説明

多重ダウンカマートレイ

【課題】質量交換領域を増加させた多重ダウンカマー高能力トレイを提供すること。
【解決手段】質量交換塔(2)用の多重ダウンカマートレイ(1)が、質量交換領域(4)と、トレイ(1)から流体を収集し排出する複数のダウンカマー(3)とを備え、ダウンカマーのそれぞれがチャネル(9)として成形され、前記チャネルが1対の側方側壁(21、22)、および端壁(23、24)によって画成されている。各ダウンカマーの端壁は延在要素(5)に取り付け可能であり、ダウンカマー(3)および延在要素(5)が一体となって第1の塔壁支持手段(6)から第2の塔壁支持手段(7)まで延在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量交換塔(mass transfer column)のための多重ダウンカマートレイに関する。
【背景技術】
【0002】
ダウンカマートレイは、質量交換塔内にかなり長い間使用されてきた。周知のトレイは、質量交換領域と、通常ダウンカマーと呼ばれる流体収集および案内領域とを備える。こうした質量交換塔では、液体と気体が対向流として一連のトレイ上を通過する。トレイの水平面上で液体と気体が接触し、それにより、存在するそれぞれの液体相と気体相との間で質量交換が容易になる。こうして、液体は第1のトレイから第1のダウンカマーを通って第2のトレイ上に、通常、質量交換領域を横切って流れる。そのような質量交換領域は、文献では作用トレイ領域と呼ばれる。そのようなトレイの質量交換領域により、液体がそのような質量交換領域を通り抜けるとき、蒸気と液体の混合物の緊密な接触が可能になる。蒸気は、トレイデッキの開口を通り、それら質量交換領域を横切って上方に流れて、液体と相互作用し質量交換を行う。次いで、液体はダウンカマーを通ってトレイから排出される。
【0003】
トレイ内のダウンカマーの従来の配置は、弦型配置である。その種弦型配置のダウンカマーは、トレイ断面を2つの部分に分割する線である弦線に沿ってトレイ断面を横断している。トレイの最長の弦線はトレイの直径である。
【0004】
多重ダウンカマートレイは、ダウンカマーの配置、および、通常はまたトレイ上のダウンカマーの数によって弦型ダウンカマートレイから区別される。個々のダウンカマーが、塔の一方の縁から他方の縁まで弦状に延在することはない。したがって、弦長に平行な方向でのダウンカマーの長手方向の延び、すなわちその長さは、弦長より短い。ダウンカマーのそれぞれは、幅、その幅は弦線に垂直な横方向の延びとして定義されるが、およびトレイデッキを含む平面に垂直な延びである高さを有して配置されている。それらは出口堰長さが長いことによって特徴付けられ、それは、高液体流量作動にとって有利である。出口堰は、作用領域をその下流端で画定する堰として定義され、そこで液体がトレイデッキを去ってダウンカマーに入る。ダウンカマーは、通常、切頭型であり、すなわち、第1のトレイのダウンカマーは、下側の第2のトレイのダウンカマーの上側稜部である出口堰より上の高さで終端する。そのような切頭型ダウンカマーは、通常、底部のシールプレートによって塞がれている。そのシールプレートは、下に配置された第2のトレイ上へ液体を通過させる開口を有する。開口の寸法は、動的抵抗がダウンカマー内に最低限の液体レベルを確保するように選択される。弦型ダウンカマー配置を有するトレイ上のダウンカマーの配置は、作用領域が、ダウンカマーによって互いに分離された複数の部分領域に分割されるようになっている。部分領域は流路に相当する。多重ダウンカマートレイ上の多重ダウンカマーの配置は、それとは異なり、作用領域の各部分の流路が連結され、その結果、液体要素は、原理的に、そのような多重ダウンカマートレイの作用領域のどの部分へでも移動することができる。したがって、作用領域は、互いに水力学的平衡状態にあり、それによって、液体の不均衡分布をより生じ難くいより堅牢な設計が実現される。
【0005】
現況技術に関わる問題は、トレイの平坦度に関連する。トレイの重量ならびに作動中の液体荷重は、トレイが耐えなければならない大きな力をトレイに掛ける。特に、塔の直径が大きい塔用のトレイは、かなりの大きさの液体荷重ならびにトレイ自体の重量を支持する必要がある。
【0006】
これが理由で、米国特許第5702647号に示される多重ダウンカマートレイアセンブリは、その支持のために、少なくともいくつかのダウンカマーに沿って延在する支持バッフルを備える。複数の取付部材によってダウンカマーを支持バッフルに固定し、1つのトレイ内に少なくとも2つのダウンカマーを間を開けて端と端とを向かい合わせた関係に配置して、それらの端部間に作用トレイブリッジ部分を配置し易くする。この構造は、上昇する蒸気がブリッジを貫通して流れることができるようにし、それにより、トレイの作用領域が増加する。トレイは、それを廻って外周上に延在する塔支持リングによってさらに支持される。米国特許第5702647号の別の実施形態では、個々の連続支持バッフルが端から端まで、すなわち塔支持リングまで延在してダウンカマーを支持する。この点で、米国特許第5702647号のトレイは、従来の弦型ダウンカマートレイに類似している。個々の連続支持バッフルの中間領域が開口して、そこを通してブリッジ部分を受け入れ、液体がそこを渡って流れ易くして、トレイ上の液体の流れを均一化する。このブリッジ部分が液体通路を互いに連結し、それにより、米国特許第5702647号のダウンカマートレイを多重ダウンカマートレイとして性格づける。上記の説明から、そのようなトレイ上の液体の分布は、トレイおよびダウンカマーの荷重、ならびにトレイの上面に分布する液体の荷重を受けて支持バッフルが撓むことによる結果として、均一でなくなり得ることが、必然的に帰結される。提案されたブリッジ部分に関連し得る別の問題は、このブリッジ部分が支持構造の弱体化を実際には招くことである。こうしたブリッジ部分が見られる全ての実施形態では、ブリッジ部分はトレイの中央部分、すなわち撓みによる最大引張応力を受ける領域に配置される。したがって、提案された解決法は、その撓みを抑えるためにトレイにさらに支持部を設けることにおいて不適切であると思われる。
