多層媒体用の連結要素、フィルタ要素、および薄層媒体を連結する方法
本発明は、平フィルタ媒体(2、3)の少なくとも2つの端部部分(2A、3A)を連結し、少なくとも3つの脚(1A、1B、1C)を有する連結要素(1)に関し、各端部部分(2A、2B)は、2つの脚(1A、1B、1C)間に挿入することができる。脚材料は、熱の作用によってフィルタ媒体(2)の材料に接合することができる。連結要素(1)は、フィルタ要素(4)、特に、例えば、自動車用の作動媒体フィルタなどのフィルタ装置(5)で使用することができる。平フィルタ媒体(2、3)の少なくとも2つの端部部分(2A、3A)を連結する方法は、端部部分(2A、3A)が、対応する連結要素(1)の2つの脚(1A、1B、1C)間にそれぞれ挿入され、脚材料およびフィルタ媒体(1)の材料が加熱によって互いに接合されることを可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フィルタ要素で使用される不織布フィルタ材料などの多層媒体用の連結要素に関する。さらに、フィルタ要素、フィルタ装置、および平媒体を連結する方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車分野で、燃料、作動媒体、または車室の空気などの流体を濾過するために、折り曲げた、またはひだのある不織布フィルタ材料がしばしば使用される。これに関連して、これらの平フィルタ材料の異なる縁部または端部部分を互いに連結することが必要とされることが多い。公知のフィルタ要素は、例えば、最初にジグザク形に折り曲げたフィルタ材料シートから製造され、これらのフィルタ材料シートは管状体に成形される。管状体を閉じるために、次いで、折り目の端部を、流体密封した形で互いに連結しなければならない。
【0003】
従来では、この場合に、例えば、2つの平らな部分を重ね合わせてともに保持する金属クリップまたはクランプが使用された。2つのフィルタ材料シート同士を接着剤で連結するか、あるいは圧力だけで、またはさらに何回か折り曲げることだけで、それらを互いに連結することも一般的である。特に、多層フィルタ媒体、例えば、含浸された、または特別な中間層を有する薄い不織布材料の複数の層の場合、重なり合った縁部でのほぐれを防止するのは困難である。連結される平媒体は、流体密封した形で互いに連結されなければならない、すなわち、濾過される流体は、連結箇所で濾過されないままフィルタ媒体を通り抜けてはならないという点に特有の困難さがある。さらに、連結箇所は、構成要素の清浄性が保証されるほどのものでなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような背景に鑑みて、本発明の目的は、特に、蛇腹型フィルタ媒体の終端折り目用の改良された連結要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1による連結要素によって解決される。
【0006】
結果的に、平フィルタ媒体の少なくとも2つの端部部分を連結する連結要素が提案され、この連結要素は、少なくとも3つの脚を有する。この場合に、平フィルタ媒体の端部部分は、それぞれ2つの脚の間に挿入可能であり、脚材料は、熱をかけることよって、および/または圧力によってフィルタ媒体の材料に接合することができる。
【0007】
断面が細長いウェブまたはリブとみなすこともできる脚は、フィルタ媒体の確実な固定作用を可能にし、フィルタ媒体は、特に、接合領域に熱をかけることで、脚材料で囲まれるか、または部分的に脚材料と融合する。
【0008】
例えば、脚は、それぞれフィルタ媒体の端部部分を両側で覆うような平坦な形状に設計することができる。これは、例えば、2つの平坦な端部部分を接合した場合に、材料が、脚材料、フィルタ媒体材料、脚材料、フィルタ媒体材料、および脚材料の順に並ぶことを意味する。さらに、脚材料がフィルタ媒体間に配置された結果として、特に、多層平フィルタ媒体の場合に、フィルタ媒体同士の特に良好な連結が得られる。
【0009】
脚は、例えば、連結要素の共通縁部で合流することもできる。この場合に、2つの脚がそれぞれ所定の角度を互いになすことが可能である。したがって、扇形の連結要素について論じることができる。連結要素はE字形の断面を有するとも考えられ、フィルタ媒体のそれぞれの端部部分を挿入するための中間空間がE字の脚間に残存する。
【0010】
連結要素の一実施形態では、連結要素はW字形の断面を有し、折り曲げたストリップで形成される。W字形の断面の場合、連結要素は4つの脚を含む。この場合に、2つの端部部分は、それぞれW字形の断面の外側の隣接する脚の中間空間に配置することが可能である。
【0011】
連結要素は、熱可塑性材料、例えば、熱可塑性合成材料を含むのが好ましい。熱可塑性材料は、熱をかけることで変形することができ、したがって、脚材料とフィルタ媒体の材料との間で材料をとりわけ最適に接合させる。熱可塑性材料は、例えば、加熱したプランジャ、「レーザ溶着」、振動溶着、超音波溶着、または熱印刷(thermoprinting)によって加熱することができ、こうしてフィルタ媒体材料と接合することができる。
【0012】
連結要素は、支持材料層および連結材料層を有するのが好ましく、連結材料層の材料をフィルタ媒体の材料と接合することができる。
【0013】
例えば、連結要素は、連結材料層がそれぞれフィルタ媒体の材料と隣接し、熱を用いて、例えば、部分的に、または完全に相互融合することで、固定封止作用をもたらすように設計することができる。
【0014】
さらに、連結要素の少なくとも2つの脚は、2つの脚間に挿入された端部部分がクランプ作用によって固定されるように成形することができる。これは、製造を容易にし、例えば、製造プロセスにおける、接続要素と、挿入されたフィルタ媒体との熱接合を容易にする。連結要素の共通縁部から離れて配置された、少なくとも2つの脚部の2つの脚端部は、例えば、互いに対してクランプ力を作用させる。この場合に、脚は弓形に成形することができる。
【0015】
連結要素はまた、連結される複数の端部部分が挿入され得るように、脚間の中間空間によって形成された複数の挿入手段を有することができる。例えば、平フィルタ媒体の複数の層をそれぞれ個々の挿入部に挿入し、次いで、連結要素により互いに融合させることができる。脚は、例えば、長方形形状であるが、他の幾何形状、例えば、材料節約型の幾何形状を有することもできる。連結要素は、材料に関して一体化されている、例えば、単一の合成材料からなるのが好ましい。
【0016】
したがって、フィルタ要素は、少なくとも2つの端部部分のある平フィルタ材料を有し、上記の連結要素は、2つの端部部分を互いに対して固定する。これに関連して、端部部分は、もとは単一の、例えば、折り曲げたフィルタ材料シートであってよいし、あるいは複数のフィルタ材料シートまたは複数のフィルタ材料片を互いに接合してもよい。この場合に、フィルタ媒体は、複数の層を含むことができ、例えば、活性炭粒子などの吸着材料を層間に充填することができる。
【0017】
フィルタ要素のさらなる実施形態では、フィルタ要素は、作動媒体フィルタ、燃料フィルタ、空気フィルタ、または自動車の車室フィルタの一部である。
