太陽光発電パネル付き保護屋根及び太陽光発電システム
【課題】発電効率を良好に保ちつつ、太陽光発電パネルを保護屋根上に低コスト且つ容易に設置できる太陽光発電パネル付き保護屋根を提供する。
【解決手段】本発明は、被保護物34の上方に配置される平面視多角形状の屋根枠部41と、屋根枠部41に対応して平面視多角形状を成し、太陽光発電パネル37の外周に設けられるパネル枠部50と、を備え、屋根枠部41の各辺部から任意に選択された一辺部44a側に、パネル枠部50の一辺部53a側が取り付けられ、屋根枠部41の一辺部44aとは反対に位置する他辺部44b側に、パネル枠部50の一辺部53aとは反対に位置する他辺部53b側が支持部材56を介して上方に離間した状態で取り付けられ、太陽光発電パネル37が、複数の方角から選択された一の方角に向けて傾斜して屋根枠部41に取り付けられることを特徴とする。
【解決手段】本発明は、被保護物34の上方に配置される平面視多角形状の屋根枠部41と、屋根枠部41に対応して平面視多角形状を成し、太陽光発電パネル37の外周に設けられるパネル枠部50と、を備え、屋根枠部41の各辺部から任意に選択された一辺部44a側に、パネル枠部50の一辺部53a側が取り付けられ、屋根枠部41の一辺部44aとは反対に位置する他辺部44b側に、パネル枠部50の一辺部53aとは反対に位置する他辺部53b側が支持部材56を介して上方に離間した状態で取り付けられ、太陽光発電パネル37が、複数の方角から選択された一の方角に向けて傾斜して屋根枠部41に取り付けられることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネル付き保護屋根及びこれを複数個備えた太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の削減や夏場の電力不足の解消等の観点から、節電の必要性が認識されると共に、再生可能な自然エネルギーを利用する発電技術(例えば、太陽光発電)の広範囲における実用化が期待されている。
【0003】
従来より、自然エネルギーを利用する発電技術は、高コストで効率が悪いと見られていたが、特に太陽光発電は、発電技術や送電システムなどの革新によって低コスト化に成功している。つまり、自然エネルギーを利用する発電技術は、かつてのような高コスト・低効率のままで停滞しているわけではない。省エネ技術の進歩とあいまって、世界中で根本的なエネルギー政策の見直しが始まっているのが現状である。
【0004】
このような背景の下、例えば特許文献1には、環境保全を図りながら都市部での駐車場ニーズに応えるため、駐車場内に風力発電機や太陽電池パネルを設置し、この風力発電機や太陽電池パネルで発電して駐車場に必要な電力を得るように構成された駐車場システムが開示されている。
【0005】
また、例えば特許文献2では、年間を通して太陽を朝から夕方まで自動追尾して発電するパネル分割型、太陽追尾式ソーラーパネルシステムが提案されている。具体的には、複数のソーラーパネルをソーラーパネル支持架台に配置し、東西方向と南北方向にそれぞれモータで連動して回転させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−257015号公報
【特許文献2】特開2003−324210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術は、単に駐車場の操作機器の上方に保護屋根があるから、そこに太陽電池パネルを取り付けただけであり、全くと云って良い程、発電効率に関しての考慮が成されていない。折角高価な太陽電池パネルを取り付けても、発電効率が低いのでは、投資に対しての効果が頗る低いものと云わざるを得ない状態であった。
【0008】
また、特許文献2に記載されるパネル分割型、太陽追尾式ソーラーパネルシステムにおいては、常に太陽を追尾するようにソーラーパネルを動かすための制御機器(例えば、モータやセンサ)にも電力を消費することになり、発電された電力を無駄に消費することになる。更に、この従来技術に記載のシステムは、部品点数が多く、複雑な構成であるため、設備コストが高騰してしまう。つまり、効率的なシステムとは云えず、普及する期待が持てない。
【0009】
そこで本発明の技術的課題は、発電効率を良好に保ちつつ、太陽光発電パネルを保護屋根上に低コスト且つ容易に設置できる太陽光発電パネル付き保護屋根を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の技術的課題を解決する為に本発明で講じた手段は以下の如くである。即ち、
(1)本発明の請求項1に係る太陽光発電パネル付き保護屋根は、被保護物の上方に太陽光発電パネルを設置して成る太陽光発電パネル付き保護屋根であって、前記被保護物の上方に配置される平面視多角形状の屋根枠部と、該屋根枠部に対応して平面視多角形状を成し、前記太陽光発電パネルの外周に設けられるパネル枠部と、を備え、前記屋根枠部の各辺部から任意に選択された一辺部側に、該一辺部と対応する前記パネル枠部の一辺部側が取り付けられ、前記屋根枠部の前記一辺部とは反対に位置する他辺部側に、前記パネル枠部の前記一辺部とは反対に位置する他辺部側が支持部材を介して上方に離間した状態で取り付けられ、前記太陽光発電パネルが、複数の方角から選択された一の方角に向けて傾斜して前記屋根枠部に取り付け可能に構成されていることを特徴としている。
【0011】
(2)本発明の請求項2に係る太陽光発電パネル付き保護屋根は、前記請求項1に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根において、前記屋根枠部には、その内側開口を覆って凹部を形成するように屋根面部が取り付けられ、該屋根面部は、略水平に設けられると共に、一端側から他端側に向かって下傾する水勾配を有し、前記屋根面部の前記他端側には、雨水排出用の樋が設けられていることを特徴としている。
【0012】
(3)本発明の請求項3に係る太陽光発電パネル付き保護屋根は、前記請求項1又は2に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根において、前記パネル枠部は、平面視で前記屋根枠部の内側に配置されていることを特徴としている。
【0013】
(4)本発明の請求項4に係る太陽光発電パネル付き保護屋根は、前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根において、前記支持部材は、前記屋根枠部の前記他辺部側と前記パネル枠部の前記他辺部側との距離を無段階又は段階的に調節可能となるように設けられていることを特徴としている。
【0014】
(5)本発明の請求項5に係る太陽光発電システムは、前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根を複数個備えた太陽光発電システムであって、一の方角に向かって伸びる通路に沿って設置される一の被保護物を保護して当該一の方角に直交若しくは平行する方角に傾斜する太陽光発電パネルが設置される保護屋根と、少なくとも前記一の方角に直交若しくは平行する方角から直角に右向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルが設置される他の被保護物を保護する保護屋根、および/または、前記一の方角に直交若しくは平行する方角から直角に左向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルが設置される他の被保護物を保護する保護屋根と、を備えていることを特徴としている。
【0015】
上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、標準的な構成の保護屋根に対し、複数の方角から選択された一の方角に向けて太陽光発電パネルを傾斜させて取り付けることが可能となり、設置場所に合わせて太陽光発電パネルの発電効率を高くすることができる。また、複雑な構造や多数の部品を使用する必要が無いため、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0016】
また、上記(2)で述べた請求項2に係る手段によれば、太陽光発電パネルから屋根面部に伝わる雨水を、屋根面部の水勾配によって操作機器の一端側から他端側に向かって流動させ、樋に回収することができる。そのため、太陽光発電パネルが設置された方角に関わらず、利用者が雨水に濡れるのを防止し、雨水の排出処理を適切に行うことが可能となる。さらに、上記した水勾配を有しながらも屋根面部は略水平に配置されているため、水勾配によって太陽光発電パネルの設置方向が制限されることはなく、屋根面部の構造が標準化されて、管理コストを削減できる。また、屋根面部が略水平でありながら、その上に設置される太陽光発電パネルは傾斜姿勢で設置されるから、降雪時でも太陽光発電パネルから雪が滑落しやすく、太陽光発電パネル上に雪が積もってしまい、その重さによって保護屋根全体の強度が影響を受ける虞は無い。
【0017】
また、上記(3)で述べた請求項3に係る手段によれば、太陽光発電パネルからパネル枠部を伝って滴下した雨水が、屋根枠部によって屋根面部上に誘導される。これに伴って、雨水の回収が適切に行われる。
【0018】
さらに、上記(4)で述べた請求項4に係る手段によれば、太陽光発電パネルの仰角(取付角度)を、無段階又は段階的に調節することが可能となる。そのため、太陽光発電パネルの様々な仰角を考慮して多数の部品を用意する必要がない。また、太陽光発電パネルの設置時において、太陽光発電パネルの仰角を簡単に設定することが出来、保護屋根の仕様ごとに部品を多数用意しておく必要がないため、管理コストや部材コストの低減につながる。さらに、太陽光発電パネルの仰角を調節可能としているため、どの緯度・経度の地区においても、最適な条件で太陽光発電パネルを設置することが可能となる。
【0019】
さらに、上記(5)で述べた請求項5に係る手段によれば、一の方角に向かって伸びる通路に沿って設置される一の被保護物を保護する保護屋根上の太陽光発電パネルを最も南側(北半球の場合、南半球であれば北側となる)に向けて設置することで、夏場に高い発電効率を実現することが可能となり、発電された電力によって夏場のピーク電力を相殺することができる。また、他の被保護物を保護する各太陽光発電パネルは、互いに方角をずらして設置されており、これに伴って各太陽光発電パネルの発電力のピーク時間帯をずらすことが可能となり、システム全体として長時間に亘って高い発電力を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上の如く構成された本発明に係る太陽光発電パネル付き保護屋根は、発電効率を良好に保ちつつ、太陽光発電パネルを保護屋根上に低コスト且つ容易に設置できるように工夫されているため、設置コストのみならず管理コストや部材コストまで低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、入場レーン及び出場レーンの近傍を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、(a)は事前精算機の近傍を示す正面図であり、(b)は同側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、事前精算機の上方に設置された太陽光発電パネル付き保護屋根の分解斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、事前精算機の上方に設置された太陽光発電パネル付き保護屋根の平面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、(a)は出口精算機の近傍を示す正面図であり、(b)は同側面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、太陽の方角及び高度を示す概略図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、各操作機器の上方に配置された太陽光発電パネルの発電力の推移を示すグラフである。
【図10】従来例に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場の入場レーン及び出場レーンの近傍を示す斜視図である。
【図11】一般的な太陽光発電パネルの設置状態(方角及び仰角)と年間発電量の関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、上述した本発明に係る太陽光発電パネル付き保護屋根の実施形態を、添付した図面と共に詳細に説明する。これらの実施形態は本発明の好適な具体例であって、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限りこれらの態様に限定されるものではない。
【0023】
まず、本発明の一実施形態について具体的に説明する前に、駐車場に設けられる各種操作機器の上方を覆う保護屋根に本発明の構成を適用することの意義について、図10及び図11を参照しつつ説明する。
【0024】
図10は、従来例に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場の入場レーン及び出場レーンの近傍を示す斜視図である。図10に示されるように、駐車場には入場レーン1と出場レーン2が設けられ、入場レーン1と出場レーン2の間には、アイランド3が設けられている。アイランド3には、入場レーン1側に向かって入口発券機4と入口ゲート開閉機5が設けられ、出場レーン2側に向かって出口精算機6と出口ゲート開閉機7が設けられている。出場レーン2を挟んでアイランド3の反対側には、事前精算機8が設けられている。入口発券機4、出口精算機6及び事前精算機8の上方をそれぞれ覆うように保護屋根9が設けられ、各保護屋根9上には太陽光発電パネル10が設置されている。
【0025】
入場レーン1や出場レーン2は、周辺の道路と駐車場のレイアウトの関係を考慮し、車両の入出場が極力し易く、且つ、駐車スペースを効率よく使用でき、周辺道路の交通を妨げないように配置が決定される。そのため、例えば必ず東西や南北に向けて入場レーン1や出場レーン2を設置するという構成を取ることはできない。従って、入場レーン1や出場レーン2は様々な方角で設置されることになるが、通常は、予め決められた入場レーン1や出場レーン2の方角によって各保護屋根9の設置される方角が決定される場合には、図10に示されるように、各保護屋根9上に太陽光発電パネル10を水平に配置するのが一般的であった。
【0026】
図11は、一般的な太陽光発電パネルの設置状態(方角及び仰角)と年間発電量の関係を示す表である。この図では、東京近郊において、真南の方角に仰角30度で太陽光発電パネルを設置した場合の年間発電量を最適条件(100%)とし、方角と仰角を変えて太陽光発電パネルを設置した場合の年間発電量を、上記した最適条件に対する割合で示している。この図に示すように、仮に太陽光発電パネルを水平に設置した場合であれば、最適条件に対して88.4%の年間発電量となる。つまり、仰角を水平(0度)に決めてしまった場合には、最適条件に比べて11.6%のロスが発生してしまう。このようなロスを減らすには、極力最適条件に近い条件で太陽光発電パネルの方角及び仰角を設定し、発電効率を高めることが求められる。
【0027】
一方で、太陽光発電によって自然エネルギーを効率よく電力に変換し、社会に貢献することを考慮した場合に、単に発電効率が良いだけでは、比較的高価な太陽光発電パネルを駐車場に多数導入するメリットには成りにくい。即ち、太陽光発電パネルによって発電出来る電力は、現在のところ駐車場の操作機器の保護屋根の面積(2〜4平方メートル程度)では、公称最大出力と発電効率を鑑みると、一箇所あたりピークでもせいぜい数百W程度である。さらに、これは太陽光発電パネルが最適な方角及び仰角で設置されている場合であり、例えば水平に設置された太陽光発電パネルでは、前述の如く年間発電量が88.4%に減少する。もちろん、太陽が出ていない夜間や曇天時に発電量が激減することは云うまでも無い。さらに、年間の発電効率が最も良いとされる真南向き、仰角30度の条件で太陽光発電パネルを設置し、発電された電力を、年間を通じて常にバッテリーに蓄電し、使用時には平均的に使用するとしても、せいぜい夜間の照明の一部の電力を補う程度に過ぎない。これでは導入コストに見合うだけの発電量を発生させるまでには至らない。
【0028】
そこで、本発明の発明者は、駐車場の操作機器の上方を覆う保護屋根に比較的高価な太陽光発電パネルを導入した場合に最もメリットのある使用方法を詳細に分析調査し、夏場のピーク電力の相殺にその最大の作用効果があるとの結論に至った。
【0029】
要するに、発電された電力を蓄電して効率を損ねることも無く、特に夏場の太陽高度に対応して発電効率の良くなる方角及び仰角で太陽光発電パネルを設置でき、保護屋根の部材のバリエーションを増やさず、発電した電力を電力会社に売電、若しくは駐車場内の機器にフィードバックできるように、太陽光発電パネルを設置する。この様な太陽光発電パネルの設置条件を満たす駐車場が広く普及した場合には、夏場のピーク電力に対する発電力の余裕が少ないことに起因する発電設備の新設やそれに係る社会的負担の増加を、少なからず減少させるという社会的なメリットがある。
【0030】
従って、本発明を駐車場の各種操作機器の上方を覆う保護屋根に適用することの最大の目的は、夏場の電力需要のピークに対して余裕の少ない現在の電力需給問題の解消に寄与すべく、上記した夏場の電力需要のピークが発生する時間帯に最も効率よく発電できるように太陽光発電パネルを配置することと、この目的を安価且つ容易に実現することである。
【0031】
次に、本発明の一実施形態にかかる太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場11の構成の概略について、主に図1、図2を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場の概略図である。図2は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、入場レーン及び出場レーンの近傍を示す斜視図である。
【0032】
駐車場11には、入場レーン12と出場レーン13が駐車スペース14の一側に設けられ、入場レーン12と出場レーン13の間には、コンクリート製のプラットフォームであるアイランド15が設けられている。
【0033】
アイランド15には、操作面を入場レーン12側に向けるように入口発券機16(駐車券発行機)が設置され、入口発券機16よりも車両17の入場方向奥側には、ゲートバー18を備えた入口ゲート開閉機20が入場レーン12側に向かって設置されている。
【0034】
入口発券機16は、入場レーン12に埋設された第1ループコイル21及び第2ループコイル22とケーブル(図示せず)等を介して接続されている。第1ループコイル21は、車両17の入場方向においてゲートバー18の手前側に配置され、第2ループコイル22は、車両17の入場方向においてゲートバー18の奥側に配置されている。各ループコイル21、22は、車両17の金属部分を検知するセンサとしての機能を有し、車両17が各ループコイル21、22の上方を通過すると、各ループコイル21、22から出力される高周波信号が変化し、この高周波信号の変化を入口発券機16が検出して、例えば駐車券の発行やゲートバー18の開閉等の処理が行われるようになっている。入口発券機16の上方には、入口発券機16を降雨・降雪から保護する保護屋根23が配置され、保護屋根23上に太陽光発電パネル24が設置されている。
【0035】
アイランド15には、操作面を出場レーン13側に向けるように出口精算機25が設置され、出口精算機25よりも車両17の出場方向奥側には、ゲートバー26を備えた出口ゲート開閉機27が出場レーン13側に向かって設置されている。つまり、入場レーン12側の駐車場管理機器(入口発券機16及び入口ゲート開閉機20)と出場レーン13側の駐車場管理機器(出口精算機25及び出口ゲート開閉機27)は、同じアイランド15上に夫々反対方向を向いて設置されている。
【0036】
出口精算機25は、出場レーン13に埋設された第1ループコイル28及び第2ループコイル30とケーブル(図示せず)等を介して接続されている。第1ループコイル28は、車両17の出場方向においてゲートバー26の手前側に配置され、第2ループコイル30は、車両17の出場方向においてゲートバー26の奥側に配置されている。各ループコイル28、30の機能については、入場レーン12側の各ループコイル21、22と同様であるため、記載を省略する。出口精算機25の上方には、出口精算機25を降雨・降雪から保護する保護屋根31が設置され、保護屋根31上に太陽光発電パネル32が設置されている。
【0037】
出場レーン13を挟んでアイランド15の反対側には歩行者用通路33が設けられ、歩行者用通路33の近傍には事前精算機34が駐車スペース14側を向いて設けられている。
【0038】
事前精算機34は、駐車場11を利用して出場する前に、利用者が予め料金精算を済ませておくためのものである。利用者は、事前精算機34を使って料金精算済みデータを図示しない駐車券に記録しておけば、車両17に乗車して出場する際に、出口精算機25に料金精算済みデータの記録された駐車券を挿入させるだけで、その時点では料金精算をすることなく、出口ゲート開閉機27のゲートバー26を開動作させることができる。事前精算機34は、出口精算渋滞を防止するために、比較的駐車台数の多い駐車場11に設置されることが多い。
【0039】
事前精算機34は、特に入場レーン12や出場レーン13の方向には関連無く、利用者がアクセスしやすい方向に向けて操作面が配置されている。事前精算機34は、アイランド15ではなく、若干背の高い台座35上に設置されている。事前精算機34は、起立状態で操作する利用者にとって最も操作性の良い高さを考慮して、出口精算機25よりも高めに設置されている。事前精算機34の上方には、事前精算機34を降雨・降雪から保護する保護屋根36が設置され、保護屋根36上に太陽光発電パネル37が設置されている。
【0040】
次に、各保護屋根23、31、36の近傍について、詳細に説明する。まず、事前精算機34の上方に配置される保護屋根36の近傍について、図3〜図5を用いて詳細に説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、(a)は事前精算機の近傍を示す正面図であり、(b)は同側面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、事前精算機の上方に設置された太陽光発電パネル付き保護屋根の分解斜視図である。図5は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、事前精算機の上方に設置された太陽光発電パネル付き保護屋根の平面図である。以下、図3(a)における手前側(図3(b)における左側)を、事前精算機34の正面側(前側)とし、図3(a)における奥側(図3(b)における右側)を、事前精算機34の背面側(後側)とする。
【0041】
保護屋根36は、事前精算機34の上方に配置される屋根面部40と、屋根面部40の外周を囲繞する屋根枠部41と、を備えている。換言すると、屋根枠部41の内側開口を全面的に覆って凹部を形成するように、屋根面部40が設けられている。
【0042】
屋根面部40は、平面視矩形状を成している。屋根面部40は、略水平に配置されるとともに、正面側から背面側に向かって下傾する水勾配を有している。本実施形態では、上記した水勾配が3度から5度に設定されている。図4に最も良く示されるように、屋根面部40の最も低い位置、即ち背面側の端部には、左方に向かって下傾する水勾配を有する樋42が設けられ、この樋42の左端に接続された雨樋パイプ43を通じて地面に雨水等を排出できるようになっている。
【0043】
屋根面部40については、金属等を使用せず、ポリカーボ製の半透明の板材やポリカーボ製の波状板等を用い、日中において屋根面部40の下側に極力外光を取り入れる様にし、且つ、重量を軽くするのが望ましい。それ以外の部材(例えば、屋根枠部41)については、アルミ押し出し材等で構成し、全体重量を抑えつつ対風圧性能などの強度を向上させるのが望ましい。
【0044】
屋根枠部41は、屋根面部40に対応して平面視矩形状を成している。屋根枠部41の各辺部44a〜44dの両端には、上端の幅いっぱいに近い箇所に、軸孔部45が夫々穿設されている。
【0045】
屋根枠部41の後端部の左右両端は、事前精算機34の後方に立設された左右の柱部46の上端に載置され、接合されている。左右の柱部46の間には、上下方向中央付近に横柱部47が架設されている。左右の柱部46の上部と屋根枠部41の間には、補強部48が斜めに接合され、屋根枠部41の水平姿勢を維持できるようになっている。
【0046】
保護屋根36上に設置される太陽光発電パネル37は、平面視矩形状を成している。太陽光発電パネル37には、平面視矩形状のパネル枠部50が四辺外周を囲うように装着されている。図5に最も良く示されるように、パネル枠部50は、平面視において屋根枠部41よりも一回り小さくなるように形成され、平面視で屋根枠部41の内側に配置されており、パネル枠部50と屋根枠部41の間には僅かな隙間51が形成されている。
【0047】
なお、パネル枠部50は、屋根枠部41と平行に配置された場合でも、屋根枠部41よりも一回り小さくなるように形成されており、例えば、パネル枠部50及び太陽光発電パネル37を保護屋根36内に収納して運搬することも可能である。
【0048】
図4に示されるように、パネル枠部50の各辺部53a〜53dの両端には、夫々幅いっぱいの位置に留孔部52が形成されている。留孔部52は、例えば、パネル枠部50に雌ネジを切るか、又は、パネル枠部50に穿設した丸孔の裏側にナット(図示せず)を固定して形成されている。
【0049】
パネル枠部50の前辺部53aは屋根枠部41の前辺部44aに沿って配置されており、屋根枠部41の前辺部44aに近接又は当接している。そして、屋根枠部41の左右両側辺部44c、44dの前端に設けられた軸孔部45に貫挿させたボルト54をパネル枠部50の左右両側辺部53c、53dの前端に設けられた留孔部52に締結させることで、屋根枠部41の前側にパネル枠部50の前側が取り付けられている。なお、軸孔部45の周囲の屋根枠部41と留孔部52の周囲のパネル枠部50の間には、前記した隙間51を埋めるようにワッシャ55が介装されており、このワッシャ55にもボルト54が貫挿している。
【0050】
パネル枠部50の前辺部53aと反対側に位置する(対角を成す)後辺部53bは、屋根枠部41の前辺部44aと反対側に位置する(対角を成す)後辺部44bよりも上方に持ち上げられており、屋根枠部41の後辺部44bに対して一定距離だけ上方に離間している。
【0051】
パネル枠部50の後側と屋根枠部41の後側は、支持部材としての左右一対のステー56を介して取り付けられている。ステー56は、長板状を成しており、平面視でパネル枠部50と屋根枠部41の間に挟まれるように配置されている(図5参照)。ステー56の長さ方向一端には、丸孔部57が穿設され、ステー56の長さ方向他端には、ステー56の長さ方向に延びる支持部材側取付部としての長孔部58が穿設されている。そして、ステー56の長さ方向一端部を屋根枠部41の左右両側辺部44c、44dの内側に挿入した状態で、屋根枠部41の左右両側辺部44c、44dの後端に設けられた軸孔部45とステー56の丸孔部57にボルト60を貫挿させ、このボルト60の先端にナット61を締結させることで、屋根枠部41にステー56が取り付けられている。また、ステー56の長孔部58に貫挿させたボルト62を、パネル枠部50の左右両側辺部53c、53dの後端に設けられた留孔部52に締結させることで、パネル枠部50にステー56が取り付けられている。
【0052】
ステー56の長孔部58とパネル枠部50の留孔部52の合わせ位置(締結位置)は、ステーの長さ方向に沿って可変である。そして、この合わせ位置を適宜調節することで、屋根枠部41の後側とパネル枠部50の後側の距離を無段階に調節することが可能であり、これに伴って、パネル枠部50がステー56を介して保護屋根36上に所望の角度で取り付けられる様になっている。本実施形態では、東京地区近郊での使用を考慮してパネル枠部50の取付角度が30度に設定されている。そして、ステー56の長孔部58とパネル枠部50の留孔部52の合わせ位置を変化させることで、30度プラスマイナス15度程度までパネル枠部50の取付角度を無段階に調節することが可能である。そのため、太陽光発電パネル37を設置する場所の緯度や方角によって最適な取付角度を計算し、この計算結果に基づいてパネル枠部50の取付角度を選択することが可能となっている。なお、左右のステー56にそれぞれ設けられた長孔部58と各留孔部52との合わせ位置を互いに同一とすることで、パネル枠部50の左右方向の傾きが抑制されている。
【0053】
