説明

太陽光発電装置

【課題】太陽光発電装置の質量を軽量にすると共に、その構成を簡単にできるようにする。
【解決手段】太陽光発電装置は、固定側に張設される膜体2と、膜体2の外面に沿って設けられる複数枚の太陽電池3とを備える。太陽電池3の外縁部を外方から覆うようこの外縁部に沿って延びると共に膜体2に取り付けられる枠形状のブラケット10を設ける。ブラケット10が膜体2の面方向かつ厚さ方向外方への太陽電池3の自由な移動を阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物など固定側に張設される膜体と、この膜体の外面に沿って設けられる複数枚の太陽電池とを備えた太陽光発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記太陽光発電装置には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、太陽光発電装置は、固定側に張設される膜体と、この膜体の外面に沿って設けられる複数枚の太陽電池と、これら各太陽電池をその外方から一体的に覆うと共に、上記膜体に取り付けられるカバー体とを備えている。このカバー体は、その全体が透明のカバーフィルムで一体的に形成されている。このカバーフィルムは、上記膜体の面方向かつ厚さ方向外方への上記太陽電池の自由な移動を阻止すると共に、太陽光を上記太陽電池側に向けて透過させる。
【0003】
そして、上記カバーフィルムを透過して上記太陽電池に達した太陽光は、その光エネルギーが電気エネルギーに変換される。その後、この電気エネルギーはバッテリに充電されたり、その他の電気機器に供給されたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−107871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記したカバー体を構成するカバーフィルムは太陽電池の自由な移動を阻止するものであって、この太陽電池からの外力を支持するものである。このため、強度面で、上記カバーフイルムの厚さを、ある程度大きくすることが要求される。
【0006】
しかし、上記カバーフイルムは各太陽電池を全体的に覆う面積の大きいものである。このため、上記したようにカバーフイルムの厚さを単に大きくすると、その面積に比例して質量も大きくなる。また、この場合、このカバーフイルムから膜体に与えられる負荷が大きくなるため、強度面で、この膜体の厚さも大きくする必要が生じる。この結果、上記カバーフイルムに加えて上記膜体の質量も大きくなることから、上記太陽光発電装置の質量が過大になると共に、その構成が複雑になるおそれもある。
【0007】
しかも、上記したようにカバーフイルムの厚さを大きくすると、その厚さが大きい分、太陽電池側への太陽光の透過性が低下して、太陽光発電装置の発電効率が阻害されるおそれも生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、太陽光発電装置の質量を軽量にすると共に、その構成を簡単にできるようにすることである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、太陽光発電装置の発電効率を向上させるようにすることである。
【0010】
請求項1の発明は、固定側に張設される膜体2と、この膜体2の外面に沿って設けられる太陽電池3とを備えた太陽光発電装置において、
上記太陽電池3の外縁部を外方から覆うようこの外縁部に沿って延びると共に上記膜体2に取り付けられる枠形状のブラケット10を設け、このブラケット10が上記膜体2の面方向かつ厚さ方向外方への上記太陽電池3の自由な移動を阻止するようにしたことを特徴とする太陽光発電装置である。
【0011】
請求項2の発明は、上記ブラケット10で囲まれた開口を閉じて上記太陽電池3をその外方から覆う透明なカバーフイルム17を設けたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置である。
【0012】
請求項3の発明は、上記膜体2およびブラケット10同士と、上記ブラケット10およびカバーフイルム17同士とを、それぞれ熱溶着Wしたことを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電装置である。
【0013】
請求項4の発明は、上記ブラケット10の表面材の樹脂をポリ塩化ビニル(PVC)とし、上記カバーフイルム17を2フッ化系のフッ素樹脂、もしくは2種以上のフッ素系樹脂を混合した樹脂としたことを特徴とする請求項3に記載の太陽光発電装置である。
【0014】
