説明

多層プリント配線板の製造方法

【目的】 配線自由度の向上、導体パターンの形成精度の向上、及び耐粗化液性等の改善による接続信頼性の向上を確実に図ること。
【構成】 めっきスルーホール5内に導電性物質である銅ペースト7を充填する。銅ペースト7の露出面に金属膜としてのめっき膜8を形成する。めっき膜8を露出しうる位置に開口部19を有する絶縁層9を、基材2上に形成する。その絶縁層9を化学的に粗化処理する。開口部19に対する無電解めっきを行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層プリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大規模かつ高速度のコンピュータシステム等を実現する場合、通常、小型で高速度・高集積のLSIチップ等を使用し、それらを高速化に適した構造にして配線板上に実装することが重要な課題となる。そして、特に近年においては、多層化や導体パターンの細線化等を図ることによって、より高密度実装が可能な配線板を作製することが盛んに試みられている。
【0003】複数層にわたって導体パターンを持つ配線板としては、プラスティック製の基板等を主な素材として用いた多層配線板(いわゆる多層プリント配線板)が従来より良く知られている。現状においては、低コストであるという理由等からこの種の多層プリント配線板が最も普及している。
【0004】また、多層プリント配線板に導体パターンを形成する方法を大別すると、一般的に■サブトラクティブプロセス(Subtractive Process )と■アディティブプロセス(Additive Process)の二つに分類することができる。
【0005】■のサブトラクティブプロセスとは、銅張積層板を素材として使用しかつ表面の銅箔をエッチングすることによって、必要な導体パターンを形成する製造方法である。一方、■のアディティブプロセスとは、銅箔が張りつけられていない基板を使用しかつ主として無電解めっきによって、必要な部分に導体パターンを形成する製造方法である。
【0006】ここで、両プロセスのいずれかによって作製される従来の多層プリント配線板を、その製造工程と共に各図面をもとに具体的に説明する。図12(d)には、サブトラクティブプロセスによる多層プリント配線板(6層板)30が示されている。この多層プリント配線板30は、次のような手順を経て作製される。
【0007】まず、2枚の外層用の銅張積層板31と1枚の内層用の銅張積層板32とをそれぞれ用意する。次に外層用の銅張積層板31にバイアホール形成用孔を形成した後、無電解及び電解銅パネルめっき及び内層パターンエッチングを行う。内層用の銅張積層板32についてはバイアホール形成用孔を形成せずに、内層パターンエッチングのみを行う。次に、図12(a)に示されるように、外層用の銅張積層板31、プリプレグ33、内層用の銅張積層板32、プリプレグ33、外層用の銅張積層板31の順に重ね合わせて積層プレスする。次に、図12(b)に示されるように、ドリル加工等によってスルーホール形成用孔34を透設する。ここで無電解及び電解銅パネルめっき及びスルーホールめっきを行った後、図12(c)に示されるように最外層にエッチングレジスト35を形成する。最後に外層パターンエッチングを行った後、エッチングレジスト35を剥離する。
【0008】以上の工程を経て、バイアホール36及びめっきスルーホール37によって各層の導体パターン38が接続された多層プリント配線板30が作製される。図13(d)には、アディティブプロセスによって作製される多層プリント配線板(6層板)40が示されている。この多層プリント配線板40は図12の多層プリント配線板30とは異なり、銅張積層板41の両面に配線層42を備えている。その作製手順は以下の通りである。
【0009】まず、図13(a)に示されるように、例えばマスラミネーション方式によって作製された銅張積層板41を用意する。次に、内層パターンエッチングを行った後、両面に感光性樹脂を用いて層間絶縁層43を形成する。そして、露光・現像を行うことによって、図1313(b)に示されるように層間絶縁層43にバイアホール形成用孔44を形成する。次に粗化、スルーホール形成用孔45の透設及び触媒核付与を行った後、図13(c)に示されるように最外層に永久レジスト46を形成する。最後に無電解銅パターンめっきを行うことによって、スルーホール形成用孔45の内壁面等に銅めっきを析出させる。以上の工程を経て、バイアホール47及びめっきスルーホール48によって各層の導体パターン49,49aが接続された多層プリント配線板40が作製される。
【0010】なお、アディティブプロセスによって形成される導体パターン49aは、高精度かつファインなものになるという特徴がある。よって、このプロセスを経て形成される多層プリント配線板40は、サブトラクティブプロセスによるものに比較して高密度化に適しているということができる。
【0011】図14にも、同様にアディティブプロセスによる多層プリント配線板(6層板)50が示されている。この多層プリント配線板50も、銅張積層板51の両面に配線層52を備えるものである。しかし、各配線層52が二層の層間絶縁層53,54によって構成されている点や、めっきスルーホール55が完全に埋設されている点などが相違している。なお、各層の導体パターン58,59はバイアホール56,57及びめっきスルーホール55によって接続されている。また、この多層プリント配線板50では、肉厚になった銅張積層板に対するスルーホール形成用孔等の形成が行われないという特徴もある。
