説明

天井施工ロボット及び天井施工方法

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
本発明は天井材であるボードを天井面に設けられた支持バー間に架け渡して天井施工を行う天井施工ロボット及び天井施工方法に関するものである。
【従来の技術】
逆T字形をしたTバーと称される支持バーを天井面に所定間隔で配設するとともに、これら支持バー間に天井材であるボードを架け渡すことで構成した天井がある。この場合、ボードの両端を隣接する一対の支持バーが備えた水平片上に載せなくてはならないのであるが、この作業はボードを傾けたりずらせたりする複雑な動作を必要とするために、現場で櫓を組んで人手で行っていた。
【発明が解決しようとする課題】
このために、支持バー間にボードを嵌め込むことは作業者の手作業に全面的に依頼するものとなっており、これ故に天井施工作業に多大な時間と手間が必要となっている上に、この作業は高所での上向き作業となるために作業者にかかる負担が非常に大きいものであった。
本発明はこのような点に鑑み為されたものであり、その目的とするところは支持バー間へのボードの嵌め込みが機械的に且つ簡単になされる天井施工ロボット及び天井施工方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、天井に一定間隔で施工された支持バー間に天井材としてのボードを配設するものであって、支持バーに沿って走行する台車と、この台車上に設けられてボードの把持並びにこのボードの上昇と水平移動と上下の角度変更と回転とを行うボード操作部とを備えるとともに、支持バーとボードとの間の位置誤差の検出手段と、この検出手段の出力に基づいてボード操作部を動かして支持バーに対するボードの位置を定めて支持バー間にボードを配設させる制御手段とを備えている天井施工ロボットに第1の特徴を有するとともに、ボードが架け渡される支持バーを基準として、ボード操作部で把持されているボードの支持バーに対する位置を求めて、支持バーと直交する方向のボードの角度ずれ及び位置ずれボード操作部を動かして矯正し、しかる後に、ボードが架け渡される一対の支持バーを結ぶ方向においてボードに鉛直方向における傾斜を持たせた状態でボードを持ち上げて、支持バー間を下方から上方に通過させ、この後、ボードを支持バーを結ぶ方向にずらせるとともにボード操作部を下降させて支持バー間にボードを架け渡す天井施工方法に他の特徴を有している。
[作用]
本発明によれば、支持バーとボードとの相対位置を検出してボードの支持バーに対する姿勢の調整がなされる上に、ボードの傾きも調整することができるようになっているために、支持バー間へのボードの嵌め込みを自動化することができるものである。
[実施例]
以下本発明を図示の実施例に基づいて詳述すると、この天井施工ロボットは、台車1の前後に積載車8と作業台車100とが連結されたものとして構成されている。
台車1は左右一対の駆動輪15,15と、同じく左右一対のキャスター16,16で走行自在となっているもので、その上面には門型のフレーム10が立設されており、このフレーム10の作業台車100側にはコントロール装置11が搭載され、フレーム10の積載車8側にはボード操作部が配設されている。このボード操作部は、下方から順に昇降台2、横ずれ調整装置3、角度調整装置4、昇降台5、傾き調整装置6、そして把持部7とからなるものとして構成されている。
昇降台2は、フレーム10に沿って上下に配設されるとともに、第4図に示すモータ21によって回転駆動されるねじ軸22と螺合する送りナット23を備えるとともに、第5図5図に示すように、フレーム10に設けられた左右一対のレール24,24と摺動係合するスライダー25を備えて、ねじ軸22の回転に伴って上下に移動するものである。
横ずれ調整装置3は、第6図に示すように、中央に軸受け筒31を備えて昇降台2上面に形成されたレール28と摺動係合することで左右方向にスライド自在となっているプレート30と、昇降台2上面に配設されたモータ33及びこのモータ33で回転駆動されるねじ軸34と、ねじ軸34に螺合する送りナット32とで構成され、モータ33によるねじ軸34の回転でプレート30が左右にスライドする。
角度調整装置4は、第7図に示すように、上記軸受け筒31の上端部によって軸まわりに回転自在とされている回転プレート40と、この回転プレート40に上下にスライド自在に挿通されたガイド棒41、横ずれ調整装置3におけるプレート30上に設置されたモータ42で回転駆動されるねじ軸43、ねじ軸43と螺合する送りナット44、送りナット44に設けられたローラ45、そして回転プレート40に取り付けられるとともにローラ45を間にはさむフォーク46とからなるもので、モータ42でねじ軸43を回転させる時、回転プレート40は軸受け筒31を中心に回転する。
