説明

天板付家具

【課題】幅寸法の大きな天板を有した天板付家具おいて特有の現象である、周辺の機器が発する振動によって天板が共振するという課題を解決することができる天板付家具を提供する。
【解決手段】天板1と、この天板1の両端部を支持する脚2とを具備してなり、前記天板1の幅寸法を、その下方にワゴン4を挿入した状態で当該天板1を複数人で使用することができる値に設定した天板付家具Tに、前記天板1の幅方向中間部位に該天板1の固有振動数を変更するための固有振動数変更手段Pを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等で好適に使用される天板付家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、種々の天板付家具が知られているが、近時のオフィス等においては、勤務形態の変化に伴い複数人で使用することができる大型のデスク等も普及している。具体的には、自席が限定されないいわゆるフリーアドレス型のオフィスが増加する傾向にあり、複数枚の天板を横方向に配列させ、自由な位置に着座して執務を行うことができるようにした大型の天板付家具が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような大型の天板付家具は、仕切りのない連続した下肢空間を有しており、適宜な位置にワゴンを挿入して複数人が自由に自席を確保して執務を行うことができるようにしている。そのため、各天板を支持する脚間のスパンは大きくなりがちであり、天板の幅寸法が2000mm以上になることも少なくない。
【0004】
ところが、このようなものにおいては、使用中に天板が継続的に振動する事象が見られることがあり、何らかの対策を施すことが要求されている。
【0005】
本発明者らは、かかる振動の原因を究明すべく種々の研究を進めた結果、天板の固有振動数が空調装置の発する振動の周波数に近く、その振動によって天板自体が共振するという現象を発見した。このような幅の広い天板の固有振動数は空調装置に限らず、身近な電動機器が発する振動の周波数にも近いため、種々のオフィス等において同様な不具合が発生する可能性があるということも判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−52311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情及び究明結果に基づいてなされたものであり、幅寸法の大きな天板を有した天板付家具特有の課題を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の天板付家具は、天板と、この天板の両端部を支持する脚とを具備してなり、前記天板の幅寸法を、その下方にワゴンを挿入した状態で当該天板を複数人で使用することができる値に設定した天板付家具であって、前記天板の幅方向中間部位に該天板の固有振動数を変更するための固有振動数変更手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
このような構成のものであれば、天板の固有振動数を変更することができるので、周辺の機器が発する振動によって天板が共振するという現象を抑制又は防止することができる。ここで、「固有振動数を変更する」とは、特定の値に変更する場合のみならず、段階的又は連続的にその値を調節して変更する場合も含まれる。
【0010】
本発明が好適に用いられる天板の幅寸法としては、2000mm以上の値のものが想定される。
【0011】
また、前記固有振動数変更手段の好適な態様としては、前記天板と床との間に介設される突っ張り要素を挙げることができる。
【0012】
前記突っ張り要素の具体的な態様としては、天板と床との間に配される支柱と、この支柱に設けられ、前記天板及び前記床から前記支柱に作用する圧縮応力を調節するためのアジャスタとを具備してなるものが考えられる。なお、下肢空間を広く確保するためには、この突っ張り要素が、天板の奥行き方向の中央よりも奥側に配されていることが望ましい。
【0013】
天板の共振を効果的に抑制するためには、前記突っ張り要素が、天板の幅方向の中央付近に配されているものが好ましい。
【0014】
前記突っ張り要素の他の好適な態様としては、天板と床との間に配されるワゴンと、このワゴンに設けられ、前記天板及び前記床から前記ワゴンに作用する上下方向の圧縮応力を調整するためのアジャスタとを具備したものを挙げることができる。
