説明

夜間電力を利用し発生源毎に塵芥を分解処理する方法

【課題】塵芥を個別の発生源毎に処理する無公害の処理方式であり、また夜間(深夜)電力を利用することにより、公害防止、温暖化対策などの環境保全に対して良好な塵芥処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】発生する塵芥を発生源で分解処理するにあたり、高温過熱蒸気による分解処理装置の熱源を夜間電力を利用して行うことを特徴とする発生源毎に塵芥を分解処理する方法、塵芥の存在と夜間電力の供給が確認されたとき、自動的に作動することを特徴とする前記記載の高温過熱蒸気による分解処理装置、発生する塵芥を発生源で分解処理するにあたり、高温過熱蒸気による分解処理装置を、無機質系材の発泡体で構成することを特徴とする発生源毎に塵芥を分解処理する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、夜間(深夜)電力を利用し、塵芥の発生源において、その塵芥を分解処理する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般家庭、事業所、店舗などにおいて発生する塵芥、いわゆる「ごみ」は、現在の処理法としては、通常、一個所に集め、時間を限って集収し、ごみ処理場に運び焼却または埋立て処分され、廃棄されているのが現状であるが、それは多大な労力、費用を要するとともに、燃焼による排出ガスの環境汚染、温暖化、また埋立て場の不足、限界などの問題を惹起している。ここで塵芥の処理として、このような収集することを避けて、発生する個所において、それが処分できることが好ましく、その際、環境汚染などを伴わず、安全にまた経済的に解決されることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、塵芥を個別の発生源毎に処理すること、その際、無公害の処理方式であり、また夜間(深夜)電力を利用することにより、公害防止、温暖化対策などの環境保全に対して良好な塵芥処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
自動化、安全性、無公害、無騒音、小型化、無人化などの条件を備えた塵芥の分解処理装置を、塵芥の発生源、例えば一般の消費者宅、事業所、店舗などに備え、塵芥の発生に伴い、その装置中に随時塵芥を投入し、夜間(深夜)電力を用いて、分解処理することを特徴とする塵芥の処理法である。
【発明の効果】
【0005】
この発明は、従来、一般家庭、事業所、店舗などにおいて発生する塵芥、いわゆる「ごみ」が一個所に集められ、時間を限って収集し、ごみ処理場に運び焼却処分されていることにより多大な労力、費用を要するとともに、燃焼による排出ガスによって環境汚染、温暖化などの深刻な問題を惹起していることに対して、そのように塵芥を一々収集することなく、それを発生した個所において、随時、燃焼によらず分解処理による廃棄処分をすること、すなわち、その処理に当たっては安全、無公害で効率のよい分解処理装置を用い、熱源として夜間(深夜)電力を利用して行うことにより、利用者側においては夜間電力特有の廉価な電力を利用することによって経済的であり、電力の供給側においては夜間の発電の効率のよい発電設備による電気を供給することができることとなる。またこの発明は燃焼法ではなく、無(低)酸素下における熱分解処理法であることによって、環境汚染が殆ど無く、それに使用する分解処理装置は安全性、無騒音、軽量、小型化可能、無人化などの好条件を備え、取扱いに便利であるなどの数多の長所を持つ塵芥処理法となる。
【発明の開示】

【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
発生する塵芥を集収することなく、発生源で分解処理するにあたり、高温過熱蒸気による分解処理装置の熱源を夜間(深夜)電力を利用して行うことを特徴とする発生源毎に塵芥を分解処理する方法、無機質系材の発泡体で構成することを特徴とする前記記載の発生源毎に塵芥を分解処理する方法における分解処理装置の構成である。
【実施例1】
【0007】
図1に示すのはこの発明における分解処理装置(A)の一例で、そこで使用する無機質系発泡体(比重約0.1g/cm程度)からなる分解炭化槽(1)は、その主体は無機質系発泡体の断熱材(D)で構成されている。その内部にアルミニウム薄板(a)を配置し、加熱用のヒーター(h)が内壁に沿って設けられている。全体の大きさとしては一例として、高さ400mm、幅500×500mm、厚さ30mm程度の立方体形である。この中に後述の発生源で発生する塵芥[被分解物](G)を随時投入するようになる。そして一定量の塵芥投入の確認と夜間(深夜)電力の供給を確認した後、自動的に処理を行うこととなる。ここで前述の分解炭化槽(1)および後述の分解炭化槽(1’)において、無機質系発泡体の断熱材(D)を使用する所以は、一般にごみ処理において熱分解によって有機ガスなどが発生するので、万一、酸素が混在した場合には爆発などの危険が生じるが、その処理槽が金属板などで構成される構造では非常に大きなエネルギーの爆発も起こり得る。このような万一の場合、この発明の無機質系発泡体の断熱材(D)からなる分解炭化槽(1),(1’)は、圧力の上昇前に破壊が起こるので安全であり、もちろん熱に対しても充分に耐熱性、不燃性を持つものである。そして構成材としての強度を有し、また軽量である。
