説明

太陽光発電装置

【課題】複数枚の太陽電池モジュールを効率よく広げ且つ重ねることができ、しかも各太陽電池モジュールの傾斜角度を変化させることができる、太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】この太陽光発電装置10は、一対の支持フレーム20と、支持フレーム20に回動可能かつスライド可能に支持された複数枚の太陽電池モジュール30と、太陽電池モジュール30の隣接するものどうしを近接離反可能に連結する連結部材40と、太陽電池モジュール30の配列一端のものを、支持フレーム20に沿って移動させ、太陽電池モジュール30を畳まれた状態及び開いた状態とに変化させるスライド機構50と、太陽電池モジュール30の傾斜角度を変化させる傾動機構60とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の板状の太陽電池モジュールを、畳み可能に設けた太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、板状の太陽電池モジュールを可動できるように設けた太陽光発電装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、太陽電池発電装置が設置された建物の点検や補修等を作業性よく行うため、複数枚の太陽電池モジュールを畳むことができる構造を採用した太陽光発電装置が提案されており、建物上に配置された複数のレールと、該レール上に移動可能に設置された複数のトラス型支持枠と、該トラス型支持枠に保持された複数の太陽電池モジュールとを有し、前記トラス型支持枠が折畳み可能とされ、該支持枠が折り畳まれて、複数の太陽電池モジュールが重ね合わせて収納されるように構成した、太陽電池モジュールの可動式架台が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、太陽の方角に対応して光を吸収する角度を変え、太陽光を十分に取り入れることができるようにした太陽光発電装置が提案されており、平面状に並列する複数のパネルと、パネル表面に敷設されたソーラーセルと、各パネルの左右側縁を一対の平行連桿とリンク連結して平行四辺形リンク機構を構成し、該平行連桿はロッカーアームに連結され、パネルの角度を制御可能なパネル制御機構とを備えた太陽光発電装置が記載されている。
【0005】
一方、太陽電池発電装置を、窓枠に設置されるブラインドとして活用するものも提案されている。例えば、特許文献3には、窓の屋内側に配置されたブラインドを具備し、このブラインドは、複数枚の長尺の遮光板と、各遮光板の長手方向両側縁が一定の間隔でそれぞれ連結された角度調節用ワイヤと、角度調節用ワイヤの張力方向を変化させることで各遮光板の間の隙間を変化させる開閉機構部とを備え、太陽電池が各遮光板の照射面に取り付けられた太陽光発電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4313897号公報
【特許文献2】実用新案登録第3091001号公報
【特許文献3】特開2000−340824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、太陽電池モジュールを折り畳んで収容することはできるものの、太陽電池モジュールの傾斜角度を調整することはできず、また、太陽電池モジュールの傾斜角度を調整することについては何ら考慮されていない。更には、太陽電池モジュールを折り畳む際には、太陽電池モジュールが保持された各トラス型支持をそれぞれ折り畳む必要があり、極めて煩雑で作業性が悪いというデメリットがある。
【0008】
一方、上記特許文献2には、各パネルを傾斜させる点については記載されている。しかし、各パネルの左右側縁が一対の平行連桿とリンク連結され、各パネルどうしが一定間隔で連結されているので、パネルどうしを近づけたり離したりすることは構造上不可能となっており、各パネルを折り畳んだり、平面状に広げたりすることはできない。
【0009】
また、特許文献3に記載されるようなブラインド型の太陽電池発電装置は、ワイヤなどで各太陽電池モジュールが吊り下げられて配置されているので、安定して支持させることができない。また、同ワイヤに各太陽電池モジュールの重量が作用するため、吊り下げることができる太陽電池モジュールの枚数に制限があり、高出力が得られ難いものであった。また、各太陽電池モジュールを積層して畳まれた状態にしたり、所定間隔で開いた状態にする際に、スムーズに移動させ難く、個々の太陽電池モジュールどうしがぶつかりあって、損傷し易いものであった。
