説明

天井点検口

【課題】 天井材に直接支持させることができ、天井材に容易に取り付けることができる天井点検口を提供する。
【解決手段】 天井材5に設けられたほぼ円形の開口に下方から挿入する筒状体1には、天井裏に挿入される部分に側面孔12が設けられている。この側面孔に筒状体の内側から突出部材4を挿入して係止する。筒状体の外周面の下部には雄ねじ11が形成されており、環状枠2の円筒部21に形成された雌ねじ21aにねじ込まれる。環状枠は円筒部21の下端部にフランジ部22を有し、筒状体と環状枠とをねじり合わせることにより、突出部材とフランジ部との間に天井材が挟み込まれる。これにより筒状体と環状枠とが天井材に固定される。蓋体3は環状枠の雌ねじにねじ込むことができ、環状枠を覆うように装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、建築物の天井裏に配設された諸設備の点検を行うための天井点検口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天井裏に配設された水道管や配電線などの設備を点検するために、建築物の天井に天井点検口が設置される。また、空調機の配管や通信用光ケーブル等が天井裏に配設されることも多くなっている。一方、近年は長期間快適に居住できる住宅の要請が高くなり、天井裏に配設された配管等の点検を容易かつ確実に行うことが求められる。このため、天井点検口を居室毎に設置する等、住宅の多くの位置に天井点検口を設けることも増加している。
【0003】
従来の天井点検口には、例えば特許文献1、特許文献2に開示されるものがある。
特許文献1に記載の天井点検口は、天井板に設けられた矩形状の開口部に開口部枠体が嵌めこまれ、この開口部枠体に蓋が開閉自在に嵌め込まれたものである。
また、特許文献2には、天井板の開口部に嵌めこまれた外枠と、この外枠の内部空間を開閉する内枠とを備えるとともに、外枠の上方に断熱外枠が配置されている。そして、この断熱外枠の内側には断熱蓋が支持され、断熱外枠と断熱蓋との間に気密材が介在するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−291592号公報
【特許文献2】特開2001−349047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような天井点検口には以下に説明するような課題がある。
従来の天井点検口の多くは、天井板に形成された開口に嵌め込む枠体が天井下地材である野縁にビスや釘を用いて固定支持されている。このため、天井点検口を設ける位置が野縁の配置によって制限されたり、天井点検口を設ける位置に合わせて野縁を設けることになる。つまり、天井材には一般的に石膏ボード等の板材が用いられており、上記枠体を天井材に十分な強度で支持させることが難しい場合が多い。したがって、天井点検口を設置するための作業量が多くなり、天井点検口を設けるための費用も多く必要となっている。
【0006】
一方、近年はファイバースコープや小型カメラの開発により、これらを介して天井裏の状態を視認し、天井裏の配管や配電線等を点検することができるようになっている。したがって、従来設置されているような作業者が出入り可能な大きさの天井点検口を数多く設置する必要がなく、ファイバースコープや小型カメラを挿入することができる小型の点検口でも天井裏の点検が可能となっている。このため、簡易に取りつけることが可能な小型の天井点検口が求められている。
【0007】
本願発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、居室側からの作業のみで天井材に簡単に取り付けることができる天井点検口を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 天井材に設けられたほぼ円形の開口に下方から挿入することができ、前記天井材より上方に挿入した部分に、内側からの操作によって外側に張り出して前記天井材の上面に押し付けることができる張り出し部を有するとともに、外周面の下部には雄ねじが形成された筒状体と、 内周面に前記筒状体の雄ねじがねじ込まれる雌ねじが形成された円筒部を備え、この円筒部の下端部から外側に張り出し、前記天井材の下面に当接されるフランジ部が設けられた環状枠と、 前記環状枠の円筒部に形成された雌ねじに下方からねじ込まれる雄ねじ部を有し、該円筒部の内側を下端で塞ぐ蓋体と、を有することを特徴とする天井点検口を提供する。