【0007】
多重ダウンカマートレイの別の解決法として、支持梁が、トレイを作り上げているパネルを支持し、その水平な向きおよび平坦度を確保するために設けられている。そのような支持梁が、たとえば英国特許出願第1422131号に示されており、それら梁は、特に、直径が3m以上の塔用の大きなトレイに必要とされている。少なくとも1つの支持梁がトレイを横切り、それによって、一般に、質量交換領域が減らされる。したがって、ダウンカマーに取られる領域に加えてトレイの一部分が質量交換に使用できなくなる。その結果、トレイの能力が低下する。トレイの能力は、塔による最大処理量点として定義することができる。処理量は、所与の液体負荷での最大許容気体速度によって制限される。気体は、質量交換領域およびトレイ上の液体を通過しなければならないが、気体の通過に利用可能な自由領域が減少すれば速度は大幅に増加する。速度が増加すると、気体の流れにより気体と共に液滴が上方へ運び去られる流れ方を指す飛沫同伴が増加し、その結果、第1の事象として低密度の高さが増加した泡が生ずるが、第2の事象としてチャネリング作用、不均衡分布、および質量交換効率の低下が生じる。作動中、飛沫同伴によって上方へ運ばれた液体が塔内に蓄積され、その結果、下方へ流れて最後に排出されることが阻止されるので、最終的に塔が液体で充満する。理論的には、質量交換状態は、これにより変化して、最終段階では、バブル塔の質量交換状態に類似した状態になる。この筋書の下では、気体の泡が、塔を充満した液体の中を上昇する。そのような状態下では質量交換に利用可能な有効気体-液体界面は大幅に減少する。大きな圧力降下、大量の液体滞留、および低い質量交換度のために、蒸留の実施中にこの状態に近付けることは決してしない。
【0008】
全ての前述の例に示されるように、たとえば3mを超える大きな塔直径では、トレイが、それ自体の重量により、また作動中トレイを覆う液相から生じる液体荷重の結果として撓むので、トレイの支持梁が必要になる。したがって、トレイの撓みは、通常、トレイ製造業者に対するトレイ仕様書で規定されている。標準的仕様によれば、作動荷重下でのトレイアセンブリの撓みは、塔の内径の通常1/800までに抑えなければならない。トレイアセンブリは、それ自体の重量に加えて、トレイ上の任意のトラスに加えられる通常1000Nの集中荷重を、周囲温度において、支持することができなければならない。この条件下で許容される最大応力は、周囲温度における降伏応力の通常67%である。
【0009】
英国特許出願第1422131号で提案された支持梁は、従来の弦型ダウンカマー設計に関連する好ましい解決法である。弦型ダウンカマーは、特に、大きな塔直径と組み合わせて使用するとき、支持梁によって支持される。しかし、英国特許出願第1422131号は、高い能力を達成するのに役立つことが分かった、ダウンカマーの特殊な多重ダウンカマー配置を扱っている。従来の弦型ダウンカマートレイとは異なって、英国特許出願第1422131号によるダウンカマーは、トレイの一方の縁から他方の縁まで延在することはない。それらは、トレイの中心線の少し手前で終端し、したがって、3列のダウンカマーを形成する。2列または4列以上のそのような列による設計も可能である。同じトレイの隣接する列同士のダウンカマーは互い違いに配置されている。そのダウンカマーは、一方の側で支持リングによって支持され得、2列の設計の場合は中心線位置にくる他方の側では、支持梁が必須である。そのような従来の支持梁は、ダウンカマーの向きに垂直なトレイの弦長に沿って端から端まで延在し、環状リングおよび/または塔壁に取り付けられている。ダウンカマーは、側面を、すなわちその幅に沿って、支持梁または環状リングに取り付けられている。特に直径が3mを超える塔に関しては、ダウンカマーの列は、質量交換領域の複数の部分に続く複数のダウンカマーから構成されている。直径が小さい塔に関しては、列は、質量交換領域の複数部分に隣接する少なくとも1つのダウンカマーから構成されている。列の方向に覗き込むと、ダウンカマーは、質量交換領域の一部分に続いている。各列に垂直な方向に覗き込むと、ダウンカマーは、塔壁の隣のダウンカマーを除いて、やはり質量交換領域の一部分に続いている。したがって、隣接する列のダウンカマーは、互い違いに配置されている。トレイに関する平坦度の要件を満たすためには、各隣接する列のダウンカマーのこうした互い違いの配置は、今までは、英国特許出願第1422131号に示されるようにダウンカマーの側面が支持梁に取り付けられる状態下でのみ可能であった。
【0010】
トレイの設計における主要な焦点は、材料費を低く保ち、塔内部の重量を可能な限り低く抑えるために、常に、可能な限り経済的に板材を使うようにすることであった。これが、今まで最優秀事例と見なせる支持梁を使用してきた理由である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5702647号
【特許文献2】英国特許出願第1422131号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、質量交換領域を増加させた多重ダウンカマー高能力トレイを提供することである。予想に反して、質量交換パネルおよび延在要素に関してより多くの材料を必要とする解決法が、より経済的な解決法である結果となった。たとえ、より多くの材料が質量交換パネルおよび延在要素の構築に消費されても、これは、直径が大きい塔の場合に、独立した支持梁が無くなり、または支持梁の数が減らされることによって相殺される。
【0013】
本発明の別の目的は、特に直径が大きい塔に対して、重量を軽減した支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