以上のような構成により、太陽光発電パネル37は、正面側を向いた仰角を以って保護屋根36上に設置されており、その仰角は、パネル枠部50の取付角度と同様におよそ30度である。本実施形態ではこのように、太陽光発電パネル37が正面側を向いた仰角を以って設置されているが、太陽光発電パネル37の向きは、正面側、背面側、左側、右側の4方向から任意に選択することができる。つまり、本実施形態では、パネル枠部50の前辺部53aを屋根枠部41の前辺部44aに沿って配置し、ステー56を介してパネル枠部50の後側を屋根枠部41の後側に取り付けたが、これとは逆に、パネル枠部50の後辺部53bを屋根枠部41の後辺部44bに沿って配置し、ステー56を介してパネル枠部50の前側を屋根枠部41の前側に取り付ければ、背面側を向いた仰角を以って太陽光発電パネル37を設置することができる。同様に、パネル枠部50の左右何れかの一方の側辺部53c、53dを屋根枠部41の左右何れか一方の側辺部44c、44dに沿って配置し、ステー56を介してパネル枠部50の左右何れか他方側を屋根枠部41の左右何れか他方側に取り付ければ、左側又は右側を向いた仰角を以って太陽光発電パネル37を設置できる。
【0054】
次に、入口発券機16の上方を覆う保護屋根23の近傍について説明するが、保護屋根23の構成については、事前精算機34の上方を覆う保護屋根36の構成と同様であるため、図2を用いて概略のみを説明する。以下、図2における左手前側(入場レーン12側)を、入口発券機16の正面側(前側)とし、図2における右奥側(出場レーン13側)を、入口発券機16の背面側(後側)とする。以下、既出の部材と同一の機能を有する部材については、既出の部材と同一の番号を本文中及び図中に付する場合が有る。
【0055】
保護屋根23は、入口発券機16の上方に配置される屋根面部40と、屋根面部40の外周を囲繞する屋根枠部41と、を備えている。屋根面部40は、平面視矩形状を成し、略水平に配置されると共に、正面側から背面側に向かって下傾する3度〜5度程度の水勾配を有している。屋根枠部41の後端部の左右両端は、入口発券機16の後方においてアイランド15に立設された左右の柱部46の上端に載置され、接合されている。
【0056】
保護屋根23上には、平面視矩形状の太陽光発電パネル24が設置され、太陽光発電パネル24の外周には、平面視矩形状のパネル枠部50が装着されている。太陽光発電パネル24は正面側に仰角を以って設置されており、この仰角は、事前精算機34の太陽光発電パネル37と同様におよそ30度である。
【0057】
次に、出口精算機25の上方を覆う保護屋根31の近傍について説明するが、保護屋根31の構成については、事前精算機34の上方に配置される保護屋根36の構成と同様であるため、図6を用いて概略のみを説明する。以下、図6(a)における手前側(図6(b)における左側)を、出口精算機25の正面側(前側)とし、図6(a)における奥側(図6(b)における右側)を、出口精算機25の背面側(後側)とする。以下、入口発券機16の場合と同様、既出の部材と同一の機能を有する部材については、既出の部材と同一の番号を本文中及び図中に付する場合が有る。
【0058】
保護屋根31は、出口精算機25の上方に配置される屋根面部40と、屋根面部40の外周を囲繞する屋根枠部41と、を備えている。屋根面部40は、平面視矩形状を成し、略水平に配置されると共に、正面側から背面側に向かって下傾する3度〜5度程度の水勾配を有している。つまり、入場レーン12側を向いて操作面が設置される入口発券機16と、出場レーン13側を向いて操作面が設置される出口精算機25とでは、180度逆向きの水勾配が各屋根面部40に設定されている。屋根枠部41の後端部の左右両端は、出口精算機25の後方においてアイランド15に立設された左右一対の柱部46の上端に載置され、接合されている。
【0059】
保護屋根31上には、平面視矩形状の太陽光発電パネル32が設置され、太陽光発電パネル32の外周には、平面視矩形状のパネル枠部50が装着されている。太陽光発電パネル32は、出口精算機25の正面側から見て右下がりの仰角を以って設置されている。この仰角は、事前精算機34の太陽光発電パネル37や入口発券機16の太陽光発電パネル24と同様におよそ30度である。
【0060】
以上のように、各操作機器の上方に配置される保護屋根23、31、36の屋根面部40は、その設置位置によって適宜水勾配の傾斜方向が異なり、各保護屋根23、31、36に設置される太陽光発電パネル24、32、37は、さらにそれらの方向とは異なる方向に夫々仰角を以って設置されている。
【0061】
次に、図7を用いて、駐車場11に設けられる太陽光発電システムの構成について説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
【0062】
上記した太陽光発電パネル24、32、37は、電気配線を介してすべてパワーコンディショナ64(電力制御装置)に接続されており、発電した電力をパワーコンディショナ64に出力するようになっている。パワーコンディショナ64は、太陽光発電パネル24、32、37で発電された直流(DC)を交流(AC)に変換する装置であり、変換効率の高い装置が採用される。
【0063】
パワーコンディショナ64は分電盤65に接続されており、分電盤65には商用電源66が接続されている。そして、パワーコンディショナ64によって直流から変換された交流と商用電源66からの交流が分電盤65に供給され、遮断機を介してブレーカなど(いずれも図示しない)で分岐されて、入口発券機16、入口ゲート開閉機20、出口精算機25、出口ゲート開閉機27、事前精算機34(以下、「各駐車場機器」と総称する。)の電源として出力されるようになっている。本実施形態では、各駐車場機器の電源として、100V、数十Aの交流が使用可能となっている。なお、分電盤65には、上記各駐車場機器の他、夜間用や看板用の照明等67も接続され、この照明等67によっても電力が消費される。
【0064】
太陽光発電パネル24、32、37を用いて発電され、各駐車場機器の電源として消費されて余った電力(以下、「余剰電力」と称する)は、商用電源66へと出力されて、電力会社に売られる。分電盤65と商用電源66の間には、余剰電力を積算する売電メータと電力会社から供給される電力を積算する買電メータ(以下、「売電・買電メータ68」と称する)が接続されており、この売電・買電メータ68を用いて、電気料金の請求や振込み(入金)のための検針が行われる。
【0065】
以上のような構成の太陽光発電システムを備えた本実施形態の駐車場11においては、駐車場11内の様々な位置に配置される保護屋根23、31、36上に太陽光発電パネル24、32、37を設置するのに当たり、前述のように、四方いずれかの方角に向かって太陽光発電パネル24、32、37を設置できるのが特徴である。以下、その作用に関して説明する。
【0066】
夏場における各太陽光発電パネル24、32、37の発電効率について考えると、各太陽光発電パネル24、32、37が南中高度に位置する太陽と正対するように設置された場合、つまり、各太陽光発電パネル24、32、37が真南の方角を向いて所定の仰角で設置されている場合に、発電効率は最大となる。
【0067】
本実施形態の駐車場11の場合、事前精算機34は、その設置方角が入場レーン12や出場レーン13の設置方角に制約されないため、図1に示されるように、事前精算機34を正面が真南を向くように設置し、その保護屋根36上の太陽光発電パネル37も、正面側を向いた仰角を以って設置することで真南の方角を向かせている。これにより、事前精算機34の太陽光発電パネル37については、夏場に最大の発電効率で発電することが可能となる。
【0068】
入口発券機16の太陽光発電パネル24や出口精算機25の太陽光発電パネル32についても、可能であれば、真南に向けて設置しても良い。しかしながら、入口発券機16や出口精算機25は、その操作面が入場レーン12や出場レーン13に進入してくる車両の方向を向いている必要が有り、入場レーン12や出場レーン13の方向によって設置方角が制約を受ける。そのため、太陽光発電パネル24、32を必ずしも真南に向けて設置できるとは限らない。
【0069】
本実施形態の駐車場11も、その一例である。つまり、本実施形態では、入場レーン12及び出場レーン13が北東と南西を結ぶ方向と略平行に設置されているため(図1参照)、入場レーン12側に向かって操作面が配置された入口発券機16は略東南の方角を向き、出場レーン13側に向かって操作面が配置された出口精算機25は、略北西の方角を向いている。これに伴って、入口発券機16の太陽光発電パネル24や出口精算機25の太陽光発電パネル32は、4方向のうちのどの方向を選択して設置しても、南西や東南よりも南向きに設置することが困難である。
【0070】
もちろん、南西又は東南よりも少しでも南向きに太陽光発電パネル24、32を設置することができるのであれば、その向きに太陽光発電パネル24、32を設置するのが一般的には望ましいが、本実施形態のような場合には、設置段階において、入口発券機16の太陽光発電パネル24や出口精算機25の太陽光発電パネル32をどの方角に向ければ良いのか、判断がつかないことがある。
【0071】
そこで、本実施形態では、真南を中心として互いに異なる方角を向くように、入口発券機16の太陽光発電パネル24と出口精算機25の太陽光発電パネル32を配置している。つまり、入口発券機16の太陽光発電パネル24については、東南の方角(真南から東側に傾いた方角)を向いて設置され、出口精算機25の太陽光発電パネル32については南西の方角(真南から西側に傾いた方角)を向いて設置されている。
【0072】
以上のような設置方法を選択した場合の作用効果について、図8及び図9を用いて説明する。
【0073】
図8は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、太陽の方角及び高度を示す概略図である。この図は、最も電力需要が逼迫するとされる7月と8月の2カ月の丁度中頃である7月末日時点での太陽の状態を近似的に図示している。具体的には、入口発券機16から見た各時刻を表す点の位置(曲線R上に表示される位置)によって、各時刻における太陽の方角が示されている。例えば、10時45分を表す点は、入口発券機16から見て図面上真下にあるので、10時45分の時点では太陽は東南の方角にあることが分かり、13時を表す点は、入口発券機16から見て図面上真横(左側)にあるので、13時の時点では太陽は南西の方角にあることが分かる。なお、太陽南中高度の高い夏場には、日中における太陽の移動速度が見かけ上速くなるため、本来ならば(春分の日・秋分の日ならば)およそ3時間かけて太陽が45度移動する所、10時45分から13時の2時間15分で太陽が90度移動している。
【0074】
また、図8では、各時刻を表す点から曲線X2に下ろした垂線(曲線X2の接線に対して垂直な線が、曲線Rの点と交わる様に引いた垂線)の長さによって、各時刻における太陽の高度が示される。例えば、11時40分を表す点から曲線X2に下ろした垂線は、他のどの時刻を表す点から曲線X2に下ろした垂線よりも長くなるため、11時40分において太陽の高度が最も高いことが分かる。なお、直線X1と曲線Rの交点は、単純に昼夜の時間が同等となる春分の日・秋分の日の日の出、日の入りの時刻を示しており、曲線X2と曲線Rの交点は、7月末日の日の出、日の入りの時刻(5時と19時)を示している。
【0075】
図8によれば、7月末日では最も太陽高度が高いのは11時40分であり、5時と19時に太陽高度は0になる。なお、太陽高度が最高となる時刻が12時ではなく11時40分なのは、図8は東京近郊の地点を基準に作成されており、12時に太陽が真南に位置する地域(子午線が通過する明石市)とは、太陽が真南に位置する時刻にずれが有ることに起因する。また、11時40分に太陽は真南の方角にあり、5時には真東よりもさらに北東に寄った方角にあり、19時には真西よりもさらに北西に寄った方角にある。
【0076】
本実施形態では、入口発券機16の太陽光発電パネル24は、前述の如く東南の方角を向いて設置されている。従って、10時45分の時点において、入口発券機16の太陽光発電パネル24は太陽に正対し、この時点で最も発電効率が高くなる。また、出口精算機25の太陽光発電パネル32は、前述の如く南西の方角を向いて設置されている。従って、13時の時点において、出口精算機25の太陽光発電パネル32は太陽に正対し、この時点で最も発電効率が高くなる。また、事前精算機34の太陽光発電パネル37は、前述の如く真南の方角を向いて設置されている。従って、11時40分の時点において、事前精算機34の太陽光発電パネル37は太陽に正対し、この時点で最も発電効率が高くなる。
【0077】
図9は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、各操作機器の上方に配置された太陽光発電パネルの発電力の推移を示すグラフである。図9では、本実施形態に係る駐車場11における7月末日の時点での発電力の推移が、太陽光発電パネル24、32、37ごとに示されている。また、図9では、ピーク時(11時40分)における事前精算機34の太陽光発電パネル37の発電力を100として、各時刻における各太陽光発電パネル24、32、37の発電力が示されている。
【0078】
図9に示されるように、入口発券機16の太陽光発電パネル24の発電力は10時45分にピークを迎え、事前精算機34の太陽光発電パネル37の発電力は11時40分にピークを迎え、出口精算機25の太陽光発電パネル32の発電力は、13時にピークを迎えることになる。つまり、太陽光発電パネル24、32、37ごとに、ピークの時間帯が少しずつずれている。また、東南を向く入口発券機16の太陽光発電パネル24のピーク時(10時45分)における発電力や、南西を向く出口精算機25の太陽光発電パネル32のピーク時(13時)における発電力は、真南を向く事前精算機34の太陽光発電パネル37のピーク時(11時40分)における発電力に対して95%程度であり、僅か5%程度の減少に留まっている。
【0079】
そして、各太陽光発電パネル24、32、37の発電力を合計すれば、10時頃から14時頃に亘って、大きな発電力を得ることが可能となる。この時間帯は、特に図示はしないが、電力会社が示す電力需要量のピーク時間帯とほぼ一致している。
【0080】
このように、各太陽光発電パネル24、32、37では、夫々時間帯を前後させながら、一日の中で徐々に発電効率が上昇してピークに達し、その後徐々に発電効率が下降する。その波のピークが夫々ずれているため、全体としては、夏場の日中の長い時間に亘って商用電源66の余裕を増やすことができる。これに伴って、市場の電力不足の解消に、若干でも繋がるという意義があることが、本実施形態の最も重要な作用効果である。
【0081】
以上のように、本実施形態では、各保護屋根23、31、36上に太陽光発電パネル24、32、37が南側に向けて設置されることで、夏場に高い発電効率を実現することが可能となり、発電された電力によって夏場のピーク電力を相殺することができる。また、各太陽光発電パネル24、32、37を、互いに方角をずらして設置することで、各太陽光発電パネル24、32、37の発電力のピーク時間帯をずらすことが可能となり、システム全体として長時間に亘って高い発電力を実現することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態では、標準的な構成の保護屋根23、31、36に対し、複数の方角から選択された一の方角に向けて太陽光発電パネル24、32、37を傾斜させて取り付けているため、設置場所に合わせて太陽光発電パネル24、32、37の発電効率を高くすることができる。また、複雑な構造や多数の部品を使用する必要が無いため、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0083】
また、各太陽光発電パネル24、32、37に太陽を追尾させる様な必要もなく、部材の製造精度にはさほどこだわらない。従って部材コストが安価で済む。また、各太陽光発電パネル24、32、37は、予め四方向のうちのいずれかの方向に傾斜して設置されることを考慮して製作されており、駐車場11の設置現場の見取り図などを検討して最適化設計をする様な必要もなく、標準化によるスケールメリットで、保護屋根23、31、36やパネル枠部50などが安価に製作できる。
【0084】
また、本実施形態では、太陽光発電パネル24、32、37の外周に装着されたパネル枠部50を、屋根枠部41に対して簡易な方法で取り付けることが可能となっており、これに伴って、太陽光発電パネル24、32、37の着脱作業の作業性を向上させることが可能となる。
【0085】
また、本実施形態では、太陽光発電パネル24、32、37から屋根面部40に伝わる雨水を、屋根面部40の水勾配によって操作機器の正面側から背面側に向かって流動させ、樋42及び雨樋パイプ43を介して地面に排出することが可能となっている。そのため、太陽光発電パネル24、32、37が設置された方角に関わらず、操作機器の正面側に立つ利用者が雨水に濡れるのを防止し、雨水の排出処理を適切に行うことが可能となる。さらに、上記した水勾配を有しながらも屋根面部40は略水平に配置されているため、水勾配によって太陽光発電パネル24、32、37の設置方向が制限されることはなく、屋根面部40の構造が標準化されて、管理コストを削減できる。また、屋根面部40が略水平でありながら、その上部に載置される太陽光発電パネル24、32、37は30度の傾斜を有して取り付けられるから、降雪時でも太陽光発電パネル24、32、37から雪が滑落しやすく、太陽光発電パネル24、32、37上に雪が積もってしまい、その重さによって保護屋根23、31、36全体の強度が影響を受ける虞は無い。
【0086】
このように、本実施形態の保護屋根23、31、36は、駐車場11の操作機器を降雨・降雪から保護する役割を十分果たすと共に、水勾配によって屋根面部40に雨水が滞留するのを防止し、太陽光発電パネル24、32、37上に降り注ぐ雨水や雪を容易に除去可能としている。
【0087】
また、パネル枠部50は、平面視で屋根枠部41の内側に配置されているため、太陽光発電パネル24、32、37からパネル枠部50を伝って滴下した雨水は、屋根枠部41によって屋根面部40上に誘導される。そのため、本実施形態の入口発券機16や事前精算機34のように太陽光発電パネル24、37が正面側に向けて仰角を有していても、雨水が正面側から落下して利用者が濡れるようなことはなく、雨水の回収が適切に行われる。
【0088】
さらに、長孔部58と留孔部52の合わせ位置をステー56の長さ方向に沿って変化させることで、パネル枠部50の取付角度を無段階に調節することが可能となる。そのため、様々な取付角度を考慮して多数の部品を用意する必要がない。また、太陽光発電パネル24、32、37の設置時において、太陽光発電パネル24、32、37の仰角を簡単に設定することが出来、保護屋根23、31、36の仕様ごとに部品を多数用意しておく必要がないため、管理コストや部材コストの低減につながる。さらに、太陽光発電パネル24、32、37の仰角を調節可能としているため、どの緯度・経度の地区においても、最適な条件での設置が可能となる。
【0089】
また、本実施形態では、東京地区近郊での設置を考慮して、太陽光発電パネル24、32、37の仰角の基準値を30度とし、この基準値からプラスマイナス15度の範囲で太陽光発電パネル24、32、37の仰角を調節可能としているため、東京地区近郊以外の地域において太陽光発電パネル24、32、37を設置する場合でも、最適な条件で設置することが可能となり、日本国内であれば、どの緯度の地区でも本発明の構成を採用することができる。
【0090】
本実施形態では、屋根面部40が、僅かな水勾配を有しつつ略水平に設けられる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、屋根面部40が一定方向に傾斜していても良い。本実施形態では、樋42が左方に向かって下傾する水勾配を有する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、樋42が右方に向かって下傾する水勾配を有していても良い。
【0091】
本実施形態では、ステー56の長さ方向に延びる長孔部58によって支持部材側取付部を形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ステー56の長さ方向に所定の間隔を介して連設される複数の孔によって支持部材側取付部を形成しても良い。この場合には、屋根枠部41の他辺部側とパネル枠部50の他辺部側の距離を段階的に調節することが可能となり、これに伴って、太陽光発電パネル24、32、37の取付角度を段階的に調節することが可能となる。また、他の異なる実施形態では、ステー56自体を無段階又は段階的に伸縮させても良い。
【0092】
本実施形態では、パネル枠部50に雌ネジを切るか、又は、パネル枠部50に穿設した丸孔の裏側にナット(図示せず)を固定することによって留孔部52を形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では単なる丸穴によって留孔部52を形成しても良い。この場合、例えば、ボルト60として段付きボルトを使用し、この段付きボルトに締結可能なナットをパネル枠部50とは別体に形成すれば、段付きボルト及びナットによって屋根枠部41の一辺部側とパネル枠部50の一辺部側を締結した状態で、段付きボルトを支点としてパネル枠部50の他辺部側が回転可能となる。これに伴って、太陽光発電パネル24、32、37の仰角の調整を一層容易に行うことが可能となる。
【0093】
本実施形態では、屋根面部40、屋根枠部41及びパネル枠部50を平面視矩形状とする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、屋根面部40、屋根枠部41及びパネル枠部50を三角形又は五角形以上の角数の多角形状としても良い。
【0094】
本実施形態では、夏場の電力需要ピーク時に最も効率的に発電を行うための構成について説明したが、他の異なる実施形態では、例えば夏以外の季節に最も効率的に発電を行えるように、太陽光発電パネル24、32、37の設置角度を調節しても良い。また、本実施形態では、ボルトの着脱のみによって容易に太陽光発電パネル24、32、37の設置角度を変更することができるため、最も発電効率が良くなるように、太陽光発電パネル24、32、37の設置角度を季節ごとに調節しても良い。この場合には、夏場には電力需要を鑑みた設定とし、他の季節にはあくまで電気使用量の削減を目的とした設定とすることもできる。
【0095】
本実施形態では、屋根面部40を備えた保護屋根23、31、36について説明したが、太陽光発電パネル24、32、37が被保護物の上方を覆う場合には、太陽光発電パネル24、32、37によって屋根面部40を代用しても良い。つまり、屋根面部40を有しない保護屋根23、31、36にも、本発明の構成を適用することができる。
【0096】
本実施形態では、パネル枠部50の一辺部の両側の辺部においてパネル枠部50を屋根枠部41に取り付けたが、他の異なる実施形態では、パネル枠部50の一辺部を直接屋根枠部41の一辺部に固定しても良い。つまり、「一辺部側」には、一辺部の両側の辺部だけでなく、一辺部そのものも含まれる。同様に、「他辺部側」には、他辺部の両側の辺部だけでなく、他辺部そのものも含まれる。
【0097】
本実施形態の駐車場11において、入口発券機16の保護屋根23を、「一の方角に向かって伸びる通路(入場レーン12)に沿って設置される被保護物(入口発券機16)を保護して当該一の方角に直交する方角に傾斜する太陽光発電パネルが設置される保護屋根」とすれば、出口精算機25の保護屋根31は、「前記一の方角に直交する方角から直角に左向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルが設置される他の被保護物(出口精算機25)を保護する保護屋根」である。一方で、見方を変えて、出口精算機25の保護屋根31を、「一の方角に向かって伸びる通路(出場レーン13)に沿って設置される被保護物(出口精算機25)を保護して当該一の方角に平行する方角に傾斜する太陽光発電パネルが設置される保護屋根」とすれば、入口発券機16の保護屋根23は、「前記一の方角に平行する方角から直角に右向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルが設置される他の被保護物(入口発券機16)を保護する保護屋根」である。
【0098】
本実施形態ではこのように、一の方角に直交若しくは平行する方角に一の太陽光発電パネルを傾斜させ、この一の太陽光発電パネルが傾斜する方角から直角に右向き又は直角に左向きのいずれか一方の方角に向かって他の太陽光発電パネルを傾斜させる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、一の太陽光発電パネルが傾斜する方角から直角に右向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルと直角に左向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルをそれぞれ設置しても良い。
【0099】
本実施形態では、駐車場11の各種操作機器の上方に配置される保護屋根23、31、36に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えば市中のバス停に設置される保護屋根に本発明の構成を適用することもできる。この場合には、バス停ごとに本発明に係る太陽光発電パネルを設置することで、様々な方角を向いて設置された太陽光発電パネルによって長時間に亘って大きな発電力を確保することができ、地域の電力需給問題の解消に繋がるというメリットもある。
【0100】
すなわちバス停が点在する道路が任意の方向に伸びる通路であり、バス停の被保護物として利用者の座る横長のベンチがあり、これを保護する保護屋根は正方形を基本とする保護屋根であれば複数連接して設置することになる。この場合に一つの保護屋根上の太陽光発電パネルは最も南側に向けて傾斜する様に取り付けるとともに、これと連接する他の保護屋根上の太陽光パネルは、前記の太陽光発電パネルの傾斜方向とは左右いずれかに直交する方向に傾斜するようにして、発電量のピークを分散させることができる。また、これを複数のバス停で行って、これらを集中的に管理するのも有効である。
【0101】
さらに、市中の自動販売機の保護屋根や、テニスコートや野球場など屋外スポーツ施設のベンチの保護屋根等、様々な被保護物を保護する保護屋根にも、本発明の構成を適用することができ、その数や方向が多岐に渡るほど、本発明のメリットが増加していくものである。もちろん、一般住宅向けの太陽光発電パネルの設置方法として、本発明の技術と理論を用いて、様々な方角に向けて傾斜させる太陽光発電パネルを一つの屋根の上で実現するような場合も、本発明の応用の範囲であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の技術は、駐車場の入出場レーンに設置される駐車場管理機器用の保護屋根や、街中の自動販売機用の保護屋根や、バス停の保護屋根などへの流用も可能な技術である。さらに、テニスコートや野球場など屋外スポーツ施設のベンチの保護屋根や、一般家庭の駐車場の保護屋根などにも流用可能である。
【符号の説明】
【0103】
11 駐車場
16 入口発券機(被保護物)
23 保護屋根
24 太陽光発電パネル
25 出口精算機(被保護物)
31 保護屋根
32 太陽光発電パネル
34 事前精算機(被保護物)
36 保護屋根
37 太陽光発電パネル
40 屋根面部
41 屋根枠部
42 樋
44a 前辺部(一辺部)
44b 後辺部(他辺部)
50 パネル枠部
53a 前辺部(一辺部)
53b 後辺部(他辺部)
56 ステー(支持部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネル付き保護屋根及びこれを複数個備えた太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の削減や夏場の電力不足の解消等の観点から、節電の必要性が認識されると共に、再生可能な自然エネルギーを利用する発電技術(例えば、太陽光発電)の広範囲における実用化が期待されている。
【0003】
従来より、自然エネルギーを利用する発電技術は、高コストで効率が悪いと見られていたが、特に太陽光発電は、発電技術や送電システムなどの革新によって低コスト化に成功している。つまり、自然エネルギーを利用する発電技術は、かつてのような高コスト・低効率のままで停滞しているわけではない。省エネ技術の進歩とあいまって、世界中で根本的なエネルギー政策の見直しが始まっているのが現状である。
【0004】
このような背景の下、例えば特許文献1には、環境保全を図りながら都市部での駐車場ニーズに応えるため、駐車場内に風力発電機や太陽電池パネルを設置し、この風力発電機や太陽電池パネルで発電して駐車場に必要な電力を得るように構成された駐車場システムが開示されている。
【0005】
また、例えば特許文献2では、年間を通して太陽を朝から夕方まで自動追尾して発電するパネル分割型、太陽追尾式ソーラーパネルシステムが提案されている。具体的には、複数のソーラーパネルをソーラーパネル支持架台に配置し、東西方向と南北方向にそれぞれモータで連動して回転させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−257015号公報
【特許文献2】特開2003−324210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術は、単に駐車場の操作機器の上方に保護屋根があるから、そこに太陽電池パネルを取り付けただけであり、全くと云って良い程、発電効率に関しての考慮が成されていない。折角高価な太陽電池パネルを取り付けても、発電効率が低いのでは、投資に対しての効果が頗る低いものと云わざるを得ない状態であった。
【0008】
また、特許文献2に記載されるパネル分割型、太陽追尾式ソーラーパネルシステムにおいては、常に太陽を追尾するようにソーラーパネルを動かすための制御機器(例えば、モータやセンサ)にも電力を消費することになり、発電された電力を無駄に消費することになる。更に、この従来技術に記載のシステムは、部品点数が多く、複雑な構成であるため、設備コストが高騰してしまう。つまり、効率的なシステムとは云えず、普及する期待が持てない。
【0009】
そこで本発明の技術的課題は、発電効率を良好に保ちつつ、太陽光発電パネルを保護屋根上に低コスト且つ容易に設置できる太陽光発電パネル付き保護屋根を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の技術的課題を解決する為に本発明で講じた手段は以下の如くである。即ち、
(1)本発明の請求項1に係る太陽光発電パネル付き保護屋根は、被保護物の上方に太陽光発電パネルを設置して成る太陽光発電パネル付き保護屋根であって、前記被保護物の上方に配置される平面視多角形状の屋根枠部と、該屋根枠部に対応して平面視多角形状を成し、前記太陽光発電パネルの外周に設けられるパネル枠部と、を備え、前記屋根枠部の各辺部から任意に選択された一辺部側に、該一辺部と対応する前記パネル枠部の一辺部側が取り付けられ、前記屋根枠部の前記一辺部とは反対に位置する他辺部側に、前記パネル枠部の前記一辺部とは反対に位置する他辺部側が支持部材を介して上方に離間した状態で取り付けられ、前記太陽光発電パネルが、複数の方角から選択された一の方角に向けて傾斜して前記屋根枠部に取り付け可能に構成されていることを特徴としている。
【0011】
(2)本発明の請求項2に係る太陽光発電パネル付き保護屋根は、前記請求項1に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根において、前記屋根枠部には、その内側開口を覆って凹部を形成するように屋根面部が取り付けられ、該屋根面部は、略水平に設けられると共に、一端側から他端側に向かって下傾する水勾配を有し、前記屋根面部の前記他端側には、雨水排出用の樋が設けられていることを特徴としている。
【0012】
(3)本発明の請求項3に係る太陽光発電パネル付き保護屋根は、前記請求項1又は2に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根において、前記パネル枠部は、平面視で前記屋根枠部の内側に配置されていることを特徴としている。
【0013】
(4)本発明の請求項4に係る太陽光発電パネル付き保護屋根は、前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根において、前記支持部材は、前記屋根枠部の前記他辺部側と前記パネル枠部の前記他辺部側との距離を無段階又は段階的に調節可能となるように設けられていることを特徴としている。
【0014】
(5)本発明の請求項5に係る太陽光発電システムは、前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根を複数個備えた太陽光発電システムであって、一の方角に向かって伸びる通路に沿って設置される一の被保護物を保護して当該一の方角に直交若しくは平行する方角に傾斜する太陽光発電パネルが設置される保護屋根と、少なくとも前記一の方角に直交若しくは平行する方角から直角に右向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルが設置される他の被保護物を保護する保護屋根、および/または、前記一の方角に直交若しくは平行する方角から直角に左向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルが設置される他の被保護物を保護する保護屋根と、を備えていることを特徴としている。
【0015】
上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、標準的な構成の保護屋根に対し、複数の方角から選択された一の方角に向けて太陽光発電パネルを傾斜させて取り付けることが可能となり、設置場所に合わせて太陽光発電パネルの発電効率を高くすることができる。また、複雑な構造や多数の部品を使用する必要が無いため、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0016】
また、上記(2)で述べた請求項2に係る手段によれば、太陽光発電パネルから屋根面部に伝わる雨水を、屋根面部の水勾配によって操作機器の一端側から他端側に向かって流動させ、樋に回収することができる。そのため、太陽光発電パネルが設置された方角に関わらず、利用者が雨水に濡れるのを防止し、雨水の排出処理を適切に行うことが可能となる。さらに、上記した水勾配を有しながらも屋根面部は略水平に配置されているため、水勾配によって太陽光発電パネルの設置方向が制限されることはなく、屋根面部の構造が標準化されて、管理コストを削減できる。また、屋根面部が略水平でありながら、その上に設置される太陽光発電パネルは傾斜姿勢で設置されるから、降雪時でも太陽光発電パネルから雪が滑落しやすく、太陽光発電パネル上に雪が積もってしまい、その重さによって保護屋根全体の強度が影響を受ける虞は無い。
【0017】
また、上記(3)で述べた請求項3に係る手段によれば、太陽光発電パネルからパネル枠部を伝って滴下した雨水が、屋根枠部によって屋根面部上に誘導される。これに伴って、雨水の回収が適切に行われる。
【0018】
さらに、上記(4)で述べた請求項4に係る手段によれば、太陽光発電パネルの仰角(取付角度)を、無段階又は段階的に調節することが可能となる。そのため、太陽光発電パネルの様々な仰角を考慮して多数の部品を用意する必要がない。また、太陽光発電パネルの設置時において、太陽光発電パネルの仰角を簡単に設定することが出来、保護屋根の仕様ごとに部品を多数用意しておく必要がないため、管理コストや部材コストの低減につながる。さらに、太陽光発電パネルの仰角を調節可能としているため、どの緯度・経度の地区においても、最適な条件で太陽光発電パネルを設置することが可能となる。
【0019】
さらに、上記(5)で述べた請求項5に係る手段によれば、一の方角に向かって伸びる通路に沿って設置される一の被保護物を保護する保護屋根上の太陽光発電パネルを最も南側(北半球の場合、南半球であれば北側となる)に向けて設置することで、夏場に高い発電効率を実現することが可能となり、発電された電力によって夏場のピーク電力を相殺することができる。また、他の被保護物を保護する各太陽光発電パネルは、互いに方角をずらして設置されており、これに伴って各太陽光発電パネルの発電力のピーク時間帯をずらすことが可能となり、システム全体として長時間に亘って高い発電力を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上の如く構成された本発明に係る太陽光発電パネル付き保護屋根は、発電効率を良好に保ちつつ、太陽光発電パネルを保護屋根上に低コスト且つ容易に設置できるように工夫されているため、設置コストのみならず管理コストや部材コストまで低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、入場レーン及び出場レーンの近傍を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、(a)は事前精算機の近傍を示す正面図であり、(b)は同側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、事前精算機の上方に設置された太陽光発電パネル付き保護屋根の分解斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、事前精算機の上方に設置された太陽光発電パネル付き保護屋根の平面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、(a)は出口精算機の近傍を示す正面図であり、(b)は同側面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、太陽の方角及び高度を示す概略図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、各操作機器の上方に配置された太陽光発電パネルの発電力の推移を示すグラフである。
【図10】従来例に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場の入場レーン及び出場レーンの近傍を示す斜視図である。
【図11】一般的な太陽光発電パネルの設置状態(方角及び仰角)と年間発電量の関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、上述した本発明に係る太陽光発電パネル付き保護屋根の実施形態を、添付した図面と共に詳細に説明する。これらの実施形態は本発明の好適な具体例であって、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限りこれらの態様に限定されるものではない。
【0023】
まず、本発明の一実施形態について具体的に説明する前に、駐車場に設けられる各種操作機器の上方を覆う保護屋根に本発明の構成を適用することの意義について、図10及び図11を参照しつつ説明する。
【0024】
図10は、従来例に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場の入場レーン及び出場レーンの近傍を示す斜視図である。図10に示されるように、駐車場には入場レーン1と出場レーン2が設けられ、入場レーン1と出場レーン2の間には、アイランド3が設けられている。アイランド3には、入場レーン1側に向かって入口発券機4と入口ゲート開閉機5が設けられ、出場レーン2側に向かって出口精算機6と出口ゲート開閉機7が設けられている。出場レーン2を挟んでアイランド3の反対側には、事前精算機8が設けられている。入口発券機4、出口精算機6及び事前精算機8の上方をそれぞれ覆うように保護屋根9が設けられ、各保護屋根9上には太陽光発電パネル10が設置されている。
【0025】
入場レーン1や出場レーン2は、周辺の道路と駐車場のレイアウトの関係を考慮し、車両の入出場が極力し易く、且つ、駐車スペースを効率よく使用でき、周辺道路の交通を妨げないように配置が決定される。そのため、例えば必ず東西や南北に向けて入場レーン1や出場レーン2を設置するという構成を取ることはできない。従って、入場レーン1や出場レーン2は様々な方角で設置されることになるが、通常は、予め決められた入場レーン1や出場レーン2の方角によって各保護屋根9の設置される方角が決定される場合には、図10に示されるように、各保護屋根9上に太陽光発電パネル10を水平に配置するのが一般的であった。
【0026】
図11は、一般的な太陽光発電パネルの設置状態(方角及び仰角)と年間発電量の関係を示す表である。この図では、東京近郊において、真南の方角に仰角30度で太陽光発電パネルを設置した場合の年間発電量を最適条件(100%)とし、方角と仰角を変えて太陽光発電パネルを設置した場合の年間発電量を、上記した最適条件に対する割合で示している。この図に示すように、仮に太陽光発電パネルを水平に設置した場合であれば、最適条件に対して88.4%の年間発電量となる。つまり、仰角を水平(0度)に決めてしまった場合には、最適条件に比べて11.6%のロスが発生してしまう。このようなロスを減らすには、極力最適条件に近い条件で太陽光発電パネルの方角及び仰角を設定し、発電効率を高めることが求められる。
【0027】
一方で、太陽光発電によって自然エネルギーを効率よく電力に変換し、社会に貢献することを考慮した場合に、単に発電効率が良いだけでは、比較的高価な太陽光発電パネルを駐車場に多数導入するメリットには成りにくい。即ち、太陽光発電パネルによって発電出来る電力は、現在のところ駐車場の操作機器の保護屋根の面積(2〜4平方メートル程度)では、公称最大出力と発電効率を鑑みると、一箇所あたりピークでもせいぜい数百W程度である。さらに、これは太陽光発電パネルが最適な方角及び仰角で設置されている場合であり、例えば水平に設置された太陽光発電パネルでは、前述の如く年間発電量が88.4%に減少する。もちろん、太陽が出ていない夜間や曇天時に発電量が激減することは云うまでも無い。さらに、年間の発電効率が最も良いとされる真南向き、仰角30度の条件で太陽光発電パネルを設置し、発電された電力を、年間を通じて常にバッテリーに蓄電し、使用時には平均的に使用するとしても、せいぜい夜間の照明の一部の電力を補う程度に過ぎない。これでは導入コストに見合うだけの発電量を発生させるまでには至らない。
【0028】
そこで、本発明の発明者は、駐車場の操作機器の上方を覆う保護屋根に比較的高価な太陽光発電パネルを導入した場合に最もメリットのある使用方法を詳細に分析調査し、夏場のピーク電力の相殺にその最大の作用効果があるとの結論に至った。
【0029】
要するに、発電された電力を蓄電して効率を損ねることも無く、特に夏場の太陽高度に対応して発電効率の良くなる方角及び仰角で太陽光発電パネルを設置でき、保護屋根の部材のバリエーションを増やさず、発電した電力を電力会社に売電、若しくは駐車場内の機器にフィードバックできるように、太陽光発電パネルを設置する。この様な太陽光発電パネルの設置条件を満たす駐車場が広く普及した場合には、夏場のピーク電力に対する発電力の余裕が少ないことに起因する発電設備の新設やそれに係る社会的負担の増加を、少なからず減少させるという社会的なメリットがある。
【0030】
従って、本発明を駐車場の各種操作機器の上方を覆う保護屋根に適用することの最大の目的は、夏場の電力需要のピークに対して余裕の少ない現在の電力需給問題の解消に寄与すべく、上記した夏場の電力需要のピークが発生する時間帯に最も効率よく発電できるように太陽光発電パネルを配置することと、この目的を安価且つ容易に実現することである。
【0031】
次に、本発明の一実施形態にかかる太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場11の構成の概略について、主に図1、図2を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場の概略図である。図2は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、入場レーン及び出場レーンの近傍を示す斜視図である。
【0032】
駐車場11には、入場レーン12と出場レーン13が駐車スペース14の一側に設けられ、入場レーン12と出場レーン13の間には、コンクリート製のプラットフォームであるアイランド15が設けられている。
【0033】
アイランド15には、操作面を入場レーン12側に向けるように入口発券機16(駐車券発行機)が設置され、入口発券機16よりも車両17の入場方向奥側には、ゲートバー18を備えた入口ゲート開閉機20が入場レーン12側に向かって設置されている。
【0034】
入口発券機16は、入場レーン12に埋設された第1ループコイル21及び第2ループコイル22とケーブル(図示せず)等を介して接続されている。第1ループコイル21は、車両17の入場方向においてゲートバー18の手前側に配置され、第2ループコイル22は、車両17の入場方向においてゲートバー18の奥側に配置されている。各ループコイル21、22は、車両17の金属部分を検知するセンサとしての機能を有し、車両17が各ループコイル21、22の上方を通過すると、各ループコイル21、22から出力される高周波信号が変化し、この高周波信号の変化を入口発券機16が検出して、例えば駐車券の発行やゲートバー18の開閉等の処理が行われるようになっている。入口発券機16の上方には、入口発券機16を降雨・降雪から保護する保護屋根23が配置され、保護屋根23上に太陽光発電パネル24が設置されている。
【0035】
アイランド15には、操作面を出場レーン13側に向けるように出口精算機25が設置され、出口精算機25よりも車両17の出場方向奥側には、ゲートバー26を備えた出口ゲート開閉機27が出場レーン13側に向かって設置されている。つまり、入場レーン12側の駐車場管理機器(入口発券機16及び入口ゲート開閉機20)と出場レーン13側の駐車場管理機器(出口精算機25及び出口ゲート開閉機27)は、同じアイランド15上に夫々反対方向を向いて設置されている。
【0036】
出口精算機25は、出場レーン13に埋設された第1ループコイル28及び第2ループコイル30とケーブル(図示せず)等を介して接続されている。第1ループコイル28は、車両17の出場方向においてゲートバー26の手前側に配置され、第2ループコイル30は、車両17の出場方向においてゲートバー26の奥側に配置されている。各ループコイル28、30の機能については、入場レーン12側の各ループコイル21、22と同様であるため、記載を省略する。出口精算機25の上方には、出口精算機25を降雨・降雪から保護する保護屋根31が設置され、保護屋根31上に太陽光発電パネル32が設置されている。
【0037】
出場レーン13を挟んでアイランド15の反対側には歩行者用通路33が設けられ、歩行者用通路33の近傍には事前精算機34が駐車スペース14側を向いて設けられている。
【0038】
事前精算機34は、駐車場11を利用して出場する前に、利用者が予め料金精算を済ませておくためのものである。利用者は、事前精算機34を使って料金精算済みデータを図示しない駐車券に記録しておけば、車両17に乗車して出場する際に、出口精算機25に料金精算済みデータの記録された駐車券を挿入させるだけで、その時点では料金精算をすることなく、出口ゲート開閉機27のゲートバー26を開動作させることができる。事前精算機34は、出口精算渋滞を防止するために、比較的駐車台数の多い駐車場11に設置されることが多い。
【0039】
事前精算機34は、特に入場レーン12や出場レーン13の方向には関連無く、利用者がアクセスしやすい方向に向けて操作面が配置されている。事前精算機34は、アイランド15ではなく、若干背の高い台座35上に設置されている。事前精算機34は、起立状態で操作する利用者にとって最も操作性の良い高さを考慮して、出口精算機25よりも高めに設置されている。事前精算機34の上方には、事前精算機34を降雨・降雪から保護する保護屋根36が設置され、保護屋根36上に太陽光発電パネル37が設置されている。
【0040】
次に、各保護屋根23、31、36の近傍について、詳細に説明する。まず、事前精算機34の上方に配置される保護屋根36の近傍について、図3〜図5を用いて詳細に説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、(a)は事前精算機の近傍を示す正面図であり、(b)は同側面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、事前精算機の上方に設置された太陽光発電パネル付き保護屋根の分解斜視図である。図5は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、事前精算機の上方に設置された太陽光発電パネル付き保護屋根の平面図である。以下、図3(a)における手前側(図3(b)における左側)を、事前精算機34の正面側(前側)とし、図3(a)における奥側(図3(b)における右側)を、事前精算機34の背面側(後側)とする。
【0041】
保護屋根36は、事前精算機34の上方に配置される屋根面部40と、屋根面部40の外周を囲繞する屋根枠部41と、を備えている。換言すると、屋根枠部41の内側開口を全面的に覆って凹部を形成するように、屋根面部40が設けられている。
【0042】
屋根面部40は、平面視矩形状を成している。屋根面部40は、略水平に配置されるとともに、正面側から背面側に向かって下傾する水勾配を有している。本実施形態では、上記した水勾配が3度から5度に設定されている。図4に最も良く示されるように、屋根面部40の最も低い位置、即ち背面側の端部には、左方に向かって下傾する水勾配を有する樋42が設けられ、この樋42の左端に接続された雨樋パイプ43を通じて地面に雨水等を排出できるようになっている。
【0043】
屋根面部40については、金属等を使用せず、ポリカーボ製の半透明の板材やポリカーボ製の波状板等を用い、日中において屋根面部40の下側に極力外光を取り入れる様にし、且つ、重量を軽くするのが望ましい。それ以外の部材(例えば、屋根枠部41)については、アルミ押し出し材等で構成し、全体重量を抑えつつ対風圧性能などの強度を向上させるのが望ましい。
【0044】
屋根枠部41は、屋根面部40に対応して平面視矩形状を成している。屋根枠部41の各辺部44a〜44dの両端には、上端の幅いっぱいに近い箇所に、軸孔部45が夫々穿設されている。
【0045】
屋根枠部41の後端部の左右両端は、事前精算機34の後方に立設された左右の柱部46の上端に載置され、接合されている。左右の柱部46の間には、上下方向中央付近に横柱部47が架設されている。左右の柱部46の上部と屋根枠部41の間には、補強部48が斜めに接合され、屋根枠部41の水平姿勢を維持できるようになっている。
【0046】
保護屋根36上に設置される太陽光発電パネル37は、平面視矩形状を成している。太陽光発電パネル37には、平面視矩形状のパネル枠部50が四辺外周を囲うように装着されている。図5に最も良く示されるように、パネル枠部50は、平面視において屋根枠部41よりも一回り小さくなるように形成され、平面視で屋根枠部41の内側に配置されており、パネル枠部50と屋根枠部41の間には僅かな隙間51が形成されている。
【0047】
なお、パネル枠部50は、屋根枠部41と平行に配置された場合でも、屋根枠部41よりも一回り小さくなるように形成されており、例えば、パネル枠部50及び太陽光発電パネル37を保護屋根36内に収納して運搬することも可能である。
【0048】
図4に示されるように、パネル枠部50の各辺部53a〜53dの両端には、夫々幅いっぱいの位置に留孔部52が形成されている。留孔部52は、例えば、パネル枠部50に雌ネジを切るか、又は、パネル枠部50に穿設した丸孔の裏側にナット(図示せず)を固定して形成されている。
【0049】
パネル枠部50の前辺部53aは屋根枠部41の前辺部44aに沿って配置されており、屋根枠部41の前辺部44aに近接又は当接している。そして、屋根枠部41の左右両側辺部44c、44dの前端に設けられた軸孔部45に貫挿させたボルト54をパネル枠部50の左右両側辺部53c、53dの前端に設けられた留孔部52に締結させることで、屋根枠部41の前側にパネル枠部50の前側が取り付けられている。なお、軸孔部45の周囲の屋根枠部41と留孔部52の周囲のパネル枠部50の間には、前記した隙間51を埋めるようにワッシャ55が介装されており、このワッシャ55にもボルト54が貫挿している。
【0050】
パネル枠部50の前辺部53aと反対側に位置する(対角を成す)後辺部53bは、屋根枠部41の前辺部44aと反対側に位置する(対角を成す)後辺部44bよりも上方に持ち上げられており、屋根枠部41の後辺部44bに対して一定距離だけ上方に離間している。
【0051】
パネル枠部50の後側と屋根枠部41の後側は、支持部材としての左右一対のステー56を介して取り付けられている。ステー56は、長板状を成しており、平面視でパネル枠部50と屋根枠部41の間に挟まれるように配置されている(図5参照)。ステー56の長さ方向一端には、丸孔部57が穿設され、ステー56の長さ方向他端には、ステー56の長さ方向に延びる支持部材側取付部としての長孔部58が穿設されている。そして、ステー56の長さ方向一端部を屋根枠部41の左右両側辺部44c、44dの内側に挿入した状態で、屋根枠部41の左右両側辺部44c、44dの後端に設けられた軸孔部45とステー56の丸孔部57にボルト60を貫挿させ、このボルト60の先端にナット61を締結させることで、屋根枠部41にステー56が取り付けられている。また、ステー56の長孔部58に貫挿させたボルト62を、パネル枠部50の左右両側辺部53c、53dの後端に設けられた留孔部52に締結させることで、パネル枠部50にステー56が取り付けられている。
【0052】
ステー56の長孔部58とパネル枠部50の留孔部52の合わせ位置(締結位置)は、ステーの長さ方向に沿って可変である。そして、この合わせ位置を適宜調節することで、屋根枠部41の後側とパネル枠部50の後側の距離を無段階に調節することが可能であり、これに伴って、パネル枠部50がステー56を介して保護屋根36上に所望の角度で取り付けられる様になっている。本実施形態では、東京地区近郊での使用を考慮してパネル枠部50の取付角度が30度に設定されている。そして、ステー56の長孔部58とパネル枠部50の留孔部52の合わせ位置を変化させることで、30度プラスマイナス15度程度までパネル枠部50の取付角度を無段階に調節することが可能である。そのため、太陽光発電パネル37を設置する場所の緯度や方角によって最適な取付角度を計算し、この計算結果に基づいてパネル枠部50の取付角度を選択することが可能となっている。なお、左右のステー56にそれぞれ設けられた長孔部58と各留孔部52との合わせ位置を互いに同一とすることで、パネル枠部50の左右方向の傾きが抑制されている。
【0053】
以上のような構成により、太陽光発電パネル37は、正面側を向いた仰角を以って保護屋根36上に設置されており、その仰角は、パネル枠部50の取付角度と同様におよそ30度である。本実施形態ではこのように、太陽光発電パネル37が正面側を向いた仰角を以って設置されているが、太陽光発電パネル37の向きは、正面側、背面側、左側、右側の4方向から任意に選択することができる。つまり、本実施形態では、パネル枠部50の前辺部53aを屋根枠部41の前辺部44aに沿って配置し、ステー56を介してパネル枠部50の後側を屋根枠部41の後側に取り付けたが、これとは逆に、パネル枠部50の後辺部53bを屋根枠部41の後辺部44bに沿って配置し、ステー56を介してパネル枠部50の前側を屋根枠部41の前側に取り付ければ、背面側を向いた仰角を以って太陽光発電パネル37を設置することができる。同様に、パネル枠部50の左右何れかの一方の側辺部53c、53dを屋根枠部41の左右何れか一方の側辺部44c、44dに沿って配置し、ステー56を介してパネル枠部50の左右何れか他方側を屋根枠部41の左右何れか他方側に取り付ければ、左側又は右側を向いた仰角を以って太陽光発電パネル37を設置できる。
【0054】
次に、入口発券機16の上方を覆う保護屋根23の近傍について説明するが、保護屋根23の構成については、事前精算機34の上方を覆う保護屋根36の構成と同様であるため、図2を用いて概略のみを説明する。以下、図2における左手前側(入場レーン12側)を、入口発券機16の正面側(前側)とし、図2における右奥側(出場レーン13側)を、入口発券機16の背面側(後側)とする。以下、既出の部材と同一の機能を有する部材については、既出の部材と同一の番号を本文中及び図中に付する場合が有る。
【0055】
保護屋根23は、入口発券機16の上方に配置される屋根面部40と、屋根面部40の外周を囲繞する屋根枠部41と、を備えている。屋根面部40は、平面視矩形状を成し、略水平に配置されると共に、正面側から背面側に向かって下傾する3度〜5度程度の水勾配を有している。屋根枠部41の後端部の左右両端は、入口発券機16の後方においてアイランド15に立設された左右の柱部46の上端に載置され、接合されている。
【0056】
保護屋根23上には、平面視矩形状の太陽光発電パネル24が設置され、太陽光発電パネル24の外周には、平面視矩形状のパネル枠部50が装着されている。太陽光発電パネル24は正面側に仰角を以って設置されており、この仰角は、事前精算機34の太陽光発電パネル37と同様におよそ30度である。
【0057】
次に、出口精算機25の上方を覆う保護屋根31の近傍について説明するが、保護屋根31の構成については、事前精算機34の上方に配置される保護屋根36の構成と同様であるため、図6を用いて概略のみを説明する。以下、図6(a)における手前側(図6(b)における左側)を、出口精算機25の正面側(前側)とし、図6(a)における奥側(図6(b)における右側)を、出口精算機25の背面側(後側)とする。以下、入口発券機16の場合と同様、既出の部材と同一の機能を有する部材については、既出の部材と同一の番号を本文中及び図中に付する場合が有る。
【0058】
保護屋根31は、出口精算機25の上方に配置される屋根面部40と、屋根面部40の外周を囲繞する屋根枠部41と、を備えている。屋根面部40は、平面視矩形状を成し、略水平に配置されると共に、正面側から背面側に向かって下傾する3度〜5度程度の水勾配を有している。つまり、入場レーン12側を向いて操作面が設置される入口発券機16と、出場レーン13側を向いて操作面が設置される出口精算機25とでは、180度逆向きの水勾配が各屋根面部40に設定されている。屋根枠部41の後端部の左右両端は、出口精算機25の後方においてアイランド15に立設された左右一対の柱部46の上端に載置され、接合されている。
【0059】
保護屋根31上には、平面視矩形状の太陽光発電パネル32が設置され、太陽光発電パネル32の外周には、平面視矩形状のパネル枠部50が装着されている。太陽光発電パネル32は、出口精算機25の正面側から見て右下がりの仰角を以って設置されている。この仰角は、事前精算機34の太陽光発電パネル37や入口発券機16の太陽光発電パネル24と同様におよそ30度である。
【0060】
以上のように、各操作機器の上方に配置される保護屋根23、31、36の屋根面部40は、その設置位置によって適宜水勾配の傾斜方向が異なり、各保護屋根23、31、36に設置される太陽光発電パネル24、32、37は、さらにそれらの方向とは異なる方向に夫々仰角を以って設置されている。
【0061】
次に、図7を用いて、駐車場11に設けられる太陽光発電システムの構成について説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、太陽光発電システムの構成を示すブロック図である。
【0062】
上記した太陽光発電パネル24、32、37は、電気配線を介してすべてパワーコンディショナ64(電力制御装置)に接続されており、発電した電力をパワーコンディショナ64に出力するようになっている。パワーコンディショナ64は、太陽光発電パネル24、32、37で発電された直流(DC)を交流(AC)に変換する装置であり、変換効率の高い装置が採用される。
【0063】
パワーコンディショナ64は分電盤65に接続されており、分電盤65には商用電源66が接続されている。そして、パワーコンディショナ64によって直流から変換された交流と商用電源66からの交流が分電盤65に供給され、遮断機を介してブレーカなど(いずれも図示しない)で分岐されて、入口発券機16、入口ゲート開閉機20、出口精算機25、出口ゲート開閉機27、事前精算機34(以下、「各駐車場機器」と総称する。)の電源として出力されるようになっている。本実施形態では、各駐車場機器の電源として、100V、数十Aの交流が使用可能となっている。なお、分電盤65には、上記各駐車場機器の他、夜間用や看板用の照明等67も接続され、この照明等67によっても電力が消費される。
【0064】
太陽光発電パネル24、32、37を用いて発電され、各駐車場機器の電源として消費されて余った電力(以下、「余剰電力」と称する)は、商用電源66へと出力されて、電力会社に売られる。分電盤65と商用電源66の間には、余剰電力を積算する売電メータと電力会社から供給される電力を積算する買電メータ(以下、「売電・買電メータ68」と称する)が接続されており、この売電・買電メータ68を用いて、電気料金の請求や振込み(入金)のための検針が行われる。
【0065】
以上のような構成の太陽光発電システムを備えた本実施形態の駐車場11においては、駐車場11内の様々な位置に配置される保護屋根23、31、36上に太陽光発電パネル24、32、37を設置するのに当たり、前述のように、四方いずれかの方角に向かって太陽光発電パネル24、32、37を設置できるのが特徴である。以下、その作用に関して説明する。
【0066】
夏場における各太陽光発電パネル24、32、37の発電効率について考えると、各太陽光発電パネル24、32、37が南中高度に位置する太陽と正対するように設置された場合、つまり、各太陽光発電パネル24、32、37が真南の方角を向いて所定の仰角で設置されている場合に、発電効率は最大となる。
【0067】
本実施形態の駐車場11の場合、事前精算機34は、その設置方角が入場レーン12や出場レーン13の設置方角に制約されないため、図1に示されるように、事前精算機34を正面が真南を向くように設置し、その保護屋根36上の太陽光発電パネル37も、正面側を向いた仰角を以って設置することで真南の方角を向かせている。これにより、事前精算機34の太陽光発電パネル37については、夏場に最大の発電効率で発電することが可能となる。
【0068】
入口発券機16の太陽光発電パネル24や出口精算機25の太陽光発電パネル32についても、可能であれば、真南に向けて設置しても良い。しかしながら、入口発券機16や出口精算機25は、その操作面が入場レーン12や出場レーン13に進入してくる車両の方向を向いている必要が有り、入場レーン12や出場レーン13の方向によって設置方角が制約を受ける。そのため、太陽光発電パネル24、32を必ずしも真南に向けて設置できるとは限らない。
【0069】
本実施形態の駐車場11も、その一例である。つまり、本実施形態では、入場レーン12及び出場レーン13が北東と南西を結ぶ方向と略平行に設置されているため(図1参照)、入場レーン12側に向かって操作面が配置された入口発券機16は略東南の方角を向き、出場レーン13側に向かって操作面が配置された出口精算機25は、略北西の方角を向いている。これに伴って、入口発券機16の太陽光発電パネル24や出口精算機25の太陽光発電パネル32は、4方向のうちのどの方向を選択して設置しても、南西や東南よりも南向きに設置することが困難である。
【0070】
もちろん、南西又は東南よりも少しでも南向きに太陽光発電パネル24、32を設置することができるのであれば、その向きに太陽光発電パネル24、32を設置するのが一般的には望ましいが、本実施形態のような場合には、設置段階において、入口発券機16の太陽光発電パネル24や出口精算機25の太陽光発電パネル32をどの方角に向ければ良いのか、判断がつかないことがある。
【0071】
そこで、本実施形態では、真南を中心として互いに異なる方角を向くように、入口発券機16の太陽光発電パネル24と出口精算機25の太陽光発電パネル32を配置している。つまり、入口発券機16の太陽光発電パネル24については、東南の方角(真南から東側に傾いた方角)を向いて設置され、出口精算機25の太陽光発電パネル32については南西の方角(真南から西側に傾いた方角)を向いて設置されている。
【0072】
以上のような設置方法を選択した場合の作用効果について、図8及び図9を用いて説明する。
【0073】
図8は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、太陽の方角及び高度を示す概略図である。この図は、最も電力需要が逼迫するとされる7月と8月の2カ月の丁度中頃である7月末日時点での太陽の状態を近似的に図示している。具体的には、入口発券機16から見た各時刻を表す点の位置(曲線R上に表示される位置)によって、各時刻における太陽の方角が示されている。例えば、10時45分を表す点は、入口発券機16から見て図面上真下にあるので、10時45分の時点では太陽は東南の方角にあることが分かり、13時を表す点は、入口発券機16から見て図面上真横(左側)にあるので、13時の時点では太陽は南西の方角にあることが分かる。なお、太陽南中高度の高い夏場には、日中における太陽の移動速度が見かけ上速くなるため、本来ならば(春分の日・秋分の日ならば)およそ3時間かけて太陽が45度移動する所、10時45分から13時の2時間15分で太陽が90度移動している。
【0074】
また、図8では、各時刻を表す点から曲線X2に下ろした垂線(曲線X2の接線に対して垂直な線が、曲線Rの点と交わる様に引いた垂線)の長さによって、各時刻における太陽の高度が示される。例えば、11時40分を表す点から曲線X2に下ろした垂線は、他のどの時刻を表す点から曲線X2に下ろした垂線よりも長くなるため、11時40分において太陽の高度が最も高いことが分かる。なお、直線X1と曲線Rの交点は、単純に昼夜の時間が同等となる春分の日・秋分の日の日の出、日の入りの時刻を示しており、曲線X2と曲線Rの交点は、7月末日の日の出、日の入りの時刻(5時と19時)を示している。
【0075】
図8によれば、7月末日では最も太陽高度が高いのは11時40分であり、5時と19時に太陽高度は0になる。なお、太陽高度が最高となる時刻が12時ではなく11時40分なのは、図8は東京近郊の地点を基準に作成されており、12時に太陽が真南に位置する地域(子午線が通過する明石市)とは、太陽が真南に位置する時刻にずれが有ることに起因する。また、11時40分に太陽は真南の方角にあり、5時には真東よりもさらに北東に寄った方角にあり、19時には真西よりもさらに北西に寄った方角にある。
【0076】
本実施形態では、入口発券機16の太陽光発電パネル24は、前述の如く東南の方角を向いて設置されている。従って、10時45分の時点において、入口発券機16の太陽光発電パネル24は太陽に正対し、この時点で最も発電効率が高くなる。また、出口精算機25の太陽光発電パネル32は、前述の如く南西の方角を向いて設置されている。従って、13時の時点において、出口精算機25の太陽光発電パネル32は太陽に正対し、この時点で最も発電効率が高くなる。また、事前精算機34の太陽光発電パネル37は、前述の如く真南の方角を向いて設置されている。従って、11時40分の時点において、事前精算機34の太陽光発電パネル37は太陽に正対し、この時点で最も発電効率が高くなる。
【0077】
図9は、本発明の一実施形態に係る太陽光発電パネル付き保護屋根を備えた駐車場において、各操作機器の上方に配置された太陽光発電パネルの発電力の推移を示すグラフである。図9では、本実施形態に係る駐車場11における7月末日の時点での発電力の推移が、太陽光発電パネル24、32、37ごとに示されている。また、図9では、ピーク時(11時40分)における事前精算機34の太陽光発電パネル37の発電力を100として、各時刻における各太陽光発電パネル24、32、37の発電力が示されている。
【0078】
図9に示されるように、入口発券機16の太陽光発電パネル24の発電力は10時45分にピークを迎え、事前精算機34の太陽光発電パネル37の発電力は11時40分にピークを迎え、出口精算機25の太陽光発電パネル32の発電力は、13時にピークを迎えることになる。つまり、太陽光発電パネル24、32、37ごとに、ピークの時間帯が少しずつずれている。また、東南を向く入口発券機16の太陽光発電パネル24のピーク時(10時45分)における発電力や、南西を向く出口精算機25の太陽光発電パネル32のピーク時(13時)における発電力は、真南を向く事前精算機34の太陽光発電パネル37のピーク時(11時40分)における発電力に対して95%程度であり、僅か5%程度の減少に留まっている。
【0079】
そして、各太陽光発電パネル24、32、37の発電力を合計すれば、10時頃から14時頃に亘って、大きな発電力を得ることが可能となる。この時間帯は、特に図示はしないが、電力会社が示す電力需要量のピーク時間帯とほぼ一致している。
【0080】
このように、各太陽光発電パネル24、32、37では、夫々時間帯を前後させながら、一日の中で徐々に発電効率が上昇してピークに達し、その後徐々に発電効率が下降する。その波のピークが夫々ずれているため、全体としては、夏場の日中の長い時間に亘って商用電源66の余裕を増やすことができる。これに伴って、市場の電力不足の解消に、若干でも繋がるという意義があることが、本実施形態の最も重要な作用効果である。
【0081】
以上のように、本実施形態では、各保護屋根23、31、36上に太陽光発電パネル24、32、37が南側に向けて設置されることで、夏場に高い発電効率を実現することが可能となり、発電された電力によって夏場のピーク電力を相殺することができる。また、各太陽光発電パネル24、32、37を、互いに方角をずらして設置することで、各太陽光発電パネル24、32、37の発電力のピーク時間帯をずらすことが可能となり、システム全体として長時間に亘って高い発電力を実現することが可能となる。
【0082】
また、本実施形態では、標準的な構成の保護屋根23、31、36に対し、複数の方角から選択された一の方角に向けて太陽光発電パネル24、32、37を傾斜させて取り付けているため、設置場所に合わせて太陽光発電パネル24、32、37の発電効率を高くすることができる。また、複雑な構造や多数の部品を使用する必要が無いため、製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0083】
また、各太陽光発電パネル24、32、37に太陽を追尾させる様な必要もなく、部材の製造精度にはさほどこだわらない。従って部材コストが安価で済む。また、各太陽光発電パネル24、32、37は、予め四方向のうちのいずれかの方向に傾斜して設置されることを考慮して製作されており、駐車場11の設置現場の見取り図などを検討して最適化設計をする様な必要もなく、標準化によるスケールメリットで、保護屋根23、31、36やパネル枠部50などが安価に製作できる。
【0084】
また、本実施形態では、太陽光発電パネル24、32、37の外周に装着されたパネル枠部50を、屋根枠部41に対して簡易な方法で取り付けることが可能となっており、これに伴って、太陽光発電パネル24、32、37の着脱作業の作業性を向上させることが可能となる。
【0085】
また、本実施形態では、太陽光発電パネル24、32、37から屋根面部40に伝わる雨水を、屋根面部40の水勾配によって操作機器の正面側から背面側に向かって流動させ、樋42及び雨樋パイプ43を介して地面に排出することが可能となっている。そのため、太陽光発電パネル24、32、37が設置された方角に関わらず、操作機器の正面側に立つ利用者が雨水に濡れるのを防止し、雨水の排出処理を適切に行うことが可能となる。さらに、上記した水勾配を有しながらも屋根面部40は略水平に配置されているため、水勾配によって太陽光発電パネル24、32、37の設置方向が制限されることはなく、屋根面部40の構造が標準化されて、管理コストを削減できる。また、屋根面部40が略水平でありながら、その上部に載置される太陽光発電パネル24、32、37は30度の傾斜を有して取り付けられるから、降雪時でも太陽光発電パネル24、32、37から雪が滑落しやすく、太陽光発電パネル24、32、37上に雪が積もってしまい、その重さによって保護屋根23、31、36全体の強度が影響を受ける虞は無い。
【0086】
このように、本実施形態の保護屋根23、31、36は、駐車場11の操作機器を降雨・降雪から保護する役割を十分果たすと共に、水勾配によって屋根面部40に雨水が滞留するのを防止し、太陽光発電パネル24、32、37上に降り注ぐ雨水や雪を容易に除去可能としている。
【0087】
また、パネル枠部50は、平面視で屋根枠部41の内側に配置されているため、太陽光発電パネル24、32、37からパネル枠部50を伝って滴下した雨水は、屋根枠部41によって屋根面部40上に誘導される。そのため、本実施形態の入口発券機16や事前精算機34のように太陽光発電パネル24、37が正面側に向けて仰角を有していても、雨水が正面側から落下して利用者が濡れるようなことはなく、雨水の回収が適切に行われる。
【0088】
