多孔性金属酸化物及びその製造方法
【課題】多孔性金属酸化物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】配位高分子を熱処理する工程を含む多孔性金属酸化物の製造方法である。これにより、粒子形状の制御が容易でありつつも、気孔の形態及び分布が調節できる。
【解決手段】配位高分子を熱処理する工程を含む多孔性金属酸化物の製造方法である。これにより、粒子形状の制御が容易でありつつも、気孔の形態及び分布が調節できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性金属酸化物及びその製造方法に係り、さらに具体的には、粒子形状の制御が容易でありつつも、気孔の形態及び分布が調節された多孔性金属酸化物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔性金属酸化物は、エネルギー分野の電極材料として使われてきた。一般的に、電極材料は、電子伝導性とイオン伝導性とが何れも良好でなければならないが、一般的な電極材料の場合、イオン伝導度が電子伝導度より低い特性を表す。しかし、多孔性電極材料の場合、粒子内部までイオン伝達が可能であるので、実質的にイオン移動経路を減少させる効果がある。同じ効果を表すものとして、ナノ材料を使用して多孔性電極材料と類似した効果を収めることができるが、粒子間の接触抵抗が高く、電極製造に困難さがあって、その適用が難しいという問題点がある。
【0003】
多孔性金属酸化物が電極材料に適用された例としては、代表的にMnO2、LiCoO2、LiNiO2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2がリチウム二次電池の陽極素材に適用される場合が挙げられ、電気化学キャパシタでRuO2、NiOが擬似キャパシタンス物質として適用されている。それ以外にも、固体酸化物燃料電池、溶融炭酸塩燃料電池及び水素化ホウ素燃料電池の酸化ニッケルまたは酸化コバルト系陰極素材及び色素増感型太陽電池のTiO2半導体電極としても多孔性金属酸化物が利用されている。
【0004】
このような多孔性金属酸化物の製造方法としては、焼結法、テンプレート法が頻繁に利用されている。
【0005】
焼結法は、多孔性酸化物の製造時に最も多く使われる方法であって、ほとんどの場合、粉末形態に製造が困難であり、加圧成形を通じて初めて特定形状に製造が可能である。特許文献1には、金属前駆体をバインダーと混合及び成形した後に熱処理して多孔性酸化物を製造する方法が開示されており、特許文献2には、噴射熱分解後に焼結して多孔性粉末を製造しているが、球形にのみ製造が可能である。特許文献3には、ZnOと共に焼結後にZnOを化学的に除去する多孔性酸化物の製造方法が開示されているが、粉末形態には製造が難しい。
【0006】
テンプレート法は、50nm以下のメソ気孔を有する多孔性物質の製造に多く使われる方法であるが、一般的に、工程コストが高く、量産が難しいという短所がある。特許文献4には、長い鎖を有する界面活性剤をテンプレートとして使用して、熱処理によってテンプレート空間を気孔に変換させることによって多孔性酸化物を製造している。これにより製造された多孔性酸化物の気孔サイズは、約2ないし10nmレベルである。特許文献5には、テンプレート法によって0.5ないし20nmの気孔が一方向に整列された金属酸化物を製造し、これを電池に適用している。
【特許文献1】米国特許第6,689,716号明細書
【特許文献2】米国特許第6,846,410号明細書
【特許文献3】韓国特許公開2002−88143号公報
【特許文献4】米国特許第5,958,367号明細書
【特許文献5】米国特許第6,558,847号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、粒子形態の制御が容易であり、気孔の形態及び分布が規則的に形成される多孔性金属酸化物の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、前記方法によって製造された多孔性金属酸化物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を達成するために、本発明は、配位高分子を熱処理する工程を含む多孔性金属酸化物の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の一具現例によれば、前記熱処理が非活性雰囲気で熱処理する第1熱処理工程と、酸素を含む雰囲気で熱処理する第2熱処理工程と、を含んでなることが望ましい。
【0011】
本発明の他の具現例によれば、前記配位高分子は、下記化学式1の単位体構造を有する化合物であることが望ましい。
【0012】
【化1】
【0013】
式中で、Mは、遷移金属、13族、14族、15族、ランタン系金属及びアクチニド系金属からなる群から選択された何れか一つ以上の金属を表し、Lは、2つ以上の金属(M)イオンと同時にイオン結合または共有結合を形成する多座リガンドを表し、Sは、一つの金属(M)イオンとイオン結合または共有結合を形成する単座リガンドを表し、前記Lに含まれた前記金属(M)イオンと結合可能な作用基の数をdとした時、前記x、y、及びzは、yd+z≦6xの関係式を満足する整数を表す。
【0014】
前記他の課題を達成するために、本発明は、多面体形状を有し、平均気孔サイズが10nm以上である粒子状の多孔性金属酸化物を提供する。
【0015】
本発明の具現例によれば、前記平均気孔サイズが20ないし100nmであることが望ましい。
【0016】
本発明の他の具現例によれば、前記多孔性金属酸化物が粒子状であって、針状または板状であることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明による多孔性金属酸化物は、配位高分子を熱処理して得られるものであって、量産が可能であり、また生成される多孔性金属酸化物の形態制御が容易であり、気孔の形態及び分布が規則的に形成されて、イオンやガスの移動が容易になって、結果的に優秀なハイレート特性を可能にして、二次電池、燃料電池や電気二重層キャパシタなどの電極材料、触媒、触媒用担体に有用に使用しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下では、本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
本発明による多孔性金属酸化物は、多面体形状を有しており、平均気孔サイズが10nm以上である粒子状多孔性金属酸化物であって、配位高分子化合物を熱処理する方法を通じて製造しうる。本発明による多孔性金属酸化物は、酸化物粉末の形態及び分布された気孔のサイズ及び形態が制御可能である。
【0020】
前記配位高分子は、複合材料の合成において、新たな概念の接近方法を提供している物質であって、一般的な形態を有する下記化学式2の配位化合物と比較して、1次元、2次元及び3次元形態の反復構造を有している。
【0021】
【化2】
【0022】
2次元配位高分子の例を下記の化学式3に表す。
【0023】
【化3】
(式中で、M、L及びSは、前記定義した通りである。)
【0024】
前記化学式3で表した2次元の配位高分子は、金属原子に隣接して4個の多座リガンド(L)と2個の単座リガンド(S)とが配位しており、このうち、多座リガンドは、再び隣接した金属原子に配位しているということを表す。この場合、金属原子は、前記化学式2の一般的な配位化合物と同じ形態でリガンドに配位座を提供するが、これに配位するリガンドは、相異なる金属原子と多座リガンドとして配位する。前記化学式3の配位高分子では、一つのリガンドが2個の金属に同時に配位結合する多座リガンドとして全体的に非常に規則的な格子構造の配位高分子を形成する。このような構造は、3次元に拡張することもでき、平面形の配位高分子とは異なり、上下に位置する金属原子、あるいはリガンドとさらに結合して3次元構造の配位高分子を形成する。
【0025】
本発明で、前記炭素−金属複合材料を形成するために使われる配位高分子は、下記化学式1に示される化合物を使用しうる。
【0026】
【化4】
【0027】
式中で、Mは、遷移金属、13族、14族、15族、ランタン系金属及びアクチニド系金属からなる群から選択された何れか一つ以上の金属を表し、Lは、2つ以上の金属(M)イオンと同時にイオン結合または共有結合を形成する多座リガンドを表し、Sは、一つの金属(M)イオンとイオン結合または共有結合を形成する単座リガンドを表し、前記Lに含まれた前記金属(M)イオンと結合可能な作用基の数をdとした時、前記x、y、及びzは、yd+z≦6xの関係式を満足する整数を表す。
【0028】
前記化学式1の化合物は、配位高分子として、2つ以上の金属原子またはイオンに同時に結合できる幾つかの作用基を有するリガンドL(以下、多座リガンドと称す)がこの金属原子またはイオンを連結してネットワークを形成することによって得られる物質であって、結晶であるため、多面体形状になっており、特にモノクリニックまたはトリクリニック単位セルを有する場合が多くて、主に針状または板状の結晶形態を有するが、これに限定されるものではない。このような配位高分子は、多座リガンドとは別途に、一つの金属原子またはイオンに結合可能な単座リガンドSを選択によってさらに含みうる。