【0010】
したがって、本発明の目的は、複数枚の太陽電池モジュールを広げることができると共に畳んで重ねることができ、且つ、各太陽電池モジュールの傾斜角度を変化させることができ、更にそれらの太陽電池モジュールの動作を安定して行わせることができる、太陽光発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の太陽光発電装置は、互いに平行に配置された一対の支持フレームと、両端部を前記支持フレームに回動可能かつスライド可能に支持されて並列された、板状をなす複数枚の太陽電池モジュールと、前記太陽電池モジュールの隣接するものどうしを所定間隔以上離れないように、かつ、近接可能に連結する連結部材と、前記太陽電池モジュールの配列の一端に配置されたものを、前記支持フレームに沿って移動させて、前記太陽電池モジュールを、積層して畳まれた状態と、所定間隔で開いた状態とに変化させるスライド機構と、前記太陽電池モジュールの傾斜角度を変化させる傾動機構とを備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、スライド機構により、太陽電池モジュールの配列の一端に配置されたものを、支持フレームに沿って移動させることにより、並列された複数枚の太陽電池モジュールを、積層して畳まれた状態と、所定間隔で開いた状態とに変化させることができる。したがって、太陽光をできるだけ多く入射させたいときや、強風時等で太陽電池モジュールが損傷しないようにする必要があるときには、太陽電池モジュールを積層して畳むことができ、太陽光を利用して太陽発電をしたいときや、太陽光を遮光したいときには、太陽電池モジュールを所定間隔で開いた状態にすることができる。また、太陽電池モジュールの配列の一端に配置されたものを、支持フレームに沿って移動させるだけで、複数枚の太陽電池モジュールを広げ或いは畳むことができるので、上記特許文献1のものと比べて、作業性を向上させることができる。
また、傾動機構によって、太陽電池モジュールの傾斜角度を変化させて、太陽光ができるだけ垂直に近い角度で入射するように調整したり、所望の遮光率となるように調整したりすることができる。したがって、例えば温室の屋根のように、採光状態と遮光状態とを切り替える必要がある箇所などに適用して、太陽発電を行わせつつ、所望の採光状態や遮光状態にすることができる。
また、複数枚の太陽電池モジュールが一対の支持フレームに支持されているので、支持フレームを設置できる場所であれば、どこにでも手軽に設置することができ、温室の屋根や、飼育施設の屋根、家屋の屋根など、様々な場所に適用することができる。
また、各太陽電池モジュールの両端部が一対の支持フレームによって支持された構造となっているので、上記特許文献3のようなワイヤにより複数の遮光板が吊り下げ支持されたものと比べて、複数枚の太陽電池モジュールのスライド動作を安定して且つ確実に行わせることができる。
【0013】
本発明の太陽光発電装置は、前記一対の支持フレームの両端部が、該支持フレームと直交する連結フレームによって連結されて、枠状をなしていることが好ましい。これによれば、枠状をなすフレームに太陽電池モジュールを支持させて、ユニット化することができるので、設置工事等が容易になる。
【0014】
本発明の太陽光発電装置の前記スライド機構は、前記一対の支持フレームの両端部に配置されたスプロケット又はプーリと、各支持フレームの両端部に配置された前記スプロケット又はプーリに張設されたチェーン又はベルトと、前記太陽電池モジュールの配列の一端に配置されたものを直接又は間接的に前記チェーン又はベルトに連結する連結部材と、前記スプロケット又はプーリを回転させる手段とで構成されていることが好ましい。これによれば、太陽電池モジュールの配列の一端に配置されたものが、連結部材を介して、一対の支持フレームに沿って配設されたチェーン又はベルトに連結されているので、スプロケット又はプーリを回転させることにより、チェーン又はベルトを支持フレームに沿って走行させて、該太陽電池モジュールを安定してスライドさせることができる。
【0015】
