説明

多軸削孔機、及び多軸削孔機における孔曲がり修正削孔方法

【課題】リアルタイムで孔曲がり等の検出を可能にし、もって作業効率を向上させる。
【解決手段】第2掘削軸62は上方の固定軸部62Fと、この固定軸部62Fの下方に回転可能に連結された回転軸部62Rと、固定軸部62F内に設けられた検出器40とを有し、第1掘削軸61は上方から下方までの実質的に全体が回転するように構成するとともに、この第1掘削軸61に回転駆動力を与える回転駆動機構7を設け、第2掘削軸62の固定軸部62F内に専用の回転駆動源62mを設け、回転軸部62Rを固定軸部62Fに対して回転させるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多軸削孔機、及び多軸削孔機における孔曲がり修正削孔方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、柱列式地中連続壁の造成などに多軸削孔機が使用されている。単軸削孔機のほか、多軸削孔機においても、地盤に性状などの要因によって、削孔時の孔曲がりが生じる。孔曲がりが生じると、削孔精度の低下によって、たとえば柱列式地中連続壁の造成精度(たとえばラップ施工を行う場合のラップ精度)の低下につながる。したがって、孔曲がりが生じることを検出し、これを修正する機構が必要になる。
孔曲がりの修正には、従来から種々の方法が提案されてきた。例えば、特許文献1記載のものは、掘削途中で複数本の掘削軸の先端部が複数本の掘削軸を並設した並設方向にずれた際に、ずれ方向と反対側の側端部に位置する掘削軸を他の掘削軸に対して相対的に下降または上昇させて掘削することで複数本の掘削軸をずれ方向とは逆方向に戻すものである。
しかし、この方法では、1本の掘削軸を相対的に移動させるものであるために、大きなまたは速やかな孔曲がり修正効果(掘削長当たりの修正量)を期待できないことが当然に予想される。また、他の方法に関する提案も多いが、装置的に大掛かりまたは複雑なものとなり、実用性に疑問のあるケースもある。
他方、孔曲がりの検出には、例えば特許文献1、2に記載されるように、傾斜計やジャイロなどの孔曲がり検出器を搭載することが知られている。
【特許文献1】特許第3389558号公報
【特許文献2】特開2005−232834号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術のように、回転する掘削軸内に検出器を設けると、削孔中に検出器が回転してしまうためリアルタイムで検出を行うことができず、検出の度に掘削軸の回転を止める必要があり、作業効率低下の一因となっていた。
したがって、本発明が解決しようとする主たる課題は、掘削中のリアルタイム検出を可能にし、もって作業効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
第1掘削軸及び第2掘削軸が横方向に列をなして並設され、
前記第2掘削軸は上方の固定軸部と、この固定軸部の下方に回転可能に連結された回転軸部と、前記固定軸部内に設けられた孔曲がり及びネジレの少なくとも一方を検出するための検出器とを有し、
前記第1掘削軸は上方から下方までの実質的に全体が回転するように構成され、
前記第1掘削軸に回転駆動力を与える回転駆動機構が設けられ、
前記第2掘削軸の固定軸部内に、前記回転軸部を前記固定軸部に対して回転させる回転駆動源が設けられたことを特徴とする多軸削孔機。
【0005】
(作用効果)
本発明では、第2掘削軸を、上方の固定軸部およびその下方の回転軸部からなる構造とし、その固定軸部内に孔曲がり等の検出器を設けている。したがって、削孔中においても検出器は回転しないため、リアルタイム検出が可能となる。ただし、このような構造の第2掘削軸は、所謂トップドライブ方式、つまり上部駆動装置に設けられた回転駆動機構により回転駆動力を与える方式は採用できない。そこで、本発明では、第2掘削軸の固定軸部内に回転駆動源を設け、回転軸部を固定軸部に対して回転させるように構成したものである。
なお、本発明における第1掘削軸(後述する第3掘削軸も同様)および第2掘削軸なる用語は、全体が回転軸になるものと、上方が固定軸部となり下方が回転軸部となるものとを区別するために「第1」「第2」として使用しているのであって、それ以上の意味はないものである。
【0006】
〔請求項2記載の発明〕
前記第2掘削軸の固定軸部は、上端面に開口を有する管軸であり、この固定軸部の上端開口上方に外部空間が形成されており、前記検出器のためのケーブルならびに前記回転駆動源のためのエネルギー供給路が、前記検出器から前記固定軸部の上端開口およびその上方の空間を介して軸外に取り出されている、請求項1記載の多軸削孔機。
【0007】
(作用効果)
