説明

天井点検口

【課題】少ない構成部品で取付手間やコストを軽減すると共に、断熱蓋を確実に係止することができると共に容易かつ安全に挿入、取り外しすることができる天井点検口を提供すること。
【解決手段】外枠20と、内枠30と、外枠の上方に配置される断熱枠15と、外枠の開口内に挿脱可能に配置される断熱蓋10と、を具備する天井点検口1において、外枠には、垂直方向に回動可能に軸止される固定片41と、固定片の端部から直交状に屈曲される押え片42と、からなる断熱蓋落下防止具40が取り付けられる。断熱蓋落下防止具は固定片を垂直にする垂直姿勢と水平にする水平姿勢に切り換え可能に形成され、垂直姿勢では、押え片が断熱蓋の下面に当接することにより、断熱蓋の落下を防止し、水平姿勢では、押え片を固定片が軸止される外枠の辺と直交する辺と平行に近接することにより、断熱蓋を挿入、取り外し可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅などの天井に設けられる天井点検口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅の天井には、天井裏で点検者が点検作業をする際の開口として天井点検口が設けてあるのが一般的である。この天井点検口は、不使用時には点検蓋によって封鎖してあるが、一枚の点検蓋だけでは隙間から外気の侵入や点検蓋から天井部の放熱により居住空間の気密性・断熱性が損なわれる虞が高い。そこで、点検蓋の上側に断熱性を有する断熱蓋を更に取り付け、蓋を二重に設けることにより、居住空間の気密性・断熱性を高めるのが一般的である。
【0003】
従来、この断熱蓋の係止手段として、断熱中蓋の上部にフランジ部を設け、取付枠の上端面と上記フランジ部を係合させて係止させる構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、内枠の上端に延設された板部と、板部にねじ止めされる押さえ金具との間に挟まれた出退可能な受け金具を介在させ、上記受け金具を収納空間に引っ張り出して断熱蓋を係止する構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、断熱性能を更に高めるために、断熱外枠を発泡材で形成し、天井上に設けられた野縁に取り付けられたほぼL字型の取り付け金具を断熱外枠に突き刺すことにより、断熱外枠を固定する構造が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−159120号公報
【特許文献2】特開2009−144449号公報
【特許文献3】特開2001−349047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、取付枠を通過して天井開口から室内側に断熱中蓋を取り外す作業を行う場合、断熱中蓋を上方に持ち上げて回転させ斜めに傾けないと、フランジ部が引っ掛かるため取付枠を通過することができない。このため、断熱中蓋を上方に持ち上げて回転させる天井裏スペースが確保できないと取外し作業を行うことができないという問題がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術においては、断熱蓋の落下防止のための部品点数が多く、コストがかかると共に取り付けに手間がかかるという問題がある。
【0009】
また、特許文献3に記載の技術においては、例えば断熱蓋を取り付ける際、断熱外枠に必要以上に押し上げ力が働いた場合、L字型の取り付け金具が変形して隙間が生じ、気密・断熱効率が低下する虞がある。
【0010】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、少ない構成部品で取付手間やコストを軽減すると共に、断熱蓋を確実に係止することができると共に容易かつ安全に挿入、取り外しすることができる天井点検口を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、天井面に開設される天井開口に嵌挿固定される方形状の外枠と、上記外枠の対向する二辺間に介設される回動部材を介して開閉可能に形成され、内部に蓋材を設けた内枠と、上記外枠の上方に配置され、天井下地桁材に固定される方形状の断熱枠と、上記外枠及び上記断熱枠の開口内に挿脱可能に配置される断熱蓋と、を具備する天井点検口であって、 