説明

大気内への送達システム

本発明は、実質的に地上レベルの位置を上昇位置に接続する導管と、粒子輸送手段と、分散手段と結合された解凝集手段とを備える、固体粒子を地球の成層圏に輸送して分散させるための装置であって、解凝集手段及び分散手段が上昇位置に配置される装置、及び高屈折率の粒子を成層圏内に輸送する方法、ならびに航空機及びこのように形成された雲に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に地球規模又は局地的な冷却効果を達成するために、粒子を地球の成層圏に輸送して分散させるための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今や多くの文献において、例えば大気の温室効果ガスレベルの上昇による地球温暖化によって、地球の気候が急変する可能性が高く、このことは、相当の正のフィードバック、例えば北極のツンドラの溶解によるメタンの放出又は降水パターンの変化による熱帯雨林の損失を引き起こし得るということが同意されている。このような急変は、海面水位及び農業に深刻な影響を及ぼし得る。
【0003】
しかし、COのような温室効果ガスの排出は、世界の経済と密接に結びついている。有効なタイムスケールにわたるこれらのガスの量を突然の低減させることは、達成が難しいだろう。
【0004】
地球上へ入射太陽放射線量を低減させる様々な方法、例えば宇宙鏡、人工降雨及び成層圏硫酸エアロゾルが提案されてきた。大規模な成層圏硫酸エアロゾルの注入の効果は、1991年のフィリピンのピナツボ山の噴火の2年間にわたって、平均地球温度を約0.5℃低下させたということで、実証されている。
【0005】
温室効果ガスの排出の増加による温暖化に対抗するために、入射太陽放射線を低減させることにより、吸収された二酸化炭素量の上昇による海洋の酸性度の上昇が続く。しかし、これにより、海洋の酸性度の問題を悪化させる北極の永久凍土層の溶解を通じて、温室効果ガスの排出増加をもたらす温度上昇が抑えられ得る。
【0006】
成層圏硫酸エアロゾルの特定の方法は、いくつかの欠点を有する。すなわち、粒子直径の選択は、二酸化硫黄又は水素硫化物のような前駆体物質が使用される場合、成層圏内の自然の経過によって決定され、規定の特性を有する安定したエアロゾルの発生には多くの困難が伴う。さらに、成層圏化学、特にオゾン濃度、に対するそれらの影響は懸念をもたらし得る。さらに、局地的な「影」を発生する可能性は生じないが、この理由は、硫酸又はアンモニウム硫酸塩粒子が自然のプロセス(紫外線大気中の亜酸化窒素窒素酸化物との水和と反応)によって発生されるには、二酸化硫黄の注入の後に、相当の時間(少なくとも数日)を要するからであり、その時までには、高い局所濃度はいずれも、弱い成層圏の風によってさえも十分に分散される。
【0007】
したがって、それほど憂慮すべき副作用を伴わない、地球温暖化の問題に対するより有効な解決方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様では、本発明は、実質的に地上レベルの位置を上昇位置に接続する導管と、粒子輸送手段と、分散手段と結合された解凝集手段とを備える、固体粒子を地球の成層圏内に輸送して分散させるための装置であって、解凝集手段及び分散手段が上昇位置に配置される装置に関する。
【0009】
導管を通して粒子を地球の大気内に輸送することによって、このような粒子を解凝集及び分散させて、入射太陽放射線に影響を及ぼし、局地的又は地域的な冷却効果を提供することができる。十分な量の粒子が分散された場合、このような粒子の雲を形成することができ、局地的、地域的又は地球規模の冷却効果を提供することとなる。さらに、粒子は固体であるので、粒子のサイズを制御して、最適な結果を提供することができる。
【0010】
このような雲の寿命は雲からの粒子の逓減率によって大部分決定される。
正確な逓減率は、特に粒子のサイズを含む複数の要因の影響を受ける。成層圏内のサブミクロン粒子に関し、沈降速度が非常に低い場合、成層圏から対流圏への損失は、成層圏と対流圏との間の比較的小さい量の混合によって決定される。成層圏内のサブミクロン粒子の半分の領域では、粒子が年毎に成層圏を離れる可能性があることが推定される。さらに、ブラウン運動による粒子同士の衝突により、サブミクロン粒子が凝集させられ、より大きい粒子になり、粒子の沈降速度が大幅に増加する。
【0011】
したがって、他の態様では、本発明は、上昇位置の地球の大気内に配置される固体粒子の雲に関し、この場合、雲は、少なくとも1,000平方キロメートル、例えば1,000〜300,000平方キロメートルの領域にわたって、少なくとも1,000トン(好ましくは少なくとも5,000トン、あるいは少なくとも10,000トン)の固体粒子を含む。このような雲は、典型的に、少なくとも3,000平方キロメートル、好ましくは少なくとも30,000平方キロメートル、例えば50,000〜300,000平方キロメートルの面積にわたって広がる。
【0012】
成層圏よりも下での逓減率は、対流圏界面及び対流圏内の乱流及び混合が増大するため、より相当大きくなる。したがって、上昇位置は、粒子逓減率を最小化するために、好ましくは少なくとも5,000m、より好ましくは少なくとも10,000mの高度にあり、最も好ましく成層圏内にある。
【0013】
局地的又は地域的な冷却では、このような雲は、入射太陽放射線の少なくとも10%を散乱させ、したがって局地的な冷却効果をもたらすことができるという特徴を示す。
【0014】
1つの構成では、効果的な局地的又は地域的な冷却効果をもたらすために日中に雲を発生させ得るが、雲は夜間にわたって分散する。
【0015】
したがって、本発明は局地的な影効果を提供することができ、これらの影効果は、相当の水域を覆っている場合、(a)水表面を数℃冷却し、これによって、局地的な熱帯暴風雨の推進力を低減することができるとともに、(b)沿岸国の潅漑を促がすために水分を帯びた沿岸風の生成を可能にする。
【0016】
説明したように、雲は時間とともに分散し、また雲が成層圏に配置された場合、明確に規定された境界のない希薄な雲を生成し、地球の表面の相当の割合にわたって広がる。量が十分であるとき、このような希薄な雲は、入射太陽放射線の数パーセントを散乱させることしかできないが、地球規模の冷却効果をもたらし得る。
【0017】
したがって、他の態様では、本発明は、地球規模の平均入射太陽放射線量に影響を及ぼす方法に関し、本方法は、12ヵ月の期間内に、少なくとも100,000メートルトン、好ましくは少なくとも200,000メートルトン、より好ましくは少なくとも500,000メートルトンのサブミクロン固体粒子を地球の成層圏内に放出することを含む。
【0018】
このような局地的又は地域的な雲を定常状態で維持するために、12時間当たり少なくとも500メートルトン、好ましくは少なくとも1000メートルトン、より好ましくは少なくとも2000メートルトン、又はより好ましくは少なくとも4000メートルトン、又は最も好ましくは12時間当たり少なくとも10,000メートルトンの粒子の放出速度が必要とされ得る。
【0019】
このような処理量は、単一導管によって又は複数の導管によって提供してもよい。複数の導管がある場合、各々の導管は他のものと独立し得るか又は複数の導管を単一装置に組み合わせてもよい。
【0020】
分散手段を利用して固体粒子を成層圏内に解放することにより、粒子の円錐が得られ、その注入点の下流の断面はその垂直スパンと比較して非常に広く、そこから、本発明による雲が得られる。これは、成層圏において、垂直方向の乱流強度が水平方向におけるものよりも小さいからである。
【0021】
他の態様では、本発明は、成層圏内の位置に配置される航空機、例えば飛行機、気球又は他の車両に関し、航空機は、固体粒子源、解凝集手段及び分散手段を備える。
【0022】
放射線が地球にそれほど衝突しないように、例えば1.40を超える高屈折率を有する粒子が、入射太陽放射線を有効に散乱させることができることが確認されている。
【0023】
したがって、他の態様では、本発明は、1.40よりも大きい屈折率を有する固体粒子を地球の大気内に輸送する方法に関し、本方法は、導管を介して粒子を実質的に地上レベルの位置から上昇位置に輸送し、粒子を大気内に分散させることを含む。
【0024】
好ましくは、粒子は、2.0よりも大きい、より好ましくは2.3よりも大きい屈折率を有する。適切な材料は、二酸化チタン、塩化ナトリウム、シリカ及びシリコンを含む。非常に好ましい材料は二酸化チタンである。しかし、塩化ナトリウムは海水から容易に得ることができるので、塩化ナトリウムが好ましい場合もある。
【0025】
二酸化チタンは複数の材料形態で存在し、散乱のために使用される主な二酸化チタンはルチル及びアナターゼである。これらの形態のすべては、2.4を超える屈折率を有し、したがって、本発明に使用するための優れた材料となる。さらに、二酸化チタンは空気中で安定しており、有毒でない。アナターゼ結晶は、ルチル結晶形態よりも比較的低い摩耗特性を有するので、好ましい場合がある。
【0026】
本明細書で規定した屈折率値は、しばしばnと称される複合屈折率の実部を指し、500nmの波長で測定される。この成分は、入射光を散乱させる材料の能力に関係する。
【0027】
しかし、しばしばkと称される仮想成分も、入射光を吸収する材料の能力に関係するので重要であり、500nmで測定することもできる。
【0028】
材料の入射光を散乱させる能力は、入射光を吸収することよりも非常に有利である。吸収は材料の加熱を生じ、次に、このことが、気象パターンに大きい影響を及ぼし得る成層圏の加熱を引き起こすことがある。したがって、500nmにおける比n/kは、好ましくは5よりも大きく、より好ましくは10よりも大きく、最も好ましくは50よりも大きい。
【0029】
好ましい実施形態では、本発明は、入射太陽放射線のミー散乱を含む。粒子のサイズが入射光の波長のサイズと同程度のとき、好ましくは粒径が入射光の波長の10倍以内、より好ましくは3倍以内にある状態で、ミー散乱が生じる。
【0030】
したがって、粒子は典型的にサブミクロンであり、好ましくは、粒子は、0.01〜1.3μmの範囲の、より好ましくは0.02〜0.5μmの範囲の平均粒子サイズを有する。このサイズ範囲は、電磁スペクトルの紫外線及び可視領域に跨り、したがって、入射太陽放射線のこれらの主要な領域の散乱に有効である。
【0031】
