説明

太陽光の反射装置

【課題】隆起部を備えた反射体を採用することにより、設置の容易性と、再利用の可能性を実現した太陽光の反射装置を提供する。
【解決手段】円形の外縁2と、その外縁から中心方向に向かって隆起した隆起部3とを備えた構造体(本体)からなり、外縁2及び隆起部3の表面には太陽光の反射処理が施されている。隆起部3の外縁2には外周を取り巻いた状態で、外周から外側に水平に折れ曲がった設置辺5が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽光の反射装置に関し、特に、隆起部を備えた反射体を採用することにより、設置の容易性と、再利用の可能性を実現した太陽光の反射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リンゴ、桃等の果樹は、適度の太陽光線を浴びることにより、糖度と色合いの優れた品質に生育する。ところが、生育途中の果実の底部や葉陰になる部分は、太陽光線が十分に届かず、糖度と色合いが劣り、品質にむらが生じる。これを解消するために、果樹周辺の地面に、太陽光線の反射シートを敷いて日光を行き渡らせる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−143474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の技術は日光を反射する金属箔を貼り合わせたシートを果樹の地面に敷設して日光を十分に供給する技術であるが、シートの使用後は再利用が困難であり廃棄処分しなければならないという問題があった。
また、シートを敷設している間は風に飛ばされないように固定する必要があり、シートを固定するための作業が煩わしいという問題があった。
さらに、シートの面積が広くなるために、枯れ葉等の堆積、汚れの付着等により反射効果が低減するという問題があった。
本発明は係る従来の問題点を解決するためになされたものであってその目的とするところは、隆起部を備えた反射体を採用することにより、設置の容易性と、再利用の可能性を実現した太陽光の反射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するための手段として、請求項1記載の太陽光の反射装置では、所定面積からなる外縁と、その外縁から中心方向に向かって隆起した隆起部とを備えた構造体からなり、その構造体の表面に太陽光の反射処理を施したことを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の太陽光の反射装置では、請求項1記載の太陽光の反射装置において、前記構造体は、円形の外縁から中心方向に向かって球面状に隆起した隆起部を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の太陽光の反射装置では、請求項2記載の太陽光の反射装置において、前記隆起部の外縁には外側に屈曲した設置辺が形成されており、その設置辺には本体を係止する係止部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項4記載の太陽光の反射装置では、請求項3記載の構造体同士をそれぞれ重ね合わせて構成する太陽光の反射装置であって、構造体の底面同士を重ね合わせて、左右に太陽光の反射処理が施された隆起部を露出させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を採用したことにより、本発明では次の効果を有する。
隆起部を備えた構造体の表面に太陽光の反射処理を施したので、この構造体を果樹園に載置することにより、太陽光が多方向に反射されて果樹に照射される。
そのため、葉陰にも太陽光が行き渡らせることができ、集約して果樹、作物の育成が可能となる。
構造体は、円形の外縁から中心方向に向かって球面状に隆起した隆起部を備えているので、地面に置いても枯れ葉等の堆積を防止でき、降雨があっても汚れは傾斜に沿って流れ落ちる。
隆起部の外縁には外側に屈曲した設置辺が形成されており、その設置辺には本体を係止する係止部が形成されているので、太陽光の反射装置を一つの単位として設置、移動、運搬することができる。また、設置、回収が容易に行われるので複数年に渡って再利用が可能となる。
構造体の底面同士を重ね合わせて、左右に太陽光の反射処理が施された隆起部を露出させたので、球体のように周囲全体へ光線を反射させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の太陽光の反射装置を実現する最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0010】
第1実施例に係る太陽光の反射装置1は図1〜8に示すように、円形の外縁2と、その外縁から中心方向に向かって隆起した隆起部3とを備えた構造体(本体)からなり、外縁2及び隆起部3の表面には太陽光の反射処理が施されている。
【0011】
隆起部3は厚さ数mmの樹脂性板材を球面状に湾曲して形成したものであり、隆起部3の大きさは一例として平面から見た直径が1m前後に設定されている。
隆起部3の内側4は空洞とされており、本体を地面に設置した場合には碗を伏せたように、隆起部3の内側4と地面との間に空間が形成される。
尚、隆起部3の直径、樹脂製板材の厚さについては適用する作物、施設等に応じて適宜設定される。
