多層建築物の排水立て管路の改修構造、多層建築物の排水立て管路改修方法、これら改修構造及び改修方法に用いられる集合継手
【課題】汚水用の排水立て管路と、雑排水用の排水立て管路とが平行して並ぶ多層建築物の排水立て管路を、居住民にできるだけ、負担をかけることなく、単管式の排水立て管路へ容易に改修することができる多層建築物の排水立て管路の改修構造、改修方法及び集合継手を提供する。
【解決手段】
一つの既設排水立て管路の撤去によって生じた床スラブ貫通孔Hに、差口部51aの下端部が床スラブSの下方から突出し、横枝管接続部42が床スラブS上方に配置し、床スラブSの下方に突き出た差口部51aの下端が第2集合継手2の上端に設けられたゴム輪付き上部受口部21にワンタッチ接続され、第2集合継手2の下端が下の階の排水立て管P1に接続された1本の更新排水立て管路Aを形成して、横枝管P2を第1集合継手1の横枝管接続部42に、横枝管P3、P4を第2集合継手2の横枝管説接続部25に接続した。
【解決手段】
一つの既設排水立て管路の撤去によって生じた床スラブ貫通孔Hに、差口部51aの下端部が床スラブSの下方から突出し、横枝管接続部42が床スラブS上方に配置し、床スラブSの下方に突き出た差口部51aの下端が第2集合継手2の上端に設けられたゴム輪付き上部受口部21にワンタッチ接続され、第2集合継手2の下端が下の階の排水立て管P1に接続された1本の更新排水立て管路Aを形成して、横枝管P2を第1集合継手1の横枝管接続部42に、横枝管P3、P4を第2集合継手2の横枝管説接続部25に接続した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層建築物の排水立て管路の改修構造、多層建築物の排水立て管路改修方法、これら改修構造及び改修方法に用いられる集合継手に関する。
【背景技術】
【0002】
排水管路は、長期間使用しているうちに、内部に錆が発生し、この錆びた部分に汚物等が付着するなどして詰りが生じる、あるいは、管壁に孔があき、漏水が発生するおそれがあるため、定期的に検査され、上記問題が生じる虞がある場合には、旧い配管材を取り除き、新しい配管に更新する工事が行われる。
また、多層建築物においては、トイレの汚水を流す排水立て管路と、洗面所や浴槽の排水などの雑排水を流す排水立て管路がそれぞれ設けられ、これらが平行して設けられている。
【0003】
一方、昨今は、下水道設備が整備され、上記のように汚水と雑排水とを混在させて下水道に排水することができるようになっているとともに、継手内部に旋回羽根が設けられた集合継手を排水立て管路の横枝管が接続される部分に用いることによって、排水立て管路自体の排水性能が上がるようになり、1つの排水立て管路に各フロアーの汚水と雑排水を纏めて排水できるようになっている(例えば、特許文献1,2参照)。
そこで、上記のような汚水用排水立て管路と、雑排水用排水立て管路とを平行に備える既設の多層建築物においても、排水立て管路を改修する上において、上記のような集合継手を用いて、汚水用排水立て管路と、雑排水用排水立て管路とを1本の更新用排水立て管路に纏めることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3372817号公報
【特許文献2】特開2001−348925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の多層建築物では、改修しようとする既設排水立て管路が以下のような構造となっているものがある。
すなわち、図14に示すように、第1の既設排水立て管路100は、床スラブSの上面に沿って設けられた横枝管P2が、床スラブSの上面側に配置された継手110の横枝管接続部111に接続されていて、この横枝管P2を介して各フロアーのトイレの汚水がそれぞれ流入するようになっている。
一方、第2の既設排水立て管路200は、床スラブSを貫通し、床スラブSの下面に沿って、すなわち、下の階の天井裏に沿って設けられた貫通横枝管P3,P4が、床スラブSの下面側に配置された継手210,220の横枝管接続部211,221にそれぞれ接続されていて、各フロアーの洗面所や浴槽から排水される雑排水がこの貫通横枝管P3,P4を介してそれぞれ流入する。
なお、図14中、P1は排水立て管である。
【0006】
かかる多層建築物においては、これら既設排水立て管路に平行して、さらに、給水管やガス配管などが設けられており、改修時の各フロアーでの施工スペースが非常に狭い。
したがって、各フロアーで上下に分かれた横枝管をいずれか床フロアーの床スラブの上側または下側に纏めるという作業を行えない場合がある。
【0007】
また、不要になった既設排水管路や横枝管の床スラブ貫通部を取り除くには、床スラブSの既設排水立て管路の周囲部分をハツる作業が必要であるが、大きくハツると、床スラブの強度低下や建物躯体の強度低下に繋がる。また、改修の場合、各住戸に居住する人がいるため、床スラブをハツる作業のような騒音の発生する作業を極力少なくする必要がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物において、居住民にできるだけ、負担をかけることなく、単管式の排水立て管路への改修を容易に行うことができる多層建築物の排水立て管路の改修構造、多層建築物の排水立て管路改修方法、これら改修構造及び改修方法に用いられる集合継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかる多層建築物の排水立て管路の改修構造は、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修構造であって、胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手が、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路の撤去によって生じた床スラブ貫通孔に、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持され、前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端が改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続され、第2集合継手の下端が下の階の排水立て管に接続された1本の更新排水立て管路が形成されるとともに、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器が横枝管を介して各フロアーの床スラブの上下で前記更新排水立て管路に接続されていることを特徴としている。
【0010】
特に限定されないが、本発明においては、さらに、以下のような構成とすることが好ましい。
すなわち、上記第1集合継手は、横枝管接続部を有する上部継手部と、差口部を有する短管形状の下部継手部とを備え、前記上部継手部と前記下部継手部とが、分離可能な接続構造を備えていることが好ましい。
排水機器は、貫通既設横枝管の少なくとも床スラブ貫通部分を用いて更新排水立て管路に接続されていることが好ましい。すなわち、貫通既設横枝管の床スラブ貫通部分を床スラブから撤去する必要がないので、床スラブの弱体を防止することができる。また、施工工数や撤去工事時の騒音も減らすことができる。
【0011】
第2集合継手は、特に限定されないが、横枝管接続部が設けられた大径筒部と、内径が前記大径筒部の下端から排水立て管の内径となるまで縮径するテーパ筒部を備えていることが好ましい。
【0012】