簡潔に言うと、本発明の目的は、ダウンカマーがトレイ面の撓みを許容限界内に収める支持構造の一部分である多重ダウンカマー高能力トレイを提供することである。
【0015】
質量交換塔用の多重ダウンカマートレイは、質量交換領域と、トレイから流体を収集し排出する複数のダウンカマーとを備えている。ダウンカマーのそれぞれが流体を流すための各チャネルが、前記チャネルが1対の側方側壁、および前記側方側壁を連結する端壁によって画成され、各ダウンカマーの端壁が延在要素に取り付けられている。ダウンカマーおよび延在要素が一体となって第1の塔壁支持手段から第2の塔壁支持手段まで延在する。使用時に、重い方の液体を含む流体は前記塔を下降し、かつ気体または軽い方の液体は前記塔を上昇する。別の利点として、独立した支持梁を無くすことができる。
【0016】
好ましくは、前記複数のダウンカマーの第1のダウンカマーが、前記複数のダウンカマーの第2のダウンカマーに平行な向きに配置され、特に、少なくとも4つのダウンカマーがトレイ上に配置されている。有利には、延在要素が質量交換領域の一部分として構成され、それにより、トレイ面の質量交換領域の部分を増加させる。
【0017】
好ましい実施形態では、延在要素は、パネル本体、および非独立様式で前記パネル本体に取り付けられた少なくとも一つの脚部から構成される。パネル本体は、質量交換領域のパネルの延在要素への連結を容易にするために、質量交換領域に対して嵩上げされてもよく、質量交換領域に対して凹設されてもよい。
【0018】
脚部が、質量交換領域に対して本質的に下方向に延出し、足が、安定性を増すために、前記脚部に対してある角度で配置されている。
【0019】
パネル本体は、有利な実施形態では、少なくとも1つの隆起部と、前記隆起部から前記脚部まで延在する少なくとも1つの傾斜面とを備え得、それにより、液体の流れが、延在要素に隣接する質量交換領域の上へより迅速かつ均等に分割される。
【0020】
本発明の実施形態は、トレイの直径が少なくとも3mである場合に、特に有利である。
【0021】
複数のダウンカマーが複数の列に配置され、各列内では、隣接するダウンカマーの側方側壁が互いに向かい合い、隣の列同士のダウンカマーは互い違いになるように配置されている。
【0022】
検査および整備のために下のトレイへ接近することができるようにするために、人道が質量交換領域内に設けられている。有利には、人が、トレイの隣接する部分領域間を移動することができるようにするために、ダウンカマーは、取外し可能な飛越え防止バッフルを備える。この飛越え防止バッフルは、両側壁からの液体の流れをダウンカマー内に導き、案内し、上昇する気体の流れによる飛沫同伴を増加させ得る飛沫を防止するために、通常設けられる。
【0023】
ダウンカマーおよび/または延在要素にはプレストレスを加えることができる。その代わりに、またはそれに加えて、ダウンカマーおよび/または延在要素は、補強手段を有し得る。少なくとも1つのダウンカマーが切頭型ダウンカマーであり得る。質量交換領域が相互に連結され、それにより、トレイ上の流体流れの均衡化が可能になる。
【0024】
トレイは、熱および質量交換塔内に配置するのに特に有利である。
【0025】
本発明のこれらおよび他の目的が、添付図面に即して行われる以下の詳細な説明からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1a】支持バッフルを有する多重ダウンカマートレイに関する従来技術の解決法の図である。
【図1b】従来技術による多重ダウンカマートレイの別の例の図である。
【図1c】従来技術による弦型ダウンカマーを有する従来のトレイの上面図である。
【図1d】図1cの断面A-Aによる、トレイの側方断面図である。
【図1e】図1cの断面A-Aによる、トレイの側方断面図である。
【図1f】図1cの断面A-Aによる、トレイの側方断面図である。
【図2a】この発明の第1の実施形態によるトレイの斜視図である。
【図2b】図2aの断面B-Bによる、図2aのトレイの側方断面図である。
【図2c】この発明の第2の実施形態によるトレイの上面図である。
【図2d】この発明の第3の実施形態によるトレイの上面図である。
【図3a】図2aの断面C-Cによる、延在要素の第1の実施形態の図である。
【図3b】図3aの実施形態の上面図である。
【図3c】本発明の延在要素の第1の実施形態の変形形態の図である。
【図3d】切頭型ダウンカマーを有する、図3cの変形形態の図である。
【図4a】図2aの断面C-Cによる、延在要素の第2の実施形態の図である。
【図4b】図4aの実施形態の側面図である。
【図5】ダウンカマーを第3の実施形態による延在要素と組み合わせた図である。
【図6a】図2aの断面C-Cによる、延在要素の第4の実施形態の図である。
【図6b】図6aによる実施形態の側面図である。
【図7a】図2aの断面C-Cによる、延在要素の第5の実施形態の図である。
【図7b】図7aの第5の実施形態の変形形態の図である。
【図8a】図2aの断面C-Cによる、延在要素の第6の実施形態の図である。
【図8b】図8aの実施形態の側面図である。
【図9a】ダウンカマーの安定性を増加させる補強手段の斜視図である。
【図9b】ダウンカマーの安定性を増加させる第2の実施例の補強手段の斜視図である。
【図9c】ダウンカマーの安定性を増加させる第3の実施例の補強手段の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1aは、従来技術の第1の実施形態による多重ダウンカマートレイ101を示す。多重ダウンカマートレイ101は、トレイの弦長上に配置された複数のダウンカマー103を備える。ダウンカマー103は互いに平行に配置されている。第1のダウンカマーは第1の弦長上に配置されている。これら第1のダウンカマーは、前記第1の弦長に平行な第2の弦長上に配置された隣の第2のダウンカマーとはパネル104によって分離されている。パネル104は、トレイの質量交換領域、いわゆる作用領域を構成する。トレイ面上の液体は、パネル104に設けられた開口を通って上昇する蒸気と緊密に接触する。それぞれの弦長上の各ダウンカマー103は、中間ブリッジ部分105によって2つの部分に分割され得、塔壁107に向かって端から端へ延在する支持バッフル106と共に配置される。環状支持リング108が塔壁に取り付けられて、支持バッフルの支持を行う。
