多目的機能性枕
【課題】仰臥位姿勢であろうと横臥位姿勢であろうと自然で無理のない姿勢を維持でき、自由な寝返りにも対応可能で、睡眠時の使用にとどまらず、身体のあらゆる部分に対応できる枕を提供すること。
【解決手段】多種類の枕袋体を交差させることにより立体的に構成し、各枕袋体を着脱自在にできるようにしたことで、使用者自身が自分の体型に合わせ、自身の身体に合った枕の各部分の高さや幅などを任意に設定し、自らが調節しながら使用することができるようにしたものである。
【解決手段】多種類の枕袋体を交差させることにより立体的に構成し、各枕袋体を着脱自在にできるようにしたことで、使用者自身が自分の体型に合わせ、自身の身体に合った枕の各部分の高さや幅などを任意に設定し、自らが調節しながら使用することができるようにしたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仰臥位姿勢でも横臥位姿勢でも頭部や首部などを安定して支持し、使用者のあらゆる寝姿勢に対応でき、耳介を圧迫する事がなく通気性を高め、使用者が十分な安眠とスッキリした目覚めを得ることができる枕に関するものである。
また、睡眠時以外にも、一定の寝姿勢を余儀なくされた病人や怪我人や寝たきりの人などの姿勢を優しく支持し、身体に対する圧迫などによる床ずれや、痛みなどの解消や予防などに対応することができる枕に関するものである。
また、卓上で使用する仮眠用の枕であったり、椅子などを長時間使用している人の腰痛の予防のための腰枕であったり、妊娠中の身体を保護するための枕であったり、旅行中のあらゆる場合に便利に使用できる多目的機能性枕である。
以上のように生活上のあらゆる分野での使用が可能な多目的機能性枕に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている枕は、枕自体が一つの塊としての形状で形成されているために、頭 部が枕に馴染み難く、高い枕では首部を痛め、低い枕では頭部に血流が留まり寝心地が悪くなったり、寝返り時に枕が頭部から外れやすく、後頭部が広範にわたって枕に接するために通気性に欠けるなどの問題があった。
安眠に適した枕や、首部などの矯正を目的とした枕など種々の枕が提案されているが、枕を使用した場合の睡眠姿勢及び睡眠中の寝返りの行動などあまり研究はされていない。枕は人間の体型から最も楽な自然体での睡眠姿勢を作るために、自然発生的に生じたものである。
しかし、まだ多くの問題が解決されていない。
【0003】
従来の枕では、頭部を枕上に乗せることが主目的であった。最近は、首部の保護や矯正を目的とした枕などが提案されている。
枕の首部支持部が頭部支持部より高く形成された枕が考案されているが、従来の枕と比較しても心地よい安眠が提供できている。
この種の枕では、個人差に適合し最適な首部高さや頭部高さに随時合致された使用が行えず、しかも仰臥位姿勢と横臥位姿勢での高さにも十分に対応できず、男性と女性の体格の違いなどにも十分に対応できず、誰しもが十分な安眠が行えないという問題があった。
そこで改善策として、首部対応位置に弾力性のある素材を使用し、首部対応位置を若干盛り上がるように形成し、頭部対応位置の中央部を、その両側部より軟らかい素材で構成することにより解決しようとした枕が考案されている。
しかし、あくまでも平均的な枕の高さであり、素材に対しての解決でしかなく、問題が解決されているとはいえない。
【0004】
また、首部を支持することに関し、生理学的な見地から研究され各種提案されているが、単に首部を支持するだけでは、仰臥位姿勢や横臥位姿勢での安眠は困難である。
その改善策として、枕本体を仕切り壁によって3個のユニット構造にしたものが提案されている。該枕は、左右両側に側頭部支持ユニットを設け、側頭部支持部より低く形成した後頭部支持ユニットを設けることで成り、後頭部支持ユニットの前後に首部支持部を作り、その中央部分は首部支持部より低くなる後頭部支持部で形成される。結果、仰臥位姿勢でも横臥位姿勢でも安眠することができる枕が考案されている。
しかし、該枕は、ユニット構造自体が複雑であり、従来からの上面が平坦な立方体としての枕に凹凸状を作り出しただけであり、安眠できるという効果は余り期待できず、また通気性などの問題もあり、解決されたとはいえない。
【0005】
また、仰臥位姿勢でも横臥位姿勢でも理想の寝姿勢である人間が立っている状態と同じ姿勢を実現するには、首部のS字骨格と枕が一致しなければならない。
しかし、仰臥位姿勢時及び横臥位姿勢時における肩部の高さや首部の高さ及び頭部の高さなどを考慮し、使用者の個々人に対して適合する枕を実現することは困難である。
この問題に対する改善策として、仰臥位姿勢時に頭部を載せる中間枕と、横臥位姿勢時に側頭部を載せる中間枕より高めに設定した左右の隆起枕とで構成し、中間枕の中央部を凹状にし、左右の隆起枕の中央部を凹状にした構成で、各凹部分が仰臥位姿勢時でも横臥位姿勢時でも自然に頭部を受け止めることができるようにしたことで、使用者の個々人に合わせた使用高さを実現した枕が考案されている。
しかし、凹凸状に合わせただけで、使用者に合わせた枕として提案されているとは考えられず、解決には至っていない。
【0006】
また、首部を支える主枕と頭部を支える副枕を連結することにより一つの枕として使用し、使用者の体格に合わせて主枕及び副枕の大きさなどを選択できたり、主枕と副枕との隙間が通気性を向上したり、睡眠中の不快感を解消する枕が考案されている。
しかし、通気性は向上したが、仰臥位姿勢時あるいは横臥位姿勢時などに十分対応しているとはいえず、あらゆる寝返りに十分に対応しているとはいえない。
【特許文献1】特開2002−102038号公報 仰臥位姿勢と横臥位姿勢での枕高さに自然に対応できる枕。
【特許文献2】特開2000−217686号公報 首部支持構造を持つユニット型仰臥,横臥位姿勢対応枕。
【特許文献3】特開2002−102038号公報 首部が自然な状態になる枕。
【特許文献4】特開2003−235708号公報 首部を支える枕と、頭部を支える枕で形成された枕。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術はいずれも男性や女性の体格の違いや、その睡眠姿勢及び睡眠中の寝返りの行動の差異などを考慮せず、使用者の身体に適応した首部の高さや頭部の高さなど、随時合致させながらの使用には無理があり、仰臥位姿勢や横臥位姿勢など両姿勢に対応することができないなどの問題があった。
更に、睡眠時の頭部に対する枕としての使用だけでなく、腰用の枕や抱き枕なども使用されているが、一つの立方体のままでの使用であり、その機能は限定されている。
【0008】
このような問題点に着目し本発明による枕は、仰臥位姿勢であろうと横臥位姿勢であろうと自然で無理のない姿勢を維持でき、自由な寝返りに対応できる枕を提供することを目的とするものである。しかも、耳介に対する圧迫もなく、通気性にも優れ、使用者自身が枕の各部分の高さや幅などを任意に設定し、自らが調整しながら使用することができるようにした枕を提供することを目的とするものである。
更に、頭部や首部における使用に留まらず、使用者の身体のあらゆる部分に対して使用が可能な枕を提供することを目的とするものである。
[課題を解決するための手段]
【0009】
本発明は次のような手段によって解決される。
請求項1に記載の多目的機能性枕は、種々の枕袋体を交差させ組み合わせることにより形成したものである。異なる高さの枕袋体を交差させると、その高さの差異は多数になり、使用者の必要とする高さを必要な部分に作り出すことができる。各枕袋体の交差した部分と他の枕袋体の交差した部分との間に首部や頭部などが載ると、その重みで下方へ下がるが、この時枕袋体に張力が働きその力がクッションとなり首部や頭部に作用する。各枕袋体の交差した各部分間の長さを調整することで、その張力も変わりクッションの強弱となってあらわれる。各枕袋体自体の弾力と張力により得られるクッションとで、二重のクッションを得ることになる。この張力の働きによる反発力と、各枕袋体の異なる高さの違いにより、仰臥位姿勢でも横臥位姿勢でも、使用者の寝返りなどの自由な動きに対して十分に対応できるようにしたものである。
また、種々の枕袋体を交差させ組み合わせることで形成したので、各枕袋体間に数々の隙間が形成されることになり、これらの隙間は通気性を高めることができ、頭部の蒸れを防ぎ、各枕袋体の湿気をも防ぐことができる。更に、横臥位姿勢時の耳介に対する圧迫を抑制できることで、耳介の痛みや閉塞感などを防止し、顔面に対するベタツキなどの不快感を取り除くことができる。
