説明

多水性生物処理システム

【課題】 大量のクラゲであっても、低コストでかつ比較的迅速に処理する。
【解決手段】 複数のクラゲ処理槽6a,6b,6c,6dを配置し、制御装置5は、同一のクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)において、クラゲの投入→乾燥→残渣清掃→投入が循環的に実行可能なように、クラゲが投入されるクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)を順次切り換えて、例えば、乾燥途中で追加のクラゲが流入しないように、制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、大量のクラゲを減容処理するための多水性生物処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、火力発電所では、ボイラーで生成した蒸気を冷却するための復水器が備えられており、この復水器を冷却するために、海水が用いられている。ところが、海には、ごみが浮遊しているほか、クラゲ等が存在するため、除去する必要がある。クラゲを廃棄物として処理する場合は、焼却処理が一般的であるが、クラゲは、体の大部分が水分から構成される多水性生物であるため、大量のクラゲを焼却処理することは、困難である。
【0003】
このため、減容化や脱水のために煮沸装置や、乾燥装置、酵素を用いたクラゲ分解装置を用いることが提案されているが(例えば、特許文献1等参照。)、装置が高価である上に、燃料や薬品を必要とする等、ランニングコストも嵩む。
【0004】
少量のクラゲであれば、天日乾燥が行われる場合があるが、乾燥に多大な時間を要し、かつ、悪臭を発生させるため、大量のクラゲについては実用化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−235572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術のうち、乾燥装置等を用いる場合は、処理コストが嵩むという問題がある。また、天日乾燥では、温度が十分に上昇せず、乾燥に時間がかかり、悪臭の原因となるという問題がある。特に、乾燥中に新しいクラゲが流入すると、水分が供給されて、さらに乾燥に時間がかかる。
【0007】
この発明は、前記の課題を解決し、大量のクラゲであっても、低コストでかつ比較的迅速に処理することができる多水性生物処理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、請求項1の発明は、クラゲを含む多水性生物を減容処理するための多水性生物処理システムであって、前記多水性生物が投入される複数の多水性生物処理槽を含み、前記多水性生物を太陽熱により乾燥させるための多水性生物乾燥設備と、前記多水性生物処理槽へ、前記多水性生物を搬送するための搬送路と、前記搬送路を切り換えるための搬送路切換手段と、前記多水性生物処理槽における前記多水性生物の堆積量を検出するための堆積量検出手段と、前記多水性生物が投入される前記多水性生物処理槽を切り換えるための制御装置とを備え、前記制御装置は、前記堆積量検出手段から取得した前記堆積量に基づいて、前記多水性生物を投入中の前記多水性生物処理槽から別の前記多水性生物処理槽への切換えの要否を判定する処理槽切換要否判定手段と、前記搬送路切換手段を制御して前記別の多水性生物処理槽へ前記多水性生物の投入先を切り換えるための搬送路切換制御手段とを有することを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明では、堆積量検出手段から取得した堆積量に基づいて、多水性生物を投入中の多水性生物処理槽から別の多水性生物処理槽への切換えの要否を判定し、搬送路切換手段を制御して別の多水性生物処理槽へ多水性生物の投入先を切り換える。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の多水性生物処理システムであって、前記制御装置は、同一の前記多水性生物処理槽において、前記多水性生物の投入及び乾燥、並びに残渣の除去が循環的に実行可能なように、前記多水性生物が投入される前記多水性生物処理槽を順次切り換えることを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の多水性生物処理システムであって、前記制御装置は、少なくとも前記多水性生物の投入が可能か否かを示す前記多水性生物処理槽の状態情報を取得する状態情報取得手段と、前記状態情報に基づいて、投入される前記多水性生物処理槽を選択する処理槽選択手段とを有することを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1、2又は3に記載の多水性生物処理システムであって、前記制御装置は、日射量を含む気象情報に基づいて前記堆積量の基準値を設定する基準値設定手段を有し、前記処理槽切換要否判定手段は、前記堆積量と前記基準値とに基づいて、前記多水性生物処理槽の切換えの要否を判定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、堆積量検出手段から取得した堆積量に基づいて、多水性生物を投入中の多水性生物処理槽から別の多水性生物処理槽への切換えの要否を判定し、搬送路切換手