【0018】
最後に、適切なフィルタ要素を含み、例えば、燃料フィルタ、オイルフィルタ、または空気フィルタなどの作動媒体フィルタ、あるいは自動車の車室フィルタを形成するフィルタ装置が提案される。
【0019】
平フィルタ媒体の少なくとも2つの端部部分を連結する方法では、端部部分は、それぞれ上記の連結要素の2つの脚間に挿入される。次に、脚材料および/またはフィルタ媒体の材料を加熱して、2つの材料を互いに接合する。これに関連して、重なり合ったフィルタ媒体の縁部はそれぞれ流体密封される。加熱は、例えば、超音波溶着またはレーザ溶着によって行うことができる。
【0020】
方法の変形形態では、連結要素は、個別に端部部分を囲む2つの連結要素部品をそれぞれ加熱する、かつ/または互いに連結することで形成される。この点について、2部品構成の連結要素を、例えば、2つのU字形断面で構成することが可能であり、2つのU字形形状体は連結される端部部分を囲む。2つのU字形断面の2つの平行な脚を連結することにより、フィルタ媒体の材料を連結する3脚の連結要素が得られる。
【0021】
本発明のさらに実施可能なものには、実施形態または具現化された変形形態に関して上記に、または以下に開示した特徴について明白に記載のない組み合わせもある。この場合に、当業者も、改良または補足として、本発明のそれぞれの基本形態に個々の態様を追加するであろう。
【0022】
本発明の有益な変形形態およびさらなる発展形態は、従属請求項および以下に開示した実施形態の対象である。
【0023】
本発明が、添付図面に関連したいくつかの実施形態を用いて、以下に、より詳細にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】連結要素の第1の実施形態の図を示している。
【図1B】連結要素の第1の実施形態の図を示している。
【図2】フィルタ要素の実施形態の断面図を示している。
【図3】フィルタ装置の実施形態の図を示している。
【図4】連結要素の第2の実施形態の図を示している。
【図5】連結要素の第3の実施形態の図を示している。
【図6A】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図6B】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図6C】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図6D】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図6E】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図7A】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図7B】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図7C】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図8】連結要素の第4の実施形態の図を示している。
【図9】連結要素の第5の実施形態の図を示している。
【図10】連結要素の第6の実施形態の図を示している。
【図11A】連結要素の第7の実施形態の図を示している。
【図11B】連結要素の第7の実施形態の図を示している。
【図12A】平フィルタ媒体を連結する方法の各方法段階の図を示している。
【図12B】平フィルタ媒体を連結する方法の各方法段階の図を示している。
【図12C】平フィルタ媒体を連結する方法の各方法段階の図を示している。
【図13】連結要素の第8の実施形態の図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面において、同じ、または機能的に同じ要素は、他に記載がない限り、同じ参照数字で示される。
【0026】
図1は、連結要素の第1の実施形態の斜視図および断面図を示している。図1Aでは、2つの平フィルタ媒体2、3は、例えば、フィルタ材料シートとして示されている。フィルタ媒体の領域3Aにある2つの端部部分を互いに連結するために、E字形連結要素1が使用されている。
【0027】
図1Bでは、連結要素1の詳細図が示されており、E字形断面が示されている。E字形断面の代替として、本発明のすべての実施形態において、例えば、M字形断面を使用することもできる。連結要素は、例えば、熱可塑特性を有する合成材料で作製される。連結要素1は、例えば、約150℃〜160℃の軟化点を有するポリプロピレン材料で作製される。当然ながら、他の熱材料特性もあり得る。合成材料は、それぞれの製造プロセスおよびフィルタ媒体、さらには応用分野に合わせて選択されるのが好ましい。
【0028】
E字形断面のプラスチックストリップとして形成できる連結要素1は、それにより、それぞれが長方形の断面を有する3つの脚1A、1B、1Cを有する。脚1A、1B、1Cの厚さは、フィルタ媒体2、3に応じて選択することができる。各2つの脚の間、例えば、脚1Aと脚1Bとの間に、フィルタ材料2の端部部分の一方を挿入できる中間空間11Aが設けられている。さらに、リブともみなすことができる脚1Aと脚1Cとの間には、同様に、第2のフィルタ材料シート3の端部部分3Aを挿入できる中間空間11Dがある。
【0029】
溶着または他に熱をかけることにより、重なり合ったフィルタシートの2つの端部部分が閉じられる。フィルタ媒体、例えば、不織布フィルタ材料の端部部分は、それぞれ連結要素1の合成材料によって両側で囲まれるので、例えば、超音波溶着により、特に良好な密着性および確実な連結が得られる。特に、フィルタ材料シートが前もって複数の層を含む場合、内側層も確実な処理で(process−safe)互いに連結される。この場合に、連結要素1の材料の溶融プロセスにより、連結要素1は、少なくとも部分的に、不織布フィルタ材料に浸透することもできる。また、特に、縁部10が閉止体を形成するので、それにより、層の広がるのが防止される。こうして、構成要素の清浄性が、脱出し得る繊維によって損なわれるのを防止する。
【0030】
図2は、フィルタ要素の実施形態の断面図を示している。多くの場合、例えば、フィルタ材料シートは、ひだのある構成に折り曲げられ、すなわち、ジグザグ形状に曲げられ、次いで円筒状に接合される。図2では、円筒軸AXの平面図または断面図が示されている。フィルタ要素4は、折り曲げたフィルタ材料によって形成されなければならず、2つの端部部分2A、3Aがそれぞれ、終端折り目縁部で互いに連結されている。このために、例えば、図1に示すような連結要素が使用される。したがって、連結要素1は、両方の終端折り目縁部を流体密封した形で囲んでいる。
【0031】
対応するフィルタ要素4は、特に、自動車のフィルタ、例えば、オイルフィルタ、燃料フィルタ、または空気フィルタに使用される。原則的には、連結要素は、平媒体が縁部または部分に沿って流体密封した形で互いに連結されるすべてのタイプのフィルタで使用することができる。
【0032】