【0010】
また、請求項2に記載の多目的機能性枕は、種々の枕袋体を着脱自在に接合させて構成することを特徴とする。各枕袋体を着脱自在に接合させるには、面ファスナーを取り付ける方法があるが、ホックやボタンを用いても良く、特に限定はしない。その取り付けは任意の部分に多数設けることにより利便性の向上になり、各枕袋体の角度などを微調整できることに特徴を有するものである。
特に使用者自らが各枕袋体を着脱自在にできるように構成しているので、使用者自身の体型に合わせ各枕袋体の接合の角度を自由に設定することができ、使用者自らが調整しながら使用することができる。
また、各枕袋体は着脱自在にできることにより、枕袋体の一部分だけの交換が可能となるので、へたった枕袋体だけの交換や、その他不都合な部分だけを交換できることで、衛生上においても、経済性においても優れている。
【0011】
また、請求項3に記載の多目的機能性枕は、各枕袋体をお互いに固着することで、簡易性や利便性が特に向上した使用形態である。各枕袋体は、一般的に充填材として使用されているポリエステル綿などを予め充填し形成されてもよく、ウレタンフォームを使用した枕袋体と蕎麦殻を使用した枕袋体とを組み合わせて使用されてもよい。使用者に馴染みのある充填材を予め充填し、形成することにより安心感を与えることができる。
上記は、使用例でありこれに限定するものではない。
更に、各枕袋体を気密性の素材により形成することで、充填材に気体や流体あるいはゲル状物質などを使用できる。気体や流体あるいはゲル状物質を出入自在にした使用は、その利用範囲が広がり、あらゆる生活場面においての使用が可能となった。
充填材として気体を使用する場合においては、空気の使用が一般的である。この場合、使用者自身により充填し使用されることが可能となり、使用が家内にとどまらず旅行に携行されての使用や車あるいは椅子などに使用され、その簡易性は向上した。
充填材として流体を使用する場合においては、冷水を使用して、使用者の身体部の体温を下げたり、温水を使用して、使用者の身体を温めるなどの使い方ができる。使用者の特定の部分だけに使用してもよい。
ゲル状物質を使用する場合は、特に身体に対する圧迫を暖和するために使用したり、ゲル状物質の特性である保温力の持続性などによりその使用利便性は著しく向上した。
更に、気体や流体やゲル状物質を充填材として使用される多目的機能性枕であるが、各枕袋体において、同一の充填材を用いてもよいが、各枕袋体において別々の充填材を用いて、各種の枕袋体を組み合わせての使用でも何ら制限するものではない。
上記は使用例であり充填材としてこれに限定するものではない。
また、各枕袋体はお互いに固着され使用されるが、各枕袋体に予め充填材を充填されての使用でもよい。各枕袋体にはそれぞれ出入口を設けてもよく、各出入口を使用して充填材を出入できる。各枕袋体の接合部に内容物がお互いに通過しえる穴をあらかじめ設けてもよく、その場合には出入口は複数個所設けても良いことを特徴とする。
上記は、使用例でありこれに限定するものではない。
【0012】
また、請求項4に記載の多目的機能性枕は、各枕袋体の断面が三角形、四角形などの多角形あるいは円形の形状のいずれかであることを特徴とする。各枕袋体が使用される部分やその目的により、各枕袋体の断面の形状が選択され使用される。一般的には、使用者の身体に直接接する部分には円形などの角が少ない形状が好ましく、使用者の身体と接しない部分には安定性のよい四角形などが好ましく、使用者の身体に接する部分で圧迫を嫌う部分に対しての使用は三角形などが適しているが、各枕袋体の断面形状については、特に限定するものではない。
更に、睡眠中に使用される枕としての利用以外に、種々の断面を用いることにより、寝たきりの人の身体に対して使用される枕や、卓上で使用される仮眠用の枕、椅子用の枕、腰用の枕などに適用可能である。
上記は、使用例でありこれに限定するものではない。
【0013】
請求項5に記載の多目的機能性枕は、各枕袋体の断面の面積が一様でないことを特徴とする。各枕袋体は使用される部分や目的により、それぞれ太さの異なる各枕袋体を選択し使用される。各枕袋体は、長尺方向に対して同一の太さで形成され使用されるが、同一の太さではなく異なる太さに形成され使用されても何ら限定はされない。
寝たきりの人などの身体全体を支えるように構成するためには、腰部分用に太めの枕袋体を使用したり、足首部分用に細めの枕袋体を使用するなど、身体の各部分に必要とされる太さの枕袋体が選択され使用される。
また、卓上で使用される仮眠用の多目的機能性枕は、顔面や顔面の側面が曲面であり、顔面に接する各枕袋体を波状の太さが一様でない形状に形成して使用される。
上記は、使用例でありこれに限定するものではない。
【0014】
また、請求項6に記載の多目的機能性枕は、各枕袋体の充填材は複数の中材袋で形成され、それぞれ出入自在であることを特徴とする。各中材袋は、消臭,除湿,芳香,抗菌などの機能を持たせた充填材で形成されてもよく、復元力が強い充填材、熱がこもりにくい充填材、体圧を分散する充填材などの各機能別に形成されてもよい。各機能をもつ中材袋で各枕袋体を形成することにより、各枕袋体は独立した機能を持つことが可能となった。
各枕袋体は充填材を内包した各中材袋を出入することができる開閉自在の開口部を設けられている。
各中材袋は、それぞれ性質の異なる充填材を入れられ形成される。一つの枕袋体に同一の性質の中材袋を複数使用し構成されてもよく、異なる性質の中材袋を複数組み合わせて使用し構成されてもよく、特に制限はされない。
各中材袋は、使用される充填材の性質や形状などにより、円形や長尺、短尺などの形状であり、各中材袋を入れる枕袋体の形状においても、その形状は自由に設定することが望ましく特に限定はしない。
充填材としては一般的な従来公知の枕用充填材を用いてもよく、綿,羊毛,薔麦殻,羽毛,シルクなどがあるが、特定するものではない。殺菌や抗菌や森林浴効果のある桧や、多孔質構造を利用しての消臭や除湿効果のある炭や活性炭などを用いてもよいことは言うまでもない。昨今利用が増えてきたゆっくりと体圧を分散する低反発ウレタンフォーム、復元力が特徴のポリエステル綿、熱がこもりにくく素早く反応する超微粒状発砲スチレンビーズ、肌の乾燥を防ぐアロエエキスを練り込んだウレタンフォームなどを充填材として使用すれば、安眠のためにより効果的である。
このように、使用目的により充填材は種々あり、特に限定されるものではなく、目的に合った充填材を入れた中材袋を使用することにより、より機能を発揮するものである。
【発明の効果】
【0015】
以上において説明した本発明に係る多目的機能性枕は、次のような効果を得ることができる。
まず第一に、本発明による多目的機能性枕は、複数の枕袋体を交差させ組み合わせることにより立体的に構成したので、各枕袋体を交差させた部分間にたわみが生じる。そのたわみ部分に、頭部や首部が載ることで生じる張力がクッションを生み出し、そのクッションと各枕袋体自体のクッションとの相乗効果による柔軟さで、あらゆる寝返りを優しく受け止めることが出来るようになった。
また、各枕袋体を組み合わせて立体的に構成できることにより、使用者自身の体型に合わせて高さや幅などが自由に設定でき、仰臥位姿勢であろうと横臥位姿勢であろうと、あらゆる寝姿勢に対して支持できるようになった。寝返りや伸びなどが自然に行え、その結果として使用者の血行が良くなり、身体のS字カーブの体位の調整ができ、肩こり,腰痛,頭痛などが軽減され、さわやかな目覚めができるようになった。
【0016】
また、種々の枕袋体を交差させて作るようにしたので、それぞれの枕袋体間に多数の隙間や空間ができ、その隙間や空間が耳介を圧迫することがなくなった。そのため頭部を自由に動かせるので、睡眠時において一方向に固定された姿勢による顔面やアゴなどに対する圧迫がなくなり、使用者が求める寝姿勢が自由に行えるようになった。
また、各枕袋体間の隙間や空間は通気性を向上させることができ、顔面や頭部の汗によるベタツキなどがなくなり、睡眠中の不快感を解消することができ、快適な睡眠ができるようになった。
【0017】