【0028】
図1bは、従来技術の第2の実施形態による多重ダウンカマートレイ201を示しており、複数列のダウンカマー203を示す。この実施形態のダウンカマー203は、塔を横切る1つまたは複数の梁205によって支持されている。ダウンカマー203は、これらの支持梁、および塔壁に取り付けられた環状リング208によって支持されている。隣の列のダウンカマーは、互い違いに配置されている。列中の各ダウンカマーは、質量交換領域の一部分に続いている。質量交換領域204は、ダウンカマー203同士の間またはダウンカマーと環状リング208との間の空いているスペースに配置されたパネルによって形成されている。パネルは、梁205によって、および可能な限り、ダウンカマー203の側壁(221、222)に設けられた支持手段(図示せず)によって、ならびに環状リング208によって支持されている。第1の側壁221および第2の側壁222から液体を受け入れる各ダウンカマーは、飛越え防止バッフル209を擁している。この飛越え防止バッフル209は、第1の側壁から入ってくる液体流と第2の側壁から入ってくる液体流とを分離し、液体を下のトレイに導くのを補助する。
【0029】
図1cは、従来の弦型ダウンカマートレイ301、例えば4パストレイを示す。この種の弦型配置のダウンカマー303、309、310は、トレイ断面を2つの部分に分割する線である弦線に沿ってトレイ断面を横切る。それらダウンカマーは、ダウンカマー303、309、310の弦線に垂直に配置された弦線上に配置された複数の梁305によって支持されている。トレイの最長の弦線はトレイの直径である。図1cには、そのような3つのダウンカマーが示されている。各ダウンカマーは、ダウンカマーを塔内に支持する環状リング308まで弦線に沿って延在する。環状リング308は、塔壁(図示せず)に取り付けられている。ダウンカマーのそれぞれは、弦線に垂直な横方向の延びである幅306、および、図1cの線A-Aに沿った断面である図1d、1e、1fのそれぞれに示される、トレイを含む平面に垂直な延びとして定義される高さ311を有して配置されている。
【0030】
弦型ダウンカマー配置を有するトレイ上のダウンカマーの配置は、質量交換領域304が、ダウンカマー、または、図1dに部分的に示されている上側のトレイのダウンカマーの下の領域である入口領域(312A、312B)によって互いに分離された複数の部分領域(304A、304B、304C、304D)に分割されるようになっている。部分領域(304A、304B)および入口領域(312A)は一流路になる。部分領域(304C、304D)および入口領域(312B)は別の流路になる。ただし図1cに示される弦型ダウンカマートレイでは、液体要素は、それぞれの流路を縁取るダウンカマーの出口堰(313A、313B、314A、314B)の間でのみ移動可能である。図1c、1d、1e、1fによるいずれの実施形態でも、他の流路との横断流は生じ得ない。したがって、この種の弦型ダウンカマー設計は、作動に際しトレイ上の液体の少なくとも一部分が異なる流路間で交換されることが期待され、それによって、トレイ面全体に亘ってより一様な質量交換状態を生じさせることが望まれる場合には、適切ではない。図1eおよび図1fは、異なる入口領域(312A、312B)の詳細図である。図1dの入口領域312Aは、第1および第2の側方入口堰(315A、315B)によって縁取られ、入口領域312Bは、第1および第2の側方堰(316A、316B)によって縁取られている。図1eは、入口領域(312A、312B)を縁取る堰が設けられていない実施形態を示す。入口領域(312A、312B)のそれぞれは、支持要素(317A、317B、318A、318B)によって支持されるパネルから形成されている。図1fは、入口領域に関して図1eと同様な構造を示すが、ただし、第1および第2の側方入口堰(315A、315B、316A、316B)がやはり設けられている。側方堰は、流体流れの特性に応じて取外し可能なように取り付けることができる。最上層のトレイからのダウンカマー319の排出開口は、側方堰(315A、315B、316A、316B)の高さより低い高さに終端し、それにより液体シールを形成することができる。液体シールでは、入口領域(312A、312B)全体が堰の高さまで液体で覆われ、最上層のトレイからのダウンカマーの側壁は液体中まで延びるようになされている。それによって、作動に際し、排出開口320が液体中に浸漬されているので、上昇する気体が排出開口320を通ってダウンカマーに入り込むことが防止される。図1fによるこの実施形態は、ダウンカマー319内の気相と液相との分離を良好に行うのに特に有利である。以下に説明する実施形態による多重ダウンカマートレイの多重ダウンカマーの配置はそれらとは異なり、質量交換領域の各部分の流路は、液体要素がその多重ダウンカマートレイの質量交換領域のどの部分にも原則的に移動することができるように連結されている。
【0031】