一方、本発明にかかる多層建築物の排水立て管路改修方法は、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修方法であって、前記第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路を撤去する工程と、胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手を、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持する工程と、前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端を改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続する工程と、第2集合継手の下端に排水立て管を接続する工程とを行い、1本の更新排水立て管路を配管施工するとともに、前記更新排水立て管路の各フロアーの床スラブの上下で第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器を、横枝管を介して接続することを特徴としている。
【0013】
本発明の多層建築物の排水立て管路の改修構造または改修方法の第1集合継手としては、特に限定されないが、横枝管接続部を有する上部継手部と、上端に上部継手部下端を受ける受口部を有し、下端に前記差口部を有する短管形状の下部継手部とを備え、前記上部継手部と前記下部継手部とが、分離可能に構成されていることが好ましい。
すなわち、上部継手部を一旦下部継手部から分離し、上部継手部の下端部を必要に応じて切断したのち、下部継手部の受口部に再接続すれば、横枝管接続部の高さ位置を調整することができる。
【0014】
また、上部継手部と下部継手部との接続部を床スラブより上側になるように配置しておくことによって、貫通孔にモルタルを詰めて下部継手部が床スラブにしっかり固定されていても、上部継手部を回転させて横枝管接続部を横枝管の管軸にあうように微調整でき、施工性がよくなる。
なお、下部継手部の差口部も切断して床スラブからの突出長さを調整できるようにしてもよい。
【0015】
また、上記継手は、鋳鉄、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂のいずれで形成されていてもよい。
ただ、鋳鉄製のものの場合、通常、防錆塗装が施されているので、上記のように寸法調整のために切断する場合は、切断面に施工現場で防錆塗料等を塗布して防錆加工する必要がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる多層建築物の排水立て管路の改修構造は、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修構造であって、胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手が、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路の撤去によって生じた床スラブ貫通孔に、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持され、前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端が改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続され、第2集合継手の下端が下の階の排水立て管に接続された1本の更新排水立て管路が形成されるとともに、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器が横枝管を介して各フロアーの床スラブの上下で前記更新排水立て管路に接続されている。
【0017】
したがって、1つの既設排水立て管路のみを撤去すれば、他の既設排水立て管路を撤去する必要がない。
すなわち、既設排水立て管路の撤去によって、床スラブを、ハツル面積を少なくすることができ、ハツリによる床スラブの強度の劣化を防ぐことができる。また、床スラブ貫通孔内を鉄筋補強するなどの後施工も必要がなくなり、改修コストを低減できる。
さらに、ハツリによる騒音を極力減らすことができるので、居住民にできるだけ、負担をかけることなく、単管式の排水立て管路への改修を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる多層建築物の排水立て管路の改修構造の1つの実施の形態をあらわす1つのフロアー部分の断面図である。
【図2】図1の改修構造の第1集合継手として用いられる集合継手の1つの実施の形態をあらわす正面図である。
【図3】図2の集合継手の平面図である。
【図4】図3のX−X線断面図である。
【図5】図2の集合継手の分離状態の正面図である。
【図6】図2の集合継手の受口に用いられるゴムの断面斜視図である。
【図7】図2の集合継手の受口への排水立て管の接続状態を説明する断面図である。
【図8】図1の改修構造の第2集合継手として用いられる集合継手の1つの実施の形態をあらわす正面半断面図である。
【図9】図8のY−Y線断面図である。
【図10】本発明にかかる多層建築物の排水立て管路の改修方法の第1集合継手の床スラブへの設置状態を説明する1つのフロアー部分の断面図である。
【図11】第2集合継手と、排水立て管との接続方法を説明する図である。
【図12】第1集合継手と、排水立て管との接続方法を説明する図である。
【図13】第2集合継手と、第1集合継手との接続方法を説明する図である。
【図14】従来の多層建築物の排水構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明の多層建築物の排水立て管路の改修構造(以下、「本発明の改修構造」と記す)の1つの実施の形態をあらわしている。
【0020】
図1に示すように、この改修された排水立て管路Aは、各フロアーの床スラブSに第1集合継手1が、その下部継手部を構成する下部継手部材5の差口部51aが床スラブSを貫通し床スラブSの下面から突出している。
第1集合継手1は、下部継手部材5と床スラブ貫通孔Hとの間に充填されたモルタルM及び上部継手部を構成する上部継手部材4がアングルなどで形成された架台3によって床スラブSに支持されることによって位置固定されている。
第1集合継手1の上部受口部41bには、排水立て管P1の下端がワンタッチ接続されている。
【0021】
第1集合継手1は、その下端の差口部51aが床スラブSの下面より下方に突出していて、後述する第2集合継手2の上部受口部21にワンタッチ接続されている。
第2集合継手2の下端には下の階の排水立て管P1の上端部が接続されている。
【0022】
そして、この排水立て管路Aには、図14における各フロアーの床スラブSの上側に設けられた第1の既設排水立て管路100に繋がっていた排水機器の横枝管P2(更新時に新規につなぎ直した部分も含む)が上部継手部材4に設けられた横枝管接続部42に接続され、第2の既設排水立て管路200に繋がっていた排水機器の床スラブSを貫通する横枝管P3,P4が第2集合継手2の横枝管接続部25,25に接続される。
【0023】
つぎに、図2〜図7を用いて、上記第1集合継手1の構造について詳述する。
この第1集合継手1は、図2、図4、図5に示すように、上部継手部を構成する上部継手部材4と、下部継手部を構成する下部継手部材5と、締め付けリング6と、リング状パッキン7と、4本のボルト8と、4つのナット9と、を備えている。
上部継手部材4は、鋳鉄で形成されていて、表面全体(外周面及び内周面)が防錆塗料(例えば、エポキシ樹脂系粉体塗料)等によって防錆加工されていて、本体部41と横枝管接続部42とを備えている。