【0029】
本発明による配位高分子とは区別されねばならない構造を有する物質として、キレート化合物が挙げられる。キレート化合物は、多座リガンドが金属イオンに結合されている化合物を意味するが、この場合は、一般的な単一化合物を構成するものに過ぎず、本発明の配位高分子とは、その構造が相異なる。すなわち、エチレンジアミンのような多座リガンドが金属イオンに配位結合する場合がこれに該当し、この場合は、本発明の配位高分子とのようにネットワーク構造物ではなく、前記多座リガンドがキレート環を形成する一つの単一配位化合物に過ぎないため、本発明の配位高分子とは区別されねばならない。すなわち、本発明の配位高分子は、必須的に隣接する金属間に多座リガンドを通じてネットワークを形成したことを意味するものであって、一つの金属イオンにのみ多座で配位して形成されるキレート錯体の場合には、ネットワークを形成できなくなるので、本発明による配位高分子を形成できなくなる。
【0030】
前記多座リガンドLを通じてネットワークを形成する場合、中心金属イオンまたは原子は、これら多座リガンドとのみ配位結合を形成せねばならないものではなく、必要時に単座リガンドとも結合することも可能である。すなわち、前述したような多座リガンドを含む状況で、必要時に単座リガンドSをさらに含む。このような単座リガンドSとしては、一般的な配位化合物で使われる全てのリガンドをなんらの制限なしに選択して使用でき、主に孤立電子対が存在する窒素、酸素、硫黄、リン、砒素などを含むリガンドを使用しうる。例えば、H2O、SCN−、CN−、Cl−、Br−、NH3を使用しうる。しかし、単座リガンドとしても、作用基が一つのみ存在するものではなく、前述したようなキレート環を形成する場合ならば、多座リガンドを使用することも可能である。すなわち、2座、3座、4座などの多座リガンドとしても、金属原子またはイオンが他のリガンドを通じてネットワークの形成が可能な場合ならば、これらの使用は制限されない。
【0031】
本発明の金属イオンまたは原子をネットワークに連結可能な多座リガンドとしては、前記中心金属と共有結合あるいはイオン結合を形成してネットワークを形成しうる作用基を少なくとも2個以上有するものならば、なんらの制限なしに使用しうる。特に、このような多座リガンドは、前述したように、一つの金属イオンにのみ配位結合してキレート環を形成するキレートリガンドとしての多座リガンドとは区別されねばならない。これらは、配位ネットワーク高分子を形成することが難しいためである。
【0032】
このような本発明による配位高分子を形成する多座リガンドとして、具体的に例を挙げれば、下記化学式4のトリメセート系リガンド、化学式5のテレフタレート系リガンド、化学式6の4,4’−ビピリジン系リガンド、化学式7の2,6−ジカルボン酸ナフタレン系リガンド、及び化学式8のピラジン系リガンドを例として挙げられる。
【0033】
【化5】
【0034】
【化6】
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
前記式中で、R1ないしR25は、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数2ないし20のアルケニル基、置換または非置換の炭素数6ないし30のアリール基、置換または非置換の炭素数6ないし30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数2ないし30のヘテロアリール基、あるいは置換または非置換の炭素数2ないし30のヘテロアリールオキシ基を表す。
【0039】
このような多座リガンドの色々な例は、文献(Christoph Janiak,Dalton Trans.,2003,p2781−2804;及びStuart L.James,Chem.Soc.Rev.,2003,32,276−288)にさらに具体的に記述されており、引用によって本明細書に統合されている。
【0040】
前記多座リガンドと結合して配位高分子を形成する金属としては、前記リガンドに配位座を提供できるものならば、なんらの制限なしに使用でき、例えば、遷移金属、13族、14族、15族、ランタン系金属及びアクチニド系金属からなる群から選択された何れか一つ以上の金属を使用しうる。これらのうち、望ましくは、Fe、Pt、Co、Cd、Cu、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ag、Pd、Ru、Mo、Zr、Nb、La、In、Sn、Pb、Biなどを使用しうる。
【0041】
前述したように、前記配位高分子は、MxLySzの化学式を有するところ、ここで配位数と関連して、前記x、y及びzは、yd+z≦6x(ここで、dは、多座リガンドLで金属と結合可能な作用基の数を表す)の関係式を満足する整数である。例えば、Lが4座リガンドに該当し、単座リガンドSの2分子が金属と配位結合を形成する場合には、基本的な単位体の構造は、MLS2の基本構造を有し、1(y)×4(d)+2(z)=6×1(x)の関係式を満足する。ここで、多座リガンドLは、ネットワークを構成するための必須構成要素であるので、その値は1以上でなければならず、単座リガンドのSは、必要に応じて選択可能な選択的な構成要素であるので、その値は0以上でなければならない。これらx、y及びzは、前記化合物が高分子という特性上、具体的な原子の数を表すものではなく、前記金属及びリガンドが存在する比率を意味すると解釈しなければならないというのは、当業者には当然に理解されるべき部分である。これらのうち、中心金属MがCdであり、多座リガンドLが4,4’−ビピリジンである場合の本発明による配位高分子の例は、下記化学式9の通りである(ここで、xは、1であり、y及びzは、2の値を有する)。
【0042】
【化10】
【0043】
前記化学式9の配位高分子は、中心金属であるCdに4,4’−ビピリジンが配位結合した状態を表し、4,4’−ビピリジンに含まれている末端窒素原子が一つのCdイオンに結合した後、他の末端の窒素原子が他のCdイオンに結合する形態で反復結合することによってネットワークの形成が可能になり、その結果、2次元形態の格子構造を有する、非常に規則的な形態の配位高分子が得られる。このような配位高分子の形態は、これを熱処理して得られる、本発明による多孔性金属酸化物の最終的な形態、すなわち、粒子形態及び気孔分布に影響を及ぼす。したがって、配位高分子の形成過程を適切に制御すれば、最終生成物の形態を制御することと同じ効果が得られる。配位高分子の結晶形態を制御する方法としては、金属前駆体とリガンドとを結合させる反応の反応温度、pH、及び反応時間と共に、金属の種類、リガンドの種類及びこれらの濃度を適切に変化させるか、またはこれらを結晶状態として得るための乾燥温度及び時間を適切に制御することによって可能になる。
【0044】
前述したように、本発明による多孔性金属酸化物は、前記のような配位高分子を熱処理して得られる。このとき、前記熱処理は、望ましくは、非活性雰囲気で熱処理する第1工程と、酸素を含む雰囲気で熱処理する第2工程とを含んでなりうる。これとは異なり、前記熱処理工程を1工程として非活性雰囲気、あるいは酸素雰囲気で進めて多孔性酸化物を製造することも可能である。
【0045】
前記第1工程及び第2工程の熱処理を順次に進める場合は、次の通りである。まず非活性雰囲気で第1熱処理する工程によって炭素−金属ナノ複合材料を形成し、次いで、前記炭素−金属ナノ複合材料を酸素が含まれた雰囲気で第2熱処理して炭素を除去し、金属を酸化させることによって、多孔性金属酸化物を形成することが可能になる。
【0046】
前記非活性雰囲気での第1熱処理条件としては、特別に制限されるものではないが、300℃ないし該当金属の融点、望ましくは、500℃ないし該当金属の融点の温度で約0.1ないし10時間、望ましくは、0.5ないし3時間熱処理することが望ましい。前記熱処理温度が300℃未満である場合には、十分な熱処理効果が得られないので、炭素−金属複合材料の形成が不十分になり、該当金属の融点を超える場合には、ナノ複合材料の構造自体が崩壊される恐れがあって望ましくない。前記熱処理温度が0.1時間未満である場合には、十分な熱処理効果が得られず、10時間を超える場合には、超える時間ほどの増加される熱処理効果が得られないので、経済的ではないという問題がある。
【0047】
前記配位高分子を、前述したように、第1熱処理を行う場合、揮発成分及び燃焼が可能な部分は何れも蒸発されて除去されるので、その形態は同一であるが、体積が減少した炭素−金属ナノ複合材料が得られる。第1熱処理前後の形態の同一性を維持できるので、配位高分子の形態が熱処理後にも維持されるので、最終目的物の粒子形態を容易に制御できるということは、前述した通りである。
【0048】
また、酸素を含む雰囲気での第2熱処理条件は、特別に制限されるものではないが、300〜1500℃、望ましくは、300〜800℃で0.1ないし24時間、望ましくは、0.5ないし5時間進められる。前記第2熱処理温度が300℃未満である場合、炭素の揮発が難しくて炭素−金属複合材料から炭素が完全に除去され難く、前記温度が1500℃超過である場合、高温で焼結が速い速度で進められて気孔形態が崩壊されるという問題点がある。
【0049】