図3では、例えば、フィルタ装置5の斜視図が示されている。図2に示すフィルタ要素4は、この場合に、例えば、下側底部プレート6という別の形で互いに接着または連結されている。底部プレート6は、ひだのあるフィルタ材料2で形成された円筒状のフィルタ要素4を流体密封する。上部閉止体は、図3に示すように、フィルタ要素4の上側折れ面に取り付けられた環状プレート7によって形成されている。この場合に、上側閉止体7および下側閉止体6を溶着または接着することができる。図2ですでに説明したように、終端折り目部分は、それぞれ連結要素1によって流体密封した形で連結されている。こうして、フィルタ内部8が形成され、例えば、流体は、上側プレート7の開口を通ってフィルタ内部8に浸入し、フィルタ材料2を通り抜け、清浄な空気として出ていく。
【0033】
図4では、連結要素の第2の実施形態が示されている。連結要素1はE字形断面とされる。連結要素1は、脚1A、1B、1Cの共通縁部10を有する。例えば、外側脚1B、1Cと比較して厚さが薄い中央脚1Aが提示されている。多層フィルタ媒体は、それぞれ脚1Aと脚1Bとの間の中間空間に挿入されている。この場合に、第1のフィルタ媒体12および第2のフィルタ媒体13と、対応する端部部分とが示されている。2つの平フィルタ媒体はそれぞれ、2つの層12A、12Bおよび13A、13Bから製造され、それぞれの層の間には、例えば、活性炭粒子14が堆積されている。こうして、フィルタ媒体のフィルタ作用および吸着特性が改善される。
【0034】
特に、これらの多層フィルタ媒体12、13は、それらの終端縁部でほぐれることがあるので、提案した連結要素1は特に適している。これは、一方で、端部閉止部10が結果として形成され、他方で、連結要素1の中央支柱または中央脚1Aによって、図4に示す内側層13Aと内側層12Bとの間の接着作用または結合が改善されるためである。例えば、超音波溶着またはレーザ溶着による簡単な方法で、短時間の間に少なくとも脚1A、1B、1Cを加熱し、それらを部分的に溶融させて、脚材料と不織布フィルタ材料とを少なくとも部分的に接合することが可能である。
【0035】
図5では、連結要素の第3の実施形態が示されている。連結要素9は、この場合に、5つの脚9A〜9Eを有し、4つの中間空間11A〜11Dが形成され、連結されるフィルタ媒体のそれぞれの端部部分を中間空間に挿入することができる。これは、矢印Pで示されている。例えば、連結される多層フィルタ材料シートの個々の層を中間空間11A〜11Dに挿入することができる。一方、フィルタ要素が特定の幾何形状の場合に、フィルタ材料シートのいくつかを互いに連結することも考えられる。連結要素の構成からの結果として、連結されるフィルタ層間に、脚材料で構成される材料部分が形成される。これは、連結されるすべての平媒体の特に良好な連結をもたらす。
【0036】
図6では、上記の連結要素を用いて平フィルタ媒体を連結する方法の状態に関する複数の図が示されている。図6Aは、その端部部分2A、3Aが互いに連結される2つのフィルタ材料シート2、3を最初に示している。さらに、複数の脚を有する連結要素1が提示され、2つの脚の間に、それぞれ挿入手段11A、11Bがある。矢印Pで示すように、端部部分2A、3Aは、挿入手段または中間空間11A、11Bに挿入される。
【0037】
図6Bは、フィルタ材料シート2、3の端部部分が連結要素1に挿入された後の状況を断面で示している。次に、フィルタ材料シートの端部部分が連結要素1の脚間に配置された部分を加熱する。これは、図6Cに示されている。例えば、超音波放射USを用いて、フィルタ材料を連結要素材料と溶着することができる。レーザビームを用いて、矢印USで示すように、連結要素の縁部に沿って材料層を部分的に溶融させることも可能である。
【0038】
図6Dは、例えば、超音波による溶着を用いた溶着プロセスを示している。このために、下側金敷15Bと、所定の周波数またはパルス幅で超音波を放射し、材料層、すなわち、一連の脚材料およびフィルタ材料に熱作用をもたらす上側超音波発振器15Aとが使用される。
【0039】
最後に、図6Eでは、連結要素1を用いた、フィルタ材料シート2とフィルタ材料シート3との端部部分の流体密封型連結が示されている。
【0040】
図7では、連結要素の実施形態の結合製造プロセスと、平フィルタ媒体を連結する方法との変形形態が示されている。2層平フィルタ媒体12、13の端部部分2A、3Aは、流体密封した形で互いに連結される。それぞれが第1の層12A、13Aおよび第2の層12B、13Bを含むフィルタ材料シート12、13の2つの端部部分2A、3Aは、U字形連結要素部品1A、1Bに挿入される。これは、図7Aに示されている。それぞれのU字形の平行な脚は、端部部分2A、3Aの両側に置かれている。したがって、U字形連結要素部品1A、1Bは、端部部分2A、3Aを囲んでいる。
【0041】
次に、連結要素部品1A、1Bは、図7Bに示すように、端部部分2A、3Aが挿入された状態で互いに押しつけられる。2つの連結要素1A、1Bの脚のうちの2つは互いに接触し合っている。図7Bでは、すでに得られた連結要素1のE字形を見ることができ、このE字形は、連結要素部品1A、1Bを接合または融合させることで得られる。
【0042】
図6Dに関連してすでに説明したように、次に、連結要素材料とフィルタ材料との溶着、および連結要素部品1A、2A同士の溶着を行うことができる。これは、図7Cに示されている。材料が一体化した連結要素1が端部部分2A、3Aと固定して連結されているのが分かるが、この連結要素1は、例えば、フィルタの蛇腹の継ぎ目を流体密封した形で連結させる。熱連結は、例えば、超音波発振器15Aおよび金敷15Bを用いて行われる。
【0043】
図8は、連結要素の第4の実施形態の断面図を示している。連結要素17は、この場合にも、断面図において、共通縁部17で合流する3つの脚16A、16B、16Cを有する。それぞれの脚16A、16B間、および16A、16C間には、楔形開口または挿入手段11A、11Bがある。したがって、脚16A、16B、16Cは実質的に直線状であり、共通縁部17から始まり、扇形に広がる。例えば、各2つの脚間の調整可能な角度を用いて、材料の端部部分の挿入を容易にすることができる。
【0044】
図9は、連結要素の第5の実施形態の断面図を示している。連結要素18は、共通縁部10で合流する4つの脚18A、18B、18C、18Dを有する。この場合に、脚18A、18Bは、縁部10の一部分10AとともにU字形断面を形成し、脚は互いに向かって曲がっている。同様に、一部分10Bとともに共通縁部を形成する脚18B、18Dは、脚が互いに向かって延びるU字形断面を形成している。こうして、2つの脚18A、18Cの端部20Aまたは脚18D、18Bの端部20Bの互いに対するスプリング作用がもたらされる。したがって、上側端部20Aおよび下側端部20Bを用いてクランプ作用が得られる。このクランプ作用を用いて、例えば、中間空間11A、11Cに挿入されたフィルタ材料端部部分を固定することができる。
【0045】