特に好ましい実施形態では、粒子は、それぞれ可視波長及び紫外線波長のピークを有する二峰性サイズ分布を有してもよい。例えば、0.1〜0.3μm及び0.02〜0.06μmのピークは、特に、地上ベースの紫外線への暴露を低減するためにUV散乱が望ましい場合に特に有効である。
【0032】
このような小さい粒子サイズでは、粒子の凝集には相当の困難が伴う。二酸化チタンは、粒子内の酸素の分極性が高いため、粒子間力が特に高い。凝集は、凝集から生じる有効粒子サイズの増大のため、粒子が入射放射線のミー散乱に関与する能力を妨げる。したがって、成層圏内の位置で粒子を解凝集させることができることが非常に望ましい。
【0033】
好ましい実施形態では、固体粒子は、粒子の材料とは異なる1つ以上の材料で被覆される。
【0034】
例えば、成層圏に存在する塩素濃度を低減するために、氷、酸化窒素又は他の極性分子が表面を被覆する傾向を低減するために、オゾン破壊を低減しかつ成層圏のオゾン発生を促進するか、あるいは分散手段の近くの放電の可能性を軽減するために、被覆をある範囲の選択肢から選択することができる。例えば、酸化物、水酸化物、アルミン酸塩、シリカ及びそれらの組み合わせを含むアルカリ性(金属及び土類)被覆を使用して、塩素を成層圏から掃気し、したがって、塩素がオゾンを破壊することを防止することができる。
【0035】
ヒドロキシル基が粒子の表面に存在することは、ヒドロキシル基が入射光を吸収する傾向を高めることがあり、このことは、上述したように望ましくない。したがって、ヒドロキシル基の発生を防止する措置をとることが有益であり得る。例えば、250℃よりも高い又は300℃よりも高い上昇温度で、非常に乾燥した窒素又は空気を使用することによって、粒子を前処理することができる。他の可能性は、吸着したヒドロキシル基と反応する化学処理を適用することであり、例えばオクチルクロロシロキサンの使用である。
【0036】
したがって、十分な量の吸収された水、ヒドロキシル基又は極性分子を除去することによって、微粒子と同一の粒子サイズ分布を有する等価の量の水によってかつ約2ミクロンの波長で生成された太陽放射吸収よりも少なくとも90%低い太陽放射吸収を有するために、乾燥又は化学反応あるいはそれらの組み合わせによって調製された微粒子、特に二酸化チタンが望ましい。
【0037】
同様に、疎水性被覆を選択して、水蒸気が粒子を吸収する傾向又は粒子の上に凝縮して氷を形成する傾向を低減することができる。氷は、特に極地のオゾンの破壊に関して非常に悪影響を及ぼすことがある。好ましい実施形態では、被覆は、硫酸塩基、リン酸塩基、シラン及びシロキサン又は他の様々な疎水性被覆を含む。
【0038】
同様に、被覆材料を使用して、各々の粒子に正電荷又は負電荷を生成することも可能であり、これは荷電の可能性がある粒子の相互反発力及び凝集の低減をもたらす。
【0039】
導管を通して粒子を成層圏に輸送することはいくつかの工学的困難を伴う。しかし、成層圏内への粒子の供給は、特にその領域における下方の対流圏との混合が少ないため、特に有益であると思われ、粒子が長時間にわたって成層圏に浮遊したままであることを可能にする。
【0040】
粒子は、多数の異なる方法で導管を通して輸送することができる。例えば、粒子輸送手段は空気圧式搬送装置を備えることができ、この場合、粒子を運ぶ容器は導管を上って成層圏の位置に搬送され、空の容器は第2の導管を下って戻る。
【0041】
しかし、好ましくは、導管を通してキャリヤー及び粒子を圧送することができるように、粒子は流体キャリヤー材料(a fluid carrier material)に分散され、この場合、粒子輸送手段は流体加圧手段を備える。
【0042】
好ましくは、キャリヤー流体(the carrier fluid)は、流体が単位体積当たりより大きい密度の粒子を運ぶことを可能にするために超臨界流体又は液体であり、したがってより狭い孔の導管を必要とする。特に好ましい実施形態では、粒子は、5〜50容量%、より好ましくは10〜30容量%、例えば約15容量%の濃度で、キャリヤー流体のスラリーとして存在する。
−80〜150℃、好ましくは−60〜100℃のキャリヤー流体温度が有益である。好ましいキャリヤー流体は、窒素、空気、窒素に富んだ酸素流又は水の混合物である。窒素又は窒素に富んだ酸素流が最も好ましい。例えば、運ばれた粒子の表面特性を向上させるため、導管を保護するため、又は高度における分散を促進するために、キャリヤー流体のpH及び組成を調整してもよい。
【0043】
同様に、キャリヤー流体は本質的に乾燥していることが望ましいが、それは、水が広範囲の入射光を吸収する傾向があり、したがって成層圏を温める可能性があるので、特に成層圏内への水の導入が望ましくない可能性があるからである。理想的には、結果として生じるOH吸収が、粒子が分散される大気中に既に存在しているOH吸収よりも1%未満だけ増加されるように、キャリヤー流体は水をほとんど導入しない。例えば、キャリヤー流体は100ppm未満の水、より好ましくは10ppm未満の水を含むことができるであろう。
【0044】
キャリヤー流体が、このような長い導管に沿ってかつ重力に対抗して流れるために、キャリヤー流体は導管への進入時に非常に高い圧力に上昇されなければならない。100MPaを超える、好ましくは200MPaを超える、より好ましくは400MPaを超える、さらには600MPaを超える導管の基部における圧力が、導管内の許容可能な流量を達成するために必要であり得る。このような高い圧力を達成するために、キャリヤー流体の供給は複数の圧力容器を介して行われてもよい。
【0045】
このような上昇温度及び圧力では、キャリヤー流体は超臨界流体になり、このことは望ましい場合があり、例えば、以下に説明するように、電力を解凝集手段及び/又は分散手段に供給するために、高度におけるスラリーの脱水の必要性を回避する。
【0046】
1〜20m/sの液体又は超臨界流体の平均流速は、許容水準へ流れる間の流動中の圧力低下及び導管摩耗を維持することと、導管サイズを最小に保持することとの間に、許容可能なバランスをもたらすことができる。
【0047】
粒子及び任意のキャリヤー材料の重量に加えられる導管の重量を支持しなければならないので、導管は、過度に長くなることなく成層圏に達することを可能にするために、好ましくは少なくとも5000mの長さ、より好ましくは少なくとも10,000mの長さ、最も好ましくは10,000〜25,000mの長さである。代わりに、導管は10,000〜27,000mの長さであることができるであろう。粒子及びキャリヤー流体の重量は、導管への進入時に提供される圧力によって部分的に又は完全に支持してもよい。摩擦圧の低下により、導管の重量を完全に又は部分的に支持することも可能であり、これによって、導管の支持荷重を低減する。
【0048】
さらに、導管は、望ましくは、実行不可能な圧力低下なしに流体の流れを可能にする程度に十分に大きい断面積を有するが、横風の負荷が構造的な問題を呈するほどには大きくない。したがって、導管は、1.0〜30cm、より好ましくは2.0〜10.0cmの内径を有することが好ましい。
【0049】
導管は、広範囲の材料から製造することが可能であるが、強くかつ軽い材料、例えば、高強度炭素繊維、Kevlar(商標)、Technora(商標)、Vectran(商標)又はTwaron(商標)等のアラミド繊維又は液晶ポリマー、及びSpectra(商標)及びDyneema(商標)等の超高分子量ポリエチレン、又はZylon(商標)等のPBOが好ましい。選択は、特に、強度、導電性、動作温度及び耐摩耗性と耐腐食性に左右される。例えば、落雷と関連する問題を回避するために、導管が導電性でないことを保証することが必要であり得る。粒子は導管を通って流れ得るので、導管の内壁を炭化チタンのような耐摩耗材料で被覆してもよい。
【0050】
導管は、非常に高いフープ応力及び長手方向の応力を生じる極度の圧力に耐えるように設計しなければならない。導管の基部におけるフープ応力は、粒子が導管を通して上方に流れるときの流体圧力の低下のため、導管の頂部におけるフープ応力をはるかに超えることが観測されている。対照的に、頂部で支持される導管の重力は底部におけるものよりも大きいので、導管の頂部における長手方向引張応力は、基部におけるものよりもはるかに大きい。したがって、応力の性質は導管の長さに沿って変化する可能性がある。
【0051】
したがって、導管は、細長い補強繊維材料を含むことが好ましく、繊維材料は導管の中心軸線にある角度で編まれるか又は巻回され、この場合、導管の一端における巻回角度は導管の他端における巻回角度よりも大きい。したがって、導管の長さに沿って巻回角度を調整して、受けた応力の性質の変化に対応することができる。この結果、必要な材料が少量で済み、導管及び支持する飛行船又は気球のサイズ及びコストが低減される。
【0052】
このようにして、より大きい巻回角度又は供給角度を有する端部は、典型的には、実質的に地上レベルの位置にある。これにより、頂端における高い長手方向張力に対応しつつ、基部の高いフープ応力のためにより大きい支持が提供される。
【0053】
好ましい実施形態では、巻回角度又は供給角度の変更は段階的であるか、又は複数の段階変更で行われる。例えば、より大きい巻回角度又は供給角度は、導管の軸線に平行なラインに対して30〜80°、好ましくは35〜60°であることができ、より小さい巻回角度は、導管の軸線に平行なラインに対して30°未満であることができる。
【0054】
一旦、上昇位置において、粒子は、通常それらのキャリヤー流体、例えば窒素と、共に、典型的には分散手段によって大気内に分散される。適切な分散手段は、粒子を高速空気流内に輸送することを含み、ジェットエンジン又は1つ以上のファンによって提供してもよい。
【0055】
分散手段の操作に関する問題の1つは、成層圏内の位置で分散手段を駆動するための電力を提供することである。一実施形態では、電力は、導管に沿って電力ライン又は燃料ラインを設けることによって提供される。
【0056】
他の実施形態では、水素及びメタン等の燃料ガスは粒子用のキャリヤー流体に含めることができる。適切なガス抜きステージにより、成層圏の位置で使用するために燃料ガスを抽出することができる。
【0057】
好ましい実施形態では、装置はタービン等のレットダウン設備(a let−down facility)を成層圏の位置に備える。次に、このようなタービンは動力を分散手段及び/又は解凝集手段に提供することができる。
【0058】