上記外枠には、垂直方向に回動可能に軸止される固定片と、上記固定片の端部から直交状に屈曲される押え片と、からなる断熱蓋落下防止具が、少なくとも対向する二辺に取り付けられ、 上記断熱蓋落下防止具は、上記固定片を垂直にする垂直姿勢と水平にする水平姿勢に切り換え可能に形成され、 上記垂直姿勢では、上記押え片が上記断熱蓋の下面に当接することにより、上記断熱蓋の落下を防止し、上記水平姿勢では、上記押え片を上記固定片が軸止される上記外枠の辺と直交する辺と平行に近接することにより、上記断熱蓋を挿入、取り外し可能に形成してなる、ことを特徴とする。
【0012】
このように構成することにより、断熱蓋落下防止具は、垂直姿勢では、押え片が断熱蓋の下面に当接することにより、断熱蓋の落下を防止するため、内枠を開放した際、断熱蓋が予期せず落下することはなく、断熱蓋を確実に係止することができる。また、水平姿勢では、押え片を固定片が軸止される上記外枠の辺と直交する辺と平行に近接するため、作業員は断熱蓋を容易かつ安全に挿入、取り外しすることができる。更に、断熱蓋落下防止具は外枠と開放された内枠の縁に沿うように収納されるため、作業員の作業スペースを阻害しない。
【0013】
また、この発明において、上記断熱枠は、発泡断熱樹脂材にて形成されると共に、固定具により上記天井下地桁材に固定され、 上記固定具は、平板状の基部と、基部の対向する辺から直交する方向に起立されると共に、互いにハの字状に突設する先端が尖鋭状の固定爪とを具備し、 上記断熱枠の外側の側面に、上記固定爪を差し込み、上記基部と上記天井下地桁材を固定部材により固定する方がよい(請求項2)。
【0014】
このように構成することにより、固定具の固定爪は断熱枠の外側の側面にハの字状に差し込まれるため、断熱枠を必要以上に押し上げる力が働いたとしても、固定爪は互いにハの字状に突設されているため変形に強く、天井下地桁材と強固に固定されるため、断熱枠と天井下地桁材の間に隙間が生じにくい。
【0015】
更に、この発明において、上記内枠の開放時に上記水平姿勢にある上記断熱蓋落下防止具の上記押え片を、上記内枠の閉鎖の際に上記内枠と係合可能に形成し、上記内枠の閉鎖動作に連動して、上記断熱蓋落下防止具を上記垂直姿勢に切り換えるように形成してなる方がよい(請求項3)。
【0016】
このように構成することにより、内枠を閉鎖する際に、断熱蓋落下防止具を水平姿勢から垂直姿勢に切り換える作業を忘れた場合であっても、断熱蓋落下防止具は、内枠の閉鎖動作に連動して垂直姿勢に切り換わることができるため、再度内枠を開放する際、断熱蓋が落下してくることはない。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、上記のように構成されているので、天井点検口を少ない構成部品で形成するため、取付手間やコストを軽減することができると共に、断熱蓋を確実に係止することができると共に容易かつ安全に挿入、取り外しすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明に係る天井点検口の一例を示す断面図である。
【図2】図1のI部拡大断面図である。
【図3】この発明における内枠を開放した状態を示す拡大断面図である。
【図4】この発明に係る天井点検口の一部を断面で示す平面図である。
【図5】この発明における内枠を開放した状態で開閉基端側及び開閉自由端側の断熱蓋落下防止具を垂直姿勢にした斜視図(a),(b)及び断熱蓋落下防止具を水平姿勢にした斜視図(c),(d)である。
【図6】この発明における断熱蓋落下防止具が内枠の閉鎖時に連動して垂直姿勢に切り換わる状態を示す斜視図である。
【図7】この発明における断熱蓋と断熱枠を示す斜視図である。
【図8】この発明における固定具を示す斜視図である。
【図9】上記固定具の取付状態を示す断面図である。
【図10】この発明における天井開口と断熱枠を示す斜視図である。
【図11】この発明における内枠を取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図12】この発明における内枠を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図13】この発明における断熱蓋を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図14】この発明における内枠を閉鎖した状態を示す斜視図である。
