説明

多自由度アクチュエータ

【課題】本発明は、より容易に組み立て可能であって、回転体の位置精度が出し易い多自由度アクチュエータを提供する。
【解決手段】本発明の多自由度アクチュエータDaは、回転体1と、電気エネルギーを機械エネルギーへ変換する複数の電気機械変換素子31と、回転体1と所定の摩擦力で係合し、複数の電気機械変換素子31による各機械エネルギーに基づいて回転体1を多自由度で駆動する駆動力を回転体1に与える単一の固定体とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の回転軸回りに運動可能な多自由度アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
入力エネルギーを物理的な運動(機械エネルギー)に変換するアクチュエータは、運動を行う様々な装置に組み込まれている。例えば、光を取り扱う装置では、アクチュエータは、例えば、撮像光学系のフォーカスレンズの駆動やズームレンズの駆動に用いられ、また例えば、レーザ光を光変調器や光ファイバに入射する場合における光軸の調芯に用いられ、また例えば、監視カメラ等の監視方向(視線方向)の変更等に用いられる。このようなレンズの光軸方向に沿った駆動や光軸の調芯や監視方向の変更等に用いられるアクチュエータは、その用途から複数の方向への運動を発生可能であることが望ましい。このような複数の方向への運動を発生可能なアクチュエータは、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示の装置は、磁力で吸引される材料で形成され、或いは、磁力で吸引される材料で作られた部分を有する回転駆動される球体と、前記球体を支持するための基台と、第1、第2および第3のアクチュエータユニットで構成される駆動部であって、前記第1、第2および第3のアクチュエータユニットのそれぞれは、駆動信号の印加で伸張される第1、第2および第3の圧電素子を含み、前記第1、第2および第3の圧電素子が互いに略直交して延出されるように配置され、前記第1、第2および第3の圧電素子の一端が1つの交点で互いに固定されて駆動チップを構成し、前記第1、第2および第3の他端が前記基台に固定されて前記駆動チップを3次元方向に運動可能に支持し、前記第1、第2および第3のアクチュエータユニットは、前記駆動チップで前記球体を回転可能に支持し、前記交点と前記球体との摩擦により前記球体を回転駆動する駆動部と、前記球体との間に所定の間隙を介して前記基台に配置され、前記球体および前記圧電ユニット間の摩擦力を調整するための可変の磁場を発生させる磁場発生部とを備えている。このような構成の装置では、第1、第2および第3の各アクチュエータユニットの駆動チップが描く駆動円の駆動軸に沿って駆動トルクが発生し、これらの駆動トルクのベクトル和が実際に球体を回転駆動させる駆動トルクとなる([0028]段落参照)。そして、前記特許文献1の[0015]段落には、第1、第2および第3のアクチュエータユニットに印加する駆動信号を調整して伸張量を調整することで、球体を任意の方向に回転駆動させることができる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−045895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示の装置は、いわゆるロータ(回転子)に相当する球体と、いわゆるステータ(固定子)に相当する基台と、駆動力を発生する駆動部とは、個別部品で構成されている。このため、前記特許文献1に開示の装置では、これら各部品の組み立てに手間がかかってしまう。また、前記特許文献1に開示の装置は、前記駆動部を構成する第1、第2および第3のアクチュエータユニットにおける各駆動チップで前記球体を回転可能に支持している。このため、前記特許文献1に開示の装置では、第1、第2および第3のアクチュエータユニットの組み立ての際に組み立て位置に誤差が生じてしまうと、前記各駆動チップが設計通りの位置で前記球体を支持しないため、設計通りの性能が発揮されず、その性能が劣化してしまう虞がある。あるいは、前記特許文献1に開示の装置では、製品間における性能のばらつきが生じやすい。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、より容易に組み立て可能であって、回転体の位置精度が出し易い多自由度アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる多自由度アクチュエータは、回転体と、電気エネルギーを機械エネルギーへ変換する複数の電気機械変換素子と、前記回転体と所定の摩擦力で係合し、前記複数の電気機械変換素子による各機械エネルギーに基づいて前記回転体を多自由度で駆動する駆動力を前記回転体に与える単一の固定体とを備えることを特徴とする。
【0008】
回転体を多自由度で駆動するためには、通常、複数の固定体が必要であるが、このような構成の多自由度アクチュエータでは、前記回転体と所定の摩擦力で係合し、前記複数の電気機械変換素子による各機械エネルギーに基づいて前記回転体を多自由度で駆動する駆動力を前記回転体に与える固定体は、単一である。このため、回転体は、固定体に対し組み立てるだけでよい。したがって、このような構成の多自由度アクチュエータは、より容易に組み立てることができ、固定体に対する回転体の位置精度が出し易い。
【0009】
また、他の一態様では、これら上述の多自由度アクチュエータにおいて、前記複数の電気機械変換素子は、一体化されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成の多自由度アクチュエータは、前記複数の電気機械変換素子も一体化されているので、さらにより容易に組み立てることができ、固定体に対する回転体の位置精度がより出し易い。
【0011】
また、他の一態様では、これら上述の多自由度アクチュエータにおいて、前記複数の電気機械変換素子は、前記固定体に固定して取り付けられ、前記固定体は、前記複数の電気機械変換素子による各機械エネルギーをそれぞれ分離するための機械エネルギー分離部をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
このような構成の多自由度アクチュエータは、前記複数の電気機械変換素子が前記固定体に固定して取り付けられる場合でも機械エネルギー分離部をさらに備えるので、前記複数の電気機械変換素子による各機械エネルギーを個別に分離し、この個別に分離した機械エネルギーに基づく駆動力を前記回転体に与えることができる。したがって、当該電気機械変換素子に基づく駆動力から他の電気機械変換素子による機械エネルギーを低減もしくは無くすことができるので、前記回転体の駆動制御がより容易となる。
【0013】
また、他の一態様では、上述の多自由度アクチュエータにおいて、前記機械エネルギー分離部は、互いに隣接する電気機械変換素子の境界に対応する前記固定体の領域を含むように形成された第1溝部であることを特徴とする。
【0014】
このような構成の多自由度アクチュエータは、前記機械エネルギー分離部が所定の第1溝部であるので、より容易に前記機械エネルギー分離部を前記固定体に形成することができる。
【0015】
また、他の一態様では、これら上述の多自由度アクチュエータにおいて、前記固定体は、前記電気機械変換素子による機械エネルギーが伝播する領域を規制する機械エネルギー伝播領域規制部をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