解凝集手段は、マイクロナイザー、ベンチュリノズル又はそれらの組み合わせを備えることが好ましい。単一又は複数のマイクロナイザーの使用が可能である。このようなマイクロナイザーは、上述のように、超臨界流体と組み合わせて使用されることが好ましい。このことは、研削ジェットによる拡張を含むことができる。マイクロナイザー用の適切な直径寸法は0.2〜4mの範囲にある。好ましい実施形態では、解凝集手段は、好ましくは粒子がマイクロナイザーに通過する前に、ジェット衝撃ミルを含む。
【0059】
一旦粒子が解凝集されると、粒子は分散手段によって成層圏内に分散される。粒子は典型的に非常に急速に再凝集する傾向があるので、分散手段は解凝集手段に密結合されることが好ましい。例えば、解凝集手段からの出口は、分散手段によって発生される任意のガス流に直接存在することができる。
【0060】
分散手段は、個々の粒子の間の距離を増大させて、粒子が衝突して再凝集する機会を低減するために、また過度に雲が沈下することを防止するために、大量の希釈空気の急速な混合を促進すべきである。このようなシステムは、典型的に、装置、例えば、任意のキャリヤー流体蒸気の膨張によって提供されるファン又はジェットエンジン排気口及び/又は排出装置の運動の組み合わせによって提供される高速に流れる空気流に位置する1つ以上のノズルを含む。
【0061】
装置は、望ましくは、成層圏の位置の導管に結合された気球、飛行船、又は航空船を含む。このような飛行船は、任意の関連機器と共に、導管の全体重量及びその内容物を支持するために必要とされ得る。
【0062】
したがって、このような気球又は飛行船は、少なくとも40メートルトン、より好ましくは少なくとも100メートルトン、最も好ましくは少なくとも200メートルトンの揚力を提供できることが好ましい。局地的な影効果を提供するための大型の変形例は、ほぼ2500メートルトンであってもよい。このような揚力値は、50〜300mの気球直径で、あるいは代わりに、例えば600mの長さと130mの幅とを有する空気より軽い室を備える飛行船で達成することができる。
【0063】
気球又は飛行船からの導管の放出及び導管のより段階的な下降を可能にするために、導管にパラシュート手段を備えてもよい。
【0064】
成層圏の風速は、一般に、対流圏で達する風速よりもはるかに低い。したがって、気球又は飛行船が比較的静かな空気中に位置することを可能にするために、気球又は飛行船を上昇位置よりも高い高度に配置してもよい。例えば、上昇位置は成層圏の下方にあることができ、一方、気球又は飛行船は成層圏に位置する。
【0065】
好ましい実施形態では、気球または飛行船は、導管出口の高度を変更することによって導管の有効長を変更するために、その高度を変更できる。例えば、飛行船は、導管を巻き取るためのスプールを備えることが好ましい。このようなスプールは、巻き取りのため導管壁に対する応力が過度になることを防止する程度に十分に大きいことが必要であろうが、導管は非実用的なほどは大きく合い。したがって、直径2〜40m、好ましくは直径5〜20mのスプールが適切である。
【0066】
スプールは、導管を巻き取るためかつ相当の導管振動を能動的に減衰するため、電気モータ駆動式の巻回装置を有してもよい。
【0067】
好都合なことに、このような気球又は飛行船を使用して、導管を所定の位置に設置してもよい。したがって、他の態様では、本発明は、実質的に地上レベルの位置を少なくとも10,000mの高度の上昇位置に接続する導管を設置する方法に関し、本方法は、導管の一端を実質的に地上レベルの位置に固定し、気球又は飛行船に結合されたスプールに導管を巻き取り、次に、導管が上昇位置に達するまで飛行船の高度を増大させ、これによって導管を解体することを含む。
【0068】
本発明による装置はまた、導管内の任意の望ましくない振動を低減するために、能動的な減衰制御手段を備えてもよい。
【0069】
実質的に地上レベルの位置は、典型的に、地球の地面又は海面にあるいはそれらの非常に近くにあり、例えば、地面又は海面の1,000m以内、好ましくは100m以内にある。好ましい一実施形態では、装置は、導管の基部に結合される船を備える。能動的な減衰手段を有するか又は有しないスプールを船に設けてもよい。1つの可能な動作モードでは、複数の船を使用してもよく、各々の船はそれら自体の導管及び関連の機器を有する。このようにして、1つの大きい雲又は複数のより小さい雲を発生させることができる。
【0070】
次に、本発明について、一例として、及び次の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】地球の表面に入射太陽放射線に対する本発明による雲の効果を示すグラフである。
【図2】本発明による装置の概略図である。
【図3】局地的な気象条件に対する本発明による雲の効果の概略図である。
【図4】局地的な気象条件を変更するために共に働く本発明による3つの装置の概略図である。
【図5】成層圏の位置に配置された本発明による装置の構成要素の概略図である。
【図6】実質的に地上レベルの位置に配置された本発明による装置の構成要素の概略図である。
【図7】本発明による導管構造の概略図である。
【図8】本発明による装置の概略図である。
【図9】本発明による装置に使用するためのテザーの断面平面図である。
【図10】本発明による装置に使用するための他のテザーの断面平面図である。
【図11】本発明による装置に使用するための他のテザーの部分斜視図である。
【図12】本発明による装置に使用するための他のテザーの部分斜視図である。
【図13】本発明による装置に使用するための他のテザーの部分斜視図である。
【図14】本発明による装置に使用するための他のテザーの部分斜視図である。
【図15】本発明による装置に使用するための他のテザーの部分斜視図である。
【図16】本発明による装置の要素の概略図である。
【図17】本発明によるテザーの断面図である。
【図18】本発明による別の装置の概略図である。
【図19】本発明によるテザーに使用するための発光手段の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1は、地球の成層圏に配置された本発明による雲100の効果を示すグラフである。雲100は、粒径が最大0.25ミクロンの単峰性分布又は粒径が最大0.15ミクロン及び0.04ミクロンの二峰性粒子サイズ分布を有する二酸化チタンを含む。
【0073】
入射太陽放射線102は雲100に衝突する。雲内の二酸化チタン粒子の粒子サイズのため、入射太陽放射線のミー散乱が生じ、入射太陽放射線102の部分が散乱放射線104として地球から反射される。このように、入射太陽放射線102の紫外線、可視光線及び赤外線の相当の部分が地球の表面に到達することが妨げられる。低減されたレベルの太陽放射106が雲を通過して、地球の表面に衝突する。
【0074】
赤外放射108が地球の表面から放出され、その大部分は、二酸化チタン粒子の粒子サイズよりもかなり大きい赤外線の波長のために散乱されずに雲100を通過する。このように、本発明による雲100は、空間への赤外線の排出を大きく阻止することなく、入射太陽放射線レベルを低減することができ、したがって、局地的又は地域的な冷却効果をもたらすことができる。
【0075】
図2は、船200上の実質的に地上レベルの位置を飛行船220の成層圏の位置に接続するための導管210を備える本発明による装置を示している。飛行船220は、解凝集手段(図示せず)及び分散手段(図示せず)を有する。下方の対流圏と上方の成層圏との間の境界を意味する対流圏界面240も示されている。
【0076】
使用時、典型的に二酸化チタンのようなサブミクロンの高屈折率の粒子の粒子は、粒子が導管210に沿って成層圏の位置220に移動するように、キャリヤー流体の加圧のような粒子輸送手段によって船200から輸送される。二酸化チタンの粒子はサブミクロンであるので、導管を通した輸送中にある凝集が生じ、この結果、粒子は、ファン又はジェットエンジンのような分散手段に通過する前に解凝集手段(図示せず)を通過させられる。粒子が分散手段を通過すると、粒子は本発明による雲230を形成し始める。
【0077】
図3は、本発明による雲360の作用によって地域的な天気図がいかに影響を受け得るかについて概略的に示している。入射太陽放射線370は、上述のように雲360によって散乱され、雲360の影に冷却水表面300の領域を生じる。冷却水表面300は、その上方の空気を冷却する効果を有し、この効果は、より冷たく、したがって隣接する空気よりも密度が高い空気310のダウンドラフトを誘発する効果を有する。ダウンドラフト310により、水表面320における水平方向の風速の増加が引き起こされ、空気320の水蒸気取り入れを増加させ、上昇する前に水表面を冷却する効果を有する。上昇する空気柱330は、雲の形成、最終的に降水をもたらす。上昇空気330は、水平340に移動することによって雲の影に引き戻され、もう一度下降を始める。
【0078】
雲の形成は、入射放射線をさらに低減して、冷却された水表面300の領域を冷却された延長水領域380に延長する効果を有する。
【0079】
したがって、本発明による雲を使用して水表面を数度だけ冷却し、沿岸国の潅漑を促進するために水を帯びた沿岸風の生成を可能にできることがわかる。
【0080】
図4は、より実質的な冷却効果を生成するために、本発明による3つの装置を共に使用する効果を示している。この実施形態では、3隻の船400であって、それぞれの導管410が飛行船420に取り付けられた3隻の船が使用される。水表面460の延長領域を冷却する効果を有する高屈折率粒子の3つの別個の雲が発生される。
【0081】
図示した実施形態では、雲の間の循環パターンが発生されるように、相当の間隔が雲の間に残される。このように、冷却された水は上方の空気の冷却を引き起こし、この結果、下降空気440及び水平方向の風430が追加の水蒸気を捕捉する。気流430は上昇し450、雲を形成し、最終的に降水が次に気流440に引き戻される。しかし、大きな間隔なしに複数の供給源を有することが有利であり得る。
【0082】
図5は、成層圏の位置に配置された本発明による装置の適切な機器をより詳細に示しており、そのいくつかは代わりに本発明による航空機の構成要素でもよい。機器は、スプール510の周りに巻かれた導管500の上端を備え、このスプールは、導管500内の振動を減衰するために能動的な減衰制御を有するモータ525によって電気駆動され、回転シール520を介してパイプラインと接続される。導管内の粒子は超臨界窒素キャリヤーによって運ばれ、実質的に地上レベルの位置(図示せず)からの輸送中の圧力水頭の損失及び摩擦圧力の降下にもかかわらず、成層圏の位置に超臨界状態で留まる。この超臨界水で運ばれる粒子は、タービン及び/又は減圧弁530を通過して、窒素をフラッシュオフし、キャリヤー流体の超臨界状態を除く。