昇降台5は、第5図に示すように、上記軸受け筒31に挿通された昇降軸51の上端に回転自在に取り付けられるとともに、ガイド棒41の上端が連結されたもので、横ずれ調整装置3におけるプレート31上に配されたモータ53で昇降軸51のラック52に噛み合うピニオン54を回転させる時、上下に昇降を行う。また角度調整装置4で回転プレート40を回転させる時、この回転プレート40と昇降台5とがガイド棒41で連結されているために、昇降台5も昇降軸51の軸まわりに同時に回転する。
そして昇降台5上には第8図に示す傾き調整装置6を介して把持部7が設置されている。ここにおける傾き調整装置6は、昇降台5上に配されたモータ61によって回転駆動されるねじ軸62と、このねじ軸62に螺合する送りナット63、昇降台5上に設けられたレール58に沿ってスライド自在とされているとともに上記送りナット63が設けられたスライダー64、把持部7の長手方向一端側を枢支する軸67、把持部7に設けられて上記スライダー64に形成されている上下方向に傾いた傾斜溝65に係合するローラ66とからなるもので、モータ61でねじ軸62を回転させることでスライダー64をスライドさせる時、把持部7の上下方向の傾きが、軸67を中心とする回動で左右方向において変化する。
そして把持部7は第9図に示すものとして形成されている。すなわち、左右方向に長い矩形状のベースプレート70と、このベースプレート70上に並べられた複数個のローラー71、ベースプレート70の前後、つまり短手方向の両端に配された一対の互いに平行な矯正子72,72とからなるもので、ベースプレート70に対して前後方向にスライド自在に取り付けられている一対の矯正子72,72に設けられた送りナット76は、モータ73にタイミングベルト74を介して連結されたねじ軸75におけるねじ方向の異なるねじ部に夫々螺合していることから、ねじ軸75の回転により、一対の矯正子72,72は、互いに接近したり離れたりする。図中77はスライドガイド軸である。上記各ローラー71は、その軸方向がベースプレート70の長手方向となるようにされている。
台車1における一対の駆動輪15,!5は、第10図に示すように、夫々が駆動用モータ17,17を備えて独立に回転駆動されるものとなっており、台車1の走行にあたり、両駆動輪15,15の回転数に差を持たせることで操舵されるようになっている。操舵装置を必要としないために、機構が簡単ですむものであり、直進性も優れたものとなっている。
また、ここにおける各駆動輪15,15は、夫々鉛直方向の軸16,16に取り付けられているとともに、同じく鉛直方向の軸18に夫々リンク19,19で連結されたものとなっており、軸18を他のモータで回転させることによって、第10図(b)(c)に示すように、両駆動輪15,15を軸16,16を中心に夫々逆方向に90゜回転させて、一直線に並ぶようにすることができるようになっている。このために、台車1は通常の走行方向と直交する方向の横移動を簡単に行うことができるものであり、しかも回転方向を互いに逆にしているために、この回転時に台車1の向きが不定となってしまうことがない。
この台車1には、総計3個のCCD素子からなる撮像手段C1,C2,C3が設けられている。撮像手段C1,C2は、天井面に配されているとともにボードBが架け渡されるべき一対の支持バーA,Aのうちの一方を撮像するものであって、第14図に示すように、台車1の前後方向の軸Xと平行な軸線Xa上に並ぶように所定の間隔L2で設置されている。図中A′は上記一対の支持バーA,A間のセンターラインである。
上記駆動輪15,15による台車1の走行は、両撮像手段C1,C2による画像情報から得られる台車1の前後方向の軸Xと支持バーAとがなす角度θの情報に基づき、この角度θが0となるように一対の駆動輪15,15を異なる回転数で回転させることで、支持バーAに沿った動きとなるように制御される。上記角度θは、前後方向の軸Xと直交する方向(Y)における両撮像手段C1,C2の中心点と支持バーAとの間の距離a,bと、一対の撮像素子C1,C2の上記軸線Xa上における距離L2とから θ=tan-1((a+b)/L2
で求めることができる。尚、天井面までの高さ方向の距離は、撮像手段C1,C2を上下させることで、一定の距離となるようにされる。
他の撮像手段C3は、上記把持部7で把持されたボードBの横ずれ量を検出するためのものであり、この横ずれ量の検出と補正については後述する。
次に移載車8について説明する。これはフォークリフトと同様に構成されるとともに、上端に移載装置9が設けられたものであって、第11図に示すように、上方に立ち上がるフレーム80にはモータ81で回転駆動される上下方向のねじ軸82と、上下方向のガイドレール85,85とが設けられており、このガイドレール85にスライド自在に係合する積載アーム84には、ねじ軸82と螺合する送りナット83が取り付けられている。モータ81でねじ軸82を回転させる時、積載アーム84はガイドレール85によるガイドを受けつつ上下に移動する。図中86はバランスウェィトである。