このような構成の多自由度アクチュエータは、機械エネルギー伝播領域規制部をさらに備えるので、前記電気機械変換素子による機械エネルギーを適確に前記回転体に与えることができ、よりエネルギー効率が向上する。
【0017】
また、他の一態様では、上述の多自由度アクチュエータにおいて、前記機械エネルギー伝播領域規制部は、前記電気機械変換素子が取り付けられている前記固定体の第2領域を囲むように形成された第2溝部であることを特徴とする。
【0018】
このような構成の多自由度アクチュエータは、前記機械エネルギー伝播領域規制部が所定の第2溝部であるので、より容易に前記機械エネルギー伝播領域規制部を前記固定子に形成することができる。
【0019】
また、他の一態様では、これら上述の多自由度アクチュエータにおいて、前記固定体における前記回転体との係合面の幾何的重心点および前記回転体の中心点を、前記電気機械変換素子の機械運動方向を法線とする仮想平面に投影した場合に、これら前記仮想平面に投影された前記幾何的重心点と前記中心点とは、不一致であることを特徴とする。
【0020】
このような構成の多自由度アクチュエータは、前記仮想平面に投影された、前記固定体における前記回転体との係合面の幾何的重心点と前記回転体の中心点とが必ずしも一致する必要がないので、回転体に対する固定体の配置位置の自由度が高く、より容易に組み立てることができる。
【0021】
また、他の一態様では、これら上述の多自由度アクチュエータにおいて、前記固定体は、前記回転体に対し点接触で係合する点接触係合構造体であることを特徴とする。
【0022】
このような構成の多自由度アクチュエータでは、前記固定体と前記回転体とが点接触で摩擦係合するので、その接触箇所で前記回転体の運動が規制され難く、前記回転体がよりスムーズに運動することができる。
【0023】
また、他の一態様では、これら上述の多自由度アクチュエータにおいて、前記固定体は、前記回転体に対し線接触で係合する線接触係合構造体であることを特徴とする。
【0024】
このような構成の多自由度アクチュエータでは、前記固定体と前記回転体とが線接触で摩擦係合するので、上述の点接触で摩擦係合する態様に較べて、前記回転体は、より大きなトルクで運動可能となる。
【0025】
また、他の一態様では、これら上述の多自由度アクチュエータにおいて、前記固定体は、前記回転体に対し面接触で係合する面接触係合構造体であることを特徴とする。
【0026】
このような構成の多自由度アクチュエータでは、前記固定体と前記回転体とが面接触で摩擦係合するので、上述の線接触で摩擦係合する態様に較べて、前記回転体は、より大きなトルクで運動可能となる。
【0027】
また、他の一態様では、これら上述の多自由度アクチュエータにおいて、前記固定体は、前記回転体に対し点接触、線接触および面接触のうちの複数で係合する多様接触係合構造体であることを特徴とする。
【0028】
このような構成の多自由度アクチュエータでは、前記固定体と前記回転体とが多様な接触態様で接触するので、運動の規制と高トルク化とを好適にバランス(調和)させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかる多自由度アクチュエータは、より容易に組み立てることができ、固定体に対する回転体の位置精度が出し易い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施形態における多自由度アクチュエータの構成を示す図である。
【図2】実施形態の多自由度アクチュエータにおけるステータの構成を示す図である。
【図3】実施形態の多自由度アクチュエータにおける駆動源の構成を示す斜視図である。
【図4】実施形態の多自由度アクチュエータにおけるステータに対する駆動源の取り付けの様子を説明するための図である。
【図5】実施形態の多自由度アクチュエータにおけるステータの他の構成を示す図である。
【図6】実施形態の多自由度アクチュエータにおけるステータのさらに他の構成を示す図である。
【図7】実施形態の多自由度アクチュエータにおけるステータのさらに他の構成を示す図である。
【図8】実施形態の多自由度アクチュエータにおけるステータに設けられた機械エネルギー伝播領域規制部の構成を示す図である。
【図9】実施形態の多自由度アクチュエータにおける駆動源の他の構成を示す斜視図である。
【図10】実施形態における多自由度アクチュエータの他の構成を示す図である。
【図11】実施形態の多自由度アクチュエータを用いたゴニオステージの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0032】
図1は、実施形態における多自由度アクチュエータの構成を示す図である。図2は、実施形態の多自由度アクチュエータにおけるステータの構成を示す図である。図2(A)は、係合面側から見た斜視図(正面斜視図)であり、図2(B)は、前記係合面に対向する裏面側から見た斜視図(背面斜視図)である。図3は、実施形態の多自由度アクチュエータにおける駆動源の構成を示す斜視図である。図4は、実施形態の多自由度アクチュエータにおけるステータに対する駆動源の取り付けの様子を説明するための図である。図4(A)は、ステータに駆動源を取り付けた状態を示し、図4(B)は、さらに付勢部材をステータに取り付けた状態を示す。
【0033】
図1において、本実施形態の多自由度アクチュエータDaは、回転体(回転子、ロータ、移動体)1と、固定体(固定子、ステータ、振動体)2と、駆動源3とを備え、さらに、本実施形態では、付勢部材4とを備えている。
【0034】
駆動源3は、回転体1を固定体2を介して駆動するための駆動力を発生する部材であり、入力の電気エネルギーを機械エネルギー、すなわち、機械的な運動へ変換する電気機械変換素子31を備えている。電気機械変換素子31は、例えば、入力の電気エネルギーを圧電効果によって機械的な伸縮運動に変換する圧電素子31等である。駆動源3は、本実施形態では、多自由度(複数の自由度)を実現するために、複数の電気機械変換素子31を備えている。
【0035】
より具体的には、電気機械変換素子31としての圧電素子31は、例えば、積層体と、一組の外部電極部とを備えている。前記積層体は、圧電材料から成る薄膜状(層状)の圧電層と導電性を有する薄膜状(層状)の内部電極層とを交互に複数積層して成るものである。前記積層体は、本実施形態では、図3に示すように、四角柱形状となっている。各内部電極層は、その一方端部(一方縁部)が外部に臨むように形成される。より具体的には、各内部電極層のうちの前記導電層を介して互いに対向する一方の第1内部電極層は、その一方端部が前記積層体における所定の側面に臨むように形成されており、その他方の第2内部電極層は、その一方端部が前記積層体における前記所定の側面に隣接する側面に臨むように形成されている。このように各内部電極層は、その一部が互いに隣接する一組の外周側面で交互に外部に臨むようにそれぞれ構成されている。圧電材料は、例えば、いわゆるPZT、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、ニオブ酸タンタル酸カリウム(K(Ta,Nb)O)、チタン酸バリウム(BaTiO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO)等の無機圧電材料である。
【0036】