前述したように、本発明の第2掘削軸の上方は固定軸部からなり、トップドライブ方式を採用できない。本項記載の発明は、これを利用したものであり、固定軸部の上端開口上方に外部空間を敢えて形成し、検出器のためのケーブルならびに前記回転駆動源に対するエネルギー供給路を直に外部へ取り出すようにしたものである。従来は、回転する掘削軸内に対してケーブルを接続する場合、回転する摺動接点を介してケーブルを接続する接続装置(スリップリングと呼ばれる)が汎用されており、また油圧を供給する場合には、軸内外の油圧配管を接続するためにスイベルが汎用されているが、本項記載の発明によれば、より簡素でメンテナンスも容易な構成で、ケーブル等を掘削軸外部に接続できるようになる。
【0008】
〔請求項3記載の発明〕
前記第1掘削軸及び第2掘削軸の上部を連結する上部連結体と、前記第1掘削軸及び第2掘削軸の下部を連結する下部連結体とがそれぞれ設けられ、
前記第2掘削軸の固定軸部は前記上部連結体から前記下部連結体まで延在しており、
前記回転駆動機構は前記第1掘削軸における前記上部連結体より上方の部分に回転駆動力を与えるものであり、
前記回転駆動源は、前記第2掘削軸における固定軸部の下端部内に設けられたモータであり、このモータは前記第2掘削軸の回転軸部と同軸をなす駆動軸を有し、このモータの駆動軸が前記回転軸部の上端部をなしているか或いは前記回転軸部の上端部に同軸的に連結されている、請求項1または2記載の多軸削孔機。
【0009】
(作用効果)
本項記載の発明では、上部連結体及び下部連結体が固定軸を介してI字状に一体化され、第1掘削軸及び第2掘削軸はより強固に一体化されており、この強固な構造体を構成する固定軸部の下端部内に回転駆動源としてのモータが設けられるとともに、第2掘削軸の回転軸部がモータにより直接に回転駆動されるように構成されている。その結果、第2掘削軸の回転軸部を、簡素な機構で強力に駆動できるようになる。
【0010】
〔請求項4記載の発明〕
前記第2掘削軸の固定軸部の外周面に固定翼が突出しており、前記第1掘削軸の外周面における前記第2掘削軸の固定翼の近傍に攪拌翼が突出している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多軸削孔機。
【0011】
(作用効果)
本発明では、第2掘削軸の上方が固定軸部とされているため、この部分における地盤攪拌作用が低下する。この問題点に対して、実質的に全体が回転する第1掘削軸の適所に攪拌翼を設け、その攪拌作用を第2掘削軸の固定軸部まで及ぼすようにすると、攪拌物が第2掘削軸との衝突により剪断作用を受けるため、第2掘削軸の攪拌作用の低下をある程度は抑えることができる。しかし、これだけでは攪拌が不十分になるおそれがある。そこで、本項記載の発明では、敢えて第2掘削軸の固定軸部の外周面に固定翼を設け、より強力な剪断作用によって、第2掘削軸部分における地盤の攪拌を補うことができる。
【0012】
〔請求項5記載の発明〕
前記第2掘削軸の横方向一方側に前記第1掘削軸が配されるとともに、横方向他方側に第3掘削軸が配されており、この第3掘削軸は上方から下方までの実質的に全体が回転するように構成されるとともに、この第3掘削軸に回転駆動力を与える回転駆動機構が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多軸削孔機。
【0013】
(作用効果)
本発明の多軸削孔機は軸数に限定されるものではなく、3軸以上のものでも適用できる。本項記載の発明は3軸以上の場合を想定したものであり、この場合において、本項記載のように第1〜第3の掘削軸を備えることにより、前述した本発明の利点がもたらされる。
【0014】
〔請求項6記載の発明〕
孔曲がり及びネジレの少なくとも一方を修正する修正手段を備えた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多軸削孔機。
【0015】
(作用効果)
このような修正手段を備えることにより、検出器により現実の孔曲がり等の度合いを検出してこれを解消するように修正を行うことができる。
【0016】
〔請求項7記載の発明〕
横方向に列をなして並設された少なくとも3本の掘削軸を有し、各掘削軸により地盤を掘削する多軸削孔機であって、
各掘削軸を下部において実質的に平行に保つように連結する下部連結体が設けられ、
前記3本の掘削軸のうち、両側の掘削軸のそれぞれは上方の基部軸と下方の本体軸とを有するとともに、前記基部軸に対して前記本体軸が移動手段により軸方向移動可能でかつ回転可能に接続され、
この連設部と前記下部連結体との間において、各掘削軸は上下方向に少なくとも一つの正規の軸方向に対して曲がり可能な連設部を有し、
前記両側の掘削軸のうち一方の掘削軸の本体軸を他方の掘削軸の本体軸に対して相対的に下方に位置させたとき、前記各連設部より下方の部分が前記下部連結体と一体的に前記他方の掘削軸側に曲がるように構成され、
前記両側の掘削軸の間に位置する中間の掘削軸は、上方の固定軸部と、この固定軸部の下方に回転可能に連結された回転軸部と、前記固定軸部内に設けられた孔曲がりを検出するための検出器とを有し、
前記両側の掘削軸は、上方から下方までの実質的に全体が回転するように構成され、
