説明

大型船舶用積込装置

【課題】岸壁上で迅速に移動し、複数の船倉に積込物を船舶の平衡を維持しつつ能率的に積み込む。
【解決手段】積込物を収容するホッパー、ホッパーの下部に配置され、積込物を中継コンベアに搬出するフィーダ、フィーダ搬出積込物を積込コンベアに搬送する中継コンベア、及び、中継コンベア搬送積込物を大型船舶の船倉に積み込む積込コンベアを備える積込装置において、(x)フィーダが、中央下部に、フィーダの高さを調整する高さ調整機構を有する自走・牽引機構を備えるとともに、中継コンベアに回動自在に連結され、(y)中継コンベアが、中央下部に、中継コンベアの高さを調整する高さ調整機構を有する自走・牽引機構を備えるとともに、積込コンベアに回動自在に連結され、(z)積込コンベアが、中継コンベアとの連結部に、積込コンベアの高さ、仰角又は俯角、及び、旋回角を調整する高さ・角度調整機構を有する回動自在の自走・牽引機構を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型船舶に、大量の水砕スラグ等の積込物を積み込む際に用いる積込装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高炉から排出される高炉スラグの有効利用を図ることは、省資源、省エネルギー等の観点から、極めて重要である。特に、溶融した高炉スラグに加圧冷却水を噴射して、急冷・細粒化した水砕スラグは、セメント用原料又は砂代替物として有効に利用されているが、その利用は、近年、国外においても増加している。
【0003】
水砕スラグを国外に輸出する場合、輸送コスト低減の観点から、大型船舶に積み込むが、その際、積込作業の能率をあげるため、積込装置には、(i)船舶に沿って移動可能であること、及び、(ii)積込み時、船幅方向の平衡を維持するため、船幅方向への進退が可能であることが求められる。
【0004】
従来、岸壁に接岸した船舶に、石炭、鉱石、水砕スラグ等の積込物を積み込む際、既設の門型クレーンや、移動可能なベルトコンベアが使用されているが、船舶が大型化するのに伴い、より能率的な積込みが求められる。
【0005】
例えば、水砕スラグを積み込む場合、大型ダンプ(30t級)が荷卸した水砕スラグを収容するパレットを、鉄鋼製品輸出専用門型クレーン(2次元的に移動可能)で、船上まで吊り上げ、船舶ハッチの位置でパレットを傾け、水砕スラグを投入する。しかし、この積込方式には、次の課題がある。
【0006】
(a)1回の積込量がダンプ1台分(30t級)であり、かつ、1回の積込時間(ダンプ荷卸し時間+門型クレーンの吊上時間)が10分弱であるので、積込能力は、250t/時間程度が限界である。
【0007】
(b)それ故、例えば、30000t級船舶への積込みは、無休で行っても、約5日を要することになり、これは、輸送コストの上昇を招くほか、製品出荷の積込みに影響を及ぼすことになる。
【0008】
門型クレーンに替わり、ベルトコンベアを用いる積込方式が、これまで、幾つか開示されている(例えば、特許文献1及び2、参照)。
【0009】
特許文献1には、走行自在な車体に、車長方向のベルトコンベヤ装置(始端の搬入部に受入ホッパーが設けられ、レベル変更自在な終端の排出部に、排出口が変更自在な排出装置が設けられている。)を設けた積込み用作業車両が開示されている。
【0010】
特許文献2には、固定式スロープ上に停止したダンプ車両から積込物を受入れる受入装置、受入れた積込物を船舶へ投入する自走可能な自走式投入装置、及び、受入れた積込物を自走式投入装置に搬送する複数の搬送装置を備えた船積み装置が開示されている。
【0011】
しかし、移動式のベルトコンベアシステムは、ベルトコンベアの大型化によって、本体重量(特に、ホッパー及びフィーダ)が過大となって、移動が簡易でなくなり、かえって、積込能率が低下する等の課題を有している。結局、これまで、大型船舶に、大量の水砕スラグを能率的に積み込むことができる積込装置は提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−327138号公報
【特許文献2】特開2005−112576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
大型船舶の複数の船倉に水砕スラグ等の積込物を積み込むために、積込装置は、岸壁上で、積込みに適した位置に移動する必要がある。積込作業の能率を高める一つの手法は、積込装置の移動時間(休止時間)を短縮することである。
【0014】
