説明

天然ゴム溶液用減粘剤、天然ゴム溶液組成物及びその製造方法、並びに天然ゴム溶液の粘度を低減させる方法

【課題】 天然ゴム溶液用減粘剤、低粘度の天然ゴム溶液組成物及びその製造方法、並びに従来の天然ゴム製品の性能や品質を低下させることなく天然ゴム溶液の粘度を低減させる方法を提供する。
【解決手段】 天然ゴム、非イオン性界面活性剤及び有機溶媒を混合して、有機溶媒中に天然ゴム及び非イオン性界面活性剤を含有せしめることにより、天然ゴム溶液組成物を製造する。又、天然ゴム溶液中に非イオン性界面活性剤を含有せしめることにより、天然ゴム溶液の粘度を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ゴム溶液用減粘剤、低粘度の天然ゴム溶液組成物及びその製造方法、並びに従来の天然ゴム製品の性能や品質を低下させることなく天然ゴム溶液の粘度を低減させる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、天然ゴムは東南アジアで主に産出される。通常、天然ゴムは、ゴムの樹液を燻煙処理や凝固・水洗・乾燥処理などの所定の処理工程を経て製造される。天然ゴムは、その処理方法によってスモークシートゴム(RSS)或いは技術的各付けゴム(TSR)に区分される。
前記天然ゴムは、タイヤ、ベルト、パッキン、靴底、ゴム引き布、ブレーキパット、接着剤、粘着剤、ブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェイシング等の摩擦材用途など多岐の用途に使用されている。
それら天然ゴム製品の製造方法としては、次のような方法が挙げられる。例えば、芳香族ジスルフィド化合物、芳香族メルカプタン化合物等のしゃく解剤などの添加剤を前記天然ゴムに添加して素練りを行う(特許文献1及び特許文献2)。この時に天然ゴムの分子量が低下するので、天然ゴム自身が軟化(可塑化)したり、添加剤や有機溶媒との混合性が向上したりする。次に、素練りした天然ゴムを有機溶媒に溶解させて天然ゴム溶液とし、それを基材に塗布する或いは注型用金型に流し込むなどの成形を行った後、有機溶媒を除去して、天然ゴム製品が製造される。
【0003】
上記の素練りした天然ゴムは有機溶媒との混合性は向上するが、その天然ゴム溶液の粘度は100Pa・s以上と高いものであった(通常、天然ゴム成分の濃度は10〜40重量%程度)。その溶液粘度が高い為に、例えば注型成形では注型作業に時間を要したり、複雑な形状の金型や間隙の小さい金型への注型が不十分となったり、は膜成形では均一な塗膜が作り難くなったりなど、生産性の低下や天然ゴム製品の品質の低下を招くことがあった。
かかる状況から、ゴム業界では、従来の天然ゴム製品の性能や品質を低下させることなく、簡便な方法で天然ゴム溶液の粘度を低減させる方法、或いは低粘度の天然ゴム溶液の製造方法が要望されていた。
【0004】
【特許文献1】特開平6−56902号公報
【特許文献2】特開平8−67703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、天然ゴム溶液用減粘剤、低粘度の天然ゴム溶液組成物及びその製造方法、並びに従来の天然ゴム製品の機能や物性に実質的に影響することなく天然ゴム溶液の粘度を低減させる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、
(i)非イオン性界面活性剤を天然ゴム溶液中に含有せしめることにより、天然ゴム溶液の粘度を格段に低下させることができること、
(ii)前記(i)方法により低粘度化された天然ゴム溶液から得られる天然ゴム製品は、当該非イオン性界面活性剤を含有していない天然ゴム溶液から得られる天然ゴム製品と比較して、その性能や物性に実質的な差異が認められないこと、
を見出しかかる知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明は以下の項目の発明を提供する。
【0008】
(項1)非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする天然ゴム溶液用減粘剤。
【0009】
(項2)更に、有機溶媒を含有することを特徴とする上記項1に記載の天然ゴム溶液用減粘剤。
【0010】
(項3)非イオン性界面活性剤が、エーテル型非イオン性界面活性剤、エーテルエステル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤及び窒素含有型非イオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のものである上記項1又は項2に記載の減粘剤。
【0011】
(項4)非イオン性界面活性剤が、HLB2〜15を有するものである上記項1〜3のいずれかに記載の減粘剤。
【0012】
(項5)天然ゴム、非イオン性界面活性剤及び有機溶媒(或いは、天然ゴム、上記項1〜4の何れかに記載の減粘剤及び有機溶媒)を含有する天然ゴム溶液組成物。
【0013】
(項6)非イオン性界面活性剤が、エーテル型非イオン性界面活性剤、エーテルエステル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤及び窒素含有型非イオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のものである上記項5に記載の天然ゴム溶液組成物。
【0014】
(項7)非イオン性界面活性剤が、HLB2〜15を有するものである上記項5又は項6に記載の天然ゴム溶液組成物。
【0015】
(項8)非イオン性界面活性剤の含有量が、天然ゴム100重量部に対し0.1〜10重量部である上記項5〜7のいずれかに記載の天然ゴム溶液組成物。
【0016】
(項9)有機溶媒の含有量が、天然ゴム1重量部に対し1〜20重量部である上記項5〜8のいずれかに記載の天然ゴム溶液組成物。
【0017】
(項10)天然ゴム、非イオン性界面活性剤及び有機溶媒を混合して、有機溶媒中に天然ゴム及び非イオン性界面活性剤を含有せしめる工程を具備することを特徴とする、上記項5〜9の何れかに記載の天然ゴム溶液組成物の製造方法。
【0018】
(項11)上記工程が、有機溶媒と非イオン性界面活性剤とを混合して非イオン性界面活性剤を溶解させた後、その界面活性剤溶液と天然ゴムとを混合して天然ゴムを溶解させる工程である上記項10に記載の製造方法。
【0019】
(項12)非イオン性界面活性剤が、エーテル型非イオン性界面活性剤、エーテルエステル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤及び窒素含有型非イオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のものである上記項10又は項11に記載の製造方法。
