説明

天井点検口の外枠吊り下げ装置

【課題】野縁係止部材を取付用野縁にワンタッチで固定して、取り付け作業時間の短縮を図ることができる天井点検口の外枠吊り下げ構造を提供する。
【解決手段】外枠3の外枠部材に係止される外枠係止部4を備えた棒状の本体部2と、本体部2の外周面に係合する係合片16と、係合片16に連設された立ち上がり板部12と、立ち上がり板部12の上端に直角に連設された上端板部10と、上端板部10の先端に連設された野縁係止片13とを備え、上端板部10に長孔である貫通孔11が形成され、立ち上がり板部12に雌ねじ孔15が形成されてなる野縁係止部材6と、雌ねじ孔15に重なる丸孔23を備えた立ち上がり板部22と、立ち上がり板部22の上端に90°よりもやや大きめの角度で連設され本体部2が挿通可能な孔部24を備えた上端板部21とからなる係合部材7と、丸孔23を介して雌ねじ孔15に螺入する蝶ボルト8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井点検口の外枠吊り下げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載される天井点検口の外枠吊り下げ装置では、外枠吊り下げ装置の外枠に係合する係合部が、外枠の上端面もしくは外側面に設けられた溝に沿ってスライド可能とされており、係合部を外枠の溝に沿って移動させて、配線や配管などと干渉しない位置で外枠吊り下げ装置を外枠に係止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−3554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の天井点検口の外枠吊り下げ装置では、野縁係止部材を取付用野縁に固定するときに、雄ねじ部に螺合した蝶ナットを取付用野縁の位置まで移動させなければならず、取り付け作業に手間が掛かる。
【0005】
本発明の目的は、野縁係止部材を取付用野縁にワンタッチで固定して、取り付け作業時間の短縮を図ることができる天井点検口の外枠吊り下げ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、天井点検口の平面形状が矩形の外枠の少なくとも1組の対向する外枠部材に係止される外枠係止部を下端に備えた棒状の本体部と、この本体部に装着され、本体部の外周面に係合する係合片と、この係合片から直角に上向きに立ち上がるように連設された立ち上がり板部と、この立ち上がり板部の上端に直角に前記係合片と平行となるように連設された上端板部と、この上端板部の先端に下向きに連設された野縁係止片とを備えるとともに、立ち上がり板部と野縁係止片とに対して直交する方向に向くように上端板部に長孔が形成され、立ち上がり板部の略中央に雌ねじ孔が形成されてなる野縁係止部材と、前記野縁係止部材の立ち上がり板部に外側から重なり略中央に前記雌ねじ孔に重なる丸孔を備えた立ち上がり板部と、この立ち上がり板部の上端に90°よりもやや大きめの角度で連設され前記本体部が挿通可能な孔部を備えた上端板部とからなる係合部材と、係合部材の立ち上がり板部と野縁係止部材の立ち上がり板部との間の隙間を狭めるように前記丸孔を介して前記雌ねじ孔に螺入する締め付け用雄ねじ部材とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、締め付け用雄ねじ部材を丸孔を介して雌ねじ孔に螺入して、係合部材の立ち上がり板部と野縁係止部材の立ち上がり板部との間の隙間を狭めることができるので、野縁係止部材を取付用野縁にワンタッチで固定して、取り付け作業時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態に係る天井点検口の外枠吊り下げ装置の斜視図である。
【図2】野縁係止部材の斜視図である。
【図3】係合部材の斜視図である。
【図4】天井点検口の外枠吊り下げ装置の正面図である。
【図5】天井点検口の外枠吊り下げ装置の側面図である。
【図6】天井点検口の外枠吊り下げ装置の平面図である。
【図7】天井点検口の外枠吊り下げ装置の下面図である。
【図8】天井点検口の外枠吊り下げ装置の取り付け状態を示す斜視図である。
【図9】天井点検口の外枠吊り下げ装置の取り付け状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施の形態について図1〜図9に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る天井点検口の外枠吊り下げ装置1の斜視図である。図2は野縁係止部材2の斜視図である。図3は係合部材7の斜視図である。図4は天井点検口の外枠吊り下げ装置1の正面図である。図5は天井点検口の外枠吊り下げ装置1の側面図である。図6は天井点検口の外枠吊り下げ装置1の平面図である。図7は天井点検口の外枠吊り下げ装置1の下面図である。図8は天井点検口の外枠吊り下げ装置1の取り付け状態を示す斜視図である。図9は天井点検口の外枠吊り下げ装置1の取り付け状態を示す断面図である。