前記両側の掘削軸に回転駆動力を与える回転駆動機構が設けられ、
前記連設部より下方において、前記中間の掘削軸の固定軸部内に、前記回転軸部を前記固定軸部に対して回転させる回転駆動源が設けられている、
ことを特徴とする多軸削孔機。
【0017】
(作用効果)
地盤の性状の変化などの要因により掘削方向が正規の方向(設計の掘削方向)からずれて孔曲がりが生じたまたは生じるおそれがある場合に、移動手段により、並設方向両側の掘削軸のうち一方の掘削軸の本体軸を他方の掘削軸の本体軸に対して相対的に下方に移動させて位置させ(逆から言えば、他方の掘削軸の本体軸を一方の掘削軸の本体軸に対して相対的に上方に移動させて位置させ)ると、その移動力は前記各連設部より下方部分全体を、下部連結体と一体的に他方の掘削軸側に曲がる力として作用する。各連設部より下方部分全体が他方の掘削軸側に曲がった状態で掘削を進行させると、以後は他方の掘削軸側に曲がりながら掘削が行われる。したがって、当初、一方の掘削軸側に孔曲がりが生じている場合に、上記の操作を行うと、一方の掘削軸側から他方の掘削軸側への孔曲がりの修正を行うことができるものである。
ここで、各連設部より下方部分全体は下部連結体により連結されているので、一方の掘削軸及び他方の掘削軸の本体軸及び中間の掘削軸全体が曲がる(方向を変える)。したがって、前掲の特許文献1における一つの軸を移動させる方法に比較して、孔曲がり修正効果が大きいことは容易に推測できよう。また、たとえば移動手段として油圧シリンダを使用してこれを多軸削孔機の下部に設けて地中に挿入する場合には、地盤との接触により油圧系統のトラブルなどが生じるのに対し、本発明においては移動手段を多軸削孔機の上部に設け、地中に挿入するものではないので、そのようなトラブルの発生の危険性はなく、安定した機器の運転が可能となる。
【0018】
〔請求項8記載の発明〕
前記移動手段は、前記上部連結体と前記本体軸上部との間に設けられた油圧シリンダである請求項7記載の多軸削孔機。
【0019】
(作用効果)
移動手段が油圧シリンダであると、必要な移動力を充分に発揮し、かつ簡素な機器構成とすることができる。
【0020】
〔請求項9記載の発明〕
各前記掘削軸は地盤上に立設されたリーダに沿って昇降自在に設けられ、
前記リーダに反力をとって、前記中間の掘削軸の固定軸部を軸心周りに揺動回転させる揺動回転手段が設けられ、
前記中間の掘削軸の固定軸部における揺動回転が前記下部連結体の揺動回転として伝達されるように、前記下部連結体と前記中間の掘削軸とが連結されており、
前記検出器は孔曲がり及びネジレを検出するためのものである、請求項7または8記載の多軸削孔機。
【0021】
(作用効果)
多軸削孔機は孔曲がりのほか横方向に列に対して斜めに偏位するいわゆるネジレが生じるので、これを修正する機構が望まれる。本項記載の発明は、このようなネジレ修正のための機構を提案するものである。本項記載の発明では、揺動回転手段により、リーダを反力体とし、中間の掘削軸を介して下部連結体を軸心周りに揺動回転させることができる。その際に、中間の掘削軸の固定軸部における揺動回転が下部連結体の揺動回転として伝達されるように、下部連結体と前記中間の掘削軸とが連結されているため、両側の掘削軸は、下部連結体部位が上部に対して中央の掘削軸の軸心周りに回転することにより、ネジレが解消される。
【0022】
〔請求項10記載の発明〕
横方向に列をなして並設された少なくとも3本の掘削軸を有し、各掘削軸により地盤を掘削する多軸削孔機であって、
各掘削軸を下部において実質的に平行に保つように連結する下部連結体が設けられ、
前記3本の掘削軸のうち、両側の掘削軸のそれぞれは上方の基部軸と下方の本体軸とを有するとともに、前記基部軸に対して前記本体軸が移動手段により軸方向移動可能でかつ回転可能に接続され、
この連設部と前記下部連結体との間において、各掘削軸は上下方向に少なくとも一つの正規の軸方向に対して曲がり可能な連設部を有し、
前記両側の掘削軸のうち一方の掘削軸の本体軸を他方の掘削軸の本体軸に対して相対的に下方に位置させたとき、前記各連設部より下方の部分が前記下部連結体と一体的に前記他方の掘削軸側に曲がるように構成され、
前記両側の掘削軸の間に位置する中間の掘削軸は、上方の固定軸部と、この固定軸部の下方に回転可能に連結された回転軸部と、前記固定軸部内に設けられた孔曲がりを検出するための検出器とを有し、
前記両側の掘削軸は、上方から下方までの実質的に全体が回転するように構成され、
前記両側の掘削軸に回転駆動力を与える回転駆動機構が設けられ、
前記連設部より下方において、前記中間の掘削軸の固定軸部内に、前記回転軸部を前記固定軸部に対して回転させる回転駆動源が設けられている多軸削孔機を使用し;
前記検出器により、前記正規の軸方向に対して削孔方向が前記両側の掘削軸のうちの一方の掘削軸側に曲がることが検出されたとき、その検出された孔曲がりの度合いに応じて、前記一方の掘削軸の本体軸を他方の掘削軸の本体軸に対して相対的に下方に位置させて、前記各連設部より下方の部分が前記下部連結体と一体的に前記他方の掘削軸側に曲げ、