【0083】
今や大部分ガス状のキャリヤーで運ばれる粒子が、次に複数の入口箇所を介して約4メートルの直径のマイクロナイザージェット衝撃ミル及びマイクロナイザー540を通過する。解凝集手段を構成するジェット衝撃ミル及びマイクロナイザーは、粒子の間に形成された任意の凝集物を破壊し、個々の粒子を1つ又は複数のノズルを介して放出する。空気入口550を有するファン又はジェットエンジン560も示されている。分散手段を構成するファン又はジェットエンジン560は、相当の空気流を発生する。理解できるように、ノズル570は流れるガス流に配置され、したがって、凝集手段は分散手段に密結合される。このことは、解凝集された粒子が再び凝集する機会を有せず、成層圏内に分散されて、本発明による雲580を形成しないという効果を有する。粒子流れはまた、ジェット、ファン又はガスタービンの入口に注入して、分散を補助することができるが、粒子形成及び粒子劣化の問題をもたらすことがある。弁525も示され、この弁は、導管500の内容物を排出することが望まれる場合、空気の進入を可能にするように開放することができる。
【0084】
図6は、実質的に地上レベルの位置に配置された本発明による装置の適切な機器をより詳細に示している。スラリーパイプライン600からの張力を吸収するために、スプール610に取り付けられたスラリーパイプライン又は導管600の部分が示されている。スプール610は、パイプライン振動を制御するために能動的な張力装置625を有する。パイプライン600は、アンカー695によって固定されるパイプ解放拘束装置690によって船又は地面に固定される。
【0085】
適切なスラリー調製機器も示されている。高屈折率粒子及びキャリヤー流体、例えば窒素の別個の流れは、スラリー混合容器650を通過する。混合されると、混合気は、混合気の圧力を非常に高いレベルに増大させるポンプ640を通過する。高圧で一度、ポンプ640からの任意の圧力パルスを平滑化するために、混合気は圧力サージ容器630を通過する。図示したように、成層圏に送るためのパイプライン600を通過する前に、スラリーの圧力をなおさらに増大させるために、複数の流れが使用されかつ組み合わされる。
【0086】
さらに、添加剤フィードポンプ670を介して添加剤を含めることが可能であり、パイプダンプタンク680は、飛行船が地上の位置とは無関係に位置を移動する必要があるとき、好都合に導管の排出を可能にする。典型的に、キャリヤー流体が超臨界流体になるために、加熱装置(図示せず)を使用してもよい。
【0087】
図7は、その構造の導管構造及び配置をより詳細に示している。複合パイプ702、絶縁材703及び表面保護部704によって取り囲まれたフォーマ701が示されている。流体は、船又は地上ステーション709から導管708を介して上昇位置の分散装置710に圧送される。
【0088】
フォーマ701は典型的に鋼であるが、典型的に0.2〜2.0mmの厚さの強力な非導電性の耐摩耗性プラスチックであることができ、このプラスチックは、耐摩耗性及びファイバーが巻回されるか又は編組が延伸される基部を提供する。エポキシ又は他の充填材は、ファイバー配向に対してある追加の安定性を提供するであろう。
【0089】
詳細図706は、細長いファイバー又は編組が、ファイバーを通してかつ中心軸線に対し平行に通過する線に対して非常に低い角度で導管の周りに巻回されるかを示している。このことは、支持される導管の重量のために直面する非常に高い長手方向の張力を取り扱う助けとなる。詳細図705の導管の基部において、細長いファイバー又は編組が、ファイバーを通してかつ中心軸線に対し平行に通過する線に対してより大きい角度で導管の周りに巻回されることを理解できる。このことにより、高い流体圧力のために直面する高いフープ応力に対するより大きい保護が提供される。図示していないが、巻回又は編組の角度は、導管内で徐々に変化する応力の性質を考慮するために、頂部から底部まで徐々に変化する。このことにより、導管のサイズ及びコストを低減する材料の効率的な使用が提供される。
【0090】
次のことは、遠距離通信、観測及び位置決めサービスを含む特に高度で情報サービスを供給するための高高度プラットフォームに関する。
【0091】
例えば10〜25kmの高度に位置する高高度プラットフォームが多種多様な用途に提案されてきた。関心が高まっている領域の1つは、高速インターネット、電子メール、テレフォニー、テレビジョンサービス、ビデオ・オン・ディマンド、グローバルポジショニングを含む遠距離通信、位置決め及び観測能力のようなこのような装置から情報サービスを提供することにある。
【0092】
人工衛星と比較して、高高度プラットフォームは、主に、送信機から地球上の受信機までの距離をはるかに短くできるのでいくつかの利点を有し、地球静止衛星は典型的に40,000kmの高度にあり、低い地球軌道衛星では約1000kmの高度にある。
【0093】
高高度プラットフォームのこのような相対的な近さにより、はるかに強い信号を得ることができ、ロケット発射の出費が回避され、開発時間が短くなる。
【0094】
米国特許第7,046,934号は、人工衛星と関連して情報サービスを供給するための高高度気球を開示している。
【0095】
しかし、高高度プラットフォームからの信頼性の高い商業情報サービスの提供には技術的な困難が多数のかつ相当伴う。重要な問題は、著しく変動しかつ非常に高い速度であり得る風にさらされるこのようなプラットフォームの安定性を維持することである。特に、多くの情報サービスは、このような高度に存在する強風にさらされるプラットフォームから供給することが困難な正確な指向送信を必要とする。
【0096】
さらに、高度で局所的に利用可能な電力は、数kWに一般に限定され、高出力装置を含む工学上の解決方法は除外される。
【0097】
したがって、この領域のさらなる改良が著しく望ましいであろう。
他の態様において、本発明は、実質的に地上レベルの位置を上昇位置のプラットフォームに接続するテザーを備える高度で電気エネルギーを発生するための装置に関し、テザーは、プラットフォームの発電機に結合された導管を備え、導管は、実質的に地上レベルの位置から上昇位置への燃料流体の流れを可能にするように配置され、発電機は、燃料流体内のエネルギーを上昇位置の電気エネルギーに変換するように動作可能である。
【0098】
燃料流体から電力を発生することができる高高度プラットフォームを設けることにより、太陽発電機又は大気から燃料を抽出する燃料電池のような現場での発電から利用できる電力よりも数桁多い電力が使用可能となることが確認されている。
【0099】
高度で利用可能な電力が大量であれば、このようなプラットフォームに関係する様々な技術的な障害を解決するために、以前には不可能であった選択肢が利用可能になる。
【0100】
このような装置に関する工学上の問題が重要である。しかし、装置を慎重に設計することにより、以下に説明するように、これは達成することができる。
【0101】
典型的に、上昇位置は、5,000m〜30,000m、好ましくは10,000m〜25,000m、より好ましくは15,000m〜25,000mの高度できる。このことにより、広域にわたる情報サービスを供給するために十分であり、一方、克服できない工学上の問題を伴わない程度の高度が提供される。好ましい実施形態では、上昇位置は、横風がはるかに厳しくない、成層圏、好ましくは対流圏界面のすぐ上又は対流圏界面にある。
【0102】
実質的に地上レベルの位置は、典型的に、地球の地表又は海面にあるか又は非常に近く、例えば地表又は海面から1000m以内、好ましくは100m以内にある。好ましい一実施形態では、装置は、テザーが結合される船を備える。
【0103】
好ましい実施形態では、装置は、それを上昇位置に維持するために必要な揚力を提供するため、上昇位置に1つ以上の気球又は飛行船を備える。したがって、このような1つ以上の気球又は飛行船は、好ましくは少なくとも5.0メートルトン、より好ましくは少なくとも10.0メートルトン、おそらく少なくとも25メートルトンの揚力を提供できる。
【0104】
このような揚力を提供するために、任意の気球は、好ましくは60,000m〜2,000,000mの合計容積を有する。
【0105】
このような気球又は飛行船の形状は球形であり得るが、非球形又は楕円であることが好ましい。これにより、風力の低減を補助するより空気力学的な形状が提供される。
【0106】
導管は、典型的に、燃料流体が流れる円形又は円形に近い断面を有するパイプである。
したがって、燃料流体が流れる内径は1.5〜30mmであることが好ましい。これは、燃料流体の0.00005〜3.0kg/s、好ましくは0.00015〜1.0kg/sの実際の流量を可能にするために十分である。
【0107】
燃料流体が、重力に対抗してこのような大きい長さの導管を流れるために、燃料流体を導管の入口で高圧に上げなければならない。導管内の受け入れ可能な流量を達成するために、100MPa超、好ましくは200MPa超、より好ましくは400MPa超、さらには600MPa超の圧力が必要であり得る。しかし、燃料流体が水素である場合、より低い圧力が必要であり、1〜100MPaの圧力が適切である。このような高圧を達成するために、複数の圧力容器を介して燃料流体を提供することが可能である。
【0108】
燃料流体は水素及び/又は炭化水素流体を含むことが好ましい。導管を通して流体を輸送するために必要な高圧のため、好ましくは炭化水素流体は、200未満、好ましくは150未満、より好ましくは100未満、最も好ましくは50未満、あるいはさらには20未満の平均分子量を有する。好ましい一実施形態では、燃料流体は、少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、最も好ましくは少なくとも99.9重量%の水素、あるいはさらには少なくとも99.99重量%の水素を含む。
【0109】
好ましい一実施形態では、発電機は、例えば高度から得られる空気との燃料流体の燃焼によって電気を発生する燃焼機関を備える。他の好ましい実施態様では、発電機は、水素と、おそらくは高度の空気から除湿された圧縮空気との反応によって電気を発生する燃料流体として水素を消費することができる燃料電池を備える。