しかし、通常、大型船舶の船倉への積込位置は高いので、特許文献1開示の、ベルトコンベア装置を設けた積込用作業車両では、ベルトコンベアが長大となり、迅速に移動することが難しく、結局、ベルトコンベアの移動に長時間を要することになる。
【0015】
また、特許文献2開示の、固定式スロープに停止したダンプ車両から積込物を受入れる受入装置、受入れた積込物を船舶へ投入する自走可能な自走式投入装置、及び、受入れた積込物を自走式投入装置に搬送する複数の搬送装置を備えた船積み装置では、複数の船倉に積込物を投入するため、自走式投入装置を所定の位置に移動する度に、複数の搬送装置を、併せて移動させなければならず、結局、休止時間が長くなる。
【0016】
そこで、本発明は、岸壁上で、積込に適した位置に迅速に移動し、複数の船倉に、水砕スラグ等の積込物を、船舶の平衡を維持しつつ、能率的に積み込むことができる積込装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記目的を達成するため、積込装置が、積込みに適した位置に迅速に移動できる機構について鋭意検討した。本発明は、その結果なされたもので、要旨は、以下の通りである。
【0018】
(1)積込物を収容するホッパー、ホッパーの下部に配置され、積込物を中継コンベアに搬出するフィーダ、フィーダが搬出する積込物を積込コンベアに搬送する中継コンベア、及び、中継コンベアが搬送する積込物を大型船舶の船倉に積み込む積込コンベアを備える積込装置において、
(x)上記フィーダが、中央下部に、フィーダの高さを調整する高さ調整機構を有する自走・牽引機構を備えるとともに、中継コンベアに回動自在に連結され、
(y)上記中継コンベアが、中央下部に、中継コンベアの高さを調整する高さ調整機構を有する自走・牽引機構を備えるとともに、積込コンベアに回動自在に連結され、
(z)上記積込コンベアが、中継コンベアとの連結部に、積込コンベアの高さ、仰角又は俯角、及び、旋回角を調整する高さ・角度調整機構を有する回動自在の自走・牽引機構を備える
ことを特徴とする大型船舶用積込装置。
【0019】
(2)前記積込コンベアが、先端に、積込物の落下軌跡を調整するシュート機構を備えることを特徴とする前記(1)に記載の大型船舶用積込装置。
【0020】
(3)前記積込物が水砕スラグであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の大型船舶用積込装置。
【0021】
(4)前記積込コンベアが、中央部で折曲可能な構造を有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の大型船舶用積込装置。
【0022】
(5)前記自走・牽引機構が、車輪又は無端軌道輪を備えることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の大型船舶用積込装置。
【0023】
(6)前記自走・牽引機構が、高さ・角度調整機構の操作も可能な運転室を備えることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の大型船舶用積込装置。
【0024】
(7)前記ホッパーに隣接してダンプアプローチを配置することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の大型船舶用積込装置。
【0025】
(8)前記ホッパーの内部に、フィーダの回転方向に沿ってパイプを取り付けたことを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の大型船舶用積込装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明の積込装置は、岸壁上で、積込みに適した位置に迅速に移動できるので、水砕スラグ等の積込物を、接岸した大型船舶の船倉へ、船舶の平衡を維持しつつ、能率よく積み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一態様を示す図である。
【図2】ホッパーから積込物をフィーダで搬出する態様を示す図である。(a)は、通常の搬出態様を示し、(b)は、好ましい搬出態様を示す。
【図3】本発明の別の態様を示す図である。
【図4】積込位置の変化を示す図である。
【図5】シュート機構を示す図である。
【図6】別のシュート機構を示す図である。
【図7】さらに別のシュート機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の積込装置は、基本的には、(a)積込物を収容するホッパー、(b)ホッパーの下部に配置され、積込物を中継コンベアに搬出するフィーダ、(c)フィーダが搬出する積込物を積込コンベアに搬送する中継コンベア、及び、(d)中継コンベアが搬送する積込物を大型船舶の船倉に積み込む積込コンベアを備えるものである。