第二に、各種の枕袋体を着脱自在にできることは、使用者自身により好みや身体に合わせて各枕袋体を選択し接合を行い、接合部分を自ら調節しながら使用を続けることができるようになった。使用者自らが各枕袋体を簡単に交換することができるようにしたので、各枕袋体に、消臭,除湿,芳香,抗菌などの機能をそれぞれに持たせ、それらを組み合わせて使用したり、へたりこんだ部分や汚染した部分などの必要な部分だけを交換できるようになった。
使用者自身により各枕袋体を複数自由に組み合わせができるようにしたので、睡眠時の枕としてだけの使用に限定されず、その他の使用ができるようになった。寝たきりの人の床ずれや身体各部分の硬直などを解消することをできるようになった。
また、卓上で使用する仮眠用の枕としての使用は、顔面を面として支えないために圧迫もなく、通気性も向上し、各枕袋体間の隙間に両手が収まることができるようになり、安心感も得られるようになった。そして、各枕袋体間の隙間に手を入れることにより使用者自身が、凹凸を調整しながら自分の体型に合わせる等の使用勝手を向上させることができる。このような手の収まりの良さは一層の安心感を誘い、十分な安眠ができるようになった。
【0018】
第三に、各枕袋体を気密性の素材で形成したことにより、充填材として気体,流体,ゲル状物質の使用が可能となった。気体を使用する場合において、特に空気を使用する場合に、使用者自身が直接各枕袋体に空気を入れことが容易であり、入ってない場合において各枕体は軽量であり、かつ体積も小さく、持ち運びが簡単であるように形成したので、屋外での使用や旅行においての使用ができるようになった。
各枕袋体を気密性の素材を使用する特徴としては、流体やゲル状物質を使用できるようになったことであり、その特性である流動性や蓄熱作用などにより、各種性質の異なる充填材を使用した各枕袋体を組み合わせて使用できるようになった。身体の一部の温度を下げたい場合などにおいて、その部分だけを冷たいゲル状物質の枕袋体を使用し、他の充填材を使用した枕袋体と組み合わせることが出来るようになった。このように、あらゆる生活分野において使用でき、あらゆる身体部分に使用することができるようになった。
上記に使用例であり、その用途については特に限定はされない。
その他、飛行機,自動車,船など、室外や旅行中の肩こりや腰痛の予防などあらゆる生活の全般における利用可能性を広げることができるようになった。
【0019】
第四に、各枕袋体の断面の形状を多角形、円形など自由に形成できるようにしたので、各枕袋体に異なる機能を持たせることが出来るようになり、各枕袋体の機能も向上することができるようになった。
例えば、使用者の身体に直接接する部分には、断面が柔らかい円形を用いたり、身体部分で圧迫を避ける部分には、断面が三角形であったりと、使用目的別に、それぞれ適した断面の形状を選択し組み合わせて使用できるようになった。
また、各枕袋体の断面の形状が自由に選択できることは、太い,細い,長い,短いなどの各枕袋体に各種の断面を組み合わせて使用することにより、機能性やデザイン性も向上し、多用性も増し、使用範囲も広がり、また多数の色を組み合わせて、楽しい多目的機能性枕を作ることができるようになった。
【0020】
第五に、各枕袋体を異なる太さに形成することにより、太さの異なる各枕袋はおよび長さの異なる各枕袋体など、種々の異なる形状の枕袋体を自由に組み合わせることができるようになった。
使用者自身の体格に合わせた太さや長さの異なる各枕袋体の組み合わせが可能となり、使用者自身により選択され、微調整しながら使用することができるようになった。
仰臥位姿勢でも横臥位姿勢でも、無理のない理想的な寝姿勢を保つことができるようになり、特に首部をやさしく支持できるようになった。
特にアゴの角度の微妙な調整などは、首部と頭部を異なる太さの枕袋体を用いることにより、使用者自身が毎日調整することができるようになり、イビキを解消することができるようになった。
【0021】
第六に、各枕袋体の充填材が複数の中材袋で形成され、それぞれ出入自在にできるようにしたので、各枕袋体はそれぞれ独自の機能を持つことができるようになった。各中材袋に消臭、除湿、芳香、抗菌の機能や、頭部、首部に対しての圧迫を軽減する合成樹脂の新素材を使用したり、個人的な嗜好が強い蕎麦殻などを使用者自身が選択し使用することができるようにしたので、使用者のあらゆる欲求に答えることができるようになった。
また、各種の機能を持つ中材袋を複数組み合わせての使用もできるようにしたので、使用者の選択可能性が広がった。
更に、必要な部分の中材袋だけを交換できるようにしたので、その利便性や衛生上の向上、経済的にもその利用性も向上することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明に係る多目的機能性枕の最良の形態を示す斜視図である。同図に示すように、多目的機能性枕1は、長尺の枕袋体2と短尺の枕袋体3とを交差して接合することにより構成したものである。各枕袋体2,3は、使用者の首部や頭部などの蒸れを防ぎ、しかも感触が良い材料、例えば麻,綿,ウール,シルク,合成繊維などによる織物、若しくはこれらの混紡織物,不繊布などで形成されたものを用いることができる。
また、機密性のある素材により形成された枕袋体を使用して構成されることもできる。例えば、ビニールを用いて成形すれば、耐水性があり軽量で成性が容易である特性を利用し、気体である空気を使用者自身により入れることができるので、屋外などでの使用に適している。この場合の充填材として、気体,流体,ゲル状物質が用いられる。
なお、各枕袋体2,3に使用される充填材としては、一般的な従来公知の枕用充填材を用いてもよく、綿,羊毛,薔麦殻,羽毛,シルクなどがある。殺菌や抗菌や森林浴効果のある桧、多孔質構造を利用しての消臭や除湿効果のある炭や活性炭などを用いてもよいことは言うまでもない。昨今、利用が増えてきたゆっくりと体圧を分散する低反発ウレタフォーム、復元力が特徴のポリエステル綿、熱がこもりにくく素早く反応する超微粒状発砲スチレンビーズ、肌の乾燥を防ぐアロエエキスを練り込んだウレタンフォームなどを充填材として使用すれば、安眠のためにより効果的である。
このように、充填材としての使用目的により種々あり、特に限定されるものではない。
本発明による多目的機能枕1の生地は、上記に限定するものではない。
【0023】
上記枕袋体2,3は、それぞれ交差し、その接合は面ファスナーやボタンあるいはホック等で接合される。各枕袋体2,3は、縫製により接合しても良いことはいうまでもない。図1に示す実施例は、長尺の枕袋体2を2本及び短尺の枕袋体3を4本の合計6本で構成したものを示したが、枕袋体2,3は6本に限定するものではなく3本でも、4本でも、7本でもよく本数は特に制限するものではない。
また、本実施例では、各枕袋体2,3は2段に構成されているが、3段、4段でも何ら段数を制限するものではない。
【0024】
図2は、図1の断面図で図1のII−II線における側面断面図であり、図3は、図2における使用状態を示し、仰臥位姿勢の状態を示す概略説明図である。同図において、長尺の枕袋体2,2は、短尺の枕袋体3,3の上部に交差して位置しているために、長尺の枕袋体2,2は、短尺の枕袋体3,3と短尺の枕袋体3,3との中間において隙間Sが形成され、この上部に図3に示すように使用者の頭部と首部が載り、その重みにより長尺の各枕袋体2,2はそれぞれ下方向に下がり、長尺の枕袋体2,2に生じる張力の働きによりクッションが生じる。この張力によるクッションと長尺の枕袋体2,2自体によるクッションとのニ重のクッション効果により、首部や頭部などを十二分に優しく支えることができる。
更に、長尺の枕袋体2と長尺の枕袋体2との間の隙間に後頭部があり、後頭部自体の重みを受けて、長尺の枕袋体2と長尺の枕袋体2は、広がりながら後頭部を受け止める。その時に生ずる弾力によるクッションが、頭部を安定して支持する。この作用により首部に対する負担を軽くし、寝返りなどにおいて頭部と体が別々に動く場合に、特に首部を優しく保護する。
上記のとおり、仰臥位姿勢時において、頭部から首部へかけての自然なS字カーブを、長尺の各枕袋体2,2が自在に変形しながら合致させることができる。
【0025】
図4は、図1の断面図で図1のIV−IV線における側面断面図であり、図5は、図4における使用状態を示し、横臥位姿勢の状態を示す概略説明図である。長尺の枕袋体2,2は、短尺の枕袋体3,3の上部に位置しているために、長尺の枕袋体2,2は、短尺の枕袋体3,3との間に隙間Sが形成され、この上部に図5に示すように使用者の頭部と首部が載り、その重みにより長尺の各枕袋体2,2はそれぞれ下方へ下がり、長尺の枕袋体2,2に生じる張力の働きによりクッションが生じる。この張力によるクッションと長尺の枕袋体2,2自体によるクッションとのニ重のクッション効果により、首部や頭部などを十分に支えることができる。