前記一組の外部電極部は、前記積層体の外周面における所定の面上に形成され、前記電気エネルギーを前記積層体に供給するものである。より具体的には、これら一組の外部電極部における一方の第1外部電極部は、前記一方の第1内部電極層と電気的に接続されるように、前記所定の側面に積層方向に沿って薄膜状(層状)で形成され、その他方の第2外部電極部は、前記他方の第2内部電極層と電気的に接続されるように、前記所定の側面に隣接する側面に積層方向に沿って薄膜状(層状)で形成される。このように一組の外部電極は、各内部電極層と順次交互に導通され、前記電気エネルギーを前記積層体の各圧電層に供給する。
【0037】
このような構成の電気機械変換素子31の一例としての圧電素子31では、一組の外部電極部に、図略の外部駆動回路より所定の駆動電圧が印加されることによって、前記積層体の各圧電層へ電気エネルギーがそれぞれ給電されると、各圧電層の圧電効果によって、前記積層体は、積層方向に伸び、あるいは、縮む。そして、伸び縮みを行うような所定の駆動電圧が周期的に繰り返し一組の外部電極部に印加されることによって、前記積層体は、伸縮を繰り返して振動する。
【0038】
そして、駆動源3は、本実施形態では、図3に示すように、4個の電気機械変換素子31としての4個の圧電素子31−1〜31−4を一体に備えている。より具体的には、4個の圧電素子31−1〜31−4は、それらの振動面を揃えて(駆動停止の静止状態で振動面が面一となるように)、分極の極性を揃えて反時計回り(あるいは時計回り)に順に配置されており(分極の極性を揃えて2×2の2次元アレイ状に配置されており)、互いに隣接する圧電素子31間には、機械的な運動の相互干渉を低減するために、前記機械的な運動、例えば振動(例えば超音波振動等)を吸収する振動吸収材32が充填されている。この振動吸収材32によってこれら4個の圧電素子31−1〜31−4は、全体として四角柱形状に一体化されている。
【0039】
固定体2は、回転体1と所定の摩擦力で係合し、複数の電気機械変換素子31による各機械エネルギーに基づいて回転体1を多自由度で駆動する駆動力を回転体1に与える単一の部材である。この固定体2には、駆動源2が固定されるように取り付けられている。駆動源3が駆動されると、駆動源3による機械エネルギー、すなわち、機械的な運動は、この固定体2を介して回転体1の駆動に用いられる。固定体2における回転体1と摩擦係合する面が係合面となり、固定体2における駆動源2が固定的に取り付けられる面が取り付け面となる。係合面と取り付け面とは、必ずしも対向している必要はないが、駆動源3による駆動力を固定体2を介して回転体1へ効率よく(減衰が少なく)伝達するために、対向していることが好ましい。
【0040】
より具体的には、固定体2は、例えば、図2(A)に示すように、一方主面(一方端面、上面)に、回転体1が運動可能な余裕を有して回転体1の一部が略嵌り込む凹部21を形成した円板形状(短高の円柱形状)の部材である。図2(A)に示す例では、固定体2は、外形円形形状であるが、任意の外形形状であってよい。凹部21の表面21aは、前記回転体1の前記一部の外表面(外球面)と略相似形な曲面となっている(前記回転体1の前記一部におけるその断面の輪郭形状と凹部21の断面の輪郭形状とが略相似形となっている)。このように凹部21が該凹部21に略嵌り込む前記回転体1の前記一部における外表面と略相似形な曲面とされることによって、固定体2は、回転体1を面触点で支持する構造となる。また、このような形状に凹部21の表面21aを形成することにより、前記回転体1の前記一部が固定体2の凹部21内に落ち込み、これによって固定体2は、より安定的に回転体1を支持することができる。そして、このような構成の固定体2における凹部21に回転体1を配設することによって、固定体2と回転体1とは、凹部21の表面21aと前記回転体1の前記一部の外表面とで面接触で係合することができる。
【0041】
そして、固定体2には、本実施形態では、駆動源3における複数の電気機械変換素子31による各機械エネルギー(各機械的な運動)をそれぞれ分離するための機械エネルギー分離部がさらに設けられている。
【0042】
より具体的には、固定体2には、例えば、複数の電気機械変換素子31から成る駆動源3が固定体2に固定的に取り付けられる場合に、固定体2における駆動源3を取り付ける前記取り付け面において、互いに隣接する電気機械変換素子31の境界に対応する固定体2の第1領域(境界対応領域)を含むように第1溝部が前記機械エネルギー分離部として形成されている。例えば、図3に示す2×2の2次元アレイ状に配置された4個の圧電素子31−1〜31−4を備える駆動源3が、前記取り付け面としての固定体2の他方主面(他方端面、底面)に取り付けられる場合であって、固定体2の他方主面における幾何的重心点と駆動源3の振動面(前記4個の圧電素子31の各振動面から成る振動面)における幾何的重心点とが一致するように、駆動源3が固定体2に固定されて取り付けられる場合では、固定体2の他方主面(前記取り付け面)には、図2(B)に示すように、互いに直交するとともにそれらの交点が固定体2の他方主面における幾何的重心点と一致する2個の溝部23−1、23−2が前記機械エネルギー分離部として形成されている。そして、これら2個の溝部23−1、23−2で区切られることによって固定体2の他方主面に形成された4個の領域のそれぞれに、1個の圧電素子31の振動面が配置されるように、4個の圧電素子31−1〜31−4を備える駆動源3は、前記取り付け面としての固定体2の他方主面に固定して取り付けられる。
【0043】
前記機械エネルギー分離部としての前記第1溝部は、固定体2の他方主面に形成された2個の溝部23−1、23−2だけであってもよいが、機械エネルギーをより確実に分離するために、図2に示す例では、図2(A)に示すように、固定体2の一方主面にも、これら2個の溝部23−1、23−2に対応する位置に4個の溝部22−1〜22−4が前記機械エネルギー分離部としてさらに形成されている。
【0044】
これら溝部23、22における各幅および各深さは、駆動源3における各圧電素子21によって発生する振動の大きさ(振幅)および周波数等に基づいて、前記機械エネルギー分離部としての機能を好適に発揮するように、適宜に設定される。
【0045】
回転体1は、駆動源3で発生した駆動力に応じて回転運動する部材である。回転体1は、任意形状の立体の部材でよい。したがって、回転体1は、例えば、球体、楕円球体およびその一部が切り取られたこれらの半球体等だけでなく、多面体およびその一部が切り取られたこれらの半多面体であってもよい。前記多面体は、例えば14面体や20面体等の面数が多いほど好ましい。そして、より滑らかに回転体1を運動させるために、回転体1は、固定体2と係合する面が曲面である形状の部材であることが好ましい。本実施形態では、図1に示すように、回転体1は、球体または球殻体である。そして、回転体1は、任意の材料によって形成することができるが、耐久性を向上させるために、例えば車のクラッチ機構等に用いられるペーパ摩擦材等の耐摩耗性に優れた材料によって形成されることが好ましい。本実施形態では、回転体1は、後述するように例えば鉄等の磁性体によって形成される。回転体1は、その全体が前記磁性体で形成されてよく、また、その表面のみが前記磁性体で形成されてよい。また、磁力が作用する表面の一部のみが前記磁性体で形成されてよい。また、回転体1内の一部分が前記磁性体で形成されてよい。この場合において、その偏りがあってもよいが、回転体の駆動制御を容易に行う観点から、その偏りがない方が好ましい。
【0046】
