説明

天井点検口

【課題】閉扉状態の確認が容易な天井点検口の提供を目的とする。
【解決手段】閉扉操作姿勢と開扉操作姿勢との間で天井面1からの突出高さを異ならせて移動する開閉操作手段2を有し、開閉操作手段2の天井面1からの突出高さにより点検扉3の開扉のおそれを判別可能に構成する。
開閉操作手段2を天井面1からの突出高さが分かる位置である斜め下方から天井点検口を一目見るだけで、閉扉操作姿勢と開扉操作姿勢のいずれかであるかを判別することができ、閉扉状態の確認作業を従来に比して極めて容易にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は天井点検口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉操作手段を備えた天井点検口としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この従来例において天井点検口は、開口枠に蝶番を用いて蓋体の一側縁を連結して形成され、この蓋体の他側縁部には仮錠が備えつけられる。仮錠はいわゆるグレモン錠であり、蓋体の面板を貫通する操作軸の蓋体外表面側の端部にはレバーハンドルが取り付けられる。レバーハンドルを天井面に沿う面内で回転させることにより、操作軸が回転し、この操作軸の他端部に連結された回動アームを介してロッドを開口枠の受け孔に出没させ、蓋体を開閉する。
【特許文献1】特開平10-8701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来例においては、蓋体の開閉がレバーハンドルの天井面に沿う面内での回転姿勢によって決定されるために、しっかりと閉扉されているかを確認するにはレバーハンドルの直下からその回転姿勢を観察しければならず、確認作業に手間を要するという欠点がある。
【0004】
すなわち、例えば駅などの振動が発生しやすい建物の天井に天井点検口を設置した場合、度重なる振動によって上述したレバーハンドルなどの開閉操作手段が開扉操作姿勢側に移動してしまうことがある。不測の開扉は蓋体の転落などによる人身事故を引き起こす原因になることから、これを防ぐためには定期的に開閉操作手段についての閉扉回転姿勢の確認作業が必要となる。一方、天井点検口は、例えば天井裏に配線等が配置される場合には、この配置に沿うなどして一般に所定間隔毎に設けられることから、大規模な駅の場合、全ての天井点検口の直下に移動して都度開閉操作手段の回転姿勢を確認したのでは多大な手間がかかってしまう。
【0005】
また、上記従来例は、閉扉状態と開扉状態の判別が開閉操作手段の天井面に沿う面内での回転姿勢の相違のみによることになるために、上述した確認作業時に勘違いを引き起こしやすいという欠点もある。
【0006】
さらに、天井がやや高い場合には、直下の床から単に眺めただけでは、開閉操作手段の天井面に沿う面内での回転姿勢の識別が困難になりやすいという問題もある。これを防ぐためには開閉操作手段の大きさを大きくすればよいが、この場合には天井の外観を損ねてしまう。
【0007】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、施錠状態の確認が容易であって、妄りに開くことのない天井点検口の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば上記目的は、
閉扉操作姿勢と開扉操作姿勢との間で天井面1からの突出高さを異ならせて移動する開閉操作手段2を有し、開閉操作手段2の天井面1からの突出高さにより点検扉3の開扉のおそれを判別可能な天井点検口を提供することにより達成される。
【0009】
本発明によれば、開閉操作手段2は、閉扉操作姿勢と開扉操作姿勢との間で天井面1からの突出高さを異ならせて移動し、天井面1からの突出高さによって開扉のおそれを判別可能に形成される。したがって開閉操作手段2を天井面1からの突出高さが分かる位置である斜め下方から、あるいは通路のような場所に天井点検口が設置される場合には通路の遠方から一目見るだけで、閉扉操作姿勢と開扉操作姿勢のいずれかであるかを判別することができ、閉扉状態の確認作業を従来に比して極めて容易にすることができる。