本発明の太陽光発電装置の前記傾動機構は、前記一対の支持フレームに対して、リンクを介してほぼ平行になるように取付けられたガイドレールと、前記リンクを回動させる手段とを有し、前記各太陽電池モジュールの、前記支持フレームに支持された部分から、同太陽電池モジュールの一辺に沿って離れた部分が、前記ガイドレールに回転可能にかつスライド可能に保持されて構成されていることが好ましい。これによれば、リンクを回動させることによって、ガイドレールが支持フレームに対して平行状態を維持したまま近接離反するので、前記太陽電池モジュールの支持フレームに支持された部分と、ガイドレールに支持された部分との位置関係が変化することにより、太陽電池モジュールを傾動させることができる。また、太陽電池モジュールを支持フレームとガイドレールとで支持するので、よりしっかりと保持させることができる。
【0016】
本発明の太陽光発電装置の前記傾動機構は、前記各太陽電池モジュールの両端部の幅方向に対向する部分を、隣接するものどうしで順次所定間隔で連結する線状体と、前記各太陽電池モジュールの幅方向の少なくとも一方の端部寄りに連結された線状体を所定方向に引張ることにより、前記各太陽電池モジュールを傾動させる牽引手段とで構成されていることが好ましい。これによれば、牽引手段によって、各太陽電池の幅方向の少なくとも一方の端部寄りに連結された線状体を所定方向に引張ることにより、各太陽電池モジュールを傾動させることができる。また、各太陽電池の幅方向の反対の端部寄りに連結された線状体を同方向に引っ張ることにより、逆方向に傾動させることができる。更に、各太陽電池モジュールの両端部の幅方向に対向する部分を、それぞれ反対方向に引張ることによって、より安定して傾動させることもできる。
【0017】
本発明の太陽光発電装置は、温室の屋根に適用されることが好ましい。これによれば、太陽電池モジュールを畳んで太陽光を十分に内部に入射させたり、太陽電池モジュールを展開してその傾斜角度を調整することにより、太陽光を所望の採光状態になるように遮光したり、遮光状態によって温室内の温度を調整したりすることができると共に、太陽光発電も行うことができる温室を提供できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スライド機構により、太陽電池モジュールの配列の一端に配置されたものを、支持フレームに沿って移動させるだけで、複数枚の太陽電池モジュールを、積層して畳まれた状態と、所定間隔で開いた状態とに効率よく変化させることができると共に、傾動機構によって、太陽電池モジュールの傾斜角度を変化させることができる。また、各太陽電池モジュールの両端部が一対の支持フレームによって支持されているので、複数枚の太陽電池モジュールのスライド動作を安定して且つ確実に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る太陽光発電装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同太陽光発電装置により、複数枚の太陽電池モジュールを広げた状態を示す斜視図である。
【図3】同太陽光発電装置のフレーム構造を示す斜視図である。
【図4】同太陽光発電装置を構成する傾動機構の要部拡大斜視図である。
【図5】同太陽光発電装置の要部拡大斜視図である。
【図6】同太陽光発電装置の、図5とは異なる位置での要部拡大斜視図である。
【図7】同太陽光発電装置の動作状態を示す概略説明図である。
【図8】同太陽光発電装置において、図7とは異なる動作状態での概略説明図である。
【図9】本発明に係る太陽光発電装置の他の実施形態を示しており、(A)はその動作状態を示す概略説明図、(B)は(A)とは異なる動作状態での概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜8を参照して、本発明に係る太陽光発電装置の一実施形態について説明する。
【0021】
図1〜6に示すように、本実施形態における太陽光発電装置10は、一対の支持フレーム20,20と、複数枚の太陽電池モジュール30(以下、「モジュール30」)と、隣接するモジュール30,30どうしを連結する連結部材40(図5,6参照)と、複数枚のモジュール30の配列の一端に配置されたものを、支持フレーム20に沿って移動させ、複数枚のモジュール30を畳み、或いは、開いた状態に変化させるスライド機構50と、各モジュール30の傾斜角度を変化させる傾動機構60(図3,4参照)とを備えている。
【0022】