【0029】
以下、本発明を、図面に基づいて説明する。図1に、本発明の積込装置を直線状に展開した態様を示す。
【0030】
岸壁yに、ダンプカー3の荷卸し位置を定めるダンプアプローチ1が、一台のダンプカー3から投入される約30tの積込物zを受けるホッパー4に隣接して配置されている。ホッパー4は、下部にフィーダ6を備える一体化構造となっている。
【0031】
ダンプアプローチ1は、車輪2を備えているので、ダンプアプローチの先端1’を牽引車で牽引して、移動したホッパー4まで移動することができる。なお、図1には、牽引型移動方式を示したが、自走型移動方式を採用してもよい。
【0032】
ホッパー4内の積込物zは、ホッパー4の下部に配置されたフィーダ6で、中継コンベア7に搬出される。
【0033】
図2に、ホッパーから積込物(約30t)をフィーダで搬出する態様を示す。図2(a)に、通常の搬出態様を示し、図2(b)に、好ましい搬出態様を示す。図2(a)に示す搬出態様において、フィーダ6には、ホッパー4内の全ての積込物の垂直荷重負荷g1が生じ、ホッパー4の下部側面には、壁面摩擦負荷g2が生じる。
【0034】
垂直荷重負荷g1と壁面摩擦負荷g2は、積込物の重量及び切出し速度に比例して大きくなるため、積込を大量かつ迅速に行うには、フィーダ6を大型化せざるを得ない。しかし、積込装置の移動を迅速に行うためには、フィーダを一体化したホッパーは、小型かつ軽量であることが好ましい。
【0035】
そこで、図2(b)に示すように、ホッパー4の内部に、フィーダ6に平行にパイプ4zを取り付けることで、搬出量を低減せずに、フィーダ6にかかる荷重負荷(垂直荷重負荷g1+壁面摩擦負荷g2)を軽減することが好ましい。この荷重負荷の軽減により、フィーダ6を小型化することが可能となり、さらに、フィーダ6を一体化したホッパー4の架台等を軽量化することが可能となる。
【0036】
即ち、ホッパー4の下部に、例えば、ホッパー4の幅Wの20%程度の外径を有するパイプ4zを、フィーダ6の上面から、ホッパー4の幅Wの25%程度の位置に、フィーダ6に平行に取り付けることで、パイプ4zがフィーダ6にかかる垂直荷重負荷g1を軽減し(図2(b)中、↓の分布、参照)、また、切出し方向に対する壁面摩擦負荷g2も軽減され、フィーダ6を小型化できるとともに、棚吊り等のトラブルもなく、積込物を円滑にかつ安定して搬出することができる。
【0037】
図1に示すように、フィーダ6は、中央下部に車輪5を備え、中継コンベア7に回動自在に連結されているので、中継コンベア7の移動に追随して移動する。車輪5は、フィーダ6の高さを調整する機能(例えば、油圧シリンダー等)を備えていて、フィーダ6の中央下部で、中継コンベア側の端部の高さを、中継コンベア7の端部の高さと調和するように調整する。
【0038】
中継コンベア7は、中央下部に、コンベア高さを調整する高さ調整機構12(例えば、油圧機構等)を有する自走・牽引機構10を備え、積込コンベア8に回動自在に連結されている。自走・牽引機構10は、どのような機構及び動力源のものでもよいが、ホッパー4及びフィーダ6を牽引するため、ステアリング機能を具備する無端軌道輪を備えるものが好ましい。
【0039】
高さ調整機構10は、中継コンベア7の積込コンベア8と連結する端部の高さを、積込コンベア8の端部の高さと調和するように調整する。中継コンベア7は、積込コンベア8の端部の下降に伴い、中継コンベア7’の位置まで下降できる。
【0040】
中継コンベア7と積込コンベア8の連結部は、積込コンベア8の高さ、仰角又は俯角、及び、旋回角を調整する高さ・角度調整機構13を有する回動自在の自走・牽引機構11で支持されている。
【0041】
自走・牽引機構11は、どのような機構及び動力源のものでもよいが、迅速な移動のために、牽引力を必要とするので、無端軌道輪を備えるものが好ましい。
【0042】
自走・牽引機構11の左右への回動に伴い、積込コンベア8は左右に旋回するが、旋回角は、最終的に、高さ・角度調整機構13で最適値に設定される。
【0043】
積込コンベア8は、図1中、積込コンベア8”で示すように、中央部で、上方に折曲可能な構造としてもよい。積込コンベア8を上方に折り曲げることにより、岸壁が狭い場合でも、岸壁周辺の障害物、例えば、陸上構造物や接岸船舶に干渉されることなく、積込コンベアを回動することが可能となる。
【0044】