更に、長尺の枕袋体2と長尺の枕袋体2との間の隙間Sに側頭部があり、側頭部自体の重みを受けて長尺の枕袋体2と長尺の枕袋体2は、広がりながら側頭部を受け止める。この時に生ずる弾力によるクッションが、頭部を安定して支持する。そのことが首部に対する負担を軽くし、寝返りなどにおいて頭部と体が別々に動く場合に、特に首部を優しく保護する。
横臥位姿勢時において、頭部から首部へかけて自然なS字カーブを、長尺の各枕袋体2,2が自在に変形しながら合致させることができる。横臥位姿勢時において、側頭部が長尺の枕袋体2,2の上に載ることになるが、この場合に長尺の枕袋体2,2の間に耳介部が入り耳介部を圧迫することがなく、また長尺の各枕袋体2,2との隙間Sが顔面に対しての面状の密着を防ぎ、通気性を確保できることで睡眠中の不快感を解消し、スッキリとした目覚めができる。横臥位姿勢時の場合には、肩の部分の高さがあり、仰臥位姿勢時の場合よりも首部や頭部が床面より高くなる。この高さを補うには、短尺の枕袋体3と短尺の枕袋体3との間隔を狭めることで調整することができる。
【0026】
図6は、本発明による多目的機能性枕1を構成する各枕袋体2,3の断面図を示すもので、図6Aは、枕袋体2,3の断面が円形のものを示す。図6Bは、断面が三角形であるものを示す。図6Cは、断面が四角形のものを示す。このように、枕袋体2,3は、種々の断面が考えられるが、これら三角形,四角形に限定することなく、五角形,八角形等多角形にしても良い。
また、長さが異なる枕袋体2,3と太さが異なる枕袋体等多数の種類の枕袋体を使用し、それらを組み合わせることにより使用者の個々人の体格の違いや好みの違いなどに合わせ、あらゆる要求に対応できるものである。
【0027】
次に、上記各実施例において、図7に枕袋体2,3の接合の方法について説明する。図7は、枕袋体2,3の接合方法についての実施例を示す斜視図である。
図7Aは、各枕袋体2,3の交差部を着脱自在になるように構成するために、枕袋体2,3の任意の部分に面ファスナー6Aを固着した実施例を示している。また、図7Bは、枕袋体2,3の任意の部分にホック6Bを多数設けた実施例を示している。
そして、面ファスナー6A,ホック6Bは、使用者に不快感を与えないように設けられることは言うまでもない。このように、面ファスナー6Aやホック6Bにより、枕袋体2,3をお互いに着脱自在に固着することにより、使用者自身による使用中の調整が可能となり、使用者の身体を自然にやさしく支えることができるようになった。
また、各枕袋体2,3を直接縫い合わせて固着してもよいことは言うまでもない。
【0028】
次に、図8により、上記各実施例における枕袋体2,3の充填材について説明する。同図は、枕袋体の形態についての実施例を示す斜視図で、材料の異なる充填材をつめた中材袋7を上記枕袋体に挿入し、枕袋体2,3を形成したものである。図8Aに示す中材袋7は、ボール状に形成された短尺の中材袋7Aで、図8Bに示す中材袋7は、フランスパン状に形成された長尺の中材袋7Bである。これら中材袋7A,7B内に収納される充填材の材料は、必ずしも同一の材料を用いる必要はなく、複数の種類の材料をそれぞれの中材袋7に収納し、複合的に用いてもよく、一種類であっても複数種類であっても良く、何ら限定するものではない。
また、同図に示すように、各枕袋体2,3の端面に線状ファスナー4を取着することにより、開閉自在にできる。
【0029】
次に、図9により、上記各実施例における枕袋体2,3内部の形態の他の実施例について説明する。同図は、枕袋体2,3内部の形態の他の実施例を示す斜視図で、枕袋体2,3内に仕切壁8を複数箇所に設けられた例を示している。枕袋体2,3内において、充填材あるいは充填材を内包された材質が使用時に移動あるいは片寄りしないように仕切壁8により予防することができる。
また、長尺方向に向かって線状ファスナー4を用いて開閉自在にでき、充填材あるいは充填材を内包した中材袋7を出入できる。
仕切壁8は、複数箇所設けられるが、特に限定はされない。
【0030】
次に、各種の適用例について説明を記載する。上記において、多目的機能性枕1は、睡眠用あるいは休息用に使用する枕として説明したが、これに限らず、種々の用途があり、前記した使用に限定するものではない。
図10は、寝たきりの人などの身体全体を支える多目的機能性枕1の適用実施例を示す斜視図である。身体に対して直角方向に使用するもので、足首部分用枕袋体31,膝部分用枕袋体32,腰部分用枕袋体33,肩下部分用枕袋体34などの各枕袋体3を、身体と平行方向で土台となる長尺の枕袋体2の適宜所定の位置に交差して固着し構成したものである。
該多目的機能性枕1を使用することにより、使用者の身体各部分において、自重による圧迫がそれぞれの枕袋体31〜34により、身体に対してうっ血することなく、寝姿勢を楽にして使用者の身体をやさしく保護する。
【0031】
図11は、卓上などで使用され仮眠などに使用される多目的機能性枕1の適用実施例を示す斜視図である。
卓上を利用しての仮眠時において、顔面あるいは顔面の側面が、枕部分に対して全面的に接触し圧迫しないためにその使用感は快適である。
また、各枕袋体2,3間の隙間に両手を入れることが出来、両手が収まることで肩こりの予防にもなる。
【0032】
図12は、車など椅子などに使用される多目的機能性枕1の適用実施例を示す斜視図である。
車や椅子などに座布団や、背もたれなどが使用されているが、使用者各人の体格が異なるために満足が行かない現状である。
本発明による多目的機能性枕1によれば、使用者の体格に合わせて使用者自身が各枕袋体2,3を組み合わせて、自由に形成でき、使用者の必要な部分に枕袋体3を必要な形状に作り使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による多目的機能性枕の最良の形態を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線における側面断面図である。
【図3】図1のII−II線における使用状態を示す概略説明図である。
【図4】図1のVI−VI線における側面断面図である。
【図5】図1のVI−VI線における使用状態を示す概略説明図である。
【図6】枕袋体の断面図である。Aは断面の形状が円形のものを示し、Bは断面の形状が三角形のものを示し、C 断面の形状が四角形のものを示す。
【図7】枕袋体の接合方法についての実施例を示す斜視図である。
【図8】枕袋体の形態についての実施例を示す斜視図である。
【図9】枕袋体内部の形態についての実施例を示す斜視図である。
【図10】寝たきりの人などの身体全体を支える多目的機能性枕の適用実施例を示す斜視図である。
【図11】卓上などで使用され仮眠などに使用される多目的機能性枕の適用実施例を示す斜視図である。
【図12】車など椅子などに使用される多目的機能性枕の適用実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 多目的機能性枕
2 長尺の枕袋体
3 短尺の枕袋体
4 開閉口
6 A 両ファスナー
B ホック
7 A 短尺の中材袋
B 長尺の中材袋
8 仕切壁
31 足首部分用枕袋体
32 膝部分用枕袋体
33 腰部分用枕袋体
34 肩下部分用枕袋体
S 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、仰臥位姿勢でも横臥位姿勢でも頭部や首部などを安定して支持し、使用者のあらゆる寝姿勢に対応でき、耳介を圧迫する事がなく通気性を高め、使用者が十分な安眠とスッキリした目覚めを得ることができる枕に関するものである。
また、睡眠時以外にも、一定の寝姿勢を余儀なくされた病人や怪我人や寝たきりの人などの姿勢を優しく支持し、身体に対する圧迫などによる床ずれや、痛みなどの解消や予防などに対応することができる枕に関するものである。
また、卓上で使用する仮眠用の枕であったり、椅子などを長時間使用している人の腰痛の予防のための腰枕であったり、妊娠中の身体を保護するための枕であったり、旅行中のあらゆる場合に便利に使用できる多目的機能性枕である。