前記検出器により、前記正規の軸方向に対して削孔方向が前記他方の掘削軸側に曲がることが検出されたとき、その検出された孔曲がりの度合いに応じて、前記他方の掘削軸の本体軸を前記一方の掘削軸の本体軸に対して相対的に下方に位置させて、前記各連設部より下方の部分が前記下部連結体と一体的に前記一方の掘削軸側に曲げ、
ることにより孔曲がりを修正しながら削孔を行うことを特徴とする多軸削孔機における孔曲がり修正削孔方法。
【0023】
(作用効果)
本項記載の発明は、請求項1の項で述べた形態で孔曲がりを修正する方法に関するものであり、その際に孔曲がり検出器、たとえばジャイロや傾斜計により現実の孔曲がりの度合いを検出し、これを解消するように孔曲がりの修正を行うものである。
【発明の効果】
【0024】
以上のとおり、本発明によれば、掘削中にリアルタイムでの検出が可能となり、もって作業効率を向上するようになるなどの利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
<装置構成>
多軸削孔機1は、たとえば図1に示す全体構造を有するものである。すなわち、ベースマシン2の前方において支持され設置されたリーダ3はベースマシン2のリーダ受台4とバックステイ5により支えられる構造となっている。リーダ3には、複数本の単位掘削管を長手方向に連結して構成された長尺の管状掘削軸63が鉛直方向に移動可能なように、また各々軸心周りに回転可能なように設けられている。リーダ3の下方には、掘削軸6をガイドすると共に、掘削軸6の回動に伴う振れを防止すための振れ止め装置9が取り付けられている。
【0026】
図2は、図1の掘削機の右方正面から見た掘削機本体を示している。掘削軸の数は複数であれば特に限定されないが、3本又は5本であることが望ましい。図示形態では、掘削軸の数は3本とされており、両側に位置する第1掘削軸61及び第3掘削軸63と、中間の第2掘削軸62とを備えている。なお、実施形態の第1掘削軸61及び第3掘削軸63は、請求項7〜10記載の発明では両側の掘削軸に相当し、第2掘削軸62は請求項7〜10記載の発明では検出器を有する中間の掘削軸および並設方向中央の掘削軸に相当するものである。また、図14は、第2掘削軸62の両側の第1掘削軸61及び第3掘削軸63に対し、さらに軸列方向外側に、第1掘削軸61及び第3掘削軸63と実質的に同構成の他の掘削軸60,64を設けて5本の掘削軸とする場合を示している。この場合、他の掘削軸60,64についても、第1掘削軸61及び第3掘削軸63と同様に、上部連結体及び下部連結体が設けられ、各掘削軸が回転駆動機構7により回転される。
【0027】
第1掘削軸61及び第3掘削軸63それぞれは上方の基部軸61A、63Aと下方の本体軸61B、63Bとを有する。第2掘削軸62は、上方の固定軸部62Fと、この固定軸部62Fの下方に回転可能に連結された回転軸部62Bとを有する(詳細は後述する)。
【0028】
各掘削軸61〜63には、少なくとも、上部における、第1掘削軸61及び第3掘削軸63の基部軸61A、63A及び第2掘削軸62の固定軸部62Fを実質的に平行に保つように連結する上部連結体10、及び下部における、第1掘削軸61及び第3掘削軸63の基部軸61A、63A及び第2掘削軸62(固定軸部62F及び回転軸部62B)を実質的に平行に保つように連結する下部連結体20が設けられている。
【0029】
一方、第1掘削軸61及び第3掘削軸63のそれぞれは、上部連結体10より下方において、基部軸61A、63Aに対して本体軸61B、63Bが移動手段、好適には油圧シリンダ12により軸方向移動可能でかつ回転可能に接続されている。実施の形態では、図3〜図6に詳細に示されるように、油圧シリンダ12A、12Bが上部連結体10の前後において本体軸61Bとの間に跨設され、油圧シリンダ12C、12Dが上部連結体10の前後において本体軸63Bとの間に跨設されている。
【0030】
また、上部連結体10と下部連結体20との間において、各掘削軸61〜63(本体軸61B、63B及び固定軸部62F)には上下方向に少なくとも一つの正規の軸方向に対して曲がり可能な連設部30を有する。この例としては、図7に示される単位掘削管の雌雄嵌合継手部とすることができる。すなわち、たとえば横断面六角のオス継手部30Aとこれに対応するメス継手30Bの段差肩部31、及び接続ピン部32に予めたとえば1mm隙間を確保しておく。これによって、図8に示されるように当該連設部30の下方が偏位すると、その曲がり方向に段差肩部31のスキマSが生じる形態で偏位を許容するようになる。この例に限らず、その他前後方向に軸支形態で連結するようなものでもよい。
【0031】