移載装置9は上記フレーム80の上端に設けられて、積載アーム84上に積載された天井材であるボードBを上から一枚ずつ台車1のボード操作部における把持部7上に移すもので、第12図に示すように、左右一対の挟持具90,90と、先端に夫々挟持具90,90が取り付けられた回転アーム91,91と、この回転アーム91,91の基端が固着された回転軸92と、回転軸92内に挿通された回転軸93と、各回転軸92,93を夫々回転させるモータM1,M2とからなるもので、アーム91先端と挟持具90とを連結する連結軸97が上記回転軸93にベルト98で連結されている。
各挟持具90は、第13図に示すように、ガイド棒903に夫々スライド自在に係合する一対の挟持子905,905と、モータ900で回転駆動されるねじ軸901とを備えたものとなっており、ねじ軸901におけるねじ方向の異なるねじ部に夫々螺合する送りナット902,902を備えた両挟持子905,905は、モータ900によるねじ軸901の回転で互いに接近もしくは離反する。そして両挟持子905,905の対向面には、夫々複数個の針状部材906が取り付けられている。
しかしてこの積載車8においては、その積載アーム84上に載せられたボードBが、上述のように移載装置9によって台車1側の把持部7上に載せ変えられるものであるが、この動作は次のようにしてなされる。
すなわち、積載アーム84はその上に載せられたボードBにおける最上端に位置するボードBが挟持具90の直下に位置するように昇降を行うものであり、そして移載装置9は、最上端のボードBを挟持具90の対の挟持子905,905を互いに接近させることでその針状部材906をボードBの側端面に差し込ませてボードBを挟持し、その後、回転アーム91を回転させることで、挟持しているボードBを台車1側の把持部7に移す。
この時、積載アーム84上に積載されたボードBが表向きである場合には、つまり天井に配した時に下方側となる表面が上向きとなっている場合には、移載装置9はモータM1による回転アーム91の回転でボードBを裏返して把持部7に移すが、積載アーム84上に積載されたボードBが裏向きである場合には、回転アーム91を回転させている間に、モータM2による回転軸93(連結軸97)の回転を同時に行って、回転アーム91に対して挟持具90を更に回転させる反転動作を行い、把持部7上に表裏を入れ換えることなく移す。この動作のために、移載装置9にはボードBの表裏を判定するための判定手段(図示せず)を設けている。この判定手段としては、ボードBの側端面の形状を光学的に、あるいは機械的に検出するものを使用することができる。また、判定手段の出力は台車1側にも送られて、移載装置9からボードBを受け取る際の把持部7の高さが自動的に調整されるようになっている。
挟持子905に針状部材906を設けて、この針状部材906をボードBの側端面に差し込むことでボードBを保持するようにしているのは、一般に気孔を含む柔らかい材質で構成されているために傷付きやすいボードBの表面に傷がつくことがないようにするためであり、また真空吸着式の場合のような大掛かりが装置を不要とするためである。
次に、把持部7にボードBが移されてからの動作について説明する。把持部7上にボードBが移されたならば、把持部7における一対の互いに平行な矯正子72,72がボードBの長手方向中央部の両側面を挟みこむことで、ボードBの長手方向が台車1の前後方向軸Xと直交する方向となるように向きを矯正する。この時、把持部7におけるベースプレート70上にはローラー71が設けられているために、ボードBが擦れて傷がつくようなことがない。
そしてボードBの向きが固定されたならば、撮像手段C3によるボードBの長手方向端縁の位置の検出,つまりは台車1の基準点Oと長さが入力されているボードBの中心点O′との間の横ずれ量の検出と、撮像手段C1,C2による台車1の前後方向の軸Xのずれθ及び支持バーAに対する台車1の基準点Oの位置の検出とから、支持バーAに対するボードBの位置及び角度の調整がなされる。
この点について説明すると、前述のように検出された台車1の前後方向の軸Xと支持バーAとがなす角度θの情報から、角度調整装置4による角度調整がなされて、把持部7上のボードBの長手方向が支持バーAに対して直交するように補正される。
また、台車1に固定された撮像手段C3から得られる台車1の基準点OとボードBの中心点O′との間の横ずれ量cと、一対の支持バーA,A間の距離(支持バーAとセンターラインA′との間の距離L1)と、撮像手段C1,C2から得られる台車1の基準点Oの位置とから、ボードBの中心点O′がセンターラインA′上の目標点Tに位置するように、横ずれ調整装置3が把持部7の位置を調整する。
尚、ここでは上記調整を行う前の通常位置に位置する昇降軸51のあるところを基準点Oとしている。また、台車1の前後方向軸Xと直交する方向にボードBを動かす横ずれ調整装置3上に角度調整装置4がある関係上、横ずれ調整装置3による位置調整は、上記角度θを調整条件に含むものとなっており、補正すべき横ずれ量Lcは,一方の撮像素子C1と台車1の基準点Oとの間の上記軸線Xa上における距離をL3、撮像手段C3で検出されるボードBの中心点O′と台車1の基準点Oとの距離をcとする時、Lc=[{(a/(a+b)L2+L3}sinθ −(1−cosθ)L1+c]/cosθとなっている。ちなみに台車1の基準点O上に回転軸がある角度調整装置4上に横ずれ調整装置3がある場合は、第16図にも示すように、Lc={(a/(a+b)L2+L3}sinθ−(1−cosθ)L1+cとなる。