そして、このような回転体1が駆動源3と一体化された固定体2の凹部21に略嵌り込むことで、図1に示す多自由度アクチュエータDaが作成される。ここで、図1に示す多自由度アクチュエータDaでは、より単純に回転体1の回転駆動を制御することができるように、固定体2における回転体1との前記係合面の幾何的重心点および回転体1の中心点を、駆動源3の電気機械変換素子31の機械的な運動の方向(機械運動方向)を法線とする仮想平面に投影した場合に、これら前記仮想平面に投影された前記幾何的重心点と前記中心点とは、一致するように、回転体1が固定体2に対し配置される。
【0047】
回転体1と、駆動源3と一体化された固定体2とが、重力が作用する方向(重力の作用方向)に向かってこの順で配置されている構成では、回転体1の自重を利用することによって、回転体1と固定体2とが前記所定の摩擦力で係合するように、回転体1を固定体2に配置することも可能であるが、この構成では使用上の制約や設計上の制約が生じる。より具体的には、例えば、多自由度アクチュエータDaを傾けた場合に、回転体1が転がり落ちてしまう可能性がある。そのため、多自由度アクチュエータDaは、固定した場所で使用しなければならないため、使用上の制約が生じる。あるいは、そのため、回転体1の転落を防止するために、転落防止部材が別途必要となり、設計上の制約が生じる。このような使用上の制約や設計上の制約を低減するために、本実施形態では、多自由度アクチュエータDaは、回転体1と固定体2とを前記所定の摩擦力で係合させる付勢力を生成する付勢部材をさらに備えて構成されている。
【0048】
このような付勢部材は、例えば、磁力を発生する磁石であってもよい。本実施形態では、図4(B)に示すように、付勢部材4は、内部に駆動源3を収容しつつ、その一方端面で固定体2の前記取り付け面に接続されるように配設された円筒形状の例えば永久磁石等の磁石によって形成されており、回転体1は、この付勢部材4の磁石によって形成される磁場と相互作用を行うために、上述したように、例えば鉄等の磁性体によって形成されている。この磁石の付勢部材4によって、回転体1には、固定体2へ向かう磁力が作用し、回転体1と固定体2とは、前記所定の摩擦力で係合しつつ、固定体2は、この磁力によって回転体1を安定的に保持することができる。そして、前記付勢力を発生させるために、前記磁力を用いることによって、極めて小さい構造によって回転体1と固定体2とを前記所定の摩擦力で係合させることができる。この回転体1の磁性体は、常磁性体であることが好ましい。このように常磁性体で回転体1を形成することによって、回転体1の回転状態にかかわらず付勢部材4の磁石の磁場から同じように相互作用を受けるので、このような構成によれば、回転体1の駆動制御(複数の並進推力素子2の制御)がより容易となる。
【0049】
なお、上述では、付勢部材として磁石が用いられたが、これに限定されるものではない。例えば、より簡易に構成することができることから、前記付勢部材は、圧縮コイルバネや板バネ等の弾性体が用いられてよい。このような弾性体は、例えば、固定体2の前記係合面に対し回転体1を介して対向する側に、回転体1から固定体2へ向かう方向に付勢力を生じさせるように配置される。また例えば、前記付勢部材は、エアを吸引することによってエアによる吸引引力を発生するエアコンプレッサ等が用いられてもよい。このような吸引引力による付勢部材は、エアを吸引することによって、回転体1から固定体2へ向かう方向に付勢力を生じさせるように配置される。
【0050】
このような構成の多自由度アクチュエータDaでは、駆動源3が図略の外部駆動回路によって入力の電気エネルギー、例えば所定の波形の駆動電圧が供給されると、駆動源3は、電気機械変換素子31によって前記電気エネルギーを機械エネルギー、例えば機械的な振動に変換する。この駆動源3で生じた機械エネルギー、ここでは、機械的な振動は、駆動源3がその振動面で固定体2に固定的に取り付けられているので、固定体2に伝達され、固定体2も電気機械変換素子31の振動方向と同じ方向で機械的に振動する。例えば、図1ないし図4に示す例では、電気機械変換素子31としての圧電素子31は、その積層方向に機械的な振動を生じる。この圧電素子31による機械的な振動によって固定体2も圧電素子31の積層方向に機械的な振動を生じる。したがって、圧電素子31の積層方向は、圧電素子31および固定体2の振動方向である。
【0051】
ここで、係合面21aは、上述したように、球面であるので、係合面21aは、駆動源3の電気機械変換素子31の振動方向(上述では積層方向)と交差している。このため、係合面21aには、係合面21aの接線方向に駆動力が生じる。この係合面21aの接線方向の駆動力によって、固定体2の係合面21aに所定の摩擦力で係合している回転体1は、回転運動する。そして、駆動源3は、複数の電気機械変換素子31、本実施形態では、4個の電気機械変換素子31を備え、これら複数(ここでは4個)の電気機械変換素子31が固定体2に固定的に取り付けられているので、この1個の固定体2において、これら電気機械変換素子31によって複数の方向で前記駆動力を発生することができるから、回転体1は、多自由度で回転運動することができる。
【0052】
回転体1を多自由度で駆動するためには、通常、前記多自由度に応じた複数の固定体が必要であるが、本実施形態における多自由度アクチュエータDaでは、回転体1と所定の摩擦力で係合し、複数の電気機械変換素子31による各機械エネルギーに基づいて回転体1を多自由度で駆動する駆動力を回転体1に与える固定体2は、上述のしたように、単一の部材である。このため、回転体1は、単一の固定体2に対し組み立てるだけでよい。したがって、このような構成の多自由度アクチュエータDaは、より容易に組み立てることができ、固定体2に対する回転体1の位置精度が出し易い。また、固定体2が単一の部材であるので、多自由度アクチュエータDaの小型化も図り易い。
【0053】
そして、本実施形態における多自由度アクチュエータDaでは、複数の電気機械変換素子31も一体化されているので、さらにより容易に組み立てることができ、固定体2に対する回転体1の位置精度がより出し易い。また、このように一体化されているので、多自由度アクチュエータDaの小型化も図り易い。
【0054】
また、上述の多自由度アクチュエータDaは、前記機械エネルギー分離部としての溝部23を備えるので、複数の電気機械変換素子31が固定体2に固定して取り付けられる場合でも、複数の電気機械変換素子31による各機械エネルギーを個別に分離し、この個別に分離した機械エネルギーに基づく駆動力を回転体1に与えることができる。したがって、当該電気機械変換素子31に基づく駆動力から他の電気機械変換素子31による機械エネルギーを低減もしくは無くすことができるので、回転体1の駆動制御がより容易となる。さらに、上述の多自由度アクチュエータDaは、前記機械エネルギー分離部としての溝部22も備えるので、複数の電気機械変換素子31による各機械エネルギーをより一層個別に分離して回転体1の駆動に供することができ、より一層容易にその駆動を制御することができる。
【0055】
そして、上述の多自由度アクチュエータDaは、前記機械エネルギー分離部が溝部23、22であるので、より容易に前記機械エネルギー分離部を固定体2に形成することができる。
【0056】