図10は、脚19A、19B、19Cの端部20によってクランプ力を得ることができる連結要素のさらなる実施形態を示している。したがって、連結要素19は直線状の縁部10を有し、中央ウェブまたは中央脚19が、ほぼ中央で、縁部10に対して垂直に縁部10から分岐している。2つの外側脚19B、19Cは、脚19A、19B、19Cが、共通縁部10から離れた端部20に向かう方向に互いに向かって延びるか、またはそれらの端部20で互いに接触することさえあるように、縁部10から突出している。こうして、端部20間のクランプ作用が得られる。
【0046】
図11では、連結要素のさらなる実施形態が示されている。図11Aは、ストリップ状の熱可塑性材料で形成されたW字形連結要素20の斜視図である。連結要素20は、4つの脚20A、20B、21A、21Bを含む。これに関連して、2つの外側脚20A、20Bおよび2つの内側脚21A、21が提示されている。図11Bに示すような折り目を付けることにより、図11Aの示した矢印に沿って、フィルタ材料シートの端部部分を挿入できる2つの隣接する溝または谷が形成される。
【0047】
図11Bは、ストリップ状の、例えば、長手方向に折り目の付いた熱可塑性材料を示している。これに関連して、破線は第1の折り曲げの向きを示し、点線は、第1の折り曲げの向きとは反対の第2の折り曲げの向きを示している。折り曲げることによって、図11Aに示すような連結要素の構造が得られる。
【0048】
図12A〜12Cは、図11Aに示した適切な連結要素20の使用法を示している。2つのフィルタ材料シート2、3の端部部分2A、3AをW字形断面の2つの溝に挿入する。内側脚21A、21Bは、それぞれ外側脚20A、20Bとともに溝または谷を形成している。次に、連結要素20の脚20A、20B、21A、21Bを、間に配置された端部部分2A、3Aとともに圧縮する。
【0049】
図12Bに示すように、超音波放射を用いて、または他の方法で加熱および圧縮して、2つの端部部分2A、3Aと連結要素20の材料とを互いに連結することができる。例えば、下部金敷15Bを超音波発振器15Aと併用する。そのようにすると、連結要素20の材料とフィルタ媒体の材料とが(部分的に)融合する。同様に、2つの内側脚21A、21Bも互いに融合して固定される。結果として、図12Cに示すように、端部部分が流体密封した形で連結された、図6Eおよび図7Cと同様な構造が形成される。
【0050】
最後に、図13は、フィルタ材料の端部部分を連結する連結要素22のさらなる変形形態を示している。この場合に、連結要素22は2つの層を有する。第1の支持層22Aは、例えば、溶融可能な材料を含む第2の連結材料層22B用の安定化支持体として機能する。連結材料層22Bは、エネルギ導入時に軟化し、フィルタ媒体に浸透できる材料でできている。適切な2部品構成の実施形態として、他の幾何形状も考えられる。その場合に、連結要素のフィルタ媒体に面する側には、単に、適切な連結材料層22Bだけが設けられるのが好ましい。
【0051】
したがって、特に、エンドレスの折り曲げ蛇腹に、流体密封した継ぎ目または連結部を設けることを簡単に実現することができる。提案した方法は、製造プロセス時に単純な形で実施することができ、連結要素は、標準化した形態で容易に製造することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フィルタ要素で使用される不織布フィルタ材料などの多層媒体用の連結要素に関する。さらに、フィルタ要素、フィルタ装置、および平媒体を連結する方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車分野で、燃料、作動媒体、または車室の空気などの流体を濾過するために、折り曲げた、またはひだのある不織布フィルタ材料がしばしば使用される。これに関連して、これらの平フィルタ材料の異なる縁部または端部部分を互いに連結することが必要とされることが多い。公知のフィルタ要素は、例えば、最初にジグザク形に折り曲げたフィルタ材料シートから製造され、これらのフィルタ材料シートは管状体に成形される。管状体を閉じるために、次いで、折り目の端部を、流体密封した形で互いに連結しなければならない。
【0003】
従来では、この場合に、例えば、2つの平らな部分を重ね合わせてともに保持する金属クリップまたはクランプが使用された。2つのフィルタ材料シート同士を接着剤で連結するか、あるいは圧力だけで、またはさらに何回か折り曲げることだけで、それらを互いに連結することも一般的である。特に、多層フィルタ媒体、例えば、含浸された、または特別な中間層を有する薄い不織布材料の複数の層の場合、重なり合った縁部でのほぐれを防止するのは困難である。連結される平媒体は、流体密封した形で互いに連結されなければならない、すなわち、濾過される流体は、連結箇所で濾過されないままフィルタ媒体を通り抜けてはならないという点に特有の困難さがある。さらに、連結箇所は、構成要素の清浄性が保証されるほどのものでなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような背景に鑑みて、本発明の目的は、特に、蛇腹型フィルタ媒体の終端折り目用の改良された連結要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1による連結要素によって解決される。
【0006】
結果的に、平フィルタ媒体の少なくとも2つの端部部分を連結する連結要素が提案され、この連結要素は、少なくとも3つの脚を有する。この場合に、平フィルタ媒体の端部部分は、それぞれ2つの脚の間に挿入可能であり、脚材料は、熱をかけることよって、および/または圧力によってフィルタ媒体の材料に接合することができる。
【0007】
断面が細長いウェブまたはリブとみなすこともできる脚は、フィルタ媒体の確実な固定作用を可能にし、フィルタ媒体は、特に、接合領域に熱をかけることで、脚材料で囲まれるか、または部分的に脚材料と融合する。
【0008】
例えば、脚は、それぞれフィルタ媒体の端部部分を両側で覆うような平坦な形状に設計することができる。これは、例えば、2つの平坦な端部部分を接合した場合に、材料が、脚材料、フィルタ媒体材料、脚材料、フィルタ媒体材料、および脚材料の順に並ぶことを意味する。さらに、脚材料がフィルタ媒体間に配置された結果として、特に、多層平フィルタ媒体の場合に、フィルタ媒体同士の特に良好な連結が得られる。
【0009】
脚は、例えば、連結要素の共通縁部で合流することもできる。この場合に、2つの脚がそれぞれ所定の角度を互いになすことが可能である。したがって、扇形の連結要素について論じることができる。連結要素はE字形の断面を有するとも考えられ、フィルタ媒体のそれぞれの端部部分を挿入するための中間空間がE字の脚間に残存する。
【0010】
連結要素の一実施形態では、連結要素はW字形の断面を有し、折り曲げたストリップで形成される。W字形の断面の場合、連結要素は4つの脚を含む。この場合に、2つの端部部分は、それぞれW字形の断面の外側の隣接する脚の中間空間に配置することが可能である。
【0011】
連結要素は、熱可塑性材料、例えば、熱可塑性合成材料を含むのが好ましい。熱可塑性材料は、熱をかけることで変形することができ、したがって、脚材料とフィルタ媒体の材料との間で材料をとりわけ最適に接合させる。熱可塑性材料は、例えば、加熱したプランジャ、「レーザ溶着」、振動溶着、超音波溶着、または熱印刷(thermoprinting)によって加熱することができ、こうしてフィルタ媒体材料と接合することができる。