【0020】
(項13)非イオン性界面活性剤が、HLB2〜15を有するものである上記項10〜12のいずれかに記載の製造方法。
【0021】
(項14)非イオン性界面活性剤の含有量が、天然ゴム100重量部に対し0.1〜10重量部である上記項10〜13のいずれかに記載の製造方法。
【0022】
(項15)有機溶媒の含有量が、天然ゴム1重量部に対し1〜20重量部である上記項10〜14のいずれかに記載の製造方法。
【0023】
(項16)天然ゴム溶液中に非イオン性界面活性剤を含有せしめることを特徴とする天然ゴム溶液の粘度を低減させる方法。
【0024】
(項17)非イオン性界面活性剤が、エーテル型非イオン性界面活性剤、エーテルエステル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤及び窒素含有型非イオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のものである上記項16に記載の方法。
【0025】
(項18)非イオン性界面活性剤が、HLB2〜15を有するものである上記項16又は項17に記載の方法。
【0026】
(項19)非イオン性界面活性剤の含有量が、天然ゴム100重量部に対し0.1〜10重量部である上記項16〜18のいずれかに記載の方法。
【0027】
(項20)有機溶媒の含有量が、天然ゴム1重量部に対し1〜20重量部である上記項16〜19のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、簡便な方法で天然ゴム溶液の粘度を格段に低減させることができる。その方法により低粘度化された天然ゴム溶液から得られる天然ゴム製品は、当該非イオン性界面活性剤を含有していない天然ゴム溶液から得られる天然ゴム製品と比較して、その性能や物性に実質的な差異が認められない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
<天然ゴム溶液>
本発明に係る天然ゴム溶液は、有機溶媒に天然ゴムが溶解した溶液である。
【0030】
本発明に係る天然ゴム
本発明に係る天然ゴムには、従来公知の天然ゴムを使用することができる。具体的には、スモークドシート、ペールクレープ、エアドライシートスキムラバー、SPラバー、TCラバー、MGラバーなどが挙げられる。該天然ゴムは、100℃でのムーニー粘度が好ましくは10〜90、より好ましくは20〜80であるものが推奨される。
【0031】
前記天然ゴムは、合成ゴムなどで改質された天然ゴムであってもよい。この場合、合成ゴムの使用量は、天然ゴム100重量部に対して、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.1〜10重量部が推奨される。
改質に使用される合成ゴムとしては、例えばスチレンーブタジエン共重合ゴム(SB、R)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合ゴム(NBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブリレンゴム(PIB)、ブチルゴム(IIR)、ネオプレンゴム、SIS、クロロプレンゴム(CR)、EPDM、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが例示される。これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0032】
本発明に係る有機溶媒
本発明に係る有機溶媒には、天然ゴムに使用されてきた従来公知の有機溶媒が使用できる。
例えば、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどが例示される。これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
周辺環境及び作業環境の観点から、非芳香族系有機溶媒を使用することが推奨される。例えば、パラフィン系やナフテン系など有機溶媒が挙げられ、市販品としてはナフテン系有機溶媒であるリカソルブ800、リカソルブ900(商品名、新日本理化(株)製)などが例示される。
【0033】
<天然ゴム溶液用減粘剤>
本発明の天然ゴム溶液用減粘剤は、非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする減粘剤である。
【0034】
本発明に係る非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、エーテルエステル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、窒素含有型非イオン性界面活性剤などが例示される。これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0035】
上記非イオン性界面活性剤は、本発明の効果を損なわない限り、市販されているものを使用することができる。例えば、「14705の化学商品」(化学工業日報社、2005年1月25日発行)に記載されている非イオン性界面活性剤などが例示される。
【0036】
以下に、上記非イオン性界面活性剤を例示する。
尚、本明細書及び請求の範囲において、(EOxx〜zz)は、オキシエチレン基の平均重合度がxx〜zzモルであることを表し、(POxx〜zz)は、オキシプロピレン基の平均重合度がxx〜zzモルであることを表す。
又、「EO」及び「PO」がランダム重合若しくはブロック重合、或いは「EO」及び/又は「PO」が複数の位置に付加重合している場合、(EOxx〜zz)若しくは(POxx〜zz)は、夫々の「EO」若しくは「PO」を合計した平均重合度を表す。
【0037】
エーテル型非イオン性界面活性剤
エーテル型非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキル若しくはアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキル若しくはアルケニルフェニルエーテルなどが例示される。
【0038】
ポリアルキレングリコール
ポリアルキレングリコールとしては、例えば下記一般式(1)で表されるブロック型若しくはランダム型ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0039】
一般式(1)
【化1】