【0015】
前記固有振動数変更手段の他の態様としては、前記天板の下面側に重りを一体的に取り付けたものを挙げることができる。
【0016】
ところで、この種の天板付家具には、前記天板の反使用端側に位置させて前記脚間にダクトフレームを架設したものがあるが、このような態様のものにおいては、前記固有振動数変更手段を前記ダクトフレームに関連させて設けることもできる。しかして、その場合の好適な実施形態としては、前記固有振動数変更手段が、基端部が前記ダクトフレームの上面又は/及び起立面に取り付けられ先端部で天板の使用縁側における奥行き寸法の3分の2に相当する領域のいずれかの部位を支持するステーを備えたものを挙げることができる。
【0017】
なお、前記ダクトフレームが、脚間において複数の単位ダクトを接続したものであり、その接続部分の上面にダクト連結用のブラケットが設けられている場合には、前記ステーの基端部を、前記ブラケットを介して前記ダクトフレームの上面に支持させる態様が考えられる。この場合、部品点数を少なくするには、前記ステーが、前記ブラケットに一体的に形成されたものが好ましい。
【0018】
本発明は単一の天板を有したものに適用されることはもちろんであるが、幅方向に配列させた複数枚の天板を、特定の天板の端部を支持する端部の脚及び隣接する二枚の天板を支持する中間の脚とによって支持してなるものにも適用することができる。この場合には、少なくとも一枚の天板に前記固有振動数変更手段を設けておけばよい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、幅寸法の大きな天板を有した天板付家具おいて特有の現象である、周辺の機器が発する振動によって天板が共振するという課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
【図2】同実施形態の天板下面側を示す斜視図。
【図3】同実施形態を示す平面図。
【図4】同実施形態を示す正面図。
【図5】図4におけるV−V線に沿った拡大断面図。
【図6】図5におけるVI部分を示す拡大図。
【図7】図6におけるVII−VII線に沿った断面図。
【図8】同実施形態のダクトフレームを一部切欠して示す斜視図。
【図9】本発明の他の実施形態を示す図5相当の断面図。
【図10】図9におけるX部分を示す拡大図。
【図11】本発明の更に他の実施形態を示す図8相当の概略斜視図。
【図12】本発明の更に他の実施形態を示す図8相当の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図8を参照して説明する。
【0022】
この天板付家具Tは、図1〜図4に示すように、横方向に配列させた複数枚の第一の天板1A、1Aと、横方向に配列され前記第一の天板1A、1Aに対面配置された複数枚の第二の天板1B、1Bと、これらの天板1A、1A、1B、1B(以下、これらの天板を総称して「天板1」と称する場合がある。)の両端部を支持する端部の脚2A、2Aと、前記天板1の横方向の連結部分を支持する中間の脚2Bと、前記端部の脚2A、2Aと前記中間の脚2B(以下、これらの脚を総称して「脚2」と称する場合がある。)との間にそれぞれ架設したダクトフレーム3、3とを具備してなる。図示例では、この天板付家具Tは、二枚の第一の天板1A、1Aと、二枚の第二の天板1B、1Bとを備えているが、中間の脚2Bを増設することにより第一の天板1A及び第二の天板1Bの枚数を適宜増加させることができるようになっている。そして、前記第一の天板1A、1Aの反使用縁1p、1pと前記第二の天板1B、1Bの反使用縁1p、1pとの間には、前記ダクトフレーム3を上方に開放するための隙間C、Cが形成されており、その隙間C、Cを通して前記ダクトフレーム3、3内にアクセスすることができるようになっている。そして、その隙間Cにはダクトカバー33、33が着脱可能に設けられている。
【0023】
天板1は、板金素材と化粧素材とを組み合わせて作られた通常のものであるが、図5、6、9及び10においては複雑化を避けるために中実に描いてある。天板1の両端部の下面側には、取付用のナット1nが埋設されている。各天板1の幅寸法Wは、下方にワゴン4を挿入した状態で当該天板1を複数人で使用することができる値、例えば2000mm以上に設定されている。より具体的には、その幅寸法Wは、2200mm又は2400mmあるいは3000mm等に設定される。また、各天板1の奥行寸法Dは、例えば645mm等に設定される。各天板1は、両端部のみを脚2により支持されているものであり、使用縁1q側には連続した下肢空間Sが形成されている。