また、本体部41は、図6及び図7に示すゴム輪45が内装され、排水立て管P1の下端が、ワンタッチ接続される上部受口部41bを上端に有し、その下方に横枝管接続部42を備えた上部胴部41aを備えている。
【0024】
ゴム輪45は、EPDMなどの合成ゴムで形成されていて、図6に示すように、上部筒部46aと、下部筒部46bとを有する本体部46と、上部筒部46aの上端側から下端側に向かって徐々に縮径し、下端側が排水立て管の外径より小径になったリップ部47とを備えている。
リップ部47は、排水立て管P1の下端部が上部受口部41b内に挿入されると、図7に示すように、排水立て管P1の外径より小径部分が排水立て管P1の外周面に密着した状態で外側に広がり、外周面が上部筒部46aの内壁面にほぼ密着する。
そして、排水立て管P1がさらに押し込まれることによって、下部筒部46bの内周面が排水立て管P1の外周面に水密に密着する。
【0025】
すなわち、排水立て管P1は、その下端部が上部受口部41b内に挿入されることによって、ワンタッチで、その軸が上部受口部41bの軸に平行に止水された状態で支持される。
なお、ゴム輪45は、少なくとも排水立て管P1が挿入される部分には、滑剤を塗布しておくことが好ましい。滑剤は、工場出荷時に予め塗布されていても構わないし、施工現場で塗布するようにしても構わない。
【0026】
上部胴部41aは、その内径が排水立て管P1の内径より大きい円筒状をしていて、後述する横枝管接続部42より下側の部分の管軸方向の長さが、床スラブSの厚みや、接続される横枝管P2の高さ位置に合わせることができるように、例えば、下端部を最大120cm切断しても下部継手部材5に接続可能な長さにされている。
また、上部胴部41aは、図3、図4に示すように、内周面の横枝管接続部42の開口部より少し上側に旋回羽根43が設けられ、旋回羽根43の両側に堰板44が設けられている。
横枝管接続部42は、上記上部受口部41bと同様にゴム輪が設けられた受口形状になっていて、横枝管P2がワンタッチ接続できるようになっている。
【0027】
下部継手部材5は、鋳鉄で形成されていて、表面全体(外周面及び内周面)が防錆塗料等によって防錆加工され、図2、図4、図5に示すように、短管継手形状をしている。
そして、下部継手部材5は、図2及び図4に示すように、本体部51と、上部受口部52とを備えている。
【0028】
本体部51は、削り出しによって、外周面が真円に平滑に加工形成された差口部51aを備えた円筒形状をしていて、内径が上部胴部41aの内径と同じになっている。
差口部51aは、床スラブSの厚みや、接続される横枝管P3,P4の高さ位置に合わせることができるように、下端部を最大170cm切断しても第2集合継手2にワンタッチ接続できるようになっている。
【0029】
上部受口部52は、図4に示すように、リング状のパッキン7の下端部が嵌り込むとともに、上端に締め付けリング6に対向するように配置されるフランジ部52aを備えている。
【0030】
締め付けリング6は、鋳鉄で形成されていて、表面全体(外周面及び内周面)が防錆塗料等によって防錆加工されている。
また、締め付けリング6は、図4に示すように、リング状のパッキン7の上端部がはまり込むようになっている。
ボルト8及びナット9は、ステンレス鋼で形成されている。
【0031】
そして、この第1集合継手1は、図4に示すように、上部継手部材4の上部胴部41aの下端部がパッキン7を介して下部継手部材5の上部受口部52に嵌合されるとともに、ボルト8をフランジ部52a側から締め付けリング6側に挿通させ、ナット9をボルト8に締めこむことによって、パッキン7がフランジ部52aと締め付けリング6との間で圧縮されて、上部胴部41aに下端部が水密に密着している。すなわち、上部継手部材4と下部継手部材5とが分離自在に一体化されている。
【0032】
つぎに、図8及び図9を用いて、第2集合継手2の構造を詳述する。
第2集合継手2は、鋳鉄で形成されていて、表面全体(外周面及び内周面)が防錆塗料等によって防錆加工されている。
【0033】
また、第2集合継手2は、図8に示すように、大径筒部20と、上部受口部21と、テーパ筒部22と、下部受口部23とを備えていて、積水化学工業株式会社製の商品名「ADスリム」とほぼ同じ構造となっている。
大径筒部20は、第1集合継手1の上部胴部41a及び本体部51と同じ内径をしていて、図8及び図9に示すように、3つの横枝管接続部25を備えている。
【0034】
各横枝管接続部25は、図示していないが、アダプターを装着することで、径の異なる横枝管が接続可能になっている。また、使用しない横枝管接続部25は、盲板を取り付けることによって水密の封止ができるようになっている。
上部受口部21は、上記ゴム輪45と同じ形状のゴム輪が内装され、第1集合継手1の差口部51aがワンタッチ接続されるようになっている。
【0035】
テーパ筒部22は、大径筒部20下端から下方に延出し、排水立て管P1の内径とほぼ同じになるまで、断面6角形状の螺旋状に徐々に縮径している。
下部受口部23は、第1集合継手1の下部継手部材5に設けられた上部受口部21と同様の形状をしていて、パッキン7と同様の形状をしたパッキンを介して排水立て管の上端部が嵌合され、フランジ部23aと締め付けリングとの間でパッキンを圧縮して、排水立て管P1の上端部を水密状態に接続できるようになっている。
【0036】
第2集合継手2は、図9に示すように、第1旋回羽根27と、第2旋回羽根26とを内部に備えている。
第1旋回羽根27及び第2旋回羽根26は、その上端がそれぞれ横枝管接続部25の下端より下方に位置し、接続された排水立て管の管軸方向に投影した投影面において、排水立て管の投影内断面積をS1、第1旋回羽根の排水立て管の内側に入り込む部分の投影面積をS2、第2旋回羽根の排水立て管の内側に入り込む部分の投影面積をS3としたとき、0.2×S1≦S2≦0.3×S1、及び、S3≦0.05×S1の条件を満足するように設けられていることが好ましい。
【0037】
つぎに、図1及び図10〜図14を用いて、本発明の改修方法の1例を工程順に詳述する。
(1)図14に示す第1の既設排水立て管路100を各フロアーの排水機器と接続された横枝管P2から切り離し、床スラブSをハツリ、第1の既設排水立て管路100を撤去する。
(2)図10に示すように、生じた床スラブSの床スラブ貫通孔Hに第1集合継手1を床スラブSの上方から差口部51aを挿入して、図示していないが、下方に設けられた継手のワンタッチ接続可能な上部受口(先に第2集合継手2が設置されている場合は、第2集合継手2の上部受口部21)に差し込み嵌合するとともに、架台3によって、床スラブSの上面に支持する。
そして、床スラブ貫通孔Hと第1集合継手1との間をモルタルMによって埋める。
(3)図11に示すように、第2集合継手2の下端に所定の長さ(施工状態で第2集合継手2の上端が床スラブSの下面から20cm以上下方になる長さ)の排水立て管P1を接続する。
(4)図12に示すように、第2集合継手2が上端に接続された排水立て管P1の下端を先に床スラブSに支持固定された第1集合継手1の上部受口部41bにワンタッチ接続する。
このワンタッチ接続によって、図13に示すように、第2集合継手2の上部受口部21が上のフロアーの床スラブ貫通孔Hを臨むように第2集合継手2が排水立て管P1を介して支持される。
(5)図13に示すように、上のフロアーの床スラブ貫通孔Hを介して、(2)の工程とどうように、を上記のように固定された排水立て管P1の下端を、第1集合継手1を床スラブSの上方から差口部51aを挿入して第2集合継手2の上部受口部21にワンタッチ接続する。
(6)上記(2)〜(5)を最上階のフロアーまで繰り返し行って、図1に示す排水立て管路Aを形成する。
