説明

多層絵付チョコレート菓子

【課題】絵付チョコレート菓子において、絵や文字等が描かれているのは表面から見える一層のみであり、楽しみ方としては、その絵をなめて均等に消したり、速く消したりといった具合に単純であった。
【解決手段】本発明は、使用する数種のチョコレートの中で最も融点の高いものをベース部とし、これよりも融点の低いホワイトチョコレートBをベース部の上にのせ、その上面にスクリーン印刷等により絵や文字等を描く。さらにホワイトチョコレートBより融点が低く下面が凹形状のためホワイトチョコレートBの絵や文字と接触しないようになっているホワイトチョコレートCを可食性結合剤にてホワイトチョコレートBに結合させる。ここでホワイトチョコレートCは別工程にて前出と同様の印刷等で上面に絵や文字が既に描かれているものとする。以降、絵や文字が印刷されたホワイトチョコレートCと同様の形状の層を重ねることで、層を更に増やすことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、絵や文字等を印刷したチョコレート菓子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多層チョコレート菓子の一例としては、異なった融点を持つ2種類のチョコレートを使い、内側に融点の低いチョコレートを配し、外側に融点の高いチョコレートを配して、常温での保管と口溶けの良さを両立させる方法がある(特許文献1参照)。また、可食インキを用いてスクリーン印刷した絵や文字を食品に転写する方法がある(特許文献2参照)。更に、ホワイトチョコレート上ではなくミルクチョコレートやダークチョコレート上に白色または淡色の食用コーティング層を設け、そこにインクジェット印刷をする方法もある(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−57143号広報
【特許文献2】特開2005−137282号広報
【特許文献3】特許第4234433号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術では絵付チョコレート菓子において、絵や文字等が描かれているのは表面から見える一層のみであり、楽しみ方としては、その絵をなめて均等に消したり、速く消したりといった具合に単純であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、本発明で使用する数種のチョコレートの中で最も融点の高いチョコレートAの層をベースとして上にチョコレートAよりも融点の低いホワイトチョコレートBをのせ、その上面にスクリーン印刷等により食用黒色または着色インクを用いて絵や文字等を描く。さらに前出のホワイトチョコレートBよりも融点が低く上面に前出の方法と同様に絵や文字等が描かれ、下面が凹形状でホワイトチョコレートBの絵や文字等と接触しないようになっている、ホワイトチョコレートCのホワイトチョコレートBと接触する面に、でんぷん等からなる可食性結合剤を塗布しホワイトチョコレートBと結合させる。以降、絵や文字が印刷されたホワイトチョコレートCと同様の形状でより融点の低い層を重ねることで、層を更に増やすことが可能である。また、前出の絵や文字を印刷するホワイトチョコレートBの代わりに、白色や淡色の可食フィルムに印刷したものをチョコレートAに可食性結合剤にて結合する方法も考えられる。また、ベースであるチョコレートAの代わりにスクリーン印刷等により絵や文字が表面に直に印刷されたクッキー等の焼菓子とする方法も考えられる。
【発明の効果】
【0006】
以上の手段により、表面から2層目の絵や文字の印刷部は、上に空間があることと、表面の層よりも融点の高いチョコレート上にあることから、表面の層が舐め終わるまで2層目の絵や文字は、滲んだりしないように保護される。本発明品を舐めることで表面に見えていた絵や文字とは別の絵や文字の層が現れるので、例えば絵や文字の層を2層とした場合は、表面にクイズやなぞなぞの問題を2層目にその回答を表記したり、表面に百人一首の上の句を
2層目に下の句を表記したり、あるいは4層とした場合には、4コママンガやショートストーリーなどといった具合に、隠れている絵や文字等がどのようなものか味覚を楽しみながら考え、遊ぶことができ、知的好奇心を刺激するチョコレート菓子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施例を示す構成図
【図2】本発明の縦断面図
【図3】斜視図
【図4】第2例を示す構成図