かかる連設部30を各掘削軸61〜63に設けてあるので、油圧シリンダ12A、12B下降作動(そのストロークをSとする)により、第1掘削軸61の本体軸61Bを第3掘削軸63の本体軸63Bに対して相対的に下方に位置させたとき、図8に示すように、各連設部30、30、30より下方の部分が下部連結体20と一体的に第3掘削軸側63に曲がるように構成されている。反対に、油圧シリンダ12C、12Dの下降作動により、第3掘削軸63の本体軸63Bを第1掘削軸61の本体軸61Bに対して相対的に下方に位置させたとき、図示しないが、各連設部30、30、30より下方の部分が下部連結体20と一体的に第1掘削軸側61に曲がるように構成されている。
【0032】
なお、本体軸61B、63B及び内管62Bには、掘削ビット64、スクリュウ羽根65が適宜設けることができ、先端部には吐出口(図示せず)を設けて、この吐出口から、掘削液、エアー、固化液等を吐出させ、地中柱列壁を造成し、これらをラップ施工することで連続地中壁を造成できる。
【0033】
また、図示形態では、ネジレを防止する機構として次記の構造を備えている。すなわち、上部連結体10には、詳細には、第1掘削軸61及び第3掘削軸63と対応する部位に軸受けが設けられ、この軸受けにより基部軸61A、63Aおよび本体軸61B、63Bが回転可能に抱持されており、また、第2掘削軸62と対応する部位に設けられた挿通孔に、第2掘削軸62の固定軸部62Fがその軸心周りに揺動回転可能に挿通されている。また、図5及び図6に示されているように、リーダ3に沿って移動されかつこれに保持される保持部14が設けられ、この保持部14と第2掘削軸62の固定軸部61Fとの間に、第2掘削軸62の固定軸部61Fをその軸心周りに揺動回転させる油圧シリンダ15L,15Rが設けられている。したがって、油圧シリンダ15L,15Rの伸縮作動により、第2掘削軸62の固定軸部61Fおよびこれに連結一体化された下部連結体20が掘削軸62の軸心周りに揺動回転し、下部連結体20により抱持された第1掘削軸61及び第3掘削軸63が掘削軸62の軸心周りに揺動回転するようになる。
【0034】
ここで、曲がり及び捻れ修正の方法についてより詳細に説明する。いま、図2を基準として、その紙面方向左右を「左右方向」X及び紙面を貫く方向を「前後方向」と呼ぶことにする。掘削孔の平面視は、各掘削ビット64の外周縁または各スクリュウ羽根65の外周縁がなす軌跡として、図9の符号Hで示されるものとなる。
【0035】
いま、正規の掘削孔Hが仮想線で示されるように、左方向に「−X」分だけズレル位置に偏位した場合、これを正規の位置に修正するために、油圧シリンダ12A、12Bを下降作動(ストロークをS)させ、第1掘削軸61の本体軸61Bを第3掘削軸63の本体軸63Bに対して相対的に下方に位置させる。その結果、図8に示すように、各連設部30、30、30より下方の部分が下部連結体20により抱持されている結果、下部連結体20と一体的に第3掘削軸側63に角度α分曲がる。この状態で掘削を進行させると、右方向に掘削方向が変更され、変更量が「−X」分となった時点で、油圧シリンダ12A、12B上昇作動させ、曲がり修正を完了させる。
【0036】
右方向(+X方向)にずれる位置に偏位した場合、油圧シリンダ12C、12D下降作動させて同様に修正すればよい。
【0037】
この場合、曲がり状態及びその量はたとえば、後述する検出器40により検出することができる。曲がり量に対応して、角度αに一気に変更することも可能ではないが、経時的に徐々に変更することが可能である。また、油圧シリンダ12A、12B及び油圧シリンダ12C、12Dをそれらのストローク中間を基準位置として、たとえば油圧シリンダ12A、12Bを下降作動、油圧シリンダ12C、12Dを上昇作動させるなどの修正動作も可能である。さらに、各油圧シリンダの基準位置を最大伸長状態に設定すれば、曲がり修正をいずれかの油圧シリンダを収縮させる作動により行うことになる。
【0038】
一方、図10のように、正規の掘削孔Hの列方向が仮想線で示されるように捻れる場合には、たとえば角度「+β」分捻れた場合には、右の油圧シリンダ15Rを伸長させ、上部連結体10に対して第2掘削軸62の固定軸部61F及び下部連結体20を掘削軸62の軸心周りに「−β」分回転させる。これにより、第1掘削軸61及び第3掘削軸63における下部連結体20抱持部位がその上方部分に対して第2掘削軸62の軸心周りに「−β」分回転し、曲がり修正を行うことができる。その捻れによる具体的な曲がり修正方法はズレの場合と同様に適宜選択できる。この場合、ネジレの状態及びその量はたとえば、後述する検出器40により検出することができる。
【0039】
(本発明の特徴部分について)
特徴的には、第2掘削軸62は上方の固定軸部62Fと、この固定軸62Fの下方に回転可能に連結された(従って同軸的に連結された)回転軸部62Rと、固定軸部62Fの下端部内に設けられた孔曲がり及びネジレの少なくとも一方を検出するための検出器40とを有している。第2掘削軸62の固定軸部62Fは上部連結体10から下部連結体20まで延在しており、固定軸部62Fの上端部は、上部連結体10に設けられた挿通孔に軸心周りに揺動回転可能に挿通され、下端フランジ部は下部連結体20の上面にボルト62bにより固定されている。固定軸部62Fは下部連結体20にネジレを与える機能を有するものでもある。回転軸部62Rは、下部連結体20内に設けられた軸受け62xにより回転可能に支持されつつ、下部連結体20を介して固定軸部62Fの下方に同軸的に連結されている。
