説明

多孔性生体材料

【解決手段】相互連結微小孔のネットワークを備え、微小気孔率が23容量%以上であり、合成骨誘導多孔性生体材料の表面自由エネルギーが19mJ/m以上であり、平均相互連結直径及び表面自由エネルギーが、微小孔から得られる浸透性が0.206nm以上であり、且つ水中での毛細管圧力差が3.7kPa以上となるように選択される、合成骨誘導多孔性生体材料が提供される。生体材料は、ヒドロキシアパタイト及びケイ素を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨誘導生体材料に関する。より詳細には、本発明は、材料の骨誘導特性を促進する画定された細孔構造及び特定の物理特性を有する生体材料に関する。
【背景技術】
【0002】
骨置換材料が患者に植え込まれると、生きている骨の形成が、骨の表面で誘導されることがある。これは、骨伝導と呼ばれている。加えて、生きている骨は、特定の状況では、材料自体の内部で形成され、骨置換材料の構造に浸透することがある。これは、骨誘導と呼ばれる。
【0003】
骨誘導が起こると、骨は、非骨(すなわち、異所)部位に形成される。骨誘導は、時間が経つと、材料に浸透する骨の成長により、例えば、骨異常部位における既存の骨に骨置換材料のより弾性的な一体化が起こりうるため、有益であると考えられている。しかし、多くの骨伝導生体材料は、骨誘導性を有しない。
【0004】
骨誘導は、骨誘導材料によって促進及び/又は加速される。言い換えれば、骨誘導材料は、非骨組織中での骨成長及び骨形成を誘導することができる。患者に植え込まれると、骨誘導材料は、骨成長を促進及び加速するため、相当な治療価値がある。例えば、骨生物学的に障害がある患者では、骨修復の促進及び加速により、骨折修復時間の短縮及び偽関節又は偽関節症の発症率の低下がもたらされうる。
【0005】
これまで、生体材料中で骨誘導を達成する最も評判のよい方法は、治療形態の中に強力なサイトカインタンパク質を含めることであった。これらのタンパク質のうちで最もよく知られ最も広く使用されているものは、骨形成タンパク質(BMP)、特に、BMP−2及びBMP−7である。これらは、組換えヒトタンパク質(例えば、現在市販されている「インヒューズ(InFuse)」(登録商標)及び「OP−1」骨置換材料中に存在する)として、又は脱塩骨基質(DBM)と一般に呼ばれる高度に処理されたヒト死体の骨に由来するゲル、粉末、若しくは繊維として提供されてきた。
【0006】
これらのタンパク質を使用する不都合は周知である。骨形成タンパク質製品は、臨床前研究において急速な骨成長を促進する能力の点で確かに有効であるが、組換えヒト骨形成タンパク質製品の使用は、制御不能な骨吸収、制御がきかない骨形成、及び金銭的な面から見て極めて高い治療単位当たりのコストなどの重大なマイナスの副作用も起こりうる。多数の臨床有害事象が、これらの効力の高い療法を用いて記録されており、一部のケースでは、患者が大きな傷害を受けている。これらの有害事象の発生の背後にある機序は、現在は、十分には理解されていない。
【0007】
加えて、脱塩骨基質に由来する製品の性能は、非常にばらつきがあり、供与者に大きく依存することが知られている。これに対する1つの解決策は、様々な供与者からの製品をバッチ混合することである。しかし、すべての脱塩骨基質製品は、ロットトレーサビリティーを維持しなければならないため、バッチ混合は不可能である。加えて、骨形成タンパク質(これにより脱塩骨基質の骨誘導特性を引き出されると考えられる)のレベルが非常に低く、予測可能で再現可能な性能に対して確立された治療閾値よりも低い。これらの欠点の結果として、脱塩骨基質製品は、他の同等の整形外科及び神経外科分野で現在一般的に使用されている療法に対して同等の性能を実証していない。
【0008】
従来の骨形成タンパク質製品の別の不都合は、骨成長を支援する永続的な足場に局在しないことである。具体的には、骨形成タンパク質製品は、典型的には、準最適足場に吸着されなければならない液体として用意される。吸収プロセスの予測が不可能であることから、タンパク質の吸着が不十分となり、次いでインプラントの圧迫及び活性物質の神経空間内への押出しが起こり、骨形成が最終的に誘導されると重度の傷害又は障害が起こりうる。
【0009】
意図的に誘導された骨形成タンパク質に依存して骨誘導活性をもたらす代替のアプローチでは、固有の骨誘導性を有する材料を用意する。この材料は、典型的には、患者に植え込む前に骨形成タンパク質で処理しなくてもよい、それ自体が骨成長を促進及び加速する足場材料である。
【0010】
骨誘導材料を用意する1つのアプローチでは、吸収性である材料を選択する。例えば、リン酸カルシウム材料からのカルシウム及びリン酸の溶解は、一部の人々には、骨誘導材料を提供するための鍵であると考えられている。この方法は、例えば、リン酸カルシウム材料からの特定の微量元素の溶解が骨誘導をさらに促進することを提唱する国際出願PCT/NL2006/000210で述べられている。
【0011】