【0010】
また、天井面1からの突出高さにより判別することによって、例えば閉扉操作姿勢か開扉操作姿勢のいずれかにおいて天井面1から突出しないようにするなどすれば、これらの判別をより簡単にすることができ、また、いずれの状態であるかを勘違いするようなこともない。さらに、天井面1という一般に開閉操作手段2の大きさに比べて極端に広く、平坦なところから開閉操作手段2を突出させることにより、その識別性を特段に高めることができ、天井面1がやや高い場合でも比較的識別しやすくなる。
【0011】
以上の開閉操作手段2は、例えば、天井面1から突出する方向に移動させることによって閉扉操作姿勢から開扉操作姿勢に直接移行するように構成することも可能であるが、これらの姿勢の移行途上に開扉操作可能姿勢を設け、この開扉操作可能姿勢と閉扉操作姿勢との間で天井面1からの突出高さを異ならせることにより、開扉操作可能姿勢を不測の開扉が生じるおそれがより高くなった状態として把握できるようにすることができ、実際に開扉してしまう一段階前の状態で不測の開扉をより良好に防止することができる。この場合、閉扉操作姿勢と開扉操作可能姿勢との間の移動方向と、開扉操作可能姿勢と開扉操作姿勢との間の移動方向を異ならせれば、例えば、一定方向の大きな振動が加わった場合に直ちに開扉してしまうことを錠装置を用いずに防止することができ、閉扉状態の維持の信頼性を容易に高めることができる。
【0012】
上述した開閉操作手段2の移動方向としては、天井面1からの突出方向、閉扉状態の維持の信頼性を考慮すれば、閉扉操作姿勢と開扉操作可能姿勢との間の移動を垂直回転とし、開扉操作可能姿勢と開扉姿勢との間の移動を水平回転とすることが望ましい。
【0013】
また、このように開閉操作手段2の移動方向を設定した場合において、閉扉操作姿勢において開閉操作手段2を水平回転不能に収容する収容部4を設ければ、この収容部4から引き出されて水平回転可能になる姿勢を開扉操作可能姿勢に設定するだけでよく、例えば、単に直交方向二方向に回転するいわゆる二軸ヒンジ機構のようなもので開閉操作手段2を支持して構成することができる。
【0014】
さらに、この場合において開閉操作手段2を閉扉操作姿勢方向に付勢するとともに、開扉操作可能姿勢方向に所定角度回転した際に付勢方向が反転されて開扉操作可能姿勢方向に付勢するように構成したときには、閉扉操作姿勢に維持されて開扉操作姿勢に移動不能な状態、すなわちしっかりと閉扉されているときに対応する開閉操作手段2の天井面1に対する突出高さと、開扉操作姿勢に移動可能な状態、すなわち開扉のおそれがあるときに対応する開閉操作手段2の天井面1に対する突出高さのいずれかに開閉操作手段2を位置させることができる。すなわち、これらの間の中途半端な姿勢に位置して判別が困難になることを防止できる。また、開扉操作可能姿勢を維持できるようにすることにより、開閉操作手段2による開扉操作性を良好にすることができる。
【0015】
加えて、上述した従来例における蓋体、すなわち点検扉3は、枠体8によって構成することが可能で、天井点検口を設置するための開口部を開設するために天井から切り出した天井材7などを枠体8の開口6内に保持させれば、点検扉3を施工現場で効率的に形成することができる。このように点検扉3を枠体8を用いて構成したときには、上述した開閉操作手段2を備えるような点検扉3の開閉装置5は、外枠側に取り付けるのではなく、枠体8の開口6内に取り付けることが作業効率上好ましい。しかしながら、この場合には開閉装置5のサイズに合わせて天井材7を切り欠かなければならず、厳密な切り欠き寸法の管理が難しいという問題が生じてしまう。
【0016】