ボードBが架け渡されることになる支持バーAを基準にしてボードBの位置決めを行うことから、ボードBを正確に位置決めすることができる上に、新たな基準となるものを設ける必要がなく、施工の簡略化を図れるものであり、更に簡単な演算ですむようになっていることは、演算部にかかる演算のための負担が少なくて演算スピードが早くなる上に、プログラミング作業に対する負担も小さくなる。そして、台車1に基準点Oを設けていることは、ボードBの長さが異なるものについてもボードBの長さ寸法値の変更だけで容易に対応することができる。
このようにして、ボードBの長手方向が支持バーBと直交する状態に調整されるとともに支持バーAと直交する方向のボードBの位置の調整がなされた後は、第17図に示す動作により、一対の支持バーA,A間にボードBが架け渡される。
すなわち、昇降台2,5によるボードBの上昇で、ボードBをいったん支持バーA,Aの上方に通さなくてはならないのであるが、このために、同図(a)に示すように、傾き調整装置6によってボードBに長手方向両端の高さを異ならせる傾き調整がなされるとともに、ボードBの中心O′が一方の支持バーA側に少し寄る位置調整が横ずれ調整装置3によって行われ、この状態でボードBの一端だけが支持バーA,A間を上に抜けるように上昇がなされる。
ついで、同図(b)に示すように、ボードBの他端が支持バーA,Aの間にくるように、横ずれ調整装置3によるボードBの傾いた状態のままでの長手方向移動がなされ、更にボードBの他端が支持バーA,A間を上に抜けるように、上昇がなされる。ただし、この上昇は、傾き調整装置6によって傾斜したボードBの下方側を持ち上げてボードBの傾きを小さくする動作を主体として行われる。これは、ボードBの一端が支持バーAの上方に位置する他の天井構成部材にボードBが触れないようにするためである。
その後、同図(c)に示すように、ボードBの他端が支持バーAに寄るように横ずれ調整装置3による位置調整がなされるとともに、ボードBの下降とボードBの傾き角度が更に小さくなる動作がなされ、同図(d)に示すボードBの水平化と下降とを経た後、同図(e)に示すように、支持バーAの上端部の膨らみを避けるために一方側に寄せていたボードBが両支持バーA,A間の中央に位置するように横にずらし、把持部7によるボードBの把持を解放することで、支持バーA,A間へのボードBの架け渡しが完了し、この時ボードBはその両端が支持バーA,Aの水平片上に載る。
第18図はこの時の昇降台2,5と傾き調整装置6と横ずれ調整装置3及び把持部7の動作のタイムチャートである。図中の■〜■は第17図中の同じ記号で示す動作に対応している。
作業台車100は、上述のようにして支持バーA,A間に架け渡されたボードBを既に架け渡されているボードBに目地部材を介して接続する作業を行う作業車が乗るためのものであり、台車1に付設されたコントロール装置11はこの作業台車100に乗っている作業者が操作しやすい上面に操作パネルが設けられている。
この天井施工ロボットが、台車1と積載者8そして作業台車100に分割されて、台車1に積載車8と作業台車100が連結自在とされているのは、エレベーターに分割して載せることができるようにしているためである。把持部7の昇降のための部材を昇降台2,5に分割しているのも、高さを抑えるためである。尚、作業台車100と積載車8とを台車1に連結した時、作業台車100における車輪及び積載車8における車輪が床面から浮くようにしておくことが、台車1の支持バーAに沿った走行をスムーズなものとする点で好ましい。第1図及び第2図中の105はバッテリー、106は走行用バッテリーである。
位置検出のために撮像手段C1,C2,C3を用いたのは、非接触式とすることで、台車1の走行のための障害要素をなくすためであるが、接触式の検出手段を用いてもよい。
【発明の効果】
以上のように本発明の天井施工ロボットにおいては、支持バーとボードとの相対位置を検出してボードの支持バーに対する姿勢の調整がなされる上に、ボードの傾きも調整することができるようになっているために、支持バー間へのボードの嵌め込みを自動化することができるものであり、特に常に上方を向いて行わなければならなかった作業が自動化されることから、作業者が腰を痛めてしまう危険性を排除することができる。また、支持バーに沿って走行する台車上に設けていることから、ボードの取付施工のために櫓を組む必要もないものであり、天井施工作業に要する手間と時間を大幅に削減することができるものである。