【0008】
図2に示すのはこの発明の分解処理装置(A)の分解処理法の一連の構成と操作を示す図で、前記の分解炭化槽(1)の一方には蒸気発生器(2)が配置され、給水管(3)より水を供給し、内部に配置したヒーター(h’)によって蒸気を発生させ、その蒸気は蒸気管(4)によって蒸気加熱器(5)に送られ、ここで常圧に近い微圧で400〜500度Cまで昇温され過熱蒸気となる。このようにして加熱された高温過熱蒸気は蒸気管(4’)から圧力調節弁(v)を経て、高温蒸気入口(6)より分解炭化槽(1)に送られる。
【0009】
分解炭化槽(1)内は密閉され、送られた高温過熱蒸気が充満し、空気(酸素)は殆ど無い状態となる。予め適宜の投入口より投入された塵芥(G)は、送られた高温過熱蒸気とさらに内部におけるヒーター(h)の加熱により、高温分解処理され、有機物は原形が消滅し、残査は少量の炭化物となり適宜、取り出され、またその際、発生する分解ガスは、蒸気とともに一方に設けた分解ガス・蒸気出口(7)より、排出管(4a)を通り、圧力調節弁(v’)を経て冷却器(8)に送られ、冷却処理後の微量のガス体成分はガス出口(9)より燃焼器を通じて焼却後、放出され、一方、液体成分は液出口(10)より取り出される。このような燃焼器は冷却器(8)の前段に設けてもよい。
【実施例2】
【0010】
図3は分解炭化槽(1’)内に、給水管(3)を直接入れ、蒸気発生部となるヒーター(h’)と加熱板(b)を内部に設けたものである。図中、実施例1と同一符号は同一機構などを示す。
【0011】
実施例1、実施例2ともその処理の終了は、タイマー、あるいは最終段階にガス検知器を配置することにより自動的に管理する。
【0012】
ここで前記の分解炭化槽(1),(1’を形成する発泡体の構成として例示すると、ニトリルブタジエンゴムなどのエラストマー樹脂、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機質充填材に、イソシアネートを混合して得た混合物を、混練し、加圧、加熱して得られるコンパウンドに、水を浸透させるることにより、成分中のイソシアネートが加水分解し、炭酸ガス、窒素からなるガス体が発生して発泡現象が生じて前記コンパウンドが膨張し、成形された不燃性・難燃性を有する独立気泡の発泡体、あるいは無機質系充填材を主材とし、それに塩化ビニール樹脂、適宜の添加剤を加えて混練してコンパウンドを作成し、金型内において加熱発泡させて形成する発泡体などが好適である。
【0013】
このような分解炭化槽(1),(1’)を各家庭、事業所、店舗などに備え、そこで発生する塵芥は従来のように収集することなく、分解炭化槽(1),(1’)で分解処理することにより、塵芥を個別に発生源で消滅させる。
【0014】
この発明は、分解炭化槽(1),(1’)中の分解処理に必要な熱源として電気エネルギーを採用し、それをとくに夜間(深夜)電力を使用する。夜間(深夜)電力は昼間の電力に比べてその料金は格安であり、経済的である。そして塵芥の処理は夜間に行うことによって、なんら不都合はなく、その処理費用が夜間(深夜)電力の利用によって廉価となること、また昼間と違い消費電力の低い時間帯であるので、契約電力容量の変更(アップ)を招き難いことは、使用者にとってはまことに好都合である。一方、電気の供給側である電力会社では、夜間の発電の効率のよい発電設備による電気を供給することができる。
【0015】
電力会社は多数基の発電設備を持ち、それらは幾つかの発電方式があり、また経年的、設備順に老朽化したものや、新鋭の設備が混在しているのが現状であるが、昼間、とくに夏期における電力の最需要時にはそれら良好な設備のみの運転では需要を満たせず、低効率のものあるいは老朽化した設備までを動員して供給に応じており、老朽設備はいきおい効率が悪く、そのため全供給電力のコストの増大を招くとともに、公害物質の発生も多い。ところが夜間、深夜においては需要が著しく減少するので、新鋭設備のみによる効率のよい発電を供給することができる。このため発電コストも下げることができ、環境上も低公書(COなどの)の設備でまかなえるわけである。
【0016】