図2aは、一環状部分のみが示されている塔2(例えば質量交換塔)の中に配置された、本発明による多重ダウンカマートレイ1の図である。トレイ1は、この図面では部分的にのみ示されている質量交換領域4と、複数のダウンカマー3とを備える。ダウンカマーは、トレイ1から流体を収集しかつ排出するため、流体排出手段として作動する。ダウンカマーのそれぞれはチャネル9の形状をしており、これは、1対の側方側壁(21、22)ならびに前記側方側壁を連結する前端壁23および/または後端壁24によって画成されている(図2参照)。前記側壁、前端壁および/または後端壁の上縁は上側稜部25を形成し、前記側壁、前端壁および/または後端壁の下縁は下側稜部26を形成し、上側稜部25(出口堰と考えてよい)は流体が前記チャネル9に入る開口を画定し、下側稜部26は、流体が前記チャネル9から出る開口を画成し、または流体が前記チャネル9から出る開口(図2bに示す)を有するダウンカマー床のための取付手段を形成する。
【0032】
飛越え防止バッフル(図示せず)を図1bに示した配置と同様に設けることができる。各ダウンカマーの前端壁および後端壁(23、24)の少なくとも1つが延在要素5に取り付け可能であり、これは、ダウンカマー3から長手方向に延在している。ダウンカマー3および延在要素5は一体となって、第1の塔壁支持手段6から第2の塔壁支持手段7まで延在する。塔壁支持手段6および塔壁支持手段7は、延在要素5の一部でもよく、またはダウンカマー3の端壁24に取り付けてもよい。
【0033】
図2aおよび図2bを参照すると、環状リング8は、塔2の壁の内側に固定されており、かつ各ダウンカマー3は、環状リング8に配置された後端壁24における周辺フランジ(壁支持手段)6を有している。さらに、周辺フランジ6は、質量交換領域4のパネルのための単体支持構造を収容するために、各側壁21、22に沿って延在している。延在要素5は、環状リング8に設けられた端部(壁支持手段)7と、屈曲した取り付け手段によってダウンカマー3の前壁23に固定された対向する端部を有している。図2bを参照すると、ダウンカマー3および延在要素5は、構造ビームと同様の構造ユニットを形成するが、この構造ビームは、環状リング8における端部を位置させるための塔2にわたって弦材によって延在し、かつ質量交換領域4のパネルのための単一支持構造として機能するものである。
【0034】
したがって、ダウンカマー3および延在要素5は一体になって、補強形材の役割を果たす。さらに、特に上記に概説したダウンカマー3と延在要素5との組合せが直径の大きい塔に用いられるとき、さらに補強するために、延在要素およびダウンカマー3から構成される補強形材と組み合わせて、梁を設けることができる。一般に塔の直径が3m以上を指すが、そのような塔に対しては、複数の列のダウンカマー3を設けることができる。
【0035】
図2cは、2列のダウンカマー3を示す。各列では、ダウンカマー3と延在要素5とが交互の順序で続いている。図2cでは、第1および第2のダウンカマーの列が水平方向に示されている。隣接する列のダウンカマーは、各列がダウンカマーと延在要素が交互の順序であることを特徴とするので、互い違いの配置に置かれている。ダウンカマーまたは延在要素によって覆われていないスペースは、いずれも質量交換領域4の一部分である。
【0036】
図2cや2dに示される、そのような互い違いの配置に構成されたダウンカマーを有するトレイは、トレイ上の液体を一様に収集し、その下に配置されたトレイに移送するために収集する。下のトレイ上に一様な液体の分布を達成するために、ダウンカマーは互いに平行に配置されることが好ましい。すなわち、液体がトレイ面上を移動する必要がある平均距離がほぼ等しいので、各ダウンカマーはほぼ同じ量の液体を受け入れ、それにより、トレイ面上での液体の分布を一様にし、下のトレイへ一様に排出することができる。全ての質量交換領域4は相互に連結され、それにより、トレイ上の流体流れの均衡化が可能になる。それによって、弦型ダウンカマー設計に比較して、堅牢な設計が達成され、トレイは不均衡分布作用をより受け難くなる。
【0037】
図2dは、3列のダウンカマー3を有する配置を示す。この実施形態では、中央列について示されるように、ダウンカマー3が2つの延在要素5に取り付けられ得ることをさらに示す。質量交換領域4は、その最も簡単な形態では、ダウンカマーと延在要素との間の空き領域に配置された、穿孔を有するパネルまたはパネルの組合せである。さらに、質量交換領域4のパネルは、列の幅全体に亘って延在するか、または中央列に関してさらに分割されているかのいずれかであることが示されている。
【0038】
図2aでは、パネルの支持構造ならびにダウンカマー3および延在要素5の支持構造をより可視化するために、質量交換領域の一部分は示されていない。ダウンカマーの長さおよび数は、液体の必要処理量に従って変化し得る。ダウンカマーに関しては必要ない補強形材のスペースは、いずれも延在要素によって覆うことができる。延在要素に、気体を通過させることができる開口を設け、それにより質量交換領域を補助することができる。
【0039】
質量交換領域4のパネルは、取外し可能に支持構造に取り付けられている。したがって、中央列のパネルは、下に配置されたトレイに接近するために容易に持上げることができる。中央列のパネルを持上げ、それらを最上列または最下列(図面に示される位置)のパネル上に載せることによって、またはある軸周りにパネルを枢動させもしくはそれらを折りたたむことによって、人道(人のための通路)が設けられる。そのような配置は、特に大きい塔直径にとって有利である。人道の数および配置は、建造費用に影響するだけではなく、運転費用および修理点検費用にも影響する。したがって人道の数は、最低限に抑えられるべきである。図2a〜2dのいずれによる多重ダウンカマートレイを用いても、人道の数を減少させることが可能になる。ダウンカマーの列当たり唯1つだけの人道が必要とされる。ダウンカマーに飛越え防止バッフルが備え付けられている場合には、これら飛越え防止バッフルは、移動可能または取外し可能にダウンカマーに取り付けられていることが好ましい。このように、本発明のさらに別の利点が明らかになる。例示的に図1aおよび1bに示された従来技術は、図1aでは支持バッフル、図1bでは梁である支持構造を有し、それにより、トレイへの接近性がその一部分のみに制限される。それは、図1aによる実施形態では、2つの隣接するバッフル間の部分にのみ接近可能であり得るので、多数の人道を設ける必要があり、それが図1aによる構造にある種の複雑さを加えることになることを意味する。