【0110】
発電機は、典型的に、数kWから最大数MWの発電ができる。このように、好ましくは、発電機は3〜60,000kW、より好ましくは100〜20,000kWの電力を生産できる。
【0111】
導管は、広範囲の材料から製造することが可能であるが、強くかつ軽い材料、例えば、高強度炭素繊維、Kevlar(商標)、Technora(商標)、Vectran(商標)又はTwaron(商標)等のアラミド繊維又は液晶ポリマー、及びSpectra(商標)及びDyneema(商標)等の超高分子量ポリエチレン、又はZylon(商標)等のPBOが好ましい。
【0112】
水素の搬送のため、導管は、燃料流体を運ぶために、金属又はPTFEあるいは他の低透過性プラスチックのようなライナーを有する複合材パイプを備えることが可能である。この組み合わせにより、水素の拡散及び水素損失が防止される。
【0113】
テザーは、強度を提供するために導管の外側に沿って移動する1つ以上の補強ケーブルを備えてもよい。このように、テザーは、装置を支持するために必要な張力に耐えるように機能し、一方、導管は、燃料流体を輸送するように機能するが、ある張力を支承してもよい。
【0114】
さらに、このようなテザーが、導管用の垂直の強度及び圧力封じ込めを維持しつつ、水平の抗力を低減するために非円形断面を有し得ることが好ましいことが発見されている。
【0115】
テザー上の水平抗力は、テザーをより水平の向きに移動させることがあり、このように所望の上昇位置の高度の下にプラットフォームの高度を下げるので大きい問題であり、この問題については以下に説明する。この問題は、プラットフォームがより大きい風速の領域に入った場合、悪化する可能性があり、過剰の風負荷による突発事故を招くことがある。
【0116】
したがって、他の態様において、本発明は、上昇位置にプラットフォームを備える高高度のサービスを提供するための装置に関し、プラットフォームは実質的に地上レベルの位置に繋がれ、この場合、テザーは非円形断面を有する。
【0117】
このようなテザーは、断面のアスペクト比、すなわち、ちょうど断面を含む長方形の辺の長さの比率によって特徴づけることができる。1.5〜20.0のアスペクト比が好ましい。
【0118】
上述のように、テザーは、これに対し十分な強さを提供するような補強ケーブルを備えることが可能である。好ましい一実施形態では、テザーは1つを超えるケーブルを備え、その各々は互いに平行である。このようにして、円形断面を有するケーブルは、非円形断面を有する本発明によるテザーを製造することができる。細長い断面のテザーを製造するために他のケーブルと整列することが可能な別のケーブルを含めることができる。例えば、1から10のケーブルを備えるテザーが好ましい。
【0119】
当該技術分野で周知のように、円形断面のテザーは、テザー内の任意の捻れ作用に関わらず同一の面積を空気に対して常に示すであろう。しかし、非円形断面を有するテザーは、テザーの回転状態に従って流れる空気に対して可変の面積を露出する可能性を有する。
【0120】
しかし、長い非円形断面のテザーに関する問題の1つは、流れる空気に対してテザーの最小の面積を露出するよりもむしろ、テザーの最大の面積を露出する傾向があることである。この理由は、このようなテザーが一般に低いねじれ剛性を有し、流れる空気内でテザー自体を最小の歪みエネルギーと整列し、これによって、例えば翼によって規則的に配向されない限り、長軸を流れ方向に対して直角に置くからである。
【0121】
したがって、増大する面積を示すテザーの自然な傾向は、流れる空気のためテザーに対する力を増大することができる。したがって、非円形断面のテザーが、流れる空気に対して最小の面積を露出する傾向があることを確実にするための手段を講じることが望ましい。
【0122】
今や、驚くべきことに、このような非円形断面のテザーは、テザーが低いねじれ剛性を有し得るが、流れる空気に対してテザーの最小の面積を露出できるように製造できることが確認されている。
【0123】
したがって、このようなテザーの断面は、典型的には細長く、細長い断面に対して2つの明確に規定された端部を有する。これらの2つの端部は、それぞれ前縁及び後縁と称することができる。前縁は、典型的に丸くされ、テザーの上方に流れる空気の最上流の点にあるように意図される。同様に、後縁は流れる空気の最下流の点にあるように意図される。所定の断面のテザーの最上流の点からテザー上の最下流の点までの距離は、当該断面のテザーの弦長と称される。
【0124】
空気がこのようなテザーの上方に流れるとき、空気がテザー上に力を生成する。随時、テザーの断面内に概念上の点があり、この点を中心に、このような力によって誘発されたすべてのモーメントが互いに相殺される。このような点は、本明細書で、空気力学的圧力の中心と称される。
【0125】
テザーの長さのため、テザーは一般に低いねじれ剛性を有する。驚くべきことに、所定の断面におけるテザーの質量中心が空気力学的圧力の中心よりもテザーの前縁により近い場合、テザーは、貯蔵された歪みエネルギーが最小でない場合があるが、流れる空気に対してテザーがテザーの最小の面積を露出するときにその最も安定した配置を確認することが確認されている。
【0126】
言い換えれば、質量中心は、使用中の空気力学的圧力の中心であるよりも前縁に近いことが好ましい。
【0127】
典型的に、流れる空気に対しテザーの最小の面積を露出するように位置決めされたテザーの細長い断面のため、空気力学的圧力の中心は前縁からの弦長の4分の1に近いことが当てはまる。したがって、質量中心が空気力学的圧力の中心よりも前縁により近いことを確実にするために、特別な措置をとる必要がある。
【0128】
例えば、テザー断面の形状は、例えばヘリコプターロータの断面と同様の涙滴の形状であることが好ましい。しかし、このことのみでは、質量中心が前縁に十分に近いことが保証されない。したがって、典型的に、テザーの材料密度は、中心及び後縁に近い材料密度よりも前縁の近くでより大きい。
【0129】
材料密度のこのような変化は、漸次的であっても突然であってもよい。材料密度は、光ファイバーケーブル及び補強ケーブルのような他の材料がテザーを通過する転位部を含んでもよい。しかし、材料密度の任意の変化は、形状の変化と共に、テザー内で適切に位置決めされる質量中心を共に提供する。
【0130】
したがって、好ましくは、テザーの質量中心は前縁からの弦長の25%未満である。より好ましくは、その質量中心は前縁からの弦長の24%未満である。典型的に、その質量中心は、前縁からの弦長の10%〜24%、より好ましくは15%〜24%である。
【0131】
当然、テザーが実質的に地上レベルの位置をプラットフォームに接続するとき、テザーは張力を支承する。驚くべきことに、張力中心が使用中の空気力学的圧力の中心よりも前縁により近い場合、テザー安定性の改善を達成できることが確認されている。
【0132】
張力中心が空気力学的圧力の中心の下流にある場合、長手方向軸線が任意の風に対して大きい角度で傾くように、テザーが捻れやすい場合があることが確認されている。このプロセスが始まると、テザーの長さのますます大部分がこの高度をとり、テザーが風に向けられる場合よりも高い風負荷をもたらす可能性がある。
【0133】
張力中心は、テザー断面内のその点であり、この点を中心に、当該の断面のテザーによって支承される張力(断面の平面に対して垂直に方向付けられる)によって確立されたすべてのモーメントは、合計してゼロとなる。
【0134】
したがって、好ましくは、テザーの張力中心は前縁からの弦長の25%未満である。より好ましくは、その張力中心は前縁からの弦長の24%未満である。典型的に、その張力中心は、前縁からの弦長の10%〜24%、より好ましくは15〜24%である。
【0135】
驚くべきことに、剪断中心が使用中の空気力学的圧力の中心よりも前縁により近い場合、テザー安定性の改善を達成できることが確認されている。
【0136】
剪断中心は、テザー断面内の点であり、この点を通して、概念上の力が断面の平面に加えられる場合、テザーに回転力は引き起こされない。言い換えれば、加えられた力は、テザーの回転なしにテザーの純粋な偏向をもたらす。
【0137】
したがって、好ましくは、テザーの剪断中心は前縁からの弦長の25%未満である。より好ましくは、その剪断中心は前縁からの弦長の24%未満である。典型的に、その剪断中心は、前縁からの弦長の10%〜24%、より好ましくは15〜24%である。
【0138】
同様に、空気力学的圧力の中心よりも前縁のより近くに留まる一方で、質量、張力及び剪断の中心が互いに近接することが最適に望ましい場合があることが確認されている。このように、質量、張力及び剪断の中心は、弦長の10%未満、好ましくは5%未満の領域内にあることが好ましい。時には、これらの中心の1つ又は2つは、空気力学的圧力の中心よりも前縁からより遠くにあり得るが、低い抗力を有する力学的に安定したシステムが達成された場合、3つのすべてが遠くになくてもよいことが可能である。
【0139】
好ましい実施形態では、テザーは、水平又は水平に近い風からテザーに揚力を提供するために、一連の翼又はエアロフォイルを備えてもよい。テザーはまた、アクティブ制御を行うために電力供給を受けることが可能なフィンを備えてもよい。
【0140】
代わりに又は追加して、テザーは、導管の長さに沿って配置された複数のフラグを備えてもよい。このようなフラグは、非円形断面のテザーのフラッタを防止することが確認されている。
【0141】
上述のように、このように多くの電力が利用可能な状態で、以前に利用可能でなかった情報サービスの性能を強化するための選択肢が可能になる。
【0142】
例えば、好ましい実施形態では、装置は、ジャイロスコープ式及び/又は重力式安定化手段を備える。このような装置は、大気中の固定姿勢を維持するように働くことができる。この装置により、装置から大気を通して地球の表面に方向付けられた送信が可能になる。このような安定化手段なしには、装置の運動により指向送信がより困難になるであろう。
【0143】
電力の増大により、高電力供給の電気通信信号を地球に送信することが可能となる。これにより、いくつかの利点を提供することができる。例えば、信号は、建物を貫通できるか又は地下施設内に貫通できる。他の利益は、地上ベースの機器が、より便利で、おそらくは携帯型であるより小さいアンテナで作動可能であり得ることである。