そして、支持バーとボードとの間の位置誤差の検出手段を、ボードが架け渡される支持バーを基準としてボードの位置を検出するものとした時には、ボードを取り付ける対象である支持バーを基準にすることになるために、ボードの位置調整を正確に行えるものであり、ボードが架け渡される一対の支持バーを結ぶ方向において一対の支持バー間を通過させるためにボードに鉛直方向における傾斜を持たせる傾き調整部をボード操作部に設けることで、ボードに傾きを持たせて支持バー間を通過させることを容易に行えるものである。
また、ボード操作部を、昇降台と、ボードをその長手方向に移動させる横ずれ調整部と、ボードを鉛直軸回りに回転させる角度調整部と、ボードが架け渡される一対の支持バーを結ぶ方向においてボードに鉛直方向における傾斜を持たせる傾き調整部と、ボードを把持する把持部とから構成して、昇降台上に横ずれ調整部と角度調整部と傾き調整部と把持部とを設ければ、必要な複数種の操作を各調整部及び昇降台に分担させることができるために、制御を容易に行えるものである。
天井バーとボードとの間の位置誤差の検出手段を、ボードが架け渡される一対の支持バーに対する台車の基準点の位置を検出する第1の検出手段と、ボード操作部で把持されたボードの台車の基準点に対する位置を検出する第2の検出手段とから構成して、ボード操作部はボードをその長手方向に移動させる横ずれ調整部と、ボードを鉛直軸回りに回転させる角度調整部とを備え、上記検出手段の出力に基づき、横ずれ調整部と角度調整部とで支持バーに対するボードの位置調整を行うものとすれば、ボードの支持バーに対する位置誤差の検出とこの位置誤差の調整とを容易に行えるものとなり、この時、ボード操作部における横ずれ調整部を台車の前後方向軸と直交する方向にボードを移動させるものとして形成するとともに角度調整部をこの横ずれ調整部上に設ければ、あるいはボード操作部における角度調整部をその回転軸が台車の基準点に位置するように配設して、横ずれ調整部をこの角度調整部上に設ければ、位置誤差の修正が更に容易となる。
しかも、天井バーとボードとの間の位置誤差の検出手段を、ボードが架け渡される一対の支持バーに対する台車の基準点の位置を検出する第1の検出手段と、ボード操作部で把持されたボードの台車の基準点に対する位置を検出する第2の検出手段とから成るものとし、第1の検出手段は台車の前後方向軸と平行な軸線上に固定されて支持バーを検知する一方のセンサで構成し、第2の検出手段は台車に別途固定されてボードを検出する他のセンサで構成して、ボードが架け渡される一対の支持バー間の距離2L1と、一対のセンサの上記軸線上における距離L2と、一方のセンサと台車の基準点との間の上記軸線上における距離L3と、両センサで検出されるセンサと一方の支持バーとの間の水平面内における距離a,bとから演算される支持バーに対する台車の基準点の位置並びに第2の検出手段で検出されるボードの中心点と台車の基準点との距離cから、支持バーに対するボードの位置誤差を演算すれば、最小限の検出手段及び最小限の演算でボードの位置調整を行うことができる。また、ここにおける距離a,b,cの算出を、第1の検出手段における一対のセンサ及び第2の検出手段におけるセンサを夫々CCD素子を持つ撮像手段で形成して画像処理技術で算出すれば、非接触で測定することができることになるために、検出手段が台車の走行やボードの操作の邪魔になることがないものとなる。
加えるに、ボードが積載された昇降型積載手段と、台車上のボード操作部に積載部からボードを一枚毎に移載する移載手段とを備えたものとすれば、ボード操作部にボードを渡すことも自動化することができるものであり、特に、ボード操作部及び支持バーとボードとの間の位置誤差の検出手段が設けられた台車に対して上記積載手段及び移載手段を備えた積載車が分離連結自在となるようにすれば、両者を分離することでエレベータによる移動を行えるものとすることができる上に、積載車側の積載装置及び移載装置にはボードの取り扱いに精度を持たせる必要がなく、従って積載車と台車との連結時の精度を問うことがなくなる。
また、上記移載手段をボードの表裏判定部と、表裏判定部の出力に基づいて選択的に作動してボードの表裏を入れ換える反転部とを備えたものとすれば、積載部上に積載するボードの表裏を問うことがなくなるものであり、ボードの側端面に差し込まれる針状の挟持子を複数対備えて、これら挟持子でボードを挟持するボード挟持部を移載部に設ければ、積載部からボード操作部にボードを移すにあたって、真空吸引装置といった大掛かりな装置を必要としない上に、ボードの表裏面を傷付けるようなことがなくなるもである。
反転部を備えた移載手段としては、一端が回動自在に支持されて回動駆動されるアームと、アームの先端に設けられたボード挟持部と、アームに対してボード挟持部を水平軸まわりに回転させる自転部とからなるものとすれば、構造が簡単で制御も容易なものとなる。
昇降台を第1昇降台と、この第1昇降台に対して昇降を行う第2昇降台とで構成すれば、全高を抑えることができ、第1昇降台上に横ずれ調整部と角度調整部とを設け、これら横ずれ調整部と角度調整部とで横ずれと角度調整とがなされる第2昇降台上に傾き調整部と把持部とを設ければ、ボードを支持バー間に嵌め込む際の傾き調整部の制御を複雑なものとせずにすむ。