固有の骨誘導性を有すると言われている材料の別の例が、米国特許第6302913号に記載されている。この材料は、「生体不活性」であるが、米国特許第6302913号によると、骨形成を誘導するために循環流体から吸収した骨形成タンパク質を濃縮すると言われている一連の凹面を備えた表面構造を有する。しかし、これらのタイプの材料もまた、強力なin vivoでの骨成長の促進をもたらさない。
【0012】
先行技術の少なくともいくつかの欠点の結果として、本発明の発明者らは、固有の骨誘導性を有するが、骨誘導をもたらす、時に予測不可能な微量元素の溶解又は表面構造の操作に依存しない材料を提供することに着手した。
【0013】
欧州特許第0951441号に、高密度骨伝導ケイ素置換ヒドロキシアパタイト材料の合成が記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、相互連結微小孔のネットワークを備え、微小気孔率が23容量%以上であり、合成骨誘導多孔性生体材料の表面自由エネルギーが19mJ/m以上であり、平均相互連結直径及び表面自由エネルギーが、微小孔から得られる浸透性が0.206nm以上であり、且つ水中での毛細管圧力差が3.7kPa以上となるように選択される、合成骨誘導多孔性生体材料を提供する。
【0015】
本発明は、相互連結微小孔のネットワークを備え、微小気孔率が23容量%以上であり、合成骨誘導多孔性生体材料の表面自由エネルギーが20mJ/m以上であり、平均相互連結直径が0.5〜2.0μmである、合成骨誘導多孔性生体材料をさらに提供する。
【0016】
本発明は、医学に使用するための、本明細書で定義する合成多孔性生体材料をさらに提供する。本発明はまた、骨折を治療し、脊椎固定を達成し、骨腫瘍又は椎骨圧迫骨折を治療するための方法であって、本明細書で定義する生体材料を患者又は動物に植え込むステップを含む、方法を提供する。
【0017】
本発明は、多孔性骨誘導生体材料を選択し、骨の骨誘導をもたらす方法であって、(a)以下の特徴、(i)17.5容量%以上に設定された微小気孔率を有する相互連結微小孔のネットワーク、(ii)19mJ/m以上に設定された表面自由エネルギー、(iii)0.206nm以上に設定された、微小孔から得られる浸透性、及び(iv)3.7kPa以上に設定された水中での毛細管圧力差、を有する骨誘導多孔性生体材料を選択するステップと、(b)前記骨誘導生体材料を、骨誘導のための置換骨材料として形成するステップと含む、方法をさらに提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで、本発明をさらに説明する。以下の節では、本発明の様々な態様をより詳細に定義する。そのように定義する各態様は、反対のことが明確に記載されていない限り、1つ又は複数の任意の他の態様と組み合わせることができる。具体的には、好ましい又は有利であるとして示すいずれの特徴も、好ましい又は有利であるとして示す1つ又は複数の任意の他の特徴と組み合わせることができる。
【0019】
本発明者らは、純粋に骨伝導性の生体材料の上に骨誘導生体材料を設けることが患者にとって有利であることを認識している。
【0020】
一部の公知の足場材料は、足場の溶解に依存して骨誘導性を生じさせることから、骨誘導性を生じさせるためには生物学的条件下で吸水性でなければならない。
【0021】
本発明者らは、生体材料の表面構造又は吸収特性によって促進される骨成長ではなく、実際の生体材料自体に直接関連した骨成長の作用を有する多孔性生体材料を提供できることを見出した。具体的には、本発明者らは、この生体材料の特定の構造と表面特性の組合せがこの生体材料自体に骨誘導性を付与することを見出した。骨誘導性を提供する他の方法とは異なり、本発明の骨誘導性は、生体材料の化学組成とは比較的無関係であるが、特定の材料は、好ましい骨誘導特性を有する。
【0022】
具体的には、本発明者らは、骨誘導性を付与するために、多孔性生体材料が特性の組合せを有利に有することを見出した。第1に、本発明者らは、多孔性本体が、小さい相互連結直径を有する十分に多数の孔を有利に有するため、生体材料が生物学的流体から液体を吸着する高い毛細管作用を有することを見出した。これにより、拘禁環境における生物学的流体中に自然に存在する骨成長促進タンパク質が高濃度になる。また、本発明者らは、多孔性本体が、骨成長促進タンパク質の付着及び吸収を助け、且つ多孔性本体の毛細管作用を促進する表面環境を有利に提供することを見出した。
【0023】
したがって、本発明の生体材料は、骨誘導生体材料として記載することができる。
【0024】
小さい相互連結直径を有する孔の数の制御及び表面環境の制御により、異所骨形成を助ける条件をもたらす浸透性、体内への吸収能、体の表面に対する吸着能、推進力、及び表面電荷の組合せが制御される。
【0025】
生体材料は、in vivoでの使用に適した材料である。生体材料は、ISO 10993によると、生体材料が生物学的能を果たす、置換する、又は増強することを意味する生体適合性であると記載することができる。生体材料は、置換骨材料とすることができる。例えば、生体材料は、例えば、骨置換、インプラント、充填剤及びセメント、金属インプラントのコーティングに使用し、ヒドロキシアパタイト−ポリマー複合材料の生成に用いるための歯科材料を含む合成骨材料として用いることができる。