図3に、岸壁が狭い場合における本発明の態様を示す。図3においては、岸壁yの幅が狭いので、ダンプカー3を載置するダンプアプローチ1、ホッパー4、及び、中継コンベア7は、大型船舶14に沿って直線状に配置し、積込コンベア8は、中継コンベア7に対し略垂直(船舶に対し略垂直)に配置している。
【0045】
本発明では、中継コンベア7と積込コンベア8の連結部を、回動自在の自走・牽引機構11で支持しているので、図3に示す配置態様が可能となり、岸壁yの幅が狭くても、積込物を、船倉15内に積み込むことができる。
【0046】
本発明において、ダンプアプローチ、ホッパー、中継コンベア、及び、積込コンベアの配置態様は、図1及び図3に示す配置態様に限られない。ホッパー、中継コンベア、及び、積込コンベアは、回動自在に連結されているので、岸壁の広狭や形状に応じて、適宜、配置することができる。また、中継コンベアと積込コンベアの連結部に、自走・牽引機構を備えているので、岸壁が狭くても、移動は容易である。
【0047】
船倉に積込物を積み込み、船倉の重量が増すに従い、船舶は沈下する。特に、大型船舶の場合は、船舶前後の平衡を維持しつつ沈下させなければならない。それ故、図3に示すように、船倉が4つある場合、1つの船倉に集中することなく、4つの船倉15a、15b、15c、15dに、船舶前後の重量バランスを考慮して、適宜、積み込む必要がある。
【0048】
本発明においては、中継コンベアと積込コンベアの連結部が、回動自在の自走・牽引機構で支持されているので、船舶の長手方向に沿っての移動が極めて容易である。それ故、積込装置は、所要の位置に、迅速に移動でき、複数の船倉に、積込物を、船舶の長手方向における平衡を維持しつつ積み込むことができる。
【0049】
例えば、図3において、積込物を、最初に、船倉15bに所要量積み込み、次いで、船倉15dに所要量積み込み、その後、船倉15aに所要量積み込み、最後に、船倉15cに積み込む。この積込順に従い、全部の船倉が満杯になるまで、積込みを繰り返す。
【0050】
積込みに際しては、大型船舶の沈下に合せ、積込コンベアの先端を下降させるが、この下降に伴い、積込物の落下軌跡が、船幅方向において変化する。積込物の落下軌跡の変化を、図4に示す。
【0051】
当初、船倉が空の大型船舶14aに積み込む場合の積込コンベア8の先端(積込物の落下位置)はx1に位置するが、船倉の重量が増すに従い船舶は沈下し、沈下に合せ、積込コンベア8の先端をx2まで下降させるので、落下軌跡は幅dの分ずれることになる。
【0052】
落下軌跡のずれ幅dが大きいと、船幅方向において積込物が偏在し、船幅方向における船舶の平衡を維持できない場合がある。
【0053】
ずれ幅dを、積込コンベア8の進退で吸収することは容易でない。そこで、図1に示すように、積込コンベア8の先端に、積込物の落下軌跡を調整するシュート機構9を取り付けることが好ましい。
【0054】
シュート機構9を取り付けることにより、積込物の落下軌跡を任意に調整できるので、船舶の沈下の間、船舶の前後及び船幅方向の平衡を維持しつつ、広い船倉内に、積込物を積み込むことができる。
【0055】
図5〜7に、シュート機構を示す。
【0056】
図5に示すシュート機構においては、積込コンベアで搬送されてきた積込物zの落下軌跡を、シリンダー17の進退で、シュート板9aを、回転軸18を中心にして前後に移動して調整する。
【0057】
即ち、シュート板9aを、積込物zに接触しないように後退させると、積込物zは、自然の落下軌跡Aを描いて落下する。また、シュート板9aを、積込物zの落下を遮るように前進させると、積込物zは、落下軌跡Bを描いて落下する。
【0058】
船舶の沈下による落下軌跡のずれ、又は、船内における積込物zの堆積状況に応じて、シュート板9aを、シリンダー17で前後に移動させて、積込物zの落下軌跡を落下軌跡Aと落下軌跡Bの間で調整することができるので、船舶の平衡を維持しつつ、積込物を、船倉内に能率よく積み込むことができる。
【0059】
図6に、別のシュート機構を示す。図6に示すシュート機構においては、積込物zの落下流の背面にシュート板9aを当て、積込物zの落下軌跡Aを調整する。シュート板9aは、シリンダー17の進退で、回転軸18を中心にして前後に移動するので、落下軌跡Aを任意に調整することができる。
【0060】
図7に、さらに別のシュート機構を示す。図7に示すシュート機構においては、旋回シュート9bで、積込物zの落下軌跡Aを調整する。
【0061】
本発明で採用するシュート機構は、図5〜7に示すシュート機構に限定されない。積込物の落下軌跡を任意に調整することができ、本発明の目的を達成する限りにおいて、本発明においては、各種のシュート機構を採用し得る。
【実施例】
【0062】