【0040】
本発明によれば、延在要素の下に通路が設けられ、その結果、上側のトレイに唯1つの人道を設けることによって、その下に配置されたトレイがその全面に亘って接近可能になる。延在要素の下の通路は、延在要素が小さな高さしか有さないことにより可能になる。したがって、延在要素と下に配置された隣接トレイとのその間隔が、トレイを修理点検し、または洗浄するために接近することを可能にする。
【0041】
本発明の別の利点は、塔の作動中の変更、たとえば気体と液体の比率や温度プロフィールなどの変更に従って異なる長さのダウンカマーが使用される場合、構成を容易に変更することができることである。そのような場合に必要な変更は、延在要素を適切な長さに切り、または延在要素をより長い延在要素によって置き換えること、ならびにダウンカマーの交換のみである。したがって、本発明による補強形材は、使用中のトレイの柔軟性を増す。
【0042】
ダウンカマー3と延在要素5の共通の軸は、塔断面の弦長である。上記と同様に定義される全ての軸は、図2a〜dに示されるトレイ配置では互いに平行である。たとえば図1aに示されるように、隣接するトレイの弦長によって形成される軸は、やはり互いに平行であるが、それらは必ずしも上側のトレイの対応する軸の直下には配置されず、前記軸に対して互い違いになっている。この互い違いの配置は、上側のダウンカマーから排出された液体が質量交換領域に達し、下のダウンカマー中に直接通過することはないという利点を有する。下のダウンカマー中に直接通過すると、液体と気体の流れの流路を分けることになり、それによって、上昇する気体相と下降する液体相との接触が大幅に減少し、その結果、質量交換を最適量以下に減少させる。弦長によって形成される軸のこの互い違いの配置の代わりに、隣接するトレイのダウンカマーと延在要素との組合せ同士を、互いにある角度で、特に、十字形配置に配置することができる(図示せず)。
【0043】
図3aおよび図3bは、延在要素の第1の実施形態を図2aの断面C-Cにより示す。図3aには、穿孔パネル12などの質量交換領域の一部分が示されている。図3bは、延在要素5および穿孔パネル12の一部分を上から見た図である。延在要素5は好ましくは開口形状として成形され、その形状はその製造に必要な材料を最小限に抑えながら最適な安定性を実現する。延在要素5もまた、パネル本体16に穿孔13を有し得る。これによって、本発明のさらに別の利点が明らかになる。延在要素5は、ほぼ全体を質量交換領域として使用することができ、上昇気相が穿孔13を通過する。そのようなトレイは、塔の断面面積全体からダウンカマー3によって覆われる面積および塔壁取付手段6、7によって覆われる面積を引いた面積が、質量交換領域として使用可能であるので、能力が増加する。この実施形態の延在要素5は、平坦なパネル本体16および足15に終端し得る一対の非独立的な側方脚部(depending lateral leg)14から構成され、足15は、延在要素にさらに安定性をもたらすために前記脚部14に対して傾斜させることができる。
【0044】
図3cは、図3aおよび3bに示された実施形態の変形形態を示す。この変形形態では、パネル本体16は、穿孔パネル12を受け入れる側方凹部28を有する。この実施形態は、穿孔パネル12上と延在要素5のパネル本体16上の液体高さが同じであるので有利である。すなわち、穿孔パネル12上とパネル本体16上の質量交換の状態はほぼ同一または同等である。
【0045】
図3dは、切頭型ダウンカマー29を備える、図3cの変形形態を示す。この場合、パネル本体16は、ウィーピング現象を回避するために、本質的には穿孔を有さない。しかし、切頭型ダウンカマーは、下方の入口領域の穿孔と組み合わせ、それにより作用領域を増加させることができる。
【0046】
切頭型ダウンカマーとは逆に、非切頭型または従来のダウンカマーは、出口堰の上側稜部より下の高さまで降りている。その結果、泡のレベルは、通常、ダウンカマーの排出開口より高く、排出開口は液体中に延びている。それによって、ダウンカマー3を通って気体が上方に流れるのを防止し、同時に、ダウンカマー排出開口が確実に決して干上がらないようにする液体シールが形成される。それに関し、排出開口の寸法取りは、ダウンカマー内の液体の滞留に影響し、その結果、トレイの能力に影響する。
【0047】
図4aおよび図4bは、延在要素5の第2の実施形態を図2aの断面C-Cにより示す。第2の実施形態は、延在要素が穿孔パネル12の表面に対して嵩上げした位置に取り付けられている点のみが前述の実施形態と異なる。パネル本体16ならびに脚部14の一部分17が穿孔パネル12の高さより上に延出している。脚部14の一部分17は、穿孔パネル12上の液体より密度が低い気体または液体がそこを通り抜けることができる開口18を有し得る。前記穿孔パネル12に対して接線方向のその流れは、穿孔パネル12上の液体が直近のダウンカマー3の方向に進む助けになり得る(図2a〜2d参照)。
【0048】
図4aまたは図4bによる実施形態の多重ダウンカマートレイのような多重ダウンカマートレイは、通常切頭型ダウンカマーを使用する。そのような切頭型ダウンカマーの下端は、シールプレートを備えており、かつ下のトレイの隣接するダウンカマーの上部に配置された出口堰の上端の高さよりも高い位置に配置される。
【0049】
図5は、延在要素の第3の実施形態を図2aの断面C-Cにより示す。非切頭型ダウンカマーと通常組み合わされるこの実施形態では、パネル本体16の高さは、作用領域である穿孔パネル12の高さより低い。そのような配置は、ダウンカマーの全高を増加させることによってダウンカマーの容積を増加させるために用いることができる。全高を増加させることによって、ダウンカマー中での滞留時間が増加するので、気相と液相との分離が一般に改善される。さらに、パネル本体16は、ダウンカマーに向かって傾斜を付けて、液体が下のトレイに流れるのを助けることができる。