【0012】つまり、上記の構成からも明らかなように、この多層プリント配線板50によれば、全体の肉薄化及び導体パターン58,59のファイン化を更に推進することが可能なものとなっている。従って、図14のタイプの構成が最も高密度化や小型化等に適していると考えられている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図14に示される従来の多層プリント配線板50には以下に述べるような問題がある。
【0014】前述したように、多層プリント配線板50の各層の導体パターン58,59は、導体によって電気的に接続されている必要がある。ここで図14及び図15R>5に基づき、バイアホール56,57及びめっきスルーホール55による接続の様子について説明する。
【0015】めっきスルーホール55のランド55bの一部には、円形状をした接続用パッド55aが形成されている。その接続用パッド55a上には、内層側の層間絶縁層53に属するバイアホール56が接続されている。前記バイアホール56は、内層側の層間絶縁層53上に形成された接続用パッド56aに接続されている。そして、その接続用パッド56a上には、外層側の層間絶縁層54に属するバイアホール57が接続されている。つまり、従来においては、めっきスルーホール55の上部やバイアホール56の上部(即ち、軸線上となる位置)を避けて接続用パッド55a,56aを配置することが要求されることになる。
【0016】しかし、上記のような配置にすると、導体パターン58の配線に利用できるエリアが相対的に減少することになるため、配線自由度の低下が避けられない。よって、多層プリント配線板50の小型化や高密度化を充分に達成することができない。
【0017】また、図14の多層プリント配線板50の場合、めっきスルーホール55に空洞部55cがあったり、内層側の層間絶縁層53に属するバイアホール56に凹部56bがあるため、最外層の導体パターン59に凹凸ができ易いという問題がある。このように導体の形成精度が悪い場合、仮にその導体パターン59がボンディングパッドであるとすると、凹凸の存在によってワイヤボンディング精度が悪化する。その結果、多層プリント配線板50に対するLSIチップやパッケージ等の実装が困難になる。
【0018】更に、図14のプリント配線板50において、仮に貫通孔や有底孔に充填材等を充填しようとすると、以下のような問題が生じる。即ち、絶縁層形成後に実施される粗化処理工程のとき、粗化液(クロム酸、クロム硫酸、過マンガン酸等)に晒されることによって、使用される充填材の選定によっては充填材中の樹脂が溶解してしまう。このため、例えば充填材部分と他の金属部分との間の接続信頼性が悪くなってしまうおそれがある。また、粗化処理工程後に実施される無電解めっき工程(強アルカリ)によっても、その工程が長時間に及ぶときには前記充填材に悪影響がでやすくなる。そして、この場合にも接続信頼性の悪化につながってしまう。
【0019】本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、配線自由度の向上、導体パターンの形成精度の向上、及び耐粗化液性や耐めっき液性等の改善による接続信頼性の向上を確実に図ることができる多層プリント配線板の製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、基材を貫通するように形成されためっきスルーホール内に充填材を充填する工程と、前記充填材上に金属膜を形成する工程と、少なくとも前記金属膜上に開口部を有する絶縁層を前記基材上に形成する工程とを行った後、前記絶縁層を化学的に粗化処理する工程及び前記開口部を含む領域にめっきを施す工程のうちの少なくともいずれかを行う多層プリント配線板の製造方法をその要旨としている。
【0021】請求項2に記載の発明では、絶縁層に形成された有底孔内に充填材を充填する工程と、前記充填材上に金属膜を形成する工程と、少なくとも前記金属膜上に開口部を有する別の絶縁層を前記絶縁層上に形成する工程とを行った後、外層側となる絶縁層を化学的に粗化する工程及び前記開口部を含む領域にめっきを施す工程のうちの少なくともいずれかを行う多層プリント配線板の製造方法をその要旨としている。
【0022】請求項3に記載の発明では、請求項1または2において、前記充填材は導電性物質であり、かつ前記金属膜は厚さ1μm〜7μmのめっき膜であるとしている。請求項4に記載の発明では、請求項1または2において、前記充填材は非導電性物質であり、かつ前記金属膜は厚さ5μm〜30μmのめっき膜であるとしている。請求項5に記載の発明では、請求項1または2において、前記充填材は導電性物質であり、かつ前記金属膜は厚さ0.05μm〜2μmのスパッタ膜であるとしている。
【0023】
【作用】請求項1に記載の発明によると、めっきスルーホール内から露出している充填材が金属膜によって保護された状態で粗化処理工程やめっき工程が行われるため、充填材が粗化液やめっき液に直接晒されることがない。従って、粗化液やめっき液による充填材中の樹脂の溶解が防止される。
【0024】また、この発明によると、充填材の充填によってめっきスルーホールの端面が平坦化されるため、その部分を接続用パッドとして使用することができる。つまり、めっきスルーホールのほぼ軸線上に有底孔(以下、バイアホールという)の底面を接続することが可能となる。そして、めっきスルーホール側とバイアホール側とが金属膜を介して電気的に接続可能となり、めっきスルーホールの上部を避けるようにして接続用パッドを配置する必要がなくなる。
【0025】更に、この発明によると、めっきスルーホールの空洞部の存在による絶縁層の落ち込みが防止されるため、めっきスルーホールの上部にあたる部分に形成された導体パターンに凹凸が生じることもない。
【0026】請求項2に記載の発明によると、バイアホール内から露出している充填材が金属膜によって保護された状態で粗化処理工程やめっき工程が行われるため、充填材が粗化液やめっき液に直接晒されることがない。従って、粗化液やめっき液による充填材中の樹脂の溶解が防止される。