請求項5の発明は、上記膜体2の上面に上記ブラケット10を熱溶着Wし、上記太陽電池3からの電力を取り出す端子ボックス5を挿入させる挿入孔19を上記膜体2に形成したことを特徴とする請求項3、もしくは4に記載の太陽光発電装置である。
【0015】
請求項6の発明は、上記膜体2とブラケット10との各材料を互いに同じにしたことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1つに記載の太陽光発電装置である。
【0016】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0017】
本発明による効果は、次の如くである。
【0018】
請求項1の発明は、固定側に張設される膜体と、この膜体の外面に沿って設けられる太陽電池とを備えた太陽光発電装置において、
上記太陽電池の外縁部を外方から覆うようこの外縁部に沿って延びると共に上記膜体に取り付けられる枠形状のブラケットを設け、このブラケットが上記膜体の面方向かつ厚さ方向外方への上記太陽電池の自由な移動を阻止するようにしている。
【0019】
このため、太陽電池の自由な移動を阻止するのは上記ブラケットで足り、太陽電池を1枚の厚みのある透明なカバーフィルムで全体的に覆うということは不要である。よって、その分、太陽光発電装置の質量を軽量にすることができると共に、その構成を簡単にすることができる。また、太陽電池の自由な移動を阻止する上で、この太陽電池の表面を覆うカバー体は設けなくてもよく、このようにした場合には、太陽電池の発電効率の低下を防止できる。
【0020】
請求項2の発明は、上記ブラケットで囲まれた開口を閉じて上記太陽電池をその外方から覆う透明なカバーフイルムを設けている。
【0021】
このため、上記太陽電池は上記カバーフイルムによって雨水や塵埃から保護される。
【0022】
ここで、前記したように、太陽電池の自由な移動の阻止は上記ブラケットによって達成されるため、自由に移動しようとする太陽電池から上記カバーフイルムに外力が与えられることは防止される。よって、強度面で、このカバーフイルムの厚さは薄くできることから、太陽光発電装置の質量の増加を抑制できると共に、太陽電池を1枚の厚みのある透明なカバーフィルムで全体的に覆うよりも、上記カバーフイルムによれば、透光性が向上して、太陽光発電装置の発電効率が良好に維持される。
【0023】
請求項3の発明は、上記膜体およびブラケット同士と、上記ブラケットおよびカバーフイルム同士とを、それぞれ熱溶着している。
【0024】
このため、上記膜体、ブラケット、およびカバーフイルムで囲まれた空間への雨水の浸入は、より確実に防止される。よって、上記空間における太陽電池の防水性が向上し、これは太陽光発電装置の寿命上有益である。
【0025】
請求項4の発明は、上記ブラケットの表面材の樹脂をポリ塩化ビニル(PVC)とし、上記カバーフイルムを2フッ化系のフッ素樹脂、もしくは2種以上のフッ素系樹脂を混合した樹脂としている。
【0026】
ここで、上記カバーフィルムのフッ素系樹脂は融点が比較的低く、ブラケットの表面材であるポリ塩化ビニルの融点に近いため、これらブラケットおよびカバーフイルム同士の熱溶着は容易、かつ、精度よくできる。
【0027】
請求項5の発明は、上記膜体の上面に上記ブラケットを熱溶着し、上記太陽電池からの電力を取り出す端子ボックスを挿入させる挿入孔を上記膜体に形成している。
【0028】
このため、上記挿入孔は、前記したように互いに熱溶着されたブラケットおよびカバーフイルムによってその上方から覆われる。よって、上記したように膜体に挿入孔を形成したとしても、上記膜体、ブラケット、およびカバーフイルムで囲まれた空間への雨水の浸入は防止され、つまり、この空間における太陽電池の防水性が良好に維持される。
【0029】
請求項6の発明は、上記膜体とブラケットとの各材料を互いに同じにしている。
【0030】
このため、上記膜体が、膜体の展張時に付与される張力によって伸縮した場合や、何らかの外力で撓んだ場合、この膜体の伸縮や変形に対し上記ブラケットは円滑に追従する。よって、上記したように膜体の伸縮時や撓んだ場合でも、この膜体から上記ブラケットが剥がれることは防止されると共に、膜体の伸度より低い伸度である太陽電池の破損を防止することが出来るのであり、これは太陽光発電装置の寿命上有益である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図2のI−I線矢視拡大断面図である。
【図2】太陽光発電装置の部分斜視図である。
【図3】他の実施例を示し、図1に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の太陽光発電装置に関し、太陽光発電装置の質量を軽量にすると共に、その構成を簡単にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0033】