【0144】
このように、プラットフォームは典型的に情報サービス装置を備える。例えば、装置は、地球の表面に電気通信サービスを供給するための電磁気送信機及び/又は受信機を備えてもよい。
【0145】
好ましい実施形態では、テザーはまた、上昇位置の送信機/受信機に高位ビットレートを送信及び受信するために、実質的に地上レベルの位置から上昇位置に光ファイバーケーブルを備える。実質的に地上レベルの位置から、光ファイバーは、光ファイバーによって地上の通信センタに連結することができる。実質的に地上レベルの位置が船である場合、海中の大陸からブイに移動するように、光ファイバー又は他の手段によって船に接続された光ファイバーケーブルを配置することが望ましい。船へのおよび船からの通信は、次に海底光ファイバーケーブルを介して光ファイバーによって送信することができる。
【0146】
好ましい実施形態では、装置は光ファイバー無線技術を使用する。
したがって、他の態様では、本発明は、上昇位置に情報サービス装置を備えるプラットフォームを備える高度における情報サービスを提供するための装置に関し、プラットフォームは実質的に地上レベルの位置に繋がれ、テザーは、実質的に地上レベルの位置の近傍の基地局に情報サービス装置を接続する光ファイバーケーブルを備え、この場合、基地局は無線信号によって光を変調するための手段を備え、情報サービス装置は光−電子変換手段及び少なくとも1つのアンテナを備え、装置は、信号がアンテナによって電子形態に変換されかつ送信される情報サービス装置に、変調された光を光ファイバーケーブルに沿って送信するように動作可能である。
【0147】
典型的に、無線信号は、例えば数GHzの周波数の無線信号である。
光ファイバー無線は、プラットフォームへの送信における信号の減衰が非常に低く、また情報処理装置の大部分を基地局に配置することができ、したがってプラットフォームの重量が低減されるので特に有利である。追加の利点は、高度において装置を変更することなくサービスタイプを開発できることである。
【0148】
したがって、典型的に、変調機能及びスイッチング機能を基地局において実施することができる。周波数アップコンバージョン及び多重送信のような他の機能も、基地局において実行することができる。このように、情報サービス装置の中には、プラットフォームにオプトエレクトロニクス及び増幅機能のみを必要とするものがある。
【0149】
同様に、多くの用途では、高度における任意の装置の並進運動は回転運動よりもはるかに小さい問題であることが確認されている。長距離の通信では、方向付けられた送信方向の小さい変化も、地球へのおよび地球からの送信又は受信が相当目標から離れるという結果になる。しかし、方向を固定できるか又は特に角速度を最小にすることができる場合、並進運動により、目標からの比較的小さい偏差がもたらされるに過ぎない。このように、回転運動よりも、風による並進運動に容易に耐えることができることが確認されている。
【0150】
したがって、他の態様では、本発明は、上昇位置に情報サービス装置を備えるプラットフォームを備える高度における情報サービスを提供するための装置に関し、プラットフォームは実質的に地上レベルの位置に繋がれ、この場合、プラットフォームはそれが剛性接続されないシュラウド内に収容される。典型的に、プラットフォームは、テザーに対する自由な回転を可能にする軸受装置によってテザーに接続される。
【0151】
プラットフォームは、シュラウド内に配置されることによって強風から保護されることが確認されている。さらに、プラットフォームはシュラウド又はテザーに剛性接続されないので、シュラウド又はテザーによって経験される回転運動はいずれもプラットフォームに伝達されない。したがって、シュラウドはプラットフォームを風から遮蔽し、ある量の休止空気又はガスを提供し、この中にプラットフォームが取り付けられる。したがって、シュラウドの並進運動を伝達することができるが、回転運動はほとんど伝達されないか又はまったく伝達されず、方向付けられた情報サービスが相当改善される。
【0152】
好ましい実施形態では、シュラウドは気球であり、プラットフォームはテザーによって吊設されることができるが、テザーに対してすべての平面で回転できる。例えば、シュラウドは、プラットフォームに揚力を提供するより大きい気球又は飛行船の下に吊設される気球でもよい。
【0153】
さらに、シュラウドの利点は、上述のように、ジャイロスコープ式及び/又は重力式安定化手段と組み合わされる場合、さらにかつ相当高められる。このような実施形態では、非常に安定した姿勢を達成することができ、方向付けられた情報サービスの相当の向上を提供する。
【0154】
この姿勢が上述の本発明の燃料流体の態様と組み合わされる場合、さらに望ましい。
同様に、本発明によるテザーとプラットフォームは落雷の影響を受けやすい場合がある。このような落雷は、燃料流体がテザーの導管を通過する場合、特に非常に危険となる可能性がある。したがって、好ましくは、導管は非導電性である。このことは、例えば、任意の電気経路を破壊するために、テザーの任意の金属構成要素が、しばしば、例えば数メートルごとに破壊されることを保証することによって達成することができる。代わりに、導管には、本質的に導電性要素がなくてもよい。
【0155】
導管は好ましくは非導電性であるが、テザーそれ自体も非導電性であり得るか、代わりに、実質的に地上レベルの位置をプラットフォームに電気的に接続する落雷用導体を備えてもよい。このように、任意の落雷は導体によって運ばれ、非導電性の導管に影響を及ぼさないであろう。
【0156】
他の態様では、本発明は、上昇位置に情報サービス装置を備えるプラットフォームを備える高度における情報サービスを提供するための装置に関し、プラットフォームは実質的に地上レベルの位置に繋がれ、この場合、テザーは、地上レベル位置からプラットフォームに電力を輸送するように動作可能である少なくとも2つの電力ケーブルを備える。
【0157】
この実施形態では、テザーが非導電性であることを確実にすることは不可能である。したがって、好ましくは、テザーはまた、実質的に地上レベルの位置をプラットフォームに電気的に接続する落雷用導体を備える。一実施形態では、落雷用導体は、非絶縁形態の電力ケーブルの1つでもよい。このように、落雷を防止し得ないが、落雷の影響は、テザーの導電性経路を設けることによって大幅に最小化することができる。
【0158】
例えば、落雷用導体は、好ましくは100〜400mmの断面積を有するアルミニウムストリップ又は他の導電材料を備えてもよい。
【0159】
1つ又は複数の電源ケーブルが絶縁されることも好ましい。3.3kV〜330kVの高電圧ケーブルが適切であることが確認されている。
【0160】
同様に、水がテザーの外側に導電性経路を形成し得るという危険性があることが確認されている。したがって、テザーが非導電性である場合、水がそれにもかかわらず導電性経路を提供する可能性があり、落雷の問題が残る。
【0161】
したがって、他の態様では、本発明は、上昇位置にプラットフォームを備える高高度のサービスを提供するための装置に関し、プラットフォームは実質的に地上レベルの位置に繋がれ、この場合、テザーは疎水性材料で被覆される。
【0162】
このように、任意の液体がテザーの表面に形成する場合、液体は一般に連続的な経路を形成せず、したがって、電気経路の形成の可能性を防止する。さらに、他の潜在的に問題のある状態は、特に非円形テザーの場合に空気力学的な不安定性を促進する可能性があるテザー上の氷の形成を防止することによって回避することが可能である。
【0163】
テザーが、損傷についてテザーを検査し、おそらくは小さな修理を施しかつ除氷の能力を提供するように動作可能な可動車両を備える場合も好ましい。
【0164】
このような高高度プラットフォームは一般に人口地域の近傍に配置されるので、航空機の安全性及び規制に対する考慮も行われなければならない。このような安全上の考慮の1つは、テザーが、テザーの存在について飛行機パイロットに警告するために、連続的に又は断続的に動作し得る多数の照明を収容するようを求めることである。
【0165】
しかし、テザーの長さに沿って照明を提供し、十分な電力を提供することは、一般に回避されるべき相当の重量増加を伴うことがある。したがって、相当の追加重量なしにこのような照明を提供できるシステムが著しく望ましいであろう。
【0166】
したがって、他の態様では、本発明は、上昇位置にプラットフォームを備える高高度のサービスを提供するための装置に関し、プラットフォームは実質的に地上レベルの位置に繋がれ、この場合、テザーは、少なくとも実質的に、実質的に地上レベルの位置からプラットフォームに光ファイバーケーブルを備え、光ファイバーケーブルは、光ファイバーケーブルの長さに沿って離間した複数のカプラーを備え、各々のカプラーは、光ファイバーケーブル内の光の部分を方向転換して、光の部分をそれぞれの発光手段に方向付ける。
【0167】
典型的に、発光手段はコリメーターを備え、例えば、1つ以上のレンズ、いくつかのミラー又は回折格子(従来又はホログラフィック)を備えることが可能である。
【0168】
光ファイバーケーブルに沿って送信される光は、それぞれの発光手段に閃光効果を提供するために好ましくは断続的である。
【0169】
好ましい実施形態では、発光手段は均一に離間している。発光手段の間の間隔は50〜200mであり得る。
【0170】
したがって、このようなテザーは、20〜200のこのような発光手段を備えることが可能である。したがって、各々のカプラーによって方向転換される光量は、当該の点の光ファイバー内の光の0.5〜5.0%の範囲にあることが好ましい。
【0171】
この実施形態の光ファイバーは、典型的に、本発明の他の態様による情報サービス装置に使用するための光学信号を搬送するために使用される異なる光ファイバーである。
【0172】
このような装置は、低重量、コンパクトであり、追加の風抵抗をほとんど示すことができず、局所的な電力需要を含まず、したがって、必要とする装置を簡略化する。
【0173】
高高度プラットフォームに関して本明細書に開示した特徴はいずれも、本発明による実施形態を提供するために他の任意の特徴と組み合わせることが可能である。
【0174】
次に、高高度プラットフォームの発明について、一例として、及び図を参照して説明する。
【0175】
図を参照すると、図8は、気球3及びテザー2によって支持された高高度プラットフォーム4を備える本発明による装置を示している。テザーは、地上レベル位置である海面に配置された船1に取り付けられる。