なお、上述の実施形態では、より大きなトルクを得るために、固定体2は、回転体1に対し面接触で係合する面接触係合構造体であったが、これに限定されるものではなく、他の接触係合構造体であってもよい。上述の多自由度アクチュエータDaにおいて、例えば、固定体2に代え、回転体1に対し点接触で所定の摩擦力で係合する点接触係合構造体である固定体であってもよく、また例えば、固定体2に代え、回転体1に対し線接触で所定の摩擦力で係合する線接触係合構造体である固定体であってもよく、また例えば、固定体2に代え、回転体1に対し点接触、線接触および面接触のうちの複数で係合する多様接触係合構造体である固定体であってもよい。
【0057】
図5ないし図7は、実施形態の多自由度アクチュエータにおけるステータの他の構成を示す図である。図5(A)は、ステータの他の構成における第1態様を示し、図5(B)は、ステータの他の構成における第2態様を示し、そして、図5(C)は、ステータの他の構成における第3態様を示す。図6(A)は、ステータの他の構成における第4態様を示し、図6(B)は、ステータの他の構成における第5態様を示し、そして、図6(C)は、ステータの他の構成における第6態様を示す。図7(A)は、ステータの他の構成における第7および第8態様を示し、図7(B)は、ステータの他の構成における第7態様での断面構造を示し、そして、図7(C)は、ステータの他の構成における第8態様での断面構造を示す。
【0058】
まず、点接触係合構造体の場合について、より具体的に説明すると、例えば、図5(A)に示す第1態様では、固定体6aは、円板形状の固定体本体61aと、球体の一部を平面で切り取った形状(部分球体形状)であって、前記平面で連結するように固定体本体61aの一主面上に配設された、複数の支持体62aとを備えている。支持体62aは、回転体1を点接触で支持可能な個数、例えば、3個以上である。図5(A)に示す第1態様では、支持体62aは、3個の支持体62a−1〜62a−3を備えており、これら3個の支持体62a−1〜62a−3は、それらの各幾何的重心点を固定体本体61aの前記一主面に投影した場合、三角形、図5(A)に示す例では正三角形を形成するように、固定体本体61aの一主面上に配設される。そして、これら3個の支持体62a−1〜62a−3は、好ましくは頂部を除く周面のいずれかの点で回転体1と点接触するように、回転体1の大きさを考慮して、各間の距離が適宜に調整される。なお、所望の駆動方向が制限されている場合には、これら3個の支持体62a−1〜62a−3は、頂部で回転体1と点接触するように、適宜に配設されてもよい。このような構成の固定体6aにおける3個の支持体62a−1〜62a−3上に回転体1を配設することによって、固定体6aと回転体1とは、点接触で係合することができる。
【0059】
また例えば、図5(B)に示す第2態様では、固定体6bは、平面視で四角形である板状の固定体本体61bと、支持体62aと同形状である部分球体形状であって、前記平面で連結するように固定体本体61bの一主面上に配設された、複数の支持体62bとを備えている。支持体62bは、回転体1を点接触で支持可能な個数、例えば、3個以上であり、図5(B)に示す第2態様では、支持体62bは、3個の支持体62b−1〜62b−3を備えており、これら3個の支持体62b−1〜62b−3は、それらの各幾何的重心点を固定体本体61bの前記一主面に投影した場合、三角形、図5(B)に示す例では正三角形を形成するように、各間を適宜な距離で固定体本体61bの一主面上に配設される。すなわち、第2態様の固定体6bは、第1態様の固定体6aにおける円板形状の固定体本体61aに代え、平面視で四角形である板状の固定体本体61bを備えている。このような構成の固定体6bにおける3個の支持体62b−1〜62b−3上に回転体1を配設することによって、固定体6bと回転体1とは、点接触で係合することができる。
【0060】
また例えば、図5(C)に示す第3態様では、固定体6cは、固定体本体61aと同形状である円板形状の固定体本体61cと、この固定体本体61cの一主面上に配設された複数の支持体62cとを備えている。支持体62cは、回転体1を点接触で支持可能な個数、例えば、3個以上であり、図5(C)に示す第3態様では、支持体62cは、3個の支持体62c−1〜62c−3を備えている。そして、本第3態様では、2個の支持体62c−1、62c−2は、支持体62aと同形状である部分球体形状であって、前記平面で連結するように固定体本体61cの一主面上に配設され、残余の1個の支持体62c−3は、三角柱形状であって、前記三角柱の一側面で連結するように固定体本体61cの一主面上に配設される。これら3個の支持体62b−1〜62b−3は、それらの各幾何的重心点を固定体本体61cの前記一主面に投影した場合、三角形、図5(C)に示す例では正三角形を形成するように、各間を適宜な距離で固定体本体61cの一主面に配設される。すなわち、第3態様の固定体6cは、第1態様の固定体6aにおける部分球体形状の支持体62a−3に代え、三角柱形状の支持体62c−3を備えている。このような構成の固定体6cにおける3個の支持体62c−1〜62c−3上に回転体1を配設することによって、固定体6cと回転体1とは、点接触で係合することができる。そして、支持体62c−3が三角柱形状であるので、その配設方向を調整することで(部分球体形状の2個の支持体62c−1、62c−2における各幾何的重心点を結ぶ線分と、三角柱形状の支持体62c−3における長手方向に沿う線分とがなす角度を調整することで)、回転体1に与えられる駆動力の方向を調整することができる。
【0061】
このように第1ないし第3態様では、固定体本体61a〜61cに3個以上の凸部を配設することで点接触係合構造体の固定体6a〜6cが実現されている。これに対し、次の第4ないし第6態様では、固定体本体61d〜61fに外周形状が多角形である凹部を形成することで点接触係合構造体の固定体6d〜6fが実現されている。
【0062】
より詳しくは、例えば、図6(A)に示す第4態様では、固定体6dは、円板形状の固定体本体61dを備えており、この固定体本体61dには、外周形状が六角形である開口部63dが形成されている。そして、この開口部63dの外周の六角形は、長辺と短辺とが交互に配置された非正六角形であり、このため、固定体6dは、回転体1を3箇所の接触点で支持する構造となっている。なお、この開口部63dの外周の六角形は、互いに等辺の正六角形であってもよく、この場合では、固定体6dは、回転体1を6箇所の接触点で支持する構造となる。このような構成の固定体6dにおける開口部63dに回転体1を配設することによって、固定体6dと回転体1とは、点接触で係合することができる。
【0063】
また、開口部63dの外周面は、固定体本体61dの一主面に垂直な面であってもよい(固定体本体61dの一主面と開口部63dの外周面とは直交していてもよい)が、図6(A)に示す例では、この開口部63dの外周面は、テーパ形状となっており(固定体本体61dの一主面と開口部63dの外周面とは斜交しており)、そのテーパ面が平面となっている。このように外周面をテーパ形状とすることにより、回転体1の一部が固定体本体61dの開口部63d内に落ち込み、これによって固定体6dは、より安定的に回転体1を支持することができ、またその小型化が可能となる。
【0064】
また例えば、図6(B)に示す第5態様では、固定体6eは、平面視で六角形である板状の固定体本体61eを備えており、この固定体本体61eには、開口部63dと同形状である、外周形状が六角形である開口部63eが形成されている。このため、固定体6eは、固定体6dと同様に、回転体1を3箇所の接触点で支持する構造となっている。すなわち、第5態様の固定体6eは、第4態様の固定体6dにおける円板形状の固定体本体61dに代え、平面視で六角形である板状の固定体本体61eを備えている。また、固定体本体61eの外形形状と開口部63eの外周形状とは、略相似形となっている。このような構成の固定体6eにおける開口部63eに回転体1を配設することによって、固定体6eと回転体1とは、点接触で係合することができる。
【0065】
また例えば、図6(C)に示す第6態様では、固定体6fは、平面視で三角形である板状の固定体本体61fを備えており、この固定体本体61fには、外周形状が三角形である開口部63fが形成されている。このため、固定体6fは、回転体1を3箇所の接触点で支持する構造となっている。また、固定体本体61fの外形形状と開口部63fの外周形状とは、略相似形となっている。このような構成の固定体6fにおける開口部63fに回転体1を配設することによって、固定体6fと回転体1とは、点接触で係合することができる。
【0066】
そして、開口部63fの外周面は、固定体本体61fの一主面に垂直な面であってもよい(固定体本体61fの一主面と開口部63fの外周面とは直交していてもよい)が、図6(C)に示す例では、第4態様と同様に、この開口部63fの外周面は、テーパ形状となっており(固定体本体61fの一主面と開口部63fの外周面とは斜交しており)、そのテーパ面が平面となっている。このように外周面をテーパ形状とすることにより、回転体1の一部が固定体本体61fの開口部63f内に落ち込み、これによって固定体6fは、より安定的に回転体1を支持することができる。
【0067】
このような点接触係合構造体の固定体6a〜6fを備える多自由度アクチュエータDaでは、固定体6a〜6fと回転体1とが点接触で摩擦係合するので、その接触箇所で回転体1の運動が規制され難く、回転体1がよりスムーズに運動することができる。
【0068】
次に、線接触係合構造体の場合について、より具体的に説明すると、例えば、図7(A)および(B)に示す第7態様では、固定体6gaは、円板形状の固定体本体61gaを備えており、この固定体本体61gaには、外周形状が円形である開口部63gaが形成されている。そして、開口部63gaの外周面は、テーパ形状となっており(固定体本体61gaの一主面と開口部63gaの外周面とは斜交しており)、図7(B)にその断面で示すように、そのテーパ面64gaが平面となっている。そして、このテーパ面64gaのいずれかの位置における開口部63gaの直径は、回転体1の外周面のいずれかの位置における該回転体1の直径と同一の寸法あるいは若干大きな寸法となっている。このようにテーパ面64gaが平面とされるとともにそのいずれかの位置における開口部63gaの直径が上述のように設定されることによって、固定体6gaは、回転体1を線触点で支持する構造となる。また、このように外周面をテーパ形状とすることにより、回転体1の一部が固定体本体61gaの開口部63ga内に落ち込み、これによって固定体6gaは、より安定的に回転体1を支持することができる。このような構成の固定体6gaにおける開口部63gaに回転体1を配設することによって、固定体6gaと回転体1とは、線接触で係合することができる。
【0069】
このような線接触係合構造体の固定体6gaを備える多自由度アクチュエータDaでは、固定体6gaと回転体1とが線接触で摩擦係合するので、上述の点接触で摩擦係合する第1ないし第6態様に較べて、回転体1は、より大きなトルクで運動可能となる。
【0070】
次に、面接触係合構造体の場合について、より具体的に説明すると、例えば、図7(A)および(C)に示す第8態様では、固定体6gbは、円板形状の固定体本体61gbを備えており、この固定体本体61gbには、外周形状が円形である開口部63gbが形成されている。そして、開口部63gbの外周面は、テーパ形状となっており(固定体本体61gbの一主面と開口部63gbの外周面とは斜交しており)、図7(C)にその断面で示すように、そのテーパ面64gbが回転体1の外表面(外球面)の一部と略相似形な曲面となっている(回転体1の断面の輪郭形状の一部とテーパ面64gbの断面の輪郭形状とが略相似形となっている)。このようにテーパ面64gbが回転体1の外表面の一部と略相似形な曲面とされることによって、固定体6gbは、回転体1を面触点で支持する構造となる。また、このように外周面をテーパ形状とすることにより、回転体1の一部が固定体本体61gbの開口部63gb内に落ち込み、これによって固定体6gbは、より安定的に回転体1を支持することができる。このような構成の固定体6gbにおける開口部63gbに回転体1を配設することによって、固定体6gbと回転体1とは、面接触で係合することができる。
【0071】
このような面接触係合構造体の固定体6gbを備える多自由度アクチュエータDaでは、固定体6gbと回転体1とが面接触で摩擦係合するので、上述の線接触で摩擦係合する第7態様に較べて、回転体1は、より大きなトルクで運動可能となる。
【0072】
そして、図示しないが、上述の多自由度アクチュエータDaにおいて、固定体2、6は、回転体1に対し点接触、線接触および面接触のうちの複数で係合する多様接触係合構造体であってもよい。上述の多自由度アクチュエータDaにおいて、例えば、点接触および線接触で係合する点線接触係合構造体の固定体が用いられてもよく、また例えば、線接触および面接触で係合する線面接触係合構造体の固定体が用いられてもよく、また例えば、面接触および点接触で係合する面点接触係合構造体の固定体が用いられてもよく、また例えば、点接触、線接触および面接触で係合する点線面接触係合構造体の固定体が用いられてもよい。このような多様接触係合構造体の固定体を備える多自由度アクチュエータDaでは、前記固定体と回転体1とが多様な接触態様で接触するので、運動の規制と高トルク化とを好適にバランス(調和)させることができる。
【0073】
以上、種々の態様の固定体2、6を説明したが、これら固定体2、6は、予め決められた仕様を満たすように、回転体1に対する固定体2の配置位置や、固定体2の製造コスト等を勘案することによって適宜に選択される。
【0074】
また、上述の多自由度アクチュエータDaにおいて、固定体2、6は、電気機械変換素子31による機械エネルギーが伝播する領域を規制する機械エネルギー伝播領域規制部をさらに備えてもよい。
【0075】
図8は、実施形態の多自由度アクチュエータにおけるステータに設けられた機械エネルギー伝播領域規制部の構成を示す図である。
【0076】
より具体的には、例えば、電気機械変換素子31を固定的に取り付ける固定体2、6の第2領域を取り囲むように溝部が前記機械エネルギー伝播領域規制部として形成される。図8には、図5(B)に示す前記第2態様の固定体6bに前記機械エネルギー伝播領域規制部がさらに設けられた例が示されており、この図8に示す例では、固定体6bにおける固定体本体61bの前記一主面に対向する他方主面(裏面)に、電気機械変換素子31が固定的に取り付けられる第2領域66dを取り囲むようにリング状(環状、ドーナツ状)の溝部65bが前記機械エネルギー伝播領域規制部として形成されている。前記溝部65bの幅および深さは、電気機械変換素子31による機械的な振動が前記溝部65bの外側へ伝播しないように、電気機械変換素子31による機械的な振動の振幅および周波数等に応じて適宜に設定される。
【0077】
このような前記機械エネルギー伝播領域規制部をさらに備える固定体2、6を用いた多自由度アクチュエータDaは、機械エネルギーの機械的な振動を前記溝部の外側に伝播しないように前記第2領域内にとどめることができるので、機械エネルギーの機械的な振動を固定体2、6を介してより効率的に回転体1の駆動力とすることができるから、電気機械変換素子31による機械エネルギーを適確に回転体1に与えることができ、よりエネルギー効率が向上する。
【0078】
そして、前記機械エネルギー伝播領域規制部を、例えば図8に示すように溝部65bで形成することにより、より容易に前記機械エネルギー伝播領域規制部を固定子2、6に形成することができる。
【0079】
また、上述の多自由度アクチュエータDaでは、駆動源3は、角柱形状の複数の圧電素子31(図1ないし図4に示す例では4個の圧電素子31−1〜31−4)を、分極の極性を互いに揃えつつ、全体として角柱形状となるように配列することによって形成されたが、駆動源3は、このような態様に限定されるものではなく、他の態様も採用することができる。
【0080】
図9は、実施形態の多自由度アクチュエータにおける駆動源の他の構成を示す斜視図である。図9(A)は、その第1態様を示し、図9(B)は、その第2態様を示し、そして、図9(C)は、その第3態様を示す。
【0081】
例えば、その第1態様として、上述の多自由度アクチュエータDaにおいて、駆動源3に代え、分極の極性を揃えることなく、分極の極性が所定のパターンとなるように複数の圧電素子を配列することによって形成された駆動源が用いられてもよい。より具体的には、例えば、図9(A)に示すように、駆動源7aは、4個の電気機械変換素子31として、圧電素子31−1〜31−4と同様の4個の圧電素子71a−1〜71a−4を備えている。これら4個の圧電素子71a−1〜71a−4は、それらの振動面を揃えて(駆動停止の静止状態で振動面が面一となるように)、分極の極性が所定のパターンとなるように反時計回り(あるいは時計回り)に順に配置されており(分極の極性が所定のパターンとなるように2×2の2次元アレイ状に配置されており)、互いに隣接する圧電素子31間には、機械的な運動の相互干渉を低減するために、前記機械的な運動、例えば振動(例えば超音波振動等)を吸収する振動吸収材72aが充填されている。この振動吸収材72aによってこれら4個の圧電素子71a−1〜71a−4は、全体として四角柱形状に一体化されている。前記分極の極性における前記所定のパターンは、図9(A)に示す例では、分極の極性が反時計回り(あるいは時計回り)に交互に順に配置されるパターンである。すなわち、一方の振動面において、圧電素子71a−1は、−極性を向けて配置され、この圧電素子71a−1の反時計回りに隣接する圧電素子71a−2は、+極性を向けて配置され、この圧電素子71a−2の反時計回りに隣接する圧電素子71a−3は、−極性を向けて配置され、そして、この圧電素子71a−3の反時計回りに隣接する圧電素子71a−4は、+極性を向けて配置される。なお、この圧電素子71a−4の反時計回りに隣接する圧電素子は、圧電素子71a−1である。
【0082】
また例えば、その第2態様として、上述の多自由度アクチュエータDaにおいて、駆動源3に代え、複数の圧電素子が全体として筒形状となるように連結されて形成された駆動源が用いられてもよい。より具体的には、例えば、図9(B)に示すように、駆動源7bは、3個の電気機械変換素子31として、3個の圧電素子71b−1〜71b−3を備えている。圧電素子31は、上述したように、積層体と一組の外部電極部とを備え、平面視の形状が矩形である四角柱形状であったが、圧電素子71bは、圧電素子31と同様な積層体と一組の外部電極部とを備え、平面視の形状が幅のある円弧形状である筒体の一部の形状である。そして、圧電素子71bの一組の外部電極部は、前記筒体の一部における外周面に各間を空けて配置される。これら3個の圧電素子71b−1〜71b−3は、それらの振動面を揃えて(駆動停止の静止状態で振動面が面一となるように)、分極の極性を揃えて反時計回り(あるいは時計回り)に順に配置されており、互いに隣接する圧電素子71b間には、機械的な運動の相互干渉を低減するために、前記機械的な運動、例えば振動(例えば超音波振動等)を吸収する振動吸収材72bが充填されている。この振動吸収材72bによってこれら3個の圧電素子71b−1〜71b−3は、全体として筒形状に一体化されている。
【0083】
また例えば、その第3態様として、上述の多自由度アクチュエータDaにおいて、駆動源3に代え、分極の極性を揃えることなく、分極の極性が所定のパターンとなるように、複数の圧電素子が全体として筒形状となるように連結されて形成された駆動源が用いられてもよい。より具体的には、例えば、図9(C)に示すように、駆動源7cは、3個の電気機械変換素子31として、圧電素子71bと同様な3個の圧電素子71c−1〜71c−3を備えている。これら3個の圧電素子71b−1〜71b−3は、それらの振動面を揃えて(駆動停止の静止状態で振動面が面一となるように)、分極の極性が所定のパターンとなるように反時計回り(あるいは時計回り)に順に配置されており、互いに隣接する圧電素子71c間には、機械的な運動の相互干渉を低減するために、前記機械的な運動、例えば振動(例えば超音波振動等)を吸収する振動吸収材72cが充填されている。この振動吸収材72cによってこれら3個の圧電素子71c−1〜71c−3は、全体として筒形状に一体化されている。前記分極の極性における前記所定のパターンは、図9(C)に示す例では、一方の振動面において、圧電素子71c−1は、+極性を向けて配置され、この圧電素子71c−1の反時計回りに隣接する圧電素子71c−2は、−極性を向けて配置され、そして、この圧電素子71c−2の反時計回りに隣接する圧電素子71c−3は、+極性を向けて配置される。なお、この圧電素子71c−3の反時計回りに隣接する圧電素子は、圧電素子71c−1である。
【0084】
ここで、偶数個の圧電素子71cで全体として円筒形状となる駆動源7cが形成される場合には、分極の極性が反時計回り(あるいは時計回り)に交互に順に配置されるパターンとなる。
【0085】
本実施形態の多自由度アクチュエータDaは、上述したような様々な態様の固定体2、6を用いることができ、そして、上述したような様々な態様の駆動源3、7を用いることができる。したがって、本実施形態の多自由度アクチュエータDaは、例えば、円板形状(短高の円柱形状)の固定体および円筒形状の駆動源を用いることができ、また例えば、円板形状の固定体および四角柱形状の駆動源を用いることができ、また例えば、角板形状(短高の角柱形状)の固定体および円筒形状の駆動源を用いることができ、また例えば、角板形状の固定体および四角柱形状の駆動源を用いることができる。また、駆動源3、7における電気機械変換素子31、71の個数は、回転体1の自由度を基本に、回転体1に作用させる駆動力の個数に応じた適宜な数に設定される。例えば、図5および図6に示す第1ないし第6態様における3点接触の固定体6a〜6fの場合には、少なくとも3個の電気機械変換素子31、71を備える駆動源3、7が用いられる。
【0086】
図10は、実施形態における多自由度アクチュエータの他の構成を示す図である。また、上述の多自由度アクチュエータDaでは、固定体2における回転体1との前記係合面の幾何的重心点および回転体1の中心点を、駆動源3の電気機械変換素子31の機械的な運動の方向(機械運動方向)を法線とする仮想平面に投影した場合に、これら前記仮想平面に投影された前記幾何的重心点と前記中心点とは、一致するように、回転体1が固定体2に対し配置されたが、例えば、図10に示すように、これら前記仮想平面に投影された前記幾何的重心点と前記中心点とは、不一致となるように、回転体1が固定体2に対し配置されてもよい。
【0087】