[式中、Aは、エチレン基及びプロピレン基を表す。aは、(AO)基の平均重合度を示し、15〜30、好ましくは20〜25を表す。オキシエチレン基とオキシプロピレン基とのモル比は1:9〜6:4、好ましくは2:8〜4:6である。]
【0040】
具体的には、ブロック型ポリオキシエチレン(EO1.5〜18)ポリオキシプロピレン(PO6〜27)グリコール、ランダム型ポリオキシエチレン(EO1.5〜18)ポリオキシプロピレン(PO6〜27)グリコールなどが挙げられる。
好ましくはブロック型ポリオキシエチレン(EO4〜10)ポリオキシプロピレン(PO12〜20)グリコール、ランダム型ポリオキシエチレン(EO4〜10)ポリオキシプロピレン(PO12〜20)グリコールなどが挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0041】
ポリオキシアルキレンアルキル若しくはアルケニルエーテル
ポリオキシアルキレンアルキル若しくはアルケニルエーテルとしては、例えば下記一般式(2)で表されるポリオキシエチレンアルキル若しくはアルケニルエーテルなどが例示される。
【0042】
一般式(2)
【化2】

[式中、Rは、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数8〜22、好ましくは10〜22のアルキル基若しくはアルケニル基を表す。bは、オキシエチレン基の平均重合度を示し、1〜30、好ましくは1〜15を表す。]
【0043】
具体的には、ポリオキシエチレン(EO1〜30)オクチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜30)ノニルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜30)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜30)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜30)ミリスチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜30)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜30)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜30)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜30)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜30)エイコシルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜30)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜30)ヤシ油エーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜30)オクチルドデシルエーテルなどが挙げられる。
好ましくは、ポリオキシエチレン(EO1〜15)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜15)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜15)ミリスチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜15)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜15)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜15)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜15)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜15)エイコシルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜15)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜15)オクチルドデシルエーテルなどが挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0044】
ポリオキシアルキレンアルキル若しくはアルケニルフェニルエーテル
ポリオキシアルキレンアルキル若しくはアルケニルフェニルエーテルとしては、下記一般式(3)で表されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどが例示される。
【0045】
一般式(3)
【化3】

[式中、Rは、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数3〜22、好ましくは8〜12のアルキル基を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。cは、オキシエチレン基の平均重合度を示し、1〜20、好ましくは1〜10を表す。]
【0046】
具体的には、ポリオキシエチレン(EO1〜20)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜20)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜20)デシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜20)ドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜20)(メチルノニルフェニル)エーテルなどが挙げられる。
好ましはポリオキシエチレン(EO1〜10)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜10)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜10)デシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜10)ドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(EO1〜10)(メチルノニルフェニル)エーテルなどが挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0047】
エーテルエステル型非イオン性界面活性剤
エーテルエステル型非イオン性界面活性剤として、ポリアルキレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン化多価(3価以上)アルコールモノ脂肪酸エステルなどが例示される。
【0048】
ポリアルキレングリコールモノ脂肪酸エステル
ポリアルキレングリコールモノ脂肪酸エステルとしては、例えば下記一般式(4)で表されるポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステルなどが例示される。
【0049】
一般式(4)
【化4】