塵芥の処理は日常生活において不可欠であり、その処理は焼却によるものが多いが、燃料として石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料が主として当てられ、それは燃焼によるCOの発生、それによる大気汚染、地球温暖化などの問題となっている。ここでこれらの燃料の代わりとして電気エネルギーの利用があるが、仮に昼間において電気エネルギーを利用して塵芥の処理を行うとすれば、低公害の新鋭設備などばかりではまかなえず、結果として発電に多大の化石燃料を使うこととなり、公害の発生を増大させることとなる。夜間(深夜)電力の利用はこのような事情を総合するとき、利用の少ない夜間の電力を効率的に利用することであって、この発明の着目した点であり、塵芥の処理に当たり好適である。塵芥の処理に不可欠な手段として、このような夜間(深夜)電力を効果的に利用することを通じてエネルギー事情を配慮した上で、公害防止、温暖化防止の社会問題にも役立つこととなる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
前述のように、一般家庭、事業所などにおいて発生する塵芥が一個所に集められ、時間を限って収集し、ごみ処理場に運び焼却、廃棄処分されていることにより多大な労力、費用を要するとともに、燃焼による排出ガスによって環境汚染、温暖化などの深刻な問題を惹起しているが、この発明によれば塵芥を一々収集することなく、それを発生した個所において、随時、燃焼によらず分解処理による廃棄処分をすること、その処理に当たっては安全、無公害で効率のよい分解処理装置を用い、熱源として夜間(深夜)電力を利用して行うことにより、利用者側においては、夜間電力特有の廉価な電力を利用することによって経済的であり、電力の供給側においては、夜間の発電効率のよい電気を供給できることとなる。そしてこの発明は燃焼を伴わない熱分解処理法によって、環境汚染が無く、その分解処理装置が安全、無騒音、軽量、小型化、無人化が可能で、取り扱いに便利であることなど数多の長所を持つ塵芥処理法として利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の分解炭化槽の縦断面図。
【図2】この発明の分解処理装置とその行程を示す図。
【図3】この発明の分解処理装置の他の例を示す図。
【符号の説明】
【0019】
(1),(1’) 分解炭化槽
(2) 蒸気発生器
(3) 給水管
(4),(4’) 蒸気管
(4a) 排出管
(5) 蒸気加熱器
(6) 高温蒸気入口
(7) 分解ガス、蒸気出口
(8) 冷却器
(9) ガス出口
(10) 液出口
(A) 分解処理装置
(D) 断熱材
(G) 塵芥
(a) アルミニウム薄板
(b) 加熱板
(h),(h’) ヒーター
(v),(v’) 圧力調節弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生する塵芥を発生源で分解処理するにあたり、高温過熱蒸気による分解処理装置の熱源を夜間電力を利用して行うことを特徴とする発生源毎に塵芥を分解処理する方法。
【請求項2】
塵芥の存在と夜間電力の供給が確認されたとき、自動的に作動することを特徴とする請求項1記載の高温過熱蒸気による分解処理装置。
【請求項3】
発生する塵芥を発生源で分解処理するにあたり、高温過熱蒸気による分解処理装置を、無機質系材の発泡体で構成することを特徴とする発生源毎に塵芥を分解処理する方法。
【請求項4】
発泡体が、ニトリルブタジエンゴムなどのエラストマー樹脂、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機質充填材に、イソシアネートを混合して得た混合物を、混練し、加圧、加熱して得られるコンパウンドに、水を浸透させるることにより、成分中のイソシアネートが加水分解し、炭酸ガス、窒素からなるガス体が発生して発泡現象が生じて前記コンパウンドが膨張し、成形された不燃性・難燃性を有する独立気泡の発泡体からなることを特徴とする請求項3記載の分解処理装置。
【請求項5】
発泡体が、無機質系充填材を主材とし、それに塩化ビニール樹脂、適宜の添加剤などを加えて混練してコンパウンドを作成し、金型内において加熱発泡させて形成する発泡体からなることを特徴とする請求項3記載の分解処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−105715(P2007−105715A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328079(P2005−328079)
【出願日】平成17年10月15日(2005.10.15)
【出願人】(394015383)東洋オートメーション株式会社 (7)
【出願人】(305012197)
【Fターム(参考)】