【0010】
天井点検口の外枠吊り下げ装置1(以下、外枠吊り下げ装置1という。)は、棒状に形成された本体部2と、本体部2の下端に設けられ天井点検口の外枠3に係止される外枠係止部4と、本体部2に装着され天井裏側の取り付け用野縁14に係止される野縁係止部材6と、野縁係止部材6に隣接して本体部2に装着される係合部材7と、野縁係止部材6と係合部材7とを螺合する蝶ボルト8とを備える。
【0011】
本体部2は断面が中実円形の金属製の棒状体である。外枠係止部4は金属製の板材を曲げ加工して形成される。外枠係止部4の断面は、コの字を形成する両側面の開口部が直角に外側に折り曲げられた形状を備え、コの字を形成する両側面には本体部が挿通される貫通孔9が形成される。外枠係止部4を外枠3に係止し易くするために、外枠係止部の角部は面取りされている。
【0012】
野縁係止部材6は金属製の板材を曲げ加工して形成され、概ねL字状の断面を備えている。水平方向に位置しL字の一辺を形成する上端板部10には、本体部2が挿通される貫通孔11が形成される。貫通孔11は、L字を形成する他方の立ち上がり板部12と、後述の野縁係止片13とに対して直交する方向に細長な長孔とされる。上端板部10の先端部には、野縁係止部材6を取り付け用野縁14に係止するための野縁係止片13が連設されている。野縁係止片13は斜め下向きに形成された鉤部である。
【0013】
立ち上がり板部12は、概ね垂直方向に位置し中央部に雌ねじが切られたねじ孔15が形成されている。立ち上がり板部12の下端には、直角に水平方向に曲げられた係合片16が連設される。係合片16の先端にはV字状の凹部17が形成されており、凹部17が本体部2の外周に係合する。
【0014】
係合部材7は板材を曲げ加工して形成され、略L字状の断面を備えている。L字を形成する上端板部21と立ち上がり板部22とを備え、上端板部21と立ち上がり板部22との成す角度は90°よりもやや大きくされる。立ち上がり板部22は、野縁係止部材6の立ち上がり板部12を外側から覆うように設置される。立ち上がり板部22の略中央には、野縁係止部材6のねじ孔15に螺合される蝶ボルト8の逃がし孔である丸孔23が形成されている。上端板部21には、本体部2が挿通可能な丸孔24が形成されている。
【0015】
本体部2の下部には外枠係止部4が装着され、本体部2の上部には野縁係止部材6が装着され、さらに野縁係止部材6を覆うように係合部材7が装着される。野縁係止部材6と係合部材7とは蝶ボルト8によって連結される。本体部2に装着された外枠係止部4,野縁係止部材6または係合部材7が本体部2から脱落することを防止するために、本体部2の上端と下端とはかしめられている。
【0016】
取付用野縁14はC型チャンネルを用いて形成される。取付用野縁14は、C型チャンネルの開口部が水平方向に臨んだ状態で、天井の上方に取付けられた野縁受け28に載置される。野縁受け28の下側には連結部材(図示せず)を介して野縁29が取り付けられており、天井材30は野縁29の下面に当接した状態でビス止めされている。天井点検口の外枠3は、天井材30の所定位置に形成された正方形の開口部に嵌められる。
【0017】
外枠吊り下げ装置1は、図8に示すように、本体部2が水平方向に向けられて、外枠係止部4が外枠3に嵌め込まれる。外枠係止部4が外枠3に嵌め込まれた外枠吊り下げ装置1は、本体部2が垂直方向に向くように回動させて起こされる。蝶ボルト8を緩めた状態で、野縁係止部材6の野縁係止片13を取付用野縁14の開口部上側端部31に引っ掛ける。
【0018】
使用者が蝶ボルト8を締め込むと、係合部材7は、上端板部21の丸孔24に本体部2が挿通された状態で、立ち上がり板部22の下端32が、野縁係止部材6の立ち上がり板部12であって係合片16の基端部近傍に当接する。蝶ボルト8をさらに締め込むと、本体部2は、長孔である貫通孔11に沿って野縁係止片13に近づく方向に移動し、丸孔24の野縁係止片13側に位置する内面34に当接する。野縁係止部材6は、本体部2の外周に係合した凹部17を中心として、係合部材7の立ち上がり板部22と野縁係止部材6の立ち上がり板部12との間の隙間を小さくする方向に回動する。これによって、外枠吊り下げ装置1が取付用野縁14に係止される。
【0019】