段を制御して別の多水性生物処理槽へ多水性生物の投入先を切り換えるので、大量のクラゲであっても、低コストでかつ比較的迅速に処理することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、同一の多水性生物処理槽において、多水性生物の投入及び乾燥、並びに残渣の除去が循環的に実行可能なように、多水性生物が投入される多水性生物処理槽を順次切り換えるので、効率的に処理することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、少なくとも多水性生物の投入が可能か否かを示す多水性生物処理槽の状態情報に基づいて、投入される多水性生物処理槽を選択するので、誤投入を防止することができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、日射量を含む気象情報に基づいて設定された堆積量の基準値と、検出された堆積量とに基づいて、多水性生物処理槽の切換えの要否を判定するので、多水性生物を確実に乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施の形態によるクラゲ処理システムの構成を説明するための説明図である。
【図2】同クラゲ処理システムのクラゲ乾燥設備の構成を説明するための説明図である。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。
【図4】図2のB−B線に沿った断面図である。
【図5】図2のC−C線に沿った断面図である。
【図6】同クラゲ乾燥設備のクラゲ処理槽の構成を示す平面図である。
【図7】同クラゲ処理システムの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】同制御装置の動作を説明するための処理手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、この発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0019】
図1は、この発明の一実施の形態によるクラゲ処理システムの構成を説明するための説明図、図2は、同クラゲ処理システムのクラゲ乾燥設備の構成を説明するための説明図、図3は、図2のA−A線に沿った断面図、図4は、図2のB−B線に沿った断面図、図5は、図2のC−C線に沿った断面図、図6は、同クラゲ乾燥設備のクラゲ処理槽の構成を示す平面図、図7は、同クラゲ処理システムの制御装置の構成を示すブロック図、図8は、 同制御装置の動作を説明するための処理手順図である。
【0020】
図1に示すように、クラゲ処理システム1は、クラゲ大量発生時に、除塵機2から送られたクラゲを含む海水が、ごみ溜3から切り換えられて投入される複数のクラゲ処理槽6a,6b,6c,6dから構成されるクラゲ乾燥設備4と、制御装置5とを備えている。また、クラゲ処理システム1は、図1乃至図3に示すように、クラゲ処理槽6a,6b,6c,6dへクラゲを搬送するための搬送路11a,11b,…と、搬送路11a(11b,11c,…)を切り換えるための搬送路切換部7a,7b,7c,7dと、各クラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)に設けられ、規定量受入れ(投入)を検知するための堆積量センサ8a(8b,8c,8d)とを備えている。各搬送路切換部7a(7b,7c,7d)は、搬送路を切り換えるための切換え板と、切換え板を回転変位させるためのモータとを含んでいる。
【0021】
制御装置5によって、同一のクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)において、乾燥途中で追加のクラゲが流入しないように、運用される。例えば、規定量クラゲ受入れ、クラゲ大量発生終了等で、クラゲ処理槽6a,6b,…への受入停止→乾燥開始とする。これにより、悪臭の発生を防止するとともに、乾燥後の清掃も殆ど不要となる。
【0022】
クラゲ乾燥設備4には、除塵機2から搬送路11aを介して、クラゲを含む海水が送り込まれる。搬送路11aは、搬送路11bと搬送路11cとに分岐し、さらに、搬送路11bは、搬送路11dと搬送路11fとに分岐し、搬送路11cは、搬送路11eと搬送路11gとに分岐する。搬送路11a,11b,…は、円滑にクラゲが搬送されるように、下流側が低くなるように傾斜させて配置される。
【0023】
また、搬送路切換部7aによって、ごみ溜3、又はクラゲ乾燥設備4に切り換えられ、搬送路切換部7bによって、クラゲ処理槽6a,6c、又はクラゲ処理槽6b,6dに切り換えられ、搬送路切換部7cによって、搬送路11dの終端部が配置されるクラゲ処理槽6a、又は搬送路11fの終端部が配置されるクラゲ処理槽6cに切り換えられ、搬送路切換部7dによって、搬送路11eの終端部が配置されるクラゲ処理槽6b、又は搬送路11gの終端部が配置されるクラゲ処理槽6dに切り換えられる。
【0024】
また、図2乃至図4に示すように、クラゲ処理槽6a,6b,6c,6dの周囲には、断面U字状の排水溝12a,12b,…が設けられ、排水口12fへ向けて海水が導かれる。排水溝12a,12b,…は、排水口12fへ向けて容易に排水が導かれるように下流側が低くなるように、若干傾斜するように形成されている。
【0025】