【0026】
組み合わせると骨誘導挙動を有利にもたらす各因子を詳細に見ると、生物学的流体から生体材料の表面への骨成長促進因子の吸収を促進するためには、本発明の生体材料の表面自由エネルギーは、19mJ/m以上であることを本発明者らは見出した。
【0027】
表面自由エネルギー、mJ/mは、同じ材料化学の完全に密な表面に対する公知の液体−蒸気界面自由エネルギーを有する液体の接触角のクルス点滴分析(Kruss Drop Analysis)用いて測定する。
【0028】
好ましくは、表面自由エネルギーは、20mJ/m以上、例えば、30mJ/m以上、例えば、35mJ/m以上など、例えば、40mJ/m以上、例えば、50mJ/mなどである。好ましくは、最大自由エネルギーは、57mJ/m、例えば、50mJ/m、例えば、45mJ/mなどである。したがって、好ましい表面自由エネルギーの例示的な範囲は、30〜57mJ/m、例えば、40〜57mJ/mなど、より好ましくは、35〜50mJ/m、さらに好ましくは、35〜45mJ/mである。本発明者らは、骨誘導挙動が表面自由エネルギーと共に増大することを見出したが、本発明者らは、生体材料の表面特性が、表面自由エネルギーが57mJ/mに近づくと変化しうることも見出した。
【0029】
基質の表面自由エネルギーは、例えば、化学組成、ナノスケール構造、ドーピング、置換、汚染の変更、又はこの材料に熱を加える若しくは化学処理を施すなどの当技術分野で公知の技術によって制御することができる。例えば、本発明者らは、ケイ素(例えば、ケイ素イオンなど)がリン酸カルシウム材料に添加されると、この材料における表面自由エネルギー及び骨誘導挙動が増大することを見出した。
【0030】
本発明者らはまた、本明細書に記載する表面自由エネルギーと合わせて特定の細孔構造を有する多孔性生体材料が、非骨部位に植え込まれたときに材料の表面に、又はその周りに骨形成を促進する可能性を有することを見出した。具体的には、本発明の多孔性生体材料は、相互連結微小孔のネットワークを含む。本発明者らは、骨誘導挙動の有利な増加が、少なくとも17.5容量%、より有利には23容量%の微小気孔率で起こることを見出した。本発明者らは、これらの値よりも下では、骨誘導が起こりにくいことを見出した。
【0031】
本明細書で使用する用語「微小孔」は、水銀圧入ポロシメトリー分析による測定で、50nm〜10μmの相互連結直径を有する孔のことである。隣接間の相互連結のほんの一部だけが円形であるが、用語、相互連結直径は、水銀圧入ポロシメトリーによって測定される孔の同等の円の直径を指す。用語「微小気孔率」は、微小孔から得られる気孔率を指す。
【0032】
生体材料の気孔率は、水銀圧入ポロシメトリー(mercury intrusion porosimetry)分析によって測定する。具体的には、この測定では、140度の前進接触角、0.480mJ/mの水銀に対する液体−蒸気界面自由エネルギー、及び13.5335g/mlの水銀密度の条件を用いることができる。測定は、周囲温度及び圧力(20℃及び1気圧)で行うことができる。相互連結直径の範囲内の全孔容積は、水銀圧入ポロシメトリー孔体積率によって測定することができる。
【0033】
好ましくは、微小気孔率は、19容量%以上、例えば、20容量%以上である。有利には、微小気孔率は、23容量%以上、例えば、24容量%以上など、例えば、25容量%以上、例えば、30容量%以上など、例えば、35容量%以上である。微小気孔率は、60容量%以下、例えば、55容量%以下又は50容量%以下、例えば、40容量%以下など、例えば、35容量%以下、例えば、30容量%以下などとすることができる。例示的な一例では、微小気孔率は、好ましくは23〜60容量%、例えば、23〜50容量%又は30〜50容量%、例えば、23〜40容量%など、例えば、25〜35容量%、例えば、約26容量%とすることができる。特に、本発明者らは、驚くべきことに、骨誘導が微小気孔率と共に増大することを見出した。これは、吸引能が微小気孔率と共に増大することも観察されているためであろう。しかし、本発明者らは、孔が合体しないで、これにより潜在的に生体材料の毛細管圧が低下するように、最大レベルの微小気孔率が好ましいことを見出した。
【0034】
生体材料が、後に論じるような微小孔以外の孔(例えば、マクロ孔)を含む場合、微小気孔率は、以下の関係を満たす。
【0035】
【数1】

【0036】
式中、Vは、生体材料の全容積であり、Vは、微小孔の全容積であり、Vは、微小孔以外の孔の全容積である。微小孔以外の孔が存在しない場合は、V=0である。
【0037】