【図5】第3例を示す構成図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施形態を詳しく説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明の第1の実施例を示す構成図であって、一部切欠箇所は断面を示す。製造の手順としては、樹脂性の柄1を図にない型枠にセットし、本発明で使用する数種のチョコレートの中で最も融点の高い溶かしたチョコレートA2を 柄がチョコレートA2の厚さのほぼ中央に位置するまで型枠に流し込み冷却、固化させる。更にチョコレートA2よりも融点の低い溶かしたホワイトチョコレートB3を薄く流し込み冷却、固化させる。次に、ホワイトチョコレートB3の表面にスクリーン印刷等により食用黒色または着色インクで絵や文字等4を描く。その上にあらかじめ別工程で作っておいたホワイトチョコレートB3と同じ外径を持ち表面に前出の方法で絵や文字6が描かれ下面が凹形状で、ホワイトチョコレートB3の絵や文字4と接触しないようになっているホワイトチョコレートC5の
ホワイトチョコレートB3と接触する面に、でんぷん等から成る可食性結合剤7を塗布し乗せて結合する。
【0010】
同様の工程を繰り返すことで、絵や文字等が描かれたチョコレートの層を3層、4層またはそれ以上とすることも可能である。図2は本発明の縦断面図を示す。ホワイトチョコレートB3とホワイトチョコレートC5の間に空間8が設けられていることと、ホワイトチョコレートB3の融点がホワイトチョコレートC5よりも高いことから、ホワイトチョコレートC5の表面に描かれた絵や文字6が、舐められることで起こるホワイトチョコレートC5の溶解によりホワイトチョコレートB3に描かれた絵や文字4が滲んだりしないように保護される。図3は本発明の斜視図を示す。
【実施例2】
【0011】
図4は、本発明の第2の実施例を示す構成図であって、一部切欠箇所は断面を示す。製造の手順として第1の実施例と違うのは、ベースとなるチョコレートA2の上にあらかじめ別工程で作っておいた絵や文字11をスクリーン印刷した可食フィルム10を
でんぷん等から成る可食性結合剤9で結合させる点である。その後は第1の実施例と同様、可食フィルム10の上に、別工程で作っておいたチョコレートA2と同じ外径を持ち、表面に絵や文字6が描かれ下面が凹形状で可食フィルム10の絵や文字11と接触しないようになっているホワイトチョコレートC5の
可食フィルム10と接触する面にでんぷん等から成る可食性結合剤7を塗布し、乗せて結合させる。
【実施例3】
【0012】
図5は、本発明の第3の実施例を示す構成図であって、第1、第2の実施例と違うのは、最下層に位置するベース部がスクリーン印刷等で直に絵や文字13が描かれたクッキー等の焼菓子12である点である。
【産業上の利用可能性】
【0013】
舐めることで、表面に見えていた絵や文字とは別の絵や文字の層が現れるので、隠れている絵や文字等がどのようなものか味覚を楽しみながら考え、遊ぶことができ、知的好奇心を刺激する多層絵付チョコレート菓子。
【符号の説明】
【0014】
1 柄
2 チョコレートA
3 ホワイトチョコレートB
4 絵や文字
5 ホワイトチョコレートC
6 絵や文字
7 可食性結合剤
8 空間
9 可食性結合剤
10 可食フィルム
11 絵や文字
12 焼菓子
13 絵や文字

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン印刷等で絵や文字等が施された薄板状のチョコレートの層が複数枚重なって構成されることを特徴とする多層絵付チョコレート菓子。
【請求項2】
請求項1記載のチョコレートの層において最下層に位置するベース部に、最も融点の高いチョコレートを配し、ベース部から順に融点が低くなるチョコレートを配したことを特徴とする請求項1に記載の多層絵付チョコレート菓子。
【請求項3】
請求項1記載のチョコレートの層において、各層の絵や文字の上面に空間を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の多層絵付チョコレート菓子。
【請求項4】
請求項1記載のチョコレートの層において、最下層に位置するベース部をスクリーン印刷等で絵や文字が描かれたクッキー等の焼菓子としたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の構造を持つ多層絵付チョコレート菓子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−152085(P2011−152085A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16078(P2010−16078)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(709007537)
【Fターム(参考)】