非活性雰囲気での1次熱処理によって生成された炭素−金属複合材料は、一定の周期性を表す。この周期性は、前記配位高分子が1次元、2次元、及び3次元形態で反復構造を有する点に起因したものであり、配位高分子が有している反復的な高規則性が熱処理後にも維持されるということを意味する。このような周期性は、1次熱処理によって得られる炭素−金属複合材料をX−線回折分析法を通じて測定でき、6nm以上のd−間隔で少なくとも一つのピークが存在する。このような周期性は、前記炭素−金属複合材料から製造される多孔性金属酸化物の物性にも影響を及ぼして、10nmサイズ以上、望ましくは、20ないし100nmの気孔が規則的に分布された金属酸化物を提供しうる。このように平均気孔サイズが10nmより大きい多孔性金属酸化物は、構造誘導物質の使用のみでは得られない。
【0050】
本発明による多孔性金属酸化物は、その粒子形態の制御が容易であるところ、配位高分子の適切な選択、あるいは熱処理工程条件によって最終収得される粒子形態を容易に調節でき、望ましくは、針状または板状の多孔性金属酸化物を得る。
【0051】
本発明による多孔性金属酸化物は、その原料となる配位高分子をほとんど水溶液上で合成できて経済的に有用性及び安全性が高く、これらを単純に熱処理することだけで目的物を生成できて量産が容易であり、テンプレートが不要であるという利点がある。また、配位高分子の形態を制御して所望の多孔性金属酸化物の形状を多様な形態で得られ、所望の用途によって粒子形状の制御も容易であるという利点も共に有する。それと共に、炭素になる部分と金属になる部分とが周期的に反復される均一な炭素−金属ナノ複合材料を熱処理して多孔性酸化物を形成することによって、気孔のサイズ及び分布が優秀でイオンやガスの移動が容易になる。その結果、優秀な高率特性を可能にして、二次電池、燃料電池や電気二重層キャパシタなどの電極材料、触媒、触媒用担体に有用に使用しうる。
【0052】
以下、本発明を実施例及び比較例をさらに詳細に説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0053】
[実施例1]
37.33gの硝酸ニッケル(II)4水化物と19.96gのトリメシン酸を100mlの蒸溜水に加えて55℃で2時間攪拌した。溶液中に生成された粉末をナイロンフィルタを利用して分離し、蒸溜水で数回洗浄した後、80℃のオーブンで12時間乾燥して配位高分子結晶を得た。図1は、このようにして得られた配位高分子結晶の走査電子顕微鏡写真を表す。
【0054】
前記で得られた配位高分子結晶をアルゴン雰囲気下で600℃で1時間熱処理して、熱処理前の配位高分子結晶とその形態は同じであり、体積は減少した炭素−ニッケル複合材料を製造した。図2は、得られた炭素−ニッケル複合材料の走査電子顕微鏡写真を表す。
【0055】
前記炭素−ニッケル複合材料を大気中で700℃で1時間熱処理して得られた多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を図3A及び図3Bに示した。図3A及び図3Bで、酸化物粉末の粒子形状がそのまま維持されつつ、多孔性を表すということが分かる。一方、図4は、得られた多孔性ニッケル酸化物のXRDグラフであって、純粋なNiO物質が形成されたということが分かる。
【0056】
前記多孔性ニッケル酸化物を窒素吸着法で分析した。BJH吸着法で気孔サイズの分布を分析し、これを図5に表した。図5から生成された気孔のサイズが主に20nm以上で分布するということが分かる。
【0057】
[実施例2ないし5]
配位高分子の合成と最終熱処理過程とを前記実施例1と同一に行いつつ、炭素−金属複合材料の形成のための熱処理温度を、下記表1に記載したように、700ないし1000℃に調節することを除いては、実施例1と同一に実施した。
【0058】
【表1】
【0059】
図6A及び図6Bは、実施例2で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表し、図7A及び図7Bは、実施例3で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表し、図8A及び図8Bは、実施例4で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表し、図9A及び図9Bは、実施例5で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す。
【0060】
これから熱処理温度が800℃以上である時に温度が上昇するにつれて、1次粒子のサイズ及び気孔サイズが増大するということが分かる。
【0061】
図10は、実施例2ないし5で製造した多孔性ニッケル酸化物のXRDグラフであって、純粋なNiO形態で存在するということが分かる。
【0062】
図11は、実施例4で製造した多孔性ニッケル酸化物に窒素を吸着させてBJH吸着法で分析したグラフであって、ほとんどの気孔が主に20nm以上の範囲に分布することを表す。
【0063】
[実施例6]
14.93gの硝酸ニッケル(II)4水化物、3.73gの硝酸コバルト(II)4水化物及び9.98gのトリメシン酸を100mlの蒸溜水に加えて55℃で2時間攪拌した。溶液中に生成された粉末をナイロンフィルタを利用して分離し、蒸溜水で数回洗浄した後、80℃のオーブンで12時間乾燥して針状の配位高分子結晶を得た。
【0064】
前記で得られた配位高分子結晶をアルゴン雰囲気下で900℃で1時間熱処理して炭素−(ニッケル、コバルト)複合材料を製造した後、再び大気中で700℃で1時間熱処理して多孔性Ni0.8Co0.2O物質を製造した。図12A及び12Bは、製造された多孔性Ni0.8Co0.2O物質の走査電子顕微鏡写真を表す。
【0065】
[実施例7]
14.93gの硝酸ニッケル(II)4水化物、3.73gの硝酸コバルト(II)4水化物及び9.98gのトリメシン酸を100mlの蒸溜水に加えて55℃で2時間攪拌した。溶液中に生成された粉末をナイロンフィルタを利用して分離し、蒸溜水で数回洗浄した後、80℃のオーブンで12時間乾燥して針状の配位高分子結晶を得た。
【0066】
前記で得られた配位高分子結晶をアルゴン雰囲気下で900℃で1時間熱処理して炭素−(ニッケル、コバルト)複合材料を製造した。製造された炭素−(ニッケル、コバルト)複合材料上に遷移金属とリチウムとの原子比が1:1となるようにLiOHを混合した後、大気中で700℃で12時間熱処理した。図13A及び13Bは、製造した多孔性LiNi0.8Co0.2O2物質の走査電子顕微鏡写真を表す。Liとの反応を通じて、LiNi0.8Co0.2O2の形成過程で1次粒子が成長したが、針状の粒子形状は維持され、一部気孔が依然として維持されるということが分かる。
【0067】
[実施例8:電気化学キャパシタの製造]
実施例2で製造された多孔性ニッケル酸化物93重量%、導電性炭素材料4重量%、及びPVDF3重量%をN−メチルピロリドンに分散してスラリを製造し、これをアルミニウムホイルに約100μmの厚さに塗布した後に乾燥させた。
【0068】
前記電極で直径13mmの円形に多数の電極を切取り、その重量が同じ2個の電極をCR2016規格のステンレススチール材質のコインセルにセパレータを介して相互重畳させつつ、対向するように挿入して試験用セルを製造した後、電解質としてテトラアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩(TEATFB)が0.6Mの濃度で溶解されたPC(Propylene Carbonate)溶液を注入した。このとき、セパレータとしては、Celgard社製のModel 3501ポリエチレンメンブレインを使用した。
【0069】
製造されたセルを使用して0.1mAの電流で0〜3.0V区間で充電及び放電を反復した。図14は、製造されたセルの初期充放電グラフを示す図面であって、キャパシタ特性を表している。
【0070】
[比較例]
実施例2で製造された多孔性NiO粉末の代わりに、硝酸ニッケル(II)4無水物粉末を大気中、700℃で1時間熱処理して得た非多孔性NiO粉末を使用することを除いては、同一に実施して比較セルを製造した。
【0071】
図15は、実施例8及び比較例で得られたセルを100回充放電を反復した後、キャパシタンス変化を表したグラフであって、本発明の多孔性ニッケル酸化物を電極として使用した実施例8の場合、非多孔性ニッケル酸化物を電極として使用した比較例対比初期性能及び寿命特性に優れるということが分かる。
【0072】
本発明は、図面に示した実施例を参照して説明されたが、それは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、多孔性金属酸化物関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施例1で製造した配位高分子の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図2】本発明の実施例1で製造した炭素−ニッケル複合材料の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図3A】本発明の実施例1で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図3B】本発明の実施例1で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図4】本発明の実施例1で製造した多孔性ニッケル酸化物のXRDグラフを表す図面である。