この場合において、開閉装置5に化粧カバー10を保持させ、天井材7の切欠部9周縁との隙間を隠すようにすれば、かかる問題を解消することができる。また、このように開閉装置5とは別体の化粧カバー10を用いれば、開閉装置5を縁取るような化粧を施すことができる上に、開閉装置5自体の点検扉3外表面に露出する大きさをより小さく抑えてよりスマートな外観に仕上げることができ、さらに、上述した天井材7に形成される切欠部9のサイズに合わせて化粧カバー10を交換することで融通性を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、閉扉状態の確認が容易な天井点検口を提供することができ、安全性をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1ないし図7に本発明の実施の形態を示す。図1ないし図3に示すように、天井点検口は、天井面1に開設された開口部21の周縁に固定される外枠22と、外枠22内を閉塞、あるいは開放する点検扉3と、この点検扉3の開閉装置5とを有する。上記外枠22は、アルミニウムの押し出し成型品からなる断面略L字形状の枠材23を枠組みして形成され、開口部21周辺の天井材7の室内側表面(天井面1)に被さる鍔部22aを備える。枠組みは同じ長さの枠材23の端部同士を断面略L字形状のコーナーピース24を介して直角に順次連結固定してなされ、図1に示すように平面視においてほぼ正方形の額縁状をなすようになされる。また、図3に示すように、この実施の形態において天井面1を構成する天井材7は天井下地材7aの室内側表面に天井仕上げ材7bを配置して形成される。
【0019】
上記点検扉3は、上述した外枠22よりもひとまわり小さい内枠(枠体8)の開口6内を天井材7で塞いで形成される。内枠8は、上述した外枠22と同様に断面略L字形状の枠材23’をコーナーピース24’により枠組みして形成され、鍔部8aを内側に張り出させることにより開口6内の天井材7の周縁部を支持する。また、この内枠8には開口6内の天井材7の周縁部上面を押さえつける断面L字形状の押さえ片25がねじ止めされ、鍔部22aと押さえ片25により開口6内の天井材7が挟持される。
【0020】
以上の点検扉3は、この実施の形態においては操作性を考慮して外枠22に対して回転軸26を介して回転自在に連結される。図1に示すように、回転軸26は、内枠8の一端縁近傍の対向位置に対をなしてそれぞれ図示省略される止め輪によって適宜固定され、内枠8から外方に向かって延びる端部が外枠22に適宜穿孔される軸孔に回転自在に挿入される。これにより内枠8は、図7(a)に示すように外枠22内に嵌合する閉扉位置と、図1に示すように外枠22に対してほぼ直交する開扉位置との間を移動する。
【0021】
また、上記開閉装置5は、いわゆる平面ハンドルであり、ハンドル(開閉操作手段2)が直交二軸方向に回転自在に連結されるハンドルケース27にはハンドル収容部(収容部4)が形成される。このハンドルケース27は、図1および図4に示すように、ハンドル2の形状に合わせた有底の凹状に形成されるハンドル収容部4の一端部に略円筒状の連結軸収容部27aを連設して形成され、連結軸収容部27aの中空部がハンドル収容部4の中空部からさらに凹むようにして連通する。また、ハンドル収容部4の底壁から立ち上がる側壁の上端縁部は外方に鍔状に折り曲げられ、外方に向かって張り出すリブ27bが形成される。
【0022】
なお、図4等において28はハンドルケース27の固定金具としての止着子、29はこの止着子28の止着によってハンドルケース27との間に固定対象、この実施の形態においては後述する取付金具30を挟み付けるためのカップワッシャーに近似した押さえ金具であり、この押さえ金具29は図4(a)および(b)に示すようにハンドル収容部4に近接して配置できるようにハンドル収容部4側の一側方が切り欠かれる。
【0023】