(7)第2の既設排水立て管路200に接続された横枝管P3,P4をその床スラブ貫通部分を残した状態で既設排水立て管路200から切り離す。
(8)必要に応じて既設排水立て管路200の床スラブSを貫通する部分以外を取り除く。
(9)第2の既設排水立て管路200に接続された排水機器をその排水機器が接続されていた横枝管P3,P4の残存床スラブ貫通部分を用いて新たに設けられ横枝管P3,P4を介して第2集合継手2の横枝管接続部に接続する。
【0038】
この改修方法は、上記のように、床スラブSの、第1の既設排水立て管路100を撤去する際に既設排水立て管路100の床スラブ貫通部分の周囲のみをハツルだけであるので、床スラブSを、ハツル面積を少なくすることができ、ハツリによる床スラブSの強度の劣化を極力防ぐことができる。また、床スラブ貫通孔H内を鉄筋補強するなどの後施工も必要がなくなり、改修コストを低減できる。すなわち、居住民にできるだけ、負担をかけることなく、排水立て管路の改修を容易に行うことができる。
また、第1集合継手1の差口部51aを、床スラブ貫通孔Hを介して床スラブS下方に突出させ、第2集合継手2の上部受口部21にワンタッチ接続させるだけでよいので、第1集合継手1と第2集合継手2との接続の際に、下のフロアーの天井裏まで作業者が上がるという高所作業が不要になり、作業の安全性も確保できる。
【0039】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、第1集合継手1の施工毎に、モルタルMを埋め込むようにしていたが、モルタルMの埋め込みは、排水立て管路Aが全て完成したのちに行っても構わない。
上記の実施の形態では、横枝管P2〜P4の接続を、排水立て管路Aの完成後に行っていたが、各フロアー上下に第1集合継手1の横枝管接続部42および第2集合継手2の横枝管接続部25が位置固定されるごとに行うようにしても構わない。
【0040】
上記の実施の形態では、第2の既設排水立て管路200の横枝管P3,P4の既設排水立て管路200からの切り離しを、排水立て管路Aの完成後に行っていたが、排水立て管路Aの施工前に行なうようにしても構わない。
上記の実施の形態では、上部継手部材、下部継手部材1及び第2集合継手が鋳鉄製であったが、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製のものであっても構わない。ただし、床スラブ貫通部は、積水化学工業株式会社製の商品名「フィブロック」などの耐火熱膨張テープを巻回したり、積水化学工業株式会社製の商品名「エスロン耐火VPパイプ」のようなそれ自体に耐火構造を備えているものを用いる必要がある。
【0041】
上記の実施の形態では、上部継手部材4に横枝管接続部が1つしか設けられていなかったが、2つ以上設けられていても構わない。
上記の実施の形態では、第1集合継手1を、架台3を介して床スラブ上面で支持するようにしていたが、第2集合継手2も床スラブ下面に支持されたラック等を介して床スラブSに支持させるようにしても構わない。
【0042】
上記の実施の形態では、第1の既設排水立て管路100と、第2の既設排水立て管路200が1本ずつ合計2本の既設排水立て管路が平行に設けられていたが、3本以上の既設排水立て管路を1本の排水立て管路に改修するようにしても構わない。
【符号の説明】
【0043】
A 排水立て管路(改修排水立て管路)
H 床スラブ貫通孔
S 床スラブ
P2 横枝管(上面側既設横枝管)
P3,P4 横枝管(貫通既設横枝管)
P1 排水立て管
1 第1集合継手(本発明の集合継手)
2 第2集合継手
20 大径筒部
21 上部受口部(ゴム輪付き受口)
22 テーパ筒部
23 下部受口部
23a フランジ部
3 架台
4 上部継手部材(上部継手部)
41 本体部
41a 上部胴部
41b 上部受口部
42 横枝管接続部
45 ゴム輪
5 下部継手部材(下部継手部)
51 本体部
51a 差口部
52 上部受口部
52a フランジ部
6 締め付けリング
7 リング状のパッキン
8 ボルト
9 ナット
100 第1の既設排水立て管路
111 横枝管接続部(既設排水立て管路100)
211,221 横枝管接続部(既設排水立て管路200)
200 第2の既設排水立て管路
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層建築物の排水立て管路の改修構造、多層建築物の排水立て管路改修方法、これら改修構造及び改修方法に用いられる集合継手に関する。
【背景技術】
【0002】
排水管路は、長期間使用しているうちに、内部に錆が発生し、この錆びた部分に汚物等が付着するなどして詰りが生じる、あるいは、管壁に孔があき、漏水が発生するおそれがあるため、定期的に検査され、上記問題が生じる虞がある場合には、旧い配管材を取り除き、新しい配管に更新する工事が行われる。
また、多層建築物においては、トイレの汚水を流す排水立て管路と、洗面所や浴槽の排水などの雑排水を流す排水立て管路がそれぞれ設けられ、これらが平行して設けられている。
【0003】
一方、昨今は、下水道設備が整備され、上記のように汚水と雑排水とを混在させて下水道に排水することができるようになっているとともに、継手内部に旋回羽根が設けられた集合継手を排水立て管路の横枝管が接続される部分に用いることによって、排水立て管路自体の排水性能が上がるようになり、1つの排水立て管路に各フロアーの汚水と雑排水を纏めて排水できるようになっている(例えば、特許文献1,2参照)。
そこで、上記のような汚水用排水立て管路と、雑排水用排水立て管路とを平行に備える既設の多層建築物においても、排水立て管路を改修する上において、上記のような集合継手を用いて、汚水用排水立て管路と、雑排水用排水立て管路とを1本の更新用排水立て管路に纏めることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3372817号公報
【特許文献2】特開2001−348925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の多層建築物では、改修しようとする既設排水立て管路が以下のような構造となっているものがある。
すなわち、図14に示すように、第1の既設排水立て管路100は、床スラブSの上面に沿って設けられた横枝管P2が、床スラブSの上面側に配置された継手110の横枝管接続部111に接続されていて、この横枝管P2を介して各フロアーのトイレの汚水がそれぞれ流入するようになっている。
一方、第2の既設排水立て管路200は、床スラブSを貫通し、床スラブSの下面に沿って、すなわち、下の階の天井裏に沿って設けられた貫通横枝管P3,P4が、床スラブSの下面側に配置された継手210,220の横枝管接続部211,221にそれぞれ接続されていて、各フロアーの洗面所や浴槽から排水される雑排水がこの貫通横枝管P3,P4を介してそれぞれ流入する。
なお、図14中、P1は排水立て管である。
【0006】
かかる多層建築物においては、これら既設排水立て管路に平行して、さらに、給水管やガス配管などが設けられており、改修時の各フロアーでの施工スペースが非常に狭い。
したがって、各フロアーで上下に分かれた横枝管をいずれか床フロアーの床スラブの上側または下側に纏めるという作業を行えない場合がある。
【0007】