【0024】
端部の脚2Aは、図1〜図3に示すように、各天板1の最外方に位置する端部1rを支持するためのもので、下端にアジャスタ2A1を有した盤状をなしており、上端部に第一の天板1Aを取り付けるための対を成す取付台2A2と第二の天板1Bを取り付けるための対を成す取付台2A3とをそれぞれ具備してなる。また、この脚2Aの上端近傍部の中央には前記ダクトフレーム3に連通する配線挿通窓2A4が設けられている。この配線挿通窓2A4には、蓋2A5が着脱可能に装着されるようになっている。
【0025】
中間の脚2Bは、図2〜図5に示すように隣接する二枚の天板1、1を支持するもの、すなわち、前記各天板1、1の突き合わせ側の端部を支持するためのもので、下端にアジャスタ2B2を有した支柱2B1と、この支柱2B1の上端に中央部を剛結した状態で前後に延びるアーム2B3とを具備してなるT字型のものである。前記アーム2B3の一側面には、第一の天板1Aを取り付けるための対をなす取付台2B4と、第二の天板1Bを取り付けるための対をなす取付台2B5とをそれぞれ備えている。また、アーム2B3の他側面にも、他の第一の天板1Aを取り付けるための対をなす取付台2B4と、他の第二の天板1Bを取り付けるための対をなす取付台2B5とをそれぞれ備えている。前記支柱2B1は、平行に起立する2本の縦桿2B1aを副数本の横桿2B1bにより結合してなる梯子状のもので、最上段の横桿2B1bと次段の横桿2B1bとの間にダクトフレーム3の内部同士を連通させるための配線挿通口2B1cが形成されている。
【0026】
前記端部の脚2Aと前記中間の脚2Bとの間には、前記ダクトフレーム3がそれぞれ架設されている。各ダクトフレーム3は、図4に示すように、端部の脚2Aに接続される第一の単位ダクト31と、中間の脚2Bに接続される第二の単位ダクト32とを相互に連結したものである。
【0027】
第一の単位ダクト31は、図5及び図8等に示すように、樋状をなすダクト本体311と、このダクト本体311の端面を閉塞する端板312、312と、ダクト本体311の上面側に形成される開口部311cに開閉可能に蓋着されるダクトカバー33とを具備してなる。ダクト本体311は、対を成す板金製の起立壁311a、311aと、これらの起立壁311a、311aの底部間に設けられた底壁311bとを具備してなるもので、前記起立壁311a、311aと前記底壁311bとは溶接により接続されている。前記各起立壁311aの上縁部には、内側に屈曲させた上折曲部311a1が形成されており、その上折曲部311a1間に当該ダクトフレーム3の内部を前記天板1間の隙間Cを介して上方に開放するための開口部311cが形成されている。また、前記各起立壁311aの下縁部には、内側に屈曲させた下屈曲部311a2が形成されている。前記各端板312は、前記ダクト本体311の端面に対応する形状の端板本体312aを主体に構成されているもので、この端板本体312aの上縁に前記上折曲部311a1と連続して当該ダクトフレーム3の上面3aを構成する上片312bを設けると共に、前記端板本体312aの下縁に前記ダクト本体311の下屈曲部311a2に接合される下片312cを設けている。また、端板本体312aの両側縁には前記ダクト本体311の内面に接合される側片312dを設けている。これら端板本体312a、上片312b、下片312c、及び、両側片312d、312dは、ダクト本体311の板金素材よりも厚みの大きな板金素材に折曲げ加工を施すことにより一体に成型されている。なお、このようにしてなる第一の単位ダクト31の両端板312、312には、配線挿通用の窓312eと、この窓312eの上下に位置させて穿設されたボルト挿通孔312fと、単位ダクト31の端面から突出する掛止用の爪312gとがそれぞれ設けられている。ダクトカバー33は、前記端板312、312の上片312b、312bにボルト等を用いて取り付けられる一対の支持部材331、331と、これら支持部材331、331に支持されるとともにダクト本体311の開口部をカバーするカバー本体332とを具備してなるものである。
【0028】