一方、上記ハンドル2は、外形が略棒状の握り部31と、この握り部31の一端から延設されて上述した連結軸収容部27a内に挿入される連結軸32に連結される連結部33とを備える。握り部31は、上述したハンドル収容部4にハンドル2を収容させた状態でハンドル収容部4のリブ27bとほぼ同一面に位置する平面部31aを備える。一方、連結部33は、図4(a)に示すように断面略く字形状に形成され、上記平面部31aから離れるに従って漸次平面部31aからの突出量を大きくして上述したリブ27bから突出する押圧操作部33aを備える。また、ハンドル収容部4の底壁に面する連結部33の底面側には、上記平面部31aとほぼ平行な平行支持面34と、押圧操作部33aに沿うように平行支持面34に対して40度程度の角度で傾斜し、平行支持面34から離れるに従って漸次ハンドル収容部4の底壁からの離間間隔を大きくする傾斜支持面35とが形成される。さらに、上記平行支持面34と傾斜支持面35との境界部分には、図4(a)、(c)および図6(a)等に示すように、上述した連結軸32を平行支持面34および傾斜支持面35のそれぞれに対するほぼ直交方向から呑み込むことができるように細長のスリット状をなす連結軸受け33bが凹設される。
【0024】
以上のハンドルケース27とハンドル2とを連結する連結軸32は、図4(a)や図6(a)等に示すように、上述した連結軸収容部27aに嵌入される嵌入部32aから連結軸受け33bに嵌入される軸本体32bを延設して形成される。この連結軸32は、連結軸収容部27aの内壁に嵌入部32aの外壁を摺接させてハンドルケース27のリブ27bが配置される面に対する直交方向を回転軸線方向としてハンドルケース27に対して回転自在に連結される。この相対回転は、図2および図4(a)等に示すように、後述する止め金板36がハンドルケース27から突設される回り止め突起27cに衝接することにより、ハンドル2がハンドル収容部4に収容できる、すなわちハンドル収容部4に対応する回転姿勢と、この回転姿勢から90度回転してハンドル収容部4に対応しない回転姿勢との間の範囲内に規制される。なお、図4(a)において嵌入部32aの外壁に配置される37は、ゴム製のOリングパッキンである。
【0025】
また、図4(a)および(c)に示すように、上記軸本体32bの先端は半球面にされ、ハンドル2の連結軸受け33bに対して副連結軸38を介して連結される。この副連結軸38は上述した連結軸32の回転軸26方向に対して直交する方向を回転軸線方向とするもので、副連結軸38周りにハンドル2を回転させることにより、ハンドル2をハンドルケース27から出没させることができる。また、副連結軸38周りにハンドル2が妄りに回転することを防ぐために、軸本体32b周りには連結軸32の回転軸線方向に弾性を発揮する波状の座金あるいはワッシャ等からなるバネ39が介装される。なお、図4(a)等において40は平ワッシャーである。
【0026】
以上の連結軸32のハンドル2との連結反対端には断面矩形の突起32cが突設され、これに嵌合することによって相対回転を規制されて上述した止め金板36が連結される。止め金板36は、図3等に示すようにクランク形状をなし、後述するように内枠8に開閉装置5を固定するこの実施の形態において、外枠22内を点検扉3によって閉塞したときにその先端が外枠22の上縁に係止できる程度の長さ、寸法に形成される。
【0027】
この止め金板36は、上述したようにハンドル2をハンドル収容部4に収容できる、すなわちハンドル2がハンドル収容部4に対応した回転位置においてハンドルケース27の側方に飛び出して外枠22に係止できる姿勢になり、対応しない回転位置においてハンドルケース27の上方に重なるようにして外枠22に係止できない姿勢なるように、ハンドル2の連結軸32に対する回転連結姿勢を考慮して連結軸32に連結される。また、これらの回転位置に回転角度を合わせやすいように、止め金板36の基端部には、上述したように連結軸32周りの正逆回転によってそれぞれの回転角度においてハンドルケース27の回り止め突起27cに衝接する切り欠きからなる回転角度規制部41が形成される。なお、図4等において28’が連結軸32に止め金板36を止めるための止着子であり、止着に際してはバネ座金等が適宜介装される。
【0028】