【0176】
プラットフォーム4は、燃料電池の形態の発電機を備えるが、燃料電池は、ガスエンジン、ジェットエンジン又はディーゼルエンジン等であることができるであろう。
【0177】
プラットフォーム4はまた、様々な情報サービス装置、例えば内部アンテナ、ワイヤレスインターネット用のマルチネットワーク、1〜20kmの直径のセルを供給するための700個のホーンアンテナ、テレビジョン送信機、GPS送信機、航空機警報システム、例えばレーダ反射器及び光ストロボを備える。
【0178】
テザー2は、PTFEライナーを有する複合材料から製造された15mmの外径及び12mmの内径を有するKevlar(商標)パイプを備える。パイプは、テザーに非円形断面を設けるために15mmの直径の4つの追加のKevlar(商標)ケーブルによって補強される。
【0179】
気球3は、158mの水平直径及び46mの垂直高さを有する楕円形状の600,000立方メートルの容量であり、8メートルトンの重さのプラットフォーム4を支持するためにヘリウムで充填される。
【0180】
船1は、水素の貯蔵装置、及び選択的に水素発生プラントを備え、水素がテザーをプラットフォーム4に上方に流すことができるように、2つの高圧コンプレッサ(図示せず)によって350バールの圧力に水素を加圧することができる。水素がプラットフォームに達すると、水素は燃料電池に通過し、その結果、電気エネルギーが高度に発生される。生成された電気エネルギーは、典型的に100〜10,000kW、例えば1000kWであり、情報サービス装置に使用するための高強度の信号を提供するためには十分過ぎる。
【0181】
図9は、図8に使用されたテザー2の部分断面図を示している。テザー2は、燃料流体、例えば水素を運ぶ導管6を備える。テザーは、複合材料の壁部8によって強化される。
【0182】
同様に、燃料流体を運ばないが、テザーに強さを付与する4つの強化ケーブル10が設けられる。同様に、尾部12と、リング又はアクチュエータ16によって尾部12に取り付けられたフィン部分14が設けられる。テザーは、テザー2の完全性を維持するためにスキン18によって取り囲まれる。断面の細長い性質は、大きい横風によって誘発される水平抗力を低減するように補助する。アクチュエータ16は、不利なテザー運動を防止するためにアクティブ制御を行うように動作可能であり得る。
【0183】
図10は、本発明に使用するための他のテザー20の部分断面図を示している。テザー20は、非円形の複合材料24に埋め込まれた燃料導管22を備える。同様に、リング又はアクチュエータ28によってテザー20に取り付けられたフィン26が設けられる。アクチュエータ28は、不利なテザー運動を防止するためにアクティブ制御を行うように動作可能であり得る。
【0184】
図11は、本発明に使用するための他のテザー30の部分図を示している。両側で2つの強化ケーブル34によって囲まれた燃料流体を運ぶ中央導管32が示されている。
【0185】
同様に、大きい横風がテザーを通過して流れるときにテザーに揚力を提供するように作用する翼36が設けられる。これは、プラットフォームのブローオーバの防止に役立つ。
【0186】
図12は、本発明に使用するための他のテザー40の部分図を示している。両側で2つの強化ケーブル44によって囲まれた燃料流体を運ぶための中央導管42が示されている。
【0187】
同様に、リンク48及びばね50によって強化ケーブル44に取り付けられた翼46が設けられる。使用時、翼46は、強い横風がテザーを通過して流れるときにテザー40に揚力を提供する。
【0188】
図13は、テザーに巻き付けられるリフト翼の他の形態を示している。翼52の直径は、0.2〜10mmであり得るが、典型的に約1mmであり、4mmの垂直の間隔を有する。巻線は、テザーの長さに沿って連続的でもよく、そうでなくてもよい。好ましくは、巻線は7000m〜13000mの高度に存在する。
【0189】
図14は、テザーケーブルと織り合わされる翼55を有する別の構成手段を示している。
【0190】
図15は、本発明に使用するための他のテザー58の部分図を示している。テザーは、フラグのコイル59及び穴60によってテザーに取り付けられたフラグ57を備える。代わりに、強風におけるテザーの非円形断面のフラッタを防止するために、フラグは簡単なワイヤであることができるであろう。
【0191】
図16は、図1に示した燃料管理システム及びプラットフォームをより詳細に示している。地上レベル位置のスプール64内の水素加圧システム、導管65及びプラットフォーム79が示されている。
【0192】
スプール64内の加圧システムは、低圧スリップシール62を備え、このシールを通して、水素はコンプレッサ63に通過し、その後水素はテザー内の導管65を流れて上がる。
【0193】
プラットフォーム79で一旦、導管は、レットダウン弁66を有する上部スプール68に入る。他の実施形態では、スプール68を省略してもよい。次に、水素は、スリップシール67を過ぎてアノード69、膜70及びカソード71から構成された燃料電池内に流れる。大気73は、コンプレッサ74で圧縮され、カソード71に入る前に脱湿器75を通過させられる。水は出口72を介して排出される。
【0194】
燃料電池からの電力によりモータ78が駆動され、次にコンプレッサ74が駆動される。他に電力が使用されるのは、送信機77に給電するペイロード電子装置76ならびに任意のプラットフォーム安定化装置(図示せず)である。
【0195】
図17は、本発明によるテザーの断面を示している。テザーは、2つの光ファイバーケーブル束86及び2つの導管又はケーブル88を含むスキン84を備える。断面は、約4のアスペクト比を有する非円形であり、細長い。使用時、空気は左から右に流れ、前縁90と後縁91を画定する。同様に、弦長92及び弦幅93も画定される。90と91に、外部光源を提供する小さい光ファイバーがある。
【0196】
断面は、前縁においてアラミド94で充填され、残部は低密度フォーム95で充填される。テザーの断面の要素の相対密度は、質量中心が線96に沿って提供されるようなものであり、弦線の近くで対称である。
【0197】
空気が前縁から後縁の流れるとき、空気力学的圧力の中心は線97に配置される。質量中心96は空気力学的圧力の中心97よりも前縁90により近いので、示した装置は安定している。このように、テザーの構造は、流れる空気にその最小の面積を露出し、したがって、最小化された風抵抗を経験する。
【0198】
図18は、本発明による装置100を示している。テザー106によって基地局(図示せず)に接続された気球又は飛行船102を備える。テザーは、断続的な光源104から気球又は飛行船102に移動する光ファイバーケーブル108を備える。
【0199】
光ファイバー108に沿って、気球又は飛行船102の周りの照明114を有する複数の照明110、112が離間している。より詳細に示されているように、光ファイバーケーブル108は、光ファイバー内の光の部分を照明110と112に方向転換させるカプラー116に入る。光の大部分は、光ファイバーに留まり、同一のプロセスが実施される次の対の照明に移動する。気球又は飛行船102で、残りの光は、等しく照明114に方向転換される。
【0200】
このように、安全照明が、軽量のコンパクトで小さい風抵抗の形態で設けられる。
図19は、発光を提供するためのカプラー116の動作を詳細に示している。光ケーブル108からの光はカプラー116に入り、その結果、光の部分108aが方向転換され、格子118に方向付けられる。光の大部分はカプラー116を通過し、方向転換されない。方向転換された光は格子118を出て、発光手段を提供するために広角で光を反射する反射性コーン120に方向付けられる。方向転換された光を分配して、発光手段を提供するための他の方法を容易に考え出すことができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体粒子を地球の大気内に輸送して、分散させるための装置であって、実質的に地上レベルの位置を上昇位置に接続する導管と、粒子輸送手段と、分散手段と結合された解凝集手段とを備え、前記解凝集手段及び前記分散手段が前記上昇位置に配置される装置。
【請求項2】
前記導管が、1.40よりも大きい屈折率を有する粒子を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
1.40よりも大きい屈折率を有する固体粒子を地球の大気内に輸送する方法であって、導管を介して前記粒子を実質的に地上レベルの位置から上昇位置に輸送することと、前記粒子を前記大気内に分散させることとを含む方法。
【請求項4】
前記粒子が、成層圏内に分散される前に前記成層圏の位置で解凝集される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記上昇位置が、少なくとも5,000m、好ましくは少なくとも10,000mの高度にあり、より好ましくは前記成層圏にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項6】
前記導管を介して輸送される前記粒子がキャリヤー流体にある、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項7】
前記粒子輸送手段がキャリヤー流体加圧手段を備える、請求項6に記載の装置または方法。
【請求項8】
前記導管を介して輸送される前記粒子が、2.0を超える、より好ましくは2.3よりも大きい屈折率を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項9】
前記導管を介して輸送される前記粒子が、二酸化チタン、塩化ナトリウム、シリコン又はそれらの混合物の粒子である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項10】
前記導管を介して輸送される前記粒子の実質的にすべてがサブミクロン粒子である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項11】
前記導管を介して輸送される前記粒子が、0.01〜1.0μmの範囲の、より好ましくは0.02〜0.5μmの範囲の平均粒子サイズを有する、請求項9に記載の装置または方法。
【請求項12】
前記粒子が、それぞれ可視波長及び紫外線波長のピークを有する二峰性サイズ分布を有する、請求項10又は11に記載の装置または方法。