また、不要になった既設排水管路や横枝管の床スラブ貫通部を取り除くには、床スラブSの既設排水立て管路の周囲部分をハツる作業が必要であるが、大きくハツると、床スラブの強度低下や建物躯体の強度低下に繋がる。また、改修の場合、各住戸に居住する人がいるため、床スラブをハツる作業のような騒音の発生する作業を極力少なくする必要がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物において、居住民にできるだけ、負担をかけることなく、単管式の排水立て管路への改修を容易に行うことができる多層建築物の排水立て管路の改修構造、多層建築物の排水立て管路改修方法、これら改修構造及び改修方法に用いられる集合継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかる多層建築物の排水立て管路の改修構造は、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修構造であって、胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手が、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路の撤去によって生じた床スラブ貫通孔に、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持され、前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端が改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続され、第2集合継手の下端が下の階の排水立て管に接続された1本の更新排水立て管路が形成されるとともに、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器が横枝管を介して各フロアーの床スラブの上下で前記更新排水立て管路に接続されていることを特徴としている。
【0010】
特に限定されないが、本発明においては、さらに、以下のような構成とすることが好ましい。
すなわち、上記第1集合継手は、横枝管接続部を有する上部継手部と、差口部を有する短管形状の下部継手部とを備え、前記上部継手部と前記下部継手部とが、分離可能な接続構造を備えていることが好ましい。
排水機器は、貫通既設横枝管の少なくとも床スラブ貫通部分を用いて更新排水立て管路に接続されていることが好ましい。すなわち、貫通既設横枝管の床スラブ貫通部分を床スラブから撤去する必要がないので、床スラブの弱体を防止することができる。また、施工工数や撤去工事時の騒音も減らすことができる。
【0011】
第2集合継手は、特に限定されないが、横枝管接続部が設けられた大径筒部と、内径が前記大径筒部の下端から排水立て管の内径となるまで縮径するテーパ筒部を備えていることが好ましい。
【0012】
一方、本発明にかかる多層建築物の排水立て管路改修方法は、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修方法であって、前記第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路を撤去する工程と、胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手を、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持する工程と、前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端を改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続する工程と、第2集合継手の下端に排水立て管を接続する工程とを行い、1本の更新排水立て管路を配管施工するとともに、前記更新排水立て管路の各フロアーの床スラブの上下で第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器を、横枝管を介して接続することを特徴としている。
【0013】
本発明の多層建築物の排水立て管路の改修構造または改修方法の第1集合継手としては、特に限定されないが、横枝管接続部を有する上部継手部と、上端に上部継手部下端を受ける受口部を有し、下端に前記差口部を有する短管形状の下部継手部とを備え、前記上部継手部と前記下部継手部とが、分離可能に構成されていることが好ましい。
すなわち、上部継手部を一旦下部継手部から分離し、上部継手部の下端部を必要に応じて切断したのち、下部継手部の受口部に再接続すれば、横枝管接続部の高さ位置を調整することができる。
【0014】
また、上部継手部と下部継手部との接続部を床スラブより上側になるように配置しておくことによって、貫通孔にモルタルを詰めて下部継手部が床スラブにしっかり固定されていても、上部継手部を回転させて横枝管接続部を横枝管の管軸にあうように微調整でき、施工性がよくなる。
なお、下部継手部の差口部も切断して床スラブからの突出長さを調整できるようにしてもよい。
【0015】
また、上記継手は、鋳鉄、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂のいずれで形成されていてもよい。
ただ、鋳鉄製のものの場合、通常、防錆塗装が施されているので、上記のように寸法調整のために切断する場合は、切断面に施工現場で防錆塗料等を塗布して防錆加工する必要がある。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる多層建築物の排水立て管路の改修構造は、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修構造であって、胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手が、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路の撤去によって生じた床スラブ貫通孔に、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持され、前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端が改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続され、第2集合継手の下端が下の階の排水立て管に接続された1本の更新排水立て管路が形成されるとともに、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器が横枝管を介して各フロアーの床スラブの上下で前記更新排水立て管路に接続されている。
【0017】
したがって、1つの既設排水立て管路のみを撤去すれば、他の既設排水立て管路を撤去する必要がない。
すなわち、既設排水立て管路の撤去によって、床スラブを、ハツル面積を少なくすることができ、ハツリによる床スラブの強度の劣化を防ぐことができる。また、床スラブ貫通孔内を鉄筋補強するなどの後施工も必要がなくなり、改修コストを低減できる。
さらに、ハツリによる騒音を極力減らすことができるので、居住民にできるだけ、負担をかけることなく、単管式の排水立て管路への改修を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる多層建築物の排水立て管路の改修構造の1つの実施の形態をあらわす1つのフロアー部分の断面図である。
【図2】図1の改修構造の第1集合継手として用いられる集合継手の1つの実施の形態をあらわす正面図である。
【図3】図2の集合継手の平面図である。
【図4】図3のX−X線断面図である。
【図5】図2の集合継手の分離状態の正面図である。
【図6】図2の集合継手の受口に用いられるゴムの断面斜視図である。
【図7】図2の集合継手の受口への排水立て管の接続状態を説明する断面図である。
【図8】図1の改修構造の第2集合継手として用いられる集合継手の1つの実施の形態をあらわす正面半断面図である。