一対の支持フレーム20,20は、互いに平行に配置されており、これらの支持フレーム20,20の両端部どうしが、支持フレーム20に直交して配置された一対の連結フレーム22,22によってそれぞれ連結されており、全体として四角枠状をなしている。なお、支持フレーム20,20としては、温室の屋根や飼育施設の屋根等に設置された骨組み等を流用してもよい。
【0023】
モジュール30は、支持板と、該支持板上に設置された太陽電池セルと、該太陽電池セル上に配置された保護フィルムとから構成され、所定長さで帯状に伸びた形状となっている。なお、前記太陽電池セルは、基板と、この基板上に積層された裏面電極層、光電変換層、透明電極層などからなる光電変換素子とで構成されている。
【0024】
また、複数のモジュール30は電気的に接続されている。本実施形態では、図1に示すように、隣り合うモジュール30,30が、導線35によって連結されており、複数のモジュール30が直列的に接続されている。なお、スライド機構50により複数枚のモジュール30が重ねて畳まれたり、傾動機構60によりモジュール30の傾斜角度が変化したりして、所定のモジュール30が日影となった場合、日影のモジュール30が発電せずに抵抗が大きくなり、抵抗損失による発熱が起こる可能性があり、熱破損等につながる恐れがある。そのため、モジュール30の出力端子間に、バイパスダイオードを接続しておくことが好ましい。
【0025】
モジュール30を構成する支持板の長手方向両端部であって、幅方向中央には、支軸31,31がそれぞれ突設されている(図5,6参照)。各支軸31の先端にはフランジ状の頭部33が設けられている。これらの支軸31,31が、前記一対の支持フレーム20,20の上面に載置され、その頭部33が支持フレーム20の外側に配置され(図6参照)、モジュール30が位置決めされた状態で、各モジュール30が支持フレーム20に回動可能に且つスライド可能に支持され、複数枚のモジュール30が支持フレーム20の長手方向に沿って並列に配置されるようになっている(図1,2参照)。
【0026】
本実施形態では、図5,6に示すようにモジュール自体に支軸31を設けて、モジュール30が支持フレーム20に直接支持されるようになっているが、モジュール30とは別体の、支軸を設けた板体や、ケース、ホルダー、枠体等に、モジュール30をセットして、モジュール30が支持フレーム20に対して間接的に支持されるようになっていてもよい。
【0027】
なお、支持フレーム20に支持された複数枚のモジュール30のうち、その配列の一端に配置されたもの(支持フレーム20の長手方向一端に最も近接して配置されたもの)を、以下の説明で「先頭のモジュール30a」とする。
【0028】
図5,6に示されるように、隣接するモジュール30,30どうしは、連結部材40によって、所定間隔以上離れないように、かつ、近接可能に連結されている。この実施形態では、連結部材40として、所定の引張強度を有すると共に、ある程度の柔軟性を備える、ロープ、ワイヤー、チェーン等からなる線状体が用いられている。そして、この線状体には、展開時の引張強度に耐えて、収納時には柔軟に畳込めることができる、ゴム材を用いることが特に好ましい。また、この他の構成として、2つの棒または板状を関節機構を持つように連結させ、2つの棒または板状部材が直線状になった時に、隣接するモジュール30,30どうしの所定の間隔となる長さとする構造であっても良い。この連結部材40は、スライド機構50により、先頭のモジュール30aが支持フレーム20の長手方向一端側にスライドしたとき、他のモジュール30を引張ってスライドさせると共に、隣接するモジュール30,30どうしの間隔がそれ以上離れないように維持するようになっている。他方、先頭のモジュール30aが支持フレーム20の長手方向他端側にスライドしたときには、連結部材40が弛んで隣接するモジュール30,30が近接可能となっている。
【0029】
なお、本実施形態の連結部材40は線状体となっているが、例えば、パンタグラフ状に折り畳み可能とされた一対のリンク等を、連結部材40として用いてもよい。
【0030】
複数のモジュール30は、スライド機構50によって、支持フレーム20に沿って移動可能とされている。このスライド機構50は、この実施形態の場合、スプロケット53及びチェーン55を有するチェーン駆動となっている。その構造について説明すると、図3に示すように、一対の連結フレーム22,22の外側に取付けられた複数の支持板51aを介して、回転軸51が回転可能にそれぞれ支持されており、一対の連結フレーム22,22の各回転軸51の長手方向両端部にスプロケット53がそれぞれ装着されている。そして、一対の支持フレーム20,20の長手方向両端部に配置されたスプロケット53,53に、無端状のチェーン55が張設されて、両支持フレーム20,20の外側にチェーン55,55がそれぞれ配設されている。