クラゲ乾燥設備4は、クラゲ処理槽6a,6b,6c,6dを有している。各クラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)は、コンクリート等の熱容量の比較的大きい材料が用いられて平面視略矩形状に形成され、黒色に塗装されて太陽光を吸収し易くされている。また、上方には、透明な樹脂製シートやガラス等を用いた屋根部14が配置されて、温室を構成して容易な温度上昇が図られるとともに、降雨の影響が排除される。なお、屋根部14は、開放可能な構成とする。また、各クラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)には、清掃作業用の出入り口が設けられている。
【0026】
また、図5及び図6に示すように、各クラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)の床面16は、稜線17が形成されるように、中央部が隆起し、上流側の一側方を除く三側方に向けて勾配をつけて、容易に排水されるようにされている。また、図3及び図4に示すように、三側部には、クラゲは通されず海水が通されるように、水切り部13が配置されている。水切り部13は、例えば、ステンレス鋼等の金属棒(例えば、直径16mm)が所定のピッチ(例えば、26mm)で多数配列されて構成されている。
【0027】
また、各クラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)には、規定量受入れを検知するための堆積量センサ8a(8b,8c,8d)と、通知用釦25a(25b,25c,25d)とが配置されている。堆積量センサ8a(8b,8c,8d)としては、対をなす発光部及び受光部から構成した光学センサを用いても良いし、重量センサを用いても良い。光学センサを用いる場合は、堆積量センサ8a(8b,8c,8d)は、高さ(厚さ)を検出するために複数配置しても良いし、堆積量の基準値に対応する位置に単数配置しても良い。通知用釦25a(25b,25c,25d)は、クラゲの乾燥の開始及び終了、残渣清掃の開始及び終了を制御装置5へ通知するために用いられる。
【0028】
制御装置5は、図7に示すように、所定のプログラムに従って構成各部を制御する主制御部19と、各種制御プログラムやデータが記憶される記憶部21と、操作・表示部22と、モータ駆動部23とを有している。制御部19は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、記憶部21に記憶された所定の制御プログラムに従って構成各部を制御する。制御装置5においては、例えば、受入要否判定処理や、処理槽選定処理、搬送路切換制御処理、基準値設定処理、堆積量情報取得処理、処理槽切換要否判定処理、処理槽状態監視処理等が実行される。
【0029】
制御装置5は、受入要否判定処理で、クラゲ大量発生時に、搬送路をクラゲ乾燥設備4側へ切り換えるための元切換操作があると、クラゲ受入れ要と判定し、搬送路をごみ溜3側へ切り換えるための元切換操作があると、クラゲ受入れ不要と判定する。なお、クラゲの大量発生を検知する検知部が設けられている場合は、検知信号を受信した場合に、クラゲ受入れ要と判定しても良い。
【0030】
制御装置5は、処理槽選定処理で、起動後、各クラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)の状態情報及び優先順位情報に基づいて、初期クラゲ処理槽選定処理を実行して、最初の投入先を選定し、処理槽切換要否判定処理で、処理槽切換要と判定されると、次クラゲ処理槽選定処理を実行して、次の投入先を選定する。
【0031】
制御装置5は、搬送路切換制御処理で、受入要否判定処理で受入要と判定されると、モータ駆動部23を介して搬送路切換部7aを制御して搬送路をクラゲ乾燥設備4側に切り換え、クラゲ乾燥設備4側に切り換えられている場合に受入不要と判定されると、ごみ溜3側に切り換える元切換制御を実行する。また、制御装置5は、搬送路切換制御処理で、処理槽選定処理の次クラゲ処理槽選定処理で、次の投入先が選定されると、又は、初期クラゲ処理槽選定後に、投入先のクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)に応じて搬送路切換部7b(7c,7d)を制御して、搬送路を切り換える個別切換制御を実行する。
【0032】
制御装置5は、基準値設定処理で、検知された又は入力された日射量に基づいて、対応する堆積量の基準値を設定する。この日射量は、現在の測定値であっても良いし、気象予報情報に基づくものであっても良い。また、堆積量の基準値は、日射量のほか、温度や湿度、流量等を考慮して設定されても良い。
【0033】
制御装置5は、堆積量情報取得処理で、堆積量センサ8a,8b,8c,8dから堆積量情報を取得し、記憶部21に記憶させる。制御装置5は、処理槽切換要否判定処理で、現在の堆積量情報と、基準値情報とに基づいて、現在受入れ中のクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)が受入限界に達したと判断すると、処理槽切換要と判定する。制御装置5は、処理槽状態監視処理で、通知用釦25a,25b,…を介して、乾燥の開始及び終了、残渣清掃の開始及び終了の通知を受け、クラゲ処理槽6a,6b,6c,6dの状態を記憶部21に記憶させる。