【図9】図8のY−Y線断面図である。
【図10】本発明にかかる多層建築物の排水立て管路の改修方法の第1集合継手の床スラブへの設置状態を説明する1つのフロアー部分の断面図である。
【図11】第2集合継手と、排水立て管との接続方法を説明する図である。
【図12】第1集合継手と、排水立て管との接続方法を説明する図である。
【図13】第2集合継手と、第1集合継手との接続方法を説明する図である。
【図14】従来の多層建築物の排水構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1は、本発明の多層建築物の排水立て管路の改修構造(以下、「本発明の改修構造」と記す)の1つの実施の形態をあらわしている。
【0020】
図1に示すように、この改修された排水立て管路Aは、各フロアーの床スラブSに第1集合継手1が、その下部継手部を構成する下部継手部材5の差口部51aが床スラブSを貫通し床スラブSの下面から突出している。
第1集合継手1は、下部継手部材5と床スラブ貫通孔Hとの間に充填されたモルタルM及び上部継手部を構成する上部継手部材4がアングルなどで形成された架台3によって床スラブSに支持されることによって位置固定されている。
第1集合継手1の上部受口部41bには、排水立て管P1の下端がワンタッチ接続されている。
【0021】
第1集合継手1は、その下端の差口部51aが床スラブSの下面より下方に突出していて、後述する第2集合継手2の上部受口部21にワンタッチ接続されている。
第2集合継手2の下端には下の階の排水立て管P1の上端部が接続されている。
【0022】
そして、この排水立て管路Aには、図14における各フロアーの床スラブSの上側に設けられた第1の既設排水立て管路100に繋がっていた排水機器の横枝管P2(更新時に新規につなぎ直した部分も含む)が上部継手部材4に設けられた横枝管接続部42に接続され、第2の既設排水立て管路200に繋がっていた排水機器の床スラブSを貫通する横枝管P3,P4が第2集合継手2の横枝管接続部25,25に接続される。
【0023】
つぎに、図2〜図7を用いて、上記第1集合継手1の構造について詳述する。
この第1集合継手1は、図2、図4、図5に示すように、上部継手部を構成する上部継手部材4と、下部継手部を構成する下部継手部材5と、締め付けリング6と、リング状パッキン7と、4本のボルト8と、4つのナット9と、を備えている。
上部継手部材4は、鋳鉄で形成されていて、表面全体(外周面及び内周面)が防錆塗料(例えば、エポキシ樹脂系粉体塗料)等によって防錆加工されていて、本体部41と横枝管接続部42とを備えている。
また、本体部41は、図6及び図7に示すゴム輪45が内装され、排水立て管P1の下端が、ワンタッチ接続される上部受口部41bを上端に有し、その下方に横枝管接続部42を備えた上部胴部41aを備えている。
【0024】
ゴム輪45は、EPDMなどの合成ゴムで形成されていて、図6に示すように、上部筒部46aと、下部筒部46bとを有する本体部46と、上部筒部46aの上端側から下端側に向かって徐々に縮径し、下端側が排水立て管の外径より小径になったリップ部47とを備えている。
リップ部47は、排水立て管P1の下端部が上部受口部41b内に挿入されると、図7に示すように、排水立て管P1の外径より小径部分が排水立て管P1の外周面に密着した状態で外側に広がり、外周面が上部筒部46aの内壁面にほぼ密着する。
そして、排水立て管P1がさらに押し込まれることによって、下部筒部46bの内周面が排水立て管P1の外周面に水密に密着する。
【0025】
すなわち、排水立て管P1は、その下端部が上部受口部41b内に挿入されることによって、ワンタッチで、その軸が上部受口部41bの軸に平行に止水された状態で支持される。
なお、ゴム輪45は、少なくとも排水立て管P1が挿入される部分には、滑剤を塗布しておくことが好ましい。滑剤は、工場出荷時に予め塗布されていても構わないし、施工現場で塗布するようにしても構わない。
【0026】
上部胴部41aは、その内径が排水立て管P1の内径より大きい円筒状をしていて、後述する横枝管接続部42より下側の部分の管軸方向の長さが、床スラブSの厚みや、接続される横枝管P2の高さ位置に合わせることができるように、例えば、下端部を最大120cm切断しても下部継手部材5に接続可能な長さにされている。
また、上部胴部41aは、図3、図4に示すように、内周面の横枝管接続部42の開口部より少し上側に旋回羽根43が設けられ、旋回羽根43の両側に堰板44が設けられている。
横枝管接続部42は、上記上部受口部41bと同様にゴム輪が設けられた受口形状になっていて、横枝管P2がワンタッチ接続できるようになっている。
【0027】
下部継手部材5は、鋳鉄で形成されていて、表面全体(外周面及び内周面)が防錆塗料等によって防錆加工され、図2、図4、図5に示すように、短管継手形状をしている。
そして、下部継手部材5は、図2及び図4に示すように、本体部51と、上部受口部52とを備えている。
【0028】
本体部51は、削り出しによって、外周面が真円に平滑に加工形成された差口部51aを備えた円筒形状をしていて、内径が上部胴部41aの内径と同じになっている。
差口部51aは、床スラブSの厚みや、接続される横枝管P3,P4の高さ位置に合わせることができるように、下端部を最大170cm切断しても第2集合継手2にワンタッチ接続できるようになっている。
【0029】
上部受口部52は、図4に示すように、リング状のパッキン7の下端部が嵌り込むとともに、上端に締め付けリング6に対向するように配置されるフランジ部52aを備えている。
【0030】
締め付けリング6は、鋳鉄で形成されていて、表面全体(外周面及び内周面)が防錆塗料等によって防錆加工されている。
また、締め付けリング6は、図4に示すように、リング状のパッキン7の上端部がはまり込むようになっている。
ボルト8及びナット9は、ステンレス鋼で形成されている。
【0031】
そして、この第1集合継手1は、図4に示すように、上部継手部材4の上部胴部41aの下端部がパッキン7を介して下部継手部材5の上部受口部52に嵌合されるとともに、ボルト8をフランジ部52a側から締め付けリング6側に挿通させ、ナット9をボルト8に締めこむことによって、パッキン7がフランジ部52aと締め付けリング6との間で圧縮されて、上部胴部41aに下端部が水密に密着している。すなわち、上部継手部材4と下部継手部材5とが分離自在に一体化されている。
【0032】
つぎに、図8及び図9を用いて、第2集合継手2の構造を詳述する。
第2集合継手2は、鋳鉄で形成されていて、表面全体(外周面及び内周面)が防錆塗料等によって防錆加工されている。
【0033】
また、第2集合継手2は、図8に示すように、大径筒部20と、上部受口部21と、テーパ筒部22と、下部受口部23とを備えていて、積水化学工業株式会社製の商品名「ADスリム」とほぼ同じ構造となっている。
大径筒部20は、第1集合継手1の上部胴部41a及び本体部51と同じ内径をしていて、図8及び図9に示すように、3つの横枝管接続部25を備えている。
【0034】
各横枝管接続部25は、図示していないが、アダプターを装着することで、径の異なる横枝管が接続可能になっている。また、使用しない横枝管接続部25は、盲板を取り付けることによって水密の封止ができるようになっている。
上部受口部21は、上記ゴム輪45と同じ形状のゴム輪が内装され、第1集合継手1の差口部51aがワンタッチ接続されるようになっている。
【0035】
テーパ筒部22は、大径筒部20下端から下方に延出し、排水立て管P1の内径とほぼ同じになるまで、断面6角形状の螺旋状に徐々に縮径している。
