説明

天井収納付き浴室ユニット

【課題】天井裏に存在するデッドスペースを、収納スペースとして有効に活用できる天井収納付き浴室ユニットを提供する。
【解決手段】天井面1の上方に向けて凹部を形成し且つ天井面1と一体に形成した収納部11と、収納部11の内部に収納する収納物Mを載置する棚板2と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室ユニットの天井に設置される収納部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の浴室ユニット7においては、図5に示すように、浴槽72を設置するための浴槽側床パン711と、該浴槽側床パン711に隣接した洗い場側床パン712とで浴室床71を構成し、浴槽側床パン711の上面に浴槽72が載置されている。また、洗い場側床パン712の浴槽72側の端部には、洗い場側の浴槽72側面を閉塞するためのエプロン73を設置している。さらに、洗い場側床パン712と浴槽側床パン711とで形成された前記浴室床71の外周縁辺からは浴室ユニット7の壁パネル74が立設すると共に、その上端面に天井面1を載設して浴室ユニット7が構成されている。なお、図中の75は排水部を示し、76は壁面に配設された鏡面を示し、77は給水栓を示し、78はシャワーを示している。
【0003】
この浴室ユニット7の壁パネル74には、シャンプーや石鹸といった浴室内の小物を載置する棚8が設置されており、浴室内の小物を常時載置しておくスペースとして使用されている。(例えば特許文献1参照)
ところで、上記の浴室ユニット7の天井面1の上方には、浴室内の高湿な空気を換気する換気ダクトが配設されるため、天井面1の上方には上下方向に相当のスペースの確保がなされている。しかし、実際に該換気ダクトの配設に必要な範囲は、該換気ダクトが有する幅を確保しつつ外部に向かって配設される範囲とその高さ分のみが必要なものであるため、使用されていない空間が多く存在するというものであった。
【特許文献1】特開2002−143021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の浴室ユニット7において、浴室内の収納スペースとしての棚8は、その棚8を大きく形成して収納スペースを多く確保した場合は、入浴者が身体を洗ったりするために使用できる空間が狭くなるため、該棚8を大きく形成することには限界があるものである。すなわち、入浴者が快適に使用できる空間を追求すればその反面、収納スペースが少なくなってしまう問題を有していた。
【0005】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、天井裏に存在するデッドスペースを、収納スペースとして有効に活用できる天井収納付き浴室ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1に係る発明にあっては、天井面1の上方に向けて凹部を形成し且つ天井面1と一体に形成した収納部11と、収納部11の内部に収納する収納物Mを載置する棚板2と、を設けて成ることを特徴とするものである。
【0007】
このように構成したことで、天井面1の上方に存在するデッドスペースを収納スペースとして活用することができるので、更に多くの収納スペースの確保を図ることができるものである。さらに、天井面1に設けた凹部に収納物Mを収納する構造を採用したので、収納物Mが入浴者の視界に晒されず外観上良好となるものである。また、浴室ユニット7の天井面1と一体に収納部11を形成したので、据付作業時において作業性が向上すると共に高湿な浴室内の空気が外部に漏れる心配がなくなる。
【0008】
また、請求項2に係る発明にあっては、請求項1に係る発明において、前記棚板2は下支持片3の一端を回動自在に軸支すると共に、収納部11には上支持片4の一端を回動自在に軸支して、且つ該下支持片3の他端と該上支持片4の他端を回動自在に軸支したことを特徴とするものである。
【0009】
このように構成したことで、上述した効果に加えて、棚板2を下降させた状態でシャンプー等の小物を棚板2上に載置して、その後収納部11に収納できるので、背丈の低い人でもいす等の台を使用することなく容易に収納物Mを収納できる。
【0010】
また、請求項3に係る発明にあっては、請求項2に係る発明において、前記上支持片4にはダンパ又はばね材6の一端を取着する上取着部41を備え、前記下支持片3にはダンパ又はばね材6の他端を取着する下取着部31を備え、該上取着部41と該下取着部31とをダンパ又はばね材6にて架設したことを特徴とするものである。