[式中、Rは、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数7〜21、好ましくは11〜21のアルキル基若しくはアルケニル基を表す。dは、オキシエチレン基の平均重合度を示し、1〜30、好ましくは1〜15を表す。]
【0050】
具体的には、ポリエチレングリコール(EO1〜30)モノラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール(EO1〜30)モノミリスチン酸エステル、ポリエチレングリコール(EO1〜30)モノパルミチン酸エステル、ポリエチレングリコール(EO1〜30)モノステアリン酸エステル、ポリエチレングリコール(EO1〜30)モノイソステアリン酸エステル、ポリエチレングリコール(EO1〜30)モノオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール(EO1〜30)モノベヘン酸エステルなどを挙げられる。
好ましくは、ポリエチレングリコール(EO1〜15)モノラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール(EO1〜15)モノミリスチン酸エステル、ポリエチレングリコール(EO1〜15)モノパルミチン酸エステル、ポリエチレングリコール(EO1〜15)モノステアリン酸エステル、ポリエチレングリコール(EO1〜15)モノイソステアリン酸エステル、ポリエチレングリコール(EO1〜15)モノオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール(EO1〜15)モノベヘン酸エステルなどを挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0051】
ポリオキシエチレン化多価(3価以上)アルコールモノ脂肪酸エステル
ポリオキシエチレン化多価アルコール(3価以上)モノ脂肪酸エステルとしては、例えば下記一般式(5)〜(9)で表される化合物などが例示される。
【0052】
一般式(5)
【化5】

[式中、Rは、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数7〜21、好ましくは9〜19のアルキル基若しくはアルケニル基を表す。e及びfは、オキシエチレン基の平均重合度を示し、夫々0〜30を表す。e+fの合計は1〜30、好ましくは1〜15である。]
は、ポリオキシエチレン化グリセリンモノ脂肪酸エステルを表す。
【0053】
具体的には、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)グルセリンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)グルセリンモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)グルセリンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)グルセリンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)グルセリンモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)グルセリンモノベヘン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)グルセリンモノオレイン酸エステルなどが挙げられる。
好ましくは、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)グルセリンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)グルセリンモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)グルセリンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)グルセリンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)グルセリンモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)グルセリンモノオレイン酸エステルなどが挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0054】
尚、本発明の効果を損なわない限り、上記一般式(5)で表される化合物に、ポリオキシエチレン化グリセリンジ脂肪酸エステル、グリセリントリ脂肪酸エステル等が含まれていてもよい。
【0055】
一般式(6)
【化6】

[式中、Rは、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数7〜21、好ましくは9〜19のアルキル基若しくはアルケニル基を表す。g、h、i、j及びkは、オキシエチレン基の平均重合度を示し、夫々0〜30を表す。g+h+i+j+kの合計は、1〜30、好ましくは1〜15である。]
は、ポリオキシエチレン化ソルビトールモノ脂肪酸エステルを表す。
【0056】
具体的には、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)−D−ソルビトールモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)−D−ソルビトールモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)−D−ソルビトールモノパルチミン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)−D−ソルビトールモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)−D−ソルビトールモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)−D−ソルビトールモノベヘン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)−D−ソルビトールモノオレイン酸エステルなどが挙げられる。
好ましくは、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)−D−ソルビトールモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)−D−ソルビトールモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)−D−ソルビトールモノパルチミン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)−D−ソルビトールモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)−D−ソルビトールモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)−D−ソルビトールモノオレイン酸エステルなどが挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0057】
尚、本発明の効果を損なわない限り、上記一般式(6)で表される化合物に、ポリオキシエチレン化−D−ソルビトールジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−D−ソルビトールトリ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化−D−ソルビトールテトラ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化−D−ソルビトールペンタ脂肪酸エステル、D−ソルビトールヘキサ脂肪酸エステル等が含有していてもよい。
【0058】
一般式(7)
【化7】

[式中、Rは、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数7〜21、好ましくは9〜19のアルキル基若しくはアルケニル基を表す。m、n及びpは、オキシエチレン基の平均重合度を示し、夫々0〜30を表す。m+n+pの合計は1〜30、好ましくは1〜15である。]
は、ポリオキシエチレン化ソルビンタンモノ脂肪酸エステルを表す。
【0059】
具体的には、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノベヘン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノオレイン酸エステルなどが挙げられる。
好ましくは、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ソルビタンモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ソルビタンモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ソルビタンモノオレイン酸エステルなどが挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0060】
尚、本発明の効果を損なわない限り、上記一般式(7)で表される化合物にポリオキシエチレン化ソルビタンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ソルビタントリ脂肪酸エステル、ソルビタンテトラ脂肪酸エステルが含有していてもよい。
【0061】
一般式(8)
【化8】