【図5】本発明の実施例1で製造した多孔性ニッケル酸化物の窒素吸着分析結果を表す図面である。
【図6A】本発明の実施例2で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す図面である。
【図6B】本発明の実施例2で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す図面である。
【図7A】本発明の実施例3で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す図面である。
【図7B】本発明の実施例3で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す図面である。
【図8A】本発明の実施例4で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図8B】本発明の実施例4で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図9A】本発明の実施例5で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す図面である。
【図9B】本発明の実施例5で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す図面である。
【図10】本発明の実施例1ないし5で製造した多孔性ニッケル酸化物のXRDグラフを表す図面である。
【図11】実施例4で製造した多孔性ニッケル酸化物の窒素吸着の分析結果を示す図面である。
【図12A】本発明の実施例6で製造した多孔性Ni0.8Co0.2Oの走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図12B】本発明の実施例6で製造した多孔性Ni0.8Co0.2Oの走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図13A】本発明の実施例7で製造した多孔性LiNi0.8Co0.2O2の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図13B】本発明の実施例7で製造した多孔性LiNi0.8Co0.2O2の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図14】実施例8で製造したセルの充放電特性を表すグラフである。
【図15】実施例8及び比較例で製造したセルの100回の充放電の反復時にキャパシタンスの変化を表すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性金属酸化物及びその製造方法に係り、さらに具体的には、粒子形状の制御が容易でありつつも、気孔の形態及び分布が調節された多孔性金属酸化物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔性金属酸化物は、エネルギー分野の電極材料として使われてきた。一般的に、電極材料は、電子伝導性とイオン伝導性とが何れも良好でなければならないが、一般的な電極材料の場合、イオン伝導度が電子伝導度より低い特性を表す。しかし、多孔性電極材料の場合、粒子内部までイオン伝達が可能であるので、実質的にイオン移動経路を減少させる効果がある。同じ効果を表すものとして、ナノ材料を使用して多孔性電極材料と類似した効果を収めることができるが、粒子間の接触抵抗が高く、電極製造に困難さがあって、その適用が難しいという問題点がある。
【0003】
多孔性金属酸化物が電極材料に適用された例としては、代表的にMnO2、LiCoO2、LiNiO2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2がリチウム二次電池の陽極素材に適用される場合が挙げられ、電気化学キャパシタでRuO2、NiOが擬似キャパシタンス物質として適用されている。それ以外にも、固体酸化物燃料電池、溶融炭酸塩燃料電池及び水素化ホウ素燃料電池の酸化ニッケルまたは酸化コバルト系陰極素材及び色素増感型太陽電池のTiO2半導体電極としても多孔性金属酸化物が利用されている。
【0004】
このような多孔性金属酸化物の製造方法としては、焼結法、テンプレート法が頻繁に利用されている。
【0005】
焼結法は、多孔性酸化物の製造時に最も多く使われる方法であって、ほとんどの場合、粉末形態に製造が困難であり、加圧成形を通じて初めて特定形状に製造が可能である。特許文献1には、金属前駆体をバインダーと混合及び成形した後に熱処理して多孔性酸化物を製造する方法が開示されており、特許文献2には、噴射熱分解後に焼結して多孔性粉末を製造しているが、球形にのみ製造が可能である。特許文献3には、ZnOと共に焼結後にZnOを化学的に除去する多孔性酸化物の製造方法が開示されているが、粉末形態には製造が難しい。
【0006】
テンプレート法は、50nm以下のメソ気孔を有する多孔性物質の製造に多く使われる方法であるが、一般的に、工程コストが高く、量産が難しいという短所がある。特許文献4には、長い鎖を有する界面活性剤をテンプレートとして使用して、熱処理によってテンプレート空間を気孔に変換させることによって多孔性酸化物を製造している。これにより製造された多孔性酸化物の気孔サイズは、約2ないし10nmレベルである。特許文献5には、テンプレート法によって0.5ないし20nmの気孔が一方向に整列された金属酸化物を製造し、これを電池に適用している。
【特許文献1】米国特許第6,689,716号明細書
【特許文献2】米国特許第6,846,410号明細書
【特許文献3】韓国特許公開2002−88143号公報
【特許文献4】米国特許第5,958,367号明細書
【特許文献5】米国特許第6,558,847号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、粒子形態の制御が容易であり、気孔の形態及び分布が規則的に形成される多孔性金属酸化物の製造方法を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、前記方法によって製造された多孔性金属酸化物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を達成するために、本発明は、配位高分子を熱処理する工程を含む多孔性金属酸化物の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の一具現例によれば、前記熱処理が非活性雰囲気で熱処理する第1熱処理工程と、酸素を含む雰囲気で熱処理する第2熱処理工程と、を含んでなることが望ましい。
【0011】
本発明の他の具現例によれば、前記配位高分子は、下記化学式1の単位体構造を有する化合物であることが望ましい。
【0012】
【化1】
【0013】
式中で、Mは、遷移金属、13族、14族、15族、ランタン系金属及びアクチニド系金属からなる群から選択された何れか一つ以上の金属を表し、Lは、2つ以上の金属(M)イオンと同時にイオン結合または共有結合を形成する多座リガンドを表し、Sは、一つの金属(M)イオンとイオン結合または共有結合を形成する単座リガンドを表し、前記Lに含まれた前記金属(M)イオンと結合可能な作用基の数をdとした時、前記x、y、及びzは、yd+z≦6xの関係式を満足する整数を表す。
【0014】
前記他の課題を達成するために、本発明は、多面体形状を有し、平均気孔サイズが10nm以上である粒子状の多孔性金属酸化物を提供する。
【0015】
本発明の具現例によれば、前記平均気孔サイズが20ないし100nmであることが望ましい。
【0016】
本発明の他の具現例によれば、前記多孔性金属酸化物が粒子状であって、針状または板状であることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明による多孔性金属酸化物は、配位高分子を熱処理して得られるものであって、量産が可能であり、また生成される多孔性金属酸化物の形態制御が容易であり、気孔の形態及び分布が規則的に形成されて、イオンやガスの移動が容易になって、結果的に優秀なハイレート特性を可能にして、二次電池、燃料電池や電気二重層キャパシタなどの電極材料、触媒、触媒用担体に有用に使用しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下では、本発明をさらに詳細に説明する。
【0019】
本発明による多孔性金属酸化物は、多面体形状を有しており、平均気孔サイズが10nm以上である粒子状多孔性金属酸化物であって、配位高分子化合物を熱処理する方法を通じて製造しうる。本発明による多孔性金属酸化物は、酸化物粉末の形態及び分布された気孔のサイズ及び形態が制御可能である。
【0020】
前記配位高分子は、複合材料の合成において、新たな概念の接近方法を提供している物質であって、一般的な形態を有する下記化学式2の配位化合物と比較して、1次元、2次元及び3次元形態の反復構造を有している。
【0021】
【化2】
【0022】
2次元配位高分子の例を下記の化学式3に表す。
【0023】
【化3】
(式中で、M、L及びSは、前記定義した通りである。)