【0027】また、この発明によると、充填材の充填によってバイアホールの端面が平坦化されるため、その部分を接続用パッドとして使用することができる。つまり、そのバイアホールのほぼ軸線上に別のバイアホールの底面を接続することが可能となる。そして、内外層のバイアホール同士が金属膜を介して電気的に接続可能となり、内層側のバイアホールの上部を避けるようにして接続用パッドを配置する必要がなくなる。
【0028】更に、この発明によると、下層側のバイアホールの空洞部の存在による絶縁層の落ち込みが防止されるため、同バイアホールの上部にあたる部分に形成された導体パターンに凹凸が生じることもない。
【0029】特に請求項3〜5に記載の発明によると、充填材を導電性物質または非導電性物質とし、かつ金属膜(めっき膜またはスパッタ膜)の厚さを所定範囲に設定しているため、製造工程の長時間化を招くことなく、確実な溶解防止を図ることができる。
【0030】
【実施例】
〔実施例1〕以下、本発明を多層プリント配線板の製造方法に具体化した実施例1を図1〜図8に基づいて詳細に説明する。
【0031】図1には、多層プリント配線板1が示されている。この多層プリント配線板1は、基材2の両面に薄膜配線層3を備える6層板である。基材2の両面には導体パターン4が形成されている。これらの導体パターン4は、基材2を貫通するように設けられためっきスルーホール5によって接続されている。なお、本実施例のめっきスルーホール5は、その両端部に円形状のランド5cを有している。
【0032】めっきスルーホール5を構成している銅めっき層5bは、その中央部に空洞部5aを有している。そして、その空洞部5aには、導電性を有する充填材としての銅ペースト7が充填されている。めっきスルーホール5の両端面は、銅ペースト7が充填されることによって平坦化されている。平坦化されためっきスルーホール5の両端面には、金属膜としてのめっき膜8が形成されている。つまり、めっきスルーホール5から露呈している銅ペースト7が、めっき膜8によって被覆された状態となっている。
【0033】本実施例の多層プリント配線板1には、内層側の層間絶縁層9及び外層側の層間絶縁層10の二層構造からなる配線層3が形成されている。内層側の層間絶縁層9の表面には永久レジスト11が形成されている。内層側の層間絶縁層9の表面のうち永久レジスト11が形成されていない部分には、導体パターン12が形成されている。同様に外層側の層間絶縁層10の表面には永久レジスト13が形成されている。外層側の層間絶縁層10の表面のうち永久レジスト13が形成されていない部分には、導体パターン14が形成されている。前記導体パターン14の一部は、LSIチップ等を表面実装するための接続用パッドとなっている。また、外層側の層間絶縁層10の表面は、一部を除いてソルダーレジスト6によって被覆されている。なお、説明の便宜上、前記導体パターン14のことをこれ以降「最外層の導体パターン14」と呼ぶことにする。同様に導体パターン12のことを「外層の導体パターン12」と、導体パターン4のことを「内層の導体パターン4」とそれぞれ呼ぶことにする。
【0034】内層側の層間絶縁層9には、層間接続用のバイアホール15が形成されている。外層側の層間絶縁層10にも、同様に層間接続用のバイアホール16が形成されている。バイアホール15,16を構成している銅めっき層15b,16bは、その中央部に凹部15a,16aを有している。そして、内層側の層間絶縁層9に属するバイアホール15の凹部15aには、導電性を有する充填材である銅ペースト7が充填されている。
【0035】この多層プリント配線板1の場合、めっきスルーホール5の端面から露呈している銅ペースト7に、内層側の層間絶縁層9に属するバイアホール15の底面がめっき膜8を介して電気的に接続されている。また、バイアホール15の凹部15aに充填された銅ペースト7上には、外層側の層間絶縁層10に属するバイアホール16の底面が同じくめっき膜8を介して電気的に接続されている。従って、めっきスルーホール5とバイアホール15,16とが、ほぼ一直線上に配置された状態となっている。即ち、この多層プリント配線板1において、銅ペースト7はいわばバイアホール15,16のための接続用パッドの役割を果たしている。
【0036】次に、この多層プリント配線板1を製造する手順を図2〜図8に基づいて説明する。まず、ガラス布基材エポキシ樹脂を素材とした銅張積層板17を用意し、その銅張積層板17に対してスルーホール形成用孔18を透設する。次に、従来公知の手法に従ってパネルめっき及びスルーホールめっきを行い、スルーホール形成用孔18内に銅めっき層5bを析出させる。その結果、図2に示されるように銅張積層板17にめっきスルーホール5が形成される。なお、本実施例においてスルーホール形成用孔18の内径が約300μmに、めっきスルーホール5のランド5c径が約700μmに設定されている。
【0037】次に、めっきスルーホール5が形成された銅張積層板17に、各めっきスルーホール5の形成位置と対応する位置に孔を有するメタルマスクを配置する。そして、スキージを移動させることによって、図3に示されるようにめっきスルーホール5の空洞部5aに銅ペースト7を充填する。本実施例では、主成分である銅粉末及び熱硬化性樹脂に少量の溶剤やチクソ剤等を添加した銅ペースト7が使用されている。
【0038】次に充填された銅ペースト7の乾燥を行い、表面をバフ研磨により整面した後、薄付けパネルめっきによって銅張積層板17の両面にめっき膜8を形成する。なお、銅ペースト7を充填する場合、乾燥後における銅ペースト7の露呈面の高さがめっきスルーホール5のランド5c面の高さとほぼ同じになることが好ましい。