【0012】
連結要素は、支持材料層および連結材料層を有するのが好ましく、連結材料層の材料をフィルタ媒体の材料と接合することができる。
【0013】
例えば、連結要素は、連結材料層がそれぞれフィルタ媒体の材料と隣接し、熱を用いて、例えば、部分的に、または完全に相互融合することで、固定封止作用をもたらすように設計することができる。
【0014】
さらに、連結要素の少なくとも2つの脚は、2つの脚間に挿入された端部部分がクランプ作用によって固定されるように成形することができる。これは、製造を容易にし、例えば、製造プロセスにおける、接続要素と、挿入されたフィルタ媒体との熱接合を容易にする。連結要素の共通縁部から離れて配置された、少なくとも2つの脚部の2つの脚端部は、例えば、互いに対してクランプ力を作用させる。この場合に、脚は弓形に成形することができる。
【0015】
連結要素はまた、連結される複数の端部部分が挿入され得るように、脚間の中間空間によって形成された複数の挿入手段を有することができる。例えば、平フィルタ媒体の複数の層をそれぞれ個々の挿入部に挿入し、次いで、連結要素により互いに融合させることができる。脚は、例えば、長方形形状であるが、他の幾何形状、例えば、材料節約型の幾何形状を有することもできる。連結要素は、材料に関して一体化されている、例えば、単一の合成材料からなるのが好ましい。
【0016】
したがって、フィルタ要素は、少なくとも2つの端部部分のある平フィルタ材料を有し、上記の連結要素は、2つの端部部分を互いに対して固定する。これに関連して、端部部分は、もとは単一の、例えば、折り曲げたフィルタ材料シートであってよいし、あるいは複数のフィルタ材料シートまたは複数のフィルタ材料片を互いに接合してもよい。この場合に、フィルタ媒体は、複数の層を含むことができ、例えば、活性炭粒子などの吸着材料を層間に充填することができる。
【0017】
フィルタ要素のさらなる実施形態では、フィルタ要素は、作動媒体フィルタ、燃料フィルタ、空気フィルタ、または自動車の車室フィルタの一部である。
【0018】
最後に、適切なフィルタ要素を含み、例えば、燃料フィルタ、オイルフィルタ、または空気フィルタなどの作動媒体フィルタ、あるいは自動車の車室フィルタを形成するフィルタ装置が提案される。
【0019】
平フィルタ媒体の少なくとも2つの端部部分を連結する方法では、端部部分は、それぞれ上記の連結要素の2つの脚間に挿入される。次に、脚材料および/またはフィルタ媒体の材料を加熱して、2つの材料を互いに接合する。これに関連して、重なり合ったフィルタ媒体の縁部はそれぞれ流体密封される。加熱は、例えば、超音波溶着またはレーザ溶着によって行うことができる。
【0020】
方法の変形形態では、連結要素は、個別に端部部分を囲む2つの連結要素部品をそれぞれ加熱する、かつ/または互いに連結することで形成される。この点について、2部品構成の連結要素を、例えば、2つのU字形断面で構成することが可能であり、2つのU字形形状体は連結される端部部分を囲む。2つのU字形断面の2つの平行な脚を連結することにより、フィルタ媒体の材料を連結する3脚の連結要素が得られる。
【0021】
本発明のさらに実施可能なものには、実施形態または具現化された変形形態に関して上記に、または以下に開示した特徴について明白に記載のない組み合わせもある。この場合に、当業者も、改良または補足として、本発明のそれぞれの基本形態に個々の態様を追加するであろう。
【0022】
本発明の有益な変形形態およびさらなる発展形態は、従属請求項および以下に開示した実施形態の対象である。
【0023】
本発明が、添付図面に関連したいくつかの実施形態を用いて、以下に、より詳細にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】連結要素の第1の実施形態の図を示している。
【図1B】連結要素の第1の実施形態の図を示している。
【図2】フィルタ要素の実施形態の断面図を示している。
【図3】フィルタ装置の実施形態の図を示している。
【図4】連結要素の第2の実施形態の図を示している。
【図5】連結要素の第3の実施形態の図を示している。
【図6A】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図6B】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図6C】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図6D】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図6E】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図7A】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図7B】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図7C】平フィルタ媒体を連結する方法のさらなる実施形態の各方法段階の図を示している。
【図8】連結要素の第4の実施形態の図を示している。
【図9】連結要素の第5の実施形態の図を示している。
【図10】連結要素の第6の実施形態の図を示している。
【図11A】連結要素の第7の実施形態の図を示している。
【図11B】連結要素の第7の実施形態の図を示している。
【図12A】平フィルタ媒体を連結する方法の各方法段階の図を示している。
【図12B】平フィルタ媒体を連結する方法の各方法段階の図を示している。
【図12C】平フィルタ媒体を連結する方法の各方法段階の図を示している。
【図13】連結要素の第8の実施形態の図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面において、同じ、または機能的に同じ要素は、他に記載がない限り、同じ参照数字で示される。
【0026】
図1は、連結要素の第1の実施形態の斜視図および断面図を示している。図1Aでは、2つの平フィルタ媒体2、3は、例えば、フィルタ材料シートとして示されている。フィルタ媒体の領域3Aにある2つの端部部分を互いに連結するために、E字形連結要素1が使用されている。
【0027】
図1Bでは、連結要素1の詳細図が示されており、E字形断面が示されている。E字形断面の代替として、本発明のすべての実施形態において、例えば、M字形断面を使用することもできる。連結要素は、例えば、熱可塑特性を有する合成材料で作製される。連結要素1は、例えば、約150℃〜160℃の軟化点を有するポリプロピレン材料で作製される。当然ながら、他の熱材料特性もあり得る。合成材料は、それぞれの製造プロセスおよびフィルタ媒体、さらには応用分野に合わせて選択されるのが好ましい。
【0028】