【0040】
第2掘削軸62とは異なり、第1および第3掘削軸61,63の各々は、上部連結体10内および下部連結体20内にそれぞれ設けられた軸受け61x、63xにより支持されており、上方から下方までの実質的に全体が一体的に回転する回転軸である。第1及び第3掘削軸61,63の頭部は、リーダ3に沿ってスライドするように取り付けられた上部駆動装置の回転駆動機構7と連結されている。上部駆動装置は、リーダ3に沿ってスライドされるように構成されている。回転駆動機構7は、第1および第3掘削軸61,63における上部連結体10より上方の部分に回転駆動力を与えるものであり、図示例では動力源7A及び減速機7Bから構成されている。動力源7Aとしては、油圧モータが用いられることもあるが、一般的には電動モータを用いるのが望ましい。この動力源7Aは一台に限られず、複数台用いることも可能である。これら動力源7Aからの動力は図示しない歯車列により一つにまとめられ、減速機7Bにより回転数が減速されて掘削軸61,63に伝達される。回転駆動機構7は、第1及び第3掘削軸61,63のそれぞれに対して個別に設けることも可能である。
【0041】
一方、第2掘削軸62の回転軸部62Rは、上部駆動装置の回転駆動機構7により駆動されるのではなく、固定軸部62Fの下端部内に設けられた専用の回転駆動源62mにより回転駆動されるようになっている。回転駆動源62mの位置は、固定軸部62Fの先端部が好ましいがこれに限定されるものではない。回転駆動源62mの種類は特に限定されず、例えば電動モータを用いることもできるが、図示例のように油圧モータ62mを用いるのが好ましい。また、回転駆動源62mは、ギア、ベルト、チェーンまたはこれらの組み合わせ等、公知の伝達機構を介して間接的にあるいは直接に回転軸部62Rを駆動するように構成できる。
【0042】
図示例は、モータ62mによる直接駆動を採用したものであり、第2掘削軸62の回転軸部62Rの上端部62uが上方に延在されるとともに、この回転軸部62Rの上端部62uを駆動軸とする油圧モータ62mが固定軸部62Fの下端部内に設けられているものである。第2掘削軸の回転軸部62Rとモータ62mの駆動軸とを個別に且つ同軸的に設け、両者を適宜の連結手段により一体化することもできる。
【0043】
第1掘削軸61、第2掘削軸62及び第3掘削軸63の回転方向は、回転駆動機構7及び回転駆動源62mの設計などによって適宜選択できるが、削孔の精度などの観点からは、図11に示すように平面視で2通りの中から選択するのが望ましい。
【0044】
孔曲がり及びネジレの少なくとも一方を検出するための検出器40としては、傾斜計またはジャイロなどを用いることができる。検出器40は第2掘削軸62に設ける限り、第1掘削軸61や第3掘削軸63のように実質的に全体が回転するように構成された掘削軸に設けることもできる。検出器40のための電源ケーブル、信号ケーブル等は、掘削軸61〜63の内空もしくは外周壁、ならびに減速機7B内に搭載された図示しないスリップリングを介して外部に導出し、図示しない外部の制御装置や記録装置等に接続することができる。
【0045】
特に、第2掘削軸62の固定軸部62Fは、上部駆動装置と接続しなくても良いため、上部駆動装置と固定軸部62Fの上端とを連結せずに、固定軸部62Fの上端開口と上部駆動装置下端との間に外部空間62sとしての間隔を空け、検出器40のためのケーブル41を、検出器40から固定軸部62Fの上端開口およびその上方の外部空間62sを介して軸外に取り出すことができる。
【0046】
また、掘削軸61〜63の先端部等から掘削液、エアー、固化液等を適宜切り替えて吐出させる場合や、モータ62mに対して油圧や電力を供給する場合、そのための供給路62p(掘削軸の内空、管、チューブ、ケーブル等)は、減速機7Bに搭載された図示しないスイベルやスリップリングを介して外部の供給装置に接続することができる。この場合において、前述のケーブル類における場合と同じように、第2掘削軸62における固定軸部62Fの上端上方に外部空間62sを設けることにより、掘削液等の供給路62pを固定軸部62Fの上端開口およびその上方の外部空間62sを介して軸外に取り出し、外部の供給装置に接続することができる。一方、第2掘削軸62において、掘削液等の吐出口を回転軸部62Rに設ける場合、固定軸部62Fと回転軸部62Rとの連結部分に搭載されたスイベル62vを介して、固定軸部62F内の供給路と回転軸部62R内における吐出口までの流路とを接続することができる。
【0047】
<他の事項>