下部受口部23は、第1集合継手1の下部継手部材5に設けられた上部受口部21と同様の形状をしていて、パッキン7と同様の形状をしたパッキンを介して排水立て管の上端部が嵌合され、フランジ部23aと締め付けリングとの間でパッキンを圧縮して、排水立て管P1の上端部を水密状態に接続できるようになっている。
【0036】
第2集合継手2は、図9に示すように、第1旋回羽根27と、第2旋回羽根26とを内部に備えている。
第1旋回羽根27及び第2旋回羽根26は、その上端がそれぞれ横枝管接続部25の下端より下方に位置し、接続された排水立て管の管軸方向に投影した投影面において、排水立て管の投影内断面積をS1、第1旋回羽根の排水立て管の内側に入り込む部分の投影面積をS2、第2旋回羽根の排水立て管の内側に入り込む部分の投影面積をS3としたとき、0.2×S1≦S2≦0.3×S1、及び、S3≦0.05×S1の条件を満足するように設けられていることが好ましい。
【0037】
つぎに、図1及び図10〜図14を用いて、本発明の改修方法の1例を工程順に詳述する。
(1)図14に示す第1の既設排水立て管路100を各フロアーの排水機器と接続された横枝管P2から切り離し、床スラブSをハツリ、第1の既設排水立て管路100を撤去する。
(2)図10に示すように、生じた床スラブSの床スラブ貫通孔Hに第1集合継手1を床スラブSの上方から差口部51aを挿入して、図示していないが、下方に設けられた継手のワンタッチ接続可能な上部受口(先に第2集合継手2が設置されている場合は、第2集合継手2の上部受口部21)に差し込み嵌合するとともに、架台3によって、床スラブSの上面に支持する。
そして、床スラブ貫通孔Hと第1集合継手1との間をモルタルMによって埋める。
(3)図11に示すように、第2集合継手2の下端に所定の長さ(施工状態で第2集合継手2の上端が床スラブSの下面から20cm以上下方になる長さ)の排水立て管P1を接続する。
(4)図12に示すように、第2集合継手2が上端に接続された排水立て管P1の下端を先に床スラブSに支持固定された第1集合継手1の上部受口部41bにワンタッチ接続する。
このワンタッチ接続によって、図13に示すように、第2集合継手2の上部受口部21が上のフロアーの床スラブ貫通孔Hを臨むように第2集合継手2が排水立て管P1を介して支持される。
(5)図13に示すように、上のフロアーの床スラブ貫通孔Hを介して、(2)の工程とどうように、を上記のように固定された排水立て管P1の下端を、第1集合継手1を床スラブSの上方から差口部51aを挿入して第2集合継手2の上部受口部21にワンタッチ接続する。
(6)上記(2)〜(5)を最上階のフロアーまで繰り返し行って、図1に示す排水立て管路Aを形成する。
(7)第2の既設排水立て管路200に接続された横枝管P3,P4をその床スラブ貫通部分を残した状態で既設排水立て管路200から切り離す。
(8)必要に応じて既設排水立て管路200の床スラブSを貫通する部分以外を取り除く。
(9)第2の既設排水立て管路200に接続された排水機器をその排水機器が接続されていた横枝管P3,P4の残存床スラブ貫通部分を用いて新たに設けられ横枝管P3,P4を介して第2集合継手2の横枝管接続部に接続する。
【0038】
この改修方法は、上記のように、床スラブSの、第1の既設排水立て管路100を撤去する際に既設排水立て管路100の床スラブ貫通部分の周囲のみをハツルだけであるので、床スラブSを、ハツル面積を少なくすることができ、ハツリによる床スラブSの強度の劣化を極力防ぐことができる。また、床スラブ貫通孔H内を鉄筋補強するなどの後施工も必要がなくなり、改修コストを低減できる。すなわち、居住民にできるだけ、負担をかけることなく、排水立て管路の改修を容易に行うことができる。
また、第1集合継手1の差口部51aを、床スラブ貫通孔Hを介して床スラブS下方に突出させ、第2集合継手2の上部受口部21にワンタッチ接続させるだけでよいので、第1集合継手1と第2集合継手2との接続の際に、下のフロアーの天井裏まで作業者が上がるという高所作業が不要になり、作業の安全性も確保できる。
【0039】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、第1集合継手1の施工毎に、モルタルMを埋め込むようにしていたが、モルタルMの埋め込みは、排水立て管路Aが全て完成したのちに行っても構わない。
上記の実施の形態では、横枝管P2〜P4の接続を、排水立て管路Aの完成後に行っていたが、各フロアー上下に第1集合継手1の横枝管接続部42および第2集合継手2の横枝管接続部25が位置固定されるごとに行うようにしても構わない。
【0040】
上記の実施の形態では、第2の既設排水立て管路200の横枝管P3,P4の既設排水立て管路200からの切り離しを、排水立て管路Aの完成後に行っていたが、排水立て管路Aの施工前に行なうようにしても構わない。
上記の実施の形態では、上部継手部材、下部継手部材1及び第2集合継手が鋳鉄製であったが、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂製のものであっても構わない。ただし、床スラブ貫通部は、積水化学工業株式会社製の商品名「フィブロック」などの耐火熱膨張テープを巻回したり、積水化学工業株式会社製の商品名「エスロン耐火VPパイプ」のようなそれ自体に耐火構造を備えているものを用いる必要がある。
【0041】
上記の実施の形態では、上部継手部材4に横枝管接続部が1つしか設けられていなかったが、2つ以上設けられていても構わない。
上記の実施の形態では、第1集合継手1を、架台3を介して床スラブ上面で支持するようにしていたが、第2集合継手2も床スラブ下面に支持されたラック等を介して床スラブSに支持させるようにしても構わない。
【0042】
上記の実施の形態では、第1の既設排水立て管路100と、第2の既設排水立て管路200が1本ずつ合計2本の既設排水立て管路が平行に設けられていたが、3本以上の既設排水立て管路を1本の排水立て管路に改修するようにしても構わない。
【符号の説明】
【0043】
A 排水立て管路(改修排水立て管路)
H 床スラブ貫通孔
S 床スラブ
P2 横枝管(上面側既設横枝管)
P3,P4 横枝管(貫通既設横枝管)
P1 排水立て管
1 第1集合継手(本発明の集合継手)
2 第2集合継手
20 大径筒部
21 上部受口部(ゴム輪付き受口)
22 テーパ筒部
23 下部受口部
23a フランジ部
3 架台
4 上部継手部材(上部継手部)
41 本体部
41a 上部胴部
41b 上部受口部
42 横枝管接続部
45 ゴム輪
5 下部継手部材(下部継手部)
51 本体部
51a 差口部
52 上部受口部
52a フランジ部
6 締め付けリング
7 リング状のパッキン
8 ボルト
9 ナット
100 第1の既設排水立て管路
111 横枝管接続部(既設排水立て管路100)
211,221 横枝管接続部(既設排水立て管路200)
200 第2の既設排水立て管路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修構造であって、
胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手が、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路の撤去によって生じた床スラブ貫通孔に、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持され、前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端が改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続され、第2集合継手の下端が下の階の排水立て管に接続された1本の更新排水立て管路が形成されるとともに、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器が横枝管を介して各フロアーの床スラブの上下で前記更新排水立て管路に接続されていることを特徴とする多層建築物の排水立て管路の改修構造。