【0024】
前記化学式3で表した2次元の配位高分子は、金属原子に隣接して4個の多座リガンド(L)と2個の単座リガンド(S)とが配位しており、このうち、多座リガンドは、再び隣接した金属原子に配位しているということを表す。この場合、金属原子は、前記化学式2の一般的な配位化合物と同じ形態でリガンドに配位座を提供するが、これに配位するリガンドは、相異なる金属原子と多座リガンドとして配位する。前記化学式3の配位高分子では、一つのリガンドが2個の金属に同時に配位結合する多座リガンドとして全体的に非常に規則的な格子構造の配位高分子を形成する。このような構造は、3次元に拡張することもでき、平面形の配位高分子とは異なり、上下に位置する金属原子、あるいはリガンドとさらに結合して3次元構造の配位高分子を形成する。
【0025】
本発明で、前記炭素−金属複合材料を形成するために使われる配位高分子は、下記化学式1に示される化合物を使用しうる。
【0026】
【化4】
【0027】
式中で、Mは、遷移金属、13族、14族、15族、ランタン系金属及びアクチニド系金属からなる群から選択された何れか一つ以上の金属を表し、Lは、2つ以上の金属(M)イオンと同時にイオン結合または共有結合を形成する多座リガンドを表し、Sは、一つの金属(M)イオンとイオン結合または共有結合を形成する単座リガンドを表し、前記Lに含まれた前記金属(M)イオンと結合可能な作用基の数をdとした時、前記x、y、及びzは、yd+z≦6xの関係式を満足する整数を表す。
【0028】
前記化学式1の化合物は、配位高分子として、2つ以上の金属原子またはイオンに同時に結合できる幾つかの作用基を有するリガンドL(以下、多座リガンドと称す)がこの金属原子またはイオンを連結してネットワークを形成することによって得られる物質であって、結晶であるため、多面体形状になっており、特にモノクリニックまたはトリクリニック単位セルを有する場合が多くて、主に針状または板状の結晶形態を有するが、これに限定されるものではない。このような配位高分子は、多座リガンドとは別途に、一つの金属原子またはイオンに結合可能な単座リガンドSを選択によってさらに含みうる。
【0029】
本発明による配位高分子とは区別されねばならない構造を有する物質として、キレート化合物が挙げられる。キレート化合物は、多座リガンドが金属イオンに結合されている化合物を意味するが、この場合は、一般的な単一化合物を構成するものに過ぎず、本発明の配位高分子とは、その構造が相異なる。すなわち、エチレンジアミンのような多座リガンドが金属イオンに配位結合する場合がこれに該当し、この場合は、本発明の配位高分子とのようにネットワーク構造物ではなく、前記多座リガンドがキレート環を形成する一つの単一配位化合物に過ぎないため、本発明の配位高分子とは区別されねばならない。すなわち、本発明の配位高分子は、必須的に隣接する金属間に多座リガンドを通じてネットワークを形成したことを意味するものであって、一つの金属イオンにのみ多座で配位して形成されるキレート錯体の場合には、ネットワークを形成できなくなるので、本発明による配位高分子を形成できなくなる。
【0030】
前記多座リガンドLを通じてネットワークを形成する場合、中心金属イオンまたは原子は、これら多座リガンドとのみ配位結合を形成せねばならないものではなく、必要時に単座リガンドとも結合することも可能である。すなわち、前述したような多座リガンドを含む状況で、必要時に単座リガンドSをさらに含む。このような単座リガンドSとしては、一般的な配位化合物で使われる全てのリガンドをなんらの制限なしに選択して使用でき、主に孤立電子対が存在する窒素、酸素、硫黄、リン、砒素などを含むリガンドを使用しうる。例えば、H2O、SCN−、CN−、Cl−、Br−、NH3を使用しうる。しかし、単座リガンドとしても、作用基が一つのみ存在するものではなく、前述したようなキレート環を形成する場合ならば、多座リガンドを使用することも可能である。すなわち、2座、3座、4座などの多座リガンドとしても、金属原子またはイオンが他のリガンドを通じてネットワークの形成が可能な場合ならば、これらの使用は制限されない。
【0031】
本発明の金属イオンまたは原子をネットワークに連結可能な多座リガンドとしては、前記中心金属と共有結合あるいはイオン結合を形成してネットワークを形成しうる作用基を少なくとも2個以上有するものならば、なんらの制限なしに使用しうる。特に、このような多座リガンドは、前述したように、一つの金属イオンにのみ配位結合してキレート環を形成するキレートリガンドとしての多座リガンドとは区別されねばならない。これらは、配位ネットワーク高分子を形成することが難しいためである。
【0032】
このような本発明による配位高分子を形成する多座リガンドとして、具体的に例を挙げれば、下記化学式4のトリメセート系リガンド、化学式5のテレフタレート系リガンド、化学式6の4,4’−ビピリジン系リガンド、化学式7の2,6−ジカルボン酸ナフタレン系リガンド、及び化学式8のピラジン系リガンドを例として挙げられる。
【0033】
【化5】
【0034】
【化6】
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
前記式中で、R1ないしR25は、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数2ないし20のアルケニル基、置換または非置換の炭素数6ないし30のアリール基、置換または非置換の炭素数6ないし30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数2ないし30のヘテロアリール基、あるいは置換または非置換の炭素数2ないし30のヘテロアリールオキシ基を表す。
【0039】
このような多座リガンドの色々な例は、文献(Christoph Janiak,Dalton Trans.,2003,p2781−2804;及びStuart L.James,Chem.Soc.Rev.,2003,32,276−288)にさらに具体的に記述されており、引用によって本明細書に統合されている。
【0040】
前記多座リガンドと結合して配位高分子を形成する金属としては、前記リガンドに配位座を提供できるものならば、なんらの制限なしに使用でき、例えば、遷移金属、13族、14族、15族、ランタン系金属及びアクチニド系金属からなる群から選択された何れか一つ以上の金属を使用しうる。これらのうち、望ましくは、Fe、Pt、Co、Cd、Cu、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ag、Pd、Ru、Mo、Zr、Nb、La、In、Sn、Pb、Biなどを使用しうる。
【0041】
前述したように、前記配位高分子は、MxLySzの化学式を有するところ、ここで配位数と関連して、前記x、y及びzは、yd+z≦6x(ここで、dは、多座リガンドLで金属と結合可能な作用基の数を表す)の関係式を満足する整数である。例えば、Lが4座リガンドに該当し、単座リガンドSの2分子が金属と配位結合を形成する場合には、基本的な単位体の構造は、MLS2の基本構造を有し、1(y)×4(d)+2(z)=6×1(x)の関係式を満足する。ここで、多座リガンドLは、ネットワークを構成するための必須構成要素であるので、その値は1以上でなければならず、単座リガンドのSは、必要に応じて選択可能な選択的な構成要素であるので、その値は0以上でなければならない。これらx、y及びzは、前記化合物が高分子という特性上、具体的な原子の数を表すものではなく、前記金属及びリガンドが存在する比率を意味すると解釈しなければならないというのは、当業者には当然に理解されるべき部分である。これらのうち、中心金属MがCdであり、多座リガンドLが4,4’−ビピリジンである場合の本発明による配位高分子の例は、下記化学式9の通りである(ここで、xは、1であり、y及びzは、2の値を有する)。
【0042】
【化10】
【0043】
前記化学式9の配位高分子は、中心金属であるCdに4,4’−ビピリジンが配位結合した状態を表し、4,4’−ビピリジンに含まれている末端窒素原子が一つのCdイオンに結合した後、他の末端の窒素原子が他のCdイオンに結合する形態で反復結合することによってネットワークの形成が可能になり、その結果、2次元形態の格子構造を有する、非常に規則的な形態の配位高分子が得られる。このような配位高分子の形態は、これを熱処理して得られる、本発明による多孔性金属酸化物の最終的な形態、すなわち、粒子形態及び気孔分布に影響を及ぼす。したがって、配位高分子の形成過程を適切に制御すれば、最終生成物の形態を制御することと同じ効果が得られる。配位高分子の結晶形態を制御する方法としては、金属前駆体とリガンドとを結合させる反応の反応温度、pH、及び反応時間と共に、金属の種類、リガンドの種類及びこれらの濃度を適切に変化させるか、またはこれらを結晶状態として得るための乾燥温度及び時間を適切に制御することによって可能になる。
【0044】
前述したように、本発明による多孔性金属酸化物は、前記のような配位高分子を熱処理して得られる。このとき、前記熱処理は、望ましくは、非活性雰囲気で熱処理する第1工程と、酸素を含む雰囲気で熱処理する第2工程とを含んでなりうる。これとは異なり、前記熱処理工程を1工程として非活性雰囲気、あるいは酸素雰囲気で進めて多孔性酸化物を製造することも可能である。
【0045】