【0039】金属膜であるめっき膜8を形成する手段としては、電解めっき法や無電解めっき法がある。この場合、形成されるめっき膜8の厚さは1μm〜7μm、更には3μm〜6μm、特には4μm〜5μmであることがよい。めっき膜8が厚くなると、製造時間の短縮化が図れなくなり、コスト高になるおそれがある。一方、めっき膜8が薄すぎると、銅ペースト7を粗化液やソフトエッチング工程から確実に保護することができなくなるおそれがある。なお、本実施例では電解銅めっき法によって、厚さ5μmの銅からなるめっき膜8を形成することとしている。
【0040】次にめっき膜8の表面にエッチングレジストを形成した後、パターンエッチングを行う。すると、図4に示されるように、所定形状をした内層の導体パターン4が形成される。なお、本実施例では前記内層の導体パターン4が、主として電源層またはグランド層として使用される。
【0041】次に、内層の導体パターン4が形成された銅張積層板17の両面に、酸化剤に対して比較的難溶な樹脂マトリックス中に、酸化剤に対して比較的易溶な樹脂フィラーが分散された感光性エポキシ系のアディティブ用接着剤を塗布する。ここで露光・現像を行うことによって、図5に示されるように、開口部としてのバイアホール形成用孔19を有する内層側の層間絶縁層9を形成する。このとき、バイアホール形成用孔19は、銅ペースト7が充填されているめっきスルーホール5の端面に対応して設けられる。
【0042】次に、粗化剤(酸化剤)であるクロム酸を用いて、内層側の層間絶縁層9に対する化学的な粗化処理を行う。その後、触媒核付与、永久レジスト11の形成、めっき前処理及び無電解銅パターンめっきを行う。
【0043】上記のめっき処理を経ると、バイアホール形成用孔19の内壁面や、バイアホール形成用孔19から露呈しているめっき膜8の表面等に銅めっき層15bが析出する。よって、図6に示されるように、内層側の層間絶縁層9に開口径が約100μmのバイアホール15が形成される。なお、本実施例では銅めっき層15bの析出厚さが約25μmに設定されている。前記バイアホール15のうちめっきスルーホール5の軸線上に配置されたものについては、その底面がめっきスルーホール5の端面に接続された状態となる。また、内層側の層間絶縁層9の表面には、外層の導体パターン12が形成される。
【0044】次に、バイアホール15が形成された内層側の層間絶縁層9の表面に、各バイアホール15の形成位置と対応する位置に孔を有するメタルマスクを配置する。そして、スキージを移動させることによって、バイアホール15の凹部15aに上記の銅ペースト7を充填する。その結果、銅ペースト7の充填によって、バイアホール15の開口側の端面が平坦化された状態となる。このとき、銅ペースト7の露呈面の高さがバイアホール15のランド面の高さとほぼ同程度になることが良い。
【0045】次に、充填された銅ペースト7の乾燥を行った後、上述した薄付けパネルめっきによって、前記バイアホール15内の銅ペースト7上にも、図7に示されるような金属膜としてのめっき膜8を形成する。この場合、めっき膜8を形成する手段としては、電解めっき法や無電解めっき法がある。形成されるめっき膜8の厚さは1μm〜7μm、更には3μm〜6μm、特には4μm〜5μmであることがよい。その理由は上記の通りである。本実施例では、めっきスルーホール5のときと同じく、電解銅めっき法によって厚さ5μmの銅からなるめっき膜8を形成することとしている。
【0046】次に、上述した内層側の層間絶縁層9の形成手順に従って、外層側の層間絶縁層10を形成する。このとき、露光・現像を行うことによって、銅ペースト7が充填されているバイアホール15の端面に対応して、開口部としてのバイアホール形成用孔が設けられる。続いて外層側の層間絶縁層10に対する化学的な粗化処理及び触媒核付与を行った後、永久レジスト13の形成、めっき前処理及び無電解銅パターンめっきを行う。上記のめっき処理を経ると、バイアホール形成用孔の内壁面や、凹部16a内の銅ペースト7の表面等に銅めっき層16bが析出する。よって、図8に示されるように、外層側の層間絶縁層10に開口径が約100μmのバイアホール16が形成される。
【0047】前記バイアホール16のうち内層側の層間絶縁層9に属するバイアホール15の軸線上に配置されたものについては、その底面が同バイアホール15の端面に接続された状態となる。また、外層側の層間絶縁層10の表面には、最外層の導体パターン14が形成される。更に、最外層の導体パターン14はソルダーレジスト6によって被覆される。なお、本実施例ではリキッドフォトソルダーレジストが使用されている。一方、外層側の層間絶縁層10に属するバイアホール16は、前記ソルダーレジスト6から露呈している。即ち、この多層プリント配線板1において前記バイアホール16は、例えばLSIチップ等のリードやバンプなどを接合するための外部接続端子として使用されるようになっている。
【0048】さて、以上のような本実施例の多層プリント配線板1の製造方法の作用効果について説明する。この製造方法によると、めっきスルーホール5やバイアホール15の端面から露出している銅ペースト7は、粗化処理工程を行う前に、予めめっき膜8によって保護される。そして、この状態で粗化処理工程が行われるため、銅ペースト7が粗化液に直接晒されることがない。従って、粗化液による銅ペースト7中の樹脂の溶解を防止することができる。このため、銅ペースト7の露出面に凹凸等が少なくなり、銅ペースト7部分とその上部に形成される銅めっき層15b,16bとの接続状態が確実に向上する。この結果、接続信頼性に優れた多層プリント配線板1が得られることとなる。
【0049】また、この製造方法では、上記のように予めめっき膜8によって保護された状態で、バイアホール15,16を形成するための無電解銅めっき工程が行われる。このため、数時間という長い時間にわたって実施される無電解銅めっき工程を経たときであっても、銅ペースト7がめっき液に直接晒されることがなく、銅ペースト7に特に悪影響がでるということはない。