【0009】
この天井点検口では、筒状体の下部の雄ねじを環状枠の雌ねじにねじ込むことにより、筒状体と環状枠を組み付けられる。そして、天井裏に挿入された筒状体の張り出し部が天井材の上面に当接されるとともに、フランジ部が天井材の下面に当接される。これにより、張り出し部と環状枠のフランジ部とで天井材を挟み付け、筒状体と環状枠とを固定することができる。また、蓋体が環状枠の下面にねじ込まれ、開閉可能な状態で筒状体の内側が閉塞される。
【0010】
このように、上記天井点検口は、筒状体を天井の開口に挿入して張り出し部を筒状体の外側に張り出した後、下方から環状枠と蓋体をねじ込むだけの簡単な作業で取り付けることができる。また、筒状体及び環状枠は天井材に直接支持されるので、野縁等の位置に影響されることなく設置することが可能となる。一方、蓋体は回転させることにより、筒状体の内側を開閉することができ、天井裏に配設された設備の点検を容易に行うことができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の天井点検口において、 前記筒状体の内周面は、全長にわたって又は長さ方向の一部の領域において、上方に向かって径が縮小されており、 前記筒状体の内側に挿入された断熱材が、前記筒状体の内径が縮小された内周面に密着するように押し込まれているものとする。
【0012】
この天井点検口の筒状体は上方に向かって内径が縮小されているので、天井の下側から筒状体の内周面に密着するように断熱材を装着することができる。したがって、天井点検口を設けた部分の断熱性を良好に維持することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本願発明に係る天井点検口は、簡単な作業で天井材に直接取り付けることが可能であるとともに、天井点検口を設ける位置が天井下地材である野縁の位置に制限されることも少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本願発明の一実施形態である天井点検口を示す概略断面図及び部分拡大断面図である。
【図2】図1に示す天井点検口の分解斜視図である。
【図3】図1に示す天井点検口が、天井材を支持する野縁に近接して設けられた状態を示す概略断面図である。
【図4】本願発明の第2の実施形態である天井点検口を示す部分拡大断面図である。
【図5】図4に示す天井点検口の筒状体を示す概略斜視図及び該筒状体の側面の一部を示す展開図である。
【図6】図4に示す天井点検口の一部の形状を変更した例を示す部分拡大断面図である。
【図7】図6に示す天井点検口の筒状体を示す概略斜視図及び該筒状体の側面の一部を示す展開図である。
【図8】本願発明の第3の実施形態である天井点検口を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は本願発明に係る天井点検口を示す概略断面図及び部分拡大断面図であり、図2はこの天井点検口の分解斜視図である。
この天井点検口は、石膏ボード等が使用される天井材5の下面(居室側)にシート状の天井仕上げ材(図示せず)を貼り付けた天井に設けられたものである。そして、天井材5に切削されたほぼ円形の開口に下方(居室側)から挿入される筒状体1と、この筒状体1の下部がねじ込まれる円筒部21と上記天井材の下面に当接するフランジ部22とを有する環状枠2と、この環状枠2に下方(居室側)からねじ込んで上記円筒部21の内側を下端で塞ぐ蓋体3と、で主要部が構成されている。
なお、天井材5に形成される上記開口は、上記円筒部21の外径より僅かに大きな径となるように設けられている。
【0016】
上記筒状体1は、図2(a)に示すように、水平方向の断面が円形となったほぼ円筒状の部材であり、外周面の下部には雄ねじ11が形成されている。また、天井材5に形成された開口から上方に挿入される部分、つまり天井裏に挿入される部分の側面には4個の側面孔12が開削され、これらの側面孔12に筒状体1の内側から張り出し部となる突出部材4が挿入されて外側に突き出すようになっている。