好ましくは、10μm未満の相互連結直径を有する孔の総数の少なくとも90%が、50nm〜10μmの相互連結直径を有し、より好ましくは、10μm未満の相互連結直径を有する孔の総数の少なくとも90%が、0.1〜8μmの相互連結直径を有し、さらに好ましくは、10μm未満の相互連結直径を有する孔の総数の少なくとも90%が、0.1〜5μmの相互連結直径を有する。これらの範囲内にすると、生体材料の骨誘導特性が増大すると考えられる。したがって、多孔性本体は、微小孔の相互連結直径よりも小さい相互連結直径を有するいくつかの孔を有してもよいが、これらの孔は、多孔性本体の骨誘導特性に寄与するとは考えられない。したがって、好ましくは、本体は、50nm未満の相互連結直径を有する相当数の孔を含まない(すなわち、実質的にこのような孔を含まない)。好ましくは、これらの特定の範囲の相互連結直径を有する孔のこれらの数は、総数の95%、より好ましくは総数の98%、さらに好ましくは総数の99%である。
【0038】
微小気孔率は、好ましくは、開いた孔のネットワークを含む。これは、高い浸透性及び吸引能力に有利に働くと考えられる。したがって、微小孔は、90%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは99%以上の相互連結レベルを有することができる。相互連結レベル(容量/容量%)は、ヘリウムパイコノメトリー(Helium Pyconometry)測定及び同じ材料の理論密度によって測定する。
【0039】
微小孔の平均相互連結直径は、生物学的流体及びタンパク質が多孔性本体に有効に浸透するのを可能にする浸透性及び毛細管圧力差を有する多孔性本体が得られるように選択される。具体的には、本発明者らは、小さい平均相互連結直径が、有利な毛細管圧力差に寄与する一方で、低い浸透性の一因にもなりうることを見出した。したがって、微小孔の平均相互連結直径は、0.5μm以上、例えば、0.7μm以上とすることができる。
【0040】
最小平均相互連結直径は、好ましくは、0.206nmの最小浸透性、より好ましくは、本明細書に記載する好ましい最小浸透性値が得られるように有利に選択することができる。本明細書に記載する浸透性と平均相互連結直径との間の関係を用いると、これは、約0.8μmの最小平均相互連結直径に等しい。
【0041】
孔の相互連結直径は、水銀圧入ポロシメトリー分析によって測定する。具体的には、140度の前進接触角、0.480mJ/mの水銀に対する液体−蒸気界面自由エネルギー、及び13.5335g/mlの水銀密度の条件をこの測定に用いる。好ましくは、微小孔(すなわち、50nm〜10μmの平均相互連結直径を有する孔)の平均相互連結直径は、0.5μm以上である。平均相互連結直径は、水銀圧入ポロシメトリーを用いて孔サイズ分布のプロット(すなわち、孔サイズに対するこの孔サイズを有する孔の数)を得ることによって測定し、結果を合計した値をプロットの統合された領域で除すことによって結果の平均を計算する。
【0042】
より好ましくは、最小平均相互連結直径は、0.813μm、例えば、0.9μm、又は0.94μm以上、例えば、1.0μm、例えば、1.1μm、又は1.25μm以上、例えば、1.3μm以上などである。
【0043】
本発明者らはまた、大きい平均相互連結サイズが、多孔性本体の有利な浸透性に寄与するが、低い毛細管圧力差の一因となりうることも見出した。したがって、平均相互連結直径は、好ましくは、2.0μm以下、例えば、1.8μm以下など、例えば、1.7μm以下、例えば、1.6μm以下など、例えば、1.5μm以下、例えば、1.4μm以下とすることができる。
【0044】
最大平均相互連結直径は、好ましくは、3.7kPaの水中での最小毛細管圧力差、より好ましくは本明細書に記載する好ましい毛細管圧力差値が得られるように有利に選択することができる。毛細管圧力差が、表面自由エネルギー及び平均相互連結直径の両方に依存するため、どの材料の最大平均相互連結直径も、この好ましい条件を満たすために、材料の表面自由エネルギーに依存する。
【0045】
平均相互連結直径の好ましい範囲の例示的な例をとると、孔の平均相互連結直径は、好ましくは、0.5〜2.0μm、例えば、0.75〜1.8μm、例えば、0.813〜1.7μm、例えば、1.0〜1.5μmなど、例えば、1.3〜1.4μm、例えば、約1.3μmなどにすることができる。上記したように、本発明者らは、平均相互連結直径のより低い上限により、生物学的流体の生体材料への流入を可能にする有利な浸透性を得ることができるが、より大きな平均相互連結直径は、低い毛細管圧の一因となりうることを見出した。本発明者らはまた、平均相互連結直径のより高い下限により、生物学的流体の生体材料内への取り込みの推進力を高める有利な毛細管圧力差がもたらされうるが、より小さな平均相互連結直径は、低い浸透性の一因となりうることを見出した。したがって、最小及び最大平均相互連結直径は、微小孔から得られる好適な浸透性及び本明細書に記載する水中での好適な毛細管圧力差、例えば、0.206m以上の浸透性及び3.7kPa以上の毛細管圧力差が得られるように選択することができる。
【0046】