【0050】更に、この製造方法によると、銅ペースト7の充填によってめっきスルーホール5の端面が平坦化されるため、その部分を接続用パッドとして使用することができる。つまり、めっきスルーホール5のほぼ軸線上にバイアホール15の底面を接続することが可能となる。同様に、銅ペースト7の充填によってバイアホール15の端面が平坦化されるため、その部分についても接続用パッドとして使用することができる。即ち、そのバイアホール15のほぼ軸線上に別のバイアホール16の底面を接続することも可能となる。
【0051】そして、めっきスルーホール5側とバイアホール15側、及びバイアホール15,16側同士がめっき膜8を介して電気的に接続可能となる。ゆえに、めっきスルーホール5の上部や内層側のバイアホール15の上部を避けるようにして接続用パッドを配置する必要がなくなる。
【0052】以上のことから明らかなように、本実施例の多層プリント配線板1の場合、めっきスルーホール5とバイアホール15,16とがほぼ一直線上に配列された状態となっている。それゆえ、この多層プリント配線板1にあっては、従来の多層プリント配線板と比較して、導体パターン4,12,14の配線に利用できるエリアが相対的に大きくなっている。また、配線エリアの増加に伴って配線自由度も格段に向上することになり、もって多層プリント配線板1の小型化や高密度化を充分に達成することが可能となる。加えて、設計自由度が向上する結果、配線の完全自動化を行ううえで極めて好都合になる。そして、このような配線の完全自動化が実現されることによって、設計期間の短縮化やコストダウン等が達成されることになる。
【0053】更に、この発明によると、めっきスルーホール5の空洞部5aの存在による内層側の層間絶縁層9の落ち込みが防止される。このため、めっきスルーホール5の上部にあたる部分に形成された外層の導体パターン12に凹凸が生じることがない。同様に、内層側のバイアホール15の空洞部の存在による外層側の層間絶縁層10の落ち込みが防止されるため、同バイアホール15の上部にあたる部分に形成された最外層の導体パターン14に凹凸が生じることもない。
【0054】以上のことから明らかなように、めっきスルーホール5やバイアホール15のほぼ軸線上に形成された外層の導体パターン12や最外層の導体パターン14に凹凸が生じることがない。従って、本実施例の多層プリント配線板1は、極めて寸法精度に優れた導体パターン12,14を有するものとなる。このため、仮に最外層の導体パターン14の一部をボンディングパッドとしたときでも、精度良くワイヤボンディングを行うことができる。しかも、上記の構成であると、外層側の層間絶縁層10の平坦性も改善されるため、多層プリント配線板1へICチップやLSIチップ等を表面実装する際に極めて好都合になる。
【0055】また、この製造方法の場合、厚さ5μmの銅からなるめっき膜8を金属膜としているため、製造工程の長時間化を招くことなく確実な溶解防止を図ることができる。なお、この程度の厚さのめっき膜8であれば、自身のめっき工程の際に銅ペースト7中の樹脂の溶解を伴うこともない。勿論、前記めっき膜8には形成が容易でありかつ低コストであるという利点もある。
【0056】更に、本実施例では、銅粉末を主成分として含む銅ペースト7を充填材として使用しているため、充填作業に時間がかからない。ゆえに、無電解めっきによって充填材を充填する従来方法(例えば、従来公知のフィルド・ビアの形成方法等)に比べて、製造工程的にもコスト的にも有利になる。特に、本実施例のような銅ペースト7を用いた充填方法によると、接着剤の二度塗りや研磨加工による面出し等が必ずしも必要とはされなくなる。このため、従来におけるフィルド・ビアの形成方法よりも優れたものとなっている。
【0057】そして、本実施例の多層プリント配線板1では、めっきスルーホール5が配線層3下に完全に埋設された状態となっている。従って、貫通しためっきスルーホール5を有する従来の多層プリント配線板とは異なり、パッケージを構成したときの封止性や気密性が良くなるという利点がある。そして、この構成によると、基材2となる銅張積層板17のみにスルーホール形成用孔18を透設するだけで足りる。よって、スルーホール形成用孔18ばかりでなくバイアホール形成用孔の加工が必要な従来の多層プリント配線板とは異なり、加工コストが安くなる。
【0058】また、本実施例の多層プリント配線板1によると、めっきスルーホール5の空洞部5aに銅ペースト7が完全に充填される結果、めっきスルーホール5の内部に気泡が全く残留しなくなる。従って、内部の気泡に起因してクラックが発生するおそれがなくなり、多層プリント配線板1の耐熱性が向上する。
〔実施例2〕図9には実施例2の多層プリント配線板20が示されている。この多層プリント配線板20は、実施例1の多層プリント配線板1におけるバイアホール16の凹部16aを銅ペースト7で充填したことを特徴としている。そして、更に実施例1において行ったと同様に、めっき膜8(図示略)を形成することが好ましい。ゆえに、実施例2の多層プリント配線板20では、バイアホール16の開口側の端面がほぼ平坦化された状態となっている。
【0059】この構成であると、例えばバイアホール16の開口部側の端面を表面実装の接続用パッドとして使用する場合、同端面が平坦でないときよりもLSIチップやパッケージ等のリードやバンプなどの接合が容易になる。つまり、前記開口側の端面に凹部16aがなくなることによって、ワイヤボンディングがより容易に実施できるようになるからである。なお、はんだ付けによってリード等の接続を行う場合には、はんだ供給量が少なくて済むという利点もある。