第二の単位ダクト32は、下記に示す部位以外は、第一の単位ダクト31の同一の構造をなしており、対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。第二の単位ダクト32において、第一の単位ダクト31と異なっている点は、第二の単位ダクト32の端板321、322における第一の単位ダクト31に接続する側の端板321に爪312gに変えて第一の単位ダクト31の爪312gが係合する爪掛け凹部321aを設けている点と、その端板321の内面に前記ボルト挿通孔312fと軸心とを一致させてナット321bを固設している点である。
【0029】
次いで、この天板付家具Tの全体の構造を組立順序と共に説明する。まず、図8に示すように、以上のようにしてなる第一の単位ダクト31と第二の単位ダクト32とを接続することにより端部の脚2Aと中間の脚2Bとの間に架設されるダクトフレーム3を組みあげる。両単位ダクト31、32の接続は、第一の単位ダクト31の爪312gを第二の単位ダクト32の爪掛け凹部321aに掛止めして両単位ダクト31、32の端板312、312同士を重ね合わせ、第一の単位ダクト31の側からボルト挿通孔312fに挿通させたボルト3vを第二の単位ダクト32の端板321に設けたナット321bに定着することにより行う。このようにして接続された第一、第二の単位ダクト31、32の上面3aに、連結用のブラケット34、34を架け渡してボルト3v・・・により固定することによって前記両ダクト31、32の連結強度をより強化する。このようにしてなるダクトフレーム3により端部の脚2Aと中間の脚2Bとを接続する。すなわち、第一の単位ダクト31における脚側の端板312を、端部の脚2Aの内面に爪312gを用いて仮留めした上で、ダクトフレーム3側からボルト挿通孔312fに挿入した図示しないボルトを、端部の脚2Aに埋設してある図示しないナットに定着させることによりダクトフレーム3と端部の脚2Aとを結合する。また、第二の単位ダクト32における脚側の端板322を、中間の脚2Bの一方の面に爪312gを用いて仮留めした上で、ダクトフレーム3側からボルト挿通孔312fに挿入した図示しないボルトを中間の脚2Bに埋設してある図示しないナットに定着させることによりダクトフレーム3と中間の脚2Bとを結合する。しかる後に、端部の脚2Aと中間の脚2Bとの上に第一の天板1A及び第二の天板1Bをそれぞれ載置して固定する。すなわち、下肢空間S側から各脚1の取付台2A2、2A3、2B4、2B5に設けられた図示しないボルト挿通孔に図示しないボルトを挿通させ、そのボルトを天板1の端部に埋設したナット1nに定着することにより各天板1を各脚2に固定する。また、ダクトフレーム3の接続部分に設けられたブラケット34のビス挿通孔341に下側から挿通させたビスPvを天板1に埋設したナット1nに定着することにより各天板1の反使用端縁1pにおける幅方向中央部分をダクトフレーム3に接続し、前述した天板付家具Tを完成させる。
【0030】
以上のようにしてなる天板付家具Tの例えば第一の天板1Aに、固有振動数変更手段である突っ張り要素Pを設けている。
【0031】
突っ張り要素Pは、天板1Aと床Fとの間に配される支柱P1と、この支柱P1に設けられ、前記天板1A及び前記床Fから前記支柱P1に作用する圧縮応力を調節するためのアジャスタP2とを具備してなる。支柱P1は、例えば押出し成形により作られたアルミダイキャスト製のもので横断面が略楕円状をなしており、内部に三本の円形空洞部P11、P12、P12を具備している。そして、前記中央の円形空洞部P11の下端部内周にアジャスタ取付用の雌ネジ部を刻設するとともに、両側二本の円形空洞部P12、P12の上端部及び下端部に蓋板P13又は取付板P14を取り付けするための雌ネジ部をそれぞれ刻設している。支柱P1の下端には、前記中央の円形空洞部P11に対応する位置にアジャスタ取付孔P132を有するとともに両側の円形空洞部P12、P12に対応する位置にビス孔P141を有する蓋板P13が添着させてあり、この蓋板P13を前記ビス孔P141を通して両側二本の円形空洞部P12、P12の雌ネジ部に螺合させたビスPv、Pvにより支柱P1に固定している。また、支柱P1の上端には、前記両側2本の円形空洞部P12、P12に対応する位置にビス孔P141、P141を有する取付板P14が添着させてあり、この取付板P14を、前記ビス孔P141、P141を通して両側二本の円形空洞部P12、P12の雌ネジ部に螺合させたビスPv、Pvにより支柱P1に固定している。取付板P14は天板1の反使用縁1p側に延出したもので、その延出端部P142を前記ブラケット34の下面に重ね合わせた上で、ビスPv、Pvにより天板1の下面に止着している。また、前記支柱P1の上方における前記取付板P14と前記天板1との間には、前記ブラケット34の厚みに相当するスペーサSPが介在させてある。前記アジャスタP2は、グリップ部P211及び金具掛け部P212を有した接触部P21と、この接触部P21の中心から上方に突出させた螺子棒P22とを具備してなるもので、前記螺子棒P22を、支柱P1の下端中央の円形空洞部P11に刻設された雌ネジ部に螺合させている。