【0034】
記憶部21は、ROM、RAMや、FD(フレキシブルディスク)、HD(ハードディスク)、CD−ROM等が装着されるFDD、HDD、CD−ROMドライブ等から構成されている。記憶部21は、各種プログラムを記憶するプログラム記憶部と、設定情報等の各種情報を記憶する情報記憶部とを有している。情報記憶部には、堆積量の基準値、堆積量検出情報、クラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)の状態情報、切換優先順位情報等が記憶されている。堆積量の基準値は、例えば、日射量に対応したクラゲの堆積量の基準値(規定量)を含んでいる。また、状態情報は、処理槽識別情報に対応付けられた、清掃完了(受入れ可)、堆積中(受入れ中)、堆積終了、乾燥中、乾燥完了、清掃中等の各クラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)の状態情報を含んでいる。また、切換優先順位情報は、クラゲ処理槽6a,6b,6c,6dのうちの、予め設定されたクラゲの受入順序を含んでいる。
【0035】
操作・表示部22は、搬送路をクラゲ乾燥設備4側とごみ溜3側とで切り換えるための切換スイッチと、起動スイッチと、停止スイッチと、状態を表示するための表示灯とを有している。モータ駆動部23は、搬送路切換部7a,7b,7c,7dのモータを駆動する。
【0036】
次に、図8を参照して、クラゲ処理システム1の動作について説明する。制御装置5は、起動後、各クラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)の状態情報及び優先順位情報に基づいて、初期クラゲ処理槽選定処理を実行して、最初の投入先を選定する(ステップSA11(図8))。次に、制御装置5は、投入先のクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)に応じて、モータ駆動部23を介して搬送路切換部7b(7c,7d)を制御して、搬送路を切り換える(ステップSA12)。
【0037】
次に、制御装置5は、ステップSA13で、クラゲ乾燥設備4側への元切換操作の有無を判定し、この元切換操作が有った場合は、ステップSA14へ進み、これ以外の場合は待機する。ステップSA14で、制御装置5は、クラゲ乾燥設備4側へ切り換える元切換制御を実行する。これにより、初期選択されたクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)へ、クラゲを含む海水が投入される。
【0038】
次に、制御装置5は、現在の投入先のクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)において、堆積量が限界(規定値、基準値)に達しているか否か判定する。堆積量が限界に達していない場合は、ステップSA16へ進み、これ以外のステップSA17へ進む。ステップSA16で、制御装置5は、ごみ溜3側への元切換操作の有無を判定し、この元切換操作が有った場合は、ステップSA21へ進み、これ以外の場合はステップSA15へ戻る。受入れ(投入)が完了したクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)においては、太陽光が照射されてクラゲが乾燥される。こうして、夏期晴天時であれば、数cm程度の厚さのクラゲは、1日程度放置することで、略完全に消滅する。この後、残渣が清掃(除去)される。
【0039】
ステップSA17で、制御装置5は、次の投入先としてのクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)を選定する。次に、制御装置5は、投入先のクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)に応じて搬送路切換部7b(7c,7d)を制御して、搬送路を切り換える個別切換制御を実行する(ステップSA18)。
【0040】
次に、制御装置5は、現在の投入先のクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)において、堆積量が限界に達しているか否か判定する。堆積量が限界に達していない場合は、ステップSA20へ進み、これ以外のステップSA17へ戻る。次に、制御装置5は、ステップSA20で、ごみ溜3側への元切換操作の有無を判定し、この元切換操作が有った場合は、ステップSA21へ進み、これ以外の場合はステップSA19へ戻る。ステップSA21で、制御装置5は、搬送先をごみ溜3側へ戻す元切換制御を実行する。
【0041】
こうして、この実施の形態の構成によれば、複数のクラゲ処理槽6a,6b,…を配置し、制御装置5は、同一のクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)において、クラゲの投入→乾燥→残渣清掃→投入が循環的に実行可能なように、クラゲが投入されるクラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)を順次切り換えて、例えば、乾燥途中で追加のクラゲが流入しないように制御するので、大量のクラゲが投入されても、低コストでかつ比較的迅速に、しかも効率的に処理することができる。すなわち、設備費用が安いため初期投資が安く、かつ、ランニング費用も安くてすむ。