また、上述したように、以上の開閉装置5は内枠8の開口6内に取付金具30を介して取り付けられ、この開口6内の天井材7には、開閉装置5を室内側に露出させるための切欠部9が形成される。取付金具30は、図3等に示すように断面L字形状をなし、上述したように一方の面がハンドルケース27に、他方の面が内枠8の内壁面にネジ止めされる。このネジ止めに際してはハンドル収容部4が室内側に開放する向きに合わせられ、また、化粧カバー10の一側縁部が内枠8の鍔部8aに支持されるように調整される。さらに、この開閉装置5の内枠8への取り付け状態において、上述した止め金板36は、ハンドルケース27の側方に飛び出す姿勢をとることにより、ハンドルケース27から取付金具30側に突出して取付金具30が固定される内枠8の上を越えて外枠22の上縁に係止する。
【0029】
また、上記取付金具30のハンドルケース27に対する固定面は、図4(a)ないし(c)に示すように、ハンドル収容部4や上述した止着子に噛み合うネジ穴が切られたネジ受け突起27dなどのハンドルケース27のリブ27bよりも室外側に突出する突出部を避けるようにして切り欠かれる。この実施の形態においては、ハンドルケース27の水平方向への移動を拘束できるように、上記突出部周りを半周以上程度に渡って囲むことができるよう切り欠かれ、上述したネジ止め姿勢をとるハンドルケース27に対して上方から被せることにより、リブ27bに当接するようにして上記突出部の周囲に嵌合される。この状態で上述したように押さえ金具29とハンドルケース27のリブ27bとの間で取付金具30を挟持することにより、内枠8への取付状態においてハンドルケース27の表面側に押さえ金具29が露出することはない。
【0030】
さらに、以上の押さえ金具29とハンドルケース27のリブ27bとの間には化粧カバー10が介装される。この化粧カバー10はハンドルケース27のリブ27bの周囲を縁取り、室内側からの外観を良好に維持するためのもので、リブ27bよりもひとまわり大きい程度の外形寸法を有する。上述した取付金具30と同様にハンドルケース27に対して上方から被せることができるように、化粧カバー10は、突出部の周囲を包囲するように金属の薄板材を切り欠いて形成される。
【0031】
したがって以上の天井点検口は、止め金板36を外枠22に係止させる連結軸32周りの回転姿勢、すなわちハンドル収容部4に対応する回転姿勢にハンドル2を合わせることにより、閉扉させることができる。ここからハンドル2を回転させれば、外枠22に対する止め金板36の係止を解除させて開扉することができる。上述したように天井点検口が閉扉位置をとるときにおいて、ハンドル収容部4に収容される副連結軸38周りの回転姿勢にハンドル2を合わせれば、ハンドル2の連結軸32周りの回転が収容部4によって禁止され、これにより天井点検口が確実に閉扉されることになる。ここから開扉するには、ハンドル2を一旦ハンドル収容部4から飛び出す副連結軸38周りの回転姿勢に合わせた後、さらに止め金板36を外枠22から係止解除させる連結軸32周りの回転姿勢に合わせればよい。
【0032】
すなわち、ハンドル2は、図4に示すようにハンドル収容部4に収容されたときを閉扉操作姿勢とし、図6(c)に示すようにハンドル収容部4から飛び出し、かつ、ハンドル収容部4に対応しない連結軸32周りの回転姿勢をとるときを開扉操作姿勢とする。また、この閉扉操作姿勢と開扉操作姿勢との間の移行途上において、ハンドル2は、図5に示すように、ハンドル収容部4から飛び出し、かつ、連結軸32周りにハンドル収容部4に対応する回転姿勢、言い換えれば開扉操作姿勢に移行できる開扉操作可能姿勢をとる。さらに、以上のハンドル2は、図6(a)および(b)に示すように、平行支持面34と傾斜支持面35との境界部が平ワッシャー40に圧接したときを思案点とするバネ39により、平行支持面34を連結軸32の平ワッシャー40に圧接させた閉扉操作姿勢、あるいは上記平行支持面34に変えて傾斜支持面35を圧接させた開扉操作可能姿勢のいずれかに保持される。
【0033】