【図15】この発明における断熱蓋の挿入状態を示す斜視図である。
【図16】この発明における断熱枠の別の形状を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明に係る天井点検口1の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1〜図4に示すように、この発明に係る天井点検口1は、天井面2に開設される天井開口3に嵌挿固定される方形状の外枠20と、外枠20の対向する二辺間に介設される回動部材8を介して開閉可能に形成され、内部に蓋材31を設けた内枠30と、外枠20の上方に配置され、天井下地桁材5に固定される方形状の断熱枠15と、外枠20及び断熱枠15の開口内に挿脱可能に配置される断熱蓋10と、外枠20に取り付けられた断熱蓋落下防止具40と、断熱枠15を天井下地桁材5に固定する固定具50と、を具備する。
【0021】
上記天井面2は、例えば合板や石膏板等からなる天井板4を例えば材木製の天井下地桁材5に固定されている。このようにして形成された天井面2には、方形状に天井開口3が開口され、天井開口3の天井側の周縁部に、天井下地桁材5が配置される。一方、周縁部に天井下地桁材5が配置されていない場合は、材木製の角材にて天井開口3の天井側の周縁部を囲えばよい。
【0022】
上記外枠20と内枠30は、例えばアルミニウム押出形材で形成され、垂直片25aと、この垂直片25aの下端部に水平に延設されるフランジ部25bが形成された断面略逆T字型の枠材25A,25Bから形成される。
【0023】
上記外枠20を形成する枠材25Aは、垂直片25aの中間部に内方側が拡開開口し、外側側に突出するテーパー状の凹部28が設けられている。枠材25Aの両端部は45度にカットしてあり、隣接する枠材25Aとアングル状の固定金具29によって当接接合し、かしめ加工を施すことで方形状に形成される(図11参照)。
【0024】
このように形成される外枠20の凹部28の適宜位置に孔が穿設される貫通孔を貫通して、天井下地桁材5にねじ結合される固定ねじ27の皿状頭部が凹部28内に収容されるようになっている(図2,図3参照)。
【0025】
上記内枠30は、枠材25Bの両端部は45度にカットしてあり、隣接する枠材25Bとアングル状の固定金具35によって当接接合し、かしめ加工を施すことで方形状に形成される(図5(a),(c),図12参照)。内枠30には、天井開口3を開設した際に切り取られた天井開口3のサイズにほぼ合致する板材を適宜寸法調整して形成される蓋材31が内部に固定される。蓋材31の固定は、内枠30に延設されたフランジ部25b上に蓋材31を載置した状態で、内枠30の垂直片25aと蓋材31の端部上面に当接するアングル状の金具36をねじ止めして固定する(図4参照)。なお、内枠30のフランジ部25bと蓋材31の重なり合う部分には気密材であるパッキン材23が介在されて、気密性能が維持されている。
【0026】
上記回動部材8は、内枠30の基端部側のコーナ部の外周面に装着されるアングル状の固定金具35の一方の片をプレス加工によって段状に突設した部分に形成された軸部30aと、外枠20の内側面に装着される固定基部9の表面に、上部側方が開口する軸受け筒部を突設した合成樹脂製の軸受け9aからなる。なお、軸受け9aを設けた固定基部9には、後述する断熱蓋落下防止具40の押え片42が係合する係合部9bが形成されている。
【0027】
また、外枠20の回動部材8側の端部のフランジ部25bには、内枠30が回動する際の干渉を回避するための図示しない切欠き部が設けられている。この切欠きと外枠20と内枠30との隙間を塞ぐため、内枠30のフランジ部25bの上面にはパッキン材23が装着されている。
【0028】
図2に示すように、内枠30の閉鎖状態において、内枠30の開閉側三辺の外方に延設されるフランジ部25bを、外枠20の開閉側三辺の内方に延設されるフランジ部25bの下面に重ね合わせ、内枠30の基端側一辺の外方に延設されるフランジ部25bを、外枠20の基端側一辺の内方に延設されるフランジ部25bの上面に重ね合わせることで、重ね合わせ部に介在されるパッキン材23によって気密性を持たせることができる。