【0031】
また、一方の回転軸51の一端部には、モータ51bが取付けられ、本発明における「スプロケット又はプーリを回転させる手段」を構成している。よって、モータ51bにより一方の回転軸51が回転すると、該回転軸51に装着されたスプロケット53が回転し、一対のチェーン55,55が支持フレーム20の長手方向に沿って走行するようになっている。
【0032】
また、図1に示すように、先頭のモジュール30aよりも、支持フレーム20の長手方向一端寄りの位置には、棒状の移動バー58が支持フレーム20に沿ってスライド可能に配置されている。図5及び図6を併せて参照すると、この移動バー58は、一対の支持フレーム20,20の間隔よりも長く伸びた棒状をなしており、その両端部には前記チェーン55に係合可能な突起状の係合部材58aが設けられている(図5参照)。なお、この係合部材58aとしては、移動バー58の端部に固設されチェーン55に歯合可能なギヤや、移動バー58とチェーンとを結束するワイヤ等の結束具などであってもよい。
【0033】
この移動バー58を一対の支持フレーム20,20の上面に載置すると共に、その両端の係合部材58a,58aをチェーン55,55に係合することで、チェーン55,55に移動バー58が接続されるようになっている。したがって、回転手段により回転したスプロケット53を介してチェーン55が走行すると、それに伴って移動バー58が支持フレーム20の長手方向一端側(図3,5,6の矢印A参照)又は他端側(図3,5,6の矢印B参照)に沿ってスライド移動するようになっている。
【0034】
また、図5に示すように、移動バー58は、先頭のモジュール30aの両端から突設した支軸31a,31aに連結部材40と同様な線状体からなる連結体58bを介して連結されており、移動バー58が支持フレーム20の長手方向一端側にスライド移動するときに、それに追随して、先頭のモジュール30aが引張られるようになっている。
【0035】
なお、本実施形態では、スプロケット53及びチェーン55によるチェーン駆動で移動バー58をスライド移動させているが、プーリ(タイミングプーリを含む)とベルト(タイミングベルトを含む)によるベルト駆動で移動バー58をスライド移動させてもよい。更には、ナット部材及びネジ軸によるいわゆるボールねじ構造や、油圧シリンダ、エアシリンダ、電動アクチュエータ等で、移動バー58をスライドさせてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、先頭のモジュール30aは、移動バー58を介してチェーン55に間接的に接続された構造となっているが、例えば、長さの短い移動バーを先頭のモジュール30aの両端部に設けておき、チェーン55に先頭のモジュール30aを直接接続させてもよい。
【0037】
複数のモジュール30は、傾動機構60によって、それらの傾斜角度を変化させることができるようになっている。この実施形態における傾動機構60は、次のように構成されている。すなわち、図1〜8に示すように、各連結フレーム22の内面に一対の支持板62,62が固設され、これらに回動軸63が軸支されて、その両端部に板状のリンク64,64が固着されて回動軸63と共に回動可能となっている(図4,7,8参照)。そして、支持フレーム20の長手方向両端に配置された一対のリンク64,64の長手方向他端に、支持フレーム20と平行に伸びると共に軸方向に沿ったガイド溝65aを有するガイドレール65(図4〜7参照)の長手方向両端部が、ピン部材64a(図4,7,8参照)を介して回動可能に連結され、支持フレーム20に対してリンク64を介して平行リンクを構成している。ガイドレール65,65は、各支持フレーム20の内側にそれぞれ取付けられている。
【0038】
図3及び図4に示すように、一方の回動軸63の一端部には、従動プーリ81が装着されている。また、同回動軸63の端部が挿通される支持板82が連結フレーム22の内側に固定されており、この支持板82にモータ83が取付けられている。そして、このモータ83の駆動軸に駆動プーリ84が装着され、従動プーリ81と駆動プーリ84との間にベルト85が張設されている。したがって、モータ83の回動により、リンク64が回動し、図7,8に示すように、ガイドレール65が支持フレーム20に対して平行移動して、支持フレーム20の支持面に対して近接離反するようになっている。