〔実施例3〕図10には実施例3の多層プリント配線板22が示されている。この多層プリント配線板22は、実施例1の多層プリント配線板1と同じく、基材2の両面に配線層3を備える6層板である。但し、この多層プリント配線板22では、配線層3を構成している内層側の層間絶縁層9よりも外層となる部分の構成に相違点がある。よって、ここでは相違点に関する構成を中心として説明することとし、共通点に関する構成については説明を省略する。
【0060】図10に示されるように、外層側の層間絶縁層10には、実施例1のバイアホール16とは異なるバイアホール23が形成されている。つまり、このバイアホール23は、バイアホール形成用孔24内にいわゆるマッシュルーム状の銅めっき層(即ち、マッシュルーム型バンプ)25を有したものとなっている。従って、このバイアホール23は、開口部側に凹部16aを持たずしかも外層側の層間絶縁層10の表面よりもいくぶん突出したものとなっている。
【0061】また、この多層プリント配線板22では、外層側の層間絶縁層10の表面に最外層の導体パターン14が形成されていないことが特徴的である。よって、この多層プリント配線板22は、実施例1,2とは異なり、永久レジスト13もソルダーレジスト6も備えないものとなっている。
【0062】ここで実施例3の多層プリント配線板22を製造する手順を説明する。まず銅張積層板17を出発材料として用い、実施例1の方法に準じて、内層側の層間絶縁層9に属するバイアホール15を形成する工程まで実施する。バイアホール15の端面には、厚さ5μmの銅からなるめっき膜8が形成されている。次に内層側の層間絶縁層9の表面に、感光性エポキシ系の接着剤を塗布することによって、外層側の層間絶縁層10を形成する。次に露光・現像を行うことによって、外層側の層間絶縁層10に開口部としてのバイアホール形成用孔24を形成する。続いて、無電解銅めっき浴を用いて、所定時間のあいだ無電解めっきを行う。すると、バイアホール形成用孔24から露呈しためっき膜8のみを核として、銅めっきが析出し始める。そして、銅めっきによってバイアホール形成用孔24が充填され、最終的には図1010に示されるようなマッシュルーム型バンプ25が形成される。
【0063】さて、実施例3の多層プリント配線板22によると、外部接続端子であるバイアホール23の開口部側の端面が外層側の層間絶縁層10から隆起した状態となっている。従って、前記実施例2のときと同じく、LSIチップやパッケージ等のリードやバンプなどの接合が更に容易になる。
【0064】また、この多層プリント配線板22を用いてパッケージを構成すると、マッシュルーム型バンプ25を外部接続端子として、同パッケージをマザーボードへ容易に実装することが可能となる。
【0065】更に、最外層の導体パターン14を設けない実施例3の構成によると、ソルダーレジスト6や永久レジスト13を省略することができる。このため、多層プリント配線板22の構成を簡単にすることができると共に、部品実装に適したフラットな外表面を得ることができる。そして、上記のような構成を採った場合、多層プリント配線板22の外表面全体を部品の表面実装用のエリアとして利用することができる。
【0066】そして、上記のような無電解銅めっきによる充填方法であると、外層側の層間絶縁層10に形成されたバイアホール形成用孔24を均一に充填することができるという利点がある。結果として、所望のバイアホール23が比較的簡単に得られることとなる。なお、この方法によるとめっき膜8を核として銅めっき層25を析出させることができる。ゆえに、無電解銅めっきの最初の析出のための触媒核が不要になるという利点がある。勿論、この場合においても、めっき膜8が存在していることから、その下に位置する銅ペースト7中の樹脂の溶解が防止される。
〔実施例4〕図11には実施例4の多層プリント配線板27が示されている。
【0067】この多層プリント配線板27は、実施例2の多層プリント配線板20と同じく、外層側の層間絶縁層10に属するバイアホール16の凹部16aに銅ペースト7を充填したものである。但し、この多層プリント配線板27では、■最外層の導体パターン14及びソルダーレジスト6がない点、■めっきスルーホール28にランドがない点が相違している。
【0068】従って、上記のような構成を採る実施例3の場合、めっきスルーホール28にランドがない分だけ、基材2上における配線エリアが増加するという利点がある。よって、基材2上に別に配線層を形成することができ、多層プリント配線板27の小型化及び高密度化を一層推進するうえで極めて好都合である。また、この構成によると、めっきスルーホール28の狭ピッチ化も可能なため、全体的なコンパクト化を図ることができるという利点がある。
【0069】更に、最外層の導体パターン14を設けない実施例4の構成によると、ソルダーレジスト6を省略できるため、構成を簡単にすることができ、かつ部品実装に適したフラットな外表面を得ることができる。そして、上記のような構成を採った場合、多層プリント配線板22の外表面全体を部品の表面実装用のエリアとして利用することができる。
〔実施例5〕実施例5では、実施例1とほぼ同じ構成の多層プリント配線板1を多少異なる方法によって製造している。ここではその異なる部分の手順を主に説明する。
【0070】まず実施例1の製造手順に準じて、図5に示されるように、開口部であるバイアホール形成用孔19を有する内層側の層間絶縁層9を形成する工程まで実施する。次に、粗化処理を行うことなしにスパッタリングを行う。このスパッタリングによって、内層側の層間絶縁層9の全面に金属膜としてのスパッタ膜8を形成する。
【0071】この場合、形成されるスパッタ膜8の厚さは0.05μm〜2.0μm、特には0.1μm〜1.0μmであることがよい。その理由は、めっき膜8のときとほぼ同じである。なお、本実施例では厚さ0.1μmの銅からなるスパッタ膜8を形成することとしている。