[式中、Rは、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数7〜21、好ましくは9〜19のアルキル基若しくはアルケニル基を表す。q、r及びtは、オキシエチレン基の平均重合度を示し、夫々0〜30を表す。q+r+tの合計は1〜30、好ましくは1〜15である。]
は、ポリオキシエチレン化ソルビンタンモノ脂肪酸エステルを表し、上記一般式(7)で表される化合物と同類のソルビタンエステル誘導体である。
【0062】
具体的には、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノベヘン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ソルビタンモノオレイン酸エステルなどが例示される。
好ましくは、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ソルビタンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ソルビタンモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ソルビタンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ソルビタンモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ソルビタンモノオレイン酸エステルなどが例示される。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0063】
尚、本発明の効果を損なわない限り、上記一般式(8)で表される化合物に、ポリオキシエチレン化ソルビタンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ソルビタントリ脂肪酸エステル、ソルビタンテトラ脂肪酸エステルが含有していてもよい。
【0064】
一般式(9)
【化9】

[式中、Rは、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数7〜21、好ましくは9〜19のアルキル基若しくはアルケニル基を表す。u、v及びwは、オキシエチレン基の平均重合度を示し、夫々0〜30を表す。u+v+wの合計は1〜30、好ましくは1〜15である。]
は、ポリオキシエチレン化ペンタエリスリトールモノ脂肪酸エステルを表す。
【0065】
具体的には、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ペンタエリスリトールモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ペンタエリスリトールモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ペンタエリスリトールモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ペンタエリスリトールモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ペンタエリスリトールモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ペンタエリスリトールモノベヘン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜30)ペンタエリスリトールモノオレイン酸エステルなどが例示される。
好ましくは、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ペンタエリスリトールモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ペンタエリスリトールモノミリスチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ペンタエリスリトールモノパルミチン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ペンタエリスリトールモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ペンタエリスリトールモノイソステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン化(EO1〜15)ペンタエリスリトールモノオレイン酸エステルなどが例示される。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0066】
尚、本発明の効果を損なわない限り、上記一般式(9)で表される化合物に、ポリオキシエチレン化ペンタエリスリトールジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化ペンタエリスリトールトリ脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ脂肪酸エステルが含有していてもよい。
【0067】
エステル型非イオン性界面活性剤
エステル型非イオン性界面活性剤としては、多価アルコールモノ脂肪酸エステルなどが例示される。
【0068】
多価アルコールモノ脂肪酸エステル
多価アルコールモノ脂肪酸エステルとしては、例えば、上記一般式(5)〜(9)における全てのオキシエチレン基の平均重合度が「0」で表される化合物やショ糖の直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数8〜22、好ましくは10〜20の飽和若しくは不飽和脂肪酸モノエステルなどが挙げられる。
【0069】
具体的には、グリセリンモノカプリン酸エステル、グリセリンモノラウリン酸エステル、グリセリンモノミリスチン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノイソステアリン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、グリセリンモノベヘン酸エステルなどのグリセリンモノ脂肪酸エステル、
ペンタエリスリトールモノカプリン酸エステル、ペンタエリスリトールモノラウリン酸エステル、ペンタエリスリトールモノミリスチン酸エステル、ペンタエリスリトールモノパルミチン酸エステル、ペンタエリスリトールモノステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールモノイソステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールモノオレイン酸エステル、ペンタエリスリトールモノベヘン酸エステルなどのペンタエリスリトールモノ脂肪酸エステル、
ソルビトールモノカプリン酸エステル、ソルビトールモノラウリン酸エステル、ソルビトールモノミリスチン酸エステル、ソルビトールモノパルミチン酸エステル、ソルビトールモノステアリン酸エステル、ソルビトールモノイソステアリン酸エステル、ソルビトールモノオレイン酸エステル、ソルビトールモノベヘン酸エステルなどのソルビトールモノ脂肪酸エステル、
ソルビタンモノカプリン酸エステル、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノミリスチン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノイソステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタンモノベヘン酸エステルなどのソルビタンモノ脂肪酸エステル、
ショ糖モノカプリン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノイソステアリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノベヘン酸エステルなどのショ糖モノ脂肪酸エステル、などが挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0070】
尚、本発明の効果を損なわない限り、上記多価アルコールモノ脂肪酸エステルに多価アルコールポリ脂肪酸エステルが含有していてもよい。
例えば、グリセリンジカプリン酸エステル、グリセリントリカプリン酸エステル、ペンタエリスリトールジステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールトリステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールテトラステアリン酸エステル、ソルビトールジパルチミン酸エステル、ソルビトールトリパルチミン酸エステル、ソルビトールテトラパルチミン酸エステル、ソルビタンジステアリン酸エステル、ソルビタントリステアリン酸エステル、ソルビタンテトラステアリン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖トリラウリン酸エステル、ショ糖テトララウリン酸エステルなどが挙げられる。
【0071】
窒素含有型非イオン性界面活性剤
窒素含有型非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル若しくはアルケニルアミン、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、トリアルキル若しくはアルケニルアミンオキシドなどが例示される。
【0072】
ポリオキシアルキレンアルキル若しくはアルケニルアミン
ポリオキシアルキレンアルキル若しくはアルケニルアミンとしては、例えば下記一般式(10)で表されるポリオキシエチレンアルキル若しくはアルケニルアミンなどが例示される。
【0073】
一般式(10)
【化10】