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【0063】
(実施例)
表1に示す、30000t級の船舶A〜Eに、表1に示す天候のもとで、水砕スラグを積み込んだ。表1に示すように、積込装置の移動時間を大幅に短縮して、天候の良否にかかわらず、1日、約13000tの水砕スラグを積み込むことができた。
【0064】
従来、30000t級船舶への積込みは、無休で行っても、約5日を要するが、本発明の積込装置を用いれば、無休で行って、約2.5日(≒30000t÷13000t)で積込が完了することが可能である。
【0065】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0066】
前述したように、本発明の積込装置は、岸壁上で、積込みに適した位置に迅速に移動できるので、水砕スラグ等の積込物を、接岸した大型船舶の船倉へ、船舶の平衡を維持しつつ、能率よく積み込むことができる。よって、本発明は、海運産業において利用可能性が高いものである。
【符号の説明】
【0067】
1 ダンプアプローチ
1’ ダンプアプローチの先端
2 車輪
3 ダンプカー
4 ホッパー
4z パイプ
5 車輪
6 フィーダ
7、7’ 中継コンベア
8、8’、8” 積込コンベア
9 シュート機構
9a シュート板
9b 旋回シュート
10、11 自走・牽引機構
12 高さ調整機構
13 高さ・角度調整機構
14、14a、14b 大型船舶
15a、15b、15c、15d 船倉
17 シリンダー
18 回転軸
A、B 落下軌跡
W ホッパーの幅
d 落下軌跡のずれ幅
g1 垂直荷重負荷
g2 壁面摩擦負荷
x1、x2 積込位置
y 岸壁
z 積込物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積込物を収容するホッパー、ホッパーの下部に配置され、積込物を中継コンベアに搬出するフィーダ、フィーダが搬出する積込物を積込コンベアに搬送する中継コンベア、及び、中継コンベアが搬送する積込物を大型船舶の船倉に積み込む積込コンベアを備える積込装置において、
(x)上記フィーダが、中央下部に、フィーダの高さを調整する高さ調整機構を有する自走・牽引機構を備えるとともに、中継コンベアに回動自在に連結され、
(y)上記中継コンベアが、中央下部に、中継コンベアの高さを調整する高さ調整機構を有する自走・牽引機構を備えるとともに、積込コンベアに回動自在に連結され、
(z)上記積込コンベアが、中継コンベアとの連結部に、積込コンベアの高さ、仰角又は俯角、及び、旋回角を調整する高さ・角度調整機構を有する回動自在の自走・牽引機構を備える
ことを特徴とする大型船舶用積込装置。
【請求項2】
前記積込コンベアが、先端に、積込物の落下軌跡を調整するシュート機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の大型船舶用積込装置。
【請求項3】
前記積込物が水砕スラグであることを特徴とする請求項1又は2に記載の大型船舶用積込装置。
【請求項4】
前記積込コンベアが、中央部で折曲可能な構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の大型船舶用積込装置。
【請求項5】
前記自走・牽引機構が、車輪又は無端軌道輪を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の大型船舶用積込装置。
【請求項6】
前記自走・牽引機構が、高さ・角度調整機構の操作も可能な運転室を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の大型船舶用積込装置。
【請求項7】
前記ホッパーに隣接してダンプアプローチを配置することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の大型船舶用積込装置。
【請求項8】
前記ホッパーの内部に、フィーダの回転方向に沿ってパイプを取り付けたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の大型船舶用積込装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−56738(P2012−56738A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203151(P2010−203151)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】