【0050】
図6aおよび図6bは、延在要素の第4の実施形態を図2aの断面C-Cにより示す。この実施形態は、パネル本体16が少なくとも1つの隆起部19を備える点のみが図4aと異なっている。隆起部19から穿孔パネル12の高さまで延在するパネル本体16の表面は、傾斜しており、図6bに示す開口20を有し得る。この実施形態は、泡助成装置として特に有用である。
【0051】
図7aおよび7bは、延在要素の第5の実施形態を図2aの断面C-Cにより示す。この実施形態は、パネル本体16に平坦な部分がない点で図6aとは異なっている。中央の隆起部19は、図7aに示される延在要素が属するトレイの上に配置されたトレイのダウンカマーから達する液体の流れを分割し導くために設けられている。さらに、屈曲した支持要素27は、その質量交換領域のパネル12を収容するために各非独立的な脚部に沿って固定されている。
【0052】
図7bは、単に、延在要素5上の、パネル12の支持部の小変更を示している。この解決法は、延在要素を単一の材片から製造することができ、図7aに関して、支持要素27を組み付ける必要がないという利点を有する。
【0053】
図8aおよび図8bは、延在要素5の第6の実施形態を図2aの断面C-Cにより示す。この場合の延在要素55は閉形状として成形され、その形状はその製造に必要な材料を最小限に抑えながらさらに良好な安定性を実現する。延在要素5は、やはり、パネル本体16に穿孔13を有し、それによって図3a〜3cによる実施形態と同じ利点を実現することができる。この実施形態の延在要素5は、平坦なパネル本体16および側方脚部14から構成され、側方脚部14は、塔の軸に対応する垂直方向に対して傾いている。脚部14は、延在要素にさらに安定性をもたらすために互いに結合された足15に終端させることができる。この変形形態では、パネル本体16は、穿孔パネル12を受け入れる側方凹部28を有する。この実施形態は、穿孔パネル12上と延在要素5のパネル本体16上の液体高さが同じであるので有利である。すなわち、穿孔パネル12上とパネル本体16上の質量交換の状態はほぼ同一または同等である。パネル本体16が穿孔13を有する場合には、さらに別の開口29を設けて、下に配置されたトレイから来る気体がその開口29を通って穿孔13に確実に到達することができるようにする必要がある。特別な穿孔、スリット、または他のタイプの開口を、飛沫同伴した液体を排出することができるように、足15または脚部14に設けてもよい。別法として、脚部14を直接接合してもよく、その結果足が必要なくなる。あるいは、延在要素5は、単一の板材片を凹ませて形成してもよい。
【0054】
穿孔パネル12の代わりに、シーブトレイでは典型的だが、バルブトレイ、固定バルブトレイなどが使用され得る。したがって、用語「穿孔パネル12」は、前文で述べたいずれの装置とでも置き換えることができる。穿孔パネル12と延在要素5との機械的連結は、図3〜8に示されたものに限定されずに様々な方法を用いて実施することができる。
【0055】
同じ参照符号が同じ上記部材を示すようになっている図9a、9b、9cには、特に撓みおよび/または座屈に対してダウンカマー3の安定性を増加させる補強手段を示す。図9aは、飛越え防止バッフル30を備えるダウンカマー3を示す。飛越え防止バッフル30は、端壁(23、24)でダウンカマー3に連結されている。さらに、飛越え防止バッフルを側壁(21、22)に連結する補強手段31が設けられている。この実施形態では、補強手段はパネル30の形状を取るが、棒材、形材、管材、およびその他の薄肉構造が同様に適合する。
【0056】
図9bは、ダウンカマー3の側壁(21、22)と一体になった、補強手段31の別の変形形態を示す。補強手段31は、各側壁における溝の形状を有する。
【0057】
図9cは、少なくとも1つの側壁(21、22)の上側稜部25から延出するフラップの形状をした、別のタイプの補強手段31を示す。図9a、9b、または9cに示されたいずれの変形形態も互いに組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 多重ダウンカマートレイ
2 塔
3 ダウンカマー
4 質量交換領域
5 延在要素
6 塔壁支持手段
7 塔壁支持手段
8 環状リング
9 チャネル
12 穿孔パネル
13 穿孔
14 脚部
15 足
16 パネル本体
17 脚部の一部分
18 開口
19 隆起部
20 開口
21 側方側壁
22 側方側壁
23 前端壁
24 後端壁
25 上側稜部
26 下側稜部
27 支持要素
28 側方凹部
29 切頭型ダウンカマー
29 開口
30 飛越え防止バッフル
31 補強手段
101 多重ダウンカマートレイ
103 ダウンカマー
104 パネル
105 中間ブリッジ部分
106 支持バッフル
107 塔壁
108 環状支持リング
201 多重ダウンカマートレイ
203 ダウンカマー
204 質量交換領域
205 梁
208 環状リング
209 飛越え防止バッフル
221 第1の側壁
222 第2の側壁
301 弦型ダウンカマートレイ
303 ダウンカマー
304 質量交換領域
304A 部分領域
304B 部分領域
304C 部分領域
304D 部分領域
305 梁
306 幅
308 環状リング
309 ダウンカマー
310 ダウンカマー
311 高さ
312A 入口領域
312B 入口領域
313A 出口堰
313B 出口堰
314A 出口堰
314B 出口堰
315A 側方入口堰
315B 側方入口堰
316A 側方入口堰
316B 側方入口堰
317A 支持要素
317B 支持要素
318A 支持要素
318B 支持要素
319 ダウンカマー