前記第1工程及び第2工程の熱処理を順次に進める場合は、次の通りである。まず非活性雰囲気で第1熱処理する工程によって炭素−金属ナノ複合材料を形成し、次いで、前記炭素−金属ナノ複合材料を酸素が含まれた雰囲気で第2熱処理して炭素を除去し、金属を酸化させることによって、多孔性金属酸化物を形成することが可能になる。
【0046】
前記非活性雰囲気での第1熱処理条件としては、特別に制限されるものではないが、300℃ないし該当金属の融点、望ましくは、500℃ないし該当金属の融点の温度で約0.1ないし10時間、望ましくは、0.5ないし3時間熱処理することが望ましい。前記熱処理温度が300℃未満である場合には、十分な熱処理効果が得られないので、炭素−金属複合材料の形成が不十分になり、該当金属の融点を超える場合には、ナノ複合材料の構造自体が崩壊される恐れがあって望ましくない。前記熱処理温度が0.1時間未満である場合には、十分な熱処理効果が得られず、10時間を超える場合には、超える時間ほどの増加される熱処理効果が得られないので、経済的ではないという問題がある。
【0047】
前記配位高分子を、前述したように、第1熱処理を行う場合、揮発成分及び燃焼が可能な部分は何れも蒸発されて除去されるので、その形態は同一であるが、体積が減少した炭素−金属ナノ複合材料が得られる。第1熱処理前後の形態の同一性を維持できるので、配位高分子の形態が熱処理後にも維持されるので、最終目的物の粒子形態を容易に制御できるということは、前述した通りである。
【0048】
また、酸素を含む雰囲気での第2熱処理条件は、特別に制限されるものではないが、300〜1500℃、望ましくは、300〜800℃で0.1ないし24時間、望ましくは、0.5ないし5時間進められる。前記第2熱処理温度が300℃未満である場合、炭素の揮発が難しくて炭素−金属複合材料から炭素が完全に除去され難く、前記温度が1500℃超過である場合、高温で焼結が速い速度で進められて気孔形態が崩壊されるという問題点がある。
【0049】
非活性雰囲気での1次熱処理によって生成された炭素−金属複合材料は、一定の周期性を表す。この周期性は、前記配位高分子が1次元、2次元、及び3次元形態で反復構造を有する点に起因したものであり、配位高分子が有している反復的な高規則性が熱処理後にも維持されるということを意味する。このような周期性は、1次熱処理によって得られる炭素−金属複合材料をX−線回折分析法を通じて測定でき、6nm以上のd−間隔で少なくとも一つのピークが存在する。このような周期性は、前記炭素−金属複合材料から製造される多孔性金属酸化物の物性にも影響を及ぼして、10nmサイズ以上、望ましくは、20ないし100nmの気孔が規則的に分布された金属酸化物を提供しうる。このように平均気孔サイズが10nmより大きい多孔性金属酸化物は、構造誘導物質の使用のみでは得られない。
【0050】
本発明による多孔性金属酸化物は、その粒子形態の制御が容易であるところ、配位高分子の適切な選択、あるいは熱処理工程条件によって最終収得される粒子形態を容易に調節でき、望ましくは、針状または板状の多孔性金属酸化物を得る。
【0051】
本発明による多孔性金属酸化物は、その原料となる配位高分子をほとんど水溶液上で合成できて経済的に有用性及び安全性が高く、これらを単純に熱処理することだけで目的物を生成できて量産が容易であり、テンプレートが不要であるという利点がある。また、配位高分子の形態を制御して所望の多孔性金属酸化物の形状を多様な形態で得られ、所望の用途によって粒子形状の制御も容易であるという利点も共に有する。それと共に、炭素になる部分と金属になる部分とが周期的に反復される均一な炭素−金属ナノ複合材料を熱処理して多孔性酸化物を形成することによって、気孔のサイズ及び分布が優秀でイオンやガスの移動が容易になる。その結果、優秀な高率特性を可能にして、二次電池、燃料電池や電気二重層キャパシタなどの電極材料、触媒、触媒用担体に有用に使用しうる。
【0052】
以下、本発明を実施例及び比較例をさらに詳細に説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0053】
[実施例1]
37.33gの硝酸ニッケル(II)4水化物と19.96gのトリメシン酸を100mlの蒸溜水に加えて55℃で2時間攪拌した。溶液中に生成された粉末をナイロンフィルタを利用して分離し、蒸溜水で数回洗浄した後、80℃のオーブンで12時間乾燥して配位高分子結晶を得た。図1は、このようにして得られた配位高分子結晶の走査電子顕微鏡写真を表す。
【0054】
前記で得られた配位高分子結晶をアルゴン雰囲気下で600℃で1時間熱処理して、熱処理前の配位高分子結晶とその形態は同じであり、体積は減少した炭素−ニッケル複合材料を製造した。図2は、得られた炭素−ニッケル複合材料の走査電子顕微鏡写真を表す。
【0055】
前記炭素−ニッケル複合材料を大気中で700℃で1時間熱処理して得られた多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を図3A及び図3Bに示した。図3A及び図3Bで、酸化物粉末の粒子形状がそのまま維持されつつ、多孔性を表すということが分かる。一方、図4は、得られた多孔性ニッケル酸化物のXRDグラフであって、純粋なNiO物質が形成されたということが分かる。
【0056】
前記多孔性ニッケル酸化物を窒素吸着法で分析した。BJH吸着法で気孔サイズの分布を分析し、これを図5に表した。図5から生成された気孔のサイズが主に20nm以上で分布するということが分かる。
【0057】
[実施例2ないし5]
配位高分子の合成と最終熱処理過程とを前記実施例1と同一に行いつつ、炭素−金属複合材料の形成のための熱処理温度を、下記表1に記載したように、700ないし1000℃に調節することを除いては、実施例1と同一に実施した。
【0058】
【表1】
【0059】
図6A及び図6Bは、実施例2で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表し、図7A及び図7Bは、実施例3で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表し、図8A及び図8Bは、実施例4で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表し、図9A及び図9Bは、実施例5で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す。
【0060】
これから熱処理温度が800℃以上である時に温度が上昇するにつれて、1次粒子のサイズ及び気孔サイズが増大するということが分かる。
【0061】
図10は、実施例2ないし5で製造した多孔性ニッケル酸化物のXRDグラフであって、純粋なNiO形態で存在するということが分かる。
【0062】
図11は、実施例4で製造した多孔性ニッケル酸化物に窒素を吸着させてBJH吸着法で分析したグラフであって、ほとんどの気孔が主に20nm以上の範囲に分布することを表す。
【0063】
[実施例6]
14.93gの硝酸ニッケル(II)4水化物、3.73gの硝酸コバルト(II)4水化物及び9.98gのトリメシン酸を100mlの蒸溜水に加えて55℃で2時間攪拌した。溶液中に生成された粉末をナイロンフィルタを利用して分離し、蒸溜水で数回洗浄した後、80℃のオーブンで12時間乾燥して針状の配位高分子結晶を得た。
【0064】
前記で得られた配位高分子結晶をアルゴン雰囲気下で900℃で1時間熱処理して炭素−(ニッケル、コバルト)複合材料を製造した後、再び大気中で700℃で1時間熱処理して多孔性Ni0.8Co0.2O物質を製造した。図12A及び12Bは、製造された多孔性Ni0.8Co0.2O物質の走査電子顕微鏡写真を表す。
【0065】
[実施例7]
14.93gの硝酸ニッケル(II)4水化物、3.73gの硝酸コバルト(II)4水化物及び9.98gのトリメシン酸を100mlの蒸溜水に加えて55℃で2時間攪拌した。溶液中に生成された粉末をナイロンフィルタを利用して分離し、蒸溜水で数回洗浄した後、80℃のオーブンで12時間乾燥して針状の配位高分子結晶を得た。
【0066】
前記で得られた配位高分子結晶をアルゴン雰囲気下で900℃で1時間熱処理して炭素−(ニッケル、コバルト)複合材料を製造した。製造された炭素−(ニッケル、コバルト)複合材料上に遷移金属とリチウムとの原子比が1:1となるようにLiOHを混合した後、大気中で700℃で12時間熱処理した。図13A及び13Bは、製造した多孔性LiNi0.8Co0.2O2物質の走査電子顕微鏡写真を表す。Liとの反応を通じて、LiNi0.8Co0.2O2の形成過程で1次粒子が成長したが、針状の粒子形状は維持され、一部気孔が依然として維持されるということが分かる。
【0067】
[実施例8:電気化学キャパシタの製造]
実施例2で製造された多孔性ニッケル酸化物93重量%、導電性炭素材料4重量%、及びPVDF3重量%をN−メチルピロリドンに分散してスラリを製造し、これをアルミニウムホイルに約100μmの厚さに塗布した後に乾燥させた。
【0068】