上記側面孔12は、図1(b)及び図2(a)に示すように、上記筒状体1の雄ねじ11が形成された領域Aより上方に形成されており、天井材5である石膏ボードの上面よりも上方に位置するようになっている。
【0017】
上記突出部材4は、図2(d)に示すように、連続する金属の板状部材によって形成されており、上記側面孔12に突き入れられる突出部41と、この突出部41の後端に連続し、筒状体1の内周面に沿った方向に折り曲げられて該筒状体1の内周面に当接される当接板42と、で構成されている。
【0018】
上記突出部41は、先端部の連結板43と、この連結板43の両側部から後方に折り曲げられた2枚の突出板44,45とを有するものである。2枚の突出板44,45の間隔は、側面孔12に挿入することができるように上記側面孔12の幅Wよりやや小さく設定されている。
突出板44,45は、先端から後方にかけて上昇するように傾斜した傾斜部46と、その後方で上辺及び下辺がほぼ水平となった水平部47と、さらに後方で水平部より上辺及び下辺が下方への段差を形成している段差部48とを備えている。そして、水平部47と段差部48との上辺から下辺までの長さはほぼ同じで、いずれも側面孔12の縦方向の寸法Hより僅かに小さくなっている。また、傾斜部46は、先端に近づくにしたがって上下方向の寸法が縮小され、側面孔12に容易に挿入することができるようになっている。
【0019】
上記当接板42は、それぞれの突出板44,45の後端から両側へ筒状体1の内周面に沿った方向に折り曲げられている。これにより、上記当接板42が側面孔12の周辺で筒状体1の内周面に当接され、突出板44,45が筒状体1の側面孔12を通り抜けてしまわないように拘束するものとなっている。また、当接板42の上辺は水平部47の上辺とほぼ同じ高さに設定され、段差部48の上方が凹部49となっている。
【0020】
上記環状枠2は、図2(b)に示すように、円筒部21とこの円筒部21の下端から外側に張り出したフランジ部22とを備えている。
上記円筒部21の内周面には雌ねじ21aが形成され、上記筒状体1の下部に形成された雄ねじ11を該雌ねじ21aに上方からねじ込み、筒状体1と一体に結合することができるものである。
上記フランジ部22は、天井材5に形成された開口よりも大きな外径を有しており、天井材5の下側から開口の周囲に押し付けられるようになっている。
【0021】
上記蓋体3は、図2(c)に示すように、上記環状枠2のフランジ部21の外径よりも大きな径を有する円盤状の蓋部31と、この蓋部31の上面から上方に立ち上げられ、上記環状枠2の円筒部21に形成された雌ねじ21aにねじ込まれる雄ねじ部32と、を備えている。
上記蓋部31は、環状枠2及び筒状体1によって形成される天井裏への貫通孔を塞ぐものとなっている。そして、フランジ部22より大きな外径を有し、周縁部31aは上方に増厚されて、環状枠2を下側から覆うことができる形状となっている。また、蓋部31の下面(居室側)には、天井仕上げ材と同じ材料を貼付することができ、取りつけられた蓋部31を目立たないようにすることが可能となっている。
【0022】
上記雄ねじ部32は、上記蓋部31の上面つまり天井側から上方へ円筒状に立ち上げられており、外周面に雄ねじ32aが形成されている。この雄ねじ32aが上記環状枠2に形成された雌ねじ21aにねじ込まれることにより、蓋体3が環状枠2に支持され、環状枠2の下側を覆うようになっている。
【0023】
上記のように構成された筒状体1、環状枠2及び蓋体3を、天井材5に形成された開口に装着する方法について説明する。
まず、天井材5に形成されたほぼ円形の開口に居室側から筒状体1を挿入し、天井材5より上側で筒状体1の内側から側面孔12に突出部材4を挿入する。この突出部材4を挿入し、係止する手順は以下に説明するように行うことができる。
最初に、連結板43により連結された先端側から突出板44,45を側面孔12に差し入れ、水平部47まで挿入する。次に、突出部材4の上部をさらに押し入れ、段差部48の上方の凹部49内に側面孔12の上縁が入り込むように該突出部材4を上方に持ち上げる。そして、突出部材4の下部を当接板42が筒状体1の内周面に当接されるまで押し入れ、段差部48の下辺を側面孔12の下縁の上に載せるように支持させる。同様にして、筒状体1に開削された4つの側面孔12のすべてに突出部材4を挿入する。これにより、突出部材4の先端を天井材5の上面に押し付けたときに、突出部材4の水平部47後方の鉛直辺が筒状体1の外周面に当接されるとともに、当接板42の下部が筒状体1の内周面に当接され、突出部材4は筒状体1から張り出して固定される。これにより筒状体1を天井材5に支持させることができる。