【請求項2】
第1集合継手は、横枝管接続部を有する上部継手部と、差口部を有する短管形状の下部継手部とを備え、前記上部継手部と前記下部継手部とが、分離可能な接続構造を備えている請求項1に記載の多層建築物の排水立て管路の改修構造。
【請求項3】
排水機器が、貫通既設横枝管の少なくとも床スラブ貫通部分を用いて更新排水立て管路に接続されている請求項1または請求項2に記載の多層建築物の排水立て管路の改修構造。
【請求項4】
第2集合継手は、横枝管接続部が設けられた大径筒部と、内径が前記大径筒部の下端から排水立て管の内径となるまで縮径するテーパ筒部を備えている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の多層建築物の排水立て管路の改修構造。
【請求項5】
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修方法であって、
前記第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路を撤去する工程と、
胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手を、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持する工程と、
前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端を改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続する工程と、
第2集合継手の下端に排水立て管を接続する工程とを行い、1本の更新排水立て管路を配管施工するとともに、
前記更新排水立て管路の各フロアーの床スラブの上下で第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器を、横枝管を介して接続することを特徴とする多層建築物の排水立て管路改修方法。
【請求項6】
胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の多層建築物の排水立て管路の改修構造または請求項5に記載の多層建築物の排水立て管路改修方法に用いられる第1集合継手用の集合継手であって、
前記横枝管接続部を有する上部継手部と、上端に上部継手部下端を受ける受口部を有し、下端に前記差口部を有する短管形状の下部継手部とを備え、前記上部継手部と前記下部継手部とが、分離可能に構成されていることを特徴とする集合継手。
【請求項1】
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修構造であって、
胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手が、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路の撤去によって生じた床スラブ貫通孔に、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持され、前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端が改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続され、第2集合継手の下端が下の階の排水立て管に接続された1本の更新排水立て管路が形成されるとともに、第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器が横枝管を介して各フロアーの床スラブの上下で前記更新排水立て管路に接続されていることを特徴とする多層建築物の排水立て管路の改修構造。
【請求項2】
第1集合継手は、横枝管接続部を有する上部継手部と、差口部を有する短管形状の下部継手部とを備え、前記上部継手部と前記下部継手部とが、分離可能な接続構造を備えている請求項1に記載の多層建築物の排水立て管路の改修構造。
【請求項3】
排水機器が、貫通既設横枝管の少なくとも床スラブ貫通部分を用いて更新排水立て管路に接続されている請求項1または請求項2に記載の多層建築物の排水立て管路の改修構造。
【請求項4】
第2集合継手は、横枝管接続部が設けられた大径筒部と、内径が前記大径筒部の下端から排水立て管の内径となるまで縮径するテーパ筒部を備えている請求項1〜請求項3のいずれかに記載の多層建築物の排水立て管路の改修構造。
【請求項5】
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブ上面に沿って設けられた上面側既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの上面側に有する第1の既設排水立て管路と、
各フロアーに設けられた排水機器から床スラブを貫通して設けられた貫通既設横枝管の横枝管接続部を、各フロアーの床スラブの下面側に有する第2の既設排水立て管路とを、少なくとも1本ずつ並ぶように備える多層建築物の排水立て管路改修方法であって、
前記第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路のいずれか一つの既設排水立て管路を撤去する工程と、
胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい改修用の第1集合継手を、前記差口部の下端部が床スラブの下方から突出し、前記横枝管接続部が床スラブ上方に配置された状態で床スラブに支持する工程と、
前記床スラブの下方に突き出た前記差口部下端を改修用の第2集合継手の上端に設けられたゴム輪付き受口にワンタッチ接続する工程と、
第2集合継手の下端に排水立て管を接続する工程とを行い、1本の更新排水立て管路を配管施工するとともに、
前記更新排水立て管路の各フロアーの床スラブの上下で第1の既設排水立て管路及び第2の既設排水立て管路に接続されていた各フロアーの排水機器を、横枝管を介して接続することを特徴とする多層建築物の排水立て管路改修方法。
【請求項6】
胴部の上部に少なくとも1つの横枝管接続部を有し、胴部の下端が差口部となり、胴部内径が上端に接続される排水立て管の内径より大きい、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の多層建築物の排水立て管路の改修構造または請求項5に記載の多層建築物の排水立て管路改修方法に用いられる第1集合継手用の集合継手であって、
前記横枝管接続部を有する上部継手部と、上端に上部継手部下端を受ける受口部を有し、下端に前記差口部を有する短管形状の下部継手部とを備え、前記上部継手部と前記下部継手部とが、分離可能に構成されていることを特徴とする集合継手。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−193505(P2012−193505A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56592(P2011−56592)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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