平均相互連結サイズの値から得られる浸透性及び毛細管圧力差についてさらに詳しく述べると、本発明者らは、骨誘導性を有利に支援する微小孔内への生物学的又は循環流体の一定レベルの吸引を可能にするために、生体材料は、好ましくは、微小相互連結孔(すなわち、微小孔から得られる)を通る0.206nm以上の浸透性を有する。上記したように、浸透性は、孔の相互連結直径の分布を変更することによって制御することができ、この最小の好ましい浸透性は、約0.8μmの好ましい最小平均相互連結サイズを選択することによって達成することができる。
【0047】
浸透性(nm)は、水銀圧入ポロシメトリーの結果から以下のように決定する。
【0048】
【数2】

【0049】
式中、Kは、微小孔(小さい孔)からもたらされる浸透性であり、dは、相互連結サイズの水銀圧入ポロシメトリー測定から計算した微小孔相互連結の平均相互連結直径である。Φは、水銀で満たされた孔の体積分率である。
【0050】
好ましくは、浸透性は、0.8nm以上、より好ましくは、浸透性は、1.0nm以上である。浸透性は、10nm以下、例えば、5nm以下など、例えば、3nm以下とすることができる。例えば、一実施形態では、浸透性は、0.8nm〜5nmとすることができる。本発明者らは、骨成長がこれらの範囲内で有利に達成されることを見出した。
【0051】
毛細管圧力差に関して、微小孔の最大平均相互連結直径は、3.7kPaの水中での最小毛細管圧力差を有する多孔性本体が得られるように選択することができる。本明細書に記載する毛細管圧力差と平均相互連結直径との間の関係を用いると、これは、以下の関係を満たす最大平均相互連結直径(r)に等しい。
【0052】
【数3】

【0053】
式中、ΔPMINIMUMは、適切な最小毛細管圧力差であり、γLV(mJ/m)は、同じ材料と接触している液体の液体−蒸気界面自由エネルギーであり、θは、同じ材料に対する液体の接触角であり、r(m)は、水銀ポロシメトリーによって測定される微小孔の平均相互連結直径である。このため、最大平均相互連結サイズは、表面自由エネルギーに依存する。
【0054】
したがって、本発明者らは、生物学的流体から生体材料内への骨成長促進因子の吸収を容易にするためには、材料の毛細管圧力差が、水中で測定したときに3.7kPaよりも高いと有利であることを見出した。上記したように、毛細管圧力差は、生体材料の表面自由エネルギー及びこの材料内の微小孔の分布(具体的には、孔の相互連結直径の分布)を変更することによって制御することができる。
【0055】
毛細管圧力差は、水中で測定され、表面自由エネルギーと相互連結直径との間の以下の関係から決定される。
【0056】
【数4】

【0057】
式中、ΔPは、毛細管圧力差であり、γLV(mJ/m)は、同じ材料と接触している液体の液体−蒸気界面自由エネルギーであり、θは、同じ材料に対する液体の接触角であり、r(m)は、水銀ポロシメトリーによって測定される微小孔の平均相互連結直径である。
【0058】
この式では、液体−蒸気界面自由エネルギーは、液体(例えば、水)の液滴が材料の表面に形成されるときの液体、蒸気、及び固体との間の境界におけるエネルギーを示すヤングの式によって測定することができる。
【0059】
【数5】

【0060】
式中、γSVは、固体−蒸気界面エネルギー(mJ/mで測定)であり、θは、接触角であり、λSLは、固体−液体界面エネルギーである。すべての界面測定は、本明細書に記載するクルス点滴分析法を用いて行った。
【0061】
好ましくは、毛細管圧力差は、3.9kPa以上、例えば、3.97kPa以上など、例えば、15kPa以上など、例えば、25kPa以上、又は36kPa以上、例えば、40kPa以上など、より好ましくは、毛細管圧力差は、50kPa以上である。毛細管圧力差は、150kPa以下、例えば、100kPa以下など、例えば、85kPa以下、例えば、70kPa以下などとすることができる。したがって、例示的な一例では、生体材料の毛細管圧力差は、好ましくは、3.7kPa〜100kPa、例えば、20kPa〜100kPaなどである。本発明者らは、骨成長がこれらの範囲内で有利に達成されることを見出した。
【0062】
本発明に従った気孔率及び平均相互連結直径の分布を有する多孔性本体を提供することにより、本発明者らは、この多孔性本体が、生物学的流体及びタンパク質の多孔性本体への有効な浸透を可能にする浸透性及び毛細管圧力差を提供できることを見出した。微小孔の相互連結サイズが、10μm以下に制限されているため、十分な毛細管圧力差がこれらの孔によってもたらされる。本発明者らが、生体材料の固有の骨誘導挙動が、その微小孔による材料の浸透性及び材料の毛細管圧力差に依存することを見出したため、微小孔構造から得られる本体による生物学的流体及びタンパク質の取り込みは、生体材料の骨誘導特性に直接寄与する。
【0063】
好ましくは、生体材料内での循環及び生物学的流体の迅速な輸送を可能にし、且つ生物学的媒体から吸収される骨成長促進材料の有利な蓄積を可能にするために、生体材料は、好ましくは、400容量%以上の全吸引能力(容量/容量%)を有する(微小孔及び任意選択のマクロ孔の両方が、全吸引能力に寄与する)。全吸引能力は、生体材料における全孔容積(微小孔及びマクロ孔の両方)及び生体材料中の孔の相互連結レベルを変更することによって制御することができる。