以上のように生活上のあらゆる分野での使用が可能な多目的機能性枕に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている枕は、枕自体が一つの塊としての形状で形成されているために、頭 部が枕に馴染み難く、高い枕では首部を痛め、低い枕では頭部に血流が留まり寝心地が悪くなったり、寝返り時に枕が頭部から外れやすく、後頭部が広範にわたって枕に接するために通気性に欠けるなどの問題があった。
安眠に適した枕や、首部などの矯正を目的とした枕など種々の枕が提案されているが、枕を使用した場合の睡眠姿勢及び睡眠中の寝返りの行動などあまり研究はされていない。枕は人間の体型から最も楽な自然体での睡眠姿勢を作るために、自然発生的に生じたものである。
しかし、まだ多くの問題が解決されていない。
【0003】
従来の枕では、頭部を枕上に乗せることが主目的であった。最近は、首部の保護や矯正を目的とした枕などが提案されている。
枕の首部支持部が頭部支持部より高く形成された枕が考案されているが、従来の枕と比較しても心地よい安眠が提供できている。
この種の枕では、個人差に適合し最適な首部高さや頭部高さに随時合致された使用が行えず、しかも仰臥位姿勢と横臥位姿勢での高さにも十分に対応できず、男性と女性の体格の違いなどにも十分に対応できず、誰しもが十分な安眠が行えないという問題があった。
そこで改善策として、首部対応位置に弾力性のある素材を使用し、首部対応位置を若干盛り上がるように形成し、頭部対応位置の中央部を、その両側部より軟らかい素材で構成することにより解決しようとした枕が考案されている。
しかし、あくまでも平均的な枕の高さであり、素材に対しての解決でしかなく、問題が解決されているとはいえない。
【0004】
また、首部を支持することに関し、生理学的な見地から研究され各種提案されているが、単に首部を支持するだけでは、仰臥位姿勢や横臥位姿勢での安眠は困難である。
その改善策として、枕本体を仕切り壁によって3個のユニット構造にしたものが提案されている。該枕は、左右両側に側頭部支持ユニットを設け、側頭部支持部より低く形成した後頭部支持ユニットを設けることで成り、後頭部支持ユニットの前後に首部支持部を作り、その中央部分は首部支持部より低くなる後頭部支持部で形成される。結果、仰臥位姿勢でも横臥位姿勢でも安眠することができる枕が考案されている。
しかし、該枕は、ユニット構造自体が複雑であり、従来からの上面が平坦な立方体としての枕に凹凸状を作り出しただけであり、安眠できるという効果は余り期待できず、また通気性などの問題もあり、解決されたとはいえない。
【0005】
また、仰臥位姿勢でも横臥位姿勢でも理想の寝姿勢である人間が立っている状態と同じ姿勢を実現するには、首部のS字骨格と枕が一致しなければならない。
しかし、仰臥位姿勢時及び横臥位姿勢時における肩部の高さや首部の高さ及び頭部の高さなどを考慮し、使用者の個々人に対して適合する枕を実現することは困難である。
この問題に対する改善策として、仰臥位姿勢時に頭部を載せる中間枕と、横臥位姿勢時に側頭部を載せる中間枕より高めに設定した左右の隆起枕とで構成し、中間枕の中央部を凹状にし、左右の隆起枕の中央部を凹状にした構成で、各凹部分が仰臥位姿勢時でも横臥位姿勢時でも自然に頭部を受け止めることができるようにしたことで、使用者の個々人に合わせた使用高さを実現した枕が考案されている。
しかし、凹凸状に合わせただけで、使用者に合わせた枕として提案されているとは考えられず、解決には至っていない。
【0006】
また、首部を支える主枕と頭部を支える副枕を連結することにより一つの枕として使用し、使用者の体格に合わせて主枕及び副枕の大きさなどを選択できたり、主枕と副枕との隙間が通気性を向上したり、睡眠中の不快感を解消する枕が考案されている。
しかし、通気性は向上したが、仰臥位姿勢時あるいは横臥位姿勢時などに十分対応しているとはいえず、あらゆる寝返りに十分に対応しているとはいえない。
【特許文献1】特開2002−102038号公報 仰臥位姿勢と横臥位姿勢での枕高さに自然に対応できる枕。
【特許文献2】特開2000−217686号公報 首部支持構造を持つユニット型仰臥,横臥位姿勢対応枕。
【特許文献3】特開2002−102038号公報 首部が自然な状態になる枕。
【特許文献4】特開2003−235708号公報 首部を支える枕と、頭部を支える枕で形成された枕。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術はいずれも男性や女性の体格の違いや、その睡眠姿勢及び睡眠中の寝返りの行動の差異などを考慮せず、使用者の身体に適応した首部の高さや頭部の高さなど、随時合致させながらの使用には無理があり、仰臥位姿勢や横臥位姿勢など両姿勢に対応することができないなどの問題があった。
更に、睡眠時の頭部に対する枕としての使用だけでなく、腰用の枕や抱き枕なども使用されているが、一つの立方体のままでの使用であり、その機能は限定されている。
【0008】
このような問題点に着目し本発明による枕は、仰臥位姿勢であろうと横臥位姿勢であろうと自然で無理のない姿勢を維持でき、自由な寝返りに対応できる枕を提供することを目的とするものである。しかも、耳介に対する圧迫もなく、通気性にも優れ、使用者自身が枕の各部分の高さや幅などを任意に設定し、自らが調整しながら使用することができるようにした枕を提供することを目的とするものである。
更に、頭部や首部における使用に留まらず、使用者の身体のあらゆる部分に対して使用が可能な枕を提供することを目的とするものである。
[課題を解決するための手段]
【0009】
本発明は次のような手段によって解決される。
請求項1に記載の多目的機能性枕は、種々の枕袋体を交差させ組み合わせることにより形成したものである。異なる高さの枕袋体を交差させると、その高さの差異は多数になり、使用者の必要とする高さを必要な部分に作り出すことができる。各枕袋体の交差した部分と他の枕袋体の交差した部分との間に首部や頭部などが載ると、その重みで下方へ下がるが、この時枕袋体に張力が働きその力がクッションとなり首部や頭部に作用する。各枕袋体の交差した各部分間の長さを調整することで、その張力も変わりクッションの強弱となってあらわれる。各枕袋体自体の弾力と張力により得られるクッションとで、二重のクッションを得ることになる。この張力の働きによる反発力と、各枕袋体の異なる高さの違いにより、仰臥位姿勢でも横臥位姿勢でも、使用者の寝返りなどの自由な動きに対して十分に対応できるようにしたものである。
また、種々の枕袋体を交差させ組み合わせることで形成したので、各枕袋体間に数々の隙間が形成されることになり、これらの隙間は通気性を高めることができ、頭部の蒸れを防ぎ、各枕袋体の湿気をも防ぐことができる。更に、横臥位姿勢時の耳介に対する圧迫を抑制できることで、耳介の痛みや閉塞感などを防止し、顔面に対するベタツキなどの不快感を取り除くことができる。
【0010】
また、請求項2に記載の多目的機能性枕は、種々の枕袋体を着脱自在に接合させて構成することを特徴とする。各枕袋体を着脱自在に接合させるには、面ファスナーを取り付ける方法があるが、ホックやボタンを用いても良く、特に限定はしない。その取り付けは任意の部分に多数設けることにより利便性の向上になり、各枕袋体の角度などを微調整できることに特徴を有するものである。
特に使用者自らが各枕袋体を着脱自在にできるように構成しているので、使用者自身の体型に合わせ各枕袋体の接合の角度を自由に設定することができ、使用者自らが調整しながら使用することができる。
また、各枕袋体は着脱自在にできることにより、枕袋体の一部分だけの交換が可能となるので、へたった枕袋体だけの交換や、その他不都合な部分だけを交換できることで、衛生上においても、経済性においても優れている。
【0011】
また、請求項3に記載の多目的機能性枕は、各枕袋体をお互いに固着することで、簡易性や利便性が特に向上した使用形態である。各枕袋体は、一般的に充填材として使用されているポリエステル綿などを予め充填し形成されてもよく、ウレタンフォームを使用した枕袋体と蕎麦殻を使用した枕袋体とを組み合わせて使用されてもよい。使用者に馴染みのある充填材を予め充填し、形成することにより安心感を与えることができる。
上記は、使用例でありこれに限定するものではない。