以上の天井点検口の天井への施工を図2および図3等を参照して説明する。施工に際しては、まず最初に外枠22の外形寸法に合わせて天井材7を切断して天井に開口部21を開設させる。この開口部21の寸法は、外枠22の鍔部22aの寸法が許容公差として機能することから、現場での作業であっても特段の手間が生じることはない。また、この際切り出した天井材7の切片は、上述した突出部の配置領域を除く内枠8の内形寸法に合わせて切断され、内枠8の内部に装着されて点検扉3の一部として再利用される。この天井材7の切片の寸法は、内枠8の鍔部8a、および化粧カバー10が許容公差として機能する。
【0034】
次いで、図2に示すように、開口部21の周囲に取付用のチャンネル材42を配置して補強する。この取付用のチャンネル材42は、点検扉3の開閉時の回転方向に直交する開口部21の対向辺縁に配置され、天井裏において直交方向に所定間隔で架設される支持用のチャンネル材43間に架設され、この支持用のチャンネル材43は、例えば、図示しない野縁間に連結固定されて支持用のチャンネル材43に対する直交方向に所定間隔で配置される補強用のチャンネル材44間に架け渡されて支持される。天井点検口の天井への取り付け、すなわち外枠22の開口部21への取り付けは、図3に示すように、取付用のチャンネル材42に適宜固定されたチャンネルキャッチ部材45から垂下される吊り下げ片45aを外枠22の外壁にネジ止めすることによりなされる。この取り付けに際して、外枠22の鍔部22aは開口部21周縁の天井面1に上面を当接させられ、天井面1との外観上の違和感が生じないように配慮される。なお、図2において46は、上述したように格子状に張り巡らされる取付用のチャンネル材42と支持用のチャンネル材を連結して支持強度を高めるためのチャンネルロック部材、47は、図3に示すように、点検扉3の万一の脱落を防ぐためのワイヤーロックであり、外枠22と内枠8を脱離不能に連結する。
【0035】
上述した外枠22の開口部21への取り付け前に予め回転軸26により外枠22に対して点検扉3を連結しておけば、ハンドル2を開扉操作姿勢に合わせることによって点検扉3を外枠22内に嵌合させることができ、この後、ハンドル2を閉扉操作姿勢にすれば、天井点検口をしっかりと閉扉することができる。
【0036】
この閉扉状態において、内枠8の下端は図3に示すように外枠22の鍔部22aとほぼ同一面に位置し、この内枠8の底面や内枠8内に固定される天井材7の切片の底面、ハンドルケース27のリブ27b、化粧カバー10といった点検扉3の室内側表面部が天井面1とほぼ同一面上に配置されて外観上の天井面1との違和感が生じにくくされる。また、ハンドル2についても、閉扉操作姿勢において平面部31aが天井面1とほぼ同一面上に配置され、天井面1から室内側へは面積が小さい押圧操作部33aのみが突出するだけになるために天井面1の外観をあまり損ねることはない。
【0037】
この状態から天井点検口を開扉する際には、先ず、ハンドル2の押圧操作部33aを押圧する。この押圧によって、ハンドル2は垂直回転して開扉操作可能姿勢に移行する。次いで、バネ39によって開扉操作可能姿勢に保持されるハンドル2の握り部31を握り、ハンドル2を水平回転させれば、ハンドル2が開扉操作姿勢に移行して止め金板36の外枠22との係止が解除され、これにより止め金板36の支持を失った点検扉3は自重により回転軸26を中心に垂直回転し、これによって天井点検口を開扉させることができる。
【0038】
また、以上の天井点検口は、図7(a)に示すようにハンドル2が閉扉操作姿勢を取るときには天井面1と一体化したスマートな外観を維持することができる。このとき、ハンドル2は、ハンドル収容部4に収容されることにより水平回転を禁止され、したがって天井点検口が不用意に開扉することはない。図7(b)に二点鎖線で示すように、天井点検口が開扉されてしまうハンドル2の開扉操作姿勢は、ハンドル2が閉扉操作姿勢から一旦、開扉操作可能姿勢に移行した後でなければ移行することができず、この開扉操作可能姿勢は、図7(b)に実線で示すようにハンドル2が天井面1から大きく突出した状態になることから、天井面1との対比によって極めて容易に発見することができる。したがって、仮に外部の振動等が天井点検口に作用したり、あるいは天井点検口を閉め忘れるようなことがあったとしても、開扉操作可能姿勢を極めて容易に発見できれば、天井点検口が不用意に開扉してしまうことを事前に防止することができる。