【0072】次に、前記スパッタ膜8の所定部分にめっきレジストを形成し、電気銅めっきを行う。この後、前記めっきレジストを剥離した後、フラッシュエッチによってスパッタ膜8のうちの不必要な部分のみを除去する。すると、図6に近い構成(即ち、永久レジスト11が存在していない構成)になる。この後、実施例1の手順に従って、最終工程まで実施する。
【0073】以上のような実施例5の製造方法であっても、前記実施例1と同等の作用効果を得ることができる。即ち、スパッタ膜8を設けたことによって、銅ペースト7がめっき液に直接晒されなくなるからである。特に、この製造方法の場合、厚さ0.1μmの銅からなるスパッタ膜8を金属膜としているため、製造工程の長時間化を招くことなく確実な溶解防止を図ることができる。しかも、この方法の場合、通常の粗化処理工程が不要になるというメリットもある。
【0074】なお、本発明は上記実施例のみに限定されることはなく、次のような構成に変更することが可能である。例えば、(a)空洞部5aや凹部15a,16aを充填するための充填材は、銅ペースト7に限定されることはない。例えば、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、金、銀などを含むペースト材、即ち銅以外の金属を含む導電性物質であっても良い。この場合、はんだ付け等の便宜等を考慮すると、少なくとも使用されるはんだの融点以上の融点を有する金属を選択することが望ましい。また、コスト性や導電性等を考慮すると、各実施例のような銅ペースト7が特に好ましいという結果になる。
【0075】また、銅ペースト7等の充填に代わる方法として、例えば金属製のピンやプラグ等を挿入するという方法を採用しても良い。更に、銅ペースト7等やピン等によってめっきスルーホール5の空洞部5aを孔埋めする場合、完全に空洞部5aを埋めてしまうことは必ずしも要求されない。つまり、少なくともめっきスルーホール5の両端部が封止されれば足りるということになる。
【0076】更に、充填材は必ずしも導電性物質に限られるわけではない。例えば、ソルダーレジストや層間絶縁層などを形成するための樹脂のように、従来公知の非導電性物質であってもよい。この場合、形成されるべき金属膜(めっき膜)8の厚さの好適範囲は5μm〜30μmである。金属膜8が薄すぎると、導通を充分に確保できなくなるおそれがあるからである。また、金属膜8が厚すぎると、めっき工程が長時間化し、充填材である樹脂に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
(b)基材2は両面板に限定されることはなく、例えばマスラミネーション方式によって作製された多層板であっても良い。また、基材2は樹脂を主材とした基板に限定されるわけではない。その代わりとして、例えば銅、アルミニウム、鉄等の金属を主材としたものを使用しても良い。この種の金属製基材を選択すると、放熱性に優れた多層プリント配線板を実現することができる。このため、発熱量の大きなチップを多数個実装する場合などに好都合である。
【0077】(c)内層側及び外層側の層間絶縁層9,10を形成するための接着剤は、必ずしも感光性エポキシでなくても良く、例えば感光性ポリイミド等に代えることも可能である。また、塗布された層間絶縁層にバイアホール形成用孔19を形成する手段として、例えばレーザー光の照射等のように露光・現像以外の方法を選択しても良い。
【0078】(d)外層側の層間絶縁層10に最外層の導体パターン14を形成しない場合には、例えば樹脂フィラーなしの材料を使用することも可能である。
(e)勿論、配線層3は基材2の片面のみであっても良い。また、必要に応じて配線層3を更に多層化した構成とすることも可能である。
【0079】(f)バイアホール15,16は、必ずしも実施例1,2等のように断面略円形状にする必要はなく、例えば断面楕円形状や断面矩形状等にしても良い。また、前記バイアホール15,16を全体的に溝状等にすることも可能である。なお、上記のような非円形状のバイアホールを形成する方法としては、感光性樹脂の露光・現像による方法が極めて適している。
【0080】(g)例えば、めっきスルーホール5とバイアホール15,16とをほぼ一直線上に配置してなる導体部分を、実装面側の発熱部品等と非実装面側のヒートシンクとをつなぐ放熱経路として利用することも可能である。このような構成であると、発熱部品とヒートシンクとを低熱抵抗かつ最短距離で接続することができるため、放熱効率が高くなるという利点がある。
【0081】(h)バイアホール15,16の凹部15a,16aに対して銅ペースト7を充填した後、表面研磨を行うことが良い。このような表面研磨を行うと、バイアホール15,16の開口部側の端面をより一層平坦にすることができる。なお、表面研磨を行うことは、メタルマスクを使用せずに銅ペースト7を充填するとき等において好適である。
【0082】(i)実施例3のようにマッシュルーム型バンプ25を備えるバイアホール23に代えて、例えばストレートウォール型バンプを備えるものとしても良い。この場合、外層側の層間絶縁層10上に所定の厚さのめっきレジストを形成した状態で無電解銅めっきを行った後、そのめっきレジストを剥離すれば良い。
【0083】(j) めっき膜8やスパッタ膜8を形成する金属として、例えば金、ニッケル、アルミニウム、クロム等の銅以外の金属を使用してもよい。但し、これらの金属のうちでも、銅は比較的安価でしかも導電性に優れるというメリットがある。
【0084】ここで、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施例及び別例によって把握される技術的思想をその効果とともに以下に列挙する。
(1) 請求項1〜5の製造方法によって得られた多層プリント配線板。この構成であると、パターン寸法精度や信頼性等に優れたものとなる。