【0032】
なお、本実施形態では、前記突っ張り要素Pを、天板1の幅方向の中央付近であって天板1の奥行き方向の中央よりも奥側に配している。具体的には、前記突っ張り要素Pの上端部を天板1の使用縁1q側から440mmの箇所に位置させたものとしている。
【0033】
このような構成のものであれば、アジャスタP2を支柱P1に対して螺合進退させることにより床Fを足場にして天板1Aを押し上げる力が変化することになり、天板1の固有振動数を無段階に変化させることができる。そのため、空調装置など周囲の機器類から発せられる振動に天板1Aが共振するのを効果的に抑制又は防止することが可能になる。また、前記突っ張り要素Pを前記天板1Aの奥行き方向の中央よりも奥側に位置させているので、下肢空間Sが狭められるのを好適に抑制することができる。また、支柱P1の上端をブラケット34に支持させているので、支柱P1の位置ズレを効果的に防止することができる。
【0034】
なお、突っ張り要素Pは前記実施形態のものに限らず、例えば図9及び図10に示すようなものであってもよい。すなわち、当該実施形態は、支柱Pの上端側にアジャスタP2を配したものである。具体的には、この支柱P1は、前記実施形態とは異なり、支柱P1の上端部における中央の円形空洞部P11にアジャスタ取付用の雌ネジ部を刻設し、この雌ネジ部にアジャスタP2の螺子棒P22を螺合させるようにしている。そして、前記ブラケット34に前記アジャスタP2の接触部P21を挿入可能な位置決め孔P31を有した位置決め板P3を取付けており、この位置決め孔P31に挿入されたアジャスタP2の接触部P21を、応力分散板P4を介して天板1の下面に当接させている。なお、図9及び図10において、前記実施形態と同一又は相当する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
また、突っ張り要素Pは、支柱P1に代えてワゴン4を利用したものであってもよい。このようなものでは、ワゴン4の下側にアジャスタを設けた場合にはワゴン4の上側に天板1Aの下面を押圧するための接触部P21を設けておけばよく、逆にワゴン4の上側に天板1Aを押圧するためのアジャスタP2を設けている場合にはワゴン4の下側は通常の脚あるいはキャスタ等であってもよい。
【0036】
さらに、固有振動数変更手段は前述したような突っ張り要素Pに限られるものではなく、例えば、天板1の幅方向中間部位の下面に一側面に開口部を有する箱体を設け、この開口部から箱体内に重りを配置するようにしても良い。例えば、重りの重さは8〜10Kgである。また、後述するようなダクトフレーム3に関連させて設けたものであってもよい。ダクトフレーム3に関連させて設けたものとしては、図11及び図12に示すように、基端部が前記ダクトフレーム3の上面又は/及び起立面に取り付けられ先端部で天板1の使用縁1q側における奥行き寸法の3分の2に相当する領域のいずれかの部位を支持するステーJを用いたものなどがある。具体的に説明すると、図11に示すステーJは、前記ブラケット34に一体に設けたものであり、このステーJの先端部を天板1の下面に取付けるようにしたものである。このようなステーJは、前記ブラケット34と別体に構成し、前記ブラケット34に取付けるようにしたものでも良い。ステーJの先端部は、天板1の下面に対しボルト等を用いて固定しても良い。続いて、図12に示すものは、ワゴン4の挿入空間を確保するために起立部J1と水平部J2とを主体に構成されたものであり、前記起立部J1の基端取付部J11をダクトフレーム3の起立面3bに、(本実施例では単位ダクト31、32の起立壁311a、311aを跨ぐように)適宜な図示しない止着具を用いて止着するとともに、前記水平部J2の先端取付部J21を天板1の下面に適宜な図示しない止着具を用いて止着するようにしたものである。なお、前記ステーJは、直接天板1を押圧するものに限られず、先端部をボルトを用いて固定しても良いし、ステーJの先端取付部J21に設けたアジャスタを天板に押しつけるようにしてもよい。
【0037】