更に、各枕袋体を気密性の素材により形成することで、充填材に気体や流体あるいはゲル状物質などを使用できる。気体や流体あるいはゲル状物質を出入自在にした使用は、その利用範囲が広がり、あらゆる生活場面においての使用が可能となった。
充填材として気体を使用する場合においては、空気の使用が一般的である。この場合、使用者自身により充填し使用されることが可能となり、使用が家内にとどまらず旅行に携行されての使用や車あるいは椅子などに使用され、その簡易性は向上した。
充填材として流体を使用する場合においては、冷水を使用して、使用者の身体部の体温を下げたり、温水を使用して、使用者の身体を温めるなどの使い方ができる。使用者の特定の部分だけに使用してもよい。
ゲル状物質を使用する場合は、特に身体に対する圧迫を暖和するために使用したり、ゲル状物質の特性である保温力の持続性などによりその使用利便性は著しく向上した。
更に、気体や流体やゲル状物質を充填材として使用される多目的機能性枕であるが、各枕袋体において、同一の充填材を用いてもよいが、各枕袋体において別々の充填材を用いて、各種の枕袋体を組み合わせての使用でも何ら制限するものではない。
上記は使用例であり充填材としてこれに限定するものではない。
また、各枕袋体はお互いに固着され使用されるが、各枕袋体に予め充填材を充填されての使用でもよい。各枕袋体にはそれぞれ出入口を設けてもよく、各出入口を使用して充填材を出入できる。各枕袋体の接合部に内容物がお互いに通過しえる穴をあらかじめ設けてもよく、その場合には出入口は複数個所設けても良いことを特徴とする。
上記は、使用例でありこれに限定するものではない。
【0012】
また、請求項4に記載の多目的機能性枕は、各枕袋体の断面が三角形、四角形などの多角形あるいは円形の形状のいずれかであることを特徴とする。各枕袋体が使用される部分やその目的により、各枕袋体の断面の形状が選択され使用される。一般的には、使用者の身体に直接接する部分には円形などの角が少ない形状が好ましく、使用者の身体と接しない部分には安定性のよい四角形などが好ましく、使用者の身体に接する部分で圧迫を嫌う部分に対しての使用は三角形などが適しているが、各枕袋体の断面形状については、特に限定するものではない。
更に、睡眠中に使用される枕としての利用以外に、種々の断面を用いることにより、寝たきりの人の身体に対して使用される枕や、卓上で使用される仮眠用の枕、椅子用の枕、腰用の枕などに適用可能である。
上記は、使用例でありこれに限定するものではない。
【0013】
請求項5に記載の多目的機能性枕は、各枕袋体の断面の面積が一様でないことを特徴とする。各枕袋体は使用される部分や目的により、それぞれ太さの異なる各枕袋体を選択し使用される。各枕袋体は、長尺方向に対して同一の太さで形成され使用されるが、同一の太さではなく異なる太さに形成され使用されても何ら限定はされない。
寝たきりの人などの身体全体を支えるように構成するためには、腰部分用に太めの枕袋体を使用したり、足首部分用に細めの枕袋体を使用するなど、身体の各部分に必要とされる太さの枕袋体が選択され使用される。
また、卓上で使用される仮眠用の多目的機能性枕は、顔面や顔面の側面が曲面であり、顔面に接する各枕袋体を波状の太さが一様でない形状に形成して使用される。
上記は、使用例でありこれに限定するものではない。
【0014】
また、請求項6に記載の多目的機能性枕は、各枕袋体の充填材は複数の中材袋で形成され、それぞれ出入自在であることを特徴とする。各中材袋は、消臭,除湿,芳香,抗菌などの機能を持たせた充填材で形成されてもよく、復元力が強い充填材、熱がこもりにくい充填材、体圧を分散する充填材などの各機能別に形成されてもよい。各機能をもつ中材袋で各枕袋体を形成することにより、各枕袋体は独立した機能を持つことが可能となった。
各枕袋体は充填材を内包した各中材袋を出入することができる開閉自在の開口部を設けられている。
各中材袋は、それぞれ性質の異なる充填材を入れられ形成される。一つの枕袋体に同一の性質の中材袋を複数使用し構成されてもよく、異なる性質の中材袋を複数組み合わせて使用し構成されてもよく、特に制限はされない。
各中材袋は、使用される充填材の性質や形状などにより、円形や長尺、短尺などの形状であり、各中材袋を入れる枕袋体の形状においても、その形状は自由に設定することが望ましく特に限定はしない。
充填材としては一般的な従来公知の枕用充填材を用いてもよく、綿,羊毛,薔麦殻,羽毛,シルクなどがあるが、特定するものではない。殺菌や抗菌や森林浴効果のある桧や、多孔質構造を利用しての消臭や除湿効果のある炭や活性炭などを用いてもよいことは言うまでもない。昨今利用が増えてきたゆっくりと体圧を分散する低反発ウレタンフォーム、復元力が特徴のポリエステル綿、熱がこもりにくく素早く反応する超微粒状発砲スチレンビーズ、肌の乾燥を防ぐアロエエキスを練り込んだウレタンフォームなどを充填材として使用すれば、安眠のためにより効果的である。
このように、使用目的により充填材は種々あり、特に限定されるものではなく、目的に合った充填材を入れた中材袋を使用することにより、より機能を発揮するものである。
【発明の効果】
【0015】
以上において説明した本発明に係る多目的機能性枕は、次のような効果を得ることができる。
まず第一に、本発明による多目的機能性枕は、複数の枕袋体を交差させ組み合わせることにより立体的に構成したので、各枕袋体を交差させた部分間にたわみが生じる。そのたわみ部分に、頭部や首部が載ることで生じる張力がクッションを生み出し、そのクッションと各枕袋体自体のクッションとの相乗効果による柔軟さで、あらゆる寝返りを優しく受け止めることが出来るようになった。
また、各枕袋体を組み合わせて立体的に構成できることにより、使用者自身の体型に合わせて高さや幅などが自由に設定でき、仰臥位姿勢であろうと横臥位姿勢であろうと、あらゆる寝姿勢に対して支持できるようになった。寝返りや伸びなどが自然に行え、その結果として使用者の血行が良くなり、身体のS字カーブの体位の調整ができ、肩こり,腰痛,頭痛などが軽減され、さわやかな目覚めができるようになった。
【0016】
また、種々の枕袋体を交差させて作るようにしたので、それぞれの枕袋体間に多数の隙間や空間ができ、その隙間や空間が耳介を圧迫することがなくなった。そのため頭部を自由に動かせるので、睡眠時において一方向に固定された姿勢による顔面やアゴなどに対する圧迫がなくなり、使用者が求める寝姿勢が自由に行えるようになった。
また、各枕袋体間の隙間や空間は通気性を向上させることができ、顔面や頭部の汗によるベタツキなどがなくなり、睡眠中の不快感を解消することができ、快適な睡眠ができるようになった。
【0017】
第二に、各種の枕袋体を着脱自在にできることは、使用者自身により好みや身体に合わせて各枕袋体を選択し接合を行い、接合部分を自ら調節しながら使用を続けることができるようになった。使用者自らが各枕袋体を簡単に交換することができるようにしたので、各枕袋体に、消臭,除湿,芳香,抗菌などの機能をそれぞれに持たせ、それらを組み合わせて使用したり、へたりこんだ部分や汚染した部分などの必要な部分だけを交換できるようになった。
使用者自身により各枕袋体を複数自由に組み合わせができるようにしたので、睡眠時の枕としてだけの使用に限定されず、その他の使用ができるようになった。寝たきりの人の床ずれや身体各部分の硬直などを解消することをできるようになった。
また、卓上で使用する仮眠用の枕としての使用は、顔面を面として支えないために圧迫もなく、通気性も向上し、各枕袋体間の隙間に両手が収まることができるようになり、安心感も得られるようになった。そして、各枕袋体間の隙間に手を入れることにより使用者自身が、凹凸を調整しながら自分の体型に合わせる等の使用勝手を向上させることができる。このような手の収まりの良さは一層の安心感を誘い、十分な安眠ができるようになった。
【0018】
第三に、各枕袋体を気密性の素材で形成したことにより、充填材として気体,流体,ゲル状物質の使用が可能となった。気体を使用する場合において、特に空気を使用する場合に、使用者自身が直接各枕袋体に空気を入れことが容易であり、入ってない場合において各枕体は軽量であり、かつ体積も小さく、持ち運びが簡単であるように形成したので、屋外での使用や旅行においての使用ができるようになった。