【0039】
また、図5及び図6に示すように、各モジュール30の長手方向両端部であって、幅方向一端部(本発明における「各太陽電池モジュールの、前記支持フレームに支持された部分から、同太陽電池モジュールの一辺に沿って離れた部分」を意味する)には、ガイドローラ68が回動可能に取付けられている。このガイドローラ68が前記ガイドレール65のガイド溝65aに挿入されて、各モジュール30がガイドレール65に対して回転可能に且つスライド可能に保持されている。
【0040】
よって、モータ83によりリンク64が回動すると、ガイドレール65が支持フレーム20に対して平行移動して、支持フレーム20の支持面に対して近接離反し、ガイドレール65のガイド溝65aに沿ってガイドローラ68が水平方向にスライドすると共に、ガイドローラ68を介して、各モジュール30が支軸31を支点として回動し、モジュール30の傾斜角度が変化するようになっている(図7,8参照)。このように、リンク64の回動により、ガイドレール65が支持フレーム20に対して平行状態を維持しまま揺動し、支軸31とガイドレール65に支持されたガイドローラ68との位置関係が変化するので、モジュール30が傾動するようになっている。
【0041】
次に上記構造からなる太陽光発電装置10の動作及び作用効果について説明する。
【0042】
まず、スライド機構50の動作について説明すると、図1に示すモータ51bによりスプロケット53がa方向(図1〜3,7,8参照)に回転し、各チェーン55がA方向に走行すると、チェーン55に接続された移動バー58が支持フレーム20の長手方向一端部側(図3,5,6の矢印A参照)に向けてスライドする。すると、図5,6に示すように、移動バー58に接続された先頭のモジュール30aが同じ方向(矢印Aの方向)にスライドし、連結部材40を介して他のモジュール30が順次引張られて、複数のモジュール30を広げることができる。
【0043】
一方、図1に示すモータ51bにより、スプロケット53がb方向(図1〜3,7,8参照)に回転し、チェーン55がB方向に走行すると、チェーン55に接続された移動バー58が、先頭のモジュール30aに当接して、同モジュール30aを支持フレーム20の長手方向他端側(図3,5,6の矢印B参照)に向けて押圧してスライドさせる。すると、先頭のモジュール30aが隣接するモジュール30を押してスライドさせると共に、押されたモジュール30がスライド方向前方のモジュール30を更に押し、この動作が順次繰り返されて、複数のモジュール30を重ねて畳んだ状態にすることができる。
【0044】
このようにスライド機構50によって、先頭のモジュール30を支持フレーム20に沿って移動させて、他のモジュール30をそれに追随させて引張ったり押し込んだりすることにより、複数枚のモジュール30を積層して畳まれた状態と、所定間隔で開いた状態とに適宜変化させることができるので、複数枚のモジュール30を広げる作業及び畳む作業をスムーズかつ効率よく行うことができる。
【0045】
次に、傾動機構60の動作について説明すると、図3,4に示すように、モータ83の作動により、駆動プーリ84、ベルト85、従動プーリ81を介して、回動軸63がいずれかの方向に回動すると、リンク64がそれと一体に回動し、ガイドレール65が支持フレーム20の上面に対して近接離反するように平行移動する。例えば、図7に示すように、リンク64が支持フレーム20に対してほぼ垂直に支持された状態で、リンク64をc方向に回動させると、図8に示すように、ガイドレール65が支持フレーム20の上面(モジュール30がの支軸31が支持された面)に近接するように平行移動し、ガイドレール65のガイド溝65a(図5,6参照)に保持されたガイドローラ68が上昇し、モジュール30が互いに平行な状態を保ちながら傾斜する(図8参照)。また、その状態でリンク64をc方向と反対方向に回動させれば、再び図7に示すように、モジュール30を支持フレーム20に対してほぼ垂直な状態に戻すことができる。
【0046】
このように傾動機構60によって、各モジュール30の支持フレーム20に対する傾斜角度を自由に変化させることができる。また、本実施形態ではモジュール30の支軸31が支持フレーム20の上面に支持されると共に、ガイドローラ68がガイドレール65に支持されるので、モジュール30をしっかりと保持させることができる。