また、図1〜図8に示す実施形態においては、天板付家具として複数枚の天板を横方向に配置した態様のものを示しているが、本発明は、単一の天板を有したものにおいても当然に適用することができる。また、前記実施形態では、複数の天板を対面配置した態様のものを示しているが、本発明は、対面配置した態様以外のものにおいてももちろん適用されるものである。さらにこの実施形態では、単一の天板に対して固有振動数変動手段を設けた場合について説明したが、他の天板に対しても固有振動数変更手段を設けてよいのはもちろんのことである。
【0038】
固有振動数変更手段である突っ張り要素のアジャスタは、支柱等の上端側や下面側に設けられたものには限定されず、例えば支柱の中央箇所近傍に設けるようにしたものも考えられる。
【0039】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1(1A、1B)…天板
2(2A、2B)…脚
3…ダクトフレーム
31、32…単位ダクト
34…ブラケット
4…ワゴン
F…床
J…ステー
P…固有振動数変更手段(突っ張り要素)
P1…支柱
P2…アジャスタ
T…天板付家具
W…幅寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、この天板の両端部を支持する脚とを具備してなり、前記天板の幅寸法を、その下方にワゴンを挿入した状態で当該天板を複数人で使用することができる値に設定した天板付家具であって、
前記天板の幅方向中間部位に該天板の固有振動数を変更するための固有振動数変更手段を設けたことを特徴とする天板付家具。
【請求項2】
前記天板が、2000mm以上の幅寸法を有したものである請求項1記載の天板付家具。
【請求項3】
前記固有振動数変更手段が、前記天板と床との間に介設される突っ張り要素である請求項1又は2記載の天板付家具。
【請求項4】
前記突っ張り要素が、天板と床との間に配される支柱と、この支柱に設けられ、前記天板及び前記床から前記支柱に作用する圧縮応力を調節するためのアジャスタとを具備してなる請求項3記載の天板付家具。
【請求項5】
前記突っ張り要素が、天板の奥行き方向の中央よりも奥側に配されている請求項3又は4記載の天板付家具。
【請求項6】
前記突っ張り要素が、天板の幅方向の中央付近に配されている請求項3、4又は5記載の天板付家具。
【請求項7】
前記突っ張り要素が、天板と床との間に配されるワゴンと、このワゴンに設けられ、前記天板及び前記床から前記ワゴンに作用する上下方向の圧縮応力を調整するためのアジャスタとを具備したものである請求項3記載の天板付家具。
【請求項8】
前記固有振動数変更手段が、前記天板の下面側に重りを一体的に取り付けたものである請求項1又は2記載の天板付家具。
【請求項9】
前記天板の反使用端側に位置させて前記脚間に架設したダクトフレームを更に備えたものである請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の天板付家具。
【請求項10】
前記固有振動数変更手段が、前記ダクトフレームに関連させて設けられたものである請求項9記載の天板付家具。
【請求項11】
前記固有振動数変更手段が、基端部が前記ダクトフレームの上面又は/及び起立面に取り付けられ先端部で天板の使用縁側における奥行き寸法の3分の2に相当する領域のいずれかの部位を支持するステーを備えたものである請求項10記載の天板付家具。
【請求項12】
前記ダクトフレームが、脚間において複数の単位ダクトを接続したものであり、前記ステーの基端部が前記単位ダクト同士を連結するためのブラケットを介して前記ダクトフレームの上面に支持されている請求項11記載の天板付家具。
【請求項13】
前記ステーが、前記ブラケットに一体的に形成されたものである請求項12記載の天板付家具。
【請求項14】
幅方向に配列させた複数枚の天板を、特定の天板の端部を支持する端部の脚及び隣接する二枚の天板を支持する中間の脚とによって支持してなるものであって、少なくとも一枚の天板に前記固有振動数変更手段を設けている請求項1記載の天板付家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−10909(P2011−10909A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158445(P2009−158445)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】