【0024】
筒状体1の下部には環状枠2を結合する。つまり、環状枠2に形成された雌ねじ21aを筒状体1の外周面の下部に形成された雄ねじ11にねじり合わせる。筒状体1から突き出した突出部材4を天井材5の上面に当接した状態で環状枠2を回転させると、環状枠2が上昇し、フランジ部22が天井材5の下面に当接される。これにより、突出部材4と環状枠2のフランジ部22との間に天井材5が挟み込まれ、筒状体1と環状枠2とが天井材5に固定される。なお、本実施形態では、天井材5の下面に天井仕上げ材が貼り付けられており、上記フランジ部22が天井仕上げ材を介して天井材5の下面に当接される。また、天井仕上げ材が貼り付けられていない場合にはフランジ部が直接に天井材5に当接される。
その後、蓋体3の雄ねじ部32を環状枠2に形成された雌ねじ21aの下部にねじ込み、環状枠2の下側を覆うように蓋体3を取りつける。
【0025】
蓋体3の上面には断熱材6が固定されており、蓋体3を環状枠2に取りつけることにより、断熱材6が筒状体1の内部に挿入され、天井点検口が設けられた部分の断熱性が良好に維持される。
上記断熱材6は、蓋体3を環状枠2にねじ込む前に筒状体1の内部に押し込むように装着するものであってもよい。また、本実施の形態では、断熱材として発泡プラスチック系断熱材を使用したが、汎用されている他の断熱材を使用することもできる。
なお、符号7は天井材5に固着又は載置された断熱材である。この断熱材7はグラスウールやロックウール等の一般的に使用される断熱材を用いることができる。
【0026】
なお、上記天井点検口の装着方法において、筒状体1に突出部材4を装着した後、環状枠2をねじり合わせたが、筒状体1の雄ねじ11の一部を環状枠2の雌ねじ21aに予めねじり合わせた状態で天井材5の開口に挿入することもできる。そして、側面孔12に突出部材4を装着した後に、環状枠2をさらに深くねじり合わせ、突出部材4と環状枠2のフランジ部22とが天井材5を挟み込むように締め付けることができる。
【0027】
一方、天井裏に配置された種々の配線等の点検をする場合は、蓋体3を回転し、蓋体3を環状枠2から取り外すことにより、筒状体1及び環状枠2の内側が開放される。したがって、ファイバースコープ又は小型カメラ等を天井裏に差し入れ、得られる映像に基づいて必要な点検を行うことができる。
【0028】
以上に説明した天井点検口及びその装着方法は、天井材5を支持する野縁から離れた位置に装着するものであったが、野縁に近接した位置に取りつけることもできる。
野縁に近接して天井点検口を設けるためには、図3に示すように、筒状体1に高さ方向の位置が異なる複数の側面孔12’を予め設けておく。そして、突出部材4を張り出す位置に野縁8があるときには、挿入する側面孔を選択し、突出部材4の先端が野縁8の上面に当接されるように突出部材4を装着することができる。一般に野縁8として用いられる木材又は金属部材の寸法には大きな差がなく、突出部材4を野縁8に当接させるための側面孔12’は、予め高さの異なる1箇所又は2箇所程度に設定しておくことにより、多くの場合に対応ができる。
【0029】
また、本実施の形態では、筒状体1の4つの側面孔12に突出部材4を挿入し、四方で筒状体1を支持したが、筒状体1が天井材5に強固に固定される態様であれば、側面孔12及び突出部材4の数は3つでもよいし、5以上であってもよい。
一方、本実施の形態では、天井点検口を構成する筒状体1、環状枠2及び蓋体3を合成樹脂で形成したが、金属からなるものであってもよい。
さらに、筒状体は内径が80mmから100mm程度となるように形成するのが望ましいが、これより大きい径であってもよいし、小さいものでもよい。
【0030】
次に、本願発明の第2の実施形態について説明する。
図4は、本願発明の第2の実施形態である天井点検口を示す部分拡大断面図であり、図5は、この天井点検口の構成部材である筒状体の概略斜視図、及び筒状体の側面の一部を示す展開図である。