【0064】
全孔サイズ範囲に渡る単一材料の全吸引能力(容量/容量%)は、水を用いるアルキメデスの密度測定によって得られる。測定の再現性を高めるために、血液などの生物学的媒質ではなく水が用いられる。
【0065】
好ましくは、全吸引能力は、420容量%以上、より好ましくは、全吸引能力は、430容量%以上である。この吸引能力は、800容量%以下、例えば、600容量%以下など、例えば、500容量%以下とすることができる。例示的な一例では、全吸引能力は、好ましくは、400%〜600%、例えば、420%〜500%とすることができる。本発明者らは、骨成長がこれらの範囲内で有利に達成されることを見出した。
【0066】
好ましくは、微小孔に起因する全吸引能力を最大化することができる。微小孔の吸引能力は、微小孔の浸透性及び毛細管圧力差による影響を受ける。しかし、足場の構造的利点を維持するために、吸引能力に対して上限を設定することができる。
【0067】
好ましくは、多孔性本体は、生体材料内での循環及び生物学的流体の迅速で完全な輸送が可能となるように1つの孔を次の孔に連結する大きい相互連結直径を有する多数の孔も備えることができる。したがって、本発明の生体材料は、微小孔に加えて、マクロ孔を含んでもよい。本明細書で用いる用語「マクロ孔」は、10μmを超える平均相互連結直径を有する孔を指す。必ずしも必要ではないが、大きい孔(マクロ孔)のこのネットワークは、生体材料内での循環及び生物学的流体の輸送を促進すると考えられる。これにより、生物学的流体及びタンパク質が小さい孔(微小孔)内に吸収され、生体材料の表面に吸着される速度を上昇させることができる。好ましくは、マクロ孔の少なくとも90%(より好ましくは、95%、さらに好ましくは98%)は、50μm以上の相互連結直径を有する。
【0068】
好ましくは、マクロ気孔率(すなわち、マクロ孔から得られる気孔率)は、20容量%以上、例えば、30%以上、例えば、40%以上などである。マクロ気孔率は、70容量%以下、例えば、60%以下、例えば、50%以下などとすることができる。例示的な一実施形態では、マクロ気孔率は、好ましくは、20〜60容量%である。これらの範囲内で、マクロ孔に対する循環生物学的流体及びタンパク質の有益な効果が増大するであろう。
【0069】
多孔性本体は、微小孔の相互連結直径よりも小さい相互連結直径を有する多少の孔を有してもよいが、これらの孔は、多孔性本体の骨誘導特性に寄与するとは考えられない。したがって、好ましくは、本体は、50nm未満の相互連結直径を有する相当な数の孔を含まない(すなわち、実質的にこのような孔を含まない)。
【0070】
好ましくは、本体が、マクロ孔と微小孔の両方を含む場合、本発明の本体の全気孔率は、水を用いるアルキメデスの密度測定による測定で、45容量%以上、例えば、50容量%以上など、例えば、60容量%以上、例えば、70容量%以上などである。本発明者らは、これらの下限が、有益な骨誘導効果に寄与しうることを見出した。好ましくは、全気孔率は、95容量%以下、例えば、90容量%以下など、例えば、85容量%以下である。本発明者らは、これらの上限よりも上では、孔の合体が起こり、結果として骨誘導の利益が低下しうることを見出した。したがって、全気孔率の好ましい範囲の例示的な例は、50〜90容量%である。
【0071】
本発明の生体材料の化学組成に関して、その広い解釈では、本発明の生体材料は、その化学組成によって限定されない。例えば、生体材料は、有機でも無機でもよく、又は有機種及び無機種の両方を含んでもよい。例えば、この生体材料は、例えば、セラミック又はポリマーとすることができる。
【0072】
生体材料の化学組成にかかわらず、生体材料は、好ましくは、非吸収性である。用語、非吸収性は、化学的に安定な生体材料を指す。この用語は、非溶解性材料を指すために定義されている。具体的には、この材料は、水に浸漬されても大きな構造的溶解を示さないであろう。吸収性は、気孔率に依存しうるため、異なる材料の吸収性を比較するためには、吸収性のレベルを、バルク材料について、同じ表面積を有する試料に対して測定する。
【0073】
本発明者らは、有効な骨形成の前に、足場の体内への吸収が一部又は全体で起こりうることを認識している。さらに、本発明者らは、足場の溶解生成物が、局所生化学環境が高濃度の外来イオン種で飽和されたときに、骨形成速度を潜在的に妨げる又は低下させうることを見出した。本発明者らはまた、吸収性材料のこれらの欠点により、一貫性のない低レベルの骨形成が起こりうることを見出した。また、この一貫性のなさが、固有の骨誘導特性を有する材料のin vivoでの使用の原則の確認を困難にしている。
【0074】
したがって、本発明は、臨床前モデルにおいて異所で試験したときに相当なレベルの骨形成を確実且つ再現可能に誘発する骨材料用の化学的に安定な(非吸収性)足場を提供する。このような骨形成は、足場に供給される又は関連するサイトカイン若しくは溶解生成物のいずれかに関連しているのではなく、足場自体に密接に関連している。これにより、加速された骨形成が、吸着されたサイトカイン又は溶解生成物を循環流体が輸送する部位でランダムに起こるのではなく、足場が植え込まれた部位のみで起こることが確実となる。