[式中、R10は、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数8〜22、好ましく10〜20のアルキル基又はアルケニル基を表す。Zは、メチル基又は−(CHCHO)H基を表す。x及びLは、オキシエチレン基の平均重合度を示し、xは1〜12、好ましくは1〜6を表し、Lは0〜12、好ましくは0〜6を表す。x+Lの合計は1〜12、好ましくは1〜6である。]
【0074】
具体的には、ポリオキシエチレン(EO1〜12)デシルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜12)ラウリルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜12)ミリスチルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜12)セチルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜12)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜12)イソステアリルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜12)オレイルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜12)メチルラウリルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜12)ベヘニルアミン、などが挙げられる。
好ましくは、ポリオキシエチレン(EO1〜6)デシルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜6)ラウリルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜6)ミリスチルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜6)セチルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜6)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜6)イソステアリルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜6)オレイルアミン、ポリオキシエチレン(EO1〜6)メチルラウリルアミンなどが挙げられる。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0075】
ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド
ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドとしては、例えば下記一般式(11)で表されるポリオキシエチレン脂肪酸アミドなどが例示される。
【0076】
一般式(11)
【化11】

[式中、R11は、直鎖状若しくは分岐鎖状の炭素数7〜21、好ましく9〜19のアルキル基又はアルケニル基を表す。Zは、メチル基又は−(CHCHO)H基を表す。y及びSは、オキシエチレン基の平均重合度を示し、yは1〜12、好ましくは1〜6を表し、Sは0〜12、好ましくは0〜6を表す。y+Sの合計は1〜12、好ましくは1〜6である。]
【0077】
具体的には、ポリオキシエチレン(EO1〜12)カプリン酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜12)ラウリル酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜12)ミリスチル酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜12)パルミチン酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜12)ステアリン酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜12)イソステアリン酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜12)オレイン酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜12)メチルラウリン酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜12)ベヘン酸アミド、などが挙げられる。
好ましくは、ポリオキシエチレン(EO1〜6)カプリン酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜6)ラウリル酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜6)ミリスチル酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜6)パルミチン酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜6)ステアリン酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜6)イソステアリン酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜6)オレイン酸アミド、ポリオキシエチレン(EO1〜6)メチルラウリン酸アミドなどが挙げられる。
特に、モノエタノールカプリン酸アミド、モノエタノールラウリル酸アミド、モノエタノールミリスチル酸アミド、モノエタノールパルミチン酸アミド、モノエタノールステアリン酸アミド、モノエタノールイソステアリン酸アミド、モノエタノールオレイン酸アミド、ジエタノールカプリン酸アミド、ジエタノールラウリル酸アミド、ジエタノールミリスチル酸アミド、ジエタノールパルミチン酸アミド、ジエタノールステアリン酸アミド、ジエタノールイソステアリン酸アミド、ジエタノールオレイン酸アミドが好ましい。
これらは、単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0078】
本発明に係る非イオン性界面活性剤のHLB(Hydrophilic-Lipophilic-Balance、親水基−親油基バランス)は、好ましくは2〜15、より好ましくは2.5〜12、特に好ましくは3〜9.5が推奨される。このHLBの範囲で特に有意な当該溶液粘度の低減効果が得られる。
【0079】
本明細書及び請求の範囲において、本発明に係るHLBは下式(E)のGriffinの式に従って算出した値である。
Griffinの式;
HLB=20×(1−(M/M)) (E)