さらに、長孔部58と留孔部52の合わせ位置をステー56の長さ方向に沿って変化させることで、パネル枠部50の取付角度を無段階に調節することが可能となる。そのため、様々な取付角度を考慮して多数の部品を用意する必要がない。また、太陽光発電パネル24、32、37の設置時において、太陽光発電パネル24、32、37の仰角を簡単に設定することが出来、保護屋根23、31、36の仕様ごとに部品を多数用意しておく必要がないため、管理コストや部材コストの低減につながる。さらに、太陽光発電パネル24、32、37の仰角を調節可能としているため、どの緯度・経度の地区においても、最適な条件での設置が可能となる。
【0089】
また、本実施形態では、東京地区近郊での設置を考慮して、太陽光発電パネル24、32、37の仰角の基準値を30度とし、この基準値からプラスマイナス15度の範囲で太陽光発電パネル24、32、37の仰角を調節可能としているため、東京地区近郊以外の地域において太陽光発電パネル24、32、37を設置する場合でも、最適な条件で設置することが可能となり、日本国内であれば、どの緯度の地区でも本発明の構成を採用することができる。
【0090】
本実施形態では、屋根面部40が、僅かな水勾配を有しつつ略水平に設けられる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、屋根面部40が一定方向に傾斜していても良い。本実施形態では、樋42が左方に向かって下傾する水勾配を有する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、樋42が右方に向かって下傾する水勾配を有していても良い。
【0091】
本実施形態では、ステー56の長さ方向に延びる長孔部58によって支持部材側取付部を形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ステー56の長さ方向に所定の間隔を介して連設される複数の孔によって支持部材側取付部を形成しても良い。この場合には、屋根枠部41の他辺部側とパネル枠部50の他辺部側の距離を段階的に調節することが可能となり、これに伴って、太陽光発電パネル24、32、37の取付角度を段階的に調節することが可能となる。また、他の異なる実施形態では、ステー56自体を無段階又は段階的に伸縮させても良い。
【0092】
本実施形態では、パネル枠部50に雌ネジを切るか、又は、パネル枠部50に穿設した丸孔の裏側にナット(図示せず)を固定することによって留孔部52を形成する場合について説明したが、他の異なる実施形態では単なる丸穴によって留孔部52を形成しても良い。この場合、例えば、ボルト60として段付きボルトを使用し、この段付きボルトに締結可能なナットをパネル枠部50とは別体に形成すれば、段付きボルト及びナットによって屋根枠部41の一辺部側とパネル枠部50の一辺部側を締結した状態で、段付きボルトを支点としてパネル枠部50の他辺部側が回転可能となる。これに伴って、太陽光発電パネル24、32、37の仰角の調整を一層容易に行うことが可能となる。
【0093】
本実施形態では、屋根面部40、屋根枠部41及びパネル枠部50を平面視矩形状とする場合について説明したが、他の異なる実施形態では、屋根面部40、屋根枠部41及びパネル枠部50を三角形又は五角形以上の角数の多角形状としても良い。
【0094】
本実施形態では、夏場の電力需要ピーク時に最も効率的に発電を行うための構成について説明したが、他の異なる実施形態では、例えば夏以外の季節に最も効率的に発電を行えるように、太陽光発電パネル24、32、37の設置角度を調節しても良い。また、本実施形態では、ボルトの着脱のみによって容易に太陽光発電パネル24、32、37の設置角度を変更することができるため、最も発電効率が良くなるように、太陽光発電パネル24、32、37の設置角度を季節ごとに調節しても良い。この場合には、夏場には電力需要を鑑みた設定とし、他の季節にはあくまで電気使用量の削減を目的とした設定とすることもできる。
【0095】
本実施形態では、屋根面部40を備えた保護屋根23、31、36について説明したが、太陽光発電パネル24、32、37が被保護物の上方を覆う場合には、太陽光発電パネル24、32、37によって屋根面部40を代用しても良い。つまり、屋根面部40を有しない保護屋根23、31、36にも、本発明の構成を適用することができる。
【0096】
本実施形態では、パネル枠部50の一辺部の両側の辺部においてパネル枠部50を屋根枠部41に取り付けたが、他の異なる実施形態では、パネル枠部50の一辺部を直接屋根枠部41の一辺部に固定しても良い。つまり、「一辺部側」には、一辺部の両側の辺部だけでなく、一辺部そのものも含まれる。同様に、「他辺部側」には、他辺部の両側の辺部だけでなく、他辺部そのものも含まれる。
【0097】
本実施形態の駐車場11において、入口発券機16の保護屋根23を、「一の方角に向かって伸びる通路(入場レーン12)に沿って設置される被保護物(入口発券機16)を保護して当該一の方角に直交する方角に傾斜する太陽光発電パネルが設置される保護屋根」とすれば、出口精算機25の保護屋根31は、「前記一の方角に直交する方角から直角に左向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルが設置される他の被保護物(出口精算機25)を保護する保護屋根」である。一方で、見方を変えて、出口精算機25の保護屋根31を、「一の方角に向かって伸びる通路(出場レーン13)に沿って設置される被保護物(出口精算機25)を保護して当該一の方角に平行する方角に傾斜する太陽光発電パネルが設置される保護屋根」とすれば、入口発券機16の保護屋根23は、「前記一の方角に平行する方角から直角に右向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルが設置される他の被保護物(入口発券機16)を保護する保護屋根」である。
【0098】
本実施形態ではこのように、一の方角に直交若しくは平行する方角に一の太陽光発電パネルを傾斜させ、この一の太陽光発電パネルが傾斜する方角から直角に右向き又は直角に左向きのいずれか一方の方角に向かって他の太陽光発電パネルを傾斜させる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、一の太陽光発電パネルが傾斜する方角から直角に右向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルと直角に左向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルをそれぞれ設置しても良い。
【0099】
本実施形態では、駐車場11の各種操作機器の上方に配置される保護屋根23、31、36に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、例えば市中のバス停に設置される保護屋根に本発明の構成を適用することもできる。この場合には、バス停ごとに本発明に係る太陽光発電パネルを設置することで、様々な方角を向いて設置された太陽光発電パネルによって長時間に亘って大きな発電力を確保することができ、地域の電力需給問題の解消に繋がるというメリットもある。
【0100】
すなわちバス停が点在する道路が任意の方向に伸びる通路であり、バス停の被保護物として利用者の座る横長のベンチがあり、これを保護する保護屋根は正方形を基本とする保護屋根であれば複数連接して設置することになる。この場合に一つの保護屋根上の太陽光発電パネルは最も南側に向けて傾斜する様に取り付けるとともに、これと連接する他の保護屋根上の太陽光パネルは、前記の太陽光発電パネルの傾斜方向とは左右いずれかに直交する方向に傾斜するようにして、発電量のピークを分散させることができる。また、これを複数のバス停で行って、これらを集中的に管理するのも有効である。
【0101】
さらに、市中の自動販売機の保護屋根や、テニスコートや野球場など屋外スポーツ施設のベンチの保護屋根等、様々な被保護物を保護する保護屋根にも、本発明の構成を適用することができ、その数や方向が多岐に渡るほど、本発明のメリットが増加していくものである。もちろん、一般住宅向けの太陽光発電パネルの設置方法として、本発明の技術と理論を用いて、様々な方角に向けて傾斜させる太陽光発電パネルを一つの屋根の上で実現するような場合も、本発明の応用の範囲であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明の技術は、駐車場の入出場レーンに設置される駐車場管理機器用の保護屋根や、街中の自動販売機用の保護屋根や、バス停の保護屋根などへの流用も可能な技術である。さらに、テニスコートや野球場など屋外スポーツ施設のベンチの保護屋根や、一般家庭の駐車場の保護屋根などにも流用可能である。
【符号の説明】
【0103】
11 駐車場
16 入口発券機(被保護物)
23 保護屋根
24 太陽光発電パネル
25 出口精算機(被保護物)
31 保護屋根
32 太陽光発電パネル
34 事前精算機(被保護物)
36 保護屋根
37 太陽光発電パネル
40 屋根面部
41 屋根枠部
42 樋
44a 前辺部(一辺部)
44b 後辺部(他辺部)
50 パネル枠部
53a 前辺部(一辺部)
53b 後辺部(他辺部)
56 ステー(支持部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保護物の上方に太陽光発電パネルを設置して成る太陽光発電パネル付き保護屋根であって、
前記被保護物の上方に配置される平面視多角形状の屋根枠部と、
該屋根枠部に対応して平面視多角形状を成し、前記太陽光発電パネルの外周に設けられるパネル枠部と、を備え、
前記屋根枠部の各辺部から任意に選択された一辺部側に、該一辺部と対応する前記パネル枠部の一辺部側が取り付けられ、
前記屋根枠部の前記一辺部とは反対に位置する他辺部側に、前記パネル枠部の前記一辺部とは反対に位置する他辺部側が支持部材を介して上方に離間した状態で取り付けられ、
前記太陽光発電パネルが、複数の方角から選択された一の方角に向けて傾斜して前記屋根枠部に取り付け可能に構成されていることを特徴とする太陽光発電パネル付き保護屋根。
【請求項2】
前記屋根枠部には、その内側開口を覆って凹部を形成するように屋根面部が取り付けられ、
該屋根面部は、略水平に設けられると共に、一端側から他端側に向かって下傾する水勾配を有し、前記屋根面部の前記他端側には、雨水排出用の樋が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根。
【請求項3】
前記パネル枠部は、平面視で前記屋根枠部の内側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根。
【請求項4】
前記支持部材は、前記屋根枠部の前記他辺部側と前記パネル枠部の前記他辺部側との距離を無段階又は段階的に調節可能となるように設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根を複数個備えた太陽光発電システムであって、
一の方角に向かって伸びる通路に沿って設置される一の被保護物を保護して当該一の方角に直交若しくは平行する方角に傾斜する太陽光発電パネルが設置される保護屋根と、
少なくとも前記一の方角に直交若しくは平行する方角から直角に右向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルが設置される他の被保護物を保護する保護屋根、
および/または、前記一の方角に直交若しくは平行する方角から直角に左向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルが設置される他の被保護物を保護する保護屋根と、を備えていることを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項1】
被保護物の上方に太陽光発電パネルを設置して成る太陽光発電パネル付き保護屋根であって、
前記被保護物の上方に配置される平面視多角形状の屋根枠部と、
該屋根枠部に対応して平面視多角形状を成し、前記太陽光発電パネルの外周に設けられるパネル枠部と、を備え、
前記屋根枠部の各辺部から任意に選択された一辺部側に、該一辺部と対応する前記パネル枠部の一辺部側が取り付けられ、
前記屋根枠部の前記一辺部とは反対に位置する他辺部側に、前記パネル枠部の前記一辺部とは反対に位置する他辺部側が支持部材を介して上方に離間した状態で取り付けられ、
前記太陽光発電パネルが、複数の方角から選択された一の方角に向けて傾斜して前記屋根枠部に取り付け可能に構成されていることを特徴とする太陽光発電パネル付き保護屋根。
【請求項2】
前記屋根枠部には、その内側開口を覆って凹部を形成するように屋根面部が取り付けられ、
該屋根面部は、略水平に設けられると共に、一端側から他端側に向かって下傾する水勾配を有し、前記屋根面部の前記他端側には、雨水排出用の樋が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根。
【請求項3】
前記パネル枠部は、平面視で前記屋根枠部の内側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根。
【請求項4】
前記支持部材は、前記屋根枠部の前記他辺部側と前記パネル枠部の前記他辺部側との距離を無段階又は段階的に調節可能となるように設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽光発電パネル付き保護屋根を複数個備えた太陽光発電システムであって、
一の方角に向かって伸びる通路に沿って設置される一の被保護物を保護して当該一の方角に直交若しくは平行する方角に傾斜する太陽光発電パネルが設置される保護屋根と、
少なくとも前記一の方角に直交若しくは平行する方角から直角に右向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルが設置される他の被保護物を保護する保護屋根、
および/または、前記一の方角に直交若しくは平行する方角から直角に左向きの方角に向かって傾斜する太陽光発電パネルが設置される他の被保護物を保護する保護屋根と、を備えていることを特徴とする太陽光発電システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−45975(P2013−45975A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184026(P2011−184026)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】
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