一例として、この図10に示す多自由度アクチュエータDbは、回転体1と、固定体8と、駆動源3とを備え、さらに、本実施形態では、付勢部材9とを備えている。この多自由度アクチュエータDbにおける回転体1および駆動源3は、上述した多自由度アクチュエータDaにおける回転体1および駆動源3と同様であるので、その説明を省略する。
【0088】
そして、付勢部材9は、内部に駆動源3を収容しつつ、その一方端面で固定体8の取り付け面に接続されるように配設された断面矩形の筒形状の例えば永久磁石等の磁石によって形成されており、その機能は、付勢部材4と同様である。また、固定体8は、付勢部材9の外形と同様となるように、かつ、固定体8における回転体1との係合面の幾何的重心点および回転体1の中心点を、駆動源3の電気機械変換素子31の機械的な運動の方向(機械運動方向)を法線とする仮想平面に投影した場合に、これら前記仮想平面に投影された前記幾何的重心点と前記中心点とがずれて不一致となるように回転体1と固定体8とが、配置されるように、固定体2の外縁部をカットした短高の角柱形状(角板形状)の部材であり、その機能は、固定体2と同様である。
【0089】
このような構成の多自由度アクチュエータDbは、前記仮想平面に投影された、前記固定体における前記回転体との係合面の幾何的重心点と前記回転体の中心点とが必ずしも一致する必要がないので、回転体1に対する固定体8の配置位置の自由度が高く、より容易に組み立てることができる。
【0090】
次に、このような多自由度アクチュエータDa、Dbが回転ステージに適用された例について説明する。
【0091】
図11は、実施形態の多自由度アクチュエータを用いたゴニオステージの構成を示す図である。図11(A)は、ステージ部材10の載置台が水平に制御されている場合を示し、図11(B)は、ステージ部材10の載置台が所定の角度で傾斜するように制御されている場合を示す。図11は、多自由度アクチュエータDaがゴニオステージに応用される例を示しているが、多自由度アクチュエータDbがゴニオステージに応用される場合もこれを同様である。
【0092】
図11において、ゴニオステージSは、試料Obを載置するステージ部材10と、固定体2と、駆動源3と、付勢部材4とを備えている。これらゴニオステージSにおける固定体2、駆動源3および付勢部材4は、多自由度アクチュエータDa、Dbにおける固定体2、6、8、駆動源3、7および付勢部材4、9と同様であり、ゴニオステージSにおけるステージ部材10は、その形状が球形ではなく半球体である点を除き、多自由度アクチュエータDa、Dbにおける回転体1と同様である。すなわち、このゴニオステージSは、回転体1を半球形状に変えただけで、多自由度アクチュエータDa、Dbと同様に構成されている。
【0093】
そして、半球形状のステージ部材10における平面が試料Obを載せる載置台となり、本実施形態では、図10に示すように、透明のケースCA内に収容された試料Obが、半球形状のステージ部材10における前記平面状に載置される。
【0094】
このようなゴニオステージSでは、ステージ部材10を固定体2、6、8を介して駆動源3、7、9で駆動することによって、ステージ部材10の中央真上に位置する点を中心にして試料Obを回転させることができる。すなわち、ステージ部材10を回転させても(傾斜する回転を含む)、その中心は、変わらない。このため、ゴニオステージSは、図11(B)に示す姿勢をとることができ、ユーザは、試料Obを斜め方向から観察することが可能となる。
【0095】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0096】
Da、Db 多自由度アクチュエータ
S ゴニオステージ
1 回転体
2、6、6a〜6f、6ga、6gb、8 固定体
3、7、7a〜7c 駆動源
4、9 付勢部材
22、23 溝部
65b 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、
電気エネルギーを機械エネルギーへ変換する複数の電気機械変換素子と、
前記回転体と所定の摩擦力で係合し、前記複数の電気機械変換素子による各機械エネルギーに基づいて前記回転体を多自由度で駆動する駆動力を前記回転体に与える単一の固定体とを備えること
を特徴とする多自由度アクチュエータ。
【請求項2】
前記複数の電気機械変換素子は、一体化されていること
を特徴とする請求項1に記載の多自由度アクチュエータ。
【請求項3】
前記複数の電気機械変換素子は、前記固定体に固定して取り付けられ、
前記固定体は、前記複数の電気機械変換素子による各機械エネルギーをそれぞれ分離するための機械エネルギー分離部をさらに備えること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の多自由度アクチュエータ。
【請求項4】
前記機械エネルギー分離部は、互いに隣接する電気機械変換素子の境界に対応する前記固定体の第1領域を含むように形成された第1溝部であること
を特徴とする請求項3に記載の多自由度アクチュエータ。
【請求項5】
前記固定体は、前記電気機械変換素子による機械エネルギーが伝播する領域を規制する機械エネルギー伝播領域規制部をさらに備えること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の多自由度アクチュエータ。
【請求項6】
前記機械エネルギー伝播領域規制部は、前記電気機械変換素子が取り付けられている前記固定体の第2領域を囲むように形成された第2溝部であること
を特徴とする請求項5に記載の多自由度アクチュエータ。
【請求項7】
前記固定体における前記回転体との係合面の幾何的重心点および前記回転体の中心点を、前記電気機械変換素子の機械運動方向を法線とする仮想平面に投影した場合に、これら前記仮想平面に投影された前記幾何的重心点と前記中心点とは、不一致であること
を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の多自由度アクチュエータ。
【請求項8】
前記固定体は、前記回転体に対し点接触で係合する点接触係合構造体であること
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の多自由度アクチュエータ。
【請求項9】
前記固定体は、前記回転体に対し線接触で係合する線接触係合構造体であること
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の多自由度アクチュエータ。
【請求項10】
前記固定体は、前記回転体に対し面接触で係合する面接触係合構造体であること
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の多自由度アクチュエータ。
【請求項11】
前記固定体は、前記回転体に対し点接触、線接触および面接触のうちの複数で係合する多様接触係合構造体であること
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の多自由度アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−59142(P2013−59142A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194575(P2011−194575)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】