野縁係止部材6と係合部材7とは、蝶ボルト8を緩めた状態で、本体部2に沿ってスライドさせることができる。野縁係止部材6と係合部材7とを取付用野縁14の開口部上側端部31の位置までスライドさせ、野縁係止部材6の野縁係止片13を取付用野縁14の開口部上側端部31に引っ掛ける。野縁係止片13を開口部上側端部31に引っ掛けた状態で蝶ボルト8を締め込むことによって野縁係止部材を取付用野縁にワンタッチで固定することができる。
【0020】
係合部材7は、上端板部21の丸孔24に本体部2が挿通され、立ち上がり板部22の下端32が野縁係止部材6の立ち上がり板部12に当接した状態で蝶ボルト8が締め込まれたとき、野縁係止部材6の立ち上がり板部12が係合部材7の立ち上がり板部22に重なって面接触することがない形状とされる。また、野縁係止部材6の上端板部10に形成される貫通孔11は、使用者が蝶ボルト8を締め込んで本体部2が移動したときに、本体部2が貫通孔11の周縁部に当接しない長さの長孔とされる。
【0021】
このように、天井点検口の平面形状が矩形の外枠3の少なくとも1組の対向する外枠部材に係止される外枠係止部4を下端に備えた棒状の本体部2と、この本体部2に装着され、本体部2の外周面に係合する係合片16と、この係合片16から直角に上向きに立ち上がるように連設された立ち上がり板部12と、この立ち上がり板部12の上端に直角に前記係合片16と平行となるように連設された上端板部10と、この上端板部10の先端に下向きに連設された野縁係止片13とを備えるとともに、立ち上がり板部12と野縁係止片13とに対して直交する方向に向くように上端板部10に長孔である貫通孔11が形成され、立ち上がり板部12の略中央に雌ねじ孔15が形成されてなる野縁係止部材6と、野縁係止部材6の立ち上がり板部12に外側から重なり略中央に雌ねじ孔15に重なる丸孔23を備えた立ち上がり板部22と、この立ち上がり板部22の上端に90°よりもやや大きめの角度で連設され本体部2が挿通可能な孔部24を備えた上端板部21とからなる係合部材7と、係合部材7の立ち上がり板部22と野縁係止部材6の立ち上がり板部12との間の隙間を狭めるように丸孔23を介して雌ねじ孔15に螺入する締め付け用雄ねじ部材である蝶ボルト8とを備えているので、蝶ボルト8を丸孔23を介して雌ねじ孔15に螺入して、係合部材7の立ち上がり板部22と野縁係止部材6の立ち上がり板部12との間の隙間を狭めることができ、野縁係止部材6を取付用野縁14にワンタッチで固定して、取り付け作業時間の短縮を図ることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 天井点検口の外枠吊り下げ装置
2 本体部
3 外枠
4 外枠係止部
6 野縁係止部材
7 係合部材
8 蝶ボルト
9,11 貫通孔
10,21 上端板部
12,22 立ち上がり板部
13 野縁係止片
14 取り付け用野縁
15 ねじ孔
16 係合片
17 凹部
23,24 丸孔
28 野縁受け
29 野縁
30 天井材
31 開口部上側端部
32 下端
33 背面
34 内面



【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井点検口の平面形状が矩形の外枠の少なくとも1組の対向する外枠部材に係止される外枠係止部を下端に備えた棒状の本体部と、
この本体部に装着され、本体部の外周面に係合する係合片と、この係合片から直角に上向きに立ち上がるように連設された立ち上がり板部と、この立ち上がり板部の上端に直角に前記係合片と平行となるように連設された上端板部と、この上端板部の先端に下向きに連設された野縁係止片とを備えるとともに、
立ち上がり板部と野縁係止片とに対して直交する方向に向くように上端板部に長孔が形成され、立ち上がり板部の略中央に雌ねじ孔が形成されてなる野縁係止部材と、
前記野縁係止部材の立ち上がり板部に外側から重なり略中央に前記雌ねじ孔に重なる丸孔を備えた立ち上がり板部と、この立ち上がり板部の上端に90°よりもやや大きめの角度で連設され前記本体部が挿通可能な孔部を備えた上端板部とからなる係合部材と、
この係合部材の立ち上がり板部が野縁係止部材の立ち上がり板部に重なるように前記丸孔を介して前記雌ねじ孔に螺入する締め付け用雄ねじ部材とを備えた天井点検口の外枠吊り下げ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−23958(P2013−23958A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161483(P2011−161483)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000133319)株式会社ダイケン (53)