【0047】
以上のように、スライド機構50により、複数枚のモジュール30を積層して畳まれた状態と、所定間隔で開いた状態とに変化させることができると共に、傾動機構60により、各モジュール30の支持フレーム20に対する傾斜角度を変化させることができ、両機構50,60の動作を図示しない制御装置等によって適宜制御することで、モジュール30を所望の状態に変動させることができる。なお、スライド機構50により、複数枚のモジュール30の全部を広げる必要はなく、図1に示すように所定枚のモジュール30だけを広げ、他のモジュール30を畳んだ状態でスライド動作を止めてもよい。
【0048】
例えば、太陽光を利用して太陽発電をすると共に、太陽光を所望の程度に遮光したいときには、スライド機構50により各モジュール30を支持フレーム20のほぼ全面に亘って広げると共に、傾動機構60により各モジュール30を支持フレーム20に対して適宜角度で傾斜させて、太陽光が所望の割合で入射するようにすればよい。
【0049】
このように、傾動機構60により、各モジュール30の支持フレーム20に対する傾斜角度を変化させることができるので、例えば、図1及び図7に示すように、太陽光ができるだけ垂直に近い角度で入射するように調整したり、所望の遮光率となるように調整したりすることができる。
【0050】
また、室内に太陽光をできるだけ多く入射させたいときや、強風時等において各モジュール30の損傷を防止する必要があるときには、傾動機構60により各モジュール30を支持フレーム20に対してほぼ直交状態になるように傾動させた後(図7参照)、スライド機構50により各モジュール30を重ねて畳むことができる。なお、スライド機構50によるモジュール30の畳み込みは、支持フレーム20に対してモジュール30が傾斜した状態で行うこともできるが、支持フレーム20に対してモジュール30がほぼ直交した状態で行う方が、モジュール30が積層されやすくなるので好ましい。
【0051】
この太陽光発電装置10を温室の屋根に適用した場合には、モジュール30を畳んで室内に太陽光を十分に入射させたり、モジュール30を展開してその傾斜角度を調整することにより、太陽光を所望の採光状態になるように遮光したり、遮光状態によって温室内の温度を調整したりすることができると共に、太陽光発電も行うことができる温室を提供できる。また、温室以外の飼育施設の屋根、家屋の屋根、ビルの壁面などに適用した場合も、採光状態と遮光状態とを適宜切り替えて、太陽発電を行わせつつ、所望の採光状態や遮光状態にすることができる。
【0052】
また、複数枚のモジュール30が一対の支持フレーム20,20に支持されているので、支持フレーム20を設置できる場所であれば、どこにでも手軽に設置することができ、温室の屋根や、飼育施設の屋根、家屋の屋根など、様々な場所に適用することができる。
【0053】
更に、モジュール30の長手方向両端部に設けられた各支軸31が一対の支持フレーム20,20によって支持された構造となっているので、複数枚のモジュール30のスライド動作を安定して且つ確実に行わせることができる。
【0054】
また、本実施形態では、一対の支持フレーム20,20の両端部が、支持フレーム20と直交する一対の連結フレーム22,22によって連結されて枠状をなしているので、これに複数のモジュール30を支持させてユニット化を図ることができ、設置工事等を容易に行うことができる。
【0055】
図9には、本発明に係る太陽光発電装置の他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略するものとする。
【0056】
この実施形態に係る太陽光発電装置10aでは、モジュール30の傾斜角度を変化させる傾動機構が前記実施形態と比べて異なっている。この傾動機構60aは、各モジュール30の長手方向両端部の幅方向両端部を、隣接するモジュール30どうしで順次所定間隔で連結する上下一対の線状体69a,69bを有している。モジュール30どうしを連結する各線状体69a,69bは、その一端が支持フレーム20の長手方向一端側のリンク64の上下両端にそれぞれ連結されていると共に、他端が支持フレーム20の長手方向他端側のリンク64の上下両端にそれぞれ連結されている。
【0057】
そして、支持フレーム20の長手方向一端側のリンク64は、図示しないモータによって回転する駆動プーリ84a、ベルト85a、従動プーリ81a、回動軸63aを介して、回動するようになっている。