この天井点検口の構成は、第1の実施の形態と同様に、天井材5に形成されたほぼ円形の開口に下方(居室側)から挿入される筒状体51と、この筒状体51の下部とねじり合わされる環状枠2と、この環状枠2に下方(居室側)からねじ込んで該環状枠2の内側を下端で塞ぐ蓋体3と、で主要部が構成されている。ただし、本実施の形態では、筒状体51の材質が異なり、この筒状体51に設けられて張り出し部として機能する部分の構成が異なっている。
なお、上記筒状体51以外の構成に関しては第1の実施形態と同じとなっており、同じ符号を付すとともに説明を省略する。
【0031】
本実施の形態における筒状体51では、張り出し部として、第1の実施形態の筒状体1における突出部材4に代えて、筒状体51の周面と連続する張り出し突起52が形成されている。
この筒状体51は、0.1mm〜0.3mm程度の厚さの金属板を加工して筒状に成型したものであり、図5(a)に示すように、外周面の下方に雄ねじ53が形成されている。また、この雄ねじ53の上方に切り込み加工が施されており、周面の一部を外側に曲げ出して張り出し突起52を形成するものとなっている。上記張り出し突起52は、図5(b)に示すように、筒状体51の周面部にスリット状に切断した切り込み線52aを設けておき、この切り込み線52aと破線で示す鉛直方向の折り曲げ線52bとで囲まれた部分Bを筒状体51の内側から外側に押し出すものである。外側に押し出すことにより、筒状体51の周面の一部が上記折り曲げ線52bで折れ曲げられ、筒状体51の外側に張り出して突起となる。この張り出し突起52は、先端に向かって下方へ傾斜するように形成されている。
【0032】
このような天井点検口は以下のように装着される。
上記筒状体51を天井材5の開口に下方(居室側)から挿入し、切り込み線を設けた位置が天井材5より上方に突き入れられた状態で、筒状体51の内側から切り込み加工部分Bを指で外側に押す。これにより、図5(b)に示す折り曲げ線52bに沿って折り曲げられ、切り込み加工された部分Bが筒状体51の外側へ突出し、図5(a)に示すように張り出し突起52となる。その後、第1の実施の形態と同様に、筒状体51を下降させて張り出し突起52を天井材5の上面に当接させ、下部の雄ねじ53を環状枠2の雌ねじ21aにねじり合わせる。これにより、図4に示すように、張り出し突起52の下端52cが石膏ボード等の天井材5の上面に押し付けられるとともに、環状枠2のフランジ部22が天井材5の下面に押し付けられ、筒状体51及び環状枠2が固定される。その後、蓋体3を環状枠2にねじ込んで装着が終了する。
なお、本実施の形態においても、予め筒状体51と環状枠2とを浅くねじり合わせた状態で天井材5の下方から開口に挿入した後、張り出し突起52を筒状体51の外側へ押し出してもよい。
【0033】
図6は、第2の実施形態である天井点検口の張り出し突起の形状を変更した例を示す部分拡大断面図であり、図7は、この変更例の筒状体を示す概略斜視図及び筒状体の側面の一部を展開した図である。この天井点検口の他の構成は第2の実施の形態と同様であり、張り出し突起以外の構成については説明を省略する。
【0034】
この変更例における張り出し突起62は、図7(b)に示すように、筒状体61の外周面に切り込み線61a(実線部分)を設け、さらに曲げ加工を施すことによって形成されている。切り込み線61aは、上部が筒状体61の本体部と連続し、側辺と下辺とが切断された舌状部を形成するように設けられる。そして、側辺は上部の筒状体の本体部と連続する範囲から側方に張り出すようになっている。この切り込み線61aの側辺と鉛直方向の折り曲げ線61b(破線部分)とで囲まれた両側部61cを、筒状体61の内側に折り曲げるように曲げ加工が施され、断面形状が略コ字状となる張り出し突起62が形成されている。
なお、この張り出し突起62は、筒状体61が天井材5の開口に挿入されるまでは、筒状体61の外周面より外側に張り出さないように成型されている。
【0035】
このように成型された筒状体61は、天井材5の開口に下方から挿入し、図7(a)に示すように、筒状体61の内側から張り出し突起62を外側に押し出す。そして、図6に示すように張り出し突起62の下端62aを天井材5の上面に押し付ける。この筒状体61の下部の雄ねじ63に環状枠2の雌ねじをねじり合わせ、環状枠2のフランジ部22を天井材5の下面に当接させる。これにより、筒状体61と環状枠2とは天井材5を挟むように固定される。その後、蓋体3を環状枠2に取り付け、図6に示すように、天井点検口の装着が終了する。