各枕袋体を気密性の素材を使用する特徴としては、流体やゲル状物質を使用できるようになったことであり、その特性である流動性や蓄熱作用などにより、各種性質の異なる充填材を使用した各枕袋体を組み合わせて使用できるようになった。身体の一部の温度を下げたい場合などにおいて、その部分だけを冷たいゲル状物質の枕袋体を使用し、他の充填材を使用した枕袋体と組み合わせることが出来るようになった。このように、あらゆる生活分野において使用でき、あらゆる身体部分に使用することができるようになった。
上記に使用例であり、その用途については特に限定はされない。
その他、飛行機,自動車,船など、室外や旅行中の肩こりや腰痛の予防などあらゆる生活の全般における利用可能性を広げることができるようになった。
【0019】
第四に、各枕袋体の断面の形状を多角形、円形など自由に形成できるようにしたので、各枕袋体に異なる機能を持たせることが出来るようになり、各枕袋体の機能も向上することができるようになった。
例えば、使用者の身体に直接接する部分には、断面が柔らかい円形を用いたり、身体部分で圧迫を避ける部分には、断面が三角形であったりと、使用目的別に、それぞれ適した断面の形状を選択し組み合わせて使用できるようになった。
また、各枕袋体の断面の形状が自由に選択できることは、太い,細い,長い,短いなどの各枕袋体に各種の断面を組み合わせて使用することにより、機能性やデザイン性も向上し、多用性も増し、使用範囲も広がり、また多数の色を組み合わせて、楽しい多目的機能性枕を作ることができるようになった。
【0020】
第五に、各枕袋体を異なる太さに形成することにより、太さの異なる各枕袋はおよび長さの異なる各枕袋体など、種々の異なる形状の枕袋体を自由に組み合わせることができるようになった。
使用者自身の体格に合わせた太さや長さの異なる各枕袋体の組み合わせが可能となり、使用者自身により選択され、微調整しながら使用することができるようになった。
仰臥位姿勢でも横臥位姿勢でも、無理のない理想的な寝姿勢を保つことができるようになり、特に首部をやさしく支持できるようになった。
特にアゴの角度の微妙な調整などは、首部と頭部を異なる太さの枕袋体を用いることにより、使用者自身が毎日調整することができるようになり、イビキを解消することができるようになった。
【0021】
第六に、各枕袋体の充填材が複数の中材袋で形成され、それぞれ出入自在にできるようにしたので、各枕袋体はそれぞれ独自の機能を持つことができるようになった。各中材袋に消臭、除湿、芳香、抗菌の機能や、頭部、首部に対しての圧迫を軽減する合成樹脂の新素材を使用したり、個人的な嗜好が強い蕎麦殻などを使用者自身が選択し使用することができるようにしたので、使用者のあらゆる欲求に答えることができるようになった。
また、各種の機能を持つ中材袋を複数組み合わせての使用もできるようにしたので、使用者の選択可能性が広がった。
更に、必要な部分の中材袋だけを交換できるようにしたので、その利便性や衛生上の向上、経済的にもその利用性も向上することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明に係る多目的機能性枕の最良の形態を示す斜視図である。同図に示すように、多目的機能性枕1は、長尺の枕袋体2と短尺の枕袋体3とを交差して接合することにより構成したものである。各枕袋体2,3は、使用者の首部や頭部などの蒸れを防ぎ、しかも感触が良い材料、例えば麻,綿,ウール,シルク,合成繊維などによる織物、若しくはこれらの混紡織物,不繊布などで形成されたものを用いることができる。
また、機密性のある素材により形成された枕袋体を使用して構成されることもできる。例えば、ビニールを用いて成形すれば、耐水性があり軽量で成性が容易である特性を利用し、気体である空気を使用者自身により入れることができるので、屋外などでの使用に適している。この場合の充填材として、気体,流体,ゲル状物質が用いられる。
なお、各枕袋体2,3に使用される充填材としては、一般的な従来公知の枕用充填材を用いてもよく、綿,羊毛,薔麦殻,羽毛,シルクなどがある。殺菌や抗菌や森林浴効果のある桧、多孔質構造を利用しての消臭や除湿効果のある炭や活性炭などを用いてもよいことは言うまでもない。昨今、利用が増えてきたゆっくりと体圧を分散する低反発ウレタフォーム、復元力が特徴のポリエステル綿、熱がこもりにくく素早く反応する超微粒状発砲スチレンビーズ、肌の乾燥を防ぐアロエエキスを練り込んだウレタンフォームなどを充填材として使用すれば、安眠のためにより効果的である。
このように、充填材としての使用目的により種々あり、特に限定されるものではない。
本発明による多目的機能枕1の生地は、上記に限定するものではない。
【0023】
上記枕袋体2,3は、それぞれ交差し、その接合は面ファスナーやボタンあるいはホック等で接合される。各枕袋体2,3は、縫製により接合しても良いことはいうまでもない。図1に示す実施例は、長尺の枕袋体2を2本及び短尺の枕袋体3を4本の合計6本で構成したものを示したが、枕袋体2,3は6本に限定するものではなく3本でも、4本でも、7本でもよく本数は特に制限するものではない。
また、本実施例では、各枕袋体2,3は2段に構成されているが、3段、4段でも何ら段数を制限するものではない。
【0024】
図2は、図1の断面図で図1のII−II線における側面断面図であり、図3は、図2における使用状態を示し、仰臥位姿勢の状態を示す概略説明図である。同図において、長尺の枕袋体2,2は、短尺の枕袋体3,3の上部に交差して位置しているために、長尺の枕袋体2,2は、短尺の枕袋体3,3と短尺の枕袋体3,3との中間において隙間Sが形成され、この上部に図3に示すように使用者の頭部と首部が載り、その重みにより長尺の各枕袋体2,2はそれぞれ下方向に下がり、長尺の枕袋体2,2に生じる張力の働きによりクッションが生じる。この張力によるクッションと長尺の枕袋体2,2自体によるクッションとのニ重のクッション効果により、首部や頭部などを十二分に優しく支えることができる。
更に、長尺の枕袋体2と長尺の枕袋体2との間の隙間に後頭部があり、後頭部自体の重みを受けて、長尺の枕袋体2と長尺の枕袋体2は、広がりながら後頭部を受け止める。その時に生ずる弾力によるクッションが、頭部を安定して支持する。この作用により首部に対する負担を軽くし、寝返りなどにおいて頭部と体が別々に動く場合に、特に首部を優しく保護する。
上記のとおり、仰臥位姿勢時において、頭部から首部へかけての自然なS字カーブを、長尺の各枕袋体2,2が自在に変形しながら合致させることができる。
【0025】
図4は、図1の断面図で図1のIV−IV線における側面断面図であり、図5は、図4における使用状態を示し、横臥位姿勢の状態を示す概略説明図である。長尺の枕袋体2,2は、短尺の枕袋体3,3の上部に位置しているために、長尺の枕袋体2,2は、短尺の枕袋体3,3との間に隙間Sが形成され、この上部に図5に示すように使用者の頭部と首部が載り、その重みにより長尺の各枕袋体2,2はそれぞれ下方へ下がり、長尺の枕袋体2,2に生じる張力の働きによりクッションが生じる。この張力によるクッションと長尺の枕袋体2,2自体によるクッションとのニ重のクッション効果により、首部や頭部などを十分に支えることができる。
更に、長尺の枕袋体2と長尺の枕袋体2との間の隙間Sに側頭部があり、側頭部自体の重みを受けて長尺の枕袋体2と長尺の枕袋体2は、広がりながら側頭部を受け止める。この時に生ずる弾力によるクッションが、頭部を安定して支持する。そのことが首部に対する負担を軽くし、寝返りなどにおいて頭部と体が別々に動く場合に、特に首部を優しく保護する。
横臥位姿勢時において、頭部から首部へかけて自然なS字カーブを、長尺の各枕袋体2,2が自在に変形しながら合致させることができる。横臥位姿勢時において、側頭部が長尺の枕袋体2,2の上に載ることになるが、この場合に長尺の枕袋体2,2の間に耳介部が入り耳介部を圧迫することがなく、また長尺の各枕袋体2,2との隙間Sが顔面に対しての面状の密着を防ぎ、通気性を確保できることで睡眠中の不快感を解消し、スッキリとした目覚めができる。横臥位姿勢時の場合には、肩の部分の高さがあり、仰臥位姿勢時の場合よりも首部や頭部が床面より高くなる。この高さを補うには、短尺の枕袋体3と短尺の枕袋体3との間隔を狭めることで調整することができる。
【0026】
図6は、本発明による多目的機能性枕1を構成する各枕袋体2,3の断面図を示すもので、図6Aは、枕袋体2,3の断面が円形のものを示す。図6Bは、断面が三角形であるものを示す。図6Cは、断面が四角形のものを示す。このように、枕袋体2,3は、種々の断面が考えられるが、これら三角形,四角形に限定することなく、五角形,八角形等多角形にしても良い。
