説明

多連ピペット

【課題】 本発明はゲル溝間隔とマイクロキュベット間隔とに差があっても又これらの間隔規格に不同があっても、一辺にマイクロプレートより複数の試料を採取しこれを一辺に複数のゲル溝に分与できるピベットを開発するにある。
【解決手段】 複数個の均等な板4の相互間に均等なコイルバネ3を介挿し各板の共通な孔1′に夫々軸棒2をゆるく貫通し、該軸棒2の両端に円鋳ブロック4、4′を固定し、該円鋳ブロック4、4′上には円筒の1端の1部を斜めに切ったものでこの切断面9と円筒端面とでカム面を形成する筒状のカム筒7、7′をコイルバネ3の弾力に抗して挿入し、このカム面に常に当る様にカムフォロワピン8、8′を上記円鋳ブロック4、4′の周面に植設し、然して、各板にはその下面にピベットノズル5が植設してありこれは板内を貫通してノズル5から液体試料を同時に吸引、吐出する圧力制御系10に連通させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気泳動分析に用いるゲルの上縁に櫛の歯状に形成された多数のゲル溝夫々に違った試料を一度に分与することのできるピペットに係る。
【0002】
【従来の技術】従来は電気泳動分析すべき多数の試料をゲル溝へと分与するには試料の入った多数のキュベットよりピペットにより逐一これを採取し、ゲル溝へと別々に移動していた。
【0003】近年は電気泳動分析の経済的見地及びゲルパターンの相互比較の容易さよりゲル溝が細かくなり、この移動作業に時間がかかるばかりでなく分与作業中に先に分与した試料のゲル内拡散が進行してしまい泳動分析の精度を悪くしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に試料はマイクロキュベットと称される小さな試験管を均等間隔に配列したマイクロプレートに用意される。一方ゲル溝も均等間隔に櫛の歯状に整列しているがマイクロキュベットの間隔よりはるかに狭い。しかもゲル溝間隔もマイクロキュベット間隔も現在規格が不同である。
【0005】然して本発明はこの不同があっても一辺にマイクロプレートより複数の試料を採取しこれを一辺に複数のゲル溝に分与できるピペットを開発するにある。
【0006】
【課題を解決する手段】本発明はゲル溝の数に実質上等しい本数のピペットを一列に等間隔に組み合わせて成るが、等間隔を保ちつつこのピペット間隔が簡単に変えられるピペット組み合わせ体即ち多連ピペットとすることにより達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】本多連ピペットの好ましい実施例を図面について説明する。尚本多連ピペットは左右対称に構成され、参照番号はすべて各図共通である。
【0008】先ず、複数個の均等な板1の夫々共通な4つの孔1′に夫々4本の軸棒2をゆるく貫通するが、この際各板相互間に均等なコイルバネ3を介挿する。軸棒2の両端に円鋳ブロック4、4′を固定する。コイルバネ3の反発力は均等であるので板4は相互間隔が実質的上均等に配列される。
【0009】円鋳ブロック4、4′上に筒状のカム筒7、7′がコイルバネ3の弾力に抗して挿入される。このカム筒は円筒の1端の1部を斜めに切ったものでこの切断面9と円筒端面とでカム面を形成する。円鋳ブロック4、4′の周面にはこのカム面にバネ3の弾性により常に当る様に植設されたカムフォロワピン8、8′がある。円鋳ブロック4、4′に対してカム筒7,7′を手で回転するとカム筒7,7′は軸方向に摺動するが図1(図2)と図3(図4)にそれぞれ示す様にカムフォロワピンが切断斜面の一番下にある状態と、カムフォロワピンがカム筒端面に乗った状態との2点において安住する。
【0010】図1の状態では板配列体は拡張され板相互の間隔は最大となって各板がマイクロプレートのキュベット配列に対応し、図3の状態では板配列体は圧縮され各板相互の間隔は最小となって各板がゲル溝配列に対応する。
【0011】さて各板には図4に示す様にその下面にピペットノズル5が植設してありこれは板内を貫通してノズル5からチューブ6を経て液体試料を同時に吸引、吐出する圧力制御系10に連通している。
【0012】操作について説明すると、図1(図2)の拡張状態で各ノズル5をマイクロプレートの各キュベットに同時に差し込み、制御系10により各ノズル系の空気を抜き各試料を吸い込み採取する。次にカム筒7,7′を手で回転し図3(図4)に示す圧縮状態にし、各ノズル5を各ゲル溝に同時に当てがい制御系10により各ノズル系の試料を吐出する。
【0013】
【発明の効果】本発明に依れば、逐一のピペット作業が一辺に出来るから時間の節減ばかりでなく、時間遅れもなく、制御系との共働において採取量のばらつきもなくなると共に使用後の洗浄も自動化出来、狭いゲル溝間隔の開発も助長するから分析精度の向上に寄与するところ大である。カム筒の交換は非常に容易であるからゲル溝間隔及びマイクロキュベット間隔に不同があってもこれに対処出来る。
【0014】尚、マイクロプレートはゲル以外にも多用されているから本ピペットの適用範囲は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例ピペットの拡張状態を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1に示す本発明実施例ピペットの圧縮状態を示す斜視図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】本発明実施例ピペットの吸引、吐出系を示す略図である。
【符号の説明】
1・・・板
2・・・軸棒
3・・・コイルバネ
4、4′ ・・・円鋳ブロック
5・・・ピペットノズル
6・・・吸引、吐出チューブ
7、7′ ・・・カム筒
8、8′ ・・・カムフォロワピン
9・・・ カム面
10・・・圧力制御系

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数個の均等な板1の相互間に均等なコイルバネ3を介挿し、板の共通な孔1′に夫々軸棒2をゆるく貫通し、該軸棒2の両端に円鋳ブロック4、4′を固定し、該円鋳ブロック4、4′上に円筒の1端の1部を斜めに切ったものでこの切断面と円筒端面とでカム面を形成する筒状のカム筒7、7′をコイルバネ3の弾力に抗して挿入し、このカム面に常に当る様にカムフォロワピン8、8′を上記円鋳ブロック4、4′の周面に植設し、然して、各板にはその下面にピペットノズル5が植設してありこれは板内を貫通してノズル5から液体試料を同時に吸引、吐出する圧力制御系10に連通していることを特徴とする多連ピペット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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