【0029】
なお、内枠30の閉鎖状態を確実にするために、施錠6が設けられている。施錠6は、回動自由端部側の内枠30のフランジ部25bの上方に立設される軸受け部材と軸受け部材に回転自在に嵌挿される操作軸と操作軸に直交状に突設されるロック片とを具備する。操作軸の下端面はフランジ部25bの下面に露出しており、操作軸をドライバ等で回動させてロック片と外枠20のフランジ部25bの上面に係止させることでロックすることができる。
【0030】
上記断熱蓋10は、例えば発泡ポリスチロール製樹脂にて方形状に一体成形されたブロック体である。断熱蓋10の下面には、断熱蓋10の挿入、取り外しが容易になるようにつまみ用凹部11が形成されている(図4,図12,図13参照)。
【0031】
上記断熱枠15は、例えば発泡ポリスチロール製樹脂にて一体成形され、上記断熱蓋10を囲うよう方形状に形成されている。この場合、図1〜3に示すように、本実施形態においては、外枠20の基端部に介設される回動部材8を介して、内枠30の軸部30aを中心に開閉可能に形成されている。内枠30の基端部から軸部30aまでの距離を取るため、断熱枠15の幅は、閉鎖側一辺の方が開閉側の三辺と比べて肉厚に形成されている。また、内枠30は軸部30aを中心に回動し、開放の際は基端部側は上方に回動するため、断熱枠15の基端部側の底部に空間18が設けられている。
【0032】
また、図7に示すように、断熱枠15の内面上部の各コーナ部には、抜け止め防止金具16が設置されている。抜け止め防止金具16は、断熱蓋10が断熱枠15から上部に抜き出るのを防止すると共に断熱枠15と断熱蓋10を確実に密着するため気密性・断熱性を向上することができる。抜け止め防止金具16は、台形状の水平片16aと、水平片16aの両端から直交状に屈曲される一対の脚片16bと、両脚片16bの下辺両端部から下方外方に向かって突設される三角状爪16cからなり、両端部の三角状爪16cを断熱枠15の隣り合う内周面にそれぞれ差し入れて取り付けられる。
【0033】
図2,図3,図5(a)〜(d)に示すように、断熱蓋落下防止具40(以下に落下防止具40という)は、外枠20の垂直片25aにリベット43を介して垂直方向に回動可能に軸止される矩形状の固定片41と、固定片41の端部から直交状に屈曲される矩形状の押え片42とからなるL字状金具によって形成されており、固定片41が垂直な垂直姿勢と水平な水平姿勢に切り換え可能に形成されている。落下防止具40は、回動部材8の軸受け9aを有する二辺の外枠20における内枠30の回動基端側と自由端側の4箇所に取り付けられている。
【0034】
固定片41は、垂直姿勢をとった際に固定片41の下端部に形成される接触面41bが外枠20の内側のフランジ部25bに接するように形成されると共に、接触面41bの一方の角部に切欠部41cが設けられている。切欠部41cを設けた方向にのみ固定片41は倒れることができるようになっている(図2,3参照)。
【0035】
押え片42は、上面には凸状円弧状に形成された係止面42aが形成されている(図3,図5(a)〜(d))。このように形成することにより、押え片42の側面と断熱蓋10の下面が引っ掛かるのを抑制でき、断熱蓋10を取り外す際の垂直姿勢から水平姿勢への切り換えが容易となる。
【0036】
図8に示すように、上記固定具50は、平板状の基部50aと、基部50aの対向する辺から直交する方向に起立されると共に、互いにハの字状に突設する先端が三角状かつ尖鋭状の固定爪50bを具備する。基部50aには天井下地桁材5にねじ止め固定するための取付孔50cが形成されている。
【0037】
以下に天井点検口1の組み立て手順について、図9〜図15を参照して説明する。まず、図10に示すように、抜け止め防止金具16と固定具50が差し込まれた断熱枠15を天井開口3に取り付ける。この場合、図9に示すように、断熱枠15に差し込まれた固定具50の基部50aに形成された取付孔50cを貫通する固定部材である皿状頭部を有するねじ55を、天井下地桁材5の内側面にねじ螺合することにより、断熱枠15を天井下地桁材5に固定する。図9に示すように、三角状の尖鋭状の固定爪50bは根元まで断熱枠15に差し込まれ、この基部50aの表面は断熱枠15の外壁面に密着されると共に、裏面は天井下地桁材5の内側面と密着する。上記のように構成することにより、断熱枠15を必要以上に押し上げる力が働いたとしても、固定爪50bはハの字状に突設されているため変形に強く、断熱枠15と天井下地桁材5の間に隙間が生じにくいため、居住空間の気密性・断熱性を向上させることができる。