即ち、太陽光発電装置は、固定側に張設される膜体と、この膜体の外面に沿って設けられる太陽電池とを備えている。上記太陽電池の外縁部を外方から覆うようこの外縁部に沿って延びると共に上記膜体に取り付けられる枠形状のブラケットが設けられる。このブラケットは、上記膜体の面方向かつ厚さ方向外方への上記太陽電池の自由な移動を阻止する。
【実施例】
【0034】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0035】
図1,2において、符号1は太陽光発電装置である。この太陽光発電装置1は、地面側や構造物など固定側に対し、ほぼ水平方向に張設される膜体2と、この膜体2の外面に沿って設けられる矩形板状で複数枚の可撓性太陽電池3と、これら各太陽電池3をそれぞれその外方(上方)から個別に覆うと共に、上記膜体2に取り付けられるカバー体4と、上記太陽電池3の上記膜体2側の面に突設され、上記太陽電池3からの電力を取り出す端子ボックス5と、この端子ボックス5に電線6により電気的に接続されて電力を入力するバッテリなど電気機器7とを備えている。
【0036】
上記膜体2は、ケナフ繊維等の天然繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維、もしくはガラス繊維等の無機繊維等により形成される織物である基材と、この基材の各外面に被覆されるポリ塩化ビニル(PVC)など熱可塑性樹脂製の表面材(コーティング材)とを備えている。上記PVCの融点はほぼ180℃である。
【0037】
なお、上記膜体2の表面材の樹脂である上記ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂製の表面材は、少なくとも熱溶着する部分の表面がポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂であればよく、その他の部分の最表面には、汚れ防止のための光触媒層を設けていてもよい。
【0038】
上記各カバー体4は、上記太陽電池3の外縁部を外方から覆うようこの外縁部に沿って延びると共に上記膜体2に取り付けられる枠形状のブラケット10を備えている。上記ブラケット10は上記膜体2と同じ材料で形成されている。
【0039】
上記ブラケット10は、上記膜体2の厚さ方向に延びる軸心11を有する短尺の筒状部12と、この筒状部12の軸方向における上記膜体2側の一端部に一体的に形成される外向きフランジ13と、上記筒状部12の軸方向における他端部に一体的に形成される内向きフランジ14とを備えている。
【0040】
上記筒状部12は、上記膜体2の面方向で上記太陽電池3の外縁部に近接してこの太陽電池3を囲繞している。また、上記外向きフランジ13は、上記膜体2に面接触して上記外向きフランジ13の長手方向に連続するよう上記膜体2に熱溶着Wされ、上記筒状部12は上記外向きフランジ13を介し上記膜体2に取り付けられている。上記熱溶着Wは熱風溶着や、熱コテ式溶着、高周波溶着等により達成される。また、上記内向きフランジ14は、上記膜体2の厚さ方向で上記太陽電池3の外縁部をその外方から少し離れて覆っている。
【0041】
そして、上記筒状部12は、上記膜体2の面方向への上記太陽電池3の自由な移動を阻止する。また、上記内向きフランジ14は、上記膜体2の厚さ方向外方への上記太陽電池3の自由な移動を阻止する。この場合、上記太陽電池3と上記ブラケット10との間には、このブラケット10の内部で太陽電池3が多少移動可能な程度の遊びが設けられている。なお、上記太陽電池3の自由な移動が上記ブラケット10によって完全に阻止可能となるようにしてもよい。
【0042】
また、上記各カバー体4は、上記ブラケット10で囲まれた開口を閉じて上記太陽電池3をその外方から覆う透明なカバーフイルム17を備えている。具体的には、このカバーフイルム17の外縁部は、上記ブラケット10の内向きフランジ14の内面(下面)に面接触して、上記カバーフイルム17の外縁部の長手方向に連続するよう上記ブラケット10の内向きフランジ14に熱溶着Wされている。
【0043】
上記カバーフイルム17は、2フッ化系のフッ素樹脂、もしくは2種以上のフッ素系樹脂を混合した樹脂である。これらフッ素系樹脂の融点は200℃以下であって、この融点は、前記したPVCの融点と近似している。また、上記カバーフイルム17の厚さは、100μm以下が好ましいが、本実施例では、20〜40μmである。
【0044】
更に、上記カバーフイルム17には、近赤外線カット機能を持たせる事が好ましい。例えば、スズ−アンチモン系酸化剤や、インジウム−スズ系酸化剤等をカバーフィルム17に使用するフッ素系樹脂に必要量混合する事によって近赤外線をカットすることが可能となる。これにより、太陽電池3の温度上昇を防ぎ、発電効果の低下を防止する事が可能となる。