【0075】
したがって、好ましくは、この材料は、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、例えば、99%以上など、例えば、約100%の非吸収性相を含む(X線回折によって測定)。言い換えれば、好ましくは、不可避の不純物を無視すれば、この材料のすべてが、非吸収性である。
【0076】
一実施形態では、生体材料は、リン酸カルシウム材料などの多孔性セラミックである。非吸収性リン酸カルシウム材料の例は、ヒドロキシアパタイトである。
【0077】
生体材料がリン酸カルシウム材料である場合、リン酸カルシウム材料の表面自由エネルギーを変更する1つの好ましい方法は、リン酸カルシウム材料にケイ素を添加して、ケイ素含有リン酸カルシウム材料を提供することである。好ましくは、ケイ素は、好ましくは、0.1〜5.0質量%の量で、リン酸カルシウム材料に含められる。より好ましくは、ケイ素は、0.5〜1.6質量%、例えば、0.5〜1.0質量%など、例えば、約0.8質量%の量、含められる。ケイ素は、例えば、吸収性を低くするために結晶格子内で置換することができる。したがって、ケイ素は、例えば、ケイ素イオン又はケイ酸イオンの形態で存在することができる。本発明者らは、これらの範囲のケイ素含有量により、骨誘導が促進されることを見出した。
【0078】
ケイ素置換ヒドロキシアパタイト材料を形成するのに適した方法であって、ケイ素が結晶格子内で置換され、この材料が、酸化カルシウム及び/又はリン酸三カルシウムの不純物相を実質的に有しておらず、且つX線回折の測定で少なくとも98%の相純度を有する、方法が、参照によりその内容が本明細書に組み入れられる欧州特許第0951441号に記載されている。
【0079】
生体材料は、それ自体を置換骨材料とすることができる、すなわち、生体材料は、足場、例えば、リン酸カルシウムをベースにした足場(例えば、ヒドロキシアパタイト)を含むことができる。
【0080】
生体材料の化学組成にかかわらず、この生体材料は、例えば、骨折を治療し、脊椎固定を達成し、骨腫瘍又は椎骨圧迫骨折を治療するために用いることができる。これらの使用では、この生体材料は、患者又は動物に植え込まれる。これは、当技術分野で公知の技術を用いて達成することができる。本発明はまた、本明細書に記載する組成物を含む合成骨材料、骨インプラント、整形外科インプラント、組織インプラント、骨移植片、骨代用物、骨足場、充填剤、コーティング、又はセメントも提供する。本発明はまた、これらの用途における本明細書に記載する組成物の使用も提供する。本発明はまた、患者を治療する方法であって、本明細書に記載するバイオセラミック組成物を、治療する患者のある部位に送達するステップを含む、方法も提供する。本発明はまた、生物医学的インプラント用として本明細書に記載するバイオセラミック組成物も提供する。本発明はまた、治療に用いられる、本明細書に記載するバイオセラミック組成物も提供する。本発明はまた、再建又は置換手術に用いられる、本明細書に記載するバイオセラミック組成物も提供する。
【0081】
本明細書に記載するバイオセラミック組成物は、これらの生物医学的用途で、単独で、又は生体適合性ポリマー、他の種類のセラミック、ガラス、及び/若しくはガラス−セラミック材料の1つ又は複数とともに用いることができることを理解されたい。
【0082】
この生体材料は、例えば、乾燥顆粒剤として、結合剤中の溶媒(例えば、水や血液)に溶かしたペーストとして、又は固体の予備成形された予備整形インプラントとして任意の公知の形態で提供することができる。
【0083】
本発明は、多孔性骨誘導生体材料を選択し、骨の骨誘導をもたらす方法であって、(a)以下の特徴、(i)17.5容量%以上に設定された微小気孔率を有する相互連結微小孔のネットワーク、(ii)19mJ/m以上に設定された表面自由エネルギー、(iii)0.206nm以上に設定された、微小孔から得られる浸透性、及び(iv)3.7kPa以上に設定された水中での毛細管圧力差、を有する骨誘導多孔性生体材料を選択するステップと、(b)前記骨誘導生体材料を、骨誘導のための置換骨材料として形成するステップと含む、方法をさらに提供する。より有利には、微小気孔率は、23容量%以上に設定することができる。
【0084】
本発明は、合成多孔性生体材料に骨誘導特性を付与するための、17.5容量%以上の微小気孔率、19mJ/mの表面自由エネルギー、微小孔から得られる0.206m以上の浸透性、及び3.7kPa以上の水中での毛細管圧力差の使用をさらに提供する。骨誘導特性は、骨誘導を有する生体材料の固有の能力を指す。より有利には、微小気孔率は、23容量%以上に設定することができる。
【0085】
本明細書に記載する物理特性のすべての測定は、特に記載がない限り、室温(20℃)及び大気圧(1気圧)で行われる。
【実施例】