前記電極で直径13mmの円形に多数の電極を切取り、その重量が同じ2個の電極をCR2016規格のステンレススチール材質のコインセルにセパレータを介して相互重畳させつつ、対向するように挿入して試験用セルを製造した後、電解質としてテトラアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩(TEATFB)が0.6Mの濃度で溶解されたPC(Propylene Carbonate)溶液を注入した。このとき、セパレータとしては、Celgard社製のModel 3501ポリエチレンメンブレインを使用した。
【0069】
製造されたセルを使用して0.1mAの電流で0〜3.0V区間で充電及び放電を反復した。図14は、製造されたセルの初期充放電グラフを示す図面であって、キャパシタ特性を表している。
【0070】
[比較例]
実施例2で製造された多孔性NiO粉末の代わりに、硝酸ニッケル(II)4無水物粉末を大気中、700℃で1時間熱処理して得た非多孔性NiO粉末を使用することを除いては、同一に実施して比較セルを製造した。
【0071】
図15は、実施例8及び比較例で得られたセルを100回充放電を反復した後、キャパシタンス変化を表したグラフであって、本発明の多孔性ニッケル酸化物を電極として使用した実施例8の場合、非多孔性ニッケル酸化物を電極として使用した比較例対比初期性能及び寿命特性に優れるということが分かる。
【0072】
本発明は、図面に示した実施例を参照して説明されたが、それは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、多孔性金属酸化物関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施例1で製造した配位高分子の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図2】本発明の実施例1で製造した炭素−ニッケル複合材料の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図3A】本発明の実施例1で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図3B】本発明の実施例1で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図4】本発明の実施例1で製造した多孔性ニッケル酸化物のXRDグラフを表す図面である。
【図5】本発明の実施例1で製造した多孔性ニッケル酸化物の窒素吸着分析結果を表す図面である。
【図6A】本発明の実施例2で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す図面である。
【図6B】本発明の実施例2で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す図面である。
【図7A】本発明の実施例3で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す図面である。
【図7B】本発明の実施例3で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す図面である。
【図8A】本発明の実施例4で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図8B】本発明の実施例4で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図9A】本発明の実施例5で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す図面である。
【図9B】本発明の実施例5で製造した多孔性ニッケル酸化物の走査電子顕微鏡写真を表す図面である。
【図10】本発明の実施例1ないし5で製造した多孔性ニッケル酸化物のXRDグラフを表す図面である。
【図11】実施例4で製造した多孔性ニッケル酸化物の窒素吸着の分析結果を示す図面である。
【図12A】本発明の実施例6で製造した多孔性Ni0.8Co0.2Oの走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図12B】本発明の実施例6で製造した多孔性Ni0.8Co0.2Oの走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図13A】本発明の実施例7で製造した多孔性LiNi0.8Co0.2O2の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図13B】本発明の実施例7で製造した多孔性LiNi0.8Co0.2O2の走査電子顕微鏡写真を示す図面である。
【図14】実施例8で製造したセルの充放電特性を表すグラフである。
【図15】実施例8及び比較例で製造したセルの100回の充放電の反復時にキャパシタンスの変化を表すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配位高分子を熱処理する工程を含む多孔性金属酸化物の製造方法。
【請求項2】
前記熱処理が非活性雰囲気で熱処理する第1熱処理工程と、酸素を含む雰囲気で熱処理する第2熱処理工程と、を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属酸化物の製造方法。
【請求項3】
前記第1熱処理工程の熱処理温度は、300℃ないし前記配位高分子に含まれた中心金属の融点であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属酸化物の製造方法。
【請求項4】
前記第2熱処理工程の熱処理温度は、300ないし1500℃であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属酸化物の製造方法。
【請求項5】
前記配位高分子は、下記化学式1の単位体構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属酸化物の製造方法:
【化1】
式中で、Mは、遷移金属、13族、14族、15族、ランタン系金属及びアクチニド系金属からなる群から選択された一つ以上の金属を表し、
Lは、2つ以上の金属(M)イオンと同時に、イオン結合または共有結合を形成する多座リガンドを表し、
Sは、一つの金属(M)イオンとイオン結合または共有結合を形成する単座リガンドを表し、
前記Lに含まれた前記金属(M)イオンと結合可能な作用基の数をdとした時、前記x、y、及びzは、yd+z≦6xの関係式を満足する整数を表す。
【請求項6】
前記配位高分子は、前記多座リガンドを介して金属を相互連結して得られるネットワーク構造を形成することを特徴とする請求項5に記載の多孔性金属酸化物の製造方法。
【請求項7】
前記多座リガンドは、下記化学式4のトリメセート系リガンド、化学式5のテレフタレート系リガンド、化学式6の4,4’−ビピリジン系リガンド、化学式7の2,6−ジカルボン酸ナフタレン系リガンド、及び化学式8のピラジン系リガンドからなる群から選択される何れか一つ以上であることを特徴とする請求項5に記載の多孔性金属酸化物の製造方法:
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
前記式中で、R1ないしR25は、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数2ないし20のアルケニル基、置換または非置換の炭素数6ないし30のアリール基、置換または非置換の炭素数6ないし30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数2ないし30のヘテロアリール基、あるいは置換または非置換の炭素数2ないし30のヘテロアリールオキシ基を表す。
【請求項8】
前記金属Mは、Fe、Pt、Co、Cd、Cu、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ag、Pd、Ru、Mo、Zr、Nb、La、In、Sn、Pb、及びBiからなる群から選択される何れか一つ以上であることを特徴とする請求項5に記載の多孔性金属酸化物の製造方法。
【請求項9】
多面体形状を有し、平均気孔のサイズが10nm以上である多孔性金属酸化物。
【請求項10】
前記平均気孔のサイズは、20ないし100nmであることを特徴とする請求項9に記載の多孔性金属酸化物。
【請求項11】
前記多孔性金属酸化物は、粒子状であって、針状または板状であることを特徴とする請求項9に記載の多孔性金属酸化物。
【請求項12】
前記多孔性金属酸化物は、配位高分子を熱処理して得られることを特徴とする請求項9に記載の多孔性金属酸化物。
【請求項13】
前記配位高分子は、下記化学式1の単位体構造を有する化合物であることを特徴とする請求項12に記載の多孔性金属酸化物:
【化7】
式中で、Mは、遷移金属、13族、14族、15族、ランタン系金属及びアクチニド系金属からなる群から選択された一つ以上の金属を表し、
Lは、2つ以上の金属(M)イオンと同時にイオン結合または共有結合を形成する多座リガンドを表し、
Sは、一つの金属(M)イオンとイオン結合または共有結合を形成する単座リガンドを表し、
前記Lに含まれた前記金属(M)イオンと結合可能な作用基の数をdとした時、前記x、y、及びzは、yd+z≦6xの関係式を満足する整数を表す。
【請求項14】
前記配位高分子は、前記多座リガンドを介して金属を相互連結して得られるネットワーク構造を有することを特徴とする請求項12に記載の多孔性金属酸化物。