E字形断面のプラスチックストリップとして形成できる連結要素1は、それにより、それぞれが長方形の断面を有する3つの脚1A、1B、1Cを有する。脚1A、1B、1Cの厚さは、フィルタ媒体2、3に応じて選択することができる。各2つの脚の間、例えば、脚1Aと脚1Bとの間に、フィルタ材料2の端部部分の一方を挿入できる中間空間11Aが設けられている。さらに、リブともみなすことができる脚1Aと脚1Cとの間には、同様に、第2のフィルタ材料シート3の端部部分3Aを挿入できる中間空間11Dがある。
【0029】
溶着または他に熱をかけることにより、重なり合ったフィルタシートの2つの端部部分が閉じられる。フィルタ媒体、例えば、不織布フィルタ材料の端部部分は、それぞれ連結要素1の合成材料によって両側で囲まれるので、例えば、超音波溶着により、特に良好な密着性および確実な連結が得られる。特に、フィルタ材料シートが前もって複数の層を含む場合、内側層も確実な処理で(process−safe)互いに連結される。この場合に、連結要素1の材料の溶融プロセスにより、連結要素1は、少なくとも部分的に、不織布フィルタ材料に浸透することもできる。また、特に、縁部10が閉止体を形成するので、それにより、層の広がるのが防止される。こうして、構成要素の清浄性が、脱出し得る繊維によって損なわれるのを防止する。
【0030】
図2は、フィルタ要素の実施形態の断面図を示している。多くの場合、例えば、フィルタ材料シートは、ひだのある構成に折り曲げられ、すなわち、ジグザグ形状に曲げられ、次いで円筒状に接合される。図2では、円筒軸AXの平面図または断面図が示されている。フィルタ要素4は、折り曲げたフィルタ材料によって形成されなければならず、2つの端部部分2A、3Aがそれぞれ、終端折り目縁部で互いに連結されている。このために、例えば、図1に示すような連結要素が使用される。したがって、連結要素1は、両方の終端折り目縁部を流体密封した形で囲んでいる。
【0031】
対応するフィルタ要素4は、特に、自動車のフィルタ、例えば、オイルフィルタ、燃料フィルタ、または空気フィルタに使用される。原則的には、連結要素は、平媒体が縁部または部分に沿って流体密封した形で互いに連結されるすべてのタイプのフィルタで使用することができる。
【0032】
図3では、例えば、フィルタ装置5の斜視図が示されている。図2に示すフィルタ要素4は、この場合に、例えば、下側底部プレート6という別の形で互いに接着または連結されている。底部プレート6は、ひだのあるフィルタ材料2で形成された円筒状のフィルタ要素4を流体密封する。上部閉止体は、図3に示すように、フィルタ要素4の上側折れ面に取り付けられた環状プレート7によって形成されている。この場合に、上側閉止体7および下側閉止体6を溶着または接着することができる。図2ですでに説明したように、終端折り目部分は、それぞれ連結要素1によって流体密封した形で連結されている。こうして、フィルタ内部8が形成され、例えば、流体は、上側プレート7の開口を通ってフィルタ内部8に浸入し、フィルタ材料2を通り抜け、清浄な空気として出ていく。
【0033】
図4では、連結要素の第2の実施形態が示されている。連結要素1はE字形断面とされる。連結要素1は、脚1A、1B、1Cの共通縁部10を有する。例えば、外側脚1B、1Cと比較して厚さが薄い中央脚1Aが提示されている。多層フィルタ媒体は、それぞれ脚1Aと脚1Bとの間の中間空間に挿入されている。この場合に、第1のフィルタ媒体12および第2のフィルタ媒体13と、対応する端部部分とが示されている。2つの平フィルタ媒体はそれぞれ、2つの層12A、12Bおよび13A、13Bから製造され、それぞれの層の間には、例えば、活性炭粒子14が堆積されている。こうして、フィルタ媒体のフィルタ作用および吸着特性が改善される。
【0034】
特に、これらの多層フィルタ媒体12、13は、それらの終端縁部でほぐれることがあるので、提案した連結要素1は特に適している。これは、一方で、端部閉止部10が結果として形成され、他方で、連結要素1の中央支柱または中央脚1Aによって、図4に示す内側層13Aと内側層12Bとの間の接着作用または結合が改善されるためである。例えば、超音波溶着またはレーザ溶着による簡単な方法で、短時間の間に少なくとも脚1A、1B、1Cを加熱し、それらを部分的に溶融させて、脚材料と不織布フィルタ材料とを少なくとも部分的に接合することが可能である。
【0035】
図5では、連結要素の第3の実施形態が示されている。連結要素9は、この場合に、5つの脚9A〜9Eを有し、4つの中間空間11A〜11Dが形成され、連結されるフィルタ媒体のそれぞれの端部部分を中間空間に挿入することができる。これは、矢印Pで示されている。例えば、連結される多層フィルタ材料シートの個々の層を中間空間11A〜11Dに挿入することができる。一方、フィルタ要素が特定の幾何形状の場合に、フィルタ材料シートのいくつかを互いに連結することも考えられる。連結要素の構成からの結果として、連結されるフィルタ層間に、脚材料で構成される材料部分が形成される。これは、連結されるすべての平媒体の特に良好な連結をもたらす。
【0036】
図6では、上記の連結要素を用いて平フィルタ媒体を連結する方法の状態に関する複数の図が示されている。図6Aは、その端部部分2A、3Aが互いに連結される2つのフィルタ材料シート2、3を最初に示している。さらに、複数の脚を有する連結要素1が提示され、2つの脚の間に、それぞれ挿入手段11A、11Bがある。矢印Pで示すように、端部部分2A、3Aは、挿入手段または中間空間11A、11Bに挿入される。
【0037】
図6Bは、フィルタ材料シート2、3の端部部分が連結要素1に挿入された後の状況を断面で示している。次に、フィルタ材料シートの端部部分が連結要素1の脚間に配置された部分を加熱する。これは、図6Cに示されている。例えば、超音波放射USを用いて、フィルタ材料を連結要素材料と溶着することができる。レーザビームを用いて、矢印USで示すように、連結要素の縁部に沿って材料層を部分的に溶融させることも可能である。
【0038】
図6Dは、例えば、超音波による溶着を用いた溶着プロセスを示している。このために、下側金敷15Bと、所定の周波数またはパルス幅で超音波を放射し、材料層、すなわち、一連の脚材料およびフィルタ材料に熱作用をもたらす上側超音波発振器15Aとが使用される。
【0039】
最後に、図6Eでは、連結要素1を用いた、フィルタ材料シート2とフィルタ材料シート3との端部部分の流体密封型連結が示されている。
【0040】
図7では、連結要素の実施形態の結合製造プロセスと、平フィルタ媒体を連結する方法との変形形態が示されている。2層平フィルタ媒体12、13の端部部分2A、3Aは、流体密封した形で互いに連結される。それぞれが第1の層12A、13Aおよび第2の層12B、13Bを含むフィルタ材料シート12、13の2つの端部部分2A、3Aは、U字形連結要素部品1A、1Bに挿入される。これは、図7Aに示されている。それぞれのU字形の平行な脚は、端部部分2A、3Aの両側に置かれている。したがって、U字形連結要素部品1A、1Bは、端部部分2A、3Aを囲んでいる。
【0041】
