図3C−1】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2008−501206(P2008−501206A)
【公表日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514038(P2007−514038)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050355
【国際公開番号】WO2005/119672
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【出願人】(500531141)セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク (84)