【0086】
いくつかの試料を、欧州特許第0951441号に記載されている方法に従って合成された材料から用意した。次いで、この材料を、国際公開第0020353号パンフレットに記載されている発泡方法を用いて本発明による多孔性生体材料に加工した。国際公開第0020353号パンフレットの全容は、参照により本明細書に組み入れられる。この技術を用いて、セラミックスリップ内の成分の相対的比率、セラミック微粒子の物理特性、粉砕発泡の際に加えられる粉砕メディアの量を変更することによって、及び追加として焼結処置によって、孔サイズ及び多孔性を制御して、望ましい孔サイズ及び気孔率を達成した。
【0087】
次いで、これらの試料を動物に植え込み、その骨誘導性を測定した。結果を表1に示す。試料の骨誘導性を測定するために、リン酸カルシウム生体材料を、年齢が2歳を超え、体重が65kg〜80kg、骨格が成熟した商業的に交雑されたメスのヒツジの右及び左の仙棘筋内に植え込んだ。動物を、12週間目に安楽死させた。屠殺後、筋肉の層によって取り囲まれたインプラントを取り出し、組織学のために固定した。X線撮影を行って、筋肉中のインプラントの位置を求めた。最大70μm厚の薄い切片を、近位遠位方向において、超薄切片法によって用意した。画像解析及び組織形態計測を薄い切片に対して行って、インプラント内の骨形成を評価した。骨領域、軟組織領域、及び試験材料によって占有された領域のパーセンテージを計算した。加えて、リン酸カルシウム表面に付着された骨の量のパーセンテージを測定した。また、走査電子顕微鏡法(SEM)及びEDAXを行い、骨形成の質及びインプラント内に存在する元素を評価した。
【0088】
【表1】

【0089】
SiHAは、ケイ素置換ヒドロキシアパタイト(ケイ素0.8質量%)である。HAは、ヒドロキシアパタイトである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互連結微小孔のネットワークを備え、微小気孔率が23容量%以上であり、
合成骨誘導多孔性生体材料の表面自由エネルギーが19mJ/m以上であり、平均相互連結直径及び前記表面自由エネルギーが、微小孔から得られる浸透性が0.206nm以上であり、且つ水中での毛細管圧力差が3.7kPa以上となるように選択される、合成骨誘導多孔性生体材料。
【請求項2】
前記生体材料が非吸収性である、請求項1に記載の生体材料。
【請求項3】
前記生体材料の全吸引能(容量/容量%)が400容量%以上である、請求項1又は2に記載の生体材料。
【請求項4】
最小平均相互連結直径が0.9μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体材料。
【請求項5】
最大平均相互連結直径が2.0μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体材料。
【請求項6】
相互連結微小孔のネットワークを備え、微小気孔率が23容量%以上であり、
合成骨誘導多孔性生体材料の表面自由エネルギーが20mJ/m以上であり、平均相互連結直径が0.5〜2.0μmである、合成骨誘導多孔性生体材料。
【請求項7】
医学に使用するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載の合成多孔性生体材料。
【請求項8】
骨折を治療し、脊椎固定を達成し、骨腫瘍又は椎骨圧迫骨折を治療するための方法であって、請求項1〜7のいずれか一項に記載の生体材料を患者又は動物に植え込むステップを含む、方法。
【請求項9】
多孔性骨誘導生体材料を選択し、骨の骨誘導をもたらす方法であって、
(a)以下の特徴、
(i)17.5容量%以上に設定された微小気孔率を有する相互連結微小孔のネットワーク、
(ii)19mJ/m以上に設定された表面自由エネルギー、
(iii)0.206nm以上に設定された、前記微小孔から得られる浸透性、及び
(iv)3.7kPa以上に設定された水中での毛細管圧力差、を有する骨誘導多孔性生体材料を選択するステップと、
(b)前記骨誘導生体材料を、骨誘導のための置換骨材料として形成するステップと含む、方法。
【請求項10】
合成多孔性生体材料に骨誘導特性を付与するための、17.5容量%以上の微小気孔率、19mJ/mの表面自由エネルギー、微小孔から得られる0.206m以上の浸透性、及び3.7kPa以上の水中での毛細管圧力差の使用。

【公表番号】特表2011−510723(P2011−510723A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544783(P2010−544783)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【国際出願番号】PCT/GB2009/000296
【国際公開番号】WO2009/095700
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(508004557)アパテック リミテッド (6)
【Fターム(参考)】