(M;疎水基の分子量 M;界面活性剤の分子量)
【0080】
<本発明の天然ゴム溶液組成物>
本発明の天然ゴム溶液組成物は、天然ゴム、非イオン性界面活性剤及び有機溶媒を含有することを特徴とし、非イオン性界面活性剤を含有していない天然ゴム溶液と比較して、溶液粘度が低いという特性を有している。
【0081】
天然ゴム溶液組成物中の非イオン性界面活性剤の含有量は、天然ゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。この範囲で特に有意な溶液粘度の低減効果が得られる。
【0082】
天然ゴム溶液組成物中の有機溶媒の含有量は、天然ゴム1重量部に対して1〜20重量部、好ましくは1.2〜6.5重量部である。この範囲で特に有意な溶液粘度の低減効果が得られる。
【0083】
<天然ゴム溶液組成物の製造方法>
本発明に係る天然ゴム溶液組成物の製造方法は、天然ゴム、非イオン性界面活性剤及び有機溶媒を混合して、有機溶媒中に天然ゴム及び非イオン性界面活性剤を含有せしめる工程を具備することを特徴とする。
【0084】
天然ゴム、非イオン性界面活性剤及び有機溶媒を混合して、有機溶媒中に天然ゴム及び非イオン性界面活性剤を含有せしめる方法としては、目的が達成できる限り特に制限はないが、例えば、(i)有機溶媒と天然ゴムとを混合して天然ゴムを溶解させた後、その溶液と非イオン性界面活性剤とを混合して非イオン性界面活性剤を溶解させる方法、(ii)有機溶媒と非イオン性界面活性剤とを混合して非イオン性界面活性剤を溶解させた後、その溶液と天然ゴムとを混合して天然ゴムを溶解させる方法、(iii)有機溶媒と非イオン性界面活性剤及び天然ゴムとを同時に混合して非イオン性界面活性剤及び天然ゴムを溶解させる方法、(iv)非イオン性界面活性剤と有機溶媒とを混合して非イオン性界面活性剤を溶解させた溶液と、天然ゴムと有機溶媒とを混合して天然ゴムを溶解させた溶液とを混合する方法などが例示される。
作業の煩雑さ及び天然ゴムが有機溶媒に溶解し易くなる点から、(ii)又は(iv)の方法が推奨される。
【0085】
天然ゴム及び/又は非イオン性界面活性剤と有機溶媒とを混合する際の混合温度は、好ましくは20〜80℃、より好ましくは30〜60℃が推奨される。
【0086】
本発明の天然ゴム溶液組成物の製造方法における非イオン性界面活性剤の使用量は、天然ゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。この使用量の範囲で、得られる天然ゴム溶液組成物に特に有意な粘度の低減効果が得られる。
【0087】
本発明の天然ゴム溶液組成物の製造方法における有機溶媒の使用量は、天然ゴム1重量部に対して1〜20重量部、好ましくは1.2〜6.5重量部である。この使用量の範囲で、得られる天然ゴム溶液組成物に特に有意な粘度の低減効果が得られる。
【0088】
上記天然ゴム溶液組成物の製造方法は、上記項16〜20に記載の天然ゴム溶液の粘度の低減方法も同時に提供している。即ち、その低減方法は、天然ゴム溶液中に非イオン性界面活性剤を含有せしめることを特徴とする方法である。
【0089】
本発明の天然ゴム溶液組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜機能性樹脂や改質剤等を添加しても良い。例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂などのタッキファイヤや粘着付与樹脂、グラスファイバー、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、亜鉛華、マグネシア、カーボンブラックなどの充填剤、着色剤、ステアリン酸、パルチミン酸、ミリスチン酸など安定剤、ヒンダードフェノール系、アミン系、チオエーテル系、ホスファイチ系からなる老化防止剤、鉱油、プロセスオイルなど軟化剤、フタル酸エステル系、アジピン酸エステル系の可塑剤など挙げられる。
【実施例】
【0090】
以下、本発明をさらに具体的に説明する為に、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0091】
ムーニー粘度
JIS K 6300(1994)に記載の方法に従って、ムーニービスコメーターMV202(島津製作所製)を用いて測定した。
【0092】
溶液粘度
JIS Z 8803に記載の方法に従って、25℃でB型粘度計(東京計器製)を用いて測定した。
【0093】
粘着力試験
JIS Z 0237に記載の方法に従って、ベークライト製試験板(幅19mm)を被着体として用いて粘着力試験を行った。
尚、粘着力の測定時期は、調製直後、40℃で湿度80%の雰囲気下に10日間保存した後と40日間保存した後とした。
【0094】
実施例1〜7
スモークシート天然ゴムをクレープ素練りした後、微粉砕して、ムーニー粘度58の微粉末状の天然ゴムを得た。次に、脂環式炭化水素溶媒(商品名:リカソルブ800、新日本理化社製)300gに、表1に記載の非イオン性界面活性剤10gを溶解させて、界面活性剤溶液310gを調製した。50℃で該界面活性剤溶液310gに少量ずつ微粉末状の天然ゴム100gを添加し、攪拌混合しながら、天然ゴムを溶解させて、本発明の天然ゴム溶液組成物を得た。得られた天然ゴム溶液組成物の粘度の測定結果を表1に示した。
【0095】
比較例1
界面活性剤溶液310gの代わりに、当該非イオン性界面活性剤を含有していない脂環式炭化水素溶媒310gを用いた他は、実施例1と同様に行って、本発明外の天然ゴム溶液を得た。得られた天然ゴム溶液の粘度の測定結果を表1に示した。
【0096】
表1より、天然ゴム溶液中に非イオン性界面活性剤を含有せしめることにより、天然ゴム溶液の粘度が大きく低減することが判る。
【0097】
実施例8
脂環式炭化水素溶媒(商品名:リカソルブ800、新日本理化社製)300gに、実施例1で用いた非イオン性界面活性剤10gを溶解させて界面活性剤溶液310gを調製した。次に、50℃で該界面活性剤溶液310gに、実施例1で使用した微粉末状の天然ゴム100g及びテルペン系タッキファイヤ(商品名:YSポリスターT−130、ヤスハラケミカル社製)100gを少量ずつ添加し、攪拌混合しながら、天然ゴム及びテルペン系タッキファイヤを溶解させて、粘着剤組成物を調製した。次に、ベークライト製試験板(幅19mm)にその粘着剤組成物を塗布し、次にもう1枚のベークライト製試験板で挟み、それを100℃で5時間乾燥して粘着力試験用サンプルを作成した。この粘着剤組成物の粘着力の測定結果を表2に示した。
【0098】
比較例2
界面活性剤溶液310gの代わりに、非イオン性界面活性剤を含有していない脂環式炭化水素溶媒310gを用いた他は、実施例8と同様に行って、粘着剤組成物を調製した。次に、実施例8と同様に行って、粘着力試験用サンプルを作成した。その粘着剤組成物の粘着力の測定結果を表2に示した。
【0099】
表2より、非イオン性界面活性剤の有無による両者間の粘着力の差異は、実用範囲内の微差であり経時変化においてもその差異は殆ど認められなかった。
【0100】
【表1】