【0012】
隆起部3の外縁2には外周を取り巻いた状態で、外周から外側に水平に折れ曲がった設置辺5が配置されている。この設置辺5は隆起部3と同一の厚さ数mmの樹脂製板材から構成されている。
前記設置辺5によって本体底面の外縁に数cm幅の鍔が形成された形態となっている。
設置辺5の一端には本体を地面に係止する係止部6が形成され、この係止部6には10cm程度の幅をおいて2カ所にピンの挿通孔7が形成されている。この係止部6は隆起部の左右に配置され、周囲全体で4カ所に挿通孔7が形成されている。
左右の係止部6は隆起部の中心を挟んで左右対称の位置に配置されている。
本体を地面に設置する場合には左右の係止部6の挿通孔7にそれぞれピン8を挿通して本体を地面に固定する。
【0013】
隆起部3の表面(上面)及び外縁2の表面にはシルバーメッキ加工による太陽光の反射処理が施されている。
このシルバーメッキ加工は表面を鏡のように仕上げたものであり、この鏡面処理によって、隆起部3及び外縁2に照射する光線は球面の湾曲に沿ってそれぞれの方向に反射される。
鏡面処理の方法としてはシルバーメッキ加工の他、塗装処理、金属箔のラミネート加工等公知の技術が採用される。
【0014】
次に、本発明の作用を説明する。
本発明の太陽光の反射装置1を果樹等の樹木の周辺に載置する(図10参照)。設置位置、個数等においては樹木の大きさ、場所、日光の入射角度等に応じて適宜設定する。
太陽光の反射装置1を地面に載置すると、底が球面状のカップを伏せた状態とされるので、風の影響を受けにくく、飛ばされにくい。尚、設置の安定性を確保するために、本体外周の係止部6の挿通孔7にピン8を挿通して本体を地面に固定する。これにより、外周の左右が地面に固定され安定的に設置される。
日中は反射装置1に照射される光線は果樹の葉、果実方向へ反射する。葉、果実においては日光に加えて反射光線も浴びることになり光合成が活発に行われ、果実の育成が促進される。
反射装置1の表面が球面状に湾曲しているので、枯れ葉等の異物は堆積しない。降雨等があっても汚れは付着せずに隆起部の傾斜に沿って流れ落ちる。
作物の収穫が終了した時には反射装置1を積み重ねて回収、保管し、次の年には再利用が可能である。
【実施例2】
【0015】
次に、第2実施例の太陽光の反射装置を説明する。
第2実施例の太陽光の反射装置は第1実施例で説明した太陽光の反射装置1を2個を組み合わせて左右に隆起部3を露出させた構成である。
それぞれ組み合わせる反射装置1は同一の形状のものを組み合わせる。それぞれの底の外周に沿って鍔状にあるいはフランジのように設置辺5が配設されているので、この設置辺同士を面合させることにより(図9(a))、左右に隆起部3が重ね合わされ、内部に空間のある球状体が形成される(図9(b))。
この球状体の外周には係止部6が配置されているので、係止部の挿入孔7をピン等でつなぎ合わせて両者を密着させる。
重ね合わされた反射装置は隆起部3を左右にした状態で吊り下げ、あるいは地面に設置する。
本実施例の反射装置は2個の反射装置が合わさって全体として球体のように構成されるので、周囲全体へ光線を反射させることができ、加えてミラーボールとして害鳥の防除効果が得られる。
【0016】
以上、実施例を説明したが、本発明の具体的な構成は前記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例においては装置本体を樹脂によって形成したが、金属で形成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】太陽光の反射装置の平面図である。
【図2】太陽光の反射装置の底面図である。
【図3】太陽光の反射装置の正面図である。
【図4】太陽光の反射装置の背面図である。
【図5】太陽光の反射装置の左側面図である。
【図6】太陽光の反射装置の右側面図である。
【図7】A−A端面図である。
【図8】B−B端面図である。
【図9】第2実施例に係る太陽光の反射装置の説明図である。
【図10】第1実施例に係る太陽光の反射装置の使用状態を示す参考図である。
【符号の説明】
【0018】
1 太陽光の反射装置
2 外縁
3 隆起部
4 内側
5 設置辺
6 係止部
7 挿通孔
8 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定面積からなる外縁と、その外縁から中心方向に向かって隆起した隆起部とを備えた構造体からなり、その構造体の表面に太陽光の反射処理を施したことを特徴とする太陽光の反射装置。
【請求項2】
前記構造体は、円形の外縁から中心方向に向かって球面状に隆起した隆起部を備えたことを特徴とする請求項1記載の太陽光の反射装置。
【請求項3】
前記隆起部の外縁には外側に屈曲した設置辺が形成されており、その設置辺には本体を係止する係止部が形成されていることを特徴とする請求項2記載の太陽光の反射装置。
【請求項4】
請求項3記載の構造体同士をそれぞれ重ね合わせて構成する太陽光の反射装置であって、
構造体の底面同士を重ね合わせて、左右に太陽光の反射処理が施された隆起部を露出させたことを特徴とする太陽光の反射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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