ボード操作部における把持部を複数個のローラー群と、このローラー群上に載せられるボードを両側面から挟む互いに平行で且つ間隔が可変とされた対の矯正子とからなるものとすれば、ボードの位置調整に際して、矯正子でボードを挟む方向の位置ずれを無視することができるものであり、またローラー群はこの時にボードが傷付いてしまうことを防ぐ。
台車に独立駆動される複数の駆動輪を設けて、支持バーに対する走行方向のずれの検出手段の出力に基づいて上記駆動輪の回転数差により走行方向の補正を行うものとすることで、台車の走行方向の補正を複雑な操舵機構を必要とすることなく簡便に行うことができ、更に独立駆動される複数の駆動輪を、夫々鉛直軸まわりに回転自在として、複数の駆動輪を鉛直軸まわりに少なくとも90゜の範囲で相反する方向に連動回転させる走行方向転換手段を設ければ、台車の走行路をずらすことが台車の横移動で行うことができる上に、台車の向きが不定になってしまうこともない。
そして本発明の天井施工方法においては、まず天井面の支持バーに対するボードの位置誤差を補正した後、ボードを支持バー間に嵌め込む動作を行うために、ボードの嵌め込み動作の際にはボードの位置誤差を考慮する必要がなく、このためにボードを支持バー間に嵌め込む動作をボードの上下と傾きと横にずらす動作だけで行えるものであって、嵌め込む動作のための機構及び制御を簡単にすることができる。
そして、この嵌め込み作業における支持バー間を下方から情報にボード全体を通過させるに際して、傾斜したボードの下方側を持ち上げて傾斜角度を小さくすれば、ボードが支持バーの上方に大きく突出して、支持バーを吊り下げている部材等にボードが当たるというようなことがなく、他の部材の邪魔されることなくボードの嵌め込みを行えるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明一実施例の斜視図、第2図は同上の側面図、第3図は同上の正面図、第4図及び第5図は同上の昇降台の斜視図、第6図は同上の横ずれ調整装置の斜視図、第7図は同上の角度調整装置の斜視図、第8図は同上の傾き調整装置の斜視図、第9図は同上の把持部の斜視図、第10図(a)は同上の台車の駆動輪の斜視図、第10図(b)(c)は同上の動作説明図、第11図は同上の積載車の積載部の斜視図、第12図は同上の移載装置の斜視図、第13図は同上の把持具の斜視図、第14図及び第15図(a)(b)は同上の検出調整動作の説明図、第16図(a)(b)は他の検出動作の説明図、第17図(a)〜(e)は同上のボード嵌め込み動作の説明図、第18図は同上の動作のタイムチャートであって、1は台車、2,5は昇降台、3は横ずれ調整装置、4は角度調整装置、6は傾き調整装置、7は把持部、8は積載車、9は移載装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】天井に一定間隔で施工された支持バー間に天井材としてのボードを配設するものであって、支持バーに沿って走行する台車と、この台車上に設けられてボードの把持並びにこのボードの上昇と水平移動と上下の角度変更と回転とを行うボード操作部とを備えるとともに、支持バーとボードとの間の位置誤差の検出手段と、この検出手段の出力に基づいてボード操作部を動かして支持バーに対するボードの位置を定めて支持バー間にボードを配設させる制御手段とを備えていることを特徴とする天井施工ロボット。
【請求項2】支持バーとボードとの間の位置誤差の検出手段は、ボードが架け渡される支持バーを基準としてボードの位置を検出するものであることを特徴とする請求項1記載の天井施工ロボット。
【請求項3】ボード操作部は、ボードが架け渡される一対の支持バーを結ぶ方向において一対の支持バー間を通過させるためにボードに鉛直方向における傾斜を持たせる傾き調整部を備えていることを特徴とする請求項1記載の天井施工ロボット。
【請求項4】ボード操作部は、昇降台と、ボードをその長手方向に移動させる横ずれ調整部と、ボードを鉛直軸回りに回転させる角度調整部と、ボードが架け渡される一対の支持バーを結ぶ方向においてボードに鉛直方向における傾斜を持たせる傾き調整部と、ボードを把持する把持部とからなり、昇降台上に横ずれ調整部と角度調整部と傾き調整部と把持部とが設けられていることを特徴とする請求項1記載の天井施工ロボット。
【請求項5】台車は独立駆動される複数の駆動輪を備えて、支持バーに対する走行方向のずれの検出手段の出力に基づいて上記駆動輪の回転数差により走行方向の補正を行うものであることを特徴とする請求項1記載の天井施工ロボット。
【請求項6】天井バーとボードとの間の位置誤差の検出手段は、ボードが架け渡される一対の支持バーに対する台車の基準点の位置を検出する第1の検出手段と、ボード操作部で把持されたボードの台車の基準点に対する位置を検出する第2の検出手段とから成り、ボード操作部はボードをその長手方向に移動させる横ずれ調整部と、ボードを鉛直軸回りに回転させる角度調整部とを備え、上記検出手段の出力に基づき、横ずれ調整部と角度調整部とで支持バーに対するボードの位置調整を行うものであることを特徴とする請求項1記載の天井施工ロボット。