320 排出開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量交換塔(2)用の多重ダウンカマートレイ(1)であって、質量交換領域(4)と、前記質量交換領域(4)から流体を収集し排出する複数のダウンカマー(3)とを備え、前記ダウンカマー(3)のそれぞれが流体を流すためのチャネル(9)として成形され、前記チャネル(9)が1対の側方側壁(21、22)、および前記側方側壁(21、22)を連結する端壁(23、24)によって画成され、各ダウンカマーの前記端壁(23、24)が延在要素(5)に取り付けられ、ダウンカマー(3)および延在要素(5)が一体となって第1の塔壁支持手段(6)から第2の塔壁支持手段(7)まで延在しており、各前記延在要素(5)が、単一支持構造を形成するよう、前記ダウンカマー(3)のそれぞれの端壁(23)に対して固定されており、かつそれから延在していることを特徴とする多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項2】
前記延在要素(5)が、パネル本体(16)と、前記パネル本体(16)に取り付けられた少なくとも一つの非独立的な脚部(14)とを具備してなる、請求項1に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項3】
前記複数のダウンカマーの第1のダウンカマーが、前記複数のダウンカマーの第2のダウンカマーに平行な向きに配置されている、請求項1または2に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項4】
前記トレイに少なくとも4つのダウンカマーが配置されている、請求項3に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項5】
前記延在要素(5)が前記質量交換領域の一部分として構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項6】
前記パネル本体(16)が前記質量交換領域(4)に対して嵩上げされている、請求項1から5のいずれか一項に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項7】
前記パネル本体(16)が前記質量交換領域(4)に対して凹設されている、請求項6に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項8】
前記脚部(14)が、前記質量交換領域(4)に対して本質的に下方向に延出し、足(15)が前記脚部に対してある角度で配置されている、請求項6または7のいずれか一項に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項9】
前記パネル本体(16)が、少なくとも1つの隆起部(19)と、前記隆起部から前記脚部まで延在する少なくとも1つの傾斜面とを備える、請求項6から8のいずれか一項に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項10】
前記トレイの直径が少なくとも3mである、請求項1から9のいずれか一項に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項11】
前記複数のダウンカマーが複数の列に配置され、各列内では、隣接するダウンカマーの前記側方側壁が互いに向かい合い、隣の列同士のダウンカマーは互い違いになるように配置されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項12】
人道が前記質量交換領域内に設けられている、請求項11に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項13】
ダウンカマーが、移動可能なバッフルを備え、それにより、人が、隣接するトレイ間を移動することを可能にする、請求項12に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項14】
前記ダウンカマー(3)および/または前記延在要素(5)にプレストレスが加えられている、請求項1から13のいずれか一項に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項15】
前記ダウンカマー(3)および/または前記延在要素(5)が補強手段(31)を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項16】
少なくとも1つの前記ダウンカマー(3)が切頭型ダウンカマーである、請求項1から15のいずれか一項に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項17】
前記質量交換領域(4)が相互に連結され、それにより、前記トレイ上の流体流れの均衡化が可能になる、請求項1から16のいずれか一項に記載の多重ダウンカマートレイ(1)。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の多重ダウンカマートレイ(1)を備える質量および熱交換塔(2)。
【請求項19】
蒸留、吸収、または抽出を用いて、流体混合物をその成分または成分の混合物に分離する熱的分離プロセスのための、請求項18に記載の塔の使用法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図1e】
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【図1f】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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