この張り出し突起62は、断面形状が略コ字状となるので剛性が高くなり、天井材5に強固に固定することが可能となる。
【0036】
次に、本願発明に係る天井点検口の第3の実施の形態を図8に基づいて説明する。
この天井点検口は、筒状体71及び突出部材74の形状を除いて第1の実施の形態の構成と同様であり、天井材5に形成された開口に下方(居室側)から挿入される筒状体71と、この筒状体71の下部がねじ込まれる環状枠2と、この環状枠2に下方(居室側)からねじ込んで上記環状枠2の内側を下端で塞ぐ蓋体3とで主要部が構成されている。
したがって、筒状体71及び突出部材74以外の他の構成については第1の実施形態における天井点検口と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0037】
この筒状体71は、図8に示すように、雄ねじが形成された範囲を除き、上方に向かって内径が縮小されている。そして、傾斜した周面に複数の側面孔が開削されており、この側面孔に突出部材74が挿入されて、天井材5の上面に当接されるようになっている。
なお、上記突出部材74は、筒状体71の周面が傾斜していることにともなって突出する部分の形状が第1の実施形態とやや異なるものとなっているが、同様に機能するものである。また、側面孔も第1の実施の形態と同様に機能するものであり、説明を省略する。
【0038】
本実施の形態では、筒状体71の径が上方に向かって縮小されているので、下方から筒状体71の内側に押し入れられる断熱材76が内周面と密着し、断熱性を向上させることができるようになっている。また、断熱材76は蓋体3を環状枠2に取り付ける前に筒状体71の内部に押しこんでおくものであってもよいし、蓋体3に固定されているものでもよい。
【符号の説明】
【0039】
1:筒状体、 2:環状枠、 3:蓋体、 4:突出部材、 5:天井材、 6:断熱材、 7:断熱材、 8:野縁、
11:筒状体の雄ねじ、 12:筒状体に設けられた側面孔、
21:環状枠の円筒部、 21a:雌ねじ、 22:環状枠のフランジ部、
31:蓋体の蓋部、 32:蓋体の雄ねじ部、
41:突出部、 42:当接板、 43:連結板、 44,45:突出板、 46:傾斜部、 47:水平部、 48:段差部、 49:凹部、
51:筒状体、 52:張り出し突起、 53:雄ねじ、
61:筒状体、 62:張り出し突起、 63:雄ねじ、
71:筒状体、 74,突出部材、 76:断熱材、
W:側面孔の幅、 H:側面孔の高さ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井材に設けられたほぼ円形の開口に下方から挿入することができ、前記天井材より上方に挿入した部分に、内側からの操作によって外側に張り出して前記天井材の上面に押し付けることができる張り出し部を有するとともに、外周面の下部には雄ねじが形成された筒状体と、
内周面に前記筒状体の雄ねじがねじ込まれる雌ねじが形成された円筒部を備え、この円筒部の下端部から外側に張り出し、前記天井材の下面に当接されるフランジ部が設けられた環状枠と、
前記環状枠の円筒部に形成された雌ねじに下方からねじ込まれる雄ねじ部を有し、該円筒部の内側を下端で塞ぐ蓋体と、を有することを特徴とする天井点検口。
【請求項2】
前記筒状体の内周面は、全長にわたって又は長さ方向の一部の領域において、上方に向かって径が縮小されており、
前記筒状体の内側に挿入された断熱材が、前記筒状体の内径が縮小された内周面に密着するように押し込まれていることを特徴とする請求項1に記載の天井点検口。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−52288(P2012−52288A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193145(P2010−193145)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)