【請求項7】第1の検出手段は台車の前後方向軸と平行な軸線上に配設固定された一対のセンサで構成され、第2の検出手段は台車に別途固定されてボードを検出する他のセンサで構成されており、ボード操作部における横ずれ調整部は台車の前後方向軸と直交する方向にボードを移動させるものとして形成されるとともに角度調整部はこの横ずれ調整部上に設けられていることを特徴とする請求項6記載の天井施工ロボット。
【請求項8】第1の検出手段は台車の前後方向軸と平行な軸線上に配設固定された一対のセンサで構成され、第2の検出手段は台車に別途固定されてボードを検出する他のセンサで構成されており、ボード操作部における角度調整部はその回転軸が台車の基準点に配設され、横ずれ調整部はこの角度調整部上に設けられていることを特徴とする請求項6記載の天井施工ロボット。
【請求項9】天井バーとボードとの間の位置誤差の検出手段は、ボードが架け渡される一対の支持バーに対する台車の基準点の位置を検出する第1の検出手段と、ボード操作部で把持されたボードの台車の基準点に対する位置を検出する第2の検出手段とから成り、第1の検出手段は台車の前後方向軸と平行な軸線上に固定されて支持バーを検知する一対のセンサで構成され、第2の検出手段は台車に別途固定されてボードを検出する他のセンサで構成されており、ボードが架け渡される一対の支持バー間の距離2L1と、第1の検出手段である一対のセンサの上記軸線上における距離L2と、この両センサのうちの一方のセンサと台車の基準点との間の上記軸線上における距離L3と、両センサで検出されるセンサと一方の支持バーとの間の水平面内における距離a,bとから演算される支持バーに対する台車の基準点の位置並びに第2の検出手段で検出されるボードの中心点と台車の基準点との距離cから、支持バーに対するボードの位置誤差が演算されることを特徴とする請求項1記載の天井施工ロボット。
【請求項10】ボード操作部はボードをその長手方向に移動させる横ずれ調整部と、ボードを鉛直軸回りに回転させる角度調整部とを備えるとともに、いずれか一方の調整部上に他方の調整部が配設されており、横ずれ調整部が角度調整部上にあるとともに角度調整部の回転軸が台車の基準点にある場合は、角度調整部で補正すべき角度θがtan-1((a+b)/L2
で演算されるとともに、横ずれ調整部で補正すべき移動量Lcが{(a/(a+b)L2+L3}sinθ−(1−cosθ)L1+cで演算され、角度調整部が横ずれ調整部上にあるとともに横ずれ調整部によるボード移動方向が台車の前後方向軸と直交する方向である場合は、角度調整部で補正すべき角度θがtan-1((a+b)/L2
で演算されるとともに、横ずれ調整部で補正すべき移動量Lcが[{(a/(a+b)L2+L3}sinθ−(1−cosθ)L1+c]/cosθで演算され、これら補正値に基づき、角度調整部と横ずれ調整部とでボードの位置補正がなされることを特徴とする請求項9記載の天井施工ロボット。
【請求項11】第1の検出手段における一対のセンサ及び第2の検出手段におけるセンサは夫々CCD素子を持つ撮像手段で形成され、画像処理技術で距離a,b,cが算出されていることを特徴とする請求項9記載の天井施工ロボット。
【請求項12】独立駆動される複数の駆動輪は、夫々鉛直軸まわりに回転自在とされており、複数の駆動輪を鉛直軸まわりに少なくとも90゜の範囲で相反する方向に連動回転させる走行方向転換手段を備えていることを特徴とする請求項5記載の天井施工ロボット。
【請求項13】ボードが積載された昇降型積載手段と、台車上のボード操作部に積載部からボードを一枚毎に移載する移載手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の天井施工ロボット。
【請求項14】積載手段と移載手段とは積載車上に設けられ、昇降台と、ボードをその長手方向に移動される横ずれ調整部と、ボードを鉛直軸回りに回転させる角度調整部と、ボードが架け渡される一対の支持バーを結ぶ方向においてボードに鉛直方向における傾斜を持たせる傾き調整部と、上記移載手段から受け渡されるボードを把持する把持部とから成るボード操作部及び支持バーとボードとの間の位置誤差の検出手段が設けられた台車に対して上記積載車が分離連結自在とされていることを特徴とする請求項13記載の天井施工ロボット。
【請求項15】移載手段はボードの表裏判定部と、表裏判定部の出力に基づいて選択的に作動してボードの表裏を入れ換える反転部とを備えていることを特徴とする請求項13記載の天井施工ロボット。
【請求項16】移載手段はボードの側端面に差し込まれる針状の挟持子を複数対備えて、これら挟持子でボードを挟持するボード挟持部を具備していることを特徴とする請求項13記載の天井施工ロボット。