【0101】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明によれば、簡便な方法で天然ゴム溶液の粘度を低減させることができる。又、本発明の天然ゴム溶液組成物から得られる天然ゴム製品は、当該非イオン性界面活性剤を含有していない天然ゴム溶液から得られる天然ゴム製品と比較して、その性能や物性に実質的な差異がないので、従来から使用されてきた用途、例えば接着剤、粘着剤、摩擦材などに用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする天然ゴム溶液用減粘剤。
【請求項2】
非イオン性界面活性剤が、エーテル型非イオン性界面活性剤、エーテルエステル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤及び窒素含有型非イオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のものである請求項1に記載の減粘剤。
【請求項3】
非イオン性界面活性剤が、HLB2〜15を有するものである請求項1又は請求項2に記載の減粘剤。
【請求項4】
天然ゴム、非イオン性界面活性剤及び有機溶媒を含有する天然ゴム溶液組成物。
【請求項5】
非イオン性界面活性剤の含有量が、天然ゴム100重量部に対して0.1〜10重量部である請求項4に記載の天然ゴム溶液組成物。
【請求項6】
有機溶媒の含有量が、天然ゴム1重量部に対して1〜20重量部である請求項4又は請求項5に記載の天然ゴム溶液組成物。
【請求項7】
天然ゴム、非イオン性界面活性剤及び有機溶媒を混合して、有機溶媒中に天然ゴム及び非イオン性界面活性剤を含有せしめる工程を具備することを特徴とする、請求項4〜6の何れかに記載の天然ゴム溶液組成物の製造方法。
【請求項8】
天然ゴム溶液中に非イオン性界面活性剤を含有せしめることを特徴とする天然ゴム溶液の粘度を低減させる方法。

【公開番号】特開2006−299122(P2006−299122A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123942(P2005−123942)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000191250)新日本理化株式会社 (90)
【Fターム(参考)】