【0039】
なお、以上の実施の形態においては、開閉装置5として二軸ヒンジ機構を備えた片持梁状のハンドル2を用いた平面ハンドルを用いる場合を示したが、閉扉状操作姿勢から開扉操作姿勢に移行する際に天井面1からの突出量が異なり、これらの見分けを容易にすることができるものであればよく、例えばポップアップハンドル等の他のハンドルを用いたり、平面ハンドルの他の態様のものを用いることも可能である。また、ハンドル2を付勢するバネ39は、上述した波座金等以外に、例えば皿バネなど他の弾性部材を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明を示す図で、開扉状態を示す斜視図である。
【図2】天井への設置状態を示す図で、平面図である。
【図3】天井への設置状態を示す図で、図2の3A-3A線断面図である。
【図4】ハンドルが閉扉操作姿勢をとるときの開閉装置を説明する図で、(a)は図2の4A-4A線断面図、(b)は(a)の4B-4B線断面図、(c)は(a)の4C-4C線断面図である。
【図5】ハンドルが開扉操作可能姿勢に移行したときの開閉装置を説明する図で、(a)は図4(a)に対応する断面図、(b)は図4(b)に対応する断面図である。
【図6】ハンドルの姿勢変更を説明する図で、(a)は閉扉操作姿勢等におけるハンドルとバネとの関係を示す要部断面図、(b)は閉扉操作姿勢から開扉操作可能姿勢に移行する途上のハンドルとバネとの関係を示す要部断面図、(c)はハンドルが開扉操作姿勢に移行したときの開閉装置を説明する図4(a)に対応する図である。
【図7】天井点検口の外観を示す斜視図で、(a)はハンドルが閉扉操作姿勢をとるときを示す図、(b)はハンドルが開扉操作可能姿勢をとるときを示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 天井面
2 開閉操作手段
3 点検扉
4 収容部
5 開閉装置
6 開口
7 天井材
8 枠体
9 切欠部
10 化粧カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉扉操作姿勢と開扉操作姿勢との間で天井面からの突出高さを異ならせて移動する開閉操作手段を有し、開閉操作手段の天井面からの突出高さにより点検扉の開扉のおそれを判別可能な天井点検口。
【請求項2】
前記開閉操作手段は、閉扉操作姿勢から垂直方向に回転して天井面に対する突出高さを大きくさせた開扉操作可能姿勢に移行し、該開扉操作可能姿勢から水平回転することにより開扉操作姿勢に移行する請求項1記載の天井点検口。
【請求項3】
前記開閉操作手段を閉扉操作姿勢において水平回転不能に収容する収容部を有し、
かつ、前記開閉操作手段は、閉扉操作姿勢方向に付勢されるとともに、開扉操作可能姿勢方向に所定角度回転した際に付勢方向が反転されて開扉操作可能姿勢方向に付勢され、閉扉と開扉のいずれかに対応した天井面に対する突出高さを保持する請求項2記載の天井点検口。
【請求項4】
前記開閉操作手段を備えた開閉装置と、
開口内に天井材を保持して点検扉を形成する枠体とを有し、
前記開閉装置は、枠体の開口内に固定され、前記天井材に形成される切欠部周縁との隙間を固定状態において保持する化粧カバーにより隠して点検扉外表面に露出する請求項1ないし3のいずれかに記載の天井点検口。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−41304(P2009−41304A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209142(P2007−209142)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)