また、長さが異なる枕袋体2,3と太さが異なる枕袋体等多数の種類の枕袋体を使用し、それらを組み合わせることにより使用者の個々人の体格の違いや好みの違いなどに合わせ、あらゆる要求に対応できるものである。
【0027】
次に、上記各実施例において、図7に枕袋体2,3の接合の方法について説明する。図7は、枕袋体2,3の接合方法についての実施例を示す斜視図である。
図7Aは、各枕袋体2,3の交差部を着脱自在になるように構成するために、枕袋体2,3の任意の部分に面ファスナー6Aを固着した実施例を示している。また、図7Bは、枕袋体2,3の任意の部分にホック6Bを多数設けた実施例を示している。
そして、面ファスナー6A,ホック6Bは、使用者に不快感を与えないように設けられることは言うまでもない。このように、面ファスナー6Aやホック6Bにより、枕袋体2,3をお互いに着脱自在に固着することにより、使用者自身による使用中の調整が可能となり、使用者の身体を自然にやさしく支えることができるようになった。
また、各枕袋体2,3を直接縫い合わせて固着してもよいことは言うまでもない。
【0028】
次に、図8により、上記各実施例における枕袋体2,3の充填材について説明する。同図は、枕袋体の形態についての実施例を示す斜視図で、材料の異なる充填材をつめた中材袋7を上記枕袋体に挿入し、枕袋体2,3を形成したものである。図8Aに示す中材袋7は、ボール状に形成された短尺の中材袋7Aで、図8Bに示す中材袋7は、フランスパン状に形成された長尺の中材袋7Bである。これら中材袋7A,7B内に収納される充填材の材料は、必ずしも同一の材料を用いる必要はなく、複数の種類の材料をそれぞれの中材袋7に収納し、複合的に用いてもよく、一種類であっても複数種類であっても良く、何ら限定するものではない。
また、同図に示すように、各枕袋体2,3の端面に線状ファスナー4を取着することにより、開閉自在にできる。
【0029】
次に、図9により、上記各実施例における枕袋体2,3内部の形態の他の実施例について説明する。同図は、枕袋体2,3内部の形態の他の実施例を示す斜視図で、枕袋体2,3内に仕切壁8を複数箇所に設けられた例を示している。枕袋体2,3内において、充填材あるいは充填材を内包された材質が使用時に移動あるいは片寄りしないように仕切壁8により予防することができる。
また、長尺方向に向かって線状ファスナー4を用いて開閉自在にでき、充填材あるいは充填材を内包した中材袋7を出入できる。
仕切壁8は、複数箇所設けられるが、特に限定はされない。
【0030】
次に、各種の適用例について説明を記載する。上記において、多目的機能性枕1は、睡眠用あるいは休息用に使用する枕として説明したが、これに限らず、種々の用途があり、前記した使用に限定するものではない。
図10は、寝たきりの人などの身体全体を支える多目的機能性枕1の適用実施例を示す斜視図である。身体に対して直角方向に使用するもので、足首部分用枕袋体31,膝部分用枕袋体32,腰部分用枕袋体33,肩下部分用枕袋体34などの各枕袋体3を、身体と平行方向で土台となる長尺の枕袋体2の適宜所定の位置に交差して固着し構成したものである。
該多目的機能性枕1を使用することにより、使用者の身体各部分において、自重による圧迫がそれぞれの枕袋体31〜34により、身体に対してうっ血することなく、寝姿勢を楽にして使用者の身体をやさしく保護する。
【0031】
図11は、卓上などで使用され仮眠などに使用される多目的機能性枕1の適用実施例を示す斜視図である。
卓上を利用しての仮眠時において、顔面あるいは顔面の側面が、枕部分に対して全面的に接触し圧迫しないためにその使用感は快適である。
また、各枕袋体2,3間の隙間に両手を入れることが出来、両手が収まることで肩こりの予防にもなる。
【0032】
図12は、車など椅子などに使用される多目的機能性枕1の適用実施例を示す斜視図である。
車や椅子などに座布団や、背もたれなどが使用されているが、使用者各人の体格が異なるために満足が行かない現状である。
本発明による多目的機能性枕1によれば、使用者の体格に合わせて使用者自身が各枕袋体2,3を組み合わせて、自由に形成でき、使用者の必要な部分に枕袋体3を必要な形状に作り使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による多目的機能性枕の最良の形態を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線における側面断面図である。
【図3】図1のII−II線における使用状態を示す概略説明図である。
【図4】図1のVI−VI線における側面断面図である。
【図5】図1のVI−VI線における使用状態を示す概略説明図である。
【図6】枕袋体の断面図である。Aは断面の形状が円形のものを示し、Bは断面の形状が三角形のものを示し、C 断面の形状が四角形のものを示す。
【図7】枕袋体の接合方法についての実施例を示す斜視図である。
【図8】枕袋体の形態についての実施例を示す斜視図である。
【図9】枕袋体内部の形態についての実施例を示す斜視図である。
【図10】寝たきりの人などの身体全体を支える多目的機能性枕の適用実施例を示す斜視図である。
【図11】卓上などで使用され仮眠などに使用される多目的機能性枕の適用実施例を示す斜視図である。
【図12】車など椅子などに使用される多目的機能性枕の適用実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 多目的機能性枕
2 長尺の枕袋体
3 短尺の枕袋体
4 開閉口
6 A 両ファスナー
B ホック
7 A 短尺の中材袋
B 長尺の中材袋
8 仕切壁
31 足首部分用枕袋体
32 膝部分用枕袋体
33 腰部分用枕袋体
34 肩下部分用枕袋体
S 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種の枕袋体を交差させることにより、形成したことを特徴とする多目的機能性枕。
【請求項2】
各枕袋体はお互いに着脱自在であることを特徴とする請求項1に記載の多目的機能性枕。
【請求項3】
各枕袋体をお互いに固着することにより形成したことを特徴とする請求項1に記載の多目的機能性枕。
【請求項4】
各枕袋体の断面が三角形、四角形などの多角形あるいは円形のいずれかの形状であることを特徴とする請求項1から請求項3までに記載の多目的機能性枕。
【請求項5】
各枕袋体の断面の面積が一様でないことを特徴とする請求項1から請求項4までに記載の多目的機能性枕。
【請求項6】
各枕袋体の充填材は複数種の中材袋で形成され、それぞれ出入自在であることを特徴とする請求項1から請求項4までに記載の多目的機能性枕。
【請求項1】
複数種の枕袋体を交差させることにより、形成したことを特徴とする多目的機能性枕。
【請求項2】
各枕袋体はお互いに着脱自在であることを特徴とする請求項1に記載の多目的機能性枕。
【請求項3】
各枕袋体をお互いに固着することにより形成したことを特徴とする請求項1に記載の多目的機能性枕。
【請求項4】
各枕袋体の断面が三角形、四角形などの多角形あるいは円形のいずれかの形状であることを特徴とする請求項1から請求項3までに記載の多目的機能性枕。
【請求項5】
各枕袋体の断面の面積が一様でないことを特徴とする請求項1から請求項4までに記載の多目的機能性枕。
【請求項6】
各枕袋体の充填材は複数種の中材袋で形成され、それぞれ出入自在であることを特徴とする請求項1から請求項4までに記載の多目的機能性枕。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−102018(P2006−102018A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290966(P2004−290966)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(501095118)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(501095118)
【Fターム(参考)】
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