【0045】
上記ブラケット10の筒状部12の軸心11上における上記膜体2の部分に挿入孔19が形成されている。前記端子ボックス5は、上記太陽電池3側から上記挿入孔19に挿入されて、上記膜体2の外方(下方)に突出している。この端子ボックス5の突出部に前記電線6が結線されている。ここで、仮に、上記挿入孔19を閉じたとすると、上記膜体2とカバー体4とで囲まれた空間21は密閉空間とされ、雨水の浸入が防止される。
【0046】
なお、上記ブラケット10の表面材の樹脂である上記ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂製の表面材は、少なくとも熱溶着する部分の表面がポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂であればよく、その他の部分の最表面には、汚れ防止のための光触媒層を設けていてもよい。また、上記カバーフイルム17についても、少なくとも熱溶着しない部分の最表面に汚れ防止のための光触媒層を設けていてもよい。
【0047】
上記構成によれば、太陽電池3の外縁部を外方から覆うようこの外縁部に沿って延びると共に膜体2に取り付けられる枠形状のブラケット10を設け、このブラケット10が上記膜体2の面方向かつ厚さ方向外方への上記太陽電池3の自由な移動を阻止するようにしている。
【0048】
このため、太陽電池3の自由な移動を阻止するのは上記ブラケット10で足り太陽電池3を1枚の厚みのある透明なカバーフィルム17で全体的に覆うということは不要である。よって、その分、太陽光発電装置1の質量を軽量にすることができると共に、その構成を簡単にすることができる。また、太陽電池3の自由な移動を阻止する上で、この太陽電池3の表面を覆うカバー体4は設けなくてもよく、このようにした場合には、太陽電池3の発電効率の低下を防止できる。
【0049】
また、前記したように、ブラケット10で囲まれた開口を閉じて太陽電池3をその外方から覆う透明なカバーフイルム17を設けている。
【0050】
このため、上記太陽電池3は、上記カバーフイルム17によって雨水や塵埃から保護される。
【0051】
ここで、前記したように、太陽電池3の自由な移動の阻止は上記ブラケット10によって達成されるため、自由に移動しようとする太陽電池3から上記カバーフイルム17に外力が与えられることは防止される。よって、強度面で、このカバーフイルム17の厚さは薄くできることから、太陽光発電装置1の質量の増加を抑制できると共に、太陽電池3を1枚の厚みのある透明なカバーフィルムで全体的に覆うよりも、上記カバーフイルム17によれば、透光性が向上して、太陽光発電装置1の発電効率が良好に維持される。
【0052】
更に、カバーフイルム17にフッ素系樹脂を使用した場合は、その厚さを薄くしたとしても耐久性があるため、PVC等他の材料に比べ長期間透明性が保たれると共に、高価であるフッ素系樹脂の使用量を低減させることができ、コストを低減させる事も可能となる。
【0053】
また、前記したように、膜体2およびブラケット10同士と、上記ブラケット10およびカバーフイルム17同士とを、それぞれ熱溶着Wしている。
【0054】
このため、上記膜体2、ブラケット10、およびカバーフイルム17で囲まれた空間21への雨水の浸入は、より確実に防止される。よって、上記空間21における太陽電池3の防水性が向上し、これは太陽光発電装置1の寿命上有益である。
【0055】
また、前記したように、ブラケット10の表面材の樹脂をポリ塩化ビニル(PVC)とし、カバーフイルム17を2フッ化系のフッ素樹脂、もしくは2種以上のフッ素系樹脂を混合した樹脂としている。
【0056】
ここで、上記カバーフィルム17に使用できるフッ素系樹脂は、2フッ化系のフッ素樹脂としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)融点:151〜178℃や、これをベースにしたフィルム、2種以上のフッ素系樹脂を混合した樹脂としては、例えばTHV(テトラフルオロエチレン
ヘキサフルオロピレン ビニリデンフルオライド)融点:115〜180℃等、それぞれフッ素系樹脂としては融点が比較的低く、融点が200℃以下、より好ましくは融点が180℃以下のフッ素系樹脂を用いる事ができる。このため、ブラケット10の表面材であるPVCの融点180℃程度に近く、前記したブラケット10およびカバーフイルム17同士の熱溶着Wは容易、かつ、精度よくできる。
【0057】
また、前記したように、膜体2の上面に上記ブラケット10を熱溶着Wし、太陽電池3からの電力を取り出す端子ボックス5を挿入させる挿入孔19を上記膜体2に形成している。
【0058】