【請求項15】
前記多座リガンドは、下記化学式4のトリメセート系リガンド、化学式5のテレフタレート系リガンド、化学式6の4,4’−ビピリジン系リガンド、化学式7の2,6−ジカルボン酸ナフタレン系リガンド、及び化学式8のピラジン系リガンドからなる群から選択される何れか一つ以上であることを特徴とする請求項13に記載の多孔性金属酸化物:
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
前記式中で、R1ないしR25は、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数2ないし20のアルケニル基、置換または非置換の炭素数6ないし30のアリール基、置換または非置換の炭素数6ないし30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数2ないし30のヘテロアリール基、あるいは置換または非置換の炭素数2ないし30のヘテロアリールオキシ基を表す。
【請求項16】
前記金属Mは、Fe、Pt、Co、Cd、Cu、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ag、Pd、Ru、Mo、Zr、Nb、La、In、Sn、Pb、及びBiからなる群から選択される何れか一つ以上であることを特徴とする請求項13に記載の多孔性金属酸化物。
【請求項17】
請求項9ないし16のうち何れか1項に記載の多孔性金属酸化物を含むことを特徴とする電池用活物質。
【請求項18】
請求項9ないし16のうち何れか1項に記載の多孔性金属酸化物を含むことを特徴とする触媒。
【請求項19】
請求項9ないし16のうち何れか1項に記載の多孔性金属酸化物を含むことを特徴とする触媒用担体。
【請求項20】
請求項1ないし8のうち何れか1項に記載の製造方法によって得られた多孔性金属酸化物。
【請求項1】
配位高分子を熱処理する工程を含む多孔性金属酸化物の製造方法。
【請求項2】
前記熱処理が非活性雰囲気で熱処理する第1熱処理工程と、酸素を含む雰囲気で熱処理する第2熱処理工程と、を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属酸化物の製造方法。
【請求項3】
前記第1熱処理工程の熱処理温度は、300℃ないし前記配位高分子に含まれた中心金属の融点であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属酸化物の製造方法。
【請求項4】
前記第2熱処理工程の熱処理温度は、300ないし1500℃であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属酸化物の製造方法。
【請求項5】
前記配位高分子は、下記化学式1の単位体構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の多孔性金属酸化物の製造方法:
【化1】
式中で、Mは、遷移金属、13族、14族、15族、ランタン系金属及びアクチニド系金属からなる群から選択された一つ以上の金属を表し、
Lは、2つ以上の金属(M)イオンと同時に、イオン結合または共有結合を形成する多座リガンドを表し、
Sは、一つの金属(M)イオンとイオン結合または共有結合を形成する単座リガンドを表し、
前記Lに含まれた前記金属(M)イオンと結合可能な作用基の数をdとした時、前記x、y、及びzは、yd+z≦6xの関係式を満足する整数を表す。
【請求項6】
前記配位高分子は、前記多座リガンドを介して金属を相互連結して得られるネットワーク構造を形成することを特徴とする請求項5に記載の多孔性金属酸化物の製造方法。
【請求項7】
前記多座リガンドは、下記化学式4のトリメセート系リガンド、化学式5のテレフタレート系リガンド、化学式6の4,4’−ビピリジン系リガンド、化学式7の2,6−ジカルボン酸ナフタレン系リガンド、及び化学式8のピラジン系リガンドからなる群から選択される何れか一つ以上であることを特徴とする請求項5に記載の多孔性金属酸化物の製造方法:
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
前記式中で、R1ないしR25は、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数2ないし20のアルケニル基、置換または非置換の炭素数6ないし30のアリール基、置換または非置換の炭素数6ないし30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数2ないし30のヘテロアリール基、あるいは置換または非置換の炭素数2ないし30のヘテロアリールオキシ基を表す。
【請求項8】
前記金属Mは、Fe、Pt、Co、Cd、Cu、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ag、Pd、Ru、Mo、Zr、Nb、La、In、Sn、Pb、及びBiからなる群から選択される何れか一つ以上であることを特徴とする請求項5に記載の多孔性金属酸化物の製造方法。
【請求項9】
多面体形状を有し、平均気孔のサイズが10nm以上である多孔性金属酸化物。
【請求項10】
前記平均気孔のサイズは、20ないし100nmであることを特徴とする請求項9に記載の多孔性金属酸化物。
【請求項11】
前記多孔性金属酸化物は、粒子状であって、針状または板状であることを特徴とする請求項9に記載の多孔性金属酸化物。
【請求項12】
前記多孔性金属酸化物は、配位高分子を熱処理して得られることを特徴とする請求項9に記載の多孔性金属酸化物。
【請求項13】
前記配位高分子は、下記化学式1の単位体構造を有する化合物であることを特徴とする請求項12に記載の多孔性金属酸化物:
【化7】
式中で、Mは、遷移金属、13族、14族、15族、ランタン系金属及びアクチニド系金属からなる群から選択された一つ以上の金属を表し、
Lは、2つ以上の金属(M)イオンと同時にイオン結合または共有結合を形成する多座リガンドを表し、
Sは、一つの金属(M)イオンとイオン結合または共有結合を形成する単座リガンドを表し、
前記Lに含まれた前記金属(M)イオンと結合可能な作用基の数をdとした時、前記x、y、及びzは、yd+z≦6xの関係式を満足する整数を表す。
【請求項14】
前記配位高分子は、前記多座リガンドを介して金属を相互連結して得られるネットワーク構造を有することを特徴とする請求項12に記載の多孔性金属酸化物。
【請求項15】
前記多座リガンドは、下記化学式4のトリメセート系リガンド、化学式5のテレフタレート系リガンド、化学式6の4,4’−ビピリジン系リガンド、化学式7の2,6−ジカルボン酸ナフタレン系リガンド、及び化学式8のピラジン系リガンドからなる群から選択される何れか一つ以上であることを特徴とする請求項13に記載の多孔性金属酸化物:
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
前記式中で、R1ないしR25は、それぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1ないし20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数2ないし20のアルケニル基、置換または非置換の炭素数6ないし30のアリール基、置換または非置換の炭素数6ないし30のアリールオキシ基、置換または非置換の炭素数2ないし30のヘテロアリール基、あるいは置換または非置換の炭素数2ないし30のヘテロアリールオキシ基を表す。
【請求項16】
前記金属Mは、Fe、Pt、Co、Cd、Cu、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Ag、Pd、Ru、Mo、Zr、Nb、La、In、Sn、Pb、及びBiからなる群から選択される何れか一つ以上であることを特徴とする請求項13に記載の多孔性金属酸化物。
【請求項17】
請求項9ないし16のうち何れか1項に記載の多孔性金属酸化物を含むことを特徴とする電池用活物質。
【請求項18】
請求項9ないし16のうち何れか1項に記載の多孔性金属酸化物を含むことを特徴とする触媒。
【請求項19】
請求項9ないし16のうち何れか1項に記載の多孔性金属酸化物を含むことを特徴とする触媒用担体。
【請求項20】
請求項1ないし8のうち何れか1項に記載の製造方法によって得られた多孔性金属酸化物。
【図4】
【図5】
【図11】
【図14】
【図15】
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図5】
【図11】
【図14】
【図15】
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【公開番号】特開2007−261939(P2007−261939A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88910(P2007−88910)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
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