【0038】
次に、図11,図12に示すように、天井開口3の開口周縁部に、落下防止具40と固定基部9が取り付けられた外枠20を嵌挿した状態で、外枠20の垂直片25aを貫通する固定ねじ27を天井下地桁材5にねじ結合して外枠20を固定する。外枠20を固定した後、切欠き部の箇所から内枠30を外枠20内に挿入し、内枠30の垂直片25aに突設された軸部30aを外枠20に取り付けられた固定基部9の軸受け9aの上方開口から落とし込むようにして嵌合して、内枠30を外枠20に対して開閉可能に取り付ける。
【0039】
次に、図12,13に示すように、断熱枠15に断熱蓋10を挿入する。この際、外枠20に取り付けられた4個の落下防止具40の姿勢が水平姿勢であるかを確認する。
【0040】
図5(c)に示すように、基端部側の押え片42は、落下防止具40が水平姿勢の状態においては、回動部材8の係合部9bに係止される。一方、図5(d)に示すように、回動自由端側の押え片42は、落下防止具40が水平姿勢の状態においては、固定片41がリベット43により軸止されている枠材25と直交する枠材25の垂直片25aに押え片42の係止面42aが平行に近接する。
【0041】
図13に示すように、断熱蓋10を挿入した後、落下防止具40を回動させて垂直姿勢に切り換える。落下防止具40を垂直姿勢にすることにより、押え片42が断熱蓋10の下面に当接することにより断熱蓋10を支え、落下を防止することができる。
【0042】
上述したように、固定片41は、下端部に形成される接触面41bが外枠20の内側のフランジ部25bに接するように形成されると共に、接触面41bの一方の角部に切欠部41cを設けてあるため、切欠部41cを設けた方向にのみにしか固定片41は倒れることはできず、逆回動することはない。
【0043】
最後に、内枠30の回動自由端側を上方に持ち上げて開口を閉鎖し、施錠6によりロックする。これにより、内枠30及び蓋材31の閉鎖状態を確実にすることができる。
【0044】
上記のように構成される天井点検口1から、天井裏の点検を行うときは、作業員は施錠6によりロックを解除し、蓋材31が取り付けられた内枠30の回動自由端側を下方に開く。内枠30を開放した際、落下防止具40が垂直姿勢をとっており、押え片42が断熱蓋10の下面に当接して断熱蓋10の落下を防止するため、断熱蓋10が予期せず落下することはなく、作業員の安全性を確保することができる。
【0045】
次に、作業員は断熱蓋10の下面を押えながら、垂直姿勢にある落下防止具40を、それぞれの端部側に倒して水平姿勢に切り換える。計4個の落下防止具40を水平姿勢にすれば、押え片42を、固定片41が軸止される外枠20の枠材25と直交する枠材25と平行に近接することにより、断熱蓋10が外枠20を通過するスペースを確保することができるため、断熱蓋10を室内側に取り外すことができる。
【0046】
そして、作業員は外枠20の開口部から天井裏を点検することが可能になるが、4個の落下防止具40は水平姿勢を保つことにより、外枠20と開放された内枠30の縁に沿うように収納されるため、作業員の作業スペースを阻害しない。
【0047】
天井裏の点検を終えた作業員は、上述した取付方法と同様に断熱蓋10を挿入し、内枠30を閉じて点検を終える。この際、作業員が、基端部側の落下防止具40を水平姿勢から垂直姿勢に切り換える作業を忘れてしまう事態も想定し得る。この場合、再度内枠30を開放する際、断熱蓋10の基端部側は支えるものがなく、断熱蓋10が開放と共に落下してくる危険がある。そこで、内枠30の開放時に水平姿勢にある落下防止具40の押え片42が、蓋材31が取り付けられた内枠30の閉鎖の際に内枠30と係合するように、押え片42の長さが固定片41から内枠30までの距離より短くならないようにする。上記のように構成することにより、図6(a),(b)に示すように、内枠30の閉鎖動作に連動して、水平姿勢にある落下防止具40が垂直姿勢に切り換えることができる。したがって、内枠30を閉鎖する際に、落下防止具40を水平姿勢から垂直姿勢に切り換える作業を忘れた場合であっても、再度内枠30を開放する際、断熱蓋10が落下してくることはないため、作業員の安全性を確保することができる。