【請求項13】
前記粒子が前記1つ以上の材料で被覆される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項14】
前記被覆材料が疎水性である、請求項13に記載の装置または方法。
【請求項15】
前記被覆材料が、硫酸塩基、リン酸塩基、シラン、シロキサン及びそれらの混合物から選択される材料を含む、請求項14に記載の装置または方法。
【請求項16】
前記粒子が、十分な量の吸収された水、ヒドロキシル基又は極性分子を除去することによって、前記微粒子と同一の粒子サイズ分布を有する等価の量の水によってかつ約2ミクロンの波長で生成された太陽放射線吸収よりも少なくとも90%低い太陽放射線吸収を有するように、乾燥又は化学反応又はそれらの組み合わせによって調製されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項17】
前記粒子が5〜50容量%の濃度で存在している、請求項6〜16のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項18】
前記キャリヤー流体が前記導管への進入時に−80〜150℃、好ましくは−60〜100℃の温度を有する、請求項6〜17のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項19】
前記キャリヤー流体が前記導管への進入時に100MPaよりも大きい、好ましくは200MPaよりも大きい、より好ましくは400MPaよりも大きい、最も好ましくは600MPaよりも大きい圧力を有する、請求項6〜18のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項20】
前記キャリヤー流体が超臨界流体である、請求項18又は19に記載の装置または方法。
【請求項21】
前記導管内の平均流速が1〜20m/sである、請求項6〜20のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項22】
前記導管が前記上昇位置に達することを可能にするために、前記導管が少なくとも5000m、好ましくは少なくとも10,000m、より好ましくは10,000〜25,000mの長さである、請求項1〜21のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項23】
前記導管が1.0〜30cm、より好ましくは2.0〜10.0cmの内径を有する、請求項1〜22のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項24】
前記導管の内壁が、摩耗を低減するための材料で被覆される、請求項1〜23のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項25】
前記導管が細長い補強繊維材料を含み、前記繊維材料が前記導管の中心軸線に対してある角度で巻回又は供給され、前記巻回角度又は供給角度が、前記導管の一端において前記導管の他端におけるよりも大きい、請求項1〜24のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項26】
前記より大きい巻回角度又は供給角度を有する前記端部が、前記実質的に地上レベルの位置にある、請求項25に記載の装置または方法。
【請求項27】
巻回角度又は供給角度の変更が段階的であるか、又は複数の段階変更で起こる、請求項25又は26に記載の装置または方法。
【請求項28】
前記より大きい巻回又は供給角度が、前記導管の前記軸線に平行なラインに対して30〜80°であり、前記より小さい巻回角度が、前記導管の前記軸線に平行なラインに対して30°よりも小さい、請求項25〜27のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項29】
前記分散手段が、前記粒子を高速気流内に輸送することを含む、請求項1〜28のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項30】
電力ライン及び/又は燃料ラインが前記導管に沿って設けられる、請求項1〜29のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項31】
水素及びメタン等の燃料ガスが前記粒子用の前記キャリヤー流体に含まれる、請求項6〜30のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項32】
タービン等のレットダウン設備を前記上昇位置に備える、請求項1〜31のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項33】
前記導管を通した粒子処理量が、12時間当たり少なくとも500メートルトン、好ましくは少なくとも1000メートルトン、より好ましくは少なくとも2000メートルトン、なおより好ましくは少なくとも4000メートルトン、最も好ましくは12時間当たり少なくとも10,000メートルトンである、請求項1〜32のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項34】
前記解凝集手段が、マイクロナイザー、ベンチュリノズル又はそれらの組み合わせを備える、請求項3を除く請求項1〜33のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項35】
前記分散手段が前記解凝集手段に密結合される、請求項3を除く請求項1〜34のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項36】
前記導管に結合された気球、飛行船、又は航空船を備える、請求項1〜35のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項37】
前記飛行船が、少なくとも15メートルトン、より好ましくは少なくとも100メートルトン、最も好ましくは少なくとも200メートルトンの揚力を提供できる、請求項36に記載の装置または方法。
【請求項38】
前記気球又は飛行船が、その高度を変更して、前記導管の有効長を変更できる、請求項36又は37に記載の装置または方法。
【請求項39】
前記気球又は飛行船が、前記導管を巻き取るためのスプールを備える、請求項38に記載の装置または方法。
【請求項40】
前記導管の基部が船に結合される、請求項1〜39のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項41】
前記気球又は飛行船が前記成層圏にあるが、前記上昇位置が前記成層圏より下にある、請求項36〜40のいずれか一項に記載の装置または方法。
【請求項42】
上昇位置に配置される固体粒子の雲であって、少なくとも1000平方キロメートルの領域にわたって、少なくとも1,000トン、好ましくは少なくとも5,000トン、より好ましくは少なくとも10,000トンの固体粒子を含む雲。
【請求項43】
少なくとも5,000m、好ましくは少なくとも10,000mの高度にあり、より好ましくは成層圏に配置される、請求項42に記載の雲。
【請求項44】
少なくとも3,000平方キロメートル、好ましくは少なくとも30,000平方キロメートル、より好ましくは50,000〜300,000平方キロメートルの面積にわたって延びる、請求項42又は43に記載の雲。
【請求項45】
前記固体粒子が、1.40を超える、好ましくは2.0よりも大きい、より好ましくは2.3よりも大きい屈折率を有する、請求項42〜44のいずれか一項に記載の雲。
【請求項46】
実質的にすべての前記固体粒子が、二酸化チタン、塩化ナトリウム、シリコン又はそれらの混合物である、請求項42〜45のいずれか一項に記載の雲。
【請求項47】
実質的にすべての前記固体粒子がサブミクロン粒子である、請求項42〜46のいずれか一項に記載の雲。
【請求項48】
前記固体粒子が0.01〜1.0μmの範囲の、より好ましくは0.04〜0.5μmの範囲の平均粒子サイズを有する、請求項47に記載の雲。
【請求項49】
前記粒子が、それぞれ可視波長及び紫外線波長のピークを有する二峰性サイズ分布を有する、請求項47又は請求項48に記載の雲。
【請求項50】
前記粒子が1つ以上の材料で被覆される、請求項42〜49のいずれか一項に記載の雲。
【請求項51】
前記被覆材料が疎水性である、請求項50に記載の雲。
【請求項52】
前記被覆材料が、硫酸塩基、リン酸塩基、シラン、シロキサン及びそれらの混合物から選択される材料を含む、請求項51に記載の雲。
【請求項53】
実質的に地上レベルの位置を上昇位置に接続する導管を設置する方法であって、前記導管の一端を前記実質的に地上レベルの位置に固定することと、気球又は飛行船に結合されたスプールに導管を巻き取ることと、その後前記導管が前記上昇位置に達するまで前記飛行船の高度を増大させ、これによって前記導管を解体することとを含む方法。
【請求項54】
成層圏の位置に配置された航空機であって、サブミクロン固体粒子源、解凝集手段及び分散手段を備える航空機。
【請求項55】
地球規模の平均入射太陽放射射線量に影響を及ぼす方法であって、12ヵ月の期間内に、少なくとも100,000メートルトン、好ましくは少なくとも200,000メートルトン、より好ましくは少なくとも500,000メートルトンのサブミクロン固体粒子を地球の成層圏内に解放することを含む方法。


【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−513396(P2013−513396A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543904(P2012−543904)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/GB2010/052090
【国際公開番号】WO2011/073650
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(512156811)デイビッドソン・テクノロジー・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】DAVIDSON TECHNOLOGY LIMITED