第2掘削軸62の上方が固定軸部62Fであると、その深さ方向範囲における地盤攪拌作用が低下する。よってこれを補うべく、図13に示されるように、固定軸部62Fの外周面に、径方向に突出する固定翼62Wを設けるとともに、第1掘削軸61の外周面および第3掘削軸63の外周面における第2掘削軸62の固定翼の近傍に、径方向に突出する攪拌翼65を設けるのが好ましい。固定翼62Wおよび攪拌翼65は、固定軸部62Fの深さ方向範囲の全体にわたり所定の間隔でそれぞれ複数設けるのが好ましい。固定翼62Wは、平面的に視て攪拌翼65の回転軌跡円内まで延在しているのが好ましい。固定翼62Wと攪拌翼65との距離は、攪拌翼65の攪拌作用が固定翼62Wまで及ぶ範囲内で定めることができ、近接しているのが好ましい。図示例では、固定翼62Wは板状部材であり、第2掘削軸62の上下方向に間隔を空けて設けられているのに対して、攪拌翼65はスクリュー羽根であり、ある程度の上下範囲にわたり連続するものである。攪拌翼65を固定翼62wと同様に構成することもできる。このような固定翼62Wおよび攪拌翼65を組み合わせて備えることにより、攪拌翼65による攪拌物が固定翼62Wとの衝突により剪断作用を受けるため、第2掘削軸62の固定軸62F近傍においても攪拌作用が効果的に発揮される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、柱列式地中連続壁の造成などに使用される多軸削孔機に利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】多軸削孔機の側面図である。
【図2】多軸削孔機の掘削機本体の正面図である。
【図3】図2の要部正面図である。
【図4】図2の要部縦断面図である。
【図5】図3の半断面平面図である。
【図6】図2の側面図である。
【図7】連設部の例の縦断面図である。
【図8】掘削機本体の曲がり状態の正面図である。
【図9】掘削孔の曲がりの説明図である。
【図10】掘削孔の捻れの説明図である。
【図11】各掘削軸の回転方向例の説明図である。
【図12】下部連結体部分の一部破断正面図である。
【図13】固定翼を有する形態を示す掘削機本体の正面図である。
【図14】5本の掘削軸の概要図である。
【符号の説明】
【0050】
1…多軸削孔機、2…ベースマシン、3…リーダ、6…掘削軸、7A…動力源、7B…減速機、7…回転駆動機構、12A,12B、12C、12D…油圧シリンダ、15L、15R…油圧シリンダ、30…連設部、40…検出器、41…ケーブル、61…第1掘削軸、62…第2掘削軸、62s…外部空間、62W…固定翼、63…第2掘削軸、61A、63A…基部軸、61B、63B…本体軸、62F…固定軸部、62R…回転軸部、62m…回転駆動源(油圧モータ)、H…掘削孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1掘削軸及び第2掘削軸が横方向に列をなして並設され、
前記第2掘削軸は上方の固定軸部と、この固定軸部の下方に回転可能に連結された回転軸部と、前記固定軸部内に設けられた孔曲がり及びネジレの少なくとも一方を検出するための検出器とを有し、
前記第1掘削軸は上方から下方までの実質的に全体が回転するように構成され、
前記第1掘削軸に回転駆動力を与える回転駆動機構が設けられ、
前記第2掘削軸の固定軸部内に、前記回転軸部を前記固定軸部に対して回転させる回転駆動源が設けられたことを特徴とする多軸削孔機。
【請求項2】
前記第2掘削軸の固定軸部は、上端面に開口を有する管軸であり、この固定軸部の上端開口上方に外部空間が形成されており、前記検出器のためのケーブルならびに前記回転駆動源のためのエネルギー供給路が、前記検出器から前記固定軸部の上端開口およびその上方の空間を介して軸外に取り出されている、請求項1記載の多軸削孔機。
【請求項3】
前記第1掘削軸及び第2掘削軸の上部を連結する上部連結体と、前記第1掘削軸及び第2掘削軸の下部を連結する下部連結体とがそれぞれ設けられ、
前記第2掘削軸の固定軸部は前記上部連結体から前記下部連結体まで延在しており、
前記回転駆動機構は前記第1掘削軸における前記上部連結体より上方の部分に回転駆動力を与えるものであり、
前記回転駆動源は、前記第2掘削軸における固定軸部の下端部内に設けられたモータであり、このモータは前記第2掘削軸の回転軸部と同軸をなす駆動軸を有し、このモータの駆動軸が前記回転軸部の上端部をなしているか或いは前記回転軸部の上端部に同軸的に連結されている、請求項1または2記載の多軸削孔機。
【請求項4】
前記第2掘削軸の固定軸部の外周面に固定翼が突出しており、前記第1掘削軸の外周面における前記第2掘削軸の固定翼の近傍に攪拌翼が突出している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多軸削孔機。
【請求項5】
前記第2掘削軸の横方向一方側に前記第1掘削軸が配されるとともに、横方向他方側に第3掘削軸が配されており、この第3掘削軸は上方から下方までの実質的に全体が回転するように構成されるとともに、この第3掘削軸に回転駆動力を与える回転駆動機構が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多軸削孔機。