【0058】
したがって、リンク64がd方向に回動すると、図9(A)に示すように、各リンク64の上端に連結された線状体69aが左方向に移動し、各リンク64の下端に連結された線状体69bが右方向に移動して、各モジュール30が右下がりの状態に傾斜する。
【0059】
一方、リンク64がe方向に傾動すると、図9(B)に示すように、各リンク64の上端に連結された線状体69aが右方向に移動し、各リンク64の下端に連結された線状体69bが左方向に移動して、各モジュール30が左下がりの状態に傾斜する。
【0060】
勿論、リンク64の回動を途中で止めることにより、モジュール30を任意の角度にすることができる。
【符号の説明】
【0061】
10,10a 太陽光発電装置
20 支持フレーム
22 連結フレーム
30、30a 太陽電池モジュール(モジュール)
31、31a 支軸
33 頭部
35 導線
40 連結部材
50 スライド機構
51 回転軸
51a 支持板
51b モータ
53 スプロケット
55 チェーン
58 移動バー
58a 係合部材
58b 連結体
60,60a 傾動機構
62 支持板
63 回動軸
64 リンク
64a ピン部材
65 ガイドレール
65a ガイド溝
68 ガイドローラ
69a、69b 線状体
70 牽引手段
81、81a 従動プーリ
82 支持板
84、84a 駆動プーリ
85、85a ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配置された一対の支持フレームと、
両端部を前記支持フレームに回動可能かつスライド可能に支持されて並列された、板状をなす複数枚の太陽電池モジュールと、
前記太陽電池モジュールの隣接するものどうしを所定間隔以上離れないように、かつ、近接可能に連結する連結部材と、
前記太陽電池モジュールの配列の一端に配置されたものを、前記支持フレームに沿って移動させて、前記太陽電池モジュールを、積層して畳まれた状態と、所定間隔で開いた状態とに変化させるスライド機構と、
前記太陽電池モジュールの傾斜角度を変化させる傾動機構とを備えていることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
前記一対の支持フレームの両端部が、該支持フレームと直交する連結フレームによって連結されて、枠状をなしている請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記スライド機構は、前記一対の支持フレームの両端部に配置されたスプロケット又はプーリと、各支持フレームの両端部に配置された前記スプロケット又はプーリに張設されたチェーン又はベルトと、前記太陽電池モジュールの配列の一端に配置されたものを直接又は間接的に前記チェーン又はベルトに連結する連結部材と、前記スプロケット又はプーリを回転させる手段とで構成されている請求項1又は2記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記傾動機構は、前記一対の支持フレームに対して、リンクを介してほぼ平行になるように取付けられたガイドレールと、前記リンクを回動させる手段とを有し、
前記各太陽電池モジュールの、前記支持フレームに支持された部分から、同太陽電池モジュールの一辺に沿って離れた部分が、前記ガイドレールに回転可能にかつスライド可能に保持されて構成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
前記傾動機構は、前記各太陽電池モジュールの両端部の幅方向に対向する部分を、隣接するものどうしで順次所定間隔で連結する線状体と、前記各太陽電池モジュールの幅方向の少なくとも一方の端部寄りに連結された線状体を所定方向に引張ることにより、前記各太陽電池モジュールを傾動させる牽引手段とで構成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
温室の屋根に適用される請求項1〜5のいずれか1つに記載の太陽光発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−174788(P2012−174788A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33429(P2011−33429)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】