次に、連結要素部品1A、1Bは、図7Bに示すように、端部部分2A、3Aが挿入された状態で互いに押しつけられる。2つの連結要素1A、1Bの脚のうちの2つは互いに接触し合っている。図7Bでは、すでに得られた連結要素1のE字形を見ることができ、このE字形は、連結要素部品1A、1Bを接合または融合させることで得られる。
【0042】
図6Dに関連してすでに説明したように、次に、連結要素材料とフィルタ材料との溶着、および連結要素部品1A、2A同士の溶着を行うことができる。これは、図7Cに示されている。材料が一体化した連結要素1が端部部分2A、3Aと固定して連結されているのが分かるが、この連結要素1は、例えば、フィルタの蛇腹の継ぎ目を流体密封した形で連結させる。熱連結は、例えば、超音波発振器15Aおよび金敷15Bを用いて行われる。
【0043】
図8は、連結要素の第4の実施形態の断面図を示している。連結要素17は、この場合にも、断面図において、共通縁部17で合流する3つの脚16A、16B、16Cを有する。それぞれの脚16A、16B間、および16A、16C間には、楔形開口または挿入手段11A、11Bがある。したがって、脚16A、16B、16Cは実質的に直線状であり、共通縁部17から始まり、扇形に広がる。例えば、各2つの脚間の調整可能な角度を用いて、材料の端部部分の挿入を容易にすることができる。
【0044】
図9は、連結要素の第5の実施形態の断面図を示している。連結要素18は、共通縁部10で合流する4つの脚18A、18B、18C、18Dを有する。この場合に、脚18A、18Bは、縁部10の一部分10AとともにU字形断面を形成し、脚は互いに向かって曲がっている。同様に、一部分10Bとともに共通縁部を形成する脚18B、18Dは、脚が互いに向かって延びるU字形断面を形成している。こうして、2つの脚18A、18Cの端部20Aまたは脚18D、18Bの端部20Bの互いに対するスプリング作用がもたらされる。したがって、上側端部20Aおよび下側端部20Bを用いてクランプ作用が得られる。このクランプ作用を用いて、例えば、中間空間11A、11Cに挿入されたフィルタ材料端部部分を固定することができる。
【0045】
図10は、脚19A、19B、19Cの端部20によってクランプ力を得ることができる連結要素のさらなる実施形態を示している。したがって、連結要素19は直線状の縁部10を有し、中央ウェブまたは中央脚19が、ほぼ中央で、縁部10に対して垂直に縁部10から分岐している。2つの外側脚19B、19Cは、脚19A、19B、19Cが、共通縁部10から離れた端部20に向かう方向に互いに向かって延びるか、またはそれらの端部20で互いに接触することさえあるように、縁部10から突出している。こうして、端部20間のクランプ作用が得られる。
【0046】
図11では、連結要素のさらなる実施形態が示されている。図11Aは、ストリップ状の熱可塑性材料で形成されたW字形連結要素20の斜視図である。連結要素20は、4つの脚20A、20B、21A、21Bを含む。これに関連して、2つの外側脚20A、20Bおよび2つの内側脚21A、21が提示されている。図11Bに示すような折り目を付けることにより、図11Aの示した矢印に沿って、フィルタ材料シートの端部部分を挿入できる2つの隣接する溝または谷が形成される。
【0047】
図11Bは、ストリップ状の、例えば、長手方向に折り目の付いた熱可塑性材料を示している。これに関連して、破線は第1の折り曲げの向きを示し、点線は、第1の折り曲げの向きとは反対の第2の折り曲げの向きを示している。折り曲げることによって、図11Aに示すような連結要素の構造が得られる。
【0048】
図12A〜12Cは、図11Aに示した適切な連結要素20の使用法を示している。2つのフィルタ材料シート2、3の端部部分2A、3AをW字形断面の2つの溝に挿入する。内側脚21A、21Bは、それぞれ外側脚20A、20Bとともに溝または谷を形成している。次に、連結要素20の脚20A、20B、21A、21Bを、間に配置された端部部分2A、3Aとともに圧縮する。
【0049】
図12Bに示すように、超音波放射を用いて、または他の方法で加熱および圧縮して、2つの端部部分2A、3Aと連結要素20の材料とを互いに連結することができる。例えば、下部金敷15Bを超音波発振器15Aと併用する。そのようにすると、連結要素20の材料とフィルタ媒体の材料とが(部分的に)融合する。同様に、2つの内側脚21A、21Bも互いに融合して固定される。結果として、図12Cに示すように、端部部分が流体密封した形で連結された、図6Eおよび図7Cと同様な構造が形成される。
【0050】
最後に、図13は、フィルタ材料の端部部分を連結する連結要素22のさらなる変形形態を示している。この場合に、連結要素22は2つの層を有する。第1の支持層22Aは、例えば、溶融可能な材料を含む第2の連結材料層22B用の安定化支持体として機能する。連結材料層22Bは、エネルギ導入時に軟化し、フィルタ媒体に浸透できる材料でできている。適切な2部品構成の実施形態として、他の幾何形状も考えられる。その場合に、連結要素のフィルタ媒体に面する側には、単に、適切な連結材料層22Bだけが設けられるのが好ましい。
【0051】
したがって、特に、エンドレスの折り曲げ蛇腹に、流体密封した継ぎ目または連結部を設けることを簡単に実現することができる。提案した方法は、製造プロセス時に単純な形で実施することができ、連結要素は、標準化した形態で容易に製造することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平フィルタ媒体(2、3)の少なくとも2つの端部部分(2A、3A)を少なくとも3つの脚(1A、1B、1C)と連結する連結要素(1)であって、端部部分(2A、2B(拒絶理由時に補正))は、それぞれ2つの脚(1A、1B、1C)間に挿入可能であり、前記脚の材料は、熱を加えることで前記フィルタ媒体(2、3)の材料と接合することができる、連結要素(1)。
【請求項2】
前記脚(1A、1B、1C)は、両側で前記フィルタ媒体(2、3)の前記端部部分(2A、3A)を覆うような平坦な構造とされる、請求項1に記載の連結要素(1)。
【請求項3】
前記脚(1A、1B、1C)は、連結要素(1)の共通縁部(10)で合流する、請求項1または2に記載の連結要素(1)。
【請求項4】
E字形断面を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の連結要素(1)。
【請求項5】
連結要素(20)はW字形断面を有し、折り曲げたストリップで形成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の連結要素(1)。
【請求項6】
熱可塑性材料を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の連結要素(1)。
【請求項7】
少なくとも2つの脚(18A、18B、18C、18D、19A、19B、19C)は、前記2つの脚(18A、18C、19A、19B)間に導入された端部部分がクランプ作用によって固定されるように成形される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の連結要素(18、19)。
【請求項8】