【請求項17】反転部を備えた移載手段は、一端が回動自在に支持されて回動駆動されるアームと、アームの先端に設けられたボード挟持部と、アームに対してボード挟持部を水平軸まわりに回転させる自転部とからなることを特徴とする請求項15記載の天井施工ロボット。
【請求項18】昇降台は第1昇降台と、この第1昇降台に対して昇降を行う第2昇降台とで構成され、第1昇降台上に横ずれ調整部と角度調整部とが設けられ、これら横ずれ調整部と角度調整部とで横ずれと角度調整とがなされる第2昇降台上に傾き調整部と把持部とが設けられていることを特徴とする請求項4記載の天井施工ロボット。
【請求項19】ボード操作部における把持部は複数個のローラー群と、このローラー群上に載せられるボードを両側面から挟む互いに平行で且つ間隔が可変とされた対の矯正子とからなることを特徴とする請求項4記載の天井施工ロボット。
【請求項20】ボードが架け渡される支持バーを基準として、ボード操作部で把持されているボードの支持バーに対する位置を求めて、支持バーと直交する方向のボードの角度ずれ及び位置ずれをボード操作部を動かして矯正し、しかる後に、ボードが架け渡される一対の支持バーを結ぶ方向においてボードに鉛直方向における傾斜を持たせた状態でボードを持ち上げて、支持バー間を下方から上方に通過させ、この後、ボードを支持バーを結ぶ方向にずらせるとともにボード操作部を下降させて支持バー間にボードを架け渡すことを特徴とする天井施工方法。
【請求項21】支持バー間の下方から上方にボード全体を通過させるに際して、傾斜したボードの下方側を持ち上げて傾斜角度を小さくすることを特徴とする請求項20記載の天井施工方法。

【第6図】
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【第1図】
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【第8図】
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【第2図】
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【第15図(b)】
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【第16図(b)】
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【第3図】
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【第18図】
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【第4図】
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【第5図】
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【第7図】
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【第10図】
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【第9図】
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【第11図】
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【第12図】
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【第13図】
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【第14図】
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【第16図(a)】
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【第15図(a)】
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【第17図】
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【特許番号】特許第3019871号(P3019871)
【登録日】平成12年1月7日(2000.1.7)
【発行日】平成12年3月13日(2000.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−298459
【出願日】平成2年11月1日(1990.11.1)
【公開番号】特開平4−169659
【公開日】平成4年6月17日(1992.6.17)
【審査請求日】平成9年10月27日(1997.10.27)
【出願人】(999999999)日本ベンチャー工業株式会社
【出願人】(999999999)松下電工株式会社