【請求項6】
孔曲がり及びネジレの少なくとも一方を修正する修正手段を備えた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多軸削孔機。
【請求項7】
横方向に列をなして並設された少なくとも3本の掘削軸を有し、各掘削軸により地盤を掘削する多軸削孔機であって、
各掘削軸を下部において実質的に平行に保つように連結する下部連結体が設けられ、
前記3本の掘削軸のうち、両側の掘削軸のそれぞれは上方の基部軸と下方の本体軸とを有するとともに、前記基部軸に対して前記本体軸が移動手段により軸方向移動可能でかつ回転可能に接続され、
この連設部と前記下部連結体との間において、各掘削軸は上下方向に少なくとも一つの正規の軸方向に対して曲がり可能な連設部を有し、
前記両側の掘削軸のうち一方の掘削軸の本体軸を他方の掘削軸の本体軸に対して相対的に下方に位置させたとき、前記各連設部より下方の部分が前記下部連結体と一体的に前記他方の掘削軸側に曲がるように構成され、
前記両側の掘削軸の間に位置する中間の掘削軸は、上方の固定軸部と、この固定軸部の下方に回転可能に連結された回転軸部と、前記固定軸部内に設けられた孔曲がりを検出するための検出器とを有し、
前記両側の掘削軸は、上方から下方までの実質的に全体が回転するように構成され、
前記両側の掘削軸に回転駆動力を与える回転駆動機構が設けられ、
前記連設部より下方において、前記中間の掘削軸の固定軸部内に、前記回転軸部を前記固定軸部に対して回転させる回転駆動源が設けられている、
ことを特徴とする多軸削孔機。
【請求項8】
前記移動手段は、前記上部連結体と前記本体軸上部との間に設けられた油圧シリンダである請求項7記載の多軸削孔機。
【請求項9】
各前記掘削軸は地盤上に立設されたリーダに沿って昇降自在に設けられ、
前記リーダに反力をとって、前記中間の掘削軸の固定軸部を軸心周りに揺動回転させる揺動回転手段が設けられ、
前記中間の掘削軸の固定軸部における揺動回転が前記下部連結体の揺動回転として伝達されるように、前記下部連結体と前記中間の掘削軸とが連結されており、
前記検出器は孔曲がり及びネジレを検出するためのものである、請求項7または8記載の多軸削孔機。
【請求項10】
横方向に列をなして並設された少なくとも3本の掘削軸を有し、各掘削軸により地盤を掘削する多軸削孔機であって、
各掘削軸を下部において実質的に平行に保つように連結する下部連結体が設けられ、
前記3本の掘削軸のうち、両側の掘削軸のそれぞれは上方の基部軸と下方の本体軸とを有するとともに、前記基部軸に対して前記本体軸が移動手段により軸方向移動可能でかつ回転可能に接続され、
この連設部と前記下部連結体との間において、各掘削軸は上下方向に少なくとも一つの正規の軸方向に対して曲がり可能な連設部を有し、
前記両側の掘削軸のうち一方の掘削軸の本体軸を他方の掘削軸の本体軸に対して相対的に下方に位置させたとき、前記各連設部より下方の部分が前記下部連結体と一体的に前記他方の掘削軸側に曲がるように構成され、
前記両側の掘削軸の間に位置する中間の掘削軸は、上方の固定軸部と、この固定軸部の下方に回転可能に連結された回転軸部と、前記固定軸部内に設けられた孔曲がりを検出するための検出器とを有し、
前記両側の掘削軸は、上方から下方までの実質的に全体が回転するように構成され、
前記両側の掘削軸に回転駆動力を与える回転駆動機構が設けられ、
前記連設部より下方において、前記中間の掘削軸の固定軸部内に、前記回転軸部を前記固定軸部に対して回転させる回転駆動源が設けられている多軸削孔機を使用し;
前記検出器により、前記正規の軸方向に対して削孔方向が前記両側の掘削軸のうちの一方の掘削軸側に曲がることが検出されたとき、その検出された孔曲がりの度合いに応じて、前記一方の掘削軸の本体軸を他方の掘削軸の本体軸に対して相対的に下方に位置させて、前記各連設部より下方の部分が前記下部連結体と一体的に前記他方の掘削軸側に曲げ、
前記検出器により、前記正規の軸方向に対して削孔方向が前記他方の掘削軸側に曲がることが検出されたとき、その検出された孔曲がりの度合いに応じて、前記他方の掘削軸の本体軸を前記一方の掘削軸の本体軸に対して相対的に下方に位置させて、前記各連設部より下方の部分が前記下部連結体と一体的に前記一方の掘削軸側に曲げ、
ることにより孔曲がりを修正しながら削孔を行うことを特徴とする多軸削孔機における孔曲がり修正削孔方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−115601(P2008−115601A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299575(P2006−299575)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000115463)ライト工業株式会社 (137)