このため、上記挿入孔19は、前記したように互いに熱溶着Wされたブラケット10およびカバーフイルム17によってその上方から覆われる。よって、上記したように膜体2に挿入孔19を形成したとしても、上記膜体2、ブラケット10、およびカバーフイルム17で囲まれた空間21への雨水の浸入は防止され、つまり、この空間21における太陽電池3の防水性が良好に維持される。
【0059】
また、前記したように、膜体2とブラケット10との各材料を互いに同じにしている。
【0060】
このため、上記膜体2が、膜体2の展張時に付与される張力によって伸縮した場合や、何らかの外力で撓んだ場合、この膜体2の伸縮や変形に対し上記ブラケット10は円滑に追従する。よって、上記したように膜体2の伸縮時や撓んだ場合でも、この膜体2から上記ブラケット10が剥がれることは防止されると共に、膜体2の伸度より低い伸度である太陽電池3の破損を防止できるのであり、これは太陽光発電装置1の寿命上有益である。
【0061】
なお、以上は図示の例によるが、膜体2は太陽光発電装置1の専用として設けられるものであってもよく、構造物の屋根など、構造物の一部を構成するものであってもよい。また、上記膜体2は、各太陽電池3が太陽に向かうよう傾斜していてもよい。
【0062】
また、上記太陽電池3やカバー体4は円形状、長円形状、もしくは楕円形状であってもよい。
【0063】
図3は、他の実施例を示している。これによれば、上記ブラケット10の筒状部12は高さが極めて小さい截頭角錐台筒状とされている。つまり、上記ブラケット10において、筒状部12はほとんど存在せず、外向きフランジ13と内向きフランジ14とが上記太陽電池3のほぼ厚さ分の段差をもって互いに一体的に形成されている。これにより、上記ブラケット10は全体的にほぼ平坦な枠形状となるよう形成されている。
【0064】
他の構成や作用効果は、前記図1,2で示した実施例と同様であるが、上記構成によれば、上記膜体2からのブラケット10の突出量が小さく抑制され、このため、太陽光発電装置1の外面側に与えられる風圧を小さく抑制できる、という利点がある。
【符号の説明】
【0065】
1 太陽光発電装置
2 膜体
3 太陽電池
4 カバー体
5 端子ボックス
6 電線
7 電気機器
10 ブラケット
11 軸心
12 筒状部
13 外向きフランジ
14 内向きフランジ
17 カバーフイルム
19 挿入孔
21 空間
W 熱溶着

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側に張設される膜体と、この膜体の外面に沿って設けられる太陽電池とを備えた太陽光発電装置において、
上記太陽電池の外縁部を外方から覆うようこの外縁部に沿って延びると共に上記膜体に取り付けられる枠形状のブラケットを設け、このブラケットが上記膜体の面方向かつ厚さ方向外方への上記太陽電池の自由な移動を阻止するようにしたことを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
上記ブラケットで囲まれた開口を閉じて上記太陽電池をその外方から覆う透明なカバーフイルムを設けたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
上記膜体およびブラケット同士と、上記ブラケットおよびカバーフイルム同士とを、それぞれ熱溶着したことを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
上記ブラケットの表面材の樹脂をポリ塩化ビニルとし、上記カバーフイルムを2フッ化系のフッ素樹脂、もしくは2種以上のフッ素系樹脂を混合した樹脂としたことを特徴とする請求項3に記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
上記膜体の上面に上記ブラケットを熱溶着し、上記太陽電池からの電力を取り出す端子ボックスを挿入させる挿入孔を上記膜体に形成したことを特徴とする請求項3、もしくは4に記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
上記膜体とブラケットとの各材料を互いに同じにしたことを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1つに記載の太陽光発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−43948(P2012−43948A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183302(P2010−183302)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】