連結される複数の端部部分(2A、3A)を挿入するために、前記脚(1A、1B、1C)間の中間空間(11A、11B)によって形成された複数の挿入手段を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の連結要素(1)。
【請求項9】
支持材料層(22A)および連結材料層(22B)を含み、前記連結材料層(22B)の材料は、前記フィルタ媒体(2、3)の材料と結合可能である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の連結要素(22)。
【請求項10】
材料を一体化して形成される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の連結要素(1)。
【請求項11】
少なくとも2つの端部部分がある平フィルタ材料(2)を有するフィルタ要素(4)であって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の連結要素(1)によって固定されるフィルタ要素(4)。
【請求項12】
フィルタ媒体(12、13)が複数の層(12A、12B、13A、13B)を含む、請求項11に記載のフィルタ要素(4)。
【請求項13】
自動車用の作動媒体フィルタ、燃料フィルタ、空気フィルタ、または車室フィルタの一部である、請求項11または12に記載のフィルタ要素(5)。
【請求項14】
平フィルタ媒体(2、3)の少なくとも2つの端部部分(2A、3A)を連結する方法であって、前記端部部分(2A、3A)は、それぞれ請求項1〜10のいずれか一項に記載の連結要素(1)の2つの脚(1A、1B、1C)間に挿入され、前記脚の材料は、加熱することで前記フィルタ媒体(2、3)の材料と互いに接合される、方法。
【請求項15】
前記連結要素(1)は、それぞれが前記端部部分(2A、3A)を個別に囲み、加熱によって連結され、互いに接合する2つの連結要素部品(1A、1B)で形成される、請求項14に記載の方法。
【請求項1】
平フィルタ媒体(2、3)の少なくとも2つの端部部分(2A、3A)を少なくとも3つの脚(1A、1B、1C)と連結する連結要素(1)であって、端部部分(2A、2B(拒絶理由時に補正))は、それぞれ2つの脚(1A、1B、1C)間に挿入可能であり、前記脚の材料は、熱を加えることで前記フィルタ媒体(2、3)の材料と接合することができる、連結要素(1)。
【請求項2】
前記脚(1A、1B、1C)は、両側で前記フィルタ媒体(2、3)の前記端部部分(2A、3A)を覆うような平坦な構造とされる、請求項1に記載の連結要素(1)。
【請求項3】
前記脚(1A、1B、1C)は、連結要素(1)の共通縁部(10)で合流する、請求項1または2に記載の連結要素(1)。
【請求項4】
E字形断面を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の連結要素(1)。
【請求項5】
連結要素(20)はW字形断面を有し、折り曲げたストリップで形成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の連結要素(1)。
【請求項6】
熱可塑性材料を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の連結要素(1)。
【請求項7】
少なくとも2つの脚(18A、18B、18C、18D、19A、19B、19C)は、前記2つの脚(18A、18C、19A、19B)間に導入された端部部分がクランプ作用によって固定されるように成形される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の連結要素(18、19)。
【請求項8】
連結される複数の端部部分(2A、3A)を挿入するために、前記脚(1A、1B、1C)間の中間空間(11A、11B)によって形成された複数の挿入手段を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の連結要素(1)。
【請求項9】
支持材料層(22A)および連結材料層(22B)を含み、前記連結材料層(22B)の材料は、前記フィルタ媒体(2、3)の材料と結合可能である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の連結要素(22)。
【請求項10】
材料を一体化して形成される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の連結要素(1)。
【請求項11】
少なくとも2つの端部部分がある平フィルタ材料(2)を有するフィルタ要素(4)であって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の連結要素(1)によって固定されるフィルタ要素(4)。
【請求項12】
フィルタ媒体(12、13)が複数の層(12A、12B、13A、13B)を含む、請求項11に記載のフィルタ要素(4)。
【請求項13】
自動車用の作動媒体フィルタ、燃料フィルタ、空気フィルタ、または車室フィルタの一部である、請求項11または12に記載のフィルタ要素(5)。
【請求項14】
平フィルタ媒体(2、3)の少なくとも2つの端部部分(2A、3A)を連結する方法であって、前記端部部分(2A、3A)は、それぞれ請求項1〜10のいずれか一項に記載の連結要素(1)の2つの脚(1A、1B、1C)間に挿入され、前記脚の材料は、加熱することで前記フィルタ媒体(2、3)の材料と互いに接合される、方法。
【請求項15】
前記連結要素(1)は、それぞれが前記端部部分(2A、3A)を個別に囲み、加熱によって連結され、互いに接合する2つの連結要素部品(1A、1B)で形成される、請求項14に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【公表番号】特表2012−529982(P2012−529982A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515456(P2012−515456)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058349
【国際公開番号】WO2010/146037
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(505229863)マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (86)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058349
【国際公開番号】WO2010/146037
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(505229863)マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (86)
【Fターム(参考)】
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