【0085】次に本明細書中において使用した技術用語■を以下のように定義する。
■金属膜: 充填材が導電性物質のときには、電解めっきまたは無電解めっきによって形成される薄い1μm〜7μm程度の銅めっき膜、ニッケルめっき膜、金めっき膜、アルミニウムめっき膜、クロムめっき膜等の各種金属めっき膜、または0.05μm〜2μm程度の極めて薄い銅スパッタ膜、ニッケルスパッタ膜、金スパッタ膜、アルミニウムスパッタ膜、クロムスパッタ膜等の各種金属スパッタ膜等をいい、更に充填材が非導電性物質のときには、電解めっきまたは無電解めっきによって形成される5μm〜30μm程度の銅めっき膜、ニッケルめっき膜、金めっき膜、アルミニウムめっき膜、クロムめっき膜等の各種金属めっき膜をいう。」
【0086】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜5に記載の多層プリント配線板の製造方法によれば、配線自由度の向上、導体パターンの形成精度の向上、及び耐粗化液性や耐めっき液性等の改善による接続信頼性の向上を確実に図ることができる。特に請求項3〜5に記載の発明によれば、製造工程の長時間化を招くことなく確実な溶解防止を図ることができるため、より一層の接続信頼性の向上を図りながらも高コスト化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の多層プリント配線板を示す一部破断概略断面図である。
【図2】同じくその製造工程において、銅張積層板にパネルめっきを行った状態を示す一部破断概略断面図である。
【図3】同じくその製造工程において、めっきスルーホールの空洞部に銅ペーストが充填された状態を示す一部破断概略断面図である。
【図4】同じくその製造工程において、銅ペースト上にめっき膜が形成された状態を示す一部破断概略断面図である。
【図5】同じくその製造工程において、バイアホール形成用孔を有する内層側の層間絶縁層が形成された状態を示す一部破断概略断面図である。
【図6】同じくその製造工程において、永久レジストを配置して無電解銅めっきを行った状態を示す一部破断概略断面図である。
【図7】同じくその製造工程において、バイアホールの凹部に充填された銅ペースト上に更にめっき膜が形成された状態を示す一部破断概略断面図である。
【図8】同じくその製造工程において、バイアホールを有する外層側の層間絶縁層が形成された状態を示す一部破断概略断面図である。
【図9】実施例2の多層プリント配線板を示す一部破断概略断面図である。
【図10】実施例3の多層プリント配線板を示す一部破断概略断面図である。
【図11】実施例4の多層プリント配線板を示す一部破断概略断面図である。
【図12】(a)〜(d)は、従来の多層プリント配線板の製造工程を示す一部破断概略断面図である。
【図13】(a)〜(d)は、従来の多層プリント配線板の製造工程を示す一部破断概略断面図である。
【図14】従来の多層プリント配線板を示す一部破断概略断面図である。
【図15】従来の問題点を説明するための多層プリント配線板の部分破断拡大概略平面図である。
【符号の説明】
1,20,22,27…多層プリント配線板、2…基材、5,28…めっきスルーホール、7…充填材としての銅ペースト、8…金属膜としてのめっき膜(またはスパッタ膜)、9…絶縁層としての内層側の層間絶縁層、10…絶縁層としての外層側の層間絶縁層、15,16,23…有底孔(=バイアホール)、19,24…開口部としてのバイアホール形成用孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】基材を貫通するように形成されためっきスルーホール内に充填材を充填する工程と、前記充填材上に金属膜を形成する工程と、少なくとも前記金属膜上に開口部を有する絶縁層を前記基材上に形成する工程とを行った後、前記絶縁層を化学的に粗化処理する工程及び前記開口部を含む領域にめっきを施す工程のうちの少なくともいずれかを行う多層プリント配線板の製造方法。
【請求項2】絶縁層に形成された有底孔内に充填材を充填する工程と、前記充填材上に金属膜を形成する工程と、少なくとも前記金属膜上に開口部を有する別の絶縁層を前記絶縁層上に形成する工程とを行った後、外層側となる絶縁層を化学的に粗化する工程及び前記開口部を含む領域にめっきを施す工程のうちの少なくともいずれかを行う多層プリント配線板の製造方法。
【請求項3】前記充填材は導電性物質であり、かつ前記金属膜は厚さ1μm〜7μmのめっき膜である請求項1または2に記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項4】前記充填材は非導電性物質であり、かつ前記金属膜は厚さ5μm〜30μmのめっき膜である請求項1または2に記載の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項5】前記充填材は導電性物質であり、かつ前記金属膜は厚さ0.05μm〜2μmのスパッタ膜である請求項1または2に記載の多層プリント配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図13】
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【図15】
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【公開番号】特開平7−283538
【公開日】平成7年(1995)10月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−76203
【出願日】平成6年(1994)4月14日
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)