【0048】
上述した実施形態では、断熱枠15は、断熱蓋10を囲うように設けられ、その上部のコーナ部に抜け止め防止金具16を差し入れる場合について説明したが、挿入された断熱蓋10が断熱枠15から抜き出るのを防止できれば、別の構造としてもよい。
【0049】
例えば、図16に示すように、断熱蓋10を囲うように設けられた断熱枠15Aは、例えば発泡ポリスチロール製樹脂にて形成され、その内周面の上端部に内向きの内方フランジ部17が一体に成形されている。内方フランジ部17の下面と、挿入された断熱蓋10の上面が係止されることにより、断熱蓋10が断熱枠15Aから上部に抜き出るのを防止することができる。なお、図16において、その他の部分は上述した実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
また、断熱枠15Aは、断熱蓋10の肉厚に合わせて、方形状の枠部材を重ねると共に、最上層に内方フランジ部17を有する枠部材を重ねて断熱枠15Aを形成すれば、様々な厚さの断熱蓋10に対応することができる。また断熱枠15は切り取りが容易な発泡ポリスチロール製樹脂製であるため、内方フランジ部17を有する枠部材のみを用意し、断熱蓋の高さに合わせて内方フランジ部17を切り取り方形状の枠部材を必要な数だけ作成して、最上層に内方フランジ部17を有する枠部材を重ねて、断熱枠15Aを形成することもできる。
【符号の説明】
【0051】
1 天井点検口
2 天井面
3 天井開口
5 天井下地桁材
8 回動部材
10 断熱蓋
15 断熱枠
20 外枠
30 内枠
31 蓋材
40 断熱蓋落下防止具
41 固定片
42 押え片
50 固定具
50a 基部
50b 固定爪
55 ねじ(固定部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面に開設される天井開口に嵌挿固定される方形状の外枠と、上記外枠の対向する二辺間に介設される回動部材を介して開閉可能に形成され、内部に蓋材を設けた内枠と、上記外枠の上方に配置され、天井下地桁材に固定される方形状の断熱枠と、上記外枠及び上記断熱枠の開口内に挿脱可能に配置される断熱蓋と、を具備する天井点検口であって、
上記外枠には、垂直方向に回動可能に軸止される固定片と、上記固定片の端部から直交状に屈曲される押え片と、からなる断熱蓋落下防止具が、少なくとも対向する二辺に取り付けられ、
上記断熱蓋落下防止具は、上記固定片を垂直にする垂直姿勢と水平にする水平姿勢に切り換え可能に形成され、
上記垂直姿勢では、上記押え片が上記断熱蓋の下面に当接することにより、上記断熱蓋の落下を防止し、上記水平姿勢では、上記押え片を上記固定片が軸止される上記外枠の辺と直交する辺と平行に近接することにより、上記断熱蓋を挿入、取り外し可能に形成してなる、
ことを特徴とする天井点検口。
【請求項2】
請求項1記載の天井点検口において、
上記断熱枠は、発泡断熱樹脂材にて形成されると共に、固定具により上記天井下地桁材に固定され、
上記固定具は、平板状の基部と、基部の対向する辺から直交する方向に起立されると共に、互いにハの字状に突設する先端が尖鋭状の固定爪とを具備し、
上記断熱枠の外側の側面に、上記固定爪を差し込み、上記基部と上記天井下地桁材を固定部材により固定してなる、
ことを特徴とする天井点検口。
【請求項3】
請求項1又は2記載の天井点検口において、
上記内枠の開放時に上記水平姿勢にある上記断熱蓋落下防止具の上記押え片を、上記内枠の閉鎖の際に上記内枠と係合可能に形成し、上記内枠の閉鎖動作に連動して、上記断熱蓋落下防止具を上記垂直姿勢に切り換えるように形成してなる、
ことを特徴とする天井点検口。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−226090(P2011−226090A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94846(P2010−94846)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000110479)ナカ工業株式会社 (125)