【0042】
また、各クラゲ処理槽6a(6b,6c,6d)の状態を監視し、状態に応じてクラゲの投入先として選定することで、誤って投入することがない。また、クラゲの堆積量の基準値を日射量に応じて設定することで、クラゲを確実に乾燥させることができる。
【0043】
以上、この発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上述した実施の形態では、制御装置において、受入要否判定処理や、処理槽選定処理、搬送路切換制御処理、基準値設定処理、堆積量情報取得処理、処理槽切換要否判定処理、処理槽状態監視処理は、主制御部が、対応する制御プログラムを実行することによって行うほかに、一部又は全部を専用のハードウェアを用いて行い、他の一部を対応するプログラムを実行して処理するようにしても良い。また、それぞれ別々のCPUが実行しても良いし、例えば、単一のCPUが実行しても良い。さらに、各処理を別々の情報処理装置が行うようにしても良い。
【0044】
また、クラゲ粉砕装置を用いて前処理を実施するようにしても良い。また、ミラーやレンズを配置して、乾燥能力を高めるようにしても良い。また、クラゲ処理槽は、4つに限らず、5つ以上でも良いし、3つ以下でも良い。また、水切り部は、三側方に限らず、四側方に配置しても良いし、二側方、一側方に設置するようにしても良い。また、スリット状のほか、格子状としても良いし、板状部材に小穴を多数設けるようにしても良い。また、下方にも水切り部を設けて排水するようにしても良い。
【0045】
また、各クラゲ処理槽にネット状又はかご状の収納体を天井から吊り下げて配置し、収納体を介してクラゲを受け入れ、規定量に達したら、クラゲ処理槽を切り換えるとともに、収納体を引き上げても良い。引上げは動力によっても人力によっても良いし、制御装置が自動的に行っても良い。また、収納体は、クラゲ処理槽当たり複数配置しても良い。また、搬送路切換部の操作は、自動でも手動によっても良い。また、投入先のクラゲ処理槽を複数選択しても良い。また、取外可能な仕切りによって、単一のクラゲ処理槽を分割して用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
多水性生物として、クラゲのほか、海草等にも適用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 クラゲ処理システム(多水性生物処理システム)
2 除塵装置
4 クラゲ乾燥設備(多水性生物乾燥設備)
5 制御装置
6a,6b,6c,6d クラゲ処理槽(多水性生物処理槽)
7a,7b,7c,7d 搬送路切換部(搬送路切換手段)
8a,8b,8c,8d 堆積量センサ(堆積量検出手段)
11a,11b,… 搬送路
19 制御部(処理槽切換要否判定手段、搬送路切換制御手段、状態情報取得手段、処理槽選択手段、基準値設定手段)
21 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラゲを含む多水性生物を減容処理するための多水性生物処理システムであって、
前記多水性生物が投入される複数の多水性生物処理槽を含み、前記多水性生物を太陽熱により乾燥させるための多水性生物乾燥設備と、前記多水性生物処理槽へ、前記多水性生物を搬送するための搬送路と、前記搬送路を切り換えるための搬送路切換手段と、前記多水性生物処理槽における前記多水性生物の堆積量を検出するための堆積量検出手段と、前記多水性生物が投入される前記多水性生物処理槽を切り換えるための制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記堆積量検出手段から取得した前記堆積量に基づいて、前記多水性生物を投入中の前記多水性生物処理槽から別の前記多水性生物処理槽への切換えの要否を判定する処理槽切換要否判定手段と、前記搬送路切換手段を制御して前記別の多水性生物処理槽へ前記多水性生物の投入先を切り換えるための搬送路切換制御手段とを有する
ことを特徴とする多水性生物処理システム。
【請求項2】
前記制御装置は、同一の前記多水性生物処理槽において、前記多水性生物の投入及び乾燥、並びに残渣の除去が循環的に実行可能なように、前記多水性生物が投入される前記多水性生物処理槽を順次切り換えることを特徴とする請求項1に記載の多水性生物処理システム。
【請求項3】
前記制御装置は、少なくとも前記多水性生物の投入が可能か否かを示す前記多水性生物処理槽の状態情報を取得する状態情報取得手段と、前記状態情報に基づいて、投入される前記多水性生物処理槽を選択する処理槽選択手段とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の多水性生物処理システム。
【請求項4】
前記制御装置は、日射量を含む気象情報に基づいて前記堆積量の基準値を設定する基準値設定手段を有し、前記処理槽切換要否判定手段は、前記堆積量と前記基準値とに基づいて、前記多水性生物処理槽の切換えの要否を判定することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の多水性生物処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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