【0011】
このように構成したことで、特に棚板2を下降させる際の下降速度を緩和させることが可能となるので、使用者の予期しない事故を防止できる。さらに、ばね材6を使用した場合にあっては、ばね材6による力が上昇時に補助的に働くので、棚板2を容易に上昇させることが可能となる。
【0012】
また、請求項4に係る発明にあっては、請求項2乃至請求項3のいずれか1項に係る発明において、前記棚板2と前記下支持片3とを着脱自在に取着したことを特徴とするものである。
【0013】
このように構成したことで、ヌメリやカビ等の発生しやすい棚板2を取り外して、清掃及び水洗いを容易に行えるので、衛生上良好なものとなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来のデッドスペースを収納スペースに活用できて収納スペースが増大すると共に、入浴者の見えない場所に収納スペースが設けられているから、より一層快適な空間を提供することが可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について添付図面に基づいて説明する。なお、上記背景技術に示した構成と同様の部分については、以下説明を省略する。便宜上、浴室内の浴槽72の長手方向に直行する方向を左右方向とし、浴槽72の長手方向に平行する方向を奥手前方向とする。
【0016】
図1には本発明の一実施例としての浴室ユニット7の天井面1に設けられた収納部11に棚板2を設置した天井収納付き浴室ユニットを示している。このものは、洗い場側床パン712の上方の天井面1において上方に突設した凹部からなる収納部11が設置してあり、該収納部11は天井面1と一体に形成してある。該収納部11の上下方向の高さは少なくとも一般的なシャンプーなどが収容できる程度の高さに設けられている。該棚板2は収納部11の左右方向の半部を奥手前方向全長に亘って塞ぐようにして且つ、天井面1と面一状に設置されており、棚板2が塞いでいない部分から手を挿通して、シャンプー等の小物である収納物Mを取出し又は収納できるように構成してある。なお、棚板2は天井面1と別体であっても一体であっても良いが、取り外し可能なように別体として設けた場合は、取り外して水洗い等清掃が可能となるので、衛生的にも良好となる。この場合の棚板2の取付け方法は特に限定されるものではないが、例えば、収納部11と棚板2が接続される部分に突設する突片を設けて左右方向にスライド自在に嵌装しても良いし、ねじ等といった固着具を挿通して固着してもよい。
【0017】
このような収納部11は、浴室内の隠れた部分に収納物Mの収納ができるので、外観上良好となるものである。また、天井面1に一体に形成してあるので浴室内の高湿な空気が天井裏に漏れる心配がないものであると共に、浴室ユニット7据付時における作業性を向上させる。
【0018】
図2には、本発明の別の実施例を示している。なお、本実施形態は図1に示す実施形態と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0019】
本実施形態においても天井面1には上方に突設した凹部からなる収納部11を設置してあり、該収納部11は天井面1と一体に形成してある。該収納部11の左右方向の側面の開口部近傍には、上支持片4の一端が回動自在に取り付けられている。詳しくは、収納部11の左右方向の両壁面の開口部近傍には上取着片12が突設してあり、該上取着片12と上支持片4の一端とが回動自在に軸支されている。該上取着片12の突出長さは、上支持片4の左右方向の幅よりも若干長く形成されており、上支持片4が垂下した場合であっても収納部11の側面に干渉しないようになっている。該収納部11を閉塞できる大きさに形成された棚板2の上面の両側には下取着片21が突設されると共に、該下取着片21には下支持片3の一端が回動自在に軸支されている。さらに、該上支持片4と該下支持片3とが他端において回動自在に軸支されている。
【0020】
また、天井面1の収納部11の開口部の縁辺に凹設された段差部13を設けており、棚板2が該段差部13に嵌着して天井面1と面一になるように形成してある。
【0021】
このように構成することで、棚板2が昇降可能となるのであり、棚板2上昇時には棚板2によって収納部11の開口部を閉塞することができ、該棚板2下降時には棚板2に収納物Mを載置して収納することが可能となる。また、棚板2を下降させた状態で棚板2に該収納物Mを載置して収納可能な構成としたので、背丈の低い人であってもいす等の台を使用することなく容易に棚板2に該収納物Mを載置して収納することが可能となる。また、段差部13を設けたことによって、棚板2上昇時に収納部11を面一に閉塞できて天井面1と棚板2の一体感が増す。そうすることで、棚板2上昇時における外観が一層良好なものとなるのである。
【0022】
図3には、本発明のさらに別の実施例を示している。なお、本実施形態は図2に示す実施形態と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0023】
本実施形態における浴室ユニット7においても、天井面1には上方に突設した凹部からなる収納部11を設置してあり、該収納部11は天井面1と一体に形成してある。前記上支持片4には、ダンパ又はばね材6の一端を取着する上取着部41が形成されている。また、下支持片3にも同様にダンパ又はばね材6の他端を取着する下取着部31が形成されている。そして、該上取着部41にはダンパ又はばね材6の一端を回動自在に取り付けると共に、その他端を前記下取着部31に回動自在に取り付けられている。
【0024】
このように構成された収納部11及び棚板2は、棚板2下降時における速度を緩和させる効果を有するので、棚板2に収納物Mが載置されていたとしても勢いよく下降することがなく、棚板2下降時における危険を回避することができる。また、ばね材6を用いた場合は、棚板2上昇時に使用者が棚板2を持ち上げる力を補助するようにばね材6による力が働くから、容易に棚板2を上昇することができる。
【0025】
図4には、本発明のさらに別の実施例を示している。なお、本実施形態は図3に示す実施形態と大部分において同じであるため、同じ部分においては同符号を付して説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0026】
本実施形態における浴室ユニット7においても、天井面1には上方に突設した凹部からなる収納部11を設置してあり、該収納部11は天井面1と一体に形成してある。棚板2は前記下支持片3と着脱自在に設けて成るものであるが、詳しくは、棚板2の下取着片21は略L字形状にて形成されており、下支持片3に設けられた軸部32に係合されている。さらにその軸部32が係合する部分には、不意に棚板2が脱着するのを防止する凹部からなる脱着防止部211を設けてある。これによって、予期しない棚板2の脱着及び落下を防止することができる。
【0027】
このように構成することで、特にヌメリやカビ等の発生しやすい棚板2を取り外して容易に水洗いや清掃ができるので、衛生面においても非常に良好なものとなる。
【0028】
なお、上述した実施形態における上支持片4と下支持片3の奥手前方向の取付け箇所や数量については特に限定されるものではなく、棚板2及び収納部11の奥手前方向の長さによって適宜決定すれば良いものである。また、上支持片4と下支持片3の形状や材質は特に限定されるものではない。さらに、棚板2の下面には把持部を設けることによって、棚板2の昇降をより容易にすることができるのは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態の浴室の天井面の断面図である。
【図2】他の実施形態の要部断面図である。
【図3】さらに他の実施形態の要部断面図である。
【図4】さらに他の実施形態の要部断面図である。
【図5】従来例の浴室ユニットの断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 天井面
11 収納部
2 棚板
7 浴室ユニット
74 壁パネル
M 収納物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面の上方に向けて凹部を形成し且つ天井面と一体に形成した収納部と、収納部の内部に収納する収納物を載置する棚板と、を設けて成ることを特徴とする天井収納付き浴室ユニット。
【請求項2】
前記棚板は下支持片の一端を回動自在に軸支すると共に、収納部には上支持片の一端を回動自在に軸支して、且つ該下支持片の他端と該上支持片の他端を回動自在に軸支したことを特徴とする請求項1記載の天井収納付き浴室ユニット。
【請求項3】
前記上支持片にはダンパ又はばね材の一端を取着する上取着部を備え、前記下支持片にはダンパ又はばね材の他端を取着する下取着部を備え、該上取着部と該下取着部とをダンパ又はばね材にて架設したことを特徴とする請求項2記載の天井収納付き浴室ユニット。
【請求項4】
前記棚板と前記下支持片とを着脱自在に取着したことを特徴とする請求項2乃